マクラーレン・MP4-25

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マクラーレン MP4-25
2010年カナダGPで ジェンソン・バトンがドライブするMP4-25
カテゴリー F1
コンストラクター マクラーレン
先代せんだい マクラーレン・MP4-24
後継こうけい マクラーレン・MP4-26
主要しゅようしょもと
エンジン メルセデスFO108X
タイヤ ブリヂストン
主要しゅよう成績せいせき
チーム ボーダフォン マクラーレン メルセデス
ドライバー 1. イギリスの旗 ジェンソン・バトン
2. イギリスの旗 ルイス・ハミルトン
出走しゅっそう時期じき 2010ねん
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
通算つうさん獲得かくとくポイント 421
初戦しょせん 2010ねんバーレーンGP
はつ勝利しょうり 2010ねんオーストラリアGP
最終さいしゅうせん 2010ねんアブダビGP
出走しゅっそう優勝ゆうしょう表彰台ひょうしょうだいポールFラップ
1951616
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マクラーレン MP4-25 (McLaren MP4-25) は、マクラーレン2010ねんのF1世界せかい選手権せんしゅけん参戦さんせんよう開発かいはつしたフォーミュラ1カーである。2010ねんシーズンの開幕かいまくせんから最終さいしゅうせんまで実戦じっせん投入とうにゅうされた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

MP4-24とMP4-25のホイールベースの

規定きてい変更へんこうによってレースちゅう給油きゅうゆ禁止きんしされたことにともな燃料ねんりょうタンクが拡大かくだいしたため、のチームのマシン同様どうよう前年ぜんねんがたMP4-24よりホイールベースを延長えんちょうしている。

ノーズはMP4-24とことなり、たかげられた扁平へんぺいなものとなり、そのした空気くうきけるパーツをダミーカメラとともにもうけている。サイドポンツーンは後方こうほうけて極端きょくたんとしんだ形状けいじょうとなり、排気はいき横長よこながあなから排出はいしゅつされる。

前年ぜんねんにトレンドとなったマルチディフューザー念頭ねんとう設計せっけいされており、リアウィングのロワエレメントとわせて、気流きりゅう効果こうかたかめている。アンダーフロアにもうけた上段じょうだんディフューザーの吸入きゅうにゅうこう大型おおがたした。

そらりょくてき敏感びんかんで、くるまだか変化へんかきらってサスペンションをかたくしたため、ブレーキングでマシンが安定あんていせずタイヤの消耗しょうもうはやくなったとの指摘してきがある[1][2]

Fダクト[編集へんしゅう]

MP4-25にはFダクトというシステムが搭載とうさいされている。これはコックピット前方ぜんぽうにある吸気きゅうきこうから空気くうきれ、その空気くうきをコックピット、シャークフィンの経路けいろもうけられたダクトをとおし、中空なかぞら構造こうぞうのリアウイング裏面りめんけられたスリットからしリアウイングをストールさせることで、ドラッグをらし直線ちょくせんスピードを向上こうじょうさせるものである。可変かへんフラップのわりをになうものである[3]

Fダクトのオン・オフはコックピットないでドライバーが任意にんいおこなう。前述ぜんじゅつのダクトはコックピットない箇所かしょあなけられており、オフの状態じょうたいではモノコック上部じょうぶ開口かいこうからはいった空気くうきはそのあなからコックピットにすようになっている。しかし、ドライバーがひざまたはひじでそのあなふさぐことで一連いちれんのダクトが完成かんせいしてオンの状態じょうたいとなり、空気くうきがシャークフィン内部ないぶとおりリアウイングにかう[4]

2010ねんシーズン[編集へんしゅう]

ブロウンディフューザー導入どうにゅうのMP4-25(ベルギーGP
日本にっぽんGPでランデブー走行そうこうするMP4-25

Fダクトは最高さいこう速度そくど向上こうじょうおおきな効果こうか発揮はっきし、レッドブル・RB6れたブロウンディフューザーとともに2010ねんの2だいトレンドとなった。だい2せんでFダクトを投入とうにゅうしたザウバーはじまり、チームも続々ぞくぞくとFダクトを投入とうにゅうしてきたが、オリジナルであるマクラーレンのそれとは完成かんせいひらきがあり、なかなか熟成じゅくせいすすまなかった。フェラーリなどはFダクトの開発かいはつ専念せんねんしすぎたあまりマシンのパフォーマンスが低下ていかするほどだった。[よう出典しゅってん]

当初とうしょはレッドブル・RB6やフェラーリ・F10競争きょうそうりょくおおきくみずをあけられているとわれたが[5]、このFダクトによってMP4-25は高速こうそくサーキットりのマシンとなり、トルコGPイスタンブール・パーク)、カナダGPジル・ヴィルヌーヴ・サーキット)、ベルギーGPスパ・フランコルシャン)、イタリアGPモンツァ・サーキットとう、いわゆる高速こうそくサーキットとばれるコースにおけるレースで優位ゆういせいしめした。ぎゃくに、モナコGPモンテカルロ市街地しがいちコース)、ハンガリーGPハンガロリンク)、シンガポールGPマリーナ・ベイ・サーキット)、日本にっぽんGP鈴鹿すずかサーキットとう、ハイダウンフォースサーキットでおこなわれたレースではライバルの後塵こうじんはいする光景こうけい間々ままられた。このてんで、こうダウンフォースのそらりょく特性とくせいをもつ一方いっぽうで、エアロパッケージやエンジンのめんから高速こうそくサーキットを苦手にがてとしたRB6[6]こう対照たいしょうである。終盤しゅうばんせんにはかくチームともFダクトが成熟せいじゅくしてきたことから、トップスピードによるアドバンテージも減少げんしょうした。

だい10せんイギリスGPではブロウンディフューザーをテストしたが、フリープラクティスでの結果けっかわるく、決勝けっしょうでは採用さいよう見送みおくった。つぎせんドイツGPから正式せいしき搭載とうさいし、車体しゃたい後部こうぶ前半ぜんはんせんとはことなるデザインとなった。

だい14せんイタリアGPではりょうドライバーのエアロパッケージがかれ、ハミルトンはFダクトしのうすいリアウィングを装着そうちゃくする一方いっぽう、バトンはFダクトきのおおきめのリアウィングを選択せんたくした。バトンはFダクトを活用かつようしたセッティングがはまって予選よせん決勝けっしょうとも2獲得かくとくし、モンツァ・サーキットにおけるセオリーをくつがえ結果けっかとなった。

バトンとハミルトンはりょうともドライバーズタイトルあらそいにからんだが、バトンはだい17せん韓国かんこくGPでのノーポイントがひびき、だい18せんブラジルGP権利けんりうしなった。ハミルトンは一時いちじポイントリーダーだったが、2せん連続れんぞく接触せっしょくリタイアにより後退こうたいし、最終さいしゅうせんアブダビGPでの逆転ぎゃくてんかなわなかった。結果けっかてきにドライバーズ・コンストラクターズともレッドブルにタイトルをうばわれるかたちとなった。

スペック[編集へんしゅう]

シャーシ[編集へんしゅう]

エンジン[編集へんしゅう]

記録きろく[編集へんしゅう]

とし No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ポイント ランキング
BHR
バーレーンの旗
AUS
オーストラリアの旗
MAL
マラヤ連邦の旗
CHN
中華人民共和国の旗
ESP
スペインの旗
MON
モナコの旗
TUR
トルコの旗
CAN
カナダの旗
EUR
欧州連合の旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
SIN
シンガポールの旗
JPN
日本の旗
KOR
大韓民国の旗
BRA
ブラジルの旗
ABU
アラブ首長国連邦の旗
2010 1 イギリスの旗 バトン 7 1 8 1 5 Ret 2 2 3 4 5 8 Ret 2 4 4 12 5 3 454 2
2 イギリスの旗 ハミルトン 3 6 6 2 14 5 1 1 2 2 4 Ret 1 Ret Ret 5 2 4 2

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 『F1速報そくほう2010ねん総集編そうしゅうへん三栄書房さんえいしょぼう、2010ねん、p.71ぺーじ 
  2. ^ 『F1 RACING 2011ねん1がつごう三栄書房さんえいしょぼう、2010ねん、p.73ぺーじISBN 978-4-7796-1122-3 
  3. ^ 『F1速報そくほうPLUS Vol.15 特集とくしゅう 最速さいそくF1マシンの秘密ひみつ三栄書房さんえいしょぼう、2010ねん、p.25ぺーじ 
  4. ^ 『F1Modeling Vol.43』東邦とうほう出版しゅっぱん、2010ねん、p.21ぺーじISBN 9784809408793 
  5. ^ 『F1Modeling Vol.43』東邦とうほう出版しゅっぱん、2010ねん、p.16ぺーじISBN 9784809408793 
  6. ^ “Red Bull to 'lose out' on Spa straights - Horner”. motorsport.com. (2010ねん8がつ17にち). http://www.motorsport.com/news/article.asp?ID=382437 2010ねん11月11にち閲覧えつらん