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バジル

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バジリコから転送てんそう
バジル
バジル
分類ぶんるいAPG IV
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : キクうえるい Superasterids
階級かいきゅうなし : キクるい Asterids
階級かいきゅうなし : シソるい Lamiids
: シソ Lamiales
: シソ Lamiaceae
: イヌハッカ Nepetoideae
れん : メボウキれん Ocimeae
ぞく : メボウキぞく Ocimum
たね : メボウキ O. basilicum
学名がくめい
Ocimum basilicum L. (1753)[1]
和名わみょう
メボウキ
英名えいめい
Basil

バジル英語えいご: Basil勒(ラロク)[2]、蘿艻、学名がくめい: Ocimum basilicum)は、シソメボウキぞく[ちゅう 1]多年草たねんそう日本にっぽんでは越冬えっとうできないのでいちねんくさとしてあつかわれる)。インド熱帯ねったいアジア原産げんさんハーブである[4]和名わみょうメボウキほうき[5]イタリア由来ゆらいバジリコ (Basilico) のでもられる[2]リンネの『植物しょくぶつたね』(1753ねん) で記載きさいされた植物しょくぶつしゅの1つでもある[6]トマト使つかった料理りょうりによくい、胃腸いちょうととのえたり、食欲しょくよく増進ぞうしん作用さようがある。

名称めいしょう

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英語えいごめい Basil(バジル)ならびにイタリアめい Basilico(バジリコ)の名称めいしょうは、「おう」を意味いみするギリシャβασιλεύςバシレウス)に由来ゆらいするというせつのほか、伝説でんせつじょう怪物かいぶつバジリスクえい: basilisk, : basiliscus, 古希こき: βασιλίσκος [basiliskos])に由来ゆらいするというせつもある[7]。ただし、怪物かいぶつバジリスクの名称めいしょうもとはギリシャβασιλεύς由来ゆらいしている。

和名わみょうメボウキほうき)は、種子しゅし果実かじつ)が水分すいぶん吸収きゅうしゅうするとすぐにゼリーじょう物質ぶっしつつつまれるようになり、これがはいったゴミをとるのに役立やくだったというところから名付なづけられている[3][8]

特徴とくちょう

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インド熱帯ねったいアジア原産げんさん[5][9]アフリカユーラシア大陸たいりく熱帯ねったい分布ぶんぷする[3]日本にっぽんではいち年生ねんせい草本そうほん[2]。「バジル」とばれるハーブには、Ocimum basilicum 以外いがいたね由来ゆらいするものもふくめ、およそ150種類しゅるい栽培さいばい品種ひんしゅがあるといわれ[3]なかでももっともポピュラーなバジルの品種ひんしゅがスイートバジル(O. basilicum)である[10][5]。バジルの緑色みどりいろ一般いっぱんてきであるが、むらさきたね(パープルバジル O. basilicum 'Purpurescens' など)もある[5]かおりの主成分しゅせいぶんメチルカビコール(エストラゴール)、リナロールシネオールオイゲノールで、刺激しげきせいひくなまでもべられる。スイートバジルしゅは、あまくてスパイシーな芳香ほうこうがある[10]

ドライにしてもべられるハーブで、カロテンビタミンEのほか、ミネラルぶん豊富ほうふ熱帯ねったいアジア、インド原産げんさんのためさむさによわい。えつけは、気温きおん十分じゅうぶんがる5月が適期てっき[11]

一般いっぱんてきなスイートバジルでは草丈くさたけ60センチメートル (cm) から90 cmになり[2]品種ひんしゅによって30 cmから150 cmまで生長せいちょうする。ふとちょく根性こんじょうばす。あるじくき直立ちょくりつし、よくぶんえだする[2]くき断面だんめん四角形しかっけいで、は5 - 6 cmの葉柄ようへいがついて対生たいせいする[2]たまごがたながさ5 - 12 cmあり、えんどん鋸歯きょしがつき、表面ひょうめんはやや波状はじょう光沢こうたくがある緑色みどりいろ裏面りめんはい緑色みどりいろである[2]。ただし、栽培さいばい品種ひんしゅによって様々さまざまおおきさとかたちをしている。花穂かすいかくえださきにつき、花穂かすいながさは12 - 25 cm、かくふしに6はなずつせいする[2]はなちいさく、白色はくしょくくちびるがたはなながさ1 cm、しべは4ほんつく[2]果実かじつちょう球形きゅうけいながさ2ミリメートル (mm) 、はば1.5 mmほどで、黒色こくしょくをしている[2]果実かじつ種子しゅし)は脱落だつらくするとすぐ発芽はつがするため、休眠きゅうみんはないとかんがえられている[12]

歴史れきし

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絵画かいがえがかれたバジル

インドマレーシア熱帯ねったいアジア原産げんさんで、16世紀せいきヨーロッパ紹介しょうかいされた[2]。バジルは、アレキサンダー大王だいおうによって、インドからヨーロッパにつたえられたとするせつがある。イギリスには16世紀せいきに、アメリカには17世紀せいき渡来とらいしている。

インドではホーリーバジルが、クリシュナかみヴィシュヌかみささげる神聖しんせいなハーブとされる。ヒンズひんずきょうせいなるハーブであり、アーユルヴェーダ医学いがくでは、トゥルシ(Tulasi)とばれ、ジュースにもちいられる[13]。またバジルは、ペルシャエジプトでははかえるくさとされていた。

歴史れきしてきにみて、とてもよくられているハーブであり、様々さまざま儀礼ぎれい迷信めいしんむすびついている。むかしのインドでは葬儀そうぎさい死者ししゃよこにバジルをそなえることで、故人こじん黄泉よみくに無事ぶじにたどりけるとかんがえられた。中世ちゅうせいヨーロッパでは、サソリがバジルをこのむとかんがえられており、粉末ふんまつにしたバジルをむとあたまのなかにサソリがくとしんじられていた[14]

日本にっぽんへは江戸えど時代じだい中国ちゅうごくから薬草やくそうとして導入どうにゅうされた[3]文献ぶんけんでは、貝原かいばら益軒えきけんの『大和やまと本草ほんぞう』(1709ねん)の雑草ざっそうるいに「勒」としてたのがはじめである[2]明治めいじ初年しょねん以降いこうにしばしば導入どうにゅうされてきたが普及ふきゅうにはいたらず、もっぱら乾燥かんそうひん輸入ゆにゅうされてきた[2]日本にっぽんでも2000年代ねんだい以降いこう生葉いくは市場いちば流通りゅうつうするようになり、イタリア料理りょうりもちいられるようになった[2]

栽培さいばい

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十分じゅうぶん日当ひあたりがあり、肥沃ひよくみずはけがく、風通かぜとおしのいところにけて栽培さいばいする[3][9]あつさにつよく、さむさにはよわ性質せいしつで、はるあたたかくなったころにたねをまき、初夏しょかから初秋しょしゅうにかけて利用りようするため収穫しゅうかくする[15][16]栽培さいばいなんはふつうで、連作れんさく可能かのうである[15]発芽はつがには25くらいの温度おんど必要ひつよう[17]生育せいいくには10以上いじょう温度おんど必要ひつようで、栽培さいばい適温てきおんは25 - 30とされ[15]、15では生育せいいくきわめてわるく、20でも生育せいいく緩慢かんまんである[12][9]。ヨーロッパでは夏期かき高温こうおんになる地中海ちちゅうかい沿岸えんがんではよく栽培さいばいされているが、なつ温度おんど不足ふそくするイギリスドイツなどでは栽培さいばいがほとんどおこなわれていない[12]日本にっぽんでは北海道ほっかいどうでの生育せいいくがよくないといわれている[12]播種はしゅから開花かいかまでにかかる日数にっすうたねまきの時期じき気温きおん)にもよるが、おおよそ60にち前後ぜんこうである[12]栽培さいばい時期じきにかかわらず、一定いってい時期じきぎるとはなき、冬季とうき室温しつおん栽培さいばいしてもよく開花かいか結実けつじつするため、日長ひながによる開花かいか影響えいきょうはほとんどないとかんがえられている[12]乾燥かんそうしすぎるとがかたくなり品質ひんしつそこねてしまうため、適時てきじ灌水をおこな[9]

はたけ堆肥たいひ有機ゆうき肥料ひりょうをすきんで、はば20 - 30センチメートル (cm) ほどのうねてる[15]日本にっぽんでは遅霜おそじもうとないため、たねまきは5がつごろにおこなわれる[15][12]ゆたか設備せつびがあればしゅうねん栽培さいばいすることもできる[12]じきまき栽培さいばい移植いしょく栽培さいばい方法ほうほうがあり、移植いしょく栽培さいばいでは、育苗いくびょうばこにまいてポットげしたり[16]ビニールハウスなどに播種はしゅしてほん4まいになったなえはたけ移植いしょくする[12]じきまきでは、株間かぶまは15 - 40 cmほどけて、1箇所かしょに4 - 5つぶほどてんまきする[15]きわめて容易よういで4 - 5にちほどでてくるので[12]あいだして1箇所かしょに1ほんとする[15]育苗いくびょうポットほん4 - 7まいなえをつくり、25 cm以上いじょう間隔かんかくをあけてはたけえても[16][17]

気温きおんがってくるとかぶ生長せいちょういきおいをし、草丈くさたけびてくるようになる[15]追肥ついひは、生長せいちょうをみながら10 - 20日はつかぐらいの割合わりあいで、少量しょうりょう肥料ひりょううねのわきにばらまいてせる[16][18]草丈くさたけ15 - 20センチメートル (cm) になってから、収穫しゅうかくねてびた先端せんたん順次じゅんじって利用りようする[15][16]先端せんたんることによってわきて、えだえるようになり[15]なつからあきまでくき先端せんたんんで次々つぎつぎ収穫しゅうかくできる[16]はなくとあたらしいなくなってしまうため、収穫しゅうかくする目的もくてき場合ばあいは、収穫しゅうかくねてはやめにはなつぼみるようにする[15][9]開花かいかがかたくなるのでそのまえ収穫しゅうかくする[3]。7がつ中旬ちゅうじゅんごろにくき半分はんぶんめると新芽しんめびてくるので、あき再度さいど収穫しゅうかくができるようになる[15][16]。バジルはシソおなじく、花穂かすい結実けつじつするとれる[12]

スイートバジルはそだてやすく、にわ片隅かたすみ鉢植はちうえなどでも市販しはんなえ購入こうにゅうしてえれば気軽きがるそだてることもできる[15]

かわきすぎないようにしてそだてていくが[10]湿しめには注意ちゅういする必要ひつようがあり、土壌どじょう水分すいぶんおおすぎると立枯たちがれびょう被害ひがいけることがある[12]害虫がいちゅうとしてはダニ被害ひがいけることがあり、ダニのがいけるとわかから萎縮いしゅくしてウイルスびょう症状しょうじょうられ、被害ひがいすすむとれてしまう[12]

食用しょくよう

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バジルはヨーロッパからアフリカ東南とうなんアジアまで世界中せかいじゅう愛用あいようされている食用しょくようハーブである[19]料理りょうり使つかわれるバジルの品種ひんしゅはスイートバジル (Sweet basil) がおも利用りようされており[10]一般いっぱんに「バジル」というとスイートバジルのことを[19]。「ハーブの王様おうさま」とよばれることもあり、使用しよう範囲はんい幅広はばひろくどんな料理りょうりにもよくい、美味おいしくてて食欲しょくよく増進ぞうしんさせる[10]とくイタリアみなみフランスでは重要じゅうよう香辛料こうしんりょう野菜やさいとしてもちいられ、日本にっぽんではおもイタリア料理りょうりもちいられている[2]。スパイシーであまかおりが特徴とくちょうトマトチーズとの相性あいしょうく、イタリア料理りょうりにおいては「バジリコ」として馴染なじみがあり[19][5]パスタピッツァサラダに、ソース活用かつようされている。乾燥かんそうひん利用りようされているが、一般いっぱん風味ふうみいの生葉いくはのほうである[2]日本にっぽんにおいては、有名ゆうめいメーカーせい家庭かていよう乾燥かんそうハーブが「バジル」としょうされる一方いっぽうで、産地さんちおよび料理りょうりからイタリア呼称こしょう、バジリコが使つかわれることもある。

バジルの
乾燥かんそうさせたバジルの

フレッシュのは7 - 8がつしゅんとされ、緑色みどりいろくてりのあるものが良品りょうひんとされる[19]特有とくゆうかおりは加熱かねつ調理ちょうりをするとびやすいため、料理りょうり仕上しあげにくわえるとバジル本来ほんらいかおりをかすことができる[19]にくたまご、トマトの料理りょうりによくもちいられ[2]、フレッシュ(生葉いくは)やオイルけ、ペースト、ドライ(乾燥かんそう)など幅広はばひろ使つかわれている[5]どうりょうのドライ(乾燥かんそうバジル)はかおりがつよいため、フレッシュよりもひかえめに使用しようする[19]

バジルの利用りようほうとしてはジェノヴァ付近ふきんつくられるペスト・ジェノヴェーゼ(ジェノヴァのソース)が有名ゆうめいである。日本にっぽんでは、ペスト・ジェノヴェーゼ、あるいは類似るいじソースは、スパゲッティえたり、そのにかけてもちいられている[20][2]

新鮮しんせんなスイートバジルのモッツァレッラチーズとトマトをあわせたサラダは、インサラータ・カプレーゼ(Insalata Caprese、「カプリふうサラダ」の)といい、イタリアの国旗こっきおな配色はいしょくで、イタリアを象徴しょうちょうするサラダとなっている。ナポリピッツァひとマルゲリータも、ピザ生地きじにモッツァレッラ、トマト、バジルのをトッピングしたものである。むらさきしゅのバジルをビネガーむと、あか紫色むらさきいろいろがつき、バジルビネガーができる[21]

がやわらかいため、新鮮しんせんなうちに使つかるようにするのが基本きほんである[5]金属きんぞくきらうため、包丁ほうちょう使つかわないででちぎるようして使つか[5]保存ほぞんする場合ばあい、フレッシュ数日すうじつ使つかることが前提ぜんていであれば、生葉いくはのまま湿しめらせたペーパータオルなどにつつんで、保存ほぞん容器ようきにいれて冷蔵れいぞう保存ほぞんする[19]長期ちょうき保存ほぞんする場合ばあいは、きざんだかおりがばないように密閉みっぺいできる保存ほぞん容器ようきれて冷凍れいとう保存ほぞんする[19]冷凍れいとう保存ほぞんひん使つかうときは、解凍かいとうせずにこおったまま調理ちょうりちゅういたぶつやソースの仕上しあげにくわえる[19]。バジルのニンニクまつパルメザンチーズオリーブオイルくわえて粉砕ふんさいし、ペーストじょうにしたペスト・アッラ・ジェノヴェーゼにすると、冷蔵れいぞう保存ほぞんで2 - 3週間しゅうかん保存ほぞんできる[15]

種子しゅし

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バジルの種子しゅし

バジルの種子しゅしみずけると、グルコマンナンおおふくむためゲルする[22]食物しょくもつ繊維せんい豊富ほうふふくむことからダイエット補助ほじょ食品しょくひんとしても利用りようされている。東南とうなんアジアアフガニスタンでは、みずひたした種子しゅしをデザートやものにする。

栄養えいよう

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バジル、せい
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 94 kJ (22 kcal)
2.65 g
糖類とうるい 0.3 g
食物しょくもつ繊維せんい 1.6 g
0.64 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.041 g
一価いっか飽和ほうわ 0.088 g
あたい飽和ほうわ 0.389 g
3.15 g
トリプトファン 0.039 g
トレオニン 0.104 g
イソロイシン 0.104 g
ロイシン 0.191 g
リシン 0.11 g
メチオニン 0.036 g
シスチン 0.028 g
フェニルアラニン 0.13 g
チロシン 0.077 g
バリン 0.127 g
アルギニン 0.117 g
ヒスチジン 0.051 g
アラニン 0.132 g
アスパラギンさん 0.301 g
グルタミン酸ぐるたみんさん 0.277 g
グリシン 0.122 g
プロリン 0.104 g
セリン 0.099 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(33%)
264 µg
(29%)
3142 µg
5650 µg
チアミン (B1)
(3%)
0.034 mg
リボフラビン (B2)
(6%)
0.076 mg
ナイアシン (B3)
(6%)
0.902 mg
パントテンさん (B5)
(4%)
0.209 mg
ビタミンB6
(12%)
0.155 mg
葉酸ようさん (B9)
(17%)
68 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(2%)
11.4 mg
ビタミンC
(22%)
18 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(5%)
0.8 mg
ビタミンK
(395%)
414.8 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
4 mg
カリウム
(6%)
295 mg
カルシウム
(18%)
177 mg
マグネシウム
(18%)
64 mg
リン
(8%)
56 mg
鉄分てつぶん
(24%)
3.17 mg
亜鉛あえん
(9%)
0.81 mg
マンガン
(55%)
1.148 mg
セレン
(0%)
0.3 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 92.06 g
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご

栄養えいようめんではβべーた-カロテンビタミンEカルシウムてつおお[19][5][23]

特有とくゆうかおりは精油せいゆ成分せいぶんリナロールカンファーオイゲノールなどに由来ゆらいし、これら成分せいぶん精神せいしんをリラックスさせる効果こうか食欲しょくよく増進ぞうしん作用さよう胃腸いちょうをあたためて消化しょうかうなが作用さようがあるといわれている[19][5]。また、鎮痛ちんつう作用さよう殺菌さっきん抗菌こうきん防虫ぼうちゅう効果こうかもあるとされている[19]。ただし、これらかおりの成分せいぶんねつにはよわく、料理りょうり仕上しあげにくわえるか、けのときにフレッシュをくわえるようにするとよいといわれている[19]

こうがん作用さよう主張しゅちょうする研究けんきゅう

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かつて、バジルはデザイナーフーズ計画けいかくのピラミッドで3ぐんぞくしており、3ぐんなかでも、マスクメロン、タラゴン、カラスムギ、アサツキとともに3ぐん上位じょういぞくする、がん予防よぼう効果こうかのある食材しょくざいであると位置いちづけられていた[24]

その利用りようほう

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乾燥かんそうしたポプリとしてたのしむことができる[3]民間みんかん療法りょうほうで、乾燥かんそうしたせんじたえき口内こうないえんくとされる[3]和名わみょうのメボウキ(ほうき)は、このゲルした種子しゅしのごみをるために使つかったことに由来ゆらいする[25]葉色はいろむらさき品種ひんしゅは、観賞かんしょうようとしても栽培さいばいされている[2]

分類ぶんるい

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スイートバジルが一般いっぱんてき利用りようされるが、いろおおきさ、かおりのことなる品種ひんしゅ豊富ほうふにそろっている[9]

バジルの栽培さいばい品種ひんしゅきんえんしゅ雑種ざっしゅにはレモンバジル(Ocimum basilicum var. citriodorum)、ホーリーバジルOcimum tenuiflorum)、タイバジルO. basilicum var. thyrsiflora台湾たいわんバジルとも)などがある。形態けいたいいろなどにかなり変異へんいがあり、またかおりにも変異へんいがあるものがある[12]ちぢれているもの、チシャ(カッティングレタス)のようなかたちのもの、紫色むらさきいろ色素しきそつもの、みがあるものがある[12]かおりについても、チョウジたもの、オレンジアニスかおりがあるものがある[12]

バジルの正確せいかく分類ぶんるい膨大ぼうだいかず栽培さいばい品種ひんしゅ、そのかたちせい、メボウキぞくたねたねないでの頻繁ひんぱん他家たけ受粉じゅふん(これによってあらたな雑種ざっしゅしょうじる)のため不確ふたしかである。Ocimum basilicumにはすくなくとも60の品種ひんしゅがあり、これがさらに分類ぶんるい複雑ふくざつにしている[4]。バジルは交雑こうざつしやすいため、播種はしゅする場合ばあい品種ひんしゅ影響えいきょう注意ちゅういする必要ひつようがある[12]

ほとんどのバジルはスイートバジル(Ocimum basilicum)の栽培さいばい品種ひんしゅである。

交雑こうざつしゅ

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  • アフリカンブルーバジル英語えいごばん (Ocimum basilicum X O. kilimandscharicum) - しゅうねん開花かいかし、さむさがすと紫色むらさきいろ[9]
  • スパイシーバジル (Ocimum basilicum X O. americanum)、ホーリーバジルとして販売はんばいされていることもある。
  • レモンバジル (Ocimum basilicum X O. americanum[27][28]) - バジリコ・リモーネとも。レモンのようなさわやかなかおりがある[9]

きんえんしゅ

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その栽培さいばい品種ひんしゅ

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メボウキぞくのいくつかの多種たしゅふくむその複数ふくすうのバジルがアジアのおおくの地域ちいき栽培さいばいされている。アジアのバジルのほとんどは、一般いっぱんてき地中海ちちゅうかいのバジルよりもつよクローブようかおりをつ。もっと特筆とくひつすべきはホーリーバジル(トゥルシー )で、ネパールでは民族みんぞく植物しょくぶつとしてうやまわれている。

レモンバジルはその品種ひんしゅとはおおきくことなるつよレモンようにおいと風味ふうみつ。これはシトラールばれる物質ぶっしつふくむためである。インドネシアひろ使つかわれる。現地げんちではケマンギ kemangiばれ、さかなやアヒルのものものとしてなまキャベツサヤインゲンキュウリともせいべられる。はなはピリっとした風味ふうみのあるサラダの薬味やくみである。

植物しょくぶつ化学かがく

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栽培さいばい品種ひんしゅによって精油せいゆ成分せいぶん比率ひりつことなるため、バジルのかおりは様々さまざまである[4]。ヨーロッパの品種ひんしゅ精油せいゆこう濃度のうどリナロールエストラゴールをおよそ3:1のふく[4]

[31]。その成分せいぶん1,8-シネオールオイゲノールミルセンなどである[4][32]。スイートバジルのクローブこうはオイゲノールに由来ゆらいする[33]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 学名がくめいからオキムムぞくかれる文献ぶんけんもある[3]

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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