日本にっぽんは古来こらい、稲作いなさくをはじめ農業のうぎょうを中心ちゅうしんに国くにづくりを進すすめてきました。ですから、みのりの秋あきには「ありがとうございました」という感謝かんしゃの気持きもちを込こめて、その年としに初はじめて収穫しゅうかくされた稲穂いなほなどの穀物こくもつを神かみさまにお供そなえします。これを初穂はつほといいます。野菜やさいや果物くだもの、魚さかななどの初物はつものも同様どうようです。神社じんじゃにお供そなえするお初穂はつおという言葉ことばは、ここに由来ゆらいします。
いまでは、季き節ぶしにかかわらず、お初穂はつおとしてお金かねを上あげることが多おおくなりました。その場合ばあい、包つつみの表書おもてがきには「初穂はつほ料りょう」のほかに「御ご神前しんぜん」「御供ごくう」「玉串たまぐし料りょう」「御ご榊さかき料りょう」等とうの書かき方かたがあります。「御ご神前しんぜん」「御供ごくう」という表書おもてがきは説明せつめいするまでもありませんが、「玉串たまぐし料りょう」「御ご榊さかき料りょう」とは玉串たまぐしや榊さかきの代かわりに、それぞれお供そなえする料りょうであることを意味いみしています。
このほか「上うえ」や「奉献ほうけん」「奉納ほうのう」と書かかれる場合ばあいもあります。「上うえ」はよく神様かみさまや目上めうえの方ほうに対たいする御礼おれいの際さいの表書おもてがきに用もちいられる語かたりです。
「上うえ」はお神かみ札さつふだ・お守まもりなどの授与じゅよ品ひんや撤下神饌しんせんを入いれる袋ふくろの表書おもてがきにも用もちいられていますが、この場合ばあい、撤下品ひんは神前しんぜんにお供そなえする際さい、「上うえ」と記しるすのであって「上うえ」とはあくまでもお供そなえをする神様かみさまに対たいして用もちいられている語かたりということができます。一方いっぽう、お神かみ札さつやお守まもりが御ご神霊しんれいの御ご加護かごを戴いただく尊みこと貴たかなものなので丁寧ていねいさを表現ひょうげんするために「上うえ」を表書おもてがきにしていると考かんがえることもできます。
このほか、神式しんしきの葬儀そうぎのお供そなえに関かんしては「御ご霊前れいぜん」や「玉串たまぐし料りょう」「御ご榊さかき料りょう」といった表書おもてがきが用もちいられます。市販しはんの不祝儀ぶしゅうぎ袋ぶくろには「御ご霊前れいぜん」とあっても、蓮はちすの花はなの文様もんようが付ついている場合ばあいがありますが、これは仏式ぶっしき用ようのものなので注意ちゅういして下ください。
表書おもてがきには、神事しんじに用もちいられる以外いがいにも冠婚葬祭かんこんそうさいを通つうじてさまざまな書かき方かたがあり、自みずからの気持きもちを伝つたえる意味いみでも大切たいせつなものということができます。