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チャクラ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
チャクラがえがかれたヨーガ行者ぎょうじゃ[* 1]

チャクラ: चक्र, cakra; えい: chakra)は、サンスクリットえん円盤えんばん車輪しゃりん轆轤ろくろ(ろくろ)を意味いみするかたりである。ヒンドゥーきょうタントラハタ・ヨーガ仏教ぶっきょう後期こうき密教みっきょうでは、人体じんたい頭部とうぶ胸部きょうぶ腹部ふくぶなどにあるとされる中枢ちゅうすう言葉ことばとしてもちいられる。

(りん)とかんやくされる。チベットでは「コルロ」[* 2]という。

概説がいせつ

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タントラの神秘しんぴてき生理学せいりがくせつでは、物質ぶっしつてき身体しんたい大身たいしん、ストゥーラ・シャリーラ)と精微せいび身体しんたいほろ細身ほそみ、スークシュマ・シャリーラ)は複数ふくすうナーディー英語えいごばんみゃくかん)とチャクラでできているとされる[3]。ハタ・ヨーガの身体しんたいかんでは、ナーディーはプラーナながれるほろ細身ほそみ導管どうかん意味いみしており[4]、チャクラはほろ細身ほそみたてつらぬ中央ちゅうおうみゃくかん(スシュムナー)に沿って存在そんざいする、こまかいみゃくかん円形えんけいからまったくさむら(そう)であるとされる[5]

身体しんたいエネルギーの活性かっせいはか身体しんたい重視じゅうしヨーガであるハタ・ヨーガでは、身体しんたい宇宙うちゅうろんとでもいうべき独自どくじ身体しんたいかん発達はったつし、蓮華れんげさま円盤えんばんじょうのエネルギー中枢ちゅうすうであるチャクラとエネルギー循環じゅんかんであるナーディー(みゃくかん)の存在そんざい想定そうていされた[6]。これは『ハタプラディーピカー』などのハタ・ヨーガ文献ぶんけんやヒンドゥーきょうのタントラ文献ぶんけんられ、仏教ぶっきょう後期こうき密教みっきょう文献ぶんけん身体しんたいろんとも共通きょうつうせいがある[6]

現代げんだいのヨーガの参考さんこう図書としょべられる身体しんたいかんでは、主要しゅような3つのみゃくかんと、身体しんたいないにある6つのチャクラ、そして頭頂とうちょういただく1つのチャクラがあるとされることがおおい。この6りんプラス1りんというチャクラせつは、ジョン・ウッドロフ筆名ひつめいアーサー・アヴァロン Arthur Avalon)が著作ちょさくへびちから』 (The Serpent Power) で英訳えいやく紹介しょうかいした『ろくりん解説かいせつ』 (Ṣaṭcakranirūpaṇa) にもとづいている[6]。この書物しょもつは16世紀せいきベンガル地方ちほう活動かつどうしたシャークタのタントラ行者ぎょうじゃプールナーナンダが1577ねんあらわしたとされるもので[7]、これについてミルチャ・エリアーデもっと正統せいとうてきなチャクラかんあらわす文献ぶんけんだとひょうした[8]。アーサー・アヴァロンによる紹介しょうかい以降いこう、この6りんプラス1りんのチャクラは定説ていせつのようにみられているが、実際じっさい学派がくは流派りゅうはによってさまざまなせつがある[6]たとえば『ヘーヴァジュラ・タントラ』などの仏教ぶっきょうタントリズムでは4りんせつ主流しゅりゅうである。愛知文教大学あいちぶんきょうだいがく遠藤えんどうやすしは、『ろくりん解説かいせつ』における身体しんたいかんみゃくかんとチャクラにかんする比較的ひかくてき詳細しょうさいでよくまとまった解説かいせつであり、チャクラをふく伝統でんとうてき身体しんたいかん原典げんてんさかのぼって理解りかいするうえで有益ゆうえき文献ぶんけんであるが、あくまで特定とくてい流派りゅうはにおけるろんである、と指摘してきしている[7]

表象ひょうしょう文化ぶんかろん研究けんきゅうする埼玉大学さいたまだいがく基盤きばん教育きょういく研究けんきゅうセンターじゅん教授きょうじゅ加藤かとう有希子ゆきこによると、現代げんだいひろ普及ふきゅうした虹色にじいろと7つのチャクラを関連付かんれんづけた身体しんたいろんは、近代きんだいかみ智学ちがくチャールズ・ウェブスター・レッドビータ(1854ねん - 1934ねん)が考案こうあんしたものである[9]かれはインド由来ゆらいのヨーガの経典きょうてんとも西洋せいよう信仰しんこう神秘しんぴ主義しゅぎ文脈ぶんみゃくからも断絶だんぜつするかたちで、1927ねん著作ちょさくで7つのチャクラのプラーナいろ西洋せいようにじの7しょく独自どくじ関連付かんれんづけた[9][10][11]きん現代げんだいヨーガ、ニューエイジスピリチュアルけい思想しそうれられている。そういった言説げんせつでは、チャクラの7しょくはインドの伝統でんとう由来ゆらいするかのようにつたえられているが、事実じじつとはことなる[9]

ヒンドゥー・ヨーガ

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一般いっぱんにチャクラは6つあるとわれる(サハスラーラをチャクラにふくめる場合ばあいは7つ)。背骨せぼねもと底部ていぶからかぞえてだい1チャクラ、だい2チャクラ……とぶこともある。[よう出典しゅってん]

ハタヨーガの古典こてんシヴァ・サンヒター英語えいごばん[* 3]ではチャクラはパドマ蓮華れんげ)とばれ[13]同書どうしょだい5しょうではアーダーラパドマからサハスラーラパドマまでの7つの蓮華れんげについて詳述しょうじゅつされている[14]加藤かとう有希子ゆきこによると、伝統でんとうてきなチャクラのいろには体系たいけいてき秩序ちつじょはほとんどなく、さほど重視じゅうしされてこなかった可能かのうせいがあり、現代げんだいのようにかくチャクラににじの7しょくがあてはめられることはない[15]

以下いかの7つのチャクラの解説かいせつは、神智しんち学徒がくとチャールズ・ウェブスター・レッドビータの『チャクラ』本山もとやまひろしわけ(1975ねん平河ひらかわ出版しゅっぱんしゃ)とアーサー・アヴァロンの『へびちから』(1974ねん英語えいごばん)という西洋せいよう文献ぶんけん参考さんこうに、インド・仏教ぶっきょう研究けんきゅうしゃ立川たちかわ武蔵むさし考察こうさつしたもの[16]中心ちゅうしんべる。(参考さんこう文献ぶんけん西洋せいようてき解釈かいしゃくかみ智学ちがくてき解釈かいしゃくがどの程度ていどはいっているかは不明ふめい。)立川たちかわ武蔵むさしはヒンドゥー・ヨーガの伝統でんとうてきなチャクラのにおけるいろ紹介しょうかいしているが、これは加藤かとう有希子ゆきこのチャクラのいろ一貫いっかんした体系たいけいられないという見解けんかいとは合致がっちしない。

だい1のチャクラ
ムーラーダーラ・チャクラmūlādhāra-cakra)とばれ、脊柱せきちゅう基底きていにあたるかいかげ肛門こうもん性器せいきあいだ)にある。「ムーラ・アーダーラ」とは「根本こんぽん[17]」「ささえるもの」のである。後代こうだいのヨーガおよびタントラ宗教しゅうきょうでは、ムーラーダーラにはせいりょくシャクティ)が宿やどるとされ、とぐろをへびとして理解りかいされる[17]立川たちかわ武蔵むさしによると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統でんとうてきなチャクラのでは、あかよん花弁はなびらをもち、元素げんそ表象ひょうしょうする黄色きいろ四角形しかっけいとヨーニ(女性じょせい)を象徴しょうちょうするぎゃく三角形さんかっけいえがかれており、三角形さんかっけいなかにはへび姿すがたをした女神めがみクンダリニーねむっているとされる[18]。クンダリニーはシバかみのシャクティないしドゥルガー同一どういつされる[17]修行しゅぎょうしゃはクンダリニーとアートマン合一ごういつ目指めざし、ヨーガの修行しゅぎょうによってクンダリニーは脊椎せきついちゅうのスシュムナーかんつたって上昇じょうしょうし、のチャクラを頭頂とうちょうのサハスラーラにいたるとかんがえられている[19][17]。『シヴァ・サンヒター』で言及げんきゅうされているチャクラのいろ金色きんいろ[15]。『へびちから』でのいろ黄色おうしょく[15]
だい2のチャクラ
スワーディシュターナ・チャクラsvādhişţhāna-cakra)とばれ、陰部いんぶにある。「スヴァ・アディシュターナ」は「みずからの住処すみか」を意味いみする。立川たちかわ武蔵むさしによると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統でんとうてきなチャクラのでは、しゅろく花弁はなびらゆうし、みず元素げんそのシンボルである三日月みかづきえがかれている[20]。『シヴァ・サンヒター』で言及げんきゅうされているチャクラのいろ金色きんいろ[15]。『へびちから』でのいろしろ[15]
だい3のチャクラ
マニプーラ・チャクラmaņipūra-cakra)とばれ、腹部ふくぶほぞのあたりにある。「マニプーラ」とは「宝珠ほうしゅ都市とし」という意味いみである。立川たちかわ武蔵むさしによると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統でんとうてきなチャクラのでは、あおい10よう花弁はなびらをもち、元素げんそあらわあか三角形さんかっけいがある[21]。『シヴァ・サンヒター』で言及げんきゅうされているチャクラのいろ黄金おうごんしょく[15]。『へびちから』でのいろあか[15]
だい4のチャクラ
アナーハタ・チャクラanāhata-cakra)とばれ、むねにある。立川たちかわ武蔵むさしによると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統でんとうてきなチャクラのでは、12よう金色きんいろ花弁はなびらをもつあか蓮華れんげとしてえがかれ、なかろくすすきぼしがある。ふう元素げんそ関係かんけいする。「アナーハタ」とは「ぶつうことなくしてはっせられる神秘しんぴてきおと」を[22]。『シヴァ・サンヒター』で言及げんきゅうされているチャクラのいろ真紅しんく[15]。『へびちから』でのいろけむりしょく[15]
だい5のチャクラ
ヴィシュッダ・チャクラviśuddha-cakra)とばれ、のどにある。虚空こくうアーカーシャ)の元素げんそ関係かんけいがある。「ヴィシュッダ・チャクラ」は「清浄せいじょうなる」を意味いみする[23]。『シヴァ・サンヒター』で言及げんきゅうされているチャクラのいろ黄金おうごんしょく[15]。『へびちから』でのいろしろ[15]
だい6のチャクラ
アージュニャー・チャクラājñā-cakra)とばれ、眉間みけんにある。インドじんはこの部位ぶいビンディをつける。「アージュニャー」は「きょうれいきょうみことのり」を意味いみする。「」(マナス)と関係かんけいがある[24]。『シヴァ・サンヒター』で言及げんきゅうされているチャクラのいろ白色はくしょく[15]
だい7のチャクラ
サハスラーラsahasrāra)とばれ、頭頂とうちょうにある。sahasra は「せん」、ara は「」〔や〕。の6チャクラとはことなり身体しんたい次元じげん超越ちょうえつしているともかんがえられ[25]、チャクラのうちにかぞれられない[26]こともある。
その
アージュニャーの近傍きんぼうにマナス・チャクラとソーマ・チャクラ、ムーラーダーラとスワーディシュターナのあいだにヨーニシュターナがあるとされるが、これらは主要しゅようなチャクラにはかぞえられない[25]
20世紀せいきのヨーガ行者ぎょうじゃヨーゲシヴァラナンダは、おもな6チャクラにくわえてほぞうえのスールヤ・チャクラ(太陽たいようのチャクラ)とチャンドラ・チャクラ(つきのチャクラ)をげ、身体しんたいには8つのチャクラがあるとしている[27]

仏教ぶっきょう

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インドの後期こうき密教みっきょうのタントラ聖典せいてんでは、一般いっぱん主要しゅような3つのみゃくかんほぞ心臓しんぞうのどあたま眉間みけん)の4りんがあるとされた(よんりんさんみゃくせつ)。さい上位じょういはヒンドゥー・ヨーガのサハスラーラに相当そうとうする「ウシュニーシャ・カマラ」(いただき蓮華れんげ)または「マハースッカ・カマラ」(だいらく蓮華れんげ)である。の3つはほぞにある「変化へんか」(ニルマーナ・カーヤ)のチャクラ、心臓しんぞうにある「ほう」(ダルマ・カーヤ)のチャクラ、のどにある「受用じゅよう」(サンボーガ・カーヤ)のチャクラであり、仏身ぶっしん三身みつみ対応たいおうしている[28]。『どきタントラ』はこのよんりん頭頂とうちょう秘密ひみつしょ性器せいき基部きぶ相当そうとう)のチャクラをくわえたろくりんろくみゃくせつをとる[29]

平岡ひらおか宏一こういちは、チベット仏教ぶっきょう無上むじょう瑜伽ゆがタントラの5つのチャクラとしてだいらく頭頂とうちょう)、受用じゅようのど)、法輪ほうりんむね)、変化へんかほぞ)、まもりらく秘密ひみつしょ)をげている[30]平岡ひらおかによると、ゲルク解釈かいしゃくでは、チャクラは中央ちゅうおうみゃくかん左右さゆうみゃくかんからみついている位置いちにあり、たてびる中央ちゅうおうみゃくかんみきとしてえだのようによこひろがるみゃくかんくさむらしているとされる[31]。チベット仏教ぶっきょう指導しどうしゃであるダライ・ラマ14せいは、その場所ばしょしん集中しゅうちゅうするとなにかしらがあるという反応はんのうられるとべている[32]

仏教ぶっきょうゾクチェンのラマであるナムカイ・ノルブの説明せつめいによれば、チャクラは樹木じゅもくじょう枝分えだわかれしたみゃくかんスポークじょうになった合流ごうりゅうポイントである。主要しゅようなチャクラは樹木じゅもくみきにあたる中央ちゅうおうみゃくかんじょうにあるが、ほかにもおおくのチャクラがある[33]。そして、タントラによってチャクラのかずことなるのは一貫いっかんせいけているわけではなく、基本きほんてきなプラーナのシステムの概念がいねん共通きょうつうしており、さまざまなタントラの修行しゅぎょうにおいてそれぞれにことなったチャクラを使つかうため、それぞれのテキストでは必要ひつようなチャクラだけがかれているのだという[34]

仏教ぶっきょう学者がくしゃ田中たなか公明こうめいは、後期こうき密教みっきょう生理学せいりがくてきなチャクラせつ源流げんりゅうとして『だい日経にっけい』にかれるいむかんげている。これは身体しんたいの5箇所かしょ五大ごだい対応たいおうする5つのたねはいする観法かんぽうで、行者ぎょうじゃ身体しんたい五輪ごりんとう意義いぎをもつものである。田中たなかによると、いむかん密教みっきょう身体しんたいろんてき思想しそう萌芽ほうがであり、精神せいしん集中しゅうちゅうさせる重要じゅうようなポイントが身体しんたいにあるという発想はっそう契機けいきとなった[35]

中国ちゅうごく

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中国ちゅうごく道家みちやうちじゅつ伝統でんとうてき身体しんたいろんには、インドのチャクラにすべき丹田たんでんという概念がいねんがあるが、きよしだいの閔小うしとらはヨーガのチャクラの概念がいねんうちじゅつれた[36]

欧米おうべい日本にっぽん

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きん現代げんだい虹色にじいろチャクラせつのチャクラのいろ場所ばしょ[37]現代げんだいのヨーガ教本きょうほんレイキなどでも採用さいようされている[38]

チャクラの概念がいねん欧米おうべい紹介しょうかいされた。近代きんだいかみ智学ちがくチャールズ・ウェブスター・レッドビータ(1854ねん - 1934ねん)は、ヨーガ修行しゅぎょうでチャクラが覚醒かくせいしたと主張しゅちょうし、1927ねんに『THE CHAKRAS』をいた[39]加藤かとう有希子ゆきこによると、レッドビータがはじめてにじ、つまり太陽たいようのスペクトルの7しょくかくチャクラのプラーナのいろすみれあおみどり、オレンジ、真紅しんく、これらを統合とうごうしたバラ色ばらいろとされている)を関連付かんれんづ[* 4][41]オーラ体系たいけいした[42]。『THE CHAKRAS』では、近代きんだい神智しんちがく創始そうししゃヘレナ・P・ブラヴァツキーの『シークレット・ドクトリン』3かん452ページを参照さんしょうせよとあるが、そこにチャクラといろかんする記述きじゅつられない[43]かれはチャクラを『ヨーガ・スートラ』とはなし、にじ信仰しんこう伝統でんとうてきな「西洋せいよう起源きげん宇宙うちゅうろんてき契約けいやくろんてき信仰しんこう」ともはなし、西洋せいよう神秘しんぴ主義しゅぎてきかれ以前いぜん近代きんだい神智しんちがくともことなるかたちで、チャクラとにじの7しょくむすびつけ、システマティックな身体しんたいろんにまとめた[10][11]

レッドビータの虹色にじいろチャクラせつは、ニューエイジやオーラソーマなどのカラーセラピーの原点げんてん親和しんわするようなものだった[10]かれのチャクラ・オーラ概念がいねん西洋せいようオカルティズム、ニューエイジにも導入どうにゅうされた。ニューエイジけい人々ひとびとのなかにはオーラ生体せいたい発散はっさんするとされる霊的れいてき放射ほうしゃたい)はチャクラからしょうずるとかんがえるひともいる[38]欧米おうべいヨーガレイキ[44]などのエネルギー療法りょうほう手当てあ療法りょうほう日本にっぽんしん宗教しゅうきょう桐山きりやま靖雄やすお阿含宗あごんしゅう[45]オウム真理教おうむしんりきょう[46]たまこう神社じんじゃ本山もとやまひろし主宰しゅさい宗教しゅうきょう心理しんりがく研究所けんきゅうじょ[47]など)にもれられている。オウム真理教おうむしんりきょうはチャクラの位置いち電位でんい測定そくていするなどしてチャクラの存在そんざい科学かがくてき証明しょうめいしようとしていた[48]

チャクラ宗教しゅうきょうにおける後光ごこうなどはあくまで象徴しょうちょう・レトリックであり、伝統でんとうてきにそれが物質ぶっしつてきなにであるかがろんじられることはなかった[49]初期しょきのオーラ論者ろんしゃたちはオーラ霊的れいてきちから物質ぶっしつてき裏付うらづけをあたえようとし、レッドビータはプラーナ虹色にじいろであるとし、当時とうじ生理学せいりがく物理ぶつりがく使つかってチャクラやオーラ現象げんしょう物質ぶっしつ世界せかい現象げんしょうむすびつけてろんじることで、オーラとチャクラの概念がいねん物質ぶっしつし、スピリチュアルでありかつマテリアルである[* 5]かんがえる傾向けいこうをもたらした[49]現在げんざいもチャクラを実在じつざいするとかんがえ、現実げんじつ肉体にくたいにおける内分泌腺ないぶんぴつせんなどと霊的れいてき直結ちょっけつし、それぞれの宇宙うちゅう次元じげん[よう追加ついか記述きじゅつ]にも対応たいおうしているとかんがえるひともいる[51]

チャクラは霊的れいてき肉体にくたいにあり、通常つうじょう人間にんげんにはえないが、開花かいかしたチャクラ[よう追加ついか記述きじゅつ]れいにより花弁はなびらじょうえるとされ、チャクラを開花かいかさせる[よう追加ついか記述きじゅつ]とそれぞれのチャクラの性質せいしつおうじた能力のうりょく発揮はっきできるようになるとわれることもある[51]。「仙骨せんこつあかオレンジ、セクシュアリティやバイタリティとかかわっている」というように、もっともらしくかんじられるようないろがそれぞれの能力のうりょくにあてはめられている[52]非常ひじょうかりやすく、色彩しきさいろんにおけるはん知性ちせい主義しゅぎともいえるような言説げんせつである[52]加藤かとう有希子ゆきこは、げられる能力のうりょくは「人間にんげん総体そうたいてき能力のうりょくというより、高度こうど消費しょうひ社会しゃかい住人じゅうにんきるのに必要ひつよう能力のうりょく限定げんていされている」と指摘してきしている[52]

加藤かとうは、20世紀せいき初頭しょとうのオーラろん人種じんしゅ差別さべつ女性じょせい蔑視べっし病気びょうき障害しょうがいひとへの差別さべつ温床おんしょうになっていたが、レッドビータのせつはそれらとはおおきくことなり、すべての人間にんげんが7しょくのオーラをつとすることでグローバル・ポストコロニアルはかられており[53]、また世界せかいではなく個人こじんにじの7しょくちそれを掌握しょうあくするとかんがえることで個人こじん神格しんかく[54]帰結きけつしているとべている。かれ思想しそうはのちのニューエイジ自己じこ啓発けいはつの「高度こうど消費しょうひ社会しゃかいキッチュ」にちか言説げんせつ[43]問題もんだい意識いしきはグローバルなものであり、ニューエイジ思想しそう成立せいりつおおきな影響えいきょうあたえたとわれている[55]

現代げんだいではチャクラやオーラろんは、あたらしい治癒ちゆのトポロジーになり、セラピーや健康けんこう維持いじとして消費しょうひされている[11]

註釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 『ヨーガプラディーピカー』(18世紀せいき[1])の写本しゃほん挿絵さしえ(1830ねんだいえい図書館としょかん所蔵しょぞう[2])。
  2. ^ チベット文字もじའཁོར་ལོ་ワイリー方式ほうしき’khor lo.
  3. ^ 成立せいりつ年代ねんだいは15世紀せいき[1]とも17-18世紀せいき[12]とも。
  4. ^ レッドビータは正確せいかくには太陽たいようのスペクトルとはことなるとしているが、加藤かとう有希子ゆきこは「実際じっさいにはこの色彩しきさい配列はいれつ太陽たいようのスペクトルのそれであることはあきらかである」とべている。[40]
  5. ^ 「スピリチュアル・マテリアリズム」はニューエイジに特徴とくちょうてきられ、西洋せいよう物心ぶっしん二元論にげんろん伝統でんとうとは矛盾むじゅんする概念がいねん。ウーター・ハーネフラーフによると「精神せいしんてきゆたかさが物質ぶっしつてきゆたかさに直結ちょっけつする」、よりはしてきうと「精神せいしん物質ぶっしつする」というかんがえである。「せの法則ほうそく」など、ニューエイジや自己じこ啓発けいはつかんする文脈ぶんみゃく散見さんけんされる[50]

出典しゅってん

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参照さんしょう文献ぶんけん

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関連かんれん文献ぶんけん

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  • しまいわやく『ジュニャーネーシュヴァリー (4-6しょう)』金沢大学かなざわだいがく文学部ぶんがくぶ比較ひかく文化ぶんか研究けんきゅうしつ金沢大学かなざわだいがくアジア宗教しゅうきょう文化ぶんか叢書そうしょ だい1かん だい2ごう〉、2007ねん3がつ 
  • しまいわやくじゅうろくニティヤー女神めがみうみ金沢大学かなざわだいがく文学部ぶんがくぶ比較ひかく文化ぶんか研究けんきゅうしつ金沢大学かなざわだいがくアジア宗教しゅうきょう文化ぶんか叢書そうしょ だい2かん〉、2007ねん3がつ 
  • スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ『たましい科学かがく木村きむらとししんやくたま出版しゅっぱん、2013ねんISBN 978-4-88481-110-5  旧版きゅうばん木村きむら一雄かずおやく、1984ねん

関連かんれん項目こうもく

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