「金きむ無双むそう」の版はん間あいだの差分さぶん

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2023年ねん7月がつ13日にち (木)もく 11:25時点じてんにおける版はん

将棋しょうぎ > 囲がこい > 金きむ無双むそう
将棋しょうぎ > 将棋しょうぎの戦法せんぽう > 振ふり飛車ひしゃ > 相あい振ふり飛車ひしゃ > 金きむ無双むそう

9	8	7	6	5	4	3	2	1
									一いち
									二に
									三さん
									四よん
									五ご
									六ろく
				歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ	七なな
				金きむ	金きむ	玉たま	銀ぎん		八はち
							桂かつら	香こう	九きゅう

9	8	7	6	5	4	3	2	1
									一いち
									二に
									三さん
							飛ひ		四よん
									五ご
							銀ぎん	歩ふ	六ろく
				歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ		七なな
				金きむ	金きむ	玉たま			八はち
							桂かつら	香こう	九きゅう

金きむ無双むそう（きんむそう、英えい: Peerless Golds, Gold Unparalleled^[2]）は、将棋しょうぎの囲がこいである。主おもに振ふり飛車ひしゃの囲がこいの一種いっしゅであり特とくに相あい振ふり飛車ひしゃで用もちいられるが、対抗たいこう型がたの居きょ飛車ひしゃ側がわでも金かね無双むそうの形かたちを用もちいる急戦きゅうせん定跡じょうせきがある（後述こうじゅつ）。玉たまの横よこに2枚まいの金かねが並ならんでいることから名称めいしょうがつけられた^[3]。二に枚まい金きん（にまいきん）とも呼よばれる^[4]。

名称めいしょうの由来ゆらい

かつて、振ふり飛車ひしゃが玉たまを右側みぎがわに囲かこう囲がこいは、総そうじて右みぎ玉だま囲がこいと呼よばれていたという（その後ご、右みぎ玉だまという名称めいしょうは、一般いっぱん的てきに居い飛車ひしゃの戦法せんぽうの一ひとつを指さす用語ようごとなった）。大山おおやま康晴やすはるの著書ちょしょの中なかには、「金かね二に枚まいが横よこに並ならぶところから金きむ無双むそうと名付なづけたい」と提案ていあんしている記述きじゅつがある^[3]。その後ご、金きむ無双むそうや二に枚まい金きんという名称めいしょうが一般いっぱん的てきな名称めいしょうとなった。

概要がいよう

先手せんてでいえば、玉たまを3八はちに、左ひだり金きむを5八はちに、右みぎ金きんを4八はちに動うごかして作つくられる。金かねが横よこに2枚まい並ならんだ形かたちが最大さいだいの特徴とくちょうであり、金きむ無双むそう及および二に枚まい金きんという名称めいしょうの由来ゆらいとなっている。この特徴とくちょう故ゆえに、飛車ひしゃを5筋すじに振ふる中ちゅう飛車ひしゃは左ひだり金きんを動うごかす位置いちに飛車ひしゃがあるため、左ひだり金きんを囲かこいに参加さんかさせにくいという欠点けってんがある。一般いっぱん的てきには、上部じょうぶからの攻せめ主体しゅたいの相あい振ふり飛車ひしゃでの採用さいようが多おおいことから、上部じょうぶの守まもりを優先ゆうせんするために右みぎ銀ぎんを2八はちの位置いちに上あがる。但ただし、側面そくめんからの攻せめに対たいしては「壁かべ銀ぎん」となり玉だまの逃にげ道みちがなくなってしまう。

他たの囲がこいとの比較ひかく

金きむ無双むそうは美濃みの囲がこいに比くらべて上部じょうぶからの攻せめ（特とくに1・2筋すじ）に強つよい。しかし側面そくめんからの攻せめに対たいしては若干じゃっかん弱よわい。また4筋すじからの攻せめにも弱よわく、4筋すじは「うさぎ耳みみ」とも呼よばれている。

対たい居きょ飛車ひしゃの振ふり飛車ひしゃの場合ばあい、側面そくめんからの攻せめが主体しゅたいとなるので、美濃みの囲がこいで良よい。それに対たいして相あい振ふり飛車ひしゃでは、上部じょうぶからの攻せめが主体しゅたいとなるので、金きむ無双むそうの方ほうが良よい。しかし「壁かべ銀ぎん」などが嫌きらわれ、平成へいせいにはいってからは矢倉やくら囲がこいや穴熊あなぐまにしたり、相あい振ふり飛車ひしゃでも美濃みの囲がこいにする場合ばあいが多おおくなった^[5]。美濃みの囲がこいは1・2筋すじが特とくに弱よわいため、向むかい飛車ひしゃに対たいしては危険きけんであるが、四よん間あいだ飛車ひしゃ・三さん間あいだ飛車ひしゃには優秀ゆうしゅうなようである。

しかしながら令れい和わに入はいると手間てまのかかる矢倉やぐらは嫌きらわれ、金きむ無双むそうが復権ふっけん傾向けいこうにある^[6]^:162。里見さとみ香奈かなは通常つうじょうの金かね無双むそうから金かねの位置いちを1筋すじずらして（先手せんてだと6八はちと5八はちに金かねを置おく）バランスを取とった囲がこいを採用さいようすることがあり、片上かたがみ大輔だいすけは里見さとみ流りゅう「流ながれ金きん無双むそう」と呼よんでいる^[6]^:224。

その他たの違ちがいとして、銀ぎんを上あげない形かたちの場合ばあいは美濃みの囲がこいより1手て早はやく組くめるため（相あい振ふり飛車ひしゃでは美濃みの囲がこいも玉たまを3九きゅうに留とめる場合ばあいが多おおい）、急戦きゅうせんを仕掛しかける場合ばあいにも金きむ無双むそうが有効ゆうこうである。また、矢倉やくら囲がこいに組くみ替かえる場合ばあい、金きむ無双むそうだと片かた矢倉やぐらに隙すきなく組くみ替かえられるが、金きむ矢倉やぐらまで組くむと1手て損そんをする。美濃みの囲がこいだと組くみ替かえる途中とちゅう、どうしても隙すきが生しょうじる。金きむ無双むそうだと1七なな銀ぎんと上あがる手順てじゅんもあり組くみ替かえやすい、などの違ちがいがある。

対たい振ふり飛車ひしゃ急戦きゅうせん用よう

△ 持もち駒ごま　なし

9	8	7	6	5	4	3	2	1
香こう	桂かつら	王おう	金きむ				桂かつら	香こう	一いち
		銀ぎん		金きむ	飛ひ				二に
	歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ	銀ぎん	角かく	歩ふ		三さん
歩ふ					歩ふ	歩ふ		歩ふ	四よん
							歩ふ		五ご
歩ふ		歩ふ		歩ふ		歩ふ	飛ひ	歩ふ	六ろく
	歩ふ		歩ふ	銀ぎん	歩ふ	桂かつら			七なな
	角かく	玉たま	金きむ	金きむ					八はち
香こう	桂かつら	銀ぎん						香こう	九きゅう

△ 持もち駒ごま　なし

9	8	7	6	5	4	3	2	1
香こう						銀ぎん	桂かつら	香こう	一いち
	飛ひ			金きむ	金きむ	王おう	角かく		二に
		桂かつら		銀ぎん	歩ふ		歩ふ		三さん
歩ふ		歩ふ		歩ふ		歩ふ		歩ふ	四よん
	歩ふ		歩ふ						五ご
歩ふ		歩ふ	歩ふ	歩ふ				歩ふ	六ろく
	歩ふ	角かく	銀ぎん		歩ふ	歩ふ	歩ふ		七なな
香こう		飛ひ		金きむ		銀ぎん			八はち
	桂かつら				金きむ	玉たま	桂かつら	香こう	九きゅう

現代げんだい将棋しょうぎでは対抗たいこう型がた居きょ飛車ひしゃの定跡じょうせきにおいて金きむ無双むそうを用もちいる急戦きゅうせん策さくが定跡じょうせき化かされている。この囲がこいは7九きゅうの銀ぎんを上あげないために通常つうじょうの金かね無双むそうとは異ことなった形かたちをしており、勝又かつまた清和きよかずは「7九きゅう銀ぎん型がた金きん無双むそう」と呼よんでいる^[7]^:128。

昭和しょうわから平成へいせいの時期じきにおいては、金きむ無双むそうは相あい振ふり飛車ひしゃ以外いがいではあまり指さされない時期じきがあった。過去かこには対たい振ふり飛車ひしゃ金きん無双むそう＋腰掛こしかけ銀ぎんが、1958年ねん1月がつ5日にちのNHK杯はい、▲花はな村元むらもと司つかさ vs.△升田ますだ幸三こうぞう戦せんでみられた。

急戦きゅうせんのみならず、持久じきゅう戦せんへの移行いこうが可能かのうである。この場合ばあい、囲がこいを松尾まつお流りゅう穴熊あなぐまへと発展はってんさせていくのが一般いっぱん的てきであり、非常ひじょうに優秀ゆうしゅうである。

こうしてその優秀ゆうしゅうさとして、居きょ飛車ひしゃ舟ぶね囲がこい急戦きゅうせんと違ちがって、飛ひ角かく銀ぎん桂かつらの理想りそう的てき攻撃こうげき陣じんが得えられ易やすくなっているといえる。

棒ぼう銀ぎんについては角かく交換こうかん後ごの▲7一角いっかく（△3九きゅう角かく）の筋すじがあるので、あまり利用りようされていないが、いままで居い飛車ひしゃ舟ぶね囲がこい急戦きゅうせんで利用りようされてきた4六ろく銀ぎん右みぎ戦法せんぽう（△6四よん銀ぎん急戦きゅうせん）△6五ご歩ほ・▲4五ご歩ほ早はや仕掛しかけ、ポンポン桂かつらなど、5七なな銀ぎん右みぎ陣形じんけい（菱ひし型がた舟ふね囲がこい）での戦術せんじゅつは、ほぼ実戦じっせん応用おうようが可能かのうとなっている。

対抗たいこう型がたの振ふり飛車ひしゃ側がわの金かね無双むそう

大橋おおはし貴たか洸こうは対抗たいこう型がたの四よん間あいだ飛車ひしゃで特とくに穴熊あなぐま囲がこい対策たいさくとして金きむ無双むそうにして端はし攻ぜめを行おこなう戦法せんぽうを考案こうあんし、これを「耀龍四よん間あいだ飛車ひしゃ」と名なづけた^[7]^:131^[8]。

脚注きゃくちゅう

^ 『日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん』p.67
^ Kawasaki, Tomohide (2013). HIDETCHI Japanese-English SHOGI Dictionary. Nekomado. p. 33. ISBN 9784905225089
^ ^a ^b 『快勝かいしょう/将棋しょうぎの指さし方かた/初段しょだんへの基礎きそ作づくり』（大山おおやま康晴やすはる）
^ 原田はらだ泰夫やすお (監修かんしゅう)、荒木あらき一郎いちろう (プロデュース)、森内もりうち俊之としゆきら（編へん）、2004、『日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん』、東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん ISBN 4-490-10660-2
^ 上野うえの裕和ひろかず『将棋しょうぎ・序盤じょばん完全かんぜんガイド相しょう振ふり飛車ひしゃ編へん』マイナビ出版しゅっぱん、2017年ねん、107-112頁ぺーじ。ISBN 9784839962753。
^ ^a ^b 片上かたがみ大輔だいすけ『令れい和わ新手あらて白書はくしょ角かく交換こうかん振ぶり飛車ひしゃ編へん・相あい振ふり飛車ひしゃ編へん』マイナビ出版しゅっぱん、2021年ねん。ISBN 9784839974282。
^ ^a ^b 勝又かつまた清和きよかず「勝又かつまた教授きょうじゅが帰かえってきた! 短期たんき集中しゅうちゅう講座こうざ居きょ飛車ひしゃvs振ふり飛車ひしゃ対抗たいこう形がたの軌跡きせき」『将棋しょうぎ世界せかい』2021年ねん4月がつ。
^ 大橋おおはし貴たか洸こう『耀龍四よん間あいだ飛車ひしゃ美濃みの囲がこいから王様おうさまを一路いちろずらしてみたらビックリするほど勝かてる陣形じんけいができた』マイナビ出版しゅっぱん、2020年ねん。ISBN 9784839973346。

外部がいぶリンク

将棋しょうぎ情報じょうほう局きょく超ちょう優秀ゆうしゅう！「対たい振ふり飛車ひしゃ金きん無双むそう急戦きゅうせん」ってなぁに？　～駒こま組ぐみ簡単かんたん、でも全ぜん軍ぐん躍動やくどう～ 2020.06.11 島田しまだ修二しゅうじ

この項目こうもくは、将棋しょうぎに関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています（プロジェクト:ボードゲーム）。

[1] 『日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん』p.67

[2] Kawasaki, Tomohide (2013). HIDETCHI Japanese-English SHOGI Dictionary. Nekomado. p. 33. ISBN 9784905225089

[快勝-3] 『快勝かいしょう/将棋しょうぎの指さし方かた/初段しょだんへの基礎きそ作づくり』（大山おおやま康晴やすはる）

[4] 原田はらだ泰夫やすお (監修かんしゅう)、荒木あらき一郎いちろう (プロデュース)、森内もりうち俊之としゆきら（編へん）、2004、『日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん』、東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん ISBN 4-490-10660-2

[5] 上野うえの裕和ひろかず『将棋しょうぎ・序盤じょばん完全かんぜんガイド相しょう振ふり飛車ひしゃ編へん』マイナビ出版しゅっぱん、2017年ねん、107-112頁ぺーじ。ISBN 9784839962753。

[reiwa-6] 片上かたがみ大輔だいすけ『令れい和わ新手あらて白書はくしょ角かく交換こうかん振ぶり飛車ひしゃ編へん・相あい振ふり飛車ひしゃ編へん』マイナビ出版しゅっぱん、2021年ねん。ISBN 9784839974282。

[katsumata-7] 勝又かつまた清和きよかず「勝又かつまた教授きょうじゅが帰かえってきた! 短期たんき集中しゅうちゅう講座こうざ居きょ飛車ひしゃvs振ふり飛車ひしゃ対抗たいこう形がたの軌跡きせき」『将棋しょうぎ世界せかい』2021年ねん4月がつ。

[8] 大橋おおはし貴たか洸こう『耀龍四よん間あいだ飛車ひしゃ美濃みの囲がこいから王様おうさまを一路いちろずらしてみたらビックリするほど勝かてる陣形じんけいができた』マイナビ出版しゅっぱん、2020年ねん。ISBN 9784839973346。

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+|金きむ無双むそう（壁かべ銀ぎん形かたち）の例れい。右みぎ銀ぎん上あがりを保留ほりゅうした形かたちがある。<ref>『日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん』p.67</ref>
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-|金きむ無双むそう（右みぎ銀ぎんが上あがった状態じょうたい）の例れい
+|金きむ無双むそう（発展形はってんけい）の例れい
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-'''金きむ無双むそう'''（きんむそう）は、[[将棋しょうぎ]]の[[将棋しょうぎの戦法せんぽう一覧いちらん#相しょう振ふり飛車ひしゃ|相あい振ふり飛車ひしゃ]]で用もちいられる囲がこいである。別べつ名な'''二に枚まい金きん'''（にまいきん）とも呼よばれる<ref>{{Cite book ja-jp | author = [[原田はらだ泰夫やすお]] (監修かんしゅう)、荒木あらき一郎いちろう (プロデュース) | editor = [[森内もりうち俊之としゆき]]ら | year = 2004 | title = 日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん | publisher = 東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん | isbn = 4-490-10660-2}}
+'''金きむ無双むそう'''（きんむそう、{{lang-en-short|Peerless Golds, Gold Unparalleled}}<ref>{{cite book | last=Kawasaki | first=Tomohide | title=HIDETCHI Japanese-English SHOGI Dictionary | year=2013 | publisher=Nekomado | isbn=9784905225089 | page=33}}</ref>）は、[[将棋しょうぎ]]の[[囲がこい]]である。主おもに振ふり飛車ひしゃの囲がこいの一種いっしゅであり特とくに[[相あい振ふり飛車ひしゃ]]で用もちいられるが、[[居きょ飛車ひしゃ#対たい振ふり飛車ひしゃ|対抗たいこう型がたの居きょ飛車ひしゃ側がわ]]でも金きむ無双むそうの形かたちを用もちいる急戦きゅうせん定跡じょうせきがある（後述こうじゅつ）。玉たまの横よこに2枚まいの金かねが並ならんでいることから名な称しょうがつけられた<ref name="快勝かいしょう">『快勝かいしょう/将棋しょうぎの指さし方かた/初段しょだんへの基礎きそ作づくり』（大山おおやま康晴やすはる）</ref>。'''二に枚まい金きん'''（にまいきん）とも呼よばれる<ref>{{Cite book ja-jp | author = [[原田はらだ泰夫やすお]] (監修かんしゅう)、荒木あらき一郎いちろう (プロデュース) | editor = [[森内もりうち俊之としゆき]]ら | year = 2004 | title = 日本にっぽん将棋しょうぎ用語ようご事典じてん | publisher = 東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん | isbn = 4-490-10660-2}}
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+==名称めいしょうの由来ゆらい==
+かつて、振ふり飛車ひしゃが玉たまを右側みぎがわに囲かこう囲がこいは、総そうじて右みぎ玉だま囲がこいと呼よばれていたという（その後ご、[[右みぎ玉だま]]という名称めいしょうは、一般いっぱん的てきに居い飛車ひしゃの戦法せんぽうの一ひとつを指さす用語ようごとなった）。[[大山おおやま康晴やすはる]]の著書ちょしょの中なかには、「金かね二に枚まいが横よこに並ならぶところから金きむ無双むそうと名付なづけたい」と提案ていあんしている記述きじゅつがある<ref name="快勝かいしょう"></ref>。その後ご、金きむ無双むそうや二に枚まい金きんという名称めいしょうが一般いっぱん的てきな名称めいしょうとなった。
 ==概要がいよう==
-先手せんてでいえば、[[玉将ぎょくしょう|玉たま]]を3八はちに、左ひだり[[金将きんしょう|金きむ]]を5八はちに、右みぎ金きんを4八はちに動うごかして作つくられる。金かねが横よこに2枚まい並ならんだ形かたちが最大さいだいの特徴とくちょうであり、金きむ無双むそう及および二に枚まい金きんという名称めいしょうの由来ゆらいとなっている。この特徴とくちょう故ゆえに、[[飛車ひしゃ]]を5筋すじに振ふる[[中ちゅう飛車ひしゃ]]は左ひだり金きんを動うごかす位置いちに飛車ひしゃがあるため、左ひだり金きんを囲かこいに参加さんかさせにくいという欠点けってんがある。一般いっぱん的てきには、上部じょうぶからの攻せめ主体しゅたいの[[相あい振ふり飛車ひしゃ]]での採用さいようが多おおいことから、上部じょうぶの守まもりを優先ゆうせんするために右みぎ[[銀将ぎんしょう|銀ぎん]]を2八はちの位置いちに上あがることが多おおい。但ただし、側面そくめんからの攻せめに対たいしては「壁かべ銀ぎん」となり玉だまの逃にげ道みちがなくなってしまうため、右みぎ銀ぎんは2八はちに上あがらない方ほうが良よい。
+先手せんてでいえば、[[玉将ぎょくしょう|玉たま]]を3八はちに、左ひだり[[金将きんしょう|金きむ]]を5八はちに、右みぎ金きんを4八はちに動うごかして作つくられる。金かねが横よこに2枚まい並ならんだ形かたちが最大さいだいの特徴とくちょうであり、金きむ無双むそう及および二に枚まい金きんという名称めいしょうの由来ゆらいとなっている。この特徴とくちょう故ゆえに、[[飛車ひしゃ]]を5筋すじに振ふる[[中ちゅう飛車ひしゃ]]は左ひだり金きんを動うごかす位置いちに飛車ひしゃがあるため、左ひだり金きんを囲かこいに参加さんかさせにくいという欠点けってんがある。一般いっぱん的てきには、上部じょうぶからの攻せめ主体しゅたいの[[相あい振ふり飛車ひしゃ]]での採用さいようが多おおいことから、上部じょうぶの守まもりを優先ゆうせんするために右みぎ[[銀将ぎんしょう|銀ぎん]]を2八はちの位置いちに上あがる。但ただし、側面そくめんからの攻せめに対たいしては「壁かべ銀ぎん」となり玉だまの逃にげ道みちがなくなってしまう。
 ==他たの囲がこいとの比較ひかく==
 金きむ無双むそうは[[美濃みの囲がこい]]に比くらべて上部じょうぶからの攻せめ（特とくに1・2筋すじ）に強つよい。しかし側面そくめんからの攻せめに対たいしては若干じゃっかん弱よわい。また4筋すじからの攻せめにも弱よわく、4筋すじは「うさぎ耳みみ」とも呼よばれている。
-対たい[[将棋しょうぎの戦法せんぽう一覧いちらん#居きょ飛車ひしゃ|居きょ飛車ひしゃ]]の[[将棋しょうぎの戦法せんぽう一覧いちらん#振ふり飛車ひしゃ|振ふり飛車ひしゃ]]の場合ばあい、側面そくめんからの攻せめが主体しゅたいとなるので、美濃みの囲がこいで良よい。それに対たいして相あい振ふり飛車ひしゃでは、上部じょうぶからの攻せめが主体しゅたいとなるので、金きむ無双むそうの方ほうが良よい。しかし最近さいきんでは「壁かべ銀ぎん」などが嫌きらわれ、[[矢倉やくら囲がこい]]にしたり、相あい振ふり飛車ひしゃでも美濃みの囲がこいにする場合ばあいが多おおい。美濃みの囲がこいは1・2筋すじが特とくに弱よわいため、[[向むかい飛車ひしゃ]]に対たいしては危険きけんであるが、[[四よん間あいだ飛車ひしゃ]]・[[三さん間あいだ飛車ひしゃ]]には優秀ゆうしゅうなようである。
+対たい[[居きょ飛車ひしゃ]]の[[振ふり飛車ひしゃ]]の場合ばあい、側面そくめんからの攻せめが主体しゅたいとなるので、美濃みの囲がこいで良よい。それに対たいして相あい振ふり飛車ひしゃでは、上部じょうぶからの攻せめが主体しゅたいとなるので、金きむ無双むそうの方ほうが良よい。しかし「壁かべ銀ぎん」などが嫌きらわれ、[[平成へいせい]]にはいってからは[[矢倉やくら囲がこい]]や[[穴熊あなぐま囲がこい|穴熊あなぐま]]にしたり、相あい振ふり飛車ひしゃでも美濃みの囲がこいにする場合ばあいが多おおくなった<ref>{{Cite book|和書わしょ|author=上野うえの裕和ひろかず|authorlink=上野うえの裕和ひろかず|title=将棋しょうぎ・序盤じょばん完全かんぜんガイド 相しょう振ふり飛車ひしゃ編へん|year=2017|publisher=[[マイナビ出版しゅっぱん]]|isbn=9784839962753|pages=107-112}}</ref>。美濃みの囲がこいは1・2筋すじが特とくに弱よわいため、[[向むかい飛車ひしゃ]]に対たいしては危険きけんであるが、[[四よん間あいだ飛車ひしゃ]]・[[三さん間あいだ飛車ひしゃ]]には優秀ゆうしゅうなようである。
+しかしながら[[令れい和わ]]に入はいると手間てまのかかる矢倉やぐらは嫌きらわれ、金きむ無双むそうが復権ふっけん傾向けいこうにある{{r|reiwa|page=162}}。[[里見さとみ香奈かな]]は通常つうじょうの金かね無双むそうから金かねの位置いちを1筋すじずらして（先手せんてだと6八はちと5八はちに金かねを置おく）バランスを取とった囲がこいを採用さいようすることがあり、[[片上かたがみ大輔だいすけ]]は里見さとみ流りゅう「流ながれ金きん無双むそう」と呼よんでいる{{r|reiwa|page=224}}。
 その他たの違ちがいとして、銀ぎんを上あげない形かたちの場合ばあいは美濃みの囲がこいより1手て早はやく組くめるため（相あい振ふり飛車ひしゃでは美濃みの囲がこいも玉たまを3九きゅうに留とめる場合ばあいが多おおい）、[[急戦きゅうせん]]を仕掛しかける場合ばあいにも金きむ無双むそうが有効ゆうこうである。また、矢倉やくら囲がこいに組くみ替かえる場合ばあい、金きむ無双むそうだと片かた矢倉やぐらに隙すきなく組くみ替かえられるが、金きむ矢倉やぐらまで組くむと1手て損そんをする。美濃みの囲がこいだと組くみ替かえる途中とちゅう、どうしても隙すきが生しょうじる。金きむ無双むそうだと1七なな銀ぎんと上あがる手順てじゅんもあり組くみ替かえやすい、などの違ちがいがある。
+== 対たい振ふり飛車ひしゃ急戦きゅうせん用よう ==
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+|▲ 持もち駒ごま　なし<br />図ずは△6五ご歩ほまで<br />対たい振ふり飛車ひしゃ金きん無双むそう後手ごて番ばん}}
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+現代げんだい将棋しょうぎでは[[居きょ飛車ひしゃ#対たい振ふり飛車ひしゃ|対抗たいこう型がた居きょ飛車ひしゃ]]の定跡じょうせきにおいて金きむ無双むそうを用もちいる急戦きゅうせん策さくが定跡じょうせき化かされている。この囲がこいは7九きゅうの銀ぎんを上あげないために通常つうじょうの金かね無双むそうとは異ことなった形かたちをしており、[[勝又かつまた清和きよかず]]は「7九きゅう銀ぎん型がた金きん無双むそう」と呼よんでいる{{r|katsumata|page=128}}。
+昭和しょうわから平成へいせいの時期じきにおいては、金きむ無双むそうは相あい振ふり飛車ひしゃ以外いがいではあまり指さされない時期じきがあった。過去かこには対たい振ふり飛車ひしゃ金きん無双むそう＋腰掛こしかけ銀ぎんが、1958年ねん1月がつ5日にちのNHK杯はい、▲[[花はな村元むらもと司つかさ]] vs.△[[升田ますだ幸三こうぞう]]戦せんでみられた。
+急戦きゅうせんのみならず、持久じきゅう戦せんへの移行いこうが可能かのうである。この場合ばあい、囲がこいを[[松尾まつお流りゅう穴熊あなぐま]]へと発展はってんさせていくのが一般いっぱん的てきであり、非常ひじょうに優秀ゆうしゅうである。
+こうしてその優秀ゆうしゅうさとして、[[居きょ飛車ひしゃ舟ぶね囲がこい急戦きゅうせん]]と違ちがって、飛ひ角かく銀ぎん桂かつらの理想りそう的てき攻撃こうげき陣じんが得えられ易やすくなっているといえる。
+[[棒ぼう銀ぎん]]については角かく交換こうかん後ごの▲7一角いっかく（△3九きゅう角かく）の筋すじがあるので、あまり利用りようされていないが、いままで居い飛車ひしゃ舟ぶね囲がこい急戦きゅうせんで利用りようされてきた[[4六ろく銀ぎん右みぎ戦法せんぽう]]（△6四よん銀ぎん急戦きゅうせん）△6五ご歩ほ・▲[[4五ご歩ほ早はや仕掛しかけ]]、[[ポンポン桂かつら]]など、5七なな銀ぎん右みぎ陣形じんけい（菱ひし型がた舟ふね囲がこい）での戦術せんじゅつは、ほぼ実戦じっせん応用おうようが可能かのうとなっている。
+== 対抗たいこう型がたの振ふり飛車ひしゃ側がわの金かね無双むそう ==
+[[大橋おおはし貴たか洸こう]]は対抗たいこう型がたの四よん間あいだ飛車ひしゃで特とくに[[穴熊あなぐま囲がこい]]対策たいさくとして金きむ無双むそうにして端はし攻ぜめを行おこなう戦法せんぽうを考案こうあんし、これを「耀龍四よん間あいだ飛車ひしゃ」と名なづけた{{r|katsumata|page=131}}<ref>{{Cite book|和書わしょ|author=大橋おおはし貴たか洸こう|authorlink=大橋おおはし貴たか洸こう|title=耀龍四よん間あいだ飛車ひしゃ 美濃みの囲がこいから王様おうさまを一路いちろずらしてみたらビックリするほど勝かてる陣形じんけいができた|year=2020|publisher=[[マイナビ出版しゅっぱん]]|isbn=9784839973346}}</ref>。
 == 脚注きゃくちゅう ==
-{{Reflist}}
+{{Reflist|refs=
+<ref name="katsumata">{{cite journal|和書わしょ|author=[[勝又かつまた清和きよかず]]|title=勝又かつまた教授きょうじゅが帰かえってきた! 短期たんき集中しゅうちゅう講座こうざ 居きょ飛車ひしゃvs振ふり飛車ひしゃ 対抗たいこう形がたの軌跡きせき|journal=[[将棋しょうぎ世界せかい]]|date=2021-04}}</ref>
+<ref name="reiwa">{{Cite book|和書わしょ|author=片上かたがみ大輔だいすけ|authorlink=片上かたがみ大輔だいすけ|title=令れい和わ新手あらて白書はくしょ 角かく交換こうかん振ぶり飛車ひしゃ編へん・相あい振ふり飛車ひしゃ編へん|year=2021|publisher=[[マイナビ出版しゅっぱん]]|isbn=9784839974282}}</ref>
+}}
+== 外部がいぶリンク ==
-==関連かんれん項目こうもく==
+* 将棋しょうぎ情報じょうほう局きょく [https://book.mynavi.jp/shogi/detail/id=116171 超ちょう優秀ゆうしゅう！「対たい振ふり飛車ひしゃ金きん無双むそう急戦きゅうせん」ってなぁに？　～駒こま組ぐみ簡単かんたん、でも全ぜん軍ぐん躍動やくどう～] 2020.06.11 島田しまだ修二しゅうじ
-*[[将棋しょうぎの戦法せんぽう一覧いちらん]]
 {{将棋しょうぎの戦法せんぽう}}