コエンドロの地上 ちじょう 部 ぶ
コエンドロの花 はな
コリアンダー (英 えい : coriander ; 学名 がくめい : Coriandrum sativum )は、セリ科 か コエンドロ属 ぞく の一 いち 年 ねん 草 くさ である。日本 にっぽん には10世紀 せいき ごろに渡来 とらい した。日本 にっぽん においては、英語 えいご 由来 ゆらい のコリアンダーのほか、和名 わみょう のコエンドロ (胡 えびす 荽 )、タイ語 ご 由来 ゆらい のパクチー 、中国 ちゅうごく 語 ご 由来 ゆらい のシャンツァイ (香菜 かな )などと呼 よ ばれる。癖 くせ のある香 かお りと風味 ふうみ があり、古 ふる くからタイ や中国 ちゅうごく など世界 せかい 各地 かくち で広 ひろ く食用 しょくよう (野菜 やさい および香辛料 こうしんりょう )とされている。エスニック料理 りょうり には欠 か かせないハーブ の一種 いっしゅ に数 かぞ えられ、葉 は だけではなく結実 けつじつ した種子 しゅし もスパイス に使 つか う。
リンネ の『植物 しょくぶつ の種 たね 』(1753年 ねん ) で記載 きさい された植物 しょくぶつ の一 ひと つである[3] 。
属 ぞく 名 めい はラテン語 らてんご から(下記 かき 参照 さんしょう )。種 たね 小名 しょうみょう sativum はラテン語 らてんご で「栽培 さいばい 種 しゅ の」といった意味 いみ である。
和名 わみょう 「コエンドロ 」は鎖国 さこく 前 まえ の時代 じだい にポルトガル語 ご (coentro ) から入 はい った古 ふる い言葉 ことば である。「コスイ 」「コニシ 」はコエンドロが用 もち いられる以前 いぜん の呼称 こしょう である。江戸 えど 時代 じだい の『農業 のうぎょう 全書 ぜんしょ 』(1697年 ねん )には、胡 えびす 荽を「こずい」と読 よ ませており、南蛮 なんばん の語 かたり に「こえんとろ」というとあり、薬効 やっこう を述 の べている。また、カメムシ とよく似 に た独特 どくとく の匂 にお いのため、別名 べつめい 「カメムシソウ」と呼 よ ばれることもある[4] [5] 。中国 ちゅうごく 植物 しょくぶつ 名 めい は「芫荽」[1] 、漢 かん 名 めい では「香 こう 荽」「芝 しば 茜 あかね 」とも書 か かれる。
一般 いっぱん には、英語 えいご に従 したが って、果実 かじつ や葉 は を乾燥 かんそう したものを香辛料 こうしんりょう として「コリアンダー 」(英語 えいご : coriander )と呼 よ ぶほか、1990年代 ねんだい ごろから、エスニック料理 りょうり 店 みせ の増加 ぞうか とともに、生食 なましょく する葉 は を指 さ して「パクチー 」(タイ語 ご : ผักชี )と呼 よ ぶことが多 おお くなった。
また、中華 ちゅうか 料理 りょうり に使 つか う中国語 ちゅうごくご 由来 ゆらい で生 なま 菜 さい を「シャンツァイ 」(中国 ちゅうごく 語 ご : 香菜 かな ; 拼音 : xiāngcài )と呼 よ ぶこともあり、日本 にっぽん でもコウサイ とよばれていた。中華 ちゅうか 料理 りょうり にも使 つか われることから、俗 ぞく に「中国 ちゅうごく パセリ 」(英語 えいご : Chinese parsley )とも呼 よ ばれるが、パセリ とは別 べつ の植物 しょくぶつ である。中国 ちゅうごく へは張 ちょう 騫 が西域 せいいき から持 も ち帰 かえ ったとされ[注 ちゅう 1] 、李 り 時 じ 珍 めずらし の『本草 ほんぞう 綱目 こうもく 』には「胡 えびす 荽」(こすい)の名 な で記載 きさい がある。
英名 えいめい コリアンダー(coriander )は属 ぞく 名 めい にもなっているラテン語 らてんご のコリアンドルム(coriandrum )から変化 へんか した仏 ふつ 名 めい コリアンドル(coriandre )に由来 ゆらい し、さらに古代 こだい ギリシア語 ご コリアノン(κορίαννον 〈koriannon 〉)へ遡 さかのぼ る。後者 こうしゃ の原語 げんご を指 さ して「ギリシア語 ご でカメムシを意味 いみ する[11] 」などと紹介 しょうかい されることが非常 ひじょう に多 おお いが、これは誤 あやま りで、コリアノン(κορίαννον )もまた「コリアンダー」を指 さ す言葉 ことば である。
ギリシア古名 こみょう コリアノン(κορίαννον )自体 じたい の語源 ごげん については、キャラウェイ またはクミン [注 ちゅう 2] を意味 いみ する καρώ /κάρον (karō /karon ) の関連 かんれん 語 ご だとする[12] 考察 こうさつ がある一方 いっぽう 、「匂 にお いがカメムシに似 に ている[13] 」として、近 きん 縁 えん で類似 るいじ の臭気 しゅうき をもつトコジラミ (南京虫 なんきんむし )を意味 いみ するギリシア語 ご のコリス(κόρις 〈koris 〉)と、アニスの実 み の意味 いみ を持 も つアノン(Annon)に関連 かんれん づけられることも多 おお い。
その他 た 、各国 かっこく 語 ご の名称 めいしょう については#葉 は も参照 さんしょう のこと。
原産地 げんさんち ・主 しゅ 産地 さんち [ 編集 へんしゅう ]
南 みなみ ヨーロッパ 、地中海 ちちゅうかい 東部 とうぶ 沿岸 えんがん から小 しょう アジア の原産 げんさん 。
世界 せかい 各地 かくち で栽培 さいばい されており、主 しゅ 産地 さんち はロシア からヨーロッパ・イスラエル にかけてのユーラシア 一帯 いったい 、中国 ちゅうごく 、インド 、インドネシア やマレーシア などの東南 とうなん アジア 、中南米 ちゅうなんべい のグアテマラ ・アルゼンチン ・メキシコ 、北米 ほくべい のアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく およびカナダ などである。
日本 にっぽん でも栽培 さいばい 農家 のうか がある[15] 。
一 いち 年 ねん 性 せい 草本 そうほん 。高 たか さ30 - 60センチメートル (cm) ほどに伸 の びて、大 おお きなもので90 cmくらいになり、左右 さゆう には20 - 30 cmほど広 ひろ がる。茎 くき の断面 だんめん は円形 えんけい で、縦 たて に筋 すじ がある。根 ね 出 で 葉 は には葉柄 ようへい があり、2 - 3回 かい 羽 はね 状 じょう 複葉 ふくよう で、小 しょう 葉 は は卵 たまご 形 がた で切 き り欠 か きがある。根元 ねもと に近 ちか い葉 は は幅広 はばひろ く浅 あさ い切 き れ込 こ みがあり、頂 いただき 上部 じょうぶ の葉 は は隙間 すきま の広 ひろ い羽 はね 状 じょう で細 こま かい切 き れ込 こ みが入 はい って糸状 いとじょう に細 ほそ くなる。花茎 かけい の葉 は は葉柄 ようへい が短 みじか く、線形 せんけい に分 わ かれている。葉 は や茎 くき に鼻 はな を刺激 しげき する独特 どくとく の芳香 ほうこう がある。
花期 かき は夏 なつ (7 - 8月 がつ )ころ。白 しろ から淡紅 あわべに 色 しょく の小 しょう 花 はな を散 ち 状 じょう に咲 さ かせる。散 ち 形 かたち 花序 かじょ は総 そう 苞 つと を欠 か き、花序 かじょ は全体 ぜんたい 的 てき に6 - 9個 こ の小 しょう 散 ちら からなり、小 しょう 散 ち には5 - 10個 こ の花 はな がつく。花 はな 径 みち は6ミリメートル (mm) ほどで、花弁 はなびら は5枚 まい つき、花序 かじょ の周辺 しゅうへん の3枚 まい は大形 おおぎょう になる。
花 はな 後 ご はやがて熟 な れて緑色 みどりいろ になり、秋 あき に球形 きゅうけい の茶色 ちゃいろ い果実 かじつ を実 みの らせる。果実 かじつ は直径 ちょっけい 3 - 4ミリメートル (mm) の球形 きゅうけい で、表面 ひょうめん に粗 あら い筋 すじ がある。果実 かじつ は2分 ふん 果 はて が付着 ふちゃく して球形 きゅうけい になっているが、分 ぶん 果 はて は分離 ぶんり しにくい。熟 じゅく した果実 かじつ には柑橘類 かんきつるい とセージ を合 あ わせたような独特 どくとく の香 かお りがある。
カメムシとも形容 けいよう される特異 とくい な臭 くさ いは、地上 ちじょう 部 ぶ の茎葉 けいよう や未熟 みじゅく 果 はて に含 ふく まれるカプリンアルデヒド という成分 せいぶん に由来 ゆらい する。コリアンダーの主 おも な精油 せいゆ 成分 せいぶん はリナロール で、その他 た にピネン 、テルピネン 、シメン 、ゲラニオール などを含 ふく んでいる。果実 かじつ が未熟 みじゅく なうちは、茎葉 けいよう と同様 どうよう にカメムシ様 さま の臭気 しゅうき があるが、成熟 せいじゅく するに従 したが ってリナロールの快 こころよ い香 かお りへと変化 へんか する。
俗 ぞく にノコギリコリアンダーと呼 よ ばれる、東南 とうなん アジアや中南米 ちゅうなんべい でコエンドロと同様 どうよう に香味 こうみ 野菜 やさい として用 もち いられているオオバコエンドロ (Eryngium foetidum 、タイ語 ご : ผักชีฝรั่ง パクチー・ファラン、スペイン語 ご : culantro クラントロ)は、セリ科 か ヒゴタイサイ属 ぞく に属 ぞく する熱帯 ねったい アメリカ原産 げんさん の別 べつ の植物 しょくぶつ である。オオバコエンドロにもコエンドロと同 おな じような香 かお りがある。
3000年 ねん 以上 いじょう 前 まえ から使用 しよう されており、記録 きろく としては紀元前 きげんぜん 1550年 ねん ごろの『テーベの医学 いがく パピルス 』やサンスクリット語 ご の書物 しょもつ に料理 りょうり 法 ほう や薬用 やくよう について記載 きさい があり、旧約 きゅうやく 聖書 せいしょ にも登場 とうじょう する。古代 こだい エジプト ではすでに栽培 さいばい されており、プリニウス の『博物 はくぶつ 誌 し 』には、最 もっと も良 よ い品質 ひんしつ のコリアンダーはエジプト 産 さん という記述 きじゅつ がある。古代 こだい エジプトでは、調理 ちょうり や医療 いりょう に用 もち いられていた。古代 こだい ギリシャ や古代 こだい ローマ でも、特 とく によく用 もち いられた薬草 やくそう の一 ひと つであり、「医学 いがく の父 ちち 」とよばれるヒポクラテス も健 けん 胃 い ・睡眠 すいみん 作用 さよう の薬効 やっこう を挙 あ げている。古代 こだい ローマの医師 いし ディオスコリデス は、コリアンダーが男性 だんせい の性能 せいのう 力 りょく を高 たか めるようだと記 しる した。またエジプトでは、紀元前 きげんぜん 1000年 ねん ごろからコエンドロと亡骸 なきがら をいっしょに墓 はか に葬 ほうむ る習慣 しゅうかん があった[19] 。
中国 ちゅうごく へは前漢 ぜんかん の武 たけ 帝 みかど (紀元前 きげんぜん 141 - 87年 ねん )のころ、西域 せいいき から伝 つた えられている。中国 ちゅうごく では不老不死 ふろうふし の妙薬 みょうやく と考 かんが えられ、中世 ちゅうせい ヨーロッパや『千 せん 夜 や 一夜 いちや 物語 ものがたり 』の記述 きじゅつ では、恋 こい をかなえる秘薬 ひやく の成分 せいぶん (媚薬 びやく )としても用 もち いられた。イギリス (グレートブリテン島 とう )へは、青銅器 せいどうき 時代 じだい に侵攻 しんこう したローマ人 じん からもたらされ、粥 かゆ の風味 ふうみ づけや、クミン や酢 す と混 ま ぜて肉 にく の保存 ほぞん に使 つか われた。
古代 こだい の地中海 ちちゅうかい 沿岸 えんがん 地域 ちいき ではコリアンダーを料理 りょうり に使 つか ったが、中世 ちゅうせい に入 はい り、ヨーロッパへ東洋 とうよう の異国 いこく 情緒 じょうちょ ある香辛料 こうしんりょう が伝 つた わるようになると、コリアンダーの人気 にんき は下火 したび になった。中南米 ちゅうなんべい には、16世紀 せいき スペインの征服 せいふく 者 しゃ によって伝 つた えられ、中南米 ちゅうなんべい 料理 りょうり に使 つか われるようになった。アメリカへは17世紀 せいき 初頭 しょとう にイギリスからの最初 さいしょ の移住 いじゅう 者 しゃ が伝 つた えたとされ、好 この んで栽培 さいばい された[19] 。この時代 じだい のフランス では、コリアンダーの蒸留酒 じょうりゅうしゅ も作 つく られている。現代 げんだい においては、熱帯 ねったい や亜熱帯 あねったい のほとんどの地域 ちいき で栽培 さいばい されるようになった。
日本 にっぽん へは10世紀 せいき 以前 いぜん に中国 ちゅうごく から伝 つた えられたと考 かんが えられており、平安 へいあん 時代 じだい 中期 ちゅうき の『延喜 えんぎ 式 しき 』(927年 ねん )に供奉 ぐぶ の記載 きさい があり、『和名 わみょう 抄 しょう 』(930年代 ねんだい ごろ)には古 こ 仁志 にし (こにし)の古名 こみょう が見 み られ、日本 にっぽん 現存 げんそん 最古 さいこ の本草 ほんぞう 書 しょ 『本草 ほんぞう 和名 わみょう 』(918年 ねん )にも記載 きさい がある。『延喜 えんぎ 式 しき 』『和名 わみょう 抄 しょう 』などに朝廷 ちょうてい 料理 りょうり で生魚 なまざかな を食 た べる際 さい に必 かなら ず用 もち いる薬味 やくみ として記載 きさい がある。江戸 えど 時代 じだい の貝原 かいばら 益軒 えきけん の『農業 のうぎょう 全書 ぜんしょ 』や、本草学 ほんぞうがく 者 しゃ 小野 おの 蘭山 あららぎやま の『重 じゅう 修 おさむ 本草 ほんぞう 綱目 こうもく 』にも記述 きじゅつ がある。
現在 げんざい では、ロシア 、東欧 とうおう 諸国 しょこく 、モロッコ 、アルゼンチン 、インド 、中国 ちゅうごく 、タイ などの東南 とうなん アジア地域 ちいき などにも広 ひろ がって栽培 さいばい されている。
冬期 とうき を除 のぞ いてほぼ周年 しゅうねん 植 う え付 つ け、収穫 しゅうかく ができる。播種 はしゅ から開花 かいか までの日数 にっすう は、春 はる まきで約 やく 90日 にち 、初夏 しょか まきで約 やく 60日 にち 、秋 あき まきでは開花 かいか しない。また、夏 なつ まきでは開花 かいか するが、高温 こうおん のため結実 けつじつ しない。葉 は を利用 りよう するときは、播種 はしゅ から約 やく 6週間 しゅうかん 後 ご に収穫 しゅうかく できるようになる。香辛料 こうしんりょう として種子 しゅし をとる場合 ばあい は、春 はる まきにするとよい。暑 あつ さと寒 さむ さにはさほど強 つよ くない性質 せいしつ があり、発芽 はつが にはある程度 ていど の高温 こうおん が必要 ひつよう で、発芽 はつが 適温 てきおん は昼間 ひるま 27度 ど 、夜間 やかん が22度 ど がよいといわれている。コリアンダーは水 みず はけが悪 わる く常 つね に湿度 しつど が高 たか い環境 かんきょう を嫌 きら う性質 せいしつ がある。そのため日当 ひあ たりが良 よ く、水 みず はけの良 よ い土壌 どじょう を選 えら んで栽培 さいばい する。また、乾燥 かんそう にも弱 よわ いため、土 ど が乾 かわ きすぎないように水 みず やりの管理 かんり を行 おこな う。
直 ちょく 根性 こんじょう で移植 いしょく を嫌 きら うため、ふつう春 はる に種 たね を直播 じかま きする。暖地 だんち では秋 あき まきも可能 かのう である。夜間 やかん の気温 きおん が7度 ど 以下 いか に下 さ がらない条件下 じょうけんか で屋外 おくがい に種蒔 たねま きすると、2 - 3週間 しゅうかん ほどで発芽 はつが する。苗 なえ をつくる場合 ばあい は、セルトレーに種 たね をまき、双葉 ふたば が出 で たら間引 まび いて本 ほん 葉 は 3 - 4枚 まい の苗 なえ に仕上 しあ げてから畑 はたけ に植 う え付 つ ける。育苗 いくびょう 箱 ばこ で筋 すじ まきして、双葉 ふたば が出 で たら1本 ほん ずつ掘 ほ り上 あ げて育苗 いくびょう ポット に移植 いしょく する方法 ほうほう もあり、本 ほん 葉 は 4 - 5枚 まい になったら株間 かぶま 30センチメートル (cm) 間隔 かんかく で畑 はたけ に定植 ていしょく する。プランターで栽培 さいばい もでき、ポットに種子 しゅし をまいて18度 ど 前後 ぜんこう に保 たも つと、5 - 10日 とおか ほどで発芽 はつが する。葉 は を収穫 しゅうかく する目的 もくてき であれば約 やく 5 cm間隔 かんかく で、また種子 しゅし を採集 さいしゅう する目的 もくてき であれば多少 たしょう のスペースが必要 ひつよう で約 やく 20 cmの間隔 かんかく で間 あいだ 引 び きをする。水 みず は好 この む性質 せいしつ のため、表土 ひょうど が乾 かわ いたらたくさん水 みず を与 あた えるようにするが、水切 みずぎ れするとその後 ご の生育 せいいく は悪 わる くなる。
草丈 くさたけ が20 - 25 cmくらいになったら葉 は の収穫 しゅうかく 期 き となる。播種 はしゅ から30 - 40日 にち ほどたつと葉 は を収穫 しゅうかく することができるようになるが、葉 は は保存 ほぞん が利 き かないため、利用 りよう する都度 つど 収穫 しゅうかく するようにする。花 はな をつけ始 はじ めるようになると、葉 は や茎 くき が固 かた くなってしまうため、葉 は の食 しょく 感 かん が良 よ い若葉 わかば のうちに摘 つ み取 と るようにする。根 ね ごと抜 ぬ いて収穫 しゅうかく してもよい。
スパイスにもなる種子 しゅし は夏 なつ 以降 いこう に収穫 しゅうかく できるようになり、実 み が熟 じゅく して株 かぶ の上部 じょうぶ が重 おも くなったら、茎 くき が弱 よわ いので支柱 しちゅう を立 た てておく。果実 かじつ が黄 き 褐色 かっしょく に熟 じゅく したら、種子 しゅし が飛 と び散 ち りやすくなっているので、早朝 そうちょう か夕方 ゆうがた 遅 おそ くに茎 くき ごと刈 か り取 と って収穫 しゅうかく し、十分 じゅうぶん 乾燥 かんそう してから袋 ふくろ などに入 い れて保存 ほぞん する。収穫 しゅうかく が遅 おく れると果皮 かひ が黒褐色 こっかっしょく になり、香 かお りも悪 わる くなる。
病気 びょうき はほぼ問題 もんだい ないが、気温 きおん が高 たか くなり乾燥 かんそう してくると、アブラムシ やハダニ がつく場合 ばあい がある。
花色 はないろ で白色 はくしょく のものと紅紫 こうし 色 しょく のものがある。また、果実 かじつ の大 おお きさで大粒 おおつぶ 系 けい (果実 かじつ 径 みち 3 - 5 mm)と小粒 こつぶ 系 けい (1.5 - 3 mm)がある。大粒 おおつぶ 系 けい は、小粒 こつぶ 系 けい のものと比 くら べて発芽 はつが や開花 かいか が早 はや く、茎葉 けいよう も大 おお きくなる。また小粒 こつぶ 系 けい は、大粒 おおつぶ 系 けい よりも精油 せいゆ 含有 がんゆう 量 りょう の割合 わりあい が高 たか いという特徴 とくちょう がある。
大粒 おおつぶ 系 けい の栽培 さいばい 地域 ちいき は、モロッコ 、インド などの熱帯 ねったい や亜熱帯 あねったい 地域 ちいき で、小粒 こつぶ 系 けい はロシア 、東欧 とうおう 、中 ちゅう 欧 おう などで栽培 さいばい される。
サワディパクチー - 葉 は が比較的 ひかくてき 小 ちい さく、色 いろ がやや淡 あわ いが香 かお りは強 つよ い。サラダや添 そ え物 もの 、エスニック料理 りょうり に利用 りよう される。果実 かじつ はレモンに似 に た芳香 ほうこう がある。
サバイパクチー - 一般 いっぱん のコリアンダーよりも茎 くき が太 ふと く、晩 ばん 抽性で耐 たい 暑 あつ 性 せい がある。葉 は は色濃 いろこ く、香 かお りは中 ちゅう 程度 ていど で、えぐみが少 すく ない。サラダや添 そ え物 もの のほか、スープやジュースにも向 む く。
ナリーパクチー - 葉 は の形 かたち が細 ほそ いのが特徴 とくちょう で、やわらかな食 しょく 感 かん で、爽 さわ やかな香 かお りがあり食 た べやすい。サラダにも向 む いている。
コリアンダーは料理 りょうり にも薬 くすり にも用 もち いられている重要 じゅうよう なハーブ として知 し られ、アジア 、インド 、メキシコ 、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく テキサス州 しゅう 、中国 ちゅうごく 、アフリカ 、南米 なんべい 、スカンジナビア など、世界中 せかいじゅう の様々 さまざま な地域 ちいき の料理 りょうり で使 つか われる[24] 。種 たね ・葉 は ・茎 くき ・根 ね が利用 りよう され、新鮮 しんせん な葉 は と乾燥 かんそう した種子 しゅし が料理 りょうり で最 もっと も伝統 でんとう 的 てき に使 つか われる部分 ぶぶん である。風味 ふうみ は、葉 は ・茎 くき ・根 ね ・未熟 みじゅく 果 はて にクセのある強 つよ い香 かお り、熟 じゅく した果実 かじつ には柑橘類 かんきつるい 様 さま の甘 あま いスパイシーな香 かお りがある。果実 かじつ の水蒸気 すいじょうき 蒸留 じょうりゅう によって得 え られる精油 せいゆ は、レモン油 ゆ に似 に た柑橘 かんきつ 系 けい の香 かお りがあり、香料 こうりょう として広 ひろ く使 つか われている。
ヨーロッパでは種子 しゅし (果実 かじつ )の利用 りよう に限 かぎ られていて、独特 どくとく の風味 ふうみ がある葉 は は利用 りよう されていないが、中国 ちゅうごく や東南 とうなん アジアなどの地域 ちいき では葉 は を香辛料 こうしんりょう として利用 りよう する。どの部分 ぶぶん も食 しょく することができ、料理 りょうり に使 つか ったときに、葉 は と種子 しゅし では風味 ふうみ が異 こと なる。種子 しゅし はオレンジが混 ま じったような優 やさ しい香 かお りがあり、葉 は は個性 こせい 的 てき な特有 とくゆう の味 あじ わいとクセがある強 つよ い香 かお りを持 も っている。葉 は を香 こう 草 そう あるいは葉 は 菜 さい として料理 りょうり に使 つか うときは、開花 かいか 前 まえ の若 わか い葉 は が良 よ いとされる。また、煮込 にこ み料理 りょうり などでは茎 くき や根 ね も使用 しよう されることがある。葉 は が持 も っている独特 どくとく の香気 こうき を活 い かすために、調理 ちょうり の最後 さいご に加 くわ えるとよい。また、コリアンダーには消化 しょうか を促 うなが す作用 さよう がある。
中華 ちゅうか 料理 りょうり 、タイ料理 りょうり 、インド料理 りょうり 、ベトナム料理 りょうり 、メキシコ料理 りょうり 、ポルトガル料理 りょうり などに広 ひろ く用 もち いられ、葉 は ・茎 くき ・根 ね はタイやベトナム料理 りょうり には欠 か かせないハーブで、消化 しょうか 促進 そくしん 効果 こうか があるといわれている。また甘 あま い香 かお りの種子 しゅし は、幅広 はばひろ い料理 りょうり に使 つか われ、カレー粉 こ 、チリパウダー 、ガラムマサラ 、ベルベル などのブレンドスパイスにも使 つか われている。特 とく に合 あ わせると相性 あいしょう が良 よ いと言 い われている食材 しょくざい に、レンズマメ などの豆類 まめるい 、タマネギ 、ジャガイモ 、ソーセージ 、豚肉 ぶたにく 、シーフード 、仔 こ 羊 ひつじ のシチュー 、ペストリー が挙 あ げられている。
日本 にっぽん 料理 りょうり に用 もち いられる食材 しょくざい ではないため、日本 にっぽん 国内 こくない ではスーパーマーケットや百貨店 ひゃっかてん の地下 ちか 食品 しょくひん 売 う り場 ば や大型 おおがた 食材 しょくざい 店 てん でも入手 にゅうしゅ は困難 こんなん であった。しかし1990年代 ねんだい ごろからいわゆるエスニック料理 りょうり の店 みせ が増 ふ えるにつれて生 なま のコリアンダーの需要 じゅよう が増加 ぞうか し、栽培 さいばい が増 ふ えて入手 にゅうしゅ しやすくなっている。なお、タイ・ラオス料理 りょうり に、コリアンダーのみのサラダや大量 たいりょう に使用 しよう するような「パクチー料理 りょうり 」というものは存在 そんざい せず、あくまで薬味 やくみ として扱 あつか う事 こと が基本 きほん であるという[25] 。アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく では、コリアンダーが料理 りょうり に使 つか われる機会 きかい は少 すく ない。
コリアンダーの葉 は
葉 は は主 おも に薬味 やくみ として利用 りよう される。ピネン 、デカナール 、ノナナール 、リナロール [26] などに由来 ゆらい する独特 どくとく の風味 ふうみ があるため、人 ひと によって好 す き嫌 きら いが大 おお きく分 わ かれる。茎 くき 立 だ ち前 まえ の若 わか い苗 なえ の芳香 ほうこう は欧米 おうべい 人 じん や中国人 ちゅうごくじん に好 この まれ、台湾 たいわん 、東南 とうなん アジア、インドなどの地域 ちいき では常食 じょうしょく されている。ピネン などのモノテルペン 類 るい は蒸散 じょうさん しやすく、栄養 えいよう 価 か の点 てん では、生 せい の葉 は はL -アスコルビン酸 さん (ビタミンC )を比較的 ひかくてき 豊富 ほうふ に含 ふく み、β べーた -カロテンやビタミンB1 、B2 、E 、K 、食物 しょくもつ 繊維 せんい や、カルシウム 、カリウム といった栄養素 えいようそ が豊富 ほうふ である。「体内 たいない に蓄積 ちくせき された毒素 どくそ を排出 はいしゅつ するデトックス効果 こうか がある」とも言 い われるが、これは科学 かがく 的 てき に信頼 しんらい できる資料 しりょう に裏付 うらづ けられたものではない[29] 。
様々 さまざま な地域 ちいき で葉 は の香 かお りを生 い かした料理 りょうり に用 もち いられている。
調理 ちょうり 方法 ほうほう は、冷 ひや 菜 さい の飾 かざ りにしたり、スープ や炒 いた め物 ぶつ 、肉 にく 料理 りょうり や魚 さかな 料理 りょうり の臭 くさ み消 け しとしておかずに散 ち らしたりすることが多 おお い。代表 だいひょう 的 てき な料理 りょうり に、タイ料理 りょうり のトムヤムクン 、ベトナム料理 りょうり のフォー や生 なま 春巻 はるま き で生葉 いくは がそのまま食 しょく される。中国 ちゅうごく 料理 りょうり では、肉 にく の臭 くさ み消 け しの目的 もくてき で、マトン料理 りょうり のタレであるシュワンヤンロウ に細 こま かく刻 きざ んだ葉 は を入 い れる。
食用 しょくよう 以外 いがい では、カニ やエビ を食 た べた後 のち に手 て を洗 あら うフィンガーボウル に入 い れて臭 くさ い消 け しにする例 れい がある。
乾燥 かんそう や熱 ねつ に弱 よわ く風味 ふうみ が失 うしな われるため、保存 ほぞん する場合 ばあい はペーパータオルに包 つつ んでポリ袋 ぶくろ などに入 い れて冷蔵 れいぞう する。
コリアンダーの根 ね
コエンドロの根 ね は葉 は よりも深 ふか く、強 つよ い風味 ふうみ を有 ゆう し、様々 さまざま なアジア料理 りょうり 、特 とく にスープやカレーペースト といったタイ料理 りょうり で用 もち いられる。香 かお りの強 つよ い根 ね や茎 くき は、刻 きざ んで炒 いた め物 ぶつ や卵焼 たまごや き に使 つか われるときがある。煮込 にこ み料理 りょうり の風味 ふうみ を増 ま し、刻 きざ んで調味 ちょうみ 料 りょう のように使 つか われる。
果実 かじつ を乾燥 かんそう させたコリアンダーシード(コリアンダーホール)
種子 しゅし (植物 しょくぶつ 学 がく 上 じょう では果実 かじつ )を乾燥 かんそう させたものは主 おも にスパイス として利用 りよう され、そのままか、砕 くだ いて使 つか われる。ヨーロッパやインドでは香辛料 こうしんりょう としての利用 りよう も盛 さか んである。乾燥 かんそう したコエンドロの種子 しゅし (果実 かじつ )はコリアンダーシード やコリアンダーホール などともよばれ、すりつぶした粉末 ふんまつ はコリアンダーパウダー ともよばれている。葉 は とは全 まった く風味 ふうみ が異 こと なり、柑橘類 かんきつるい 、オレンジ 、アニス のような、あるいはレモン とセージ を合 あ わせたような香 かお りと表現 ひょうげん される。種子 しゅし は容易 ようい に砕 くだ くことができ、家庭 かてい でも挽 ひ いて粉末 ふんまつ にできるが、インドでは少 すこ し焙 あぶ 煎 せんじ して香 かお りを引 ひ き立 た ててから粉 こな に挽 ひ いている。
肉 にく ・卵 たまご ・豆 まめ 料理 りょうり などに広 ひろ く利用 りよう され、カレー はもとより、チャツネ 、ラタトゥユ 、サルサソース 、ピクルス 、ソーセージ に用 もち いられ、アップルパイ 、シフォンケーキ などお菓子 かし の風味 ふうみ づけにも使 つか われる。ベルギー では小麦 こむぎ ビールの醸造 じょうぞう に、中東 ちゅうとう では挽肉 ひきにく や卵 たまご 料理 りょうり 、豆 まめ の煮込 にこ み、ファラフェル に、また欧米 おうべい ではピクルスやマリネ 用 よう のスパイスとして使 つか われる。牛乳 ぎゅうにゅう や紅茶 こうちゃ と共 とも に入 い れて煮 に るという利用 りよう 法 ほう もある。ウォッカ やジン に漬 つ け込 こ み、果実 かじつ 酒 しゅ とすることもできる。
モロッコ 産 さん のものが多 おお く流通 りゅうつう しており、インド産 さん のものは香 かお りに甘味 あまみ がある。果実 かじつ の匂 にお いの主 おも な成分 せいぶん は葉 は の臭 くさ い成分 せいぶん とは異 こと なり、モノテルペン類 るい のd -リナロール である。品質 ひんしつ の評価 ひょうか は、粒 つぶ の大 おお きさあるいは、香 かお り成分 せいぶん のリナロール臭 しゅう の強弱 きょうじゃく によって決 き まり、一般 いっぱん に小粒 こつぶ のものが香味 こうみ が強 つよ い。使 つか うときは、同 おな じ甘 あま い芳香 ほうこう を持 も つスパイスとの併用 へいよう が効果 こうか 的 てき ともいわれ、相性 あいしょう のよい他 ほか のスパイスとして、アニス 、カルダモン 、クローブ 、シナモン 、ナツメグ 、セージ などが挙 あ げられている。
種子 しゅし を大量 たいりょう に摂取 せっしゅ すると、強 つよ い眠気 ねむけ に襲 おそ われるときがある。そのため、コリアンダーは dizzycorn (「めまいの実 み 」の意 い )ともよばれる。
9 - 10月 がつ ごろに黄 き 変 へん して熟 じゅく した果実 かじつ を採取 さいしゅ し、陰干 かげぼ ししたものをコリアンダーシード(コリアンダーシーズ:種子 しゅし の意 い )、または胡 えびす 荽子(こすいし)とよんで薬用 やくよう 部位 ぶい とする。中国 ちゅうごく 医学 いがく では全 ぜん 草 くさ の乾燥 かんそう 品 ひん である「胡 えびす 荽」(こすい)の性質 せいしつ を温 ゆたか 、辛 からし として生薬 きぐすり の一 ひと つともしている。胡 えびす 荽の名 な は、前漢 ぜんかん (紀元前 きげんぜん 2世紀 せいき - 紀元 きげん 後 ご 1世紀 せいき )のころに、中国 ちゅうごく の使節 しせつ が古代 こだい 中国 ちゅうごく 西方 せいほう の胡 えびす (現在 げんざい のイラン 北方 ほっぽう )から持 も ち帰 かえ ったことに由来 ゆらい する。
果実 かじつ に含 ふく まれる精油 せいゆ (デ・リナロール 、ピネーン 、ディペンテン 、テルピネン 、ピ・チモール 、フェランドレン など)は、胃液 いえき の分泌 ぶんぴつ を良 よ くし、腸 ちょう 内 ない ガスを排出 はいしゅつ する作用 さよう 、口 くち やのど粘膜 ねんまく を刺激 しげき して気道 きどう の粘液 ねんえき の分泌 ぶんぴつ を良 よ くして痰 たん を切 き る作用 さよう があると言 い われ、頭痛 ずつう の軽減 けいげん や消化 しょうか 不良 ふりょう の改善 かいぜん に役立 やくだ つとされている。ほのかなオレンジ様 さま の香 かお りは、アロママッサージ にも使 つか われ、不安 ふあん を取 と り除 のぞ いたりするのに使 つか われる。民間 みんかん 療法 りょうほう では、胃 い の調子 ちょうし が悪 わる いとき、食欲 しょくよく 不振 ふしん 、腸 ちょう 内 ない ガスでお腹 なか が張 は るとき、咳 せき 止 と めに、紅茶 こうちゃ にコリアンダーシード(胡 えびす 荽子)を3 - 5粒 つぶ 入 い れてかき混 ま ぜて、数 すう 分 ふん 後 ご おいてから飲 の む方法 ほうほう が知 し られている。
中国 ちゅうごく やベトナムでは、料理 りょうり に使 つか う茎葉 けいよう が香菜 かな 、芫菜(げんさい)としてよばれて用 もち いられているが、これは食欲 しょくよく 増進 ぞうしん と消化 しょうか を助 たす ける一種 いっしゅ の薬味 やくみ として、薬 くすり 食 しょく 同 どう 源 みなもと の考 かんが えに基 もと づいている。茎葉 けいよう の香 かお り成分 せいぶん には、食欲 しょくよく 不振 ふしん 、健 けん 胃 い ・整 せい 腸 ちょう 作用 さよう 、解毒 げどく 作用 さよう があり、緊張 きんちょう 感 かん やストレスの緩和 かんわ 、不眠 ふみん 解消 かいしょう に役立 やくだ つといわれている。
コエンドロは、鼓腸 こちょう 、関節 かんせつ 炎 えん 、リウマチ の治療 ちりょう に使 つか われてきた歴史 れきし を持 も ち、インドでは、強壮 きょうそう 剤 ざい 、咳 せき 止 ど めの薬 くすり の材料 ざいりょう として現代 げんだい においても広 ひろ く用 もち いられている。有益 ゆうえき な植物 しょくぶつ 栄養素 えいようそ や抗 こう 酸化 さんか 作用 さよう のある成分 せいぶん を含 ふく み、身体 しんたい から有害 ゆうがい な重金属 じゅうきんぞく や有害 ゆうがい 物質 ぶっしつ の排出 はいしゅつ に役立 やくだ つと考 かんが えられている。ただし「炎症 えんしょう を緩和 かんわ する」「気分 きぶん を落 お ち着 つ ける」「体内 たいない の毒素 どくそ を排泄 はいせつ する」などと言 い われているが、ヒト での有効 ゆうこう 性 せい について科学 かがく 的 てき に信頼 しんらい できるデータはない[29] 。
コエンドロの葉 は と種子 しゅし の精油 せいゆ はポリフェノール 類 るい とテルペン 類 るい を含 ふく む。リナロール がコエンドロの芳香 ほうこう と風味 ふうみ を司 つかさど る主要 しゅよう な成分 せいぶん である[34] 。青葉 あおば や未熟 みじゅく 果 はて が持 も っている悪臭 あくしゅう ともいえる芳香 ほうこう 成分 せいぶん はカプリアルデヒド で、種子 しゅし が完熟 かんじゅく するころにはこの臭気 しゅうき は失 うしな われ、レモンとセージを合 あ わせたような香 かお りへと変化 へんか する。この種子 しゅし が持 も っている芳香 ほうこう 成分 せいぶん はコリアンドロール とよばれるリナロールの一種 いっしゅ で、精油 せいゆ の60 - 70%を占 し める。
コエンドロの葉 は の味 あじ の感 かん じ方 かた は人 ひと によって異 こと なり、嗜好 しこう 性 せい が強 つよ い。好 この む人々 ひとびと が、コエンドロの葉 は は気分 きぶん をすっきりさせる、レモンのような、あるいはライムのような香 かお りを持 も つというのに対 たい して、嫌 きら いな人々 ひとびと はその味 あじ と匂 にお いに対 たい して強 つよ い嫌悪 けんお 感 かん を示 しめ し、石鹸 せっけん のようなまたは腐 くさ ったような味 あじ と匂 にお いだと述 の べる[35] [36] 。あるいは、葉 は と未熟 みじゅく な実 み のクセのある匂 にお いは、南京虫 なんきんむし の悪臭 あくしゅう に例 たと えられることもある。その風味 ふうみ を嫌 きら う人 ひと にはカメムシ のような風味 ふうみ であるとも評 ひょう され、パクチーの臭 にお いの好 す き嫌 きら いには、臭 にお いの感 かん じ方 かた の違 ちが うDNA (OR6A2)遺伝 いでん 的 てき 要因 よういん が関係 かんけい している事 こと が研究 けんきゅう により発見 はっけん されている[37]
[38] [39] 。
研究 けんきゅう では異 こと なる民族 みんぞく 間 あいだ で嗜好 しこう のばらつきが示 しめ されている: 東 ひがし アジア人 じん の21%、コーカソイド の17%、アフリカ系 けい の14%の人々 ひとびと がコエンドロを嫌 きら いと言 い ったが、食材 しょくざい としてコエンドロが人気 にんき な地域 ちいき の民族 みんぞく 集団 しゅうだん では、わずか南米 なんべい 人 じん の7%、ヒスパニックの4%、中東 ちゅうとう の被験者 ひけんしゃ の3%のみが嫌 きら いだと述 の べた[40] 。
研究 けんきゅう では一卵性双生児 いちらんせいそうせいじ の80%がコエンドロに対 たい して同 おな じ嗜好 しこう 性 せい を持 も つことが示 しめ されているが、二 に 卵 たまご 性 せい 双生児 そうせいじ で一致 いっち するのはわずか半分 はんぶん である。これらの結果 けっか は、嗜好 しこう 性 せい への遺伝 いでん 要素 ようそ を強 つよ く示唆 しさ している。3万 まん 人 にん 近 ちか くの人々 ひとびと への遺伝 いでん 的 てき 調査 ちょうさ において、コエンドロの知覚 ちかく と関係 かんけい した2つの遺伝 いでん 的 てき 変異 へんい が見出 みいだ され、そのうち最 もっと も一般 いっぱん 的 てき なものは匂 にお いの感知 かんち に関与 かんよ する遺伝子 いでんし である[41] 。この遺伝子 いでんし 、OR6A2 (英語 えいご 版 ばん ) は嗅覚 きゅうかく 受容 じゅよう 体 たい 遺伝子 いでんし のクラスター内 ない に位置 いち し、アルデヒド 化学 かがく 物質 ぶっしつ に感受性 かんじゅせい の高 たか い受容 じゅよう 体 たい をコードしている。香 かお り化学 かがく 者 しゃ は、コエンドロの芳香 ほうこう が数種類 すうしゅるい の物質 ぶっしつ によって作 つく られ、これらのほとんどがアルデヒドであることを明 あき らかにした。コエンドロの味 あじ を嫌 きら う人 ひと は不快 ふかい にさせる不 ふ 飽和 ほうわ (英語 えいご 版 ばん ) アルデヒドに感受性 かんじゅせい があり、同時 どうじ にコエンドロを好 この む人 ひと が爽 さわ やかと感 かん じる芳香 ほうこう 化学 かがく 物質 ぶっしつ を嗅 か ぎ分 わ けることができないようだ[42] 。その味 あじ とその他 た 複数 ふくすう の遺伝子 いでんし (苦味 にがみ 受容 じゅよう 体 たい など)との間 あいだ の関係 かんけい も明 あき らかにされている[43] [44] 。
一部 いちぶ の人々 ひとびと はコエンドロの葉 は または種子 しゅし に対 たい してアレルギー がある[45] 。ある研究 けんきゅう では、ピン・プリック検査 けんさ を行 おこな った子供 こども の32%、大人 おとな の23%がコエンドロならびにキャラウェイ 、フェンネル 、セロリ を含 ふく むセリ科 か 植物 しょくぶつ に対 たい して陽性 ようせい だった[45] 。アレルギー症状 しょうじょう は軽度 けいど あるいは生命 せいめい に関 かか わるかもしれない[46] [47] 。
本場 ほんば タイでも有 あ り得 え ない、パクチーを山盛 やまも りにする料理 りょうり がブームになるなど、絶大 ぜつだい な人気 にんき を誇 ほこ っている[48] 。2016年 ねん のトレンド鍋 なべ (ぐるなび 調 しら べ)に「草 くさ 鍋 なべ 」が選 えら ばれた[49] 。草 くさ 鍋 なべ は、青菜 あおな ・せり・パクチーを中心 ちゅうしん とした青 あお 野菜 やさい をメインとしながらも、野菜 やさい がどっさり入 はい った鍋 なべ の総称 そうしょう [49] 。
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