街中まちじゅうの赤あかい鳥居とりい、田たんぼの中なかのこんもりした森もり、山やまの頂いただきの小ちいさな社しゃ、全国ぜんこく至いたるところに神社じんじゃはあります。神社じんじゃのある風景ふうけい、それは映画えいがやドラマでもおなじみの、ごく身近みぢかな、しかし日本にっぽんにしか見みられない独特どくとくの風景ふうけいです。
このような神社じんじゃを中心ちゅうしんとした、日本にっぽんの神かみ々への信仰しんこうが神道しんとうです。
神道しんとうは、日本人にっぽんじんの暮くらしの中なかから生うまれた信仰しんこうといえます。遠とおい昔むかし、私わたしたちの祖先そせんは、稲作いなさくをはじめとした農耕のうこうや漁撈ぎょろうなどを通つうじて、自然しぜんとの関かかわりの中なかで生活せいかつを営いとなんできました。自然しぜんの力ちからは、人間にんげんに恵めぐみを与あたえる一方いっぽう、猛威もういもふるいます。人々ひとびとは、そんな自然しぜん現象げんしょうに神かみ々の働はたらきを感知かんちしました。また、自然しぜんの中なかで連綿れんめんと続つづく生命せいめいの尊とうとさを実感じっかんし、あらゆるものを生うみなす生命せいめい力りょくも神かみ々の働はたらきとして捉とらえたのです。そして、清浄せいじょうな山さんや岩がん、木きや滝たきなどの自然しぜん物ぶつを神かみ宿やどるものとしてまつりました。やがて、まつりの場所ばしょには建物たてものが建たてられ、神社じんじゃが誕生たんじょうしたのです。このように、日本にっぽん列島れっとうの各地かくちで発生はっせいした神かみ々への信仰しんこうは、大和やまと朝廷ちょうていによる国土こくど統一とういつにともない、形かたちを整ととのえてゆきました。そして、6世紀せいきに仏教ぶっきょうが伝来でんらいした際さい、この日本にっぽん固有こゆうの信仰しんこうは、仏教ぶっきょうに対たいして神道しんとうという言葉ことばで表あらわされるようになりました。
神道しんとうの神かみ々は、海うみの神かみ、山やまの神かみ、風かぜの神かみのような自然しぜん物ぶつや自然しぜん現象げんしょうを司つかさどる神かみ々、衣食住いしょくじゅうや生業せいぎょうを司つかさどる神かみ々、国土こくど開拓かいたくの神かみ々などで、その数かずの多おおさから八はち百ひゃく万まんの神かみ々といわれます。さらに、国家こっかや郷土きょうどのために尽つくした偉人いじんや、子孫しそんの行ゆく末すえを見守みまもる祖先そせんの御霊みたまも、神かみとして祀まつられました。奈良なら時代じだいにできた『古事記こじき』『日本書紀にほんしょき』には、多おおくの神かみ々の系譜けいふや物語ものがたりが収おさめられています。
神道しんとうの信仰しんこうが形かたちとなったものが祭まつりです。祭まつりは、稲作いなさくを中心ちゅうしんに暮くらしを営いとなんできた日本にっぽんの姿すがたを反映はんえいし、春はるには豊作ほうさくを、夏なつには風雨ふううの害がいが少すくないことを祈いのり、秋あきには収穫しゅうかくを感謝かんしゃするものなどがあり、地域ちいきをあげて行おこなわれます。祭まつりの日ひは、神社じんじゃでの神事しんじに加くわえて神輿しんよや山車だしが繰くり出だし、たくさんの人ひとで賑にぎわいます。神道しんとうの祭まつりを行おこなうのは、神社じんじゃだけではありません。皇室こうしつでは、天皇陛下てんのうへいかが国家こっか・国民こくみんの安寧あんねいと世界せかいの平和へいわを祈いのるお祭まつりを行おこなわれています。また、家庭かていでは、神棚かみだなの前まえで家いえの安全あんぜん、家族かぞくの無事ぶじを祈いのります。これも小ちいさな祭まつりといえます。
神道しんとうのもつ理念りねんには、古代こだいから培つちかわれてきた日本人にっぽんじんの叡智えいちや価値かち観かんが生いきています。それは、鎮守ちんじゅの森もりに代表だいひょうされる自然しぜんを守まもり、自然しぜんと人間にんげんとがともに生いきてゆくこと、祭まつりを通つうじて地域ちいき社会しゃかいの和わを保たもち、一体いったい感かんを高たかめてゆくこと、子孫しそんの繁栄はんえいを願ねがい、家庭かていから地域ちいき、さらには皇室こうしつをいただく日本にっぽんという国くにの限かぎりない発展はってんを祈いのることなどです。このような理念りねんが、神かみ々への信仰しんこうと一体いったいとなって神道しんとうが形かたちづくられています。また、神道しんとうには、神かみ々をまつる環境かんきょうとして、清浄せいじょうを尊とうとぶという特徴とくちょうがあります。神社じんじゃは常つねに清きよらかさが保たもたれ、祭まつりに参加さんかする人ひとたちは必かならず心身しんしんを清きよめます。これら神道しんとうの理念りねんや特徴とくちょうは、日本人にっぽんじんの生いき方かたに深ふかく影響えいきょうしているといえるでしょう。
神道しんとうは、日本にっぽんの民族みんぞく宗教しゅうきょうといわれ、日本人にっぽんじんの暮くらしにとけ込こんでいます。たとえば、初詣はつもうでや厄除やくよけ、初はつ宮参みやまいりや七なな五ご三さん、結婚式けっこんしきや地鎮祭じちんさいなど、神道しんとうの行事ぎょうじは日常にちじょう生活せいかつのいたるところに見みかけることができます。しかし、一般いっぱんの日本人にっぽんじんは、あまりにも身近みぢかなせいか、神道しんとうについて知しらないことが多おおいのも事実じじつでしょう。
このウェブサイトが、皆みなさんを神道しんとうの世界せかいへ誘さそう案内あんない役やくとなれれば幸さいわいです。