ターボチャージャー

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ギャレットせい自動車じどうしゃようターボチャージャーのコンプレッサーがわ

ターボチャージャーえい: turbocharger)は、排気はいきながれを利用りようしてコンプレッサ(圧縮あっしゅく)を駆動くどうして内燃ないねん機関きかん吸入きゅうにゅうする空気くうき密度みつどたかくするきゅうである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ターボチャージャーのカットモデル。あか部分ぶぶん排気はいき導入どうにゅうされ、あお部分ぶぶん吸気きゅうき圧縮あっしゅくされる。

ターボチャージャーはおもに、排気はいきながれをけて回転かいてんするタービン(えい: turbine)と、タービン回転かいてんりょく伝達でんたつするシャフト(えい: shaft)、伝達でんたつされたタービンの回転かいてんりょく空気くうきんで圧縮あっしゅくするコンプレッサー(えい: compressor)、そして、タービンとコンプレッサーの周辺しゅうへんながれを制御せいぎょするハウジング(えい: housing)で構成こうせいされる。コンプレッサーには遠心えんしんしき圧縮あっしゅく利用りようされ、タービンとコンプレッサーは1ほんのシャフトのりょうはし固定こていされていて、タービンとコンプレッサーはおな回転かいてん速度そくど回転かいてんする。

エンジンが吸入きゅうにゅうする空気くうき密度みつどたかめて、よりおおくの酸素さんそ燃焼ねんしょうしつおくり、よりたか燃焼ねんしょうエネルギーをるのがきゅうであるが、コンプレッサーの動力どうりょくをエンジンの出力しゅつりょくじくから機械きかいしききゅうくらべ、通常つうじょう廃棄はいきされる排気はいき運動うんどうエネルギー回収かいしゅうして駆動くどうされるため効率こうりつたかい。

タービンの回転かいてん速度そくど自動車じどうしゃようなど小型こがたのものの場合ばあい、20まん rpmえるものもあり[1]高温こうおん排気はいき(800 - 900[1]直接ちょくせつける。軸受じくうけエンジンオイル潤滑じゅんかつされる場合ばあいおおく、エンジンには高温こうおん環境かんきょうえる性能せいのうもとめられる。また、エンジンを停止ていしするとオイルポンプによる循環じゅんかんまるため、こう負荷ふか運転うんてんによって高温こうおんになった状態じょうたいでエンジンを停止ていしすると軸受じくうけきつきや、滞留たいりゅうしたオイルがスラッジ発生はっせいする原因げんいんとなる。これをふせぐために自動車じどうしゃ取扱とりあつかい説明せつめいしょなどではエンジンを停止ていしするまえに、アイドリングつづけてねつますことが推奨すいしょうされている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

スイス蒸気じょうきタービン技術ぎじゅつしゃであるアルフレート・ビュッヒによって発明はつめいされ[ちゅう 1]1905ねん特許とっきょ取得しゅとくされた。1912ねんドイツルドルフ・ディーゼルディーゼル機関きかんしゃてい回転かいてんいきトルク向上こうじょうさせるために、ビュッヒの在籍ざいせきしていたスルザーしゃ提携ていけいし、ターボチャージャーを導入どうにゅうしようとこころみた[2]。ビュッヒのターボディーゼルエンジンは1925ねんには完成かんせいし、船舶せんぱく中心ちゅうしんひろ普及ふきゅうした[3]

アメリカではだいいち大戦たいせん末期まっきというはや時期じき飛行機ひこうきよう発動はつどうようのものが開発かいはつされてこう高度こうど飛行ひこうおこなわれるなど、他国たこく先駆さきがけた研究けんきゅうおこなわれ、1930年代ねんだい中頃なかごろには次世代じせだいがた軍用ぐんようようのパワーアップよう機材きざいとして本格ほんかくてき量産りょうさんすすめられ、1930年代ねんだい後半こうはんには量産りょうさん可能かのう体制たいせいととのえられて、だい世界せかい大戦たいせんにおける連合れんごうこくがわ航空こうくう戦略せんりゃく優勢ゆうせい寄与きよした。

一方いっぽう大日本帝国だいにっぽんていこくではアメリカにならって航空機こうくうきよう研究けんきゅうすすめられていたが、船舶せんぱくようエンジンようのものもおこた研究けんきゅうすすめられ、1942ねん日本にっぽんはじめて2ストロークディーゼルエンジンにターボチャージャーが導入どうにゅうされた[3]。MANしゃせいユニフロー掃気しきディーゼルエンジンをベースに三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう軍用ぐんよう船舶せんぱくけに開発かいはつしたもので、ルーツブロワにターボチャージャーを直列ちょくれつ接続せつぞくされた。開発かいはつ当初とうしょはルーツブロワを中心ちゅうしんきゅうおこなっていたが、次第しだいにターボチャージャーにきゅう比率ひりつ移行いこうさせていき、最終さいしゅうてきにはターボチャージャーのみでの駆動くどう成功せいこうし、1944ねん特許とっきょ取得しゅとくした[3]。しかし、大日本帝國だいにっぽんていこく海軍かいぐん軍用ぐんよう船舶せんぱくへの導入どうにゅう終戦しゅうせんまでにはわず、船舶せんぱくへのはつ採用さいよう戦後せんご旅客船りょかくせん舞子まいこまる」であった[3]

一方いっぽう航空こうくうようでは試作しさくレベルのものが雷電らいでんしき戦闘せんとう搭載とうさいされたれいがあるが、たいねつ合金ごうきんなどをふく技術ぎじゅつてき難題なんだい克服こくふくしきれず、実装じっそう問題もんだいがありすぎて実用じつようはできなかった[4]

市販しはんのガソリン自動車じどうしゃようとしては、1962ねんにアメリカのゼネラルモーターズ(GM)が「オールズモビル・F85」と「シボレー・コルヴェア」にオプション設定せっていしたのが最初さいしょであった。欧州おうしゅうしゃでは1973ねんBMW・2002ターボはつ採用さいようされた。1978ねんにはB&W舶用はくよう2ストロークディーゼルエンジンにしずかあつきゅう方式ほうしきのターボチャージャーを導入どうにゅうしてねつ効率こうりつ向上こうじょうした[2]日本にっぽんしゃでは1979ねん日産にっさん・セドリック / グロリアはつ採用さいようされた。

日本にっぽんにおいて、1980ねんだい後半こうはん普通ふつう乗用車じょうようしゃ(3ナンバー)と小型こがた乗用車じょうようしゃ(5ナンバー)の自動車じどうしゃぜいおおきく(5ナンバー39,500えん、3ナンバー3000cc未満みまん81,500えん)、小型こがた乗用車じょうようしゃ排気はいきりょう上限じょうげんである2,000ccのエンジンにターボチャージャーを搭載とうさいする車種しゃしゅ高級こうきゅうしゃやスポーツカーを中心ちゅうしんえた。また、当時とうじ日本にっぽん同様どうようだい排気はいきりょうしゃたいして高額こうがく課税かぜいおこなっていたくにとしてイタリアがげられ、フェラーリもイタリアけのみフェラーリ・308排気はいきりょう縮小しゅくしょうした208GTS設定せっていされ、それにはターボ搭載とうさいしゃ設定せっていされた。また当時とうじのターボ搭載とうさいエンジンにおいては、ノッキング対策たいさくのため意図いとてき混合こんごうふくまれるガソリンの割合わりあいたかめており、それも燃費ねんぴ悪化あっか要因よういんとなった。またディーゼルエンジンはノッキング対策たいさく不要ふようなことなどでターボとの相性あいしょういため、ディーゼルしゃではターボ搭載とうさい積極せっきょくてきつづけられている。2005ねん以降いこうフォルクスワーゲンはエンジンをしょう排気はいきりょうしてターボチャージャーによりトルクや馬力ばりきおぎなダウンサイジングコンセプト採用さいようする車種しゃしゅやし、欧州おうしゅうメーカーも追随ついずいしている。旧来きゅうらいのターボチャージャづけエンジンではノッキングを低減ていげんするためにそらもえくしていたため燃費ねんぴ向上こうじょうむずかしかったが、ダウンサイジングコンセプトを採用さいようする近年きんねん車種しゃしゅでは燃料ねんりょう供給きょうきゅう装置そうちちょく噴化によってそらもえくすることなくノッキング対策たいさくおこなっている。2013ねん以降いこうは、日本にっぽんのメーカーも欧州おうしゅう状況じょうきょう追随ついずいして、燃料ねんりょう噴射ふんしゃちょく噴化との併用へいようによるターボ搭載とうさいがなされるようになった。また欧州おうしゅうでは乗用車じょうようしゃへのディーゼルエンジンの採用さいようにも積極せっきょくてきであり、そのおおくにターボが装備そうびされている。日本にっぽん市場いちばにおけるディーゼルエンジン(+ターボ)搭載とうさい乗用車じょうようしゃ販売はんばいも、徐々じょじょになされるようになってきた。

機械きかいしききゅうとの比較ひかく[編集へんしゅう]

エンジンの出力しゅつりょくじくから機械きかいてき機構きこうかいして動力どうりょくスーパーチャージャー機械きかい損失そんしつ(メカニカルロス)がしょうじるが、ターボチャージャーは排気はいきガスのねつ運動うんどうエネルギーとして廃棄はいきされるエネルギー(排気はいき損失そんしつ)の一部いちぶ利用りようして駆動くどうするため、エンジン出力しゅつりょくじく機械きかい損失そんしつがなく、わずかな排気はいき抵抗ていこうしょうじるのみである。一般いっぱんてきにシリンダーない燃焼ねんしょうられるエネルギーのうち排気はいき損失そんしつとなるのは40%とされており、ターボチャージャーは7 - 10%を回収かいしゅうできるとされている[5]

一方いっぽうで、吸気きゅうき配管はいかん排気はいき配管はいかん両方りょうほうがターボチャージャーを経由けいゆするため、エンジンルームのレイアウトが複雑ふくざつする。また、自動車じどうしゃなどのようにエンジンの回転かいてん速度そくど運転うんてんちゅうおおきく変動へんどうする用途ようとでは低速ていそく回転かいてんから高速こうそく回転かいてんへの過渡かと運転うんてんに、タービンが充分じゅうぶんきゅうあつられる回転かいてん速度そくど到達とうたつするまでにおくれがしょうじるターボラグばれる現象げんしょう発生はっせいしやすい。すなわちスロットル操作そうさたいするエンジンの出力しゅつりょく上昇じょうしょうおくれがしょうじやすい。ターボチャージャーの軸受じくうけ高温こうおんとなるためたい熱性ねっせいたかいボールベアリングがもちいられる場合ばあいや、オイルを循環じゅんかんして冷却れいきゃく潤滑じゅんかつおこなっている場合ばあいおおい。自動車じどうしゃなどの用途ようとではエンジンオイルで冷却れいきゃく潤滑じゅんかつしているためエンジンオイルの劣化れっかすすみやすい。

ターボラグの影響えいきょうちいさくする方策ほうさくとして、タービンの軽量けいりょうやターボチャージャーを小型こがたするなどの方策ほうさくかくメーカーでおこなわれている。F1では2014ねんより、後述こうじゅつするようにターボをもちいてモーター(MGU-H)をまわ発電はつでんする「ねつ回生かいせい」がみとめられたため、ぎゃくにMGU-Hに電力でんりょくながして強制きょうせいてきにタービンをまわすことでターボラグを解消かいしょうする手法しゅほう導入どうにゅうされた。

自然しぜん吸気きゅうきとの比較ひかく[編集へんしゅう]

5代目だいめフォルクスワーゲン・ゴルフ搭載とうさいされたTSIエンジンがダウンサイジングターボの先駆さきがけとされている。

きゅう吸入きゅうにゅう空気くうき機関きかんあつおくするため、単位たんい排気はいきりょうあたりの出力しゅつりょく向上こうじょうする。しかし一方いっぽうで、出力しゅつりょく増加ぞうかともなって、燃焼ねんしょう温度おんどたかく、シリンダーないあつたかくなるためヘッドガスケットシリンダーヘッドシリンダーブロック強度きょうどピストンたい熱性ねっせいたかくする必要ひつようがある。コンプレッサーによる圧縮あっしゅくやタービンからのねつ伝導でんどうにより吸気きゅうき温度おんどたかくなる。インタークーラー圧縮あっしゅく吸気きゅうき冷却れいきゃくし、空気くうき充填じゅうてんりつ向上こうじょうはかっているれいおおい。

ガソリンエンジンの場合ばあいは、きゅうによりエンジンの圧縮あっしゅく行程こうてい混合こんごうがより高温こうおんになるため、デトネーション発生はっせいしやすくなる。この対策たいさくとしてどう型式けいしき自然しぜん吸気きゅうきエンジンよりも圧縮あっしゅくひく設定せっていしたり、そらもえ[6]設定せっていする場合ばあいがある。圧縮あっしゅくひくくした場合ばあいきゅう効果こうかられない回転かいてんいきねつ効率こうりつ低下ていかし、自然しぜん吸気きゅうきエンジンよりも出力しゅつりょく低下ていかする。またそらもえくすることで走行そうこう燃費ねんぴ悪化あっかする。

このようにコストや燃費ねんぴという観点かんてんから、従来じゅうらいガソリンしゃではハイパフォーマンスモデルをのぞいて自然しぜん吸気きゅうきエンジンが基本きほんであったが、近年きんねんではガソリンをシリンダーない直接ちょくせつ噴射ふんしゃする技術ぎじゅつガソリンちょく噴エンジン)により圧縮あっしゅく行程こうていでは空気くうきのみを圧縮あっしゅくするようになったためデトネーションの問題もんだい解消かいしょうされ、2010ねん以降いこう乗用車じょうようしゃでは排気はいきりょうちいさくするわり、きゅうによって出力しゅつりょくおぎない、総合そうごうてき燃費ねんぴ改善かいぜんするダウンサイジングコンセプト流行りゅうこうしており、普通ふつう乗用車じょうようしゃでもターボエンジンを採用さいようするのはごく一般いっぱんてきになっている。

用途ようと[編集へんしゅう]

キハ183けい気動車きどうしゃDMF13HZがたエンジンに装着そうちゃくされているターボチャージャー

ターボチャージャーは船舶せんぱく発電はつでん建設けんせつ機械きかい鉄道てつどう車両しゃりょう自動車じどうしゃなどでひろ利用りようされている。とく船舶せんぱく発電はつでんなど、エンジンの回転かいてん速度そくどおおきく変化へんかしない用途ようとではターボチャージャーの設計せっけいをその運転うんてん条件じょうけん最適さいてきしやすく、ターボチャージャー特有とくゆう欠点けってんであるターボラグが発生はっせいすることがないためてきしている。また、ディーゼルエンジン空気くうきのみをシリンダー吸入きゅうにゅうして圧縮あっしゅくおこなうため、ガソリンエンジンでしょうじるデトネーションがこらず、部分ぶぶん負荷ふかいきにおいても吸気きゅうき経路けいろしぼらないためきゅうとの相性あいしょうとくい。

自動車じどうしゃなど[編集へんしゅう]

自動車じどうしゃなどではディーゼルエンジンを搭載とうさいしたトラック、バスのほか、モータースポーツよう車両しゃりょうスポーツカーなどでも一般いっぱんてきもちいられる。ターボチャージャーを搭載とうさいしたはつ市販しはんしゃ1973ねんデビューのBMW・2002ターボである。日本にっぽん国内こくないでは1979ねんデビューの日産にっさん・430がたセドリックグロリア)がはじめてターボを搭載とうさいしたグレードを登場とうじょうさせ、以後いごブルーバードスカイラインひとし主力しゅりょく車種しゃしゅにもターボ搭載とうさいモデルが誕生たんじょう日産自動車にっさんじどうしゃ国産こくさんターボしゃ先駆さきがけとなった。路線ろせんバスよう車種しゃしゅは2005ねん後半こうはんからダウンサイジングによって燃費ねんぴ排出はいしゅつガスを低減ていげんするためにターボチャージャーを搭載とうさいするれい所謂いわゆるダウンサイジングターボ)がえてきている。

2010年代ねんだい以降いこう欧州おうしゅうメーカーの乗用車じょうようしゃではしょう排気はいきりょうガソリンちょく噴エンジン採用さいようしてエンジンを小型こがた軽量けいりょうしながらターボチャージャーにより出力しゅつりょくおぎなダウンサイジングコンセプト採用さいようする車種しゃしゅえ、ターボチャージャーの搭載とうさい車種しゃしゅえつつある。ロープレッシャーターボやツインスクロールターボを採用さいようし、てい回転かいてんからなかこう回転かいてんまでフラットな特性とくせいおおきなトルクを発生はっせいさせている。日本にっぽん乗用車じょうようしゃではむかしから軽自動車けいじどうしゃでターボチャージャーが採用さいようされている。また、かつては自動車じどうしゃぜい税額ぜいがくが3ナンバーと5ナンバーでおおきくことなっていたため、5ナンバーボディには排気はいきりょう2,000cc以下いかのエンジンにターボチャージャーが利用りようされるケースがおおかった。同様どうよう税金ぜいきん体系たいけいっていたイタリアでも排気はいきりょう2,000cc以下いかのエンジンにターボチャージャーが利用りようされるケースがおおかった。

モータースポーツ[編集へんしゅう]

ルノー・アルピーヌ A442B(1978ねん
メルセデス・F1 W07 Hybrid(2016ねん

元々もともとはターボラグや信頼しんらいせい問題もんだいからターボは敬遠けいえんされていたが、1970年代ねんだい後半こうはんルノール・マン24あいだレースいでF1席巻せっけんするようになってから、様々さまざまなカテゴリでもちいられるようになった。ターボは予選よせん一発いっぱつがほしいとききゅうあつたかめ、はやさと燃費ねんぴ両立りょうりつ重要じゅうよう決勝けっしょうではきゅうあつげられるため、とくグループC時代じだい耐久たいきゅうレース重宝ちょうほうされた。

しかしF1でホンダウィリアムズ供給きょうきゅうしていたエンジン(RA166E)でも1,500cc Vがた6気筒きとうツインターボ構成こうせいによりレースちゅうで776kW(1055馬力ばりき)を発生はっせいしたとわれ[7]安全あんぜんせい理由りゆう1987ねんからレギュレーションによりきゅうあつ制限せいげんくわえられ(1987ねん最大さいだい4bar1988ねん最大さいだい2.5bar)、F1では1988ねんシーズンを最後さいごきゅう使用しよう禁止きんしされた。

またのカテゴリでも、自然しぜん吸気きゅうきエンジンのほうがてい価格かかくたい市販しはんしゃのラインナップにおおいため参戦さんせんしやすいというマーケティングの都合つごうや、コストを削減さくげんしやすいという観点かんてんから、90~00年代ねんだいのラリーの下位かいクラスやツーリングカーレースラリーレイドなどでガソリンターボは禁止きんしされる傾向けいこうにあった。

2010年代ねんだいはいるとダウンサイジングターボの流行りゅうこう市販しはんしゃにターボしゃえたことで、一転いってんしておおくのカテゴリでしょう気筒きとうすう(4〜6気筒きとう程度ていど)であることを前提ぜんていにほとんどのカテゴリでターボエンジンが導入どうにゅうされるようになった。F1では2014ねんからは1,600cc Vがた6気筒きとうエンジンにシングルターボをわせて使用しようすることが可能かのうとなった。またエンジンだけではなくハイブリッドシステムとのわせにより、ターボのタービンシャフトにモーターを接続せつぞくし、排気はいきガスのエネルギーを利用りようしてモーターをまわ発電はつでんさせる「ねつ回生かいせい」が無制限むせいげんみとめられたことから、いかにターボと回生かいせいようモーター(MGU-H)で効率こうりつよくエネルギーを回収かいしゅうするかが重要じゅうようとなっている(運動うんどうエネルギー回生かいせいシステム#ねつ回生かいせいとレギュレーション参照さんしょう)。

航空機こうくうき[編集へんしゅう]

航空こうくうようエンジンでは1950年代ねんだいまではおおくがレシプロエンジンだったことから、気圧きあつひくい(酸素さんそすくない)高空こうくうでの出力しゅつりょく維持いじのためにきゅう研究けんきゅうおこなわれた。当初とうしょ機械きかいしきのスーパーチャージャーのみが採用さいようされたが、次第しだいにターボチャージャーをもちいる機種きしゅあらわれるようになった(代表だいひょうれいB-29P-38P-47)。

フルスロットルで所定しょてい出力しゅつりょくせる高度こうどである臨界りんかい高度こうど海面かいめん高度こうどおな出力しゅつりょく発揮はっきできる限界げんかいたかさ)までエンジン出力しゅつりょく維持いじするため、タービンにおく排気はいき高度こうどおうじて自動的じどうてきにバイパスりゅう開閉かいへいするきんみちべんばれるバルブを搭載とうさいしており、気圧きあつひくこう高度こうどではバイパスりゅうじてタービンにおく排気はいきやして吸気きゅうき圧力あつりょく上昇じょうしょうさせ、気圧きあつたかてい高度こうどではバイパスりゅうひらいてタービンにおく排気はいきらして吸気きゅうき圧力あつりょく低下ていかさせてエンジン出力しゅつりょく一定いっていにさせる。地上ちじょうから臨界りんかい高度こうどまでは一定いっていのエンジン出力しゅつりょくたもつことができるが、臨界りんかい高度こうど以上いじょうとなるとエンジン出力しゅつりょく低下ていかしていく[8]

現代げんだいではジェットエンジンターボプロップエンジン高性能こうせいのうにより、レシプロエンジンを採用さいようするのは小型こがたかぎられているが、高空こうくう性能せいのうよりもエンジンサイズをおさえながらの出力しゅつりょく増強ぞうきょうするために搭載とうさいしている。なおレシプロエンジンにターボチャージャーを搭載とうさいしても、免許めんきょ自然しぜん吸気きゅうきわらず『ピストン』であるため、設計せっけいはそのままでエンジンのみターボチャージャーきにかわそうした機体きたい上位じょういモデルとしているメーカーもある。

主要しゅようメーカー[編集へんしゅう]

種類しゅるいおも自動車じどうしゃ用語ようご[編集へんしゅう]

  • ロープレッシャーターボ(ライトプレッシャーターボ/低圧ていあつターボ)
  • ツインスクロールターボ
  • 可変かへんノズル(VG)ターボ
  • 電動でんどうアシストターボ[9][10][11]
    • 2011ねん5がつに、IHIから電動でんどうアシストターボの製品せいひん発表はっぴょうされた。タービンのきゅう効果こうか発現はつげんする回転かいてんすうなど詳細しょうさい性能せいのう公表こうひょうされていない。(吸気きゅうきタービンが回転かいてんすればきゅうあつ発生はっせいするものの、エンジン単体たんたいでのターボきゅう開始かいし回転かいてんすうよりも低速ていそくから回転かいてんさせなければターボラグなどのトルク変動へんどう原因げんいんとなる)
  • スリーホイールターボ(TWT:Three Wheel Turbochager)
    • 吸・排気はいきくわえて低速ていそく回転かいてんをアシストする部位ぶい(ホイール)を追加ついかしスリーホイールとしたもの。広義こうぎには前述ぜんじゅつ電動でんどうアシストなどもふくまれるが、用語ようごとしては油圧ゆあつかいしてオイルタービンをまわしアシストをおこなうものに使つかわれることおおい。油圧ゆあつしきおも商用しょうようディーゼルしゃけに研究けんきゅう開発かいはつおこなわれていたがきわめてたか油圧ゆあつ要求ようきゅうされるなどの課題かだいがあり普及ふきゅうにはいたっていない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ これは今日きょうターボコンパウンドエンジンでもあった。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 中野なかの 弘二こうじ和田わだ 裕介ゆうすけ城野しろの みのるかんがえなりこう しげる新型しんがた直列ちょくれつ4気筒きとうガソリンちょく噴過きゅうダウンサイジングエンジン」『Honda R&D Technical Review』 Vol.28 No.1、2016ねん、133-139ぺーじ
  2. ^ a b 鈴木すずきたかし 2001.
  3. ^ a b c d いまきゅうはじむこう一郎いちろう排気はいきガスタービンきゅう技術ぎじゅつ系統けいとう調査ちょうさ」『技術ぎじゅつ系統けいとう調査ちょうさ報告ほうこくだい16しゅう国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん、2011ねん
  4. ^ ぜんあいだ孝則たかのりちょ『マン・マシンの昭和しょうわ伝説でんせつ
  5. ^ 日本にっぽん財団ざいだん図書館としょかん電子でんし図書館としょかん) 3Sきゅう舶用はくよう機関きかん整備せいび指導しどうしょ”. 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん 日本にっぽん財団ざいだん. 2015ねん12月9にち閲覧えつらん
  6. ^ ほう火炎かえん伝播でんぱ速度そくどおそいためデトネーションがおさえられる
  7. ^ だい19かいガスタービン定期ていき講演こうえんかい講演こうえんろん文集ぶんしゅう(’91-5)
  8. ^ 石田いしだみつる三郎さぶろう、1989、『航空機こうくうきようピストン・エンジン』、日本航空にほんこうくう技術ぎじゅつ協会きょうかい航空こうくう工学こうがく講座こうざ 10〉 ISBN 4930858100 p. 138
  9. ^ 電動でんどうアシストターボ!!」(PDF)『IHI わざほうだい51かんだい1ごう、2011ねん 
  10. ^ 燃費ねんぴが1わり改善かいぜん~IHIの電動でんどうアシストターボ”. 日刊にっかん自動車じどうしゃ新聞しんぶん. (2010ねん10がつ14にち). http://www.njd.jp/topNews/dt/1079/ 
  11. ^ 茨木いばらぎ誠一せいいち山下やました幸生さちお住田すみた邦夫くにお荻田おぎた浩司こうじ「[http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/433/433036.pdf 電動でんどうアシストターボチャージャ "ハイブリッドターボ"の開発かいはつ]」(PDF)『三菱重工みつびしじゅうこうわざほうだい43かんだい3ごう、2006ねん 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 鈴木すずきたかし、2001、『20世紀せいきのエンジン : スリーブバルブと航空こうくうディーゼルの興亡こうぼう』、三樹みき書房しょぼう ISBN 4895222837
  • ぜんあいだ孝則たかのり、1993、『マン・マシンの昭和しょうわ伝説でんせつ : 航空機こうくうきから自動車じどうしゃへ』じょう講談社こうだんしゃ ISBN 4062059983 NCID BN09468958
  • ぜんあいだ孝則たかのり、1993a、『マン・マシンの昭和しょうわ伝説でんせつ : 航空機こうくうきから自動車じどうしゃへ』した講談社こうだんしゃ ISBN 4062065819 NCID BN09468958

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]