「近畿 方言 」の版 間 の差分
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*'''おじい'''、'''おばあ''' - 「おばあちゃん」「おじいちゃん」のくだけたい |
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*'''おことおお'''・'''おことう'''('''さん''')【 |
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*'''おちょくる''' - からかう。 |
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2024年 6月 18日 (火) 13:42時点 における版
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概要
方言 区画
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6f/Kinki_hougen.png/250px-Kinki_hougen.png)
下位 方言
京 言葉 圏 :山城 方言 (京 言葉 )、丹波 方言 (舞鶴 弁 を含 む)、福井 県 嶺 南 方言 、滋賀 県 方言 (江 州 弁 )、三重 県 北部 方言 (三重 弁 。伊勢 弁 と伊賀 弁 からなる)大阪 弁 圏 :摂津 方言 (大阪 弁 )、河内 方言 (河内 弁 )、和泉 方言 (泉州 弁 )、奈良 県 北部 方言 (奈良 弁 )、播磨 方言 (播州 弁 。神戸 弁 も摂津 より播磨 に近 い)、淡路 方言 (淡路 弁 )- その
他 :和歌山 県 方言 (紀州 弁 )、三重 県 南部 方言 (紀州 弁 ・志摩 弁 )、奥 吉野 方言
歴史
- 「そんなら
言 はうかへ。江戸 詞 のからを笑 ひなはるが、百人一首 (ひやくにんし)の歌 に何 とあるヱ。」 - 「ソレソレ。もう
百 人 一 首 (ひやくにんし)じゃ。アレハ首 (し)じゃない百人一首 (ひやくにんしゆ)じゃはいな。まだまアしゃくにんしト言 はいで頼 母 しいナ。」 - 「そりゃア、わたしが
言 損 (いひぞこねへ)にもしろさ。」 - 「そこねへ、じゃない。
言 損 (いひそこない)じゃ。ゑらふ聞 づらいナ。芝居 など見 るに、今 が最後 (せへご)だ、観念 (かんねん[注 2])何 たら言 ふたり、大願 (でへがん)成就 忝 (かたじけ)ねへなんのかの言 ふて、万歳 (まんぜへ)の、才蔵 (せへぞう)のと、ぎっぱな[注 3]男 が言 ふてじゃが、ひかり人 (て)のないさかい、よう済 んである。」 - 「そりゃそりゃ。
上方 も悪 い悪 い。ひかり人 ッサ。ひかるとは稲妻 かへ。おつだネヱ。江戸 では叱 (しか)ると言 ふのさ。アイそんな片言 は申 ません。」 - 「ぎっぱにひかる。なるほど。こりゃ
私 が誤 た。」
- 此ごろ
京 よりきたるうかれ女 、なにはのどうとんぼりといへる所 のうかれ里 にたよりてつとめしに、やゝもすれば京 ことばをもつてひとをいやしめ、大 きいはいかつい、ぬくいはあたたか、其外やごとなきことばのはし\゛/をおぼへて、そのうたてさかぎりなしとや
現状
- A:やっぱり
髪 の毛 さあ、このままパーマあてるか、ちょっとショートめに切 るか、どうしよっかなあ、迷 ってんねんやん。 - B:
短 く切 ったら? - A:うーん。そうやんなあ。
結構 、雑誌 にあんまりいいの載 ってないからなあ。
2014
イメージ
「
フィクションでの
1980
音声
母音
1
子音
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8a/Hichi.jpg/150px-Hichi.jpg)
その他
- 促拗
音 ・撥 拗音 近畿 方言 に特徴 的 な音 の融合 変化 として、イ・ウの後 ろにア・ヤ行 音 が続 く場合 、「日曜 →にっちょお」「好 きやねん→すっきゃねん」「カツオ→かっつぉ」のような促拗音 化 や「賑 やか→にんぎゃか」「飲 みよる→のんみょる」のような撥 拗音 化 が起 こることがある[30]。促音 子音 が弱 いため、東京 方言 と比 べて促音 の語気 はそれほど強 くなく、「からっかぜ」「川 っぷち」などのような複合語 中 の促音 も少 ない[23]。一方 で、近畿 方言 では「脱 ぎよる→ぬっぎょる」「有 るぞ→あっぞ」「鉄道 →てっどお」「有 るやろ→あっりゃろ」など、東京 方言 では現 われにくい濁音 やラ行 音 前 での促音 の例 が多数 ある[23]。撥音 関東 方言 などと同 じく、「何 するねん→何 すんねん」「おくれなされ→おくんなはれ」のような語 中 のラ行 音 の撥音 化 が盛 んである。特定 の語 では「ゴボウ→ごんぼ」「幽霊 →ゆうれん」「相撲 →すもん」「菓子 →かしん」のように語 中 ・語尾 が撥音 化 したり、逆 に「大根 焚 き→だいこだき」「玄関 →げんか」のように撥音 が脱落 したりすることがある。江戸 時代 、それを揶揄 した「だいこんと付 けべきものを付 けもせで いらぬごんぼう茶 ん袋 かな」という戯 れ歌 を江戸 町 人 に詠 まれることもあった[31]。
アクセント
表現
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ウ音便
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e7/Koute.jpg/180px-Koute.jpg)
ワ
語幹 末 a - aをoに変 えて長音 化 。(例 ) うた(買 買 った) うない(赤 赤 くない)語幹 末 i - iをyuに変 えて長音 化 。(例 ) うた(言 言 った)楽 しゅうない(楽 しくない)語幹 末 u - そのまま長音 化 。(例 )食 うた(食 った)薄 うて(薄 くて)語幹 末 o - そのまま長音 化 。(例 )思 うた(思 った)重 うなる(重 くなる)
- au→oː (
例 )akaku→akau→akoː - iu→yuː (
例 )tanosiku→tanosiu→tanosyuː - uu→uː (
例 )usuku→usuu→usuː - ou→oː (
例 )omoku→omou→omoː
動詞
形容詞
形容動詞
存在 動詞
「ある」の
断定
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/51/Ja_da_ya.png/250px-Ja_da_ya.png)
「や」を
「や」と
待遇 表現
- 「ます」
共通 語 と同様 、敬 体 には「ます」を用 いる。勧誘 「ましょう」は「まひょ」、否定 「ません」は「まへん」などと転 ずることがある。否定 には「連用形 +はしませぬ」の転 で婉曲 な「(「へん」と同 じ接続 )+しません・しまへん」もある(例 :行 かしまへん・行 けしまへん)。過去 形 「ました」は大阪 と京都 でアクセントが異 なり、大阪 では「行 きました」、京都 では「行 きました」とする。「ます」や「だす・どす・です」や「おます・おす」など「す」で終 わる丁寧 語 は、後 ろに特定 の助詞 が付 くと「す」が促音 化 ・撥音 化 することがある。これは大阪 で顕著 であり、大阪 弁 らしさを醸 し出 す一因 となる(例 :儲 かりますか→儲 かりまっか、ぼちぼちですな→ぼちぼちでんな)。また、大阪 では「す」そのものを省略 することもある(例 :止 まります→止 まりま)[注 11]。近世 大 坂 などでは「やす」とも言 い(例 :わかりやした)、現在 も一部 の高齢 層 で用 いる。
連用形 +「なはる」(例 )行 きなはる- 「なさる」の
転 。語頭 に「お」を付 けることも多 い(例 :お行 きなはる)。明治 以降 は変化 形 の「やはる」と「はる」が広 まり「なはる」は古風 な表現 となったが、「はる」の命令 形 は一部 の地域 を除 いてほとんど普及 しなかったため、命令 表現 には依然 「なはる」の命令 形 「なはれ」や「なはい」(転 じて「ない」とも)が用 いられ続 けた。「ておくれ」と共 に用 いることが多 い(例 :行 っとくんなはれ・行 っとくんなはい)。
- 「なさる」の
五 段 ア音 ・その他 連用形 +「はる」(例 )行 かはる- 「
行 きなはる」→「行 きやはる」→「行 きゃはる」と転 じたもの。上 一 段 ・下 一 段 ・サ変 ・カ変 では現在 でも「やはる」または「ゃはる」とすることがある(例 :きやはった、きゃはった)。相手 や第三者 に対 する軽 い敬意 を表 すが、高 い敬意 を表 す「なさる」「なはる」や「やす」が衰退 し、共通 語 の敬語 が普及 した現在 、共通 語 の敬語 に次 ぐ高 い敬意 表現 を「はる」がカバーするようになった。近畿 中央 部 の広 い地域 で用 い、ビジネスや公 の場面 でもよく聞 かれる。大阪 では「なさる」への回帰 意識 から五 段 動詞 でも「連用形 イ音 +はる」とすることがある(例 :行 きはる)。「て」に接続 して補助 動詞 として用 いる場合 は「てはる」と「たはる」の2通 りの形 があり、後者 は京都 に多 い(例 :食 べてはる・食 べたはる=食 べておられる)。 京都 などでは第三者 の動作 を表 す際 に「はる」を用 いる頻度 が特 に高 く(とりわけ女性 )、「兄 ちゃんが泣 かさはった」「可愛 らしい犬 が歩 いてはる」「田舎 の人 らはのんびりしたはる」「電車 がもうすぐ着 かはる」のように身内 や目下 、不 特定 の人物 、無機物 の動作 などにも敬意 をほとんど伴 わずに用 いることがある(丁寧 語 的 な用法 )。極端 な例 では、「B29が来 はった!」「猫 が魚 を盗 まはった」のように明 らかに自分 にとって良 からぬ対象 に用 いることすらある。
- 「
- 「(お)
連用形 +やす」(例 )お行 きやす- 「はる」よりも
敬意 の高 い表現 で、丁寧 な命令 表現 としても多用 。「ておくれ」と共 に用 いることが多 い(例 :行 っとくれやす・行 っとくりゃす)。金田一 春彦 によると「お・・・あそばせ」が「お行 きあそばせ」→「お行 きあすばせ」→「お行 きあす」→「お行 きやす」と転 じたものという。京都 で盛 んな表現 だが、それ以外 の地域 でも「ごめんやす(=ごめんなさい・ごめんください)」のように慣用 表現 で用 いることは多 かった。「お行 きやしとくれやす」のように「やす」を重 ねると極 めて高 い敬意 を表 す。「て」に接続 する場合 は「て御 居 やす」の転 「といやす」とする(例 :行 っといやした)。くだけた表現 に「やす」+「や」の転 「やっしゃ」(例 :ごめんやっしゃ)などがある。
- 「はる」よりも
連用形 +「て」+断定 の助動詞 (例 )行 ってや(行 かれる)、行 っとってです(行 っておられます)連用形 +「やる」(例 )行 きやる- 「ある」を
待遇 の助動詞 に転用 したもので、近世 には相手 の動作 に対 して軽 い敬意 を、近代 以降 は同輩 以下 の第三者 の動作 に対 して親 しみの意 を加 える。大阪 では主 に女性 が用 いる。京都 では、「やる」の用法 を「はる」がカバーしているため、男女 とも用 いない。
- 「ある」を
連用形 +「よる」(例 )行 きよる- 「おる」を
待遇 の助動詞 に転用 したもので、同輩 以下 の第三者 の動作 や作用 に対 して軽 い侮蔑 ・苛立 ち・不快 などの意 を加 える。男性 のくだけた会話 では侮蔑 の意 をほとんど伴 わずに多用 することがある。播磨 ・神戸 ・丹波 では使 われ方 が異 なる(#アスペクト参照 )。
- 「おる」を
侮蔑 語
丁寧 な表現
アスペクト
おる | いる | おる | ||
おる | ||||
よる(よお) | てる | とる | ||
とる | ||||
とる(とお) | てる | |||
とる |
連用形 +「てる」「とる・とおる」- 「ている」「ておる」の
転 。西日本 で盛 んなのは「とる・とおる」であり、近畿 地方 でも広 く用 いるが、京阪 と滋賀 県 などでは東日本 方言 的 な「てる」も併用 する。「いる」「おる」の使 い分 けと同様 、「てる」を中立 な表現 、「とる・とおる」をやや粗野 で見下 げた表現 とする。 他 の西日本 方言 では、「とる・とおる」は完了 後 の結果 ・状態 (完了 相 )、「よる」は進行 ・継続 (進行 相 )を表 す。近畿 地方 でも兵庫 県 (阪神 間 を除 く)や紀伊 半島 の一部 などではこの用法 を持 ち、待遇 表現 的 に用 いる京阪 などとは顕著 な対立 をなす。播磨 ・神戸 では「とる」「よる」は「とお」「よお」と転 ずることが多 く、播州 弁 と神戸 弁 の特徴 とされる。 (例 )こけよった!(危 うく転 ぶところだった!)桜 が散 っとお(桜 が散 ってしまっている)桜 が散 りよお(桜 が今 まさに散 っている・散 ろうとしている)
- 「ている」「ておる」の
連用形 +「たある・たる」- 「てある」の
転 。和歌山 県 や和泉 などでは「ちゃある」。共通 語 の「てある」と違 って、他動詞 ・自動詞 問 わず無 生物 の動作 に関 して幅広 く用 いる(例 :家 が建 ったあった、たかが知 れたある)。また「ある」を「いる」の意 で用 いる紀伊 半島 の一部 では「てある」を「ている」の意 で用 いる。
- 「てある」の
連用形 +「かける」- 「かける」には「・・・し
始 めた途中 」と「もう少 しで・・・し始 める」の二 つの意味 があるが、近畿 方言 では前者 で用 いる傾向 が強 い。例 えば「ご飯 を食 べかけた時 に電話 が鳴 った」の場合 、東京 では「さあ食 べようという時 」と捉 える人 が多 いのに対 し、近畿 地方 では「2、3口 ほど口 に含 んでいた時 」と捉 える人 が多 い。また「先 に行 きかけといて」(先 に行 き始 めておいて)のように「かける」を依頼 ・命令 表現 でも用 いる。
- 「かける」には「・・・し
連用形 +「とく」「んとく」- 「とく」は「ておく」の
転 、「んとく」は「んとおく」の転 。共通 語 では「とく」「ないでおく」は「前 もってその動作 を済 ませておく」または「その状態 で放置 しておく」といった意味合 いで用 いるが、近畿 方言 ではそうした意味合 いを伴 わずに用 いることもあり、特 に「行 っとき」「行 かんとき」のように軽 い命令 ・禁止 表現 で多用 する。
- 「とく」は「ておく」の
助動詞
否定
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d4/%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81%97%E3%82%92%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%81%AA%E3%81%82%E3%81%8B%E3%82%93%EF%BC%81.jpg/220px-%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81%97%E3%82%92%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%81%AA%E3%81%82%E3%81%8B%E3%82%93%EF%BC%81.jpg)
未然 形 +「ん」 (例 )行 かん文語 助動詞 「ず」連体 形 から派生 した「ぬ」がさらに転 じたもの。中世 以来 の西日本 共通 の表現 であるが、近畿 中央 部 では明治 以降 「へん」が普及 したため、「ん」が用 いられる場面 は、強 くい切 る場合 や慣用 表現 、「んで・んでも」や「んと」のような助詞 を伴 った用法 など、やや限定 的 なものとなっている。活用 は共通 語 「ない」ほど発達 しておらず、活用 形 が全 て同 じ連用形 ・終止 形 ・連体 形 と仮定 形 のみである。連用形 は「んで」「んでも」で用 いる(例 :行 かんでもええ)。仮定 形 は「ね」であるが、後続 の助詞 「ば」と融合 して「な」や「ん」となる(例 :行 かねばあかん→行 かなあかん、行 かねばならん→行 かなならん・行 かんならん)。活用 形 の少 なさは他 の語形 によって補 われ、例 えば形容詞 「無 い」と接続 する場合 は「んこと」(例 :行 かんことない)、動詞 と接続 する場合 は「んよう(に)」(例 :行 かんようになる)で代用 する。ただし若年 層 [いつ?]では共通 語 「なく」と「ん」の混合 形 「んく」が広 まりつつある(例 :行 かんくてもええ行 かんくない行 かんくなる)。- 「ずに」「なくて」に
相当 する表現 として、「未然 形 +いで」と「未然 形 +んと」がある(例 :どこへも行 かいで・行 かんと)。「いで」は「いでか」の形 で反語 表現 にも用 いる(例 :やらいでか=やらずにはいられるか)。「んと」は「行 かんとあかん」のように仮定 を表 すこともあり、アクセントで区別 される(「ずに」の場合 は「行 かんと」、仮定 の場合 は「行 かんと」)。禁止 「ないで」に相当 する表現 には「んといて」と「んとって」があり、これは「んと」に「置 いて」および「居 って」が接続 したものである(例 :どこへも行 かんといて・行 かんとって)。
五 段 ア音 またはエ音 +「へん」、上 一 段 ・下 一 段 ・サ変 ・カ変 連用形 +「やへん」 (例 )行 かへん、行 けへん、起 きやへん、食 べやへん、しやへん、きやへん- 「ん」の
強調 表現 「連用形 +はせん」が幕末 から明治 にかけて「行 きはせん」→「行 きやせん・行 きやへん」→「行 きゃせん・行 きゃへん」→「行 かへん」→「行 けへん」と転 じたもの。明治 以後 「へん」は急速 に普及 し、強調 の意 が薄 れるとともに「ん」を圧倒 するまでになった。五 段 でのア音 接続 は京都 で、エ音 接続 は大阪 でそれぞれ盛 んな語法 である。「へん」自体 の活用 は「ん」と同 じである。 - 「やへん」は
現在 「へん」に集約 されつつある(例 :食 べやへん→食 べへん)。語幹 が1拍 の動詞 の場合 は、「や」を省略 する代 わりに連用形 を長音 化 する(例 :出 やへん→出 えへん)。上 一 段 は、連用形 のイ音 に引 かれて「へん」が「ひん」に転 じたり(特 に京都 。例 :見 やへん→みいひん、居 やへん→いいひん)、逆 に「へん」に引 かれて連用形 がエ音 に転 じたりする(特 に大阪 。例 :見 やへん→めえへん、居 やへん→いえへん・ええへん)。サ変 は「しやへん」の転 「せえへん」や「しいひん」、カ変 の否定 は「きやへん」の転 「けえへん」や「きいひん」などとなる。カ変 に関 しては、共通 語 「来 ない」に影響 された「こおへん」が広 まりつつある。
- 「ん」の
連用形 +「やん」 (例 )見 やん、しやん、こやん過去 形 否定 の過去 形 は室町 以来 の「未然 形 +なんだ」(例 :行 かなんだ)があり、明治 には「へん」成立 に伴 って「せなんだ」の転 「へなんだ」やその変形 「へんなんだ」なども生 まれた(例 :行 かへなんだ)。しかし大正 頃 から共通 語 「なかった」と「ん」「へん」の混合 形 「んかった・へんかった」が登場 し、主流 となりつつある[いつ?]。
不可能
能力 による不可能 「よう未然 形 +ん」 (例 )浮 き輪 なしには、よう泳 がん行 う能力 が無 くて、行 う立場 になくて、行 うのが憚 られて、行 う気 になれず、到底 出来 ないという意味合 いを表 す。古語 「え・・・ず」と同義 で、それから派生 したとされる。不可能 表現 での「よう」は平板 に発音 され、通常 の「よう」とはアクセントが異 なる(例 :よう食 べん=とても食 べられない、よう食 べん=よく食 べない)。
状況 による不可能 未然 形 +「れへん」 (例 )クラゲがおって泳 がれへん大阪 など通常 の否定 を「エ音 +へん」とする地域 で多用 する。可能 動詞 を用 いない古 い表現 で、可能 動詞 を用 いた不可能 表現 と「エ音 +へん」の同音 衝突 を避 けるために古形 が保 たれた。京都 など通常 の否定 を「ア音 +へん」とする地域 は可能 動詞 を用 いた「エ音 +へん」を多用 し(例 :泳 げへん)、「れへん」を多用 する地域 の者 とは意思 疎通 に支障 をきたすことがある。例 えば、京都 人 が「(都合 が悪 くて)行 けない」の意 で「行 けへん」と言 ったのを、相手 の大阪 人 は「(行 きたくないから)行 かない」と取 り違 えることがある。
意志 ・勧誘 ・推量
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/df/Icoca_de_ikoka.jpg/200px-Icoca_de_ikoka.jpg)
仮定
授受
使役
完了
「〜してしまう」「〜しちゃう」「〜しちまう」という
助詞
くだけた
「なあ」のほかに
- ねん
先述 「ねや」の転 で、「ね」とも。撥音 で終 わることから「ねや」より語感 は柔 らかいが、相手 への自己 主張 の意 は強 くなっている。「や」との接続 は「ねや」と同 じ(例 :ほんまやねん)だが、一部 の若年 層 では「や」を介 さず直接 体言 に付 ける例 がある(例 :好 きねん)。「や」からの派生 意識 が薄 れたため「やねんや」や「やねんやん(か)」(若年 層 )のような表現 も可能 (例 :ほんまやねんやろ。共通 語 に直訳 すると「本当 なのだだろ」)。過去 形 は「たのや・たねや」の転 「てん」であるが、和泉 など一部 では過去 形 に「ねん」を直接 付 けて「たねん」とする。- わ
東京 の女性 語 と同形 だが、近畿 方言 の「わ」は下降 調 で男女 とも多用 する。ただし「わ」に抑揚 を付 けて詠嘆 の意 を強 める(例 :きれいやわあ→きれいやわあ)のは女性 的 な用法 であり、昭和 の大阪 の女性 語 では「はよ来 てえわあ(=早 く来 てよ)」「あんた先行 きでわあ(=あなた先 に行 ってちょうだいよ)」のような用法 もあった[47]。促音 化 すると「っさ」となる(例 :行 きまっさ)。「わ」の強調 表現 には「わい」があり、現在 は男性 的 な表現 とされる。「な」と合 わせた「わな」「わいな」もよく用 いる。主張 主張 ・問 いかけ・たしなめなどを表 す助詞 には、「で」を多用 する。「ぜ」の転 であるが、東京 の「ぜ」に対 して、「行 こうぜ」のような勧誘 用法 はあまり一般 的 でない、「よ」程度 の軽 い意味合 いで女性 も多用 する、などの違 いがある。地域 ・個人 によっては「ぜ→で」と同様 に「ぞ」を「ど」とするが、「ど」には男性 的 で粗野 な印象 がある。「で」よりも相手 への訴 えかけが強 い表現 に「がな」があり、単 に相手 を咎 めるだけでなく、優 しく慰 める時 にも用 いる[48]。京都 の女性 層 などでは「え」も用 い、促音 化 すると「っせ」となる(例 :行 きまっせ)。- いな・いや
近世 に多用 された表現 で、様々 な文末 に付 けて強調 ・感動 などを表 す。「いな」と「いや」では「いや」の方 が意味合 いが強 い。現在 では連用形 命令 表現 の強調 (後述 )や「かいな・かいや」「わいな・わいや」「どいな・どいや」、「何 ?」の強調 形 「何 いな?」などに残 る。「どいや」は「兵庫 神戸 のなんどいや」として神戸 弁 の特徴 とされた。- の
助詞 の「の」に疑問 の終 助詞 を続 ける場合 や準 体 助詞 として用 いる場合 に「ん」や「のん」とすることがある(例 :遊 びに行 くんか?遊 びに行 くのんか? そんなんおかしいわ その服 は私 のんや)。疑問 の終 助詞 を省略 して「の」およびその変形 をそのまま疑問 の終 助詞 として用 いるのも男女 問 わず盛 んである(例 :遊 びに行 くん?遊 びに行 くのん?)。「のん」は主 に大阪 で用 い、女性 層 では軽 い主張 にも用 いる(例 :今度 私 東京 行 くのん)。断定 「や」との接続 は「の・のん」は「やの・やのん」、「ん」は「なん」とする(例 :ほんまやの? ほんまやのん? ほんまなん?)。疑問 ・反語 共通 語 と同様 、「か」と「かい」を用 いる。ただし、「そうなのかい?」「これも食 べるかい?」のような軽 い問 いかけの用法 は近畿 方言 の「かい」にはない。「かい」に含 みを持 たせる場合 は「かいな」「かいや」とする。「か」の代 わりに「かえ」または「かい」の転 「け」を用 いることもある。「け」は京阪神 では男性 が粗野 な会話 で用 いることが多 いが、「か」と同等 あるいはより親 しみのある語 として多用 する地域 もあり、特 に河内 弁 の特徴 として知 られる。地域 によっては「こ」とも。なお「何 だっけ?」のような「け」は古語 「けり」から転 じたものであり、ここでの「け」とは無関係 である。- やんか・やん
反語 的 な断定 や主張 を表 す。「やんか」は明治 後期 ・大正 頃 に大阪 の若 い女性 層 から広 まった表現 で、「やないか」の転 とする説 と「や」+「んか」とする説 がある。地域 ・個人 によっては「け」を用 いた「やんけ」や、強 めたい方 「やんかいな」「やんかいさ」なども。「やん」は「やんか」の省略 で、戦後 に若 い女性 層 を中心 に広 まった。関東 の新 方言 「じゃん」とは、敬 体 に接続 が可能 なこと(例 :ほんまですやん)や「だろ?」に近 い用法 (例 :まさか・・・嘘 やん?!)[注 15]、語尾 を下降 させる婉曲 な伝達 表現 (例 :今度 私 東京 行 くんやん↓・やんかぁ↓)などの違 いがある。「やんな」では「だよな・だよね」を表 す(例 :ほんまやんな)。また「ねん・てん」に「やんか」を接続 させる場合 、「ねんか・てんか」と省略 することがある(例 :ほんまやねんか、行 ってきてんか)。
命令 ・禁止
命令 表現 命令 形 表現 五 段 ・カ変動 詞 の命令 形 は共通 語 と変 わりないが、サ変 ・一段 動詞 の命令 形 には文語 命令 形 「・・・よ」の転 「・・・い」を用 い(例 :見 よ→見 い)、そのうちサ変 と下 一 段 の場合 は前 のエ音 に引 かれて「・・・え」と発音 することが多 い(例 :せよ→せい・せえ、食 べよ→食 べえ)。女性 は通常 命令 形 表現 ではなく後述 の連用形 表現 を用 いることが多 く、前田 勇 は「若 しも大阪 女 にして『上 れ』だの『飲 め』『待 て』だの云 つたとするならば、それは男 か鬼 のやうな女 であらう。」とまで述 べている[49]。「しろ」「食 べろ」など「ろ」で終 わる命令 形 は、共通 語 として以外 には、近畿 方言 では本来 用 いない。命令 形 (「・・・ろ」を含 む)の後 ろに付 ける終 助詞 は共通 語 と同様 「よ」と「や」が一般 的 。
連用形 表現 (例 )行 き穏 やかな命令 表現 。「連用形 +なされ」の後略 。後 ろには「な」「や」を付 けることが多 いが、若年 層 を中心 に「よ」を付 けることもある。1音節 語 ではほぼ必 ず、1音節 語 以外 でも穏 やかに念 を押 す場合 に、長音 化 (ただし下 一 段 は「え」ではなく「い」とも言 う)が起 こる(例 :しい、きい、行 きい、食 べえ、食 べい)。一段 動詞 では連用形 表現 と命令 形 表現 は同形 になるが、アクセントによる区別 があり、例 えば「見 てみい」「食 べえ」は「見 てみい」「食 べえ」だと命令 形 表現 、「見 てみい」「食 べえ」だと連用形 表現 を表 す。また一段 動詞 では「い」をより伸 ばして念 を強 めることがある(例 :食 べいいな、食 べいいや)。京都 などでは「お行 き」「お見 」のように「お」を付 けて丁寧 語 化 させたり、「よし」を付 けて女性 的 な命令 表現 とすることがある(例 :行 きよし、食 べよし)。
否定 の助動詞 +疑問 の終 助詞 - 「
行 かんか」のような否定 の助動詞 と疑問 の終 助詞 による表現 も多用 する。「かい」を用 いるものはとりわけ強 い命令 を表 す(例 :行 かんかい!)。動詞 未然 形 に付 くものだけでなく、幾分 穏 やかな命令 として「連用形 +ん+疑問 」(例 :行 きんかいな)や「て(お)くれんか」の略 「てんか」(例 :行 ってんか)もある。
- 「
- 「て」を
用 いた表現 - 「て」も
共通 語 と同様 に多用 する。後 ろには「な」「や」を付 けることが多 い(例 :行 ってな・行 ってや)。「てえ」と伸 ばすとやや甘 えた表現 になる(例 :行 ってえなあ、行 ってえやあ)。
- 「て」も
禁止 表現 終止 形 表現 共通 語 と変 わらず「終止 形 +な」で禁止 を表 すが、サ変 の場合 「するな・すんな」に加 えて「すな」の形 も用 いる。また「な」を強 める場合 「なよ」に加 えて「なや」とする(例 :行 くなや)。
連用形 表現 連用形 +「な」 (例 )行 きな穏 やかな禁止 表現 。「連用形 +なさるな」の後略 。「な」前 は長音 化 することがある(例 :しいなや)。「な」のほかに「なや」「ないな」なども用 いる(例 :行 きなや、行 きないな)。命令 表現 と同形 になることがあるが、アクセントによる区別 があり、例 えば「行 きな」は「行 きな」だと命令 、「行 きな」だと禁止 を表 す。
- 「て」を
用 いた表現 (例 )行 ってな命令 表現 だけでなく禁止 表現 でも「て」を用 いた表現 がある。用法 は連用形 禁止 表現 に類 し、「てな」「てなや」「てないな」などの形 で用 いる。命令 表現 と同形 になることがあるが、アクセントによる区別 があり、例 えば「行 ってな」は「行 ってな」だと命令 、「行 ってな」だと禁止 を表 す。
その他
性差
共通 語 同様 、近畿 方言 の多 くでも性差 による表現 の違 いが存在 する。とりわけ近代 の大阪 では「嫌 やしい(=嫌 だわあ)」「買 うとうわ(=買 ってちょうだいよ)」「見 てみいで(=見 てみなさいよ)」のような独特 の女性 語 が発達 した。近畿 方言 の性差 の特徴 は女性 語 が男性 層 にも広 まるケースが多 いことであり、近畿 方言 の基本 的 な表現 である断定 「や」、打 ち消 し「へん」、尊敬 語 「なはる」、終 助詞 「で」なども女性 層 から広 まったとされる。
大阪 などでは「ちゃうちゃうちゃう」「そやそやそや」など、テンポよく言葉 を重 ねることが共通 語 よりも盛 んである。京都 には「あっつい暑 いなあ」や「きつきつ詰 める」のような形容詞 を重 ねる表現 もある。
詠嘆 表現
近畿 方言 では「あつーい!」「あちい!」のような表現 ではなく、「あっつう」「ああしんど」のような語幹 用法 を多用 する。「たい」にも当 てはめることができる(例 :海外 行 きたあ)。近世 ・近代 の京阪 の女性 層 では「語幹 +やの」とも(例 :ああしんどやの)。
指示 語 の多 くは共通 語 と同 じであるが、「あそこ」が「あこ」または「あっこ」に転 ずることがある。また「○のよう・んな(に)」に当 たる表現 に「○ない」があり、語源 については「○のよう」の転 とする説 や「○概 」の転 とする説 (「○ŋai」→「○nai」)がある[50]。 (例 )調子 どないや? どないもこないも- 「こそあど」に
断定 「や」を続 ける際 、「そ」「ど」の場合 「そうや→そや」「どうや→どや」と短音 化 することが多 い。さらに「せや・しや」「でや」などと転 ずることもある。
- よく
知 られた京阪 の一人称 には、少女 や若 い女性 が用 いる「うち」(複数 形 「うちら」は男性 も使用 )、「わたい・あたい」の転 「わて・あて」(元 は女性 語 で、のち男性 も使用 )、「わし」の転 で男性 が用 いる「わい」(二人称 でも使用 )がある。「わて・あて」と「わい」はステレオタイプな関西 人 の一人称 とされてきたが、現在 ではほぼ年配 者 に限 られる表現 である。 京阪 では二人称 には東京 などと同様 「あんた」「おまえ」を多用 する。「あなた」は共通 語 として以外 はほとんど用 いず、丁寧 な二人称 には「おたく(さん)」や「あんたはん・あんさん」、「おまはん」(「御前 様 」の転 。同輩 以下 に対 して)などを用 いる。「自分 」や「われ」「おのれ・おんどれ」など一人称 を二人称 で用 いる例 があるが、東京 の「てめえ」などと同様 の現象 である。
語彙
ここでは
- あかん【
明 かん】 -駄目 だ。いけない。「埒 があかぬ」の略 。「あかへん」「あけへん」とも。近年 では「とても魅力 的 で自分 が溺 れてダメになってしまう」という逆 のプラスの最上級 の意味 を持 つ「あかんやつ」の派生 がある。丁寧 語 だと「あきまへん」になる。- あかんたれ【
明 かん垂 れ】 -駄目 な奴 。弱虫 。小心者 。
- あかんたれ【
- あじない・あんない【
味 無 い】 -美味 しくない。味 が薄 い。京都 などのい方 。 - あて -
酒 の肴 。お通 しのことは「突 き出 し」と言 う。またまったく別 の意味 だが、「私 (わたし)」のこと。 - あほう・あほ【
阿呆 ・阿房 】 -愚 かなこと。関東 の「馬鹿 」に対 する。強 めて言 う場合 「あっぽ(う)」などとも(主 に子供 )。- あほほど【
阿呆 程 】 - (馬鹿 みたいに)数量 が甚 だしい様子 。 - あほんだら【
阿呆 陀羅】 -大 馬鹿 野郎 。
- あほほど【
- あんじょう -
上手 に。上手 く。「味 良 く」の転 。 (例 )あんじょう頼 んまっさ。 - いかのぼり・いか -
凧 。共通 語 「たこ」がタコに由来 するのと同様 、姿 がイカに似 ることに由来 。 - いがむ - かたむく、(
向 きが)ずれる。「ゆがむ」の転 。 (例 )柱 がちょっといがんでへんか? - いきる【
熱 る・熅る】 -熱 くなる(原義 )。転 じて、息 を荒 らげて怒 る。元気 づく。調子 に乗 る。「息 」を動詞 化 したものか。「調子 に乗 る」の用法 は特 に京都 などで盛 ん[51]。 - いけず -
意地悪 。近世 には「いかず」とも。元 は「一筋縄 では行 かぬ」ことから、強情 者 ・頑固 者 ・ならず者 などを指 した。 - いこる【
熾 る】 - 「おこる(熾 る)」の転 。炭火 が安定 して燃 えている様子 。 (例 )炭 がええ感 じにいこっとるな。 - いちば【
市場 】 -日常 的 に近所 の住民 が買 い物 をする小規模 な商店 街 。 - いちびる -
調子 に乗 る。ふざける。名詞 形 「いちびり」でお調子 者 の意 。 - いと -
娘 。嬢 。「いとけない(=幼 い)」あるいは「いとしげない(=愛 しい)」の略 か。「ぼん」の対義語 。 (例 )いとはん(=お嬢 ちゃん) - いぬ【
去 ぬ・往 ぬ】 -帰 る。去 る。古語 「いぬ」の残存 。 (例 )とっとといね! - いや - 「い」に
抑揚 を付 けて、女性 が多用 する感動 詞 。「おやまあ」などに相当 。 - いらう【
弄 う】 - いじる。触 る。弄 ぶ。「いろう」とも。 (例 )かさぶたいろうたらあかん。 - いらち【苛ち】 -
短気 者 。せっかち。「いらつ」(苛立 つ、焦 る)の名詞 形 。大阪 人 気質 を端的 に表 す言葉 とされる。 - いわす - やり
込 める。やっつける。「グウの音 を言 わす」ことから。転 じて、せしめる。(体 を)壊 す。 (例 )肩 をいわした。 - ええ - 「よい」の
転 。終止 形 ・連体 形 のみで用 い、通常 「えかった」「えければ」のような活用 はしない。関東 の「いい」は「ええ」がさらに転 じたもの。なお「かわええ」という表現 は京阪 方言 としては誤 り(「可愛 い」は「かわ良 い」ではなく「かわゆい」の転 であるため)。 (例 )ええもん安 い。- ええし - 「
良 い衆 」の転 。良家 。金持 ちの家 。
- ええし - 「
- えげつない -
露骨 な。強烈 な。卑劣 な。あくどい。元 は「いげちない」「いげつない」と言 った。 - えずく -
吐 き気 を催 す。吐 く。吐 き気 が込 み上 げた時 の声 (オエッ)と「衝 く」が組 み合 わさったものという。 - えらい【
偉 い・豪 い・苛い】 -立派 な・大変 な・大変 に・とても・とんでもないの意 で多用 するほか、一部 で「くたびれる」の意 でも用 いる。大変 に・とてもの意 で用 いる際 、本来 の連用形 「えろう」よりも「えらい」が多用 される(「えらいこと」の略 )。語源 は「いらし(苛し)」[52]。享 保 年間 に大阪 雑 喉 場 の魚市場 で若者 たちによって生 み出 されたという説 もある[注 16]。 (例 )えらい(=とても)遠 いとこまで行 ってえらなった(=くたびれた)わ。 えろう・えらいすんまへん。- えらいさん【
偉 い様 】 - ある集団 の中 で一定 の地位 、指導 的 立場 にある人 。 (例 )町内 会 のえらいさん。
- えらいさん【
- えんりょのかたまり【
遠慮 の塊 】 - おかずの最後 の余 り物 。互 いに遠慮 し合 ってなかなか箸 が付 かないことから。 - おいえ -
室内 。座敷 。台所 を指 すことも。「御上 」または「御家 」の転 という。「おいえさん」で(町家 の)奥 さんの意 。 (例 )おいえへ上 がっとくれやす。 - おいでやす【
御 出 でやす】 -歓迎 の意 を表 す挨拶 言葉 。より丁寧 で幾分 改 まった表現 に「お越 しやす」がある。「おいでやす」と 地名 (滋賀 県 野洲 市 )とをかけたコピー - おいど【
御 居 処 】 - お尻 。女房 言葉 由来 。 - おおきに・おおけに【
大 きに・大 けに】 - 「大 きにありがとう」などの後略 で、感謝 の意 を表 す挨拶 言葉 。 - おかん、おとん - 「お
母 さん」「お父 さん」のくだけたい方 。 - おにい、おねえ - 「お
兄 ちゃん」「お姉 ちゃん」のくだけたい方 。 - おじい、おばあ - 「おばあちゃん」「おじいちゃん」のくだけたい
方 。 - おことおお・おことう(さん)【
御事 多 (さん)】 -大晦日 などの仕事 納 めの挨拶 言葉 。相手 の年末 の多忙 に対 するねぎらいと敬 いを表 す。 - おしピン【
押 しピン】 -画鋲 [53]。 - おため【
御 賜 め】 -結婚式 の祝儀 を渡 してくれた人 に対 してその場 で渡 す1割 のお返 し。関西 全域 にみられるが、発祥 は京都 [54]。 - おちょくる - からかう。
小馬鹿 にする。 - おとつい -
一昨日 。 - おっさん - おじさん(
中年 男性 に対 する呼 び掛 け)、和尚 さん。平板 に読 めば前者 の、「さん」を下 げて読 めば後者 の意味 になる[55]。 - おはようおかえり(やす)【
御 早 う御 帰 り(やす)】 -出立 を見送 る挨拶 言葉 [56]。「早 く帰 って来 てください」の意 であり、「さっさと帰 ってください」ではない。 - おぼこい -
幼 い。子供 っぽい。あどけない。うぶな。「産 子 」の転 「おぼこ」の形容詞 形 。 - おもろい -
面白 い。否定 形 「おもろ(う)ない」はくだけて「おもんない」とも。元 は男性 語 。 - おやかましさん・おやかまっさん【
御 喧 しさん】 -辞去 する際 の挨拶 言葉 。 - ○かい【
回 】 -大学 ○年 。厳密 には在学 年数 を指 し、留年 などで在学 年数 と在籍 学年 が異 なる場合 は「4年 次 6回生 」(入学 して6年 目 の大学 4年生 )などとする。元 は京都 帝国 大学 の用語 だが、近畿 地方 一 円 の学生 言葉 となっている。 (例 )「何 回生 ですか?」「2回 です」「あ、同 回 やん」 - かしわ【
黄 鶏 】 -鶏肉 。 - がしんたれ【
餓死 垂 れ】 -意気地無 し。甲斐性 無 し。能無 し。 - カッター(シャツ) - ワイシャツ。
狭義 では学生 用 シャツを指 す。ワイシャツ#日本語 での呼 び名 についても参照 。 - かなわん【
適 わん・敵 わん】 -嫌 だ。やり切 れない。堪 らない。「かなん」と略 して言 うことが多 い[57]。 - かまへん・かめへん【構へん】 -
構 わない[58]。「かまわへん」の略 。 - がめつい -
大阪 弁 と認識 されがちな語彙 だが、実際 は劇 作家 菊田 一夫 が1959年 に発表 した戯曲 『がめつい奴 』で広 めた造語 である。詳細 はがめつい奴 #形容詞 「がめつい」の造語 を参照 。 - かわや【
厠 】 - トイレ、便所 。高野 山 の「こうや」と音 が似 ていること、もとは川 の上 に板 を架 けて「川 屋 」を作 り、両 便 をそのまま水 に流 したことに由来 する。実際 に高野 山 の寺 では川 に大 小便 を垂 れ流 していた[59]。 - かんこくさい【
紙子 臭 い】 -焦 げ臭 い。きな臭 い。 - かんてき -
七 輪 。転 じて、癇癪 。 (例 )かんてき者 (=癇 癪持 ち) - きがわるい【
気 が悪 い】 -感 じが悪 い。嫌 な感 じ。 - きしょい -
気色 が悪 い。「きもい」より強 い不快 感 、拒絶 を表 わす言葉 [60][注 17]。 - ぎょうさん【
仰山 】 -数量 や程度 が甚 だしいこと。「ようさん」とも(「ようけ」との混合 か)。 - くらいぬけ 【
食 らい抜 け】 -大食漢 。または、食 べてすぐトイレに行 く人 。60㎏俵 に米 を詰 める時 に使 う直径 50cmほどの漏斗 の名称 「食 らい抜 け」から[61]。 - けったい -
奇妙 。変 。不思議 。おかしい。「卦 体 」または「希代 」の転 という。 - けったくそがわるい【けった
糞 が悪 い】 -癪 に障 る。忌々 しい。気味 が悪 い。「けった糞 」は「けったい」の派生 語 。 - ごあさって【
五 明後日 】 - 「今日 」から数 えて五 日 目 、つまり「しあさって」の翌日 。東京 では「やのあさって」。ちなみに「しあさって」で「あさっての翌日 」を指 すのは近畿 地方 から東京 に伝 わった用法 である[注 18] - こうこ -
香 の物 。漬物 。「おこうこ」とも。 - こうと【
公道 】 -質素 で地味 だが上品 さを兼 ね備 えている様子 。 (例 )こうとなお部屋 どすなあ。 - こける【
転 ける】 -転 ぶ。倒 れる。他動詞 形 は「こかす」。 - こそばい・こしょばい - くすぐったい。かゆい。「こそばゆい」の
略 。動詞 形 「こそぼる」でくすぐるの意 。 - ごつい - でかい。
強 い。いかつい。ひどい。1970年代 以降 の大阪 などでは主 に「ごっつ」の形 で強調 の副詞 としても用 いる。 (例 )ごっつやばい。 - こてこて -
必要 以上 に濃厚 に塗 りつける様子 。関西 弁 関連 の辞書 によっては掲載 されていない[62] 。因 みに大阪 の料理 は「こてこて」のイメージがあるが、実際 は薄口 醤油 と昆布 出汁 を基調 とした薄 味 である[63]。 - ごんた【
権 太 】 -腕白 小僧 。やんちゃ坊主 。強 めたい方 は「ごんたくれ」。人形浄瑠璃 『義経 千本 桜 』の登場 人物 名 から。 - さいぜん【
最前 】 - ついさっき。今 しがた。(例 )さいぜん言 うたばっかりやのに。 - さし【
差 し】 -物差 し。定規 。 (例 )そこのさし取 って。 - さぶいぼ【
寒 疣 】 -鳥肌 。ぞっとした時 のものは「ぞぞ毛 」とも。 (例 )あー、さぶいぼが出 た。 - さら -
新 しいこと・もの。共通 語 でも「更地 」「まっさら」などの表現 で用 いる。 (例 )さらの皿 。- さらぴん - 「さら」を
強 めたい方 。「ぴん」の語源 としては、「品 」説 とポルトガル語 のpinta説 (「ピンからキリまで」の「ピン」と同 じ)がある。
- さらぴん - 「さら」を
- しい - 「する」の
連用形 名詞 化 。・・・しがちな人 。・・・してばかりの人 。「要 らんことをする→いらんことしい」や「ええかっこをする→ええかっこしい」や「真似 をする→まねしい」など。 - しばく -
叩 く。引 っぱたく。バブル期 頃 には「茶 ぁしばけへん?」「マクドしばけへん?」「ネズミしばけへん?」のように、「・・・へ飲食 や遊 びに行 く」の意 で用 いるのが流行 した。 - しゃあない・しやない - しょうがない。
仕方 がない。 - じゃまくさい【
邪魔臭 い】 -面倒臭 い。 (例 )邪魔臭 い仕事 やなあ。 - じゅんさい【
蓴菜 】 -捉 えどころが無 い。転 じて、どっちつかず。でたらめ。いい加減 [64]。ジュンサイはぬめりがあって箸 で掴 みにくいことから[64]。 (例 )じゅんさいなこと(=いい加減 なこと)すな。 - しょうもない・しょうむない【
仕様 も無 い】 - つまらない。面白 くない。くだらない。 - しるい・しゅるい【
汁 い】 -水気 が多 く、湿 っている様 。「じるい」や「じゅるい」とも(「じゅくじゅく」などからの類推 か)。安永 5年 『世間 仲人 気質 』に、京都 で「しるい」と言 うのを大和 ・河内 では「じるい」と言 い、そのことを京都 人 はおかしがるとの記述 がある[65]。 (例 )雨 で道 がじゅるいなあ。 - しんきくさい【
辛気 ・心気臭 い】 - じれったい。苛立 たしい。まどろっこしい。 - しんどい -
疲 れる。苦 しい。「辛労 」あるいは「心労 」の転 「しんど」の形容詞 化 という[66]。 (例 )家計 がしんどいわ。 - すい・すいい【
酸 い・酸 いい】 - すっぱい。共通 語 でも「酸 いも甘 いも噛 み分 ける」の慣用 句 で用 いる。 - すかたん - まぬけ。とんちんかん。
見当 違 い。なお「まぬけ」も近畿 地方 から広 まった表現 である。 - すこい - ずるい。
狡猾 。「こすい」の倒語 。 - ずっこい - ずるい。「すこい」と「ずるい」の
混合 か。 (例 )あんたばっかしずっこいわあ。 - ずつない・じゅつない【
術無 い】 - なす術 がなくて辛 い。苦 しい。古語 「ずちなし」の転 。 (例 )ようけ食 べてずつない(=腹 が苦 しい)わ。気 ずつない(=きまりが悪 い)なあ。 - せいだい -
精 々。大 いに。うんと。「せいざい」などとも。「精 (を)出 して」の転 という。 (例 )せいだい気張 りや。 - せたらう・せったらう【
背 たらう】 -背負 う。「せたろう」とも。 - せやかて - そうは
言 っても。 - せんど【
千 度 】 -何 度 も。たびたび。転 じて、大層 。ひどく。 (例 )せんど言 わすな! - たく【
炊 く】 -煮 る。炊飯 以外 にも多用 。 (例 )夕飯 は大根 の炊 いたん(=煮物 )やで。 - だぼ -
馬鹿 。「あほ」よりも強 いい方 。播磨 ・神戸 で用 いる。 - だんない - 「
大事 ない」の省略 語 。差 し支 えない。構 わない[67]。 - ちゃいする -
幼児 語 で、捨 てる。 (例 )そんなばばい(=ばっちい)もんちゃいし。 - ちゃう - ちがう。〜ではない。(
例 )そうちゃうか?(=そうではないか?) - ちょお - ちょっと。
当然 ながら「超 」とは無関係 。 (例 )ちょお待 ってえな。 - ちょ(う)ける【
嘲 ける】 - ふざける。おどける。「ちょかる」とも。名詞 形 「ちょけ」でふざけたことをする・言 う人 の意 。 (例 )ちょけてる場合 と違 うで! - つぶれる【
潰 れる】 - 「駄目 になる」「平 らに変形 して壊 れる」だけでなく、外見 上 の変形 を伴 わない破損 ・故障 にも用 いる。 (例 )テレビが潰 れおった。 - てれこ -
逆 さま。あべこべ。歌舞伎 用語 「手入 れこ」から。 - でん -
鬼 ごっこなどで鬼 が他 の子 にタッチすること。「でんをつく」とも言 う。鬼 ごっこ以外 でも、単 にタッチを指 す語 や、鬼 がタッチしてすぐ逃 げる様 から、短時間 滞在 してすぐに帰 ることの比喩 としても用 いる。 (例 )山田 さん、家 にでんついて帰 ってきただけや。 - てんご(う) - いたずら。
悪 ふざけ。冗談 。 - でんぼ【
出 ん坊 】 -打撲 による腫 れ物 。出来物 。吹 き出物 。 - ど -
名詞 ・形容詞 ・形容動詞 の語頭 に付 けて罵 り・呆 れなどを添 える。転 じて、単 なる強調 [注 19]。(例 )どあほ どぎつい ど根性 [注 20] どたま(=ど頭 ) ど派手 ど真 ん中 [68]- どつく・どづく【ど
突 く】 -叩 く。殴 る。 - どつぼにはまる【ど
壺 に嵌 る】 -最悪 の状態 になる。やることなすこと全 て悪 い方向 に向 かう。「どつぼ」は肥溜 めの意 。元 は芸人 の楽屋 言葉 。
- どつく・どづく【ど
- どもならん・どんならん - 「どうにもならぬ」の
転 。どうしようもない。お終 いだ。 - どや - どうだ。どうやの
短縮形 。「ドヤ顔 」の由来 はここから。[69] - どんくさい【
鈍 臭 い】 -鈍 い。手際 が悪 い。 - どんつき【どん
突 き】 -突 き当 たり。 (例 )あっこにどん突 き見 えるやろ、そこを右 曲 がるのが近道 や。 - ないない【
無 い無 い】 -幼児 語 で、片付 ける。 (例 )おもちゃないないしょうな。 - なおす【
直 す】 -片付 ける。元 の場所 に戻 す。 (例 )これ棚 になおしといて。 - なんきん【
南京 】 - カボチャ。京都 では「かぼちゃ」や「おかぼ」。 - なんば【
南蛮 】 - トウモロコシ。「南蛮 キビ」の後略 。 - なんぼ【
何 ぼ】 -幾 ら。幾 つ。どれほど。「何程 」の転 。 (例 )なんぼのもんじゃい!(=どれほどのもんだい) - におう・におぐ【
臭 う・臭 ぐ】 -自動詞 としてだけでなく、他動詞 としても用 いる。すなわち、においの発生 源 が「臭 う」だけでなく、自発 的 ににおいを嗅 ぐ動作 にも用 いる。「におぐ」は「におい」と「嗅 ぐ」が混合 したもの。 (例 )ドリアン、臭 いでみ。 - ねき【
根際 】 -側 。近 く。 - ぱっち -
丈 の長 い股引 。 - はばかりさん【
憚 りさん】 -労 をねぎらう挨拶 言葉 。 - はらがおおきい【
腹 が大 きい】 -満腹 である状態 。近畿 地方 出身 の女性 が「おなかが大 きなってしもた」と言 っても、その多 くは「妊娠 してしまった」ではなく単 に「満腹 になった」の意 である。 - ばり - とても。かなり。
山陽 地方 由来 の言葉 で、1980年代 に神戸 ・播磨 を中心 に流行 した。 - はんなり -
上品 で華 やかな、明 るい様子 。 (例 )はんなりした(着物 の)柄 やなあ。 - びびんちょ -
汚 らしい者 を仲間外 れにする時 の囃 し言葉 。えんがちょ。「べべんちょ」などとも。 - ひらう【
拾 う】 -連用形 ウ音便 「ひろおた・ひろおて」からの類推 で生 じた語形 。享 保 期 以降 「ひろう」よりも優勢 となった。 (例 )落 ち葉 をひらいに行 った。 - フレッシュ - コーヒーや
紅茶 に用 いるクリームやミルク[70]。 - べべた - びり。
最下位 。「べべ」「べべちゃ」や「どべ」(ど+べべた)などとも。 - ほかす【
放下 す】 -放 り捨 てる。 (例 )この書類 ほかしといて。 - ほげた【
頬桁 】 -文句 。(目上 に対 する)反論 。物言 い。原義 は「頬骨 」。 (例 )ほげたを吐 く(=文句 を言 う)。 - ほたえる -
騒 ぐ。ふざける。じゃれる。 - ぽち -
祝儀 。チップ。「ぽち」を入 れる袋 が「ぽち袋 」である。 - ほっこり - (
一 仕事 を終 えて)疲 れた様子 。近年 、のんびりするなどの意 で用 いる者 が増 えている。 (例 )せんど歩 いてほっこりしたし(=くたびれたし)、お茶 でも一服 しょうか。 - ぼちぼち - そろそろ、まあまあ。
雨 の滴 の「ぽつりぽつり」からきた言葉 だという。例 えば「ぼちぼち行 こか」と言 った場合 「ぼ」にアクセントをつければ「そろそろ行 こうか」という意味 になり、それに対 して「ち」にアクセントをつければ「ゆっくり行 こうか」になる。大阪 以外 ではあまり使 われない[71]。 - ほな - それでは。(
例 )ほな、また。 - ぼん -
坊 や。特 に、良家 の坊 ちゃん。「坊 」の転 。「ぼんぼん」「ぼんち」などとも。 (例 )ぼんぼん育 ち。 - ぼんさんがへをこいた【
坊 さんが屁 を放 いた】 - だるまさんがころんだ。「においだら臭 かった」と続 ける。 - ほんま【
本 真 】 -本当 。実際 。「本間 」ではない。 (例 )ほんまもん(=本物 )の味 。 - まいど【
毎度 】 -大阪 の商業 社会 で広 く用 いる挨拶 言葉 。 (例 )まいどおおきに! - マクド - マクドナルドの
略 。マクドナルド#各国 における呼称 も参照 。 - まったり - まろやかでこくのある
味 わい。1990年代 以降 、のんびり・ゆったりした様子 という意味 で用 いる者 が増 えている。 - まんまんちゃん -
幼児 語 で、仏様 。地域 によっては神 や月 なども指 す。「南無阿弥陀仏 様 」の転 。お辞儀 を表 す「あん」を後 ろに付 けると、仏 への祈 りの動作 を表 す。 (例 )お仏壇 にまんまんちゃんあんしいや。 - みずくさい【
水臭 い】 -水 っぽい。塩気 が足 りない。転 じて、よそよそしい(共通 語 に取 り入 れられた用法 )。 (例 )この味噌汁 、ちょっと水臭 いなあ。 - みずや【
水屋 】 -食器 棚 。台所 全体 を指 すことも。 - めっちゃ - とても。
超 。「めちゃくちゃ」の略 で、1970-80年代 以降 、大阪 から近畿 地方 一 円 に急速 に広 まった。「めっさ」などとも。同様 の語 に「むちゃくちゃ」の略 「むっちゃ」などがある。 - めばちこ【
目 ばちこ】 -麦粒腫 。ものもらい。京都 などでは「めいぼ・めぼ」(目 疣 )。 - めんちきる【めんち
切 る】 - ガンをつける。睨 みつける。「目 ん玉 切 る」→「めんた切 る」と経 て成立 したという。 - モータープール -
駐車 場 。パーキング。進駐軍 用語 をハイカラ好 きの大阪 人 が真似 たのが始 まり[72]。ただし、英語 での本義 は軍 の配車 場 やそこに待機 する車 群 であるため、一般 の駐車 場 や車両 に使用 するのは本来 間違 い。中部 地方 (金沢 ・静岡 など)以西 で広 く用 いる。大阪 市 にて - もむない・もみない -
美味 しくない。まずい。「旨 うもない」あるいは「旨 みがない」の転 という。また「毛 瀰」という名 のガマガエルの煮物 が語源 であるとの説 もある(食用 ガエルを参照 )。大阪 などのい方 。 - やいやい-
何 度 もしつこく言 うさま。「やいやい言 いないな」などと使 う。[69] - やつす【俏す・
窶 す】 - おめかしする。名詞 形 「やつし」でめかし屋 の意 。もとは歌舞伎 界 の隠語 で、江戸 時代 に町人 層 で流行 語 として広 まったもの。 (例 )そないやつしてどこ行 きなはるの? - ややこしい -
煩雑 だ。厄介 だ。面倒 だ。紛 らわしい。怪 しい。「赤 ん坊 」を意味 する「ややこ」の形容詞 化 。赤 ん坊 の世話 は面倒 で大変 だということから。「ややこい」などとも。 (例 )今日 の天気 はややこしい(=微妙 だ)な。 - やんぺ・やんぴ -
物事 をやめる時 の掛 け声 。主 に子供 が用 いる。「止 め」の転 か。 (例 )もうやーんぺ。 - ようけ・よけ -
数量 が甚 だしいこと。たくさん。「余計 」の転 。 - よす【
寄 す】 -仲間 に入 れる。主 に遊 びに参加 する時 に用 いられる。(例 )寄 して(参加 させて) - よばれる【
呼 ばれる】 -御馳走 に呼 ばれるの意 で多用 する。転 じて、単 に「食 う」の丁寧 語 として用 いることもある。 (例 )たんとよばれや(=お食 べよ)。 - よむ【
読 む】 -数 を数 える。共通 語 でも「鯖 を読 む」「票 を読 む」などの表現 で用 いる。 (例 )十 読 んでから風呂 から上 がりや。 - よろしゅうおあがり(やす)【
宜 しゅう御 上 がり(やす)】 -拙 い食事 を十分 に召 し上 がって下 さいましたの意 で、「ご馳走様 」に対 する語 [73]。十分 に召 し上 がって下 さいの意 で「いただきます」の後 に用 いる家庭 もある[73]。 - わや -
台無 し。滅茶苦茶 。道理 に合 わない。駄目 。「枉惑」の転 「わやく」の派生 。「わやくちゃ」「わやくそ」などとも。 (例 )さっぱりわやや。 - わらかす -
笑 わす。
脚注
注釈
- ^ ここまで、
阪口 篤 義 編 『日本語 講座 第 六 巻 日本語 の歴史 』(大修館書店 、1990年 )の徳川 宗 賢 「東西 のことば争 い」を参考 文献 とした。 - ^
当時 上方 では「くゎんねん」と発音 しており、「かんねん」は関東 訛 りとされていた。 - ^ 「
立派 な」の上方 訛 り。 - ^ 「
彼 と一緒 に暮 らす」のような用法 は共通 語 に元 からあるが、「私 と彼 は趣味 が一緒 だ」のような「同一 」という意味 の用法 は近畿 方言 から広 まったもの。 - ^
語 自体 は近畿 方言 に由来 するが、現在 全国 で広 く使 われる「ゆったりと」という用法 は本来 の近畿 方言 ではあまり一般 的 でない。 - ^ 「
吐 き気 がする」という用法 は共通 語 に元 からあるが、「腹立 たしい」という用法 は近畿 方言 から広 まったもの。 - ^ 「おる」に
尊敬 語 を接続 させるのは京阪 では一般 的 でなく(通常 「おらはる」や「おおりやす」などは誤用 )、「おられる」はあくまで共通 語 として用 いる。 - ^
近代 初期 までは江戸 ・東京 でも敬 体 と「だ」を併用 することがあった。 - ^
東京 の「です」も江戸 後期 の成立 当初 は限 られた階層 の表現 であり、中流 以上 では用 いなかった。(1917年 『口語 法 別記 』) - ^
東京 の「です」とは別 に、近世 上方 にも独自 の「です」があったとする説 もある。 - ^ あるアメリカの
旅行 者 が大阪 の市 バスの運転 手 に「次 の駅 止 まりますか?」と聞 いたところ「止 まりま」と言 われたため、関西 弁 を知 らない人 にはよくわからない返事 の仕方 に腹 が立 った旅行 者 は新聞 に投書 したという。末延 岑生 『ニホン英語 は世界 で通 じる』〈平凡社 新書 〉2010年 ISBN 9784582855357 p16
- ^
富山 県 高岡 市 周辺 でも使用 される。 - ^ みなと
舞鶴 ちゃったまつりなるイベントが開催 されるほど「ちゃった」は舞鶴 弁 の特徴 とされるが、「ちゃった」の使用 地域 は丹波 や播磨 の一部 (兵庫 県 多可 町 加美 )にも分布 する。 - ^ 「せう」の
転 。「しょう」がさらに転 じたものが共通 語 の「しよう」とされる。 - ^ この
用法 は「嘘 やん」以外 では稀 。 - ^ ある
時 、大 鯛 がとれ、若者 6人 で料理 したが、1人 がエラで指 にけがをした。その際 に「エラいたい、えらい鯛 じゃ」と言 ったことから、大 きなものに対 して「えらい」と言 うようになったという。札 埜(2006)p90-91
- ^
解釈 学会 編 『解釈 』第 43巻 (1997年 、教育 出版 センター)に掲載 された大阪 府立 阿部 野 高校 教員 の岡本 利昭 の「新 科目 『現代 語 』の授業 の一 思案 阿倍 高 の言葉 ・『きもい』『きしょい』考 」という54人 の高校生 に試 みた質問 紙 調査 によると、「きしょい」について「強 い不快 感 を感 じる時 に使 う」と答 えた生徒 は26%、「それほど強 い嫌悪 感 が無 いときに使 う」と答 えた生徒 は15%。「きもい」に対 して「軽 い不快 感 を感 じる言葉 」と答 えた生徒 は33%、「強 い不快 感 、見 るのも嫌 なものに対 する言葉 」と答 えた生徒 は20%であった。札 埜(2006)p74
- ^
東京 では本来 「明日 →あさって→やのあさって→しあさって」の順 だった。 - ^
元来 より総 じて否定 的 な意味 で使 われる言葉 であった。そのため、2001年 にエプソンが優 香 を起用 して「どキレイ」というキャッチコピーを、2003年 に日清食品 が上戸彩 を起用 して「どうまい」というキャッチコピーを発表 したことに関 しては言語 学 の専門 家 による非難 の対象 になり、前者 は2002年 に開 かれた「なにわことばのつどい」第 20回 記念 総会 (テーマ「大阪 辯 の誤用 ・悪用 を正 す」)の中 でも批判 された。札 埜(2006年 ) p45
- ^ 「ど
根性 大根 」のように肯定 的 に用 いるのは戦後 からの用法 で、元 は「腐 った根性 」「曲 がった根性 」といった意 。
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参考 文献
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その他 関連 書籍
前田 勇 『近世 上方 語 辞典 』東京 堂 出版 、1964年 。牧村 史 陽 『大阪 ことば事典 』講談社 講談社 学術 文庫 、1984年 、ISBN 4061586580。堀井 令 以知『上方 ことば語源 辞典 』東京 堂 出版 、1999年 、ISBN 4490105177。大阪女子大学 国文学 研究 室 『上方 の文化 ―上方 ことばの今昔 』和泉 書院 、1992年 、ISBN 4870885514。尾上 圭介 『大阪 ことば学 』講談社 講談社 文庫 、2004年 、ISBN 4062747901。山下 好孝 『関西 弁 講義 』(講談社 講談社 選書 メチエ、2004年 、ISBN 4062582929。真田 信治 監修 、岡本 牧子 ・氏原 庸子 著 『聞 いておぼえる関西 (大阪 )弁 入門 』ひつじ書房 、2006年 、ISBN 978-4894762961。
外部 リンク
国立 国語 研究所 方言 録音 資料 -近畿 地方 では、京都 市 方言 (1964年 録音 )を収録 。日本 のふるさとことば集成 〜近畿 〜 -京都 市 (1983年 録音 )・滋賀 県 甲賀 町 (1981年 録音 )・奈良 県 五條 市 (1981年 録音 )・和歌山 県 田辺 市 (1981年 録音 )・大阪 市 (1977年 録音 )・兵庫 県 相生 市 (1985年 録音 )の方言 を収録 。方言 談話 資料 -近畿 地方 では、奈良 県 十津川 村 (1975年 録音 )と京都 府 綾部 市 (1976年 録音 )の方言 を収録 。
日本 方言 の記述 的 研究 - 1959年 に国立 国語 研究所 が刊行 した日本 各地 の方言 の記述 。近畿 地方 では、奈良 県 旧 織田 村 ・和歌山 県 旧 高池 町 ・兵庫 県 旧 伊保 村 の方言 を記録 。全国 方言 文法 辞典 資料集 活用 体系 統合 サイト -近畿 地方 を含 め、日本 各地 の方言 の活用 体系 を集積 したサイト。関西 弁 コーパス- Kansai Dialect Self-study Site