ウイルス

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ウイルス感染かんせんから転送てんそう
ウイルス
ロタウイルスCG再現さいげん画像がぞう
分類ぶんるい
階級かいきゅうなし : ウイルス
下位かい分類ぶんるい[1][2]

ウイルス英語えいご: virus〔ヴァイラス[3]〕, ラテン語らてんご: virus〔ウィールス[3]〕, 中国ちゅうごく: 病毒びょうどく)は、生物せいぶつ細胞さいぼう利用りようして自己じこ複製ふくせいさせる、ごく微小びしょう感染かんせんせい構造こうぞうたいで、タンパク質たんぱくしつからとその内部ないぶはいっている核酸かくさんからなる。ウイルスは1930年代ねんだい電子でんし顕微鏡けんびきょうもちいられるようになったことで観察かんさつ可能かのうになり、その存在そんざいられるようになった。

生命せいめい最小さいしょう単位たんいである細胞さいぼうやその生体せいたいまくである細胞さいぼうまくたないこと、しょう器官きかんがないこと、自己じこ増殖ぞうしょくすることがないことから、生物せいぶつかどうかについて議論ぎろんがある[4]一般いっぱんてきには「ウイルスは生物せいぶつではない」とされるが、フランス進化しんか生物せいぶつがくものパトリック・フォルテールのように、生物せいぶつふくめる見解けんかいもある。ウイルスが宿主しゅくしゅ感染かんせんした状態じょうたい(ヴァイロセル、virocell)を本来ほんらい姿すがたとらえれば生物せいぶつのようにふるまっていること、ミミウイルスのように多数たすう遺伝子いでんしった巨大きょだいなウイルスもあることなどを理由りゆうとしている[5]

ウイルスを生命せいめいたいなせば、そのかず多様たようせい地球ちきゅううえもっとおおく(なさない場合ばあい個体こたいすう微生物びせいぶつ種類しゅるい甲虫かぶとむしるいもっとおおい)、メタゲノム解析かいせき実用じつようにより様々さまざま環境かんきょうにウイルスがつかっている。宿主しゅくしゅのこったウイルス由来ゆらい遺伝子いでんし生物せいぶつ進化しんかかかわったり[6]地球ちきゅう生態せいたいけい気候きこうにも影響えいきょうあたえたりしている。動物どうぶつ植物しょくぶつのほかほぼすべての生物せいぶつ特有とくゆうのウイルスが存在そんざいする[7]ヒトふくめた動植物どうしょくぶつ感染かんせんしょうなど疾病しっぺいこすウイルスは一部いちぶであるが[8]発見はっけん分析ぶんせきされていないウイルスが野生やせい鳥獣ちょうじゅう宿主しゅくしゅとするものだけで170まんしゅあり、その半数はんすうひとじゅう共通きょうつう感染かんせんしょう病原びょうげんたいになるリスクがあると推計すいけいされている[9]

ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルスしき

名称めいしょう[編集へんしゅう]

英語えいごのウイルス(virus)の語源ごげんは、ラテン語らてんごの「virus」で病毒びょうどく因子いんしという意味いみであり、英語えいごのVirusはふるくは動物どうぶつ毒液どくえきふくめてもちいられていた[7]

ヨーロッパおも言語げんごでの発音はつおん以下いか列挙れっきょする[10]

ヨーロッパしょ言語げんごでのつづり・発音はつおん
言語げんご 文法ぶんぽうてきせい 単数たんすうがた 複数ふくすうがた
つづ 発音はつおん つづ
国際こくさい音声おんせい記号きごう
ラテン語らてんご 中性ちゅうせい vīrus [ˈwiːrʊs] vīra[11][12]
イタリア 男性だんせい virus [ˈvirus] virus
ドイツ 中性ちゅうせいまた男性だんせい Virus [ˈviːrʊs] Vira, Viren
スペイン 男性だんせい virus [ˈbiɾus] virus
フランス語ふらんすご 男性だんせい virus [viʁys] virus
英語えいご virus [ˈvaɪɹəs] viruses
(viri[13], vira[14])

以上いじょうのような発音はつおんをもとに、多様たよう日本語にほんご表記ひょうき使用しようされた。

日本語にほんごでの表記ひょうき歴史れきしてき仮名遣かなづかいふくむ)[15][16][17][18][19] [20]
太字ふとじ三省堂さんせいどう大辞林だいじりん掲載けいさい表記ひょうき
おとうつし
語頭ごとうの "vi" のおとうつしちがいで分類ぶんるい
意訳いやく
"v"\"vi" 1音節おんせつ 2音節おんせつ
1モーラ 2モーラ
長音ちょうおんふくむ)
3モーラ
長音ちょうおんふくむ)
2モーラ
子音しいん [b] ビルス ビールス ビイールス バイラス 病毒びょうどく[ちゅう 1][ちゅう 2]
濾過ろかせい病原びょうげんたい
[v] ィルス ヴィールス ヴイールス
ールス
ヴァイラス
イラス
[w][βべーた̞] ウィルス ウィールス ワイラス
母音ぼいん [u̜]/[ɯ̹] ウイールス ウイルス

日本語にほんご表記ひょうきとしてはラテン語らてんごちかい「ウィールス」や「ウイルス」あるいはドイツちかい「ビールス」や「ヴィールス」があった[7]。1949ねん昭和しょうわ24ねん)に日本にっぽんウイルス学会がっかい前身ぜんしんとなる「ヴィールス談話だんわかい」が発足ほっそくしたのち1953ねん昭和しょうわ28ねん)に日本にっぽんウイルス学会がっかい設立せつりつされたのをに、「ウイルス」という表記ひょうき採用さいようされた[7]。その一方いっぽう日本にっぽん学会がっかいはドイツ発音はつおん由来ゆらいする「ビールス」をもちい、1970年代ねんだいごろは「ビールス」呼称こしょう学校がっこう一般いっぱん使用しようされていた。現在げんざい宿主しゅくしゅかかわらず「ウイルス」が正式せいしき名称めいしょうである[21][22]表記ひょうきじょうは「イ」が大文字おおもじの「ウイルス」と小文字こもじの「ウィルス」があるが、メディアでも直音ちょくおん大文字おおもじ表記ひょうきされることが一般いっぱんてきになっている[7]

なお、ウイルスの細胞さいぼうがい粒子りゅうしあらわす「えい: virion」のかたりには、「ウイリオン」ではなく「ビリオン」の表記ひょうき定着ていちゃくしている。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

ウイルスは細胞さいぼう構成こうせい単位たんいとせず、自己じこ増殖ぞうしょくはできないが、遺伝子いでんしゆうするという、生物せいぶつ生物せいぶつ両方りょうほう特性とくせいっている。自然しぜん科学かがく生物せいぶつがくうえ生物せいぶつ生命せいめい定義ていぎ厳密げんみつおこなうことはできていないため、便宜べんぎてき細胞さいぼう構成こうせい単位たんいとし、代謝たいしゃし、自己じこ増殖ぞうしょくできるものを生物せいぶつんでおり、ウイルスは「細胞さいぼうせい生物せいぶつ」あるいは「生物せいぶつがくてき存在そんざい」となされている[23]感染かんせんすることで宿主しゅくしゅ恒常こうじょうせい影響えいきょうおよぼし、病原びょうげんたいとしてふるまうことがある。

ウイルスを対象たいしょうとして研究けんきゅうする分野ぶんやウイルスがくばれる。

一般いっぱんてき生物せいぶつとのちが[編集へんしゅう]

一般いっぱんてき原核げんかく生物せいぶつ
れい大腸菌だいちょうきん
マイコプラズマ ナノアルカエウム・エクウィタンス リケッチア クラミジア ファイトプラズマ ウイルス
構成こうせい単位たんい 細胞さいぼう ウイルス粒子りゅうし
遺伝いでん情報じょうほうの担体 DNA DNAまたはRNA
増殖ぞうしょく様式ようしき 対数たいすう増殖ぞうしょく分裂ぶんれつ出芽しゅつが いち段階だんかい増殖ぞうしょく
暗黒あんこく存在そんざい
ATP合成ごうせい できる できない できる できない
タンパク質たんぱくしつ合成ごうせい できる できない
細胞さいぼうかべ ある ない ある ない
単独たんどく増殖ぞうしょく できる できない
生物せいぶつ付着ふちゃく
できない(へんせい細胞さいぼうない寄生きせいせい

ウイルスは以下いかのようなてんで、一般いっぱんてき生物せいぶつおおきくことなる。

  1. 細胞さいぼうせい細胞さいぼうしつなどはたない。基本きほんてきにはタンパク質たんぱくしつ核酸かくさんからなる粒子りゅうしである(→ウイルスの構造こうぞう)。
  2. だい部分ぶぶん生物せいぶつ細胞さいぼう内部ないぶDNARNA両方りょうほう核酸かくさん存在そんざいするが、ウイルス粒子りゅうしないには基本きほんてきにどちらか片方かたがただけしかない。
  3. のほとんどの生物せいぶつ細胞さいぼうは2n指数しすう関数かんすうてき増殖ぞうしょくするのにたいし、ウイルスはいち段階だんかい増殖ぞうしょくをする。また、ウイルス粒子りゅうしかけじょうえてしまう「暗黒あんこく」が存在そんざいする。
  4. 代謝たいしゃけいたず、自己じこ増殖ぞうしょくできない。生物せいぶつ細胞さいぼう寄生きせいすることによってのみ増殖ぞうしょくできる[24]
  5. 自分じぶん自身じしんでエネルギーをさんせいせず、宿主しゅくしゅ細胞さいぼうつくるそれを利用りようする[24]

なお、4はウイルスだけにられるものではなく、リケッチアクラミジアファイトプラズマなど一部いちぶ細菌さいきんかく生物せいぶつにも同様どうよう特徴とくちょうしめすものがある。

細胞さいぼうきるのに必要ひつようなエネルギーをつく製造せいぞうラインをっているが、ウイルスはその代謝たいしゃおこなっておらず、代謝たいしゃ宿主しゅくしゅ細胞さいぼう完全かんぜん依存いぞんし、宿主しゅくしゅなかでのみ増殖ぞうしょく可能かのうである。ウイルスに唯一ゆいいつできることは生物せいぶつ遺伝子いでんしなかかれらの遺伝子いでんしれることである。厳密げんみつにはみずからをれる能力のうりょくっておらず、細胞さいぼう正常せいじょう物質ぶっしつ判別はんべつできず、ウイルスのタンパク質たんぱくしつ増産ぞうさんするのを利用りようしているだけである。

これらの性質せいしつから、ウイルスを生物せいぶつ做さない言説げんせつおおいが、メガウイルスミミウイルスなど、細菌さいきん非常ひじょうちか構造こうぞうつウイルスも存在そんざいすることから、すくなくとも一部いちぶ遺伝子いでんしだい部分ぶぶんり、寄生きせいとくした生物せいぶつ一群いちぐん由来ゆらいであろうことがつよ示唆しさされている。一方いっぽうレトロウイルストランスポゾン類似るいじせいもまた、すくなくとも一部いちぶのウイルスは機能きのうせい核酸かくさん独立どくりつ進化しんかしたものである可能かのうせいつよ示唆しさしている。つまり、ウイルスとしてまとめられているもの多元的たげんてきであり、人為じんい分類ぶんるいぐんである可能かのうせい非常ひじょうたかい。

しかし、その研究けんきゅうで、メガウイルスやミミウイルスなどの巨大きょだいウイルスも、はるかにちいさく典型てんけいてきなウイルスからトランスポゾンて、比較的ひかくてき最近さいきんになって進化しんか巨大きょだいしたせつつよくなっている。2019ねん、ICTVは、巨大きょだいウイルスをウァリドナウィリアのバンフォルドウイルスかい巨大きょだい核質かくしつDNAウイルスもん、メガウイルスつな分類ぶんるいした。これは天然痘てんねんとうウイルスアフリカぶたねつウイルス比較的ひかくてきちかい。両者りょうしゃはポリントンとばれる、原生げんせい生物せいぶつのDNAないまれているトランスポゾンから進化しんかした可能かのうせいたかいとされる。これは、主要しゅようカプシドタンパクしつやパッケージングタンパクしつ比較ひかくからつよ支持しじされる[25]

ウイルスの系統けいとう[編集へんしゅう]

ウイルスはタンパク質たんぱくしつからなかにある遺伝いでん物質ぶっしつちがいから、おおきくDNAウイルスRNAウイルスけられる(詳細しょうさいは「ウイルスの分類ぶんるい」を参照さんしょう[7]

ウイルスの命名めいめい国際こくさいウイルス分類ぶんるい委員いいんかい国際こくさいウイルス命名めいめい委員いいんかい、International Committee on Taxonomy of Viruses)が管理かんりしており、遺伝いでん物質ぶっしつがDNAウイルスかRNAウイルスか、環状かんじょうくさりじょうか、宿主しゅくしゅ種類しゅるいなどをもとに生物せいぶつ同様どうようぞくたね分類ぶんるいして命名めいめいしている[7]

発見はっけん[編集へんしゅう]

粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ分類ぶんるい(マイクロメートル)

微生物びせいぶつがく歴史れきしは、1674ねんオランダレーウェンフックが、顕微鏡けんびきょう観察かんさつによって細菌さいきん見出みいだしたことにはじまり、その1860ねんにフランスのルイ・パスツール生物せいぶつがく醸造じょうぞうがくにおける細菌さいきん意義いぎを、1876ねんドイツロベルト・コッホが、医学いがくにおける細菌さいきん意義いぎあきらかにしたことでおおきく展開てんかいした。とくにコッホが発見はっけん提唱ていしょうした「感染かんせんしょう病原びょうげんせい細菌さいきんによってきる」というかんがえが医学いがくあたえた影響えいきょうおおきく、それ以降いこう感染かんせんしょう原因げんいん寄生虫きせいちゅうのぞいて、すべ細菌さいきんによるものだとかんがえられていた。

1892ねんロシアドミトリー・イワノフスキーは、タバコモザイク病もざいくびょう病原びょうげん細菌さいきん濾過ろか当時とうじ粘土ねんど素焼すやしたもの)を通過つうかしても感染かんせんせいうしなわないことを発見はっけん。それが細菌さいきんよりも微小びしょうな、光学こうがく顕微鏡けんびきょうでは観察かんさつできない存在そんざいであることを報告ほうこくした。しかし、病原びょうげんたい細菌さいきんであるというかんがえをてきれなかった。またこの研究けんきゅうとはべつに、1898ねんにドイツのフリードリヒ・レフラーパウル・フロッシュ口蹄疫こうていえき病原びょうげんたい分離ぶんりこころみ、これが同様どうよう存在そんざいであることをめ、「filterable virus(濾過ろかせい病原びょうげんたい)」と呼称こしょうした。同年どうねんにオランダのマルティヌス・ベイエリンクはイワノフスキーと同様どうよう研究けんきゅうおこなって、おなじように見出みいだされた未知みち性質せいしつ病原びょうげんたいを「Contagium vivum fluidum(生命せいめいった感染かんせんせい液体えきたい)」とんだ。

レフラーは濾過ろかせい病原びょうげんたいちいさな細菌さいきんかんがえていたが、ベイエリンクは分子ぶんしであるとかんがえ、これが細胞さいぼう感染かんせんして増殖ぞうしょくすると主張しゅちょうした。かれ主張しゅちょうはすぐにはれられなかったが、同様どうよう性質せいしつをもった病原びょうげんからだファージ発見はっけんされていくことで、一般いっぱんにもウイルスの存在そんざいしんじられるようになった。その物理ぶつり化学かがくてき性質せいしつ徐々じょじょ解明かいめいされ、ウイルスはタンパク質たんぱくしつからできているとかんがえられた。

1935ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくウェンデル・スタンリーがタバコモザイクウイルスの結晶けっしょう成功せいこうし、これによってウイルスは電子でんし顕微鏡けんびきょうによってはじめて可視かしされることとなった[26]。またかれ発見はっけんしたこの結晶けっしょうは、感染かんせんのうっていることをしめし、化学かがく物質ぶっしつのように結晶けっしょうできる生物せいぶつ存在そんざい生物せいぶつがく科学かがくかい衝撃しょうげきあたえた。かれはこの業績ぎょうせきにより、1946ねんノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうした[27]

スタンリーは、ウイルスが自己じこ触媒しょくばいのう巨大きょだいタンパク質たんぱくしつであるとしたが、翌年よくねん少量しょうりょうRNAふくまれることがしめされた。当時とうじ遺伝子いでんし正体しょうたい解明かいめいであり、遺伝子いでんしタンパク質たんぱくしつせつ有力ゆうりょくとされていた。当時とうじは、病原びょうげんたい能動のうどうてき病気びょうきこすとかんがえられていたので、分子ぶんしロボット(いまナノマシン)のようなもので、ひと病気びょうきになるということに科学かがくしゃたちはおどろいた。それでも当時とうじはまだ、病原びょうげんたいであるには細菌さいきんほどの複雑ふくざつ構造こうぞうすくなくとも自己じこタンパク質たんぱくしつをコードする遺伝子いでんしぐらいは、最低限さいていげんっていなくては病原びょうげんたいになりえない、とおもわれていた。

1952ねんおこなわれたハーシーとチェイスの実験じっけんは、バクテリオファージにおいてDNAが遺伝子いでんし役割やくわりつことをあきらかにし[28]、これを契機けいきにウイルスの繁殖はんしょく、ひいてはウイルスの性質せいしつそのものの研究けんきゅうすすむようになった。同時どうじに、この実験じっけん生物せいぶつ遺伝子いでんしがDNAであることをしめしたものとほぐせられた。

その研究けんきゅうで、おおきさやゲノム遺伝子いでんしかず一部いちぶ細菌さいきん上回うわまわるウイルスも発見はっけんされるようになった。750nmというサイズから1992ねん細菌さいきん誤認ごにんされた「ブラッドフォード球菌きゅうきん」は、電子でんし顕微鏡けんびきょうによる解析かいせきすすめられて、2003ねんにウイルスだったと確認かくにんされた(ミミウイルス)。2013ねんには長径ちょうけい1000nmのパンドラウイルスよく2014ねんには長径ちょうけい1500nmの「ピソウイルス」が発見はっけんされた[29](「巨大きょだい核質かくしつDNAウイルス参照さんしょう)。

構造こうぞう[編集へんしゅう]

ウイルスの基本きほん構造こうぞう
(A)エンベロープをたないウイルス、(B)エンベロープをつウイルス、1. カプシド、2. ウイルス核酸かくさん、3. カプソマー、4. ヌクレオカプシド、5. ビリオン、6. エンベロープ、7. スパイクタンパク質たんぱくしつ

ウイルスの基本きほん構造こうぞうは、粒子りゅうし中心ちゅうしんにあるウイルス核酸かくさんと、それをかこカプシド (えい: capsid) とばれるタンパク質たんぱくしつからから構成こうせいされた粒子りゅうしである。ウイルス核酸かくさんとカプシドをあわせたものをヌクレオカプシド (えい: nucleocapsid) とぶ。ウイルスの形状けいじょうはカプシドのかたちによって基本きほんてきにはせい20面体めんていがた立方りっぽう対称たいしょうがた)と螺旋らせん対称たいしょうがたけられる[7]。ウイルスによっては、エンベロープ (えい: envelope) とばれるまく成分せいぶんなど、ヌクレオカプシド以外いがい物質ぶっしつふくむものがある。これらの構成こうせい成分せいぶんふくめて、そのウイルスにとって必要ひつよう構造こうぞうすべそなえ、宿主しゅくしゅたいして感染かんせん可能かのうな「完全かんぜんなウイルス粒子りゅうし」をビリオンぶ。

ウイルスのおおきさ(長径ちょうけい)はちいさいもので20〜40nmおおきいものもふく平均へいきんすると100nmほどである[7]もっとおおきい天然痘てんねんとうウイルスは長径ちょうけい300nmで原核げんかく生物せいぶつもっとちいさいマイコプラズマ(200〜300nm)よりもおおきい[7]。ウイルスは光学こうがく顕微鏡けんびきょうでは観察かんさつできず、電子でんし顕微鏡けんびきょう必要ひつようだが、電子でんしせん照射しょうしゃするためきた細胞さいぼうないのウイルスを観察かんさつすることはできない[7]

ウイルス核酸かくさん[編集へんしゅう]

ウイルス核酸かくさんは、通常つうじょう、DNAかRNAのどちらか一方いっぽうである。すなわち、生物せいぶついち細胞さいぼうないにDNA(遺伝子いでんしとして)とRNA(mRNArRNAtRNAなど)の両方りょうほう分子ぶんしふくむのにたいして、ウイルスのいち粒子りゅうしにはその片方かたがたしかふくまれない(ただしDNAとともにRNAを一部いちぶふくBがた肝炎かんえんウイルスのような例外れいがいまれ存在そんざいする)。そのウイルスが核酸かくさん種類しゅるいによって、ウイルスはDNAウイルスとRNAウイルスに大別たいべつされる。さらに、それぞれの核酸かくさん一本いっぽんくさりほんくさりか、一本いっぽんくさりのRNAであればmRNAとしての活性かっせいつかたないか(プラスくさりRNAかマイナスくさりRNAか)、環状かんじょうせんじょうか、などによってこまかく分類ぶんるいされる。ウイルスのゲノム生物せいぶつくらべてはるかにサイズがちいさく、またコードしている遺伝子いでんしかずきわめてすくない。たとえば、ヒトの遺伝子いでんしすうまんあるのにたいして、ウイルスでは3〜100ほどだとわれる。

ウイルスは基本きほんてきタンパク質たんぱくしつ核酸かくさんからなる粒子りゅうしであるため、ウイルスの複製ふくせい増殖ぞうしょく)のためにはすくなくとも

  1. タンパク質たんぱくしつ合成ごうせい
  2. ウイルス核酸かくさん複製ふくせい
  3. 1. 2.をおこなうために必要ひつような、材料ざいりょう調達ちょうたつとエネルギーのさんせい

必要ひつようである。しかしほとんどのウイルスは、1や3をおこなうのに必要ひつよう酵素こうそ遺伝いでん情報じょうほうたず、宿主しゅくしゅ細胞さいぼうつタンパク合成ごうせい機構きこう代謝たいしゃ、エネルギーを利用りようして、自分じぶん自身じしん複製ふくせいおこなう。ウイルス遺伝子いでんしには自分じぶん遺伝子いでんし(しばしば宿主しゅくしゅおおきくことなる)を複製ふくせいするための酵素こうそほか宿主しゅくしゅ細胞さいぼう吸着きゅうちゃく侵入しんにゅうしたり、あるいは宿主しゅくしゅ免疫めんえき機構きこうからのがれたりするための酵素こうそなどがコードされている。

ウイルスによっては、カプシドの内側うちがわに、核酸かくさん一緒いっしょにカプシドタンパクしつとはことなるタンパク質たんぱくしつふくむものがある。このタンパク質たんぱくしつとウイルス核酸かくさんわせたものを「コア」とび、このタンパク質たんぱくしつを「コアタンパク質たんぱくしつ」とぶ。

カプシド[編集へんしゅう]

カプシド (えい: capsid) は、ウイルス核酸かくさんおおっているタンパク質たんぱくしつであり、ウイルス粒子りゅうし細胞さいぼうそとにあるときに内部ないぶ核酸かくさんをさまざまな障害しょうがいからまもる「から」の役割やくわりをしているとかんがえられている。ウイルスが宿主しゅくしゅ細胞さいぼう侵入しんにゅうしたのち、カプシドがこわれて(脱殻ぬけがら、だっかく)内部ないぶのウイルス核酸かくさん放出ほうしゅつされ、ウイルスの複製ふくせいがはじまる。

カプシドは、おな構造こうぞうちいさなタンパク質たんぱくしつカプソマー)が多数たすうわさって構成こうせいされている。この方式ほうしきは、ウイルスのかぎられた遺伝いでん情報じょうほうりょう有効ゆうこう活用かつようするために役立やくだっているとかんがえられている。ちいさなタンパク質たんぱくしつはそれをつくるのに必要ひつようとする遺伝子いでんし配列はいれつながさがみじかくてすむため、おおきなタンパク質たんぱくしつ少数しょうすうわせてつくるよりも、このようにちいさいタンパク質たんぱくしつ多数たすうわせるほう効率こうりつがよいとかんがえられている。

ヌクレオカプシド[編集へんしゅう]

ヌクレオカプシドの対称たいしょうせい(ひだり) せいじゅう面体めんていさま(なか) らせん構造こうぞう(みぎ)構造こうぞう複雑ふくざつなファージ

ウイルス核酸かくさんとカプシドをわせたものをヌクレオカプシド (えい: nucleocapsid) とぶ。エンベロープをたないウイルスではヌクレオカプシドはビリオンとおなじものをす。いいかえればヌクレオカプシドはすべてのウイルスに共通きょうつうられる最大公約数さいだいこうやくすうてき要素ようそである。

ヌクレオカプシドのかたちはウイルスごとにまっている。基本きほんてきにはせい20面体めんていがた立方りっぽう対称たいしょうがた)と螺旋らせん対称たいしょうがたけられる[7]。ただし、天然痘てんねんとう原因げんいんであるポックスウイルスやバクテリオファージなどでは、ヌクレオカプシドはきわめて複雑ふくざつ構造こうぞうであり、単純たんじゅん対称たいしょうせいたない。

エンベロープ[編集へんしゅう]

エンベロープ (えい: envelope) は、単純たんじゅんヘルペスウイルスインフルエンザウイルスヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルスなど一部いちぶのウイルス粒子りゅうしられるまくじょう構造こうぞうのこと。これらのウイルスにおいて、エンベロープはウイルス粒子りゅうしビリオン)のもっと外側そとがわ位置いちしており、ウイルス基本きほん構造こうぞうとなるウイルスゲノムおよびカプシドタンパク質たんぱくしつおおっている。エンベロープの有無うむはウイルスの種類しゅるいによってまっており、分離ぶんりされたウイルスがどの種類しゅるいのものであるかを鑑別かんべつするさい指標しひょうひとつである。

エンベロープは、ウイルスが感染かんせんした細胞さいぼうない増殖ぞうしょくし、そこから細胞さいぼうがいさい細胞さいぼうまくあるいはかくまくなどの生体せいたいまくこうむったまま出芽しゅつがすることによって獲得かくとくされるものである。このため、基本きほんてきには宿主しゅくしゅ細胞さいぼう脂質ししつじゅうまく由来ゆらいするものであるが、このほかにウイルス遺伝子いでんしにコードされているまくタンパク質たんぱくしつ一部いちぶ細胞さいぼうまくなどに発現はつげんしたのちまく一緒いっしょにウイルス粒子りゅうしみ、エンベロープタンパク質たんぱくしつとしてビリオン表面ひょうめん発現はつげんさせている。これらのエンベロープタンパク質たんぱくしつには、そのウイルスが宿主しゅくしゅ細胞さいぼう吸着きゅうちゃく侵入しんにゅうするさい細胞さいぼうがわレセプター結合けつごうしたり、免疫めんえきなどの生体せいたい防御ぼうぎょ機能きのう回避かいひしたりなど、様々さまざま機能きのうつものがられており、ウイルスの感染かんせん重要じゅうよう役割やくわりたしている。

細胞さいぼうまく由来ゆらいするエンベロープがあるウイルスでは、エンベロープタンパク質たんぱくしつ細胞さいぼうがわのレセプターに結合けつごうしたのち、ウイルスのエンベロープと細胞さいぼうまくとがまく融合ゆうごうこすことで、エンベロープ内部ないぶつつまれていたウイルスの遺伝子いでんしタンパク質たんぱくしつ細胞さいぼうないおく仕組しくみのものがおおい。

エンベロープはそのだい部分ぶぶん脂質ししつからるためエタノール有機ゆうき溶媒ようばいせっけんなどで処理しょりすると容易ようい破壊はかいすることができる。このため一般いっぱんにエンベロープをつウイルスは、消毒しょうどくようアルコールでのかつが、エンベロープをたないウイルスにくらべると容易よういである。

増殖ぞうしょく[編集へんしゅう]

細胞さいぼうひだり)とウイルス(みぎ)の増殖ぞうしょく様式ようしき

ウイルスは、それ自身じしん単独たんどくでは増殖ぞうしょくできず、生物せいぶつ細胞さいぼうない感染かんせんしてはじめて増殖ぞうしょく可能かのうとなる[24]。このような性質せいしつへんせい細胞さいぼうない寄生きせいせいぶ。また、一般いっぱんてき生物せいぶつ細胞さいぼうが2分裂ぶんれつによって 2n対数たいすうてきかずやす(対数たいすう増殖ぞうしょく)のにたいし、ウイルスは1つの粒子りゅうしが、感染かんせんした宿主しゅくしゅ細胞さいぼうない一気いっきかずやして放出ほうしゅついち段階だんかい増殖ぞうしょく)する。また感染かんせんしたウイルスは細胞さいぼうないいち分解ぶんかいされるため、かけじょうウイルス粒子りゅうし存在そんざいしない期間きかん暗黒あんこく)がある。

もちろん、ウイルスは細菌さいきんよりもちいさく、その遺伝いでん物質ぶっしつであるDNAやRNAはタンパク質たんぱくしつそとからつつまれている。ウイルスに寄生きせいされた細胞さいぼうは、通常つうじょう生命せいめい維持いじ機能きのうたせなくなり、ウイルス工場こうじょうとなって細胞さいぼう感染かんせんさせ、最終さいしゅうてきにはウイルス工場こうじょうとなった細胞さいぼう破壊はかいされてしまう[30]

ウイルスの増殖ぞうしょく以下いかのようなステップでおこなわれる。

細胞さいぼう表面ひょうめんへの吸着きゅうちゃく細胞さいぼうないへの侵入しんにゅう脱殻ぬけがら(だっかく) → 部品ぶひん合成ごうせい部品ぶひん集合しゅうごう感染かんせん細胞さいぼうからの放出ほうしゅつ

細胞さいぼう表面ひょうめんへの吸着きゅうちゃく[編集へんしゅう]

ウイルス感染かんせん最初さいしょのステップはその細胞さいぼう表面ひょうめん吸着きゅうちゃくすることである。ウイルスが宿主しゅくしゅ細胞さいぼう接触せっしょくすると、ウイルスの表面ひょうめんにあるタンパク質たんぱくしつ宿主しゅくしゅ細胞さいぼう表面ひょうめん露出ろしゅつしているいずれかの分子ぶんし標的ひょうてきにして吸着きゅうちゃくする。このときの細胞さいぼうがわにある標的ひょうてき分子ぶんしをそのウイルスにたいするレセプターぶ。ウイルスが感染かんせんするかどうかは、そのウイルスにたいするレセプターを細胞さいぼうっているかどうかに依存いぞんする。代表だいひょうてきなウイルスレセプターとしては、インフルエンザウイルスたいする気道きどう上皮じょうひ細胞さいぼうのシアルさんとうくさりや、ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルスたいするヘルパーT細胞さいぼう表面ひょうめんのCD4分子ぶんしなどがられている。

細胞さいぼうないへの侵入しんにゅう[編集へんしゅう]

細胞さいぼう表面ひょうめん吸着きゅうちゃくしたウイルス粒子りゅうしは、つぎ実際じっさい増殖ぞうしょくになる細胞さいぼう内部ないぶ侵入しんにゅうする。侵入しんにゅうのメカニズムはウイルスによって様々さまざまであり、代表だいひょうてきなものに以下いかのようなものがある。

エンドサイトーシスによる
細胞さいぼう自身じしんっているエンドサイトーシスの機構きこうによって、エンドソームしょう胞として細胞さいぼうないまれ、そのでそこから細胞さいぼうしつへとすもの。エンベロープをたないウイルスのおおくや、インフルエンザウイルスなどにられる。
まく融合ゆうごう
吸着きゅうちゃくしたウイルスのエンベロープが細胞さいぼう細胞さいぼうまく融合ゆうごうし、粒子りゅうし内部ないぶのヌクレオカプシドが細胞さいぼうしつないおくまれるもの。おおくの、エンベロープをつウイルスにられる。
能動のうどうてき遺伝子いでんし注入ちゅうにゅう
Tファージなどのバクテリオファージにられ、吸着きゅうちゃくしたウイルスの粒子りゅうしからかんとおしてウイルス核酸かくさん細胞さいぼうしつ注入ちゅうにゅうされる。注入ちゅうにゅうとはっても、ウイルス粒子りゅうし細菌さいきん細胞さいぼうかべ貫通かんつうしたのち遺伝子いでんし移動いどうは、細菌さいきん細胞さいぼうきていないとこらないため、細菌さいきん細胞さいぼう自体じたい作用さようによってまれるのではないかとわれている。

脱殻ぬけがら[編集へんしゅう]

細胞さいぼうない侵入しんにゅうしたウイルスは、そこで一旦いったんカプシドが分解ぶんかいされて、その内部ないぶからウイルス核酸かくさん遊離ゆうりする。この過程かてい脱殻ぬけがらぶ。脱殻ぬけがらこってから粒子りゅうしさい構成こうせいされるまでの期間きかんは、ビリオン(感染かんせんせいのある完全かんぜんなウイルス粒子りゅうし)がどこにも存在そんざいしないことになり、この時期じき暗黒あんこく、あるいは日食にっしょく月食げっしょくになぞらえてエクリプス (eclipse period) とぶ。

部品ぶひん合成ごうせい[編集へんしゅう]

脱殻ぬけがらにより遊離ゆうりしたウイルス核酸かくさんは、次代じだいのウイルス(むすめウイルス)の作成さくせいのために大量たいりょう複製ふくせいされると同時どうじに、さらにそこからmRNAて、カプソマーなどのウイルス独自どくじタンパク質たんぱくしつ大量たいりょう合成ごうせいされる。すなわちウイルスの合成ごうせいは、その部品ぶひんとなる核酸かくさんタンパク質たんぱくしつ別々べつべつ大量たいりょう生産せいさんし、そのてるという方式ほうしきおこなわれる。

ウイルス核酸かくさん宿主しゅくしゅ細胞さいぼう核酸かくさんとは性質せいしつてきことなるてんおおいために、その複製ふくせい宿主しゅくしゅ酵素こうそだけではまかなえないため、それぞれのウイルスが独自どくじDNAポリメラーゼRNAポリメラーゼなど、転写てんしゃ複製ふくせいかかわる酵素こうそ使つかわれる。またぎゃく転写てんしゃ酵素こうそレトロウイルスでは、宿主しゅくしゅのDNAに自分じぶん遺伝子いでんしむことで、宿主しゅくしゅDNA複製ふくせい機構きこう利用りようする。

タンパク質たんぱくしつ合成ごうせいには、そのタンパク質たんぱくしつをコードするmRNAを作成さくせいするためにウイルス独自どくじ酵素こうそ必要ひつようとする場合ばあいがある。mRNAからタンパク質たんぱくしつへの翻訳ほんやくは、宿主しゅくしゅ細胞さいぼうつ、リボソームなどのタンパク質たんぱくしつ合成ごうせいけい利用りようしておこなわれる。

部品ぶひん集合しゅうごうとウイルス粒子りゅうし放出ほうしゅつ[編集へんしゅう]

別々べつべつ大量たいりょう生産せいさんされたウイルス核酸かくさんタンパク質たんぱくしつ細胞さいぼうない集合しゅうごうする。最終さいしゅうてきにはカプソマーがウイルス核酸かくさんつつみ、ヌクレオカプシドが形成けいせいされる。この機構きこうはウイルスによってまちまちであり、まだ研究けんきゅうすすんでないものもおおい。細胞さいぼうない集合しゅうごうしたウイルスは、細胞さいぼうから出芽しゅつがしたり、あるいは感染かんせん細胞さいぼうぬことによって放出ほうしゅつされたりする。このときエンベロープをつウイルスの一部いちぶは、出芽しゅつがするさいこうむっていた宿主しゅくしゅ細胞さいぼうまく一部いちぶをエンベロープとして獲得かくとくする。

宿主しゅくしゅあたえる影響えいきょう[編集へんしゅう]

ウイルスによる感染かんせんは、宿主しゅくしゅとなった生物せいぶつ細胞さいぼうレベルや個体こたいレベルで様々さまざま影響えいきょうあたえる。そのおおくの場合ばあい、ウイルスが病原びょうげんたいとして作用さようし、宿主しゅくしゅにダメージをあたえるが、一部いちぶのファージやレトロウイルスなどにられるように、ウイルスが外来がいらい遺伝子いでんしはことして作用さようし、宿主しゅくしゅ生存せいぞん有利ゆうりはたられいられている。

細胞さいぼうレベルでの影響えいきょう[編集へんしゅう]

細胞さいぼう変性へんせい効果こうか円形えんけい培養ばいようフラスコそこ敷石しきいしじょう生育せいいくしている培養ばいよう細胞さいぼうがウイルスの感染かんせんによってまる変形へんけいし、やがてフラスコからはがれてプラーク(空隙くうげき写真しゃしん中央ちゅうおう)を形成けいせいする。
細胞さいぼう変性へんせい効果こうかごう胞体)敷石しきいしじょう生育せいいくした培養ばいよう細胞さいぼう同士どうしがウイルス感染かんせんによって細胞さいぼうまく融合ゆうごうこし、細胞さいぼうかく中央ちゅうおう凝集ぎょうしゅうして(写真しゃしん中央ちゅうおう多核たかくきょ細胞さいぼうさま形態けいたいになる。

ウイルスが感染かんせんして増殖ぞうしょくすると、宿主しゅくしゅ細胞さいぼう本来ほんらい自分じぶん自身じしんのためにさんせい利用りようしていたエネルギーや、アミノ酸あみのさんなどの栄養えいようげんがウイルスの粒子りゅうし複製ふくせいのためにうばわれ、いわば「ウイルスにられた」状態じょうたいになる。

これにたいして宿主しゅくしゅ細胞さいぼうタンパク質たんぱくしつ遺伝子いでんし合成ごうせい全体ぜんたいてき抑制よくせいすることで抵抗ていこうしようとし、一方いっぽうでウイルスは自分じぶん複製ふくせいをより効率こうりつてきおこなうために、様々さまざまなウイルス遺伝子いでんし産物さんぶつ利用りようして、宿主しゅくしゅ細胞さいぼう生理せいり機能きのう制御せいぎょしようとする。またウイルスが自分じぶん自身じしんタンパク質たんぱくしつ一時いちじ大量たいりょう合成ごうせいすることは細胞さいぼうにとって生理せいりてきなストレスになり、また完成かんせいした粒子りゅうし放出ほうしゅつするときには宿主しゅくしゅ細胞さいぼうまく細胞さいぼうかべ破壊はかいする場合ばあいもある。このような原因げんいんから、ウイルスが感染かんせんした胞では様々さまざま生理せいりてき形態けいたいてき変化へんかあらわれる。

この現象げんしょうのうちとく形態けいたいてき変化へんかしめすものを細胞さいぼう変性へんせい効果こうか (cytopathic effect, CPE) とぶ。ウイルスによっては、特定とくてい宿主しゅくしゅ細胞さいぼう形態けいたいてき特徴とくちょうのある細胞さいぼう変性へんせい効果こうかこすものがあり、これがウイルスを鑑別かんべつするじょうでの重要じゅうようがかりのひとつになっている。代表だいひょうてき細胞さいぼう変性へんせい効果こうかとしては、細胞さいぼう円形えんけい細胞さいぼう同士どうし融合ゆうごうによるごう胞体 (synsitium) の形成けいせい封入ふうにゅうたい形成けいせいなどがられる。

様々さまざま生理せいり機能きのう変化へんかによって、ウイルスが感染かんせんした細胞さいぼう最終さいしゅうてき以下いかのいずれかの運命うんめい辿たどる。

ウイルス感染かんせんによる細胞さいぼう
ウイルスが細胞さいぼうない大量たいりょう増殖ぞうしょくすると、細胞さいぼう本来ほんらい生理せいり機能きのう破綻はたんしたり細胞さいぼうまく細胞さいぼうかべ破壊はかいきたりする結果けっかとして、おおくの場合ばあい宿主しゅくしゅ細胞さいぼうむかえる。ファージ感染かんせんによる溶菌ようきん現象げんしょうもこれにあたる。細胞さいぼう生物せいぶつ細胞さいぼうでは、ウイルス感染かんせん細胞さいぼう周期しゅうき停止ていしさせたり、MHCクラスIなどの抗原こうげん提示ていじ分子ぶんしかいして細胞さいぼう傷害しょうがいせいT細胞さいぼう活性かっせいしたりして、アポトーシスこすこともられている。感染かんせんした細胞さいぼうみずかぬことで周囲しゅうい細胞さいぼうにウイルスがひろまることをふせいでいるとかんがえられている。がん細胞さいぼうにウイルスを人為じんいてき投与とうよして感染かんせんさせて破壊はかいするウイルス療法りょうほう実施じっし研究けんきゅうされている[31]
持続じぞく感染かんせん
ウイルスによっては、短期間たんきかん大量たいりょうのウイルスをつくってただちに宿主しゅくしゅころすのではなく、むしろ宿主しゅくしゅへのダメージがすくなくなるよう少量しょうりょうのウイルスを長期間ちょうきかんわたって持続じぞくてきさんせい持続じぞく感染かんせん)するものがある。宿主しゅくしゅ細胞さいぼう増殖ぞうしょくするはやさと、ウイルス複製ふくせいによる細胞さいぼうはやさがうと持続じぞく感染かんせん成立せいりつする。テンペレートファージによる溶原もこれにあたる。持続じぞく感染かんせんなかでも、とくにウイルス複製ふくせいおそくて、ほとんど粒子りゅうし複製ふくせいこっていない状態じょうたい潜伏せんぷく感染かんせんぶ。
細胞さいぼう不死ふしとがん
細胞さいぼう生物せいぶつ感染かんせんするウイルスの一部いちぶには、感染かんせんした細胞さいぼう不死ふししたり、がんしたりするものが存在そんざいする。このようなウイルスを腫瘍しゅようウイルスあるいはがんウイルスぶ。ウイルスが宿主しゅくしゅ細胞さいぼう不死ふしあるいはがんさせるメカニズムはまちまちであるが、宿主しゅくしゅ細胞さいぼう感染かんせん抵抗ていこうしてこす細胞さいぼう周期しゅうき停止ていしやアポトーシスに対抗たいこうして、細胞さいぼう周期しゅうき進行しんこうさせたりアポトーシスを抑制よくせいしたりする遺伝子いでんし産物さんぶつつく場合ばあい(DNAがんウイルス)や、細胞さいぼう増殖ぞうしょく活性かっせいする場合ばあい、またレトロウイルスでは宿主しゅくしゅ細胞さいぼうのゲノムにウイルス遺伝子いでんしさいがん抑制よくせい遺伝子いでんし損傷そんしょうすることで、宿主しゅくしゅ細胞さいぼうをがんすることもられている。

個体こたいレベルでの影響えいきょう[編集へんしゅう]

ウイルス感染かんせんは、細胞さいぼうレベルだけでなく細胞さいぼう生物せいぶつ個体こたいレベルでも、様々さまざま病気びょうきこす。このような病気びょうき総称そうしょうしてウイルス感染かんせんしょうぶ。インフルエンザ天然痘てんねんとう麻疹ましん風疹ふうしん後天こうてんせい免疫めんえき不全ふぜん症候群しょうこうぐん (AIDS)、新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょうなどの病気びょうきがウイルス感染かんせんしょうぞくしており、これら感染かんせんしょう病原びょうげんウイルスはしばしばパンデミックこして人類じんるいおおくの犠牲ぎせいしゃした。

また、動物どうぶつではウイルス感染かんせんきると、それに抵抗ていこうして免疫めんえき応答おうとうこされる。血液けつえきなか粘液ねんえきなかのウイルス粒子りゅうしそのものにたいしては、ウイルスにたいする中和ちゅうわ抗体こうたい作用さようする(えきせい免疫めんえき)ことで感染かんせんふせぐ。感染かんせんしたのち細胞さいぼうないのウイルスにたいしては抗体こうたい無効むこうであるが、細胞さいぼう傷害しょうがいせいT細胞さいぼうやNK細胞さいぼうなどが感染かんせん細胞さいぼうころす(細胞さいぼうせい免疫めんえき)ことで感染かんせん拡大かくだいふせぐ。免疫めんえき応答おうとうはまた、特定とくていのウイルス感染かんせんたいして人工じんこうてき免疫めんえき付与ふよするワクチンによってもさんされる。AIDSやウイルスせい肝炎かんえん原因げんいんとなるものをふく一部いちぶのウイルスは、これらの免疫めんえき応答おうとう回避かいひし、慢性まんせい感染かんせんしょうこす。

ウイルス感染かんせんしょうにおける症状しょうじょうなかには、ウイルス感染かんせん自体じたいによる身体しんたい異常いじょうもあるが、むしろ発熱はつねつ感染かんせん細胞さいぼうのアポトーシスなどによる組織そしき傷害しょうがいのように、上記じょうきのような免疫めんえき応答おうとうふくむ、たいウイルスせい身体しんたい防御ぼうぎょ機構きこう発現はつげん自体じたい健康けんこう身体しんたい生理せいり機構きこう変化へんかさせ、さらには身体しんたい恒常こうじょうせいたいするダメージともなり、疾患しっかん症状しょうじょうとしてあらわれるものがおおい。

人類じんるい生物せいぶつ進化しんかさい後尾こうびにあり、動物どうぶつからのホストジャンプにより多数たすうのウイルスがヒトにとっての病原びょうげんたいとなったとかんがえられる。それらのウイルスも、天然てんねん宿主しゅくしゅでは無害むがいであることがおおい。そうなる仕組しくみは、弱毒じゃくどくしたウイルスが感染かんせんした宿主しゅくしゅ長期間ちょうきかん行動こうどうし、感染かんせん機会きかいえるため、ウイルスの適応てきおう進化しんかこす、とかんがえられる。すなわち、一般いっぱんながればウイルスは弱毒じゃくどくする。しかし、短期たんきてきにはつよどくする場合ばあいもあり、長期ちょうきてき弱毒じゃくどく理由りゆうにウイルスを軽視けいしすることはできない[32]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 日本にっぽん細菌さいきん学会がっかい意訳いやく中国ちゅうごくれられ、現在げんざいでも使用しようされている。
  2. ^ 労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい規則きそく昭和しょうわよんじゅうななねん労働省ろうどうしょうれいだいさんじゅうごうだい61じょうだい1こうだい1ごう”. e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく. 2019ねん12月17にち閲覧えつらんに「病毒びょうどくでんぱのおそれのある伝染でんせんせい疾病しっぺいにかかったもの」とあるが、この場合ばあい伝染でんせんせい疾患しっかんとは結核けっかくすとされている(労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい規則きそくとう一部いちぶ改正かいせいする省令しょうれい施行しこうについて 平成へいせい12ねん3がつ30にちもとはつだい207ごうより)。すなわち、この場合ばあい病毒びょうどくはウイルスではなく、細菌さいきんである結核けっかくきんす。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

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  • 医学いがくウイルスがく』David O. White, Frank J. Fenner
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  • 医学いがく細菌さいきんがく中野なかの昌康まさやす 菜根さいこん出版しゅっぱん
  • ちゅう屋敷やしきひとし『ウイルスはきている』講談社こうだんしゃ、2016ねん3がつ16にちISBN 4062883597 
  • 辻野つじの, たくみ学名がくめいラテン語らてんご)のカナ表記ひょうきについての試論しろん」『地質ちしつニュース(産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ地質ちしつ調査ちょうさ総合そうごうセンターへん)』だい675かん実業じつぎょう公報こうほうしゃ、2010ねん11月、61-70ぺーじISSN 00094854“vはつねに[w](ワ行頭ぎょうとう子音しいん)になる.[v]ではないので注意ちゅういされたい.たとえば,virusはウィールスとなる(英語えいごではヴァイラス).” 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

生物せいぶつ以外いがい

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]