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近畿きんき方言ほうげん」のはんあいだ差分さぶん

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*'''おじい'''、'''おばあ''' - 「おばあちゃん」「おじいちゃん」のくだけたいいかた
*'''おじい'''、'''おばあ''' - 「おばあちゃん」「おじいちゃん」のくだけたいいかた
*'''おことおお'''・'''おことう'''('''さん''')【御事おんこと(さん)】 - 大晦日おおみそかなどの仕事しごとおさめの挨拶あいさつ言葉ことば相手あいて年末ねんまつ多忙たぼうたいするねぎらいとけいいをあらわす。
*'''おことおお'''・'''おことう'''('''さん''')【御事おんこと(さん)】 - 大晦日おおみそかなどの仕事しごとおさめの挨拶あいさつ言葉ことば相手あいて年末ねんまつ多忙たぼうたいするねぎらいとけいいをあらわす。
*'''おしピン'''【しピン】 - [[画鋲がびょう]]<ref>[https://researchmap.jp/kimuragenti/published_papers/46761951/attachment_file.pdf 木村きむらみなもととも言葉ことば記憶きおくされた舶来はくらいひん普及ふきゅう―「画鋲がびょう」「しピン」「ガバリ」―」]『生活せいかつがく論叢ろんそう』Vol. 44, 1-14, 2024.6.11. </ref>。
*'''おしピン'''【しピン】 - [[画鋲がびょう]]。
*'''おため'''【たまものめ】 - 結婚式けっこんしき祝儀しゅうぎわたしてくれたひとたいしてそのわたす1わりのおかえし。関西かんさい全域ぜんいきにみられるが、発祥はっしょう京都きょうと<ref>朝日新聞あさひしんぶん 2003ねん6がつ5にち</ref>。
*'''おため'''【たまものめ】 - 結婚式けっこんしき祝儀しゅうぎわたしてくれたひとたいしてそのわたす1わりのおかえし。関西かんさい全域ぜんいきにみられるが、発祥はっしょう京都きょうと<ref>朝日新聞あさひしんぶん 2003ねん6がつ5にち</ref>。
*'''おちょくる''' - からかう。小馬鹿こばかにする。
*'''おちょくる''' - からかう。小馬鹿こばかにする。

2024ねん6がつ18にち (火) 13:42時点じてんにおけるはん

近畿きんき方言ほうげん(きんきほうげん)は、近畿きんき地方ちほう大阪おおさか京都きょうと兵庫ひょうごけん和歌山わかやまけん奈良ならけん滋賀しがけん三重みえけんだい部分ぶぶんおよび福井ふくいけんみねみなみもちいられる日本語にほんご方言ほうげん総称そうしょうである。西日本にしにほん方言ほうげんぞくする。京阪神けいはんしん中心ちゅうしんとする近畿きんき中央ちゅうおう方言ほうげん上代じょうだいから近世きんせい中期ちゅうきまでの中央ちゅうおう系統けいとうみ、現在げんざい首都しゅとけん方言ほうげん認知にんち影響えいきょうりょくつ(後述こうじゅつ)。

関西かんさいべん(かんさいべん)ともばれるが、「関西かんさいべん」と「近畿きんき方言ほうげん」では範囲はんいかならずしも一致いっちせず、近畿きんき中央ちゅうおう方言ほうげんだけをして「関西かんさいべん」ということもあれば、ぎゃく漠然ばくぜんと「西日本にしにほん方言ほうげん」という意味合いみあいで「関西かんさいべん」ということもある[1]

概要がいよう

古代こだいより近畿きんき地方ちほう畿内きない低地ていちたい奈良盆地ならぼんち大阪平野おおさかへいや京都きょうと盆地ぼんち)を中心ちゅうしん発展はってんした。中世ちゅうせい以降いこう京都きょうと近世きんせい以降いこう大阪おおさか大坂おおさか)が最大さいだい都市としとなって文化ぶんかけん形成けいせいし、言語げんごめんでも京都きょうと大阪おおさか中心ちゅうしん比較的ひかくてきまとまった方言ほうげんけん形成けいせいされた。京都きょうと大阪おおさか方言ほうげんわせて上方かみがた上方かみがた言葉ことば上方かみがたべん)や京阪けいはんともう。

近畿きんき地方ちほう周辺しゅうへんでは、四国しこく方言ほうげん北陸ほくりく方言ほうげん近畿きんき方言ほうげんてき性格せいかくがよくみとめられ、とく近畿きんき地方ちほうとの交流こうりゅう活発かっぱつ徳島とくしまけん言語げんごめんでも影響えいきょうつよく、また兵庫ひょうごけん淡路島あわじしまとの対岸たいがん同士どうしでは方言ほうげんがほとんどない(阿波あわべん参照さんしょう[2]岐阜ぎふ愛知あいち方言ほうげん文法ぶんぽう語彙ごい近畿きんき方言ほうげんとの共通きょうつうてんおおく、西濃せいのう一部いちぶではアクセント近畿きんき方言ほうげんてきである(美濃みのべん参照さんしょう)。近畿きんき四国しこく北陸ほくりく方言ほうげん共通きょうつうてんおお背景はいけいには、かつては陸路りくろよりも海路かいろによる交通こうつうほう容易よういであり、瀬戸内海せとないかい日本海にほんかい沿って言葉ことばがよく伝播でんぱしたためとかんがえられる[2]

近畿きんき方言ほうげんおも特徴とくちょうとしては、5母音ぼいんをはっきりと発音はつおんすること、京阪けいはんしきアクセント、「よーゆーた(った)」「おおてる(あっている)」のようなウ音便うおんびん、「はよしー(はやくしなさい)」のような連用形れんようけいによる命令めいれい断定だんてい「や」、否定ひてい「ん」と「へん」の併用へいよう、「はる」に代表だいひょうされる敬語けいご体系たいけい、「わい」「うち」「わて」とった一人称いちにんしょうなどがげられるが、文法ぶんぽう語彙ごいかんしては近畿きんき地方ちほうまらず西日本にしにほんひろ共通きょうつうしあうものがおおい。ただし、京都きょうと大阪おおさかなど近畿きんき中央ちゅうおうでは「いる」の使用しようやサぎょうイ音便いおんびん消失しょうしつなど東日本ひがしにっぽん方言ほうげん共通きょうつうする要素ようそもある。

物語ものがたりなどの言葉ことば発達はったつしていた近畿きんきでは、言葉ことば変化へんか比較的ひかくてきすくなく、ふるいアクセントがたもたれやすかった。とくにアクセントについてはせんねんまえからほとんどわっていないとされる[3]

方言ほうげん区画くかく

奥村おくむら三雄みつおが1968ねん発表はっぴょうした区分くぶんあん[4]ちゅう近畿きんきしき方言ほうげん)とそと近畿きんきしき方言ほうげん大分おおいたし、ちゅう近畿きんきしき方言ほうげんを「いわゆる関西かんさいべん」としている。そと近畿きんきしき方言ほうげんをさらにきた近畿きんきしき方言ほうげん)・西にし近畿きんきしき方言ほうげん)・みなみ近畿きんきしき方言ほうげん)・ひがし近畿きんきしき方言ほうげん)に細分さいぶんしている。京都きょうとたい大阪おおさかちがいよりも、大阪おおさかたい播磨はりま京都きょうとたいぜいちがいを重視じゅうししている。但馬たじま北部ほくぶ丹後たんご西部せいぶ紀伊きい半島はんとう一部いちぶ近畿きんき方言ほうげんから除外じょがいしている()。

近畿きんき方言ほうげんないでの方言ほうげん区画くかくには様々さまざまあん提唱ていしょうされているが、自然しぜん地理ちりてき文化ぶんかてき条件じょうけん考慮こうりょしつつ、京阪けいはんからの距離きょりかんがえて区画くかくされることがおおい(方言ほうげんしゅうけんろんまと)。すなわち、京阪けいはんとそれを近畿きんき中央ちゅうおうおおよそ半径はんけい50km圏内けんない[5][4])ほど一般いっぱん近畿きんき方言ほうげんてきとされる特徴とくちょうおおそなえ、京阪けいはんからはなれた周辺しゅうへんきた近畿きんき紀伊きい半島はんとうなど)ほど近畿きんき方言ほうげんとのちがいがおおきくなる一方いっぽうふる言語げんご状態じょうたいたもっている[2]

兵庫ひょうごけん但馬たじま但馬たじまべん)と京都きょうと丹後たんご西部せいぶ丹後たんごべん)は、行政ぎょうせいじょう近畿きんき地方ちほうであるが、方言ほうげんにおいては東京とうきょうしきアクセントであるなどちがいがおおきく、中国ちゅうごく方言ほうげん分類ぶんるいされる。また紀伊きい半島はんとうとく山岳さんがくけわしい奈良ならけんおく吉野よしの言語げんごとうとして有名ゆうめいで、近畿きんき方言ほうげんてき特徴とくちょうがほとんどあらわれない[6]経済けいざい活動かつどう広域こういき放送ほうそうなどのめん中京ちゅうきょうけんふくまれる三重みえけんかんしては、愛知あいちけんとの県境けんきょう付近ふきん揖斐川いびがわにアクセントなどの言語げんご境界きょうかいはしり、おく吉野よしのなどよりもはるかに京阪けいはん方言ほうげんちかく、近畿きんき方言ほうげんふくまれる[7]

近畿きんき地方ちほう主要しゅよう都市としである大阪おおさか神戸こうべ京都きょうと方言ほうげん比較ひかくすると、音声おんせいじょうはアクセントがわずかにちがう(大阪おおさか神戸こうべの「きました」と京都きょうとの「ました」など)程度ていどで、問題もんだいとされやすいのは語法ごほうじょうちがいである。とりわけ「どす」と「だす」など京阪けいはんちがいがよく対比たいひされ、近畿きんき中央ちゅうおう方言ほうげんきょう言葉ことばけん大阪おおさかべんけん二分にぶんするかんがかたもある(後述こうじゅつ[2]。しかし、アスペクト(継続けいぞく完了かんりょう区別くべつ有無うむ)のてんでは神戸こうべ京阪けいはんあいだいちじるしいちがいがある[1]

かく方言ほうげん詳細しょうさいかく項目こうもく個別こべつに、周辺しゅうへん方言ほうげんとの比較ひかくについては日本語にほんご方言ほうげん比較ひかくひょう参照さんしょう

下位かい方言ほうげん

歴史れきし

上代じょうだいから近世きんせいまでは日本にっぽん文化ぶんか経済けいざい中心ちゅうしん近畿きんき地方ちほうだったため上代じょうだい大阪おおさか平野へいや奈良盆地ならぼんち平安へいあん時代じだい以降いこう京都きょうと方言ほうげんながらく中央ちゅうおうとされ、文語ぶんご平安へいあん時代じだい貴族きぞく京都きょうと方言ほうげんもと成立せいりつした(中古ちゅうこ日本語にほんご)。日本語にほんごのなかで古代こだいから連続れんぞくして文献ぶんけん資料しりょうのこ唯一ゆいいつ方言ほうげんであり、また文芸ぶんげい活動かつどう中心ちゅうしんであったことから、日本語にほんごかたじょうもっと重要じゅうよう方言ほうげんである。平安へいあん遷都せんとながらくかれた京都きょうとではみずからの方言ほうげん中央ちゅうおう自負じふし、地方ちほう方言ほうげんいやしめる風潮ふうちょう形成けいせいされた。中世ちゅうせいまつポルトガルなどから来日らいにちした宣教師せんきょうしも、公家くげ京都きょうと方言ほうげん御所ごしょ言葉ことば)を模範もはんとすべき有力ゆうりょく日本語にほんごとしてあつかっている(ジョアン・ロドリゲス日本にっぽんだい文典ぶんてん』など)。

歴史れきしわるのは江戸えど時代じだい後期こうき江戸えど幕府ばくふ政権せいけん安定あんていともなって江戸えど町人ちょうにん文化ぶんか成熟せいじゅくし、日本にっぽん文化ぶんか経済けいざい中心ちゅうしん江戸えど上方かみがたかたならべた時代じだいである(せい文化ぶんか参照さんしょう)。江戸えどでは町人ちょうにん文化ぶんか発展はってんとともに江戸えど言葉ことば地位ちい向上こうじょうし、上方かみがた江戸えどふたつの有力ゆうりょく方言ほうげん併存へいそん拮抗きっこうする日本語にほんご史上しじょう唯一ゆいいつ事態じたいしょうじた[ちゅう 1]現代げんだい関西かんさい関東かんとう方言ほうげん対抗たいこう意識いしきはこうした歴史れきし背景はいけいから形成けいせいされたものである。滑稽本こっけいぼん浮世うきよ風呂ふろ』(1808ねん)にも江戸えどおんな上方かみがたおんな言葉ことばあらそいの描写びょうしゃがある(以下いかはその一部いちぶ)。

「そんならげんはうかへ。江戸えどのからをわらいひなはるが、百人一首ひゃくにんいっしゅ(ひやくにんし)のうたなにとあるヱ。」
「ソレソレ。もうひゃくにんいちしゅ(ひやくにんし)じゃ。アレハくび(し)じゃない百人一首ひゃくにんいっしゅ(ひやくにんしゆ)じゃはいな。まだまアしゃくにんしトごとはいでよりゆきははしいナ。」
「そりゃア、わたしがげんそん(いひぞこねへ)にもしろさ。」
「そこねへ、じゃない。げんそん(いひそこない)じゃ。ゑらふききづらいナ。芝居しばいなどるに、いま最後さいご(せへご)だ、観念かんねん(かんねん[ちゅう 2]なにたらげんふたり、大願たいがん(でへがん)成就じょうじゅかたじけな(かたじけ)ねへなんのかのげんふて、万歳ばんざい(まんぜへ)の、才蔵さいぞう(せへぞう)のと、ぎっぱな[ちゅう 3]おとこげんふてじゃが、ひかりじん(て)のないさかい、ようんである。」
「そりゃそりゃ。上方かみがたわるわるい。ひかりじんッサ。ひかるとは稲妻いなづまかへ。おつだネヱ。江戸えどではしか(しか)るとげんふのさ。アイそんな片言かたことさるません。」
「ぎっぱにひかる。なるほど。こりゃわたしあやまた。」

上方かみがた言葉ことば権威けんいある言葉ことばとされた江戸えど中期ちゅうきまで、江戸えど上級じょうきゅう武士ぶし教養きょうようそう上方かみがた言葉ことば真似まねはなしていたとされる。その江戸えど言葉ことば地位ちい向上こうじょうともなって上方かみがたふうはなかたすたれたが、一方いっぽう上方かみがたふうのいいまわしは「老人ろうじん言葉ことば」「権威けんいしゃ言葉ことば」として歌舞伎かぶき戯作げさくなどでステレオタイプされていった。これが「わしはらぬのじゃ」のような老人ろうじん古風こふう権威けんいしゃ殿様とのさまなど)の役割やくわり起源きげんである(老人ろうじん参照さんしょう[8]

江戸えど時代じだいは、大坂おおさか商都しょうととしてさかえ、京都きょうとしの上方かみがた最大さいだい都市としとなった時代じだいでもある。ゆたかな経済けいざいりょく背景はいけい上方かみがた文化ぶんか一翼いちよくになうようになり、言語げんごめんでも大坂おおさか方言ほうげん京都きょうと方言ほうげんとで対抗たいこう意識いしきしょうじた。1759ねん洒落本しゃれぼんわたるあじ草紙ぞうし』にも以下いかのような描写びょうしゃがある[9]

此ごろきょうよりきたるうかれおんな、なにはのどうとんぼりといへるところのうかれさとにたよりてつとめしに、やゝもすればきょうことばをもつてひとをいやしめ、おおきいはいかつい、ぬくいはあたたか、其外やごとなきことばのはし\゛/をおぼへて、そのうたてさかぎりなしとや

明治めいじ東京とうきょう奠都てんとによって標準ひょうじゅん東京とうきょう方言ほうげん(とりわけやま言葉ことば)をもと整備せいびされ、近畿きんき方言ほうげんいち地方ちほう方言ほうげんあまんずることとなり、近畿きんき方言ほうげん標準ひょうじゅん影響えいきょうけるようになっていった。もっとも、保科ほしな孝一こういち1915ねん時点じてんで「東京とうきょう関東かんとう方言ほうげん系統けいとうぞくするものであるが、しかしこれを基礎きそとして標準ひょうじゅん制定せいていする場合ばあいには、関西かんさい方言ほうげんとの調和ちょうわはかることは、ある程度ていどまで必要ひつようである。[10]」としるすなど、近代きんだい以降いこう一定いってい影響えいきょうりょくのこした。1954ねん梅棹うめさお忠夫ただおが「だい標準ひょうじゅんろん[11]」(「関東かんとうけい標準ひょうじゅん」に対抗たいこうして関西かんさいけいだい標準ひょうじゅんつくろうというろん)をとなえたこともあるが、実現じつげんはしなかった。

現状げんじょう

話者わしゃ人口じんこうおおさや京阪神けいはんしん文化ぶんかりょく経済けいざいりょく背景はいけいに、近畿きんき方言ほうげん依然いぜん有力ゆうりょく方言ほうげん勢力せいりょくである。とく大阪おおさかべん演芸えんげいつうじて日本にっぽん全国ぜんこくひろ認知にんちされている。もっとも、演芸えんげいもちいられる大阪おおさかべん全国ぜんこく視聴しちょうしゃかりやすいよう共通きょうつうまじえたり、誇張こちょうしたりする場合ばあいがあるため、船場ふなば言葉ことばをはじめとする伝統でんとうてき大阪おおさかべんとはことなる「吉本よしもとべん」だと揶揄やゆするこえもある[12]

近畿きんき方言ほうげんは、たん認知にんちたかいだけでなく、共通きょうつう各地かくち方言ほうげん影響えいきょうおよぼすこともある。「一緒いっしょ[ちゅう 4]」「しんどい」「ぼやく」「まったり[ちゅう 5]」「むかつく[ちゅう 6]」「ややこしい」「ヤンキー」など幅広はばひろ語彙ごい共通きょうつうれられたり、「関東かんとうバカ関西かんさいアホ」だったのが東京とうきょうでも「アホよりバカのほうがきつくこえる」しゃ多数たすうとなったりしている[13]

認知にんちたかさや、近世きんせい以来いらい江戸えど東京とうきょうへの対抗心たいこうしんなどから、近畿きんき地方ちほうでは自分じぶんたち方言ほうげんへの愛着あいちゃく自負じふしんつよいとされる。実際じっさい2000ねん大阪おおさかおこなわれた意識いしき調査ちょうさでは、東京とうきょう言葉ことばたいしては7わりが「きらい」「どちらかとえばきらい」、地元じもと言葉ことばたいしては9わりが「き」「どちらかとえばき」と回答かいとうしている[13]。しかし地方ちほうおなじく共通きょうつう東京とうきょう方言ほうげんすすんでおり、若年じゃくねんそうでは共通きょうつう東京とうきょう若者わかもの言葉ことば混合こんごうした以下いかのようなスピーチスタイルが主流しゅりゅうとなっている(1993ねん大阪おおさか寝屋川ねやがわ記録きろくされた20さい女性じょせいと21さい女性じょせい会話かいわ一部いちぶ[14])。

A:やっぱりかみさあ、このままパーマあてるか、ちょっとショートめにるか、どうしよっかなあ、まよってんねんやん。
B:みじかったら?
A:うーん。そうやんなあ。結構けっこう雑誌ざっしにあんまりいいのってないからなあ。

近畿きんき地方ちほうには、京都きょうと御所ごしょ言葉ことば大阪おおさか商人しょうにん言葉ことば船場ふなば言葉ことば堂島どうじま言葉ことばなど)や芸能げいのう言葉ことば関西かんさい歌舞伎かぶき文楽ぶんらく上方かみがた落語らくごなど)、遊郭ゆうかく言葉ことば京都きょうとしまげん大坂おおさか新町しんまちなど)、志摩半島しまはんとう海人あま言葉ことば紀伊きい山地さんち林業りんぎょう山岳さんがく信仰しんこう関係かんけい言葉ことば伊勢いせ獅子ししまい神楽かぐら言葉ことばなど、階層かいそう職業しょくぎょうべつ多様たよう言葉ことばづかいがあった。しかし近代きんだい以降いこうとく太平洋戦争たいへいようせんそう旧来きゅうらい階層かいそう社会しゃかい生活せいかつ習慣しゅうかんおおきく変質へんしつしたため、多様たようせいうすれている。多様たようせい衰退すいたい地域ちいきあいだでもこっており、交通こうつうもう発達はったつともな大阪おおさか中心ちゅうしんとした大都市だいとしけん拡大かくだいによって、「関西かんさい共通きょうつう」(関東かんとうのいわゆる首都しゅとけん方言ほうげん相当そうとう)ともうべき方言ほうげん均質きんしつしつつある。たとえば、たがいに意識いしきい、おおきなちがいをせていたきょう言葉ことば大阪おおさかべんも、そのような明確めいかく傾向けいこうられるのは団塊だんかい世代せだいまでにかぎられつつある。

演芸えんげい文化ぶんかささえられ、近畿きんきけん放送ほうそうきょくローカルバラエティ番組ばんぐみでは、出演しゅつえんしゃアナウンサー方言ほうげんでトークをすすめることがめずらしくなく、共通きょうつう規範きはんとされやすいNHK例外れいがいではない。方言ほうげんがメディアというおおやけ一定いっていはばかせているのは地方ちほうではあまりられないものである。一方いっぽうで、メディアのつよ影響えいきょうりょくから、放送ほうそうはなされる方言ほうげん近畿きんき方言ほうげん均質きんしつ一因いちいんにもなっている。

2014ねんには、facebook関西かんさいべん公式こうしきサポートした[15]2019ねんVivaldi関西かんさいべん公式こうしきサポートを表明ひょうめいした[16]

イメージ

文学ぶんがくドラマ映画えいが漫画まんがなどのフィクションでは、ステレオタイプな大阪おおさかぞう念頭ねんとうかれた関西かんさいべん強烈きょうれつ役割やくわりとしてキャラクターの差別さべつ記号きごうとしてよく利用りようされる。

役割やくわり」の提唱ていしょうしゃであるかねすいさとしによると、フィクションにおける大阪おおさかべん関西かんさいべんは「快楽かいらく欲望よくぼう肯定こうてい追求ついきゅう」(金銭きんせんへの執着しゅうちゃく好色こうしょく派手はでなど)という性質せいしつったトリックスターやくどころをあらわ記号きごうであり、これは江戸えど時代じだいにおける理想りそう主義しゅぎてき江戸えど文化ぶんか現実げんじつ主義しゅぎてき上方かみがた文化ぶんか対比たいひはしはっするという[17]。このイメージに関連かんれんして、高度こうど経済けいざい成長せいちょう以降いこう菊田きくた一夫かずおの『がめついやつ』やはなとうかたみの「根性こんじょうもの」の流行りゅうこうから「ど根性こんじょう」というイメージも定着ていちゃくしている[17]

近代きんだい以降いこう大阪おおさかはつ漫才まんざい演芸えんげい番組ばんぐみラジオテレビつうじて日本にっぽん全国ぜんこく人気にんきはくしたことから、「関西かんさいべん=おわらい」のイメージがつよ定着ていちゃくした[17]。このことを井上いのうえ章一しょういちは「関西かんさいは、道化どうけてきないいまわしに、おとしめられている」と否定ひていてき指摘してきしている[18]。また太平洋戦争たいへいようせんそう近畿きんき地方ちほう舞台ぶたいとする迫力はくりょくある作品さくひんヤクザ映画えいがなど)の流行りゅうこうや、現実げんじつ近畿きんき地方ちほうにおける凶悪きょうあく事件じけん多発たはつとその過熱かねつ報道ほうどうなどにより、関西かんさいべんは「暴力ぼうりょく」などの荒々あらあらしいイメージとむすけられるようになった[17]戦前せんぜんまでは、上方かみがた出身しゅっしんしゃ江戸えどくらべて気長きなが柔弱にゅうじゃく女々めめしいなどとされていた[17])。

フィクションでの関西かんさいべんについては、以上いじょうのようなステレオタイプにくわえて、大袈裟おおげさ誇張こちょうあやまったアクセント・表現ひょうげんによって不自然ふしぜんな「方言ほうげん」となりやすく、近畿きんき地方ちほう出身しゅっしんしゃにとって違和感いわかん不快ふかいかん対象たいしょうとなることがしばしばある[19]関西大学かんさいだいがくふく学長がくちょう黒田くろだいさむはスポーツなどマスメディアにおいて、報道ほうどう内容ないよう庶民しょみんせい現実味げんじつみ付加ふかするために関西かんさいべん恣意しいてき使つかわれることがあり[20]、それは一方いっぽう関西かんさいべんを「東京とうきょうてき価値かちかん」からの「逸脱いつだつしゃ」をあらわ安易あんい役割やくわりとなし、「関西かんさい文化ぶんか人々ひとびときずつけるもの」であると指摘してきしている[21]

1980年代ねんだい以降いこう従来じゅうらいのステレオタイプな大阪おおさかぞうとはことなるイメージもまれている。山下やました好孝よしたかによると、若者わかもの中心ちゅうしんに「かろやか」「ファッショナブル」「都会とかいてき」「タレントてきなおもしろさ」といったプラスイメージでれられるようになったという[22]要因よういんとして、関西かんさいわらいタレント東京とうきょう進出しんしゅつ活発かっぱつし、全国ぜんこく放送ほうそうバラエティ番組ばんぐみにおいて、漫才まんざいコントつくもののセリフではなく、フリートークとしての関西かんさいべんみみにする機会きかいえたことや、大阪おおさか出身しゅっしん以外いがい関西かんさいタレントがえて近畿きんき地方ちほうたいする認識にんしき大阪おおさか一色いっしょくでなくなったことなどがかんがえられるという[22]。また、東京とうきょうなどのひと以前いぜんよりも関西かんさいべんれやすくなった要因よういんとして、共通きょうつう関西かんさいべんがマイルドになったこと、東京とうきょう活動かつどうするタレントの関西かんさいべんはさらに共通きょうつうすること、関西かんさいべん共通きょうつうをTPOで使つかけるタレントが登場とうじょうしたことなどをげている[22]

音声おんせい

近畿きんき方言ほうげん音韻おんいん体系たいけい東京とうきょう方言ほうげんとほとんどわらないが、母音ぼいん丁寧ていねいながつよく、子音しいんよわかる発音はつおんする傾向けいこうがある[23]

母音ぼいん

近畿きんき方言ほうげんでも母音ぼいんはア・イ・ウ・エ・オの5しゅであるが、ウは東京とうきょう方言ほうげんよりもくちびるまるめて発音はつおんされる(えんくちびるしたせま母音ぼいんちかい)[23]

母音ぼいん丁寧ていねい発音はつおんすることから、母音ぼいん無声むせいがほとんどこらず、たとえば東京とうきょう方言ほうげんでは「きく」の「き」や「つき」の「つ」が無声むせいするが、近畿きんき方言ほうげんではすべてはっきりと発音はつおんする(わか世代せだい近畿きんき方言ほうげん話者わしゃでは「です」「ます」などで無声むせい傾向けいこうられる)[23]。「あかい→あけえ」「すごい→すげえ」「さむい→さみい」のような重母音じゅうぼいんアイ・オイ・ウイの同化どうか融合ゆうごうも「わたい→わて(一人称いちにんしょう)」「かい→け(疑問ぎもん反語はんごおわり助詞じょし)」などのすうれいのぞいてこらず[23]紀伊きい半島はんとう一部いちぶでは「丁寧ていねい→てえねえ」のような「エイ→エエ」もこらない。また一般いっぱん鼻音びおんまえのウは「うまい→んまい」のように鼻音びおんしやすいが、近畿きんき方言ほうげんでは丁寧ていねいにウと発音はつおんして鼻音びおんしにくいという[24]異論いろんもある[25])。

1はくではほぼ規則きそくてきに「→きい」「→めえ」のように母音ぼいん長音ちょうおんし、特定とくていかたりでは「やいと(やいと)→やいとお」「路地ろじ→ろおじ」「去年きょねん→きょおねん」など1はく以上いじょうかたりや「たい→ねえたい」など語幹ごかんが1はく動詞どうし長音ちょうおんすることがある[23]一方いっぽうで「御幸みゆきまちどおり→ごこまちどおり(京都きょうと市内しないとおり)」「はや学校がっこうこう→はよがっこいこ」のようにかたりちゅう語尾ごびちょう母音ぼいん短音たんおんすることもある[26]。これらの現象げんしょうは、話者わしゃ母音ぼいん長短ちょうたん意識いしき曖昧あいまいであることに起因きいんするとかんがえられる[23]

かたりによっては「うごく→いごく/いのく」「キツネ→けつね」「タヌキ→たのき」「ニンジン→ねんじん」「える→めえる」のように母音ぼいんがよく転訛てんかするが、個々ここ単語たんごかかわる問題もんだいであり、規則きそくてき体系たいけいてきおと変化へんかではない。

子音しいん

大阪おおさか市内しない質屋しちや看板かんばん

子音しいん東京とうきょう方言ほうげんとほぼおなじであるが、全般ぜんぱん東京とうきょう方言ほうげんよりも摩擦まさつ破裂はれつよわ[23]。「ひ」は調音ちょうおん部位ぶい東京とうきょう方言ほうげんことなり、よわひびきで発音はつおんされる(無声むせい声門せいもん摩擦音まさつおんちかい)[23]。「じ」と「ず」は破裂はれつおんがほとんどこえず、語頭ごとうちゅうわず摩擦音まさつおんである(ゆうごえ歯茎はぐきかた口蓋こうがい摩擦音まさつおんおよびゆうごえ歯茎はぐき摩擦音まさつおん)。

摩擦まさつ破裂はれつよわいため、子音しいん転訛てんか混同こんどう脱落だつらくがしばしばこる。近畿きんき地方ちほう各地かくちとく和歌山わかやまけん)で「全然ぜんぜん→でんでん」「身体しんたい→かだら/からら」のようなラぎょうおん・ダぎょうおん・ザぎょうおん混同こんどうこり[23]、それを揶揄やゆした「よろがわのみるのんれ、はららぶらぶや/はらららくらりや(淀川よどがわみずんで、はらダブダブや/はらだだくだりや)」というしょうはなしもある[27]。またサぎょうおん特定とくていかたりでしばしば「質屋しちや→ひちや」「それなら→ほんなら/ほな」「山田やまださん→山田やまだはん」「しません→しまへん」のようにハぎょうおとしたり、「わし→わい(一人称いちにんしょう)」「かさした→かささいた(サぎょうイ音便いおんびん)」のように脱落だつらくしたりする[23]。「けむり→けぶり」「さむい→さぶい」のようなマぎょうおんとバぎょうおん交替こうたいおお[23]奈良ならけんなどでは「きば→きわ」のようにバぎょうおんのワぎょうおともみられる[23]

都市としからはなれた地域ちいき高齢こうれいそうでは、「くゎじ(火事かじ)」のようなごう拗音ようおんクヮ・グヮ、「しぇんしぇ(先生せんせい)」「じぇに(ぜに)」のようなシェ・ジェといったふる発音はつおんのこっている[28]中世ちゅうせい京都きょうとおこなわれたかたりちゅう語尾ごび鼻濁音びだくおん残存ざんそんとして、ダぎょう鼻濁音びだくおん紀伊半島きいはんとう各地かくち淡路島あわじしまなどにあるほか、ザぎょう・バぎょう鼻濁音びだくおん三重みえけん志摩しまで「かんじぇ(ふう)」「あんぶ(あぶ)」など特定とくていかたりのなかにのこっている[23]ぎょう鼻濁音びだくおん近畿きんき地方ちほうひろ地域ちいきかれるが、鼻音びおんせい破裂はれつせいともによわく、東京とうきょうほどガぎょう鼻濁音びだくおん意識いしきされず、音素おんそとしてとらえない話者わしゃがほとんどである[23]東京とうきょう以上いじょう衰退すいたいすすんでおり、1999ねん兵庫ひょうごけん高砂たかさごでの調査ちょうさによると、ガぎょう鼻濁音びだくおん発音はつおんするひと割合わりあいが、70-87さい老年ろうねんそうでは74%なのにたいし、17-20さい若年じゃくねんそうでは8%となっている[29]

その

促拗おんばち拗音ようおん
近畿きんき方言ほうげん特徴とくちょうてきおと融合ゆうごう変化へんかとして、イ・ウのうしろにア・ヤぎょうおんつづ場合ばあい、「日曜にちよう→にっちょお」「きやねん→すっきゃねん」「カツオ→かっつぉ」のような促拗おんや「にぎやか→にんぎゃか」「みよる→のんみょる」のようなばち拗音ようおんこることがある[30]
促音そくおん
子音しいんよわいため、東京とうきょう方言ほうげんくらべて促音そくおん語気ごきはそれほどつよくなく、「からっかぜ」「かわっぷち」などのような複合語ふくごうごちゅう促音そくおんすくない[23]一方いっぽうで、近畿きんき方言ほうげんでは「ぎよる→ぬっぎょる」「るぞ→あっぞ」「鉄道てつどう→てっどお」「るやろ→あっりゃろ」など、東京とうきょう方言ほうげんではあらわれにくい濁音だくおんやラぎょうおんまえでの促音そくおんれい多数たすうある[23]
撥音はつおん
関東かんとう方言ほうげんなどとおなじく、「なにするねん→なにすんねん」「おくれなされ→おくんなはれ」のようなかたりちゅうのラぎょうおん撥音はつおんさかんである。特定とくていかたりでは「ゴボウ→ごんぼ」「幽霊ゆうれい→ゆうれん」「相撲すもう→すもん」「菓子かし→かしん」のようにかたりちゅう語尾ごび撥音はつおんしたり、ぎゃくに「大根だいこん→だいこだき」「玄関げんかん→げんか」のように撥音はつおん脱落だつらくしたりすることがある。江戸えど時代じだい、それを揶揄やゆした「だいこんとけべきものをけもせで いらぬごんぼうちゃふくろかな」というじゃ江戸えどまちじんまれることもあった[31]

アクセント

近畿きんき地方ちほう京阪けいはんしきアクセント一大いちだい勢力せいりょくけんである。京阪けいはんしき東京とうきょうしきアクセントちがいがおおきく、近畿きんき方言ほうげんらしさを印象いんしょうけるおおきな要素ようそとなっている。

一口ひとくち京阪けいはんしきっても「地下鉄ちかてつ:ちてつ/ちかて」や「東京とうきょうとーきょー大阪おおさか)/とーきょ京都きょうと)」のように個人こじん地域ちいきがあり、変化へんかこっている。変化へんかもっとすすんでいるのは京阪神けいはんしんであり、「京阪けいはんしき」とえども、京阪けいはんからはなれた和歌山わかやまけん田辺たなべ付近ふきん四国しこく地方ちほう近代きんだい以前いぜん伝統でんとうてきなアクセントがのこる。

隣接りんせつする中国ちゅうごく地方ちほう東海とうかい地方ちほう東京とうきょうしきであり、ちがいが明瞭めいりょうである。近畿きんき地方ちほうでも、中国ちゅうごく地方ちほうつづかたち但馬たじま丹後たんごに、孤立こりつしたかたちおく吉野よしの東京とうきょうしき領域りょういきがあり、京阪けいはんしき東京とうきょうしき接触せっしょく地域ちいきには京阪けいはんしきのやや変化へんかしたアクセント(垂井たるいしきアクセント)がある。また紀伊きい半島はんとう尾鷲おわせ熊野くまの周辺しゅうへんには様々さまざまなアクセントが点在てんざいしている。そうした地域ちいきでは、1はく長音ちょうおんすくなかったり、母音ぼいん無声むせいれん母音ぼいん変化へんかさかんだったりと、音韻おんいんめんでも近畿きんき方言ほうげんとの共通きょうつうせいうす[1]。これはアクセントと音韻おんいん関連かんれんにおわすものとして注目ちゅうもくされる。

表現ひょうげん

ウ音便うおんびん

兵庫ひょうごけん西宮にしのみや小売こうりてんにて

ぎょうだん動詞どうし連用形れんようけい音便おんびんや、形容詞けいようし連用形れんようけいではウ音便うおんびんもちいる。ウ音便うおんびんは、語幹ごかんまつ母音ぼいんによって、つぎのようにことなる。

  1. 語幹ごかんまつ a - aをoにえて長音ちょうおん。(れいかいうた(った) あかあこうない(あかくない)
  2. 語幹ごかんまつ i - iをyuにえて長音ちょうおん。(れいげんうた(った) たのしゅうない(たのしくない)
  3. 語幹ごかんまつ u - そのまま長音ちょうおん。(れいうた(った) うすうて(うすくて)
  4. 語幹ごかんまつ o - そのまま長音ちょうおん。(れいおもうた(おもった) おもうなる(おもくなる)

歴史れきしてきには、これらの母音ぼいん交替こうたいつぎのようなれん母音ぼいん融合ゆうごうにより成立せいりつしたものである。

  1. au→oː (れい)akaku→akau→akoː
  2. iu→yuː (れい)tanosiku→tanosiu→tanosyuː
  3. uu→uː (れい)usuku→usuu→usuː
  4. ou→oː (れい)omoku→omou→omoː

上記じょうき山陰やまかげのぞ西日本にしにほん方言ほうげん共通きょうつうするが、後述こうじゅつするように、近代きんだい以降いこう近畿きんき方言ほうげんではこれらがさらに変化へんかしている。

動詞どうし

東京とうきょう方言ほうげんすたれた活用かつようがた一部いちぶのこっている。関東かんとうでは近世きんせい一段いちだん活用かつようした「く」「る」「しゅむ(む)」「る」「たれる」などが、近畿きんき方言ほうげんおおくでは明治めいじ以降いこうだん活用かつようのままたもたれた(れい図書館としょかんほんった←→図書館としょかんほんりた)。各地かくち高齢こうれいそうに「ぬる」「いぬる(る)」のぎょう変格活用へんかくかつようが、紀伊きい半島はんとうに「つる」「ゆる」などのうえだん活用かつようしただん活用かつようのこっており、滋賀しがけんには「る」のしたいちだん活用かつよう名残なごりがある[32]一方いっぽうで、「らん(ない)」「れ(ろ)」のような一段いちだん活用かつようだん活用かつよう傾向けいこう各地かくちとく紀伊きい半島はんとう)にあり、おく吉野よしのなどでは「れる」「れる」のようないわゆる言葉ことば東京とうきょうよりもはやくに定着ていちゃくしていた[32]

前述ぜんじゅつのようにア・ワぎょうだん活用かつよう連用形れんようけいウ音便うおんびんこる。ウ音便うおんびんがあることで共通きょうつうよりも弁別べんべつできる動詞どうしおおく、たとえば共通きょうつうでは「う/る」「う/く」「う/つ」は連用形れんようけいでは「あって」「いって」「かって」のように同音どうおんするが、近畿きんき方言ほうげんでは「おーて/あって」「ゆーて/いって」「こーて/かって」のように区別くべつできる。なお、3音節おんせつと「う」などでは「わろーた→わろた(わらった)」「くーて→くて(って)」のように音便おんびん脱落だつらくしやすい。ウ音便うおんびんではないが「つ」と「く」でも「もてきた(ってきた)」「いてまえってしまえ。やってしまえの)」のように促音便そくおんびん脱落だつらくすることがある。サぎょうだん活用かつよう連用形れんようけいで「はないて(はなして)」のようなイ音便いおんびんこり、滋賀しがけんなど各地かくちに「はないて→はないせ」のような特殊とくしゅおと変化へんか点在てんざいするが、近畿きんき中央ちゅうおうでは「かささいた(かさした)」以外いがいまれである[23]。その志摩しまおく吉野よしのなどに、「およんだ(およいだ)」のようなガぎょう撥音便はつおんびんや「のーだ(んだ)」「あそーだ(あそんだ)」のようなマ・バぎょうウ音便うおんびんがある[32]

形容詞けいようし

形容詞けいようし連用形れんようけいでもウ音便うおんびんこるが、近畿きんき方言ほうげんではしばしば「あこない」「おもなる」のようにウ音便うおんびん短音たんおんする。京阪けいはんでは語幹ごかんまつがiのものは「たのしーない」や「たのしない」のように拗音ようおん直音ちょくおんさせたかたち優勢ゆうせいとなり、本来ほんらいかたち高齢こうれいそうかたりとなっている[33]戦後せんごにはさらに活用かつよう簡略かんりゃくすすみ、「あこーない→あかない」「べとーなる→べたなる」のような語幹ごかんがたとの統一とういつ傾向けいこうや、「くろいない」「あかいかった」のような活用かつよう傾向けいこうあらわれている[32]。また「て(も)」につづ場合ばあいは、仮定かてい表現ひょうげん連用形れんようけい+たら」の影響えいきょうから「あこーて(も)」より「あかかって(も)」のようなかたちおおくなっている[34]

近畿きんき方言ほうげんでは「かとーになる(かたくなる)」「よろしゅーにうといて(よろしくっておいて)」のように連用形れんようけいに「に」をえることがあり、とく大阪おおさか神戸こうべなどでさかんである[35]。また「ふゆさむく、なつあつい」のような連用れんよう中止ちゅうしほうはほとんどもちいず、「ふゆさむーて、なつあつい」のようにほぼかならず「て」がともなう。

形容動詞けいようどうし

活用かつよう語尾ごびが「や」(周辺しゅうへん高齢こうれいそうでは「じゃ」や「だ」とも)であるほかは東京とうきょう方言ほうげんとほとんどわらないが、各地かくちで「まめなや(達者たっしゃだ)」のような連体れんたいがたからしょうじたてき終止しゅうしがたがある[32]。また「綺麗きれいや」を「きれいかった」「きれいはな」のように形容詞けいようししてもちいることがあり、昭和しょうわ30年代ねんだいにはすでわか世代せだいでの使用しよう記録きろくされている[32]

存在そんざい動詞どうし

ひと生物せいぶつ存在そんざいあらわさい東日本ひがしにっぽんでは「いる」を、西日本にしにほんでは「おる」をもちいるが、京阪けいはん滋賀しがけんなどでは「いる」を中立ちゅうりつ以上いじょう表現ひょうげん、「おる」をやや粗野そや見下みさげた表現ひょうげん(「おります」「おられる[ちゅう 7]」のかたちもちいる場合ばあいのぞく)として両方りょうほう使つかける。「いる」に進行しんこうがたわせた「いてるいとる」もあり、「いてる」はとく大阪おおさか多用たようする。紀伊きい半島はんとう一部いちぶでは古典こてん文法ぶんぽうそのままに「先生せんせいないなあ。あっ、あそこにあら(先生せんせいがいないなあ。あっ、あそこにいるよ)」のようにひと生物せいぶつにも「ある」「ない」をもちいる[36]

「ある」の丁寧ていねいに「まいらす」のてんおます」があり、大阪おおさか中心ちゅうしん近畿きんき地方ちほうひろ地域ちいきもちいた。京都きょうとなどでは「おはす」のてんおす」、大阪おおさか船場ふなばでは「ござります」のてんごわすごあす」とも。用法ようほうは「ございます」とおなじで、「ほんまでおます」のように「で」にいて丁寧ていねい断定だんていあらわしたり、「よろしゅおます」のように形容詞けいようし連用形れんようけい接続せつぞくしたりする。否定ひていがたはそれぞれ「おまへん」「おへん」「ごわへん・おわへん」。

断定だんてい

「や」は近畿きんき北陸ほくりく岐阜ぎふけん四国しこく一部いちぶなどに分布ぶんぷする。

常体じょうたい断定だんてい表現ひょうげんには「」をもちいる。室町むろまち以降いこう「である」の変形へんけい「であ」が「ぢゃ(じゃ)」、江戸えど後期こうき以降いこうさらに「や」とてんじたものである(関東かんとうの「だ」も「であ」のてん)。「や」にってわられた「じゃ」も、罵倒ばとうなどつよ口調くちょうさい終止しゅうしがたでのみもちいる(れいなにとんじゃ!)。「だ」にはない活用かつようがたとして、「であって」にちか過去かこ中止ちゅうしがたやって」がある(れい実家じっか貧乏びんぼうやって、わかころ苦労くろうしたわ)。共通きょうつうでは「だから」「だが」「だったら」のように「だ」を文頭ぶんとうでももちいるが、「や」を文頭ぶんとうもちいることは一般いっぱんてきではない(れい:○そやさかい ×やさかい)。「や」にかれてか、「やら」のてん「や」(れいなにらんけど、なんやかんや)、おわり助詞じょし「や」、「やん(か)」(後述こうじゅつ)など、近畿きんき方言ほうげんでは「や」を多用たようする傾向けいこうがある。

「や」を用言ようげん後続こうぞくさせる場合ばあいは、「の」をかいして「のや」とする(れいくのや)。くだけて「んや」「ねや」「にゃ」 などとも。「や」との接続せつぞくは、「のや・んや」は「なのや・なんや」(れい:ほんまなんや)、「ねや」は「やねや」(れい:ほんまやねや)とする。共通きょうつう「のだ・んだ」とちがい、けいたいにも接続せつぞく可能かのうれい:○きますのや←→×きますのだ)[ちゅう 8]。「ねや」がさらにてんじたものが後述こうじゅつ「ねん」である。

「や」とたいになる表現ひょうげん体言たいげん打消うちけし)に「やない)」と「ちが)」がある。「やない(か)」にかんしては、「や」+「い(か)」とほぐされることもあるが、正確せいかくには「ではい(か)」のてんである。反語はんごてき強調きょうちょうに「やあるかい」がある。「とちがう(か)」にかんしては、終止しゅうしがた連体れんたいがたと「ます」につづ連用形れんようけいで「ちゃう」「ちゃいます」とてんずることがおおい。「と」の省略しょうりゃく頻繁ひんぱんこる。近年きんねん[いつ?]では若年じゃくねんそう[いつ?]中心ちゅうしんに「ちがうかった」「ちがうくて」のように「ちがう」を形容詞けいようしてき活用かつようさせることがある(本来ほんらいかたちは「ちご(お)た」「ちご(お)て」)。

丁寧ていねい断定だんてい表現ひょうげんには「だす」や「どす」をもちいる。「でやす」のてん「だす」は大阪おおさか中心ちゅうしん播磨はりまから奈良ならけん北部ほくぶ伊賀いが付近ふきんまで、「でおす」のてん「どす」は京都きょうと中心ちゅうしん丹波たんば東部とうぶから滋賀しがけん若狭わかさまでひろがる表現ひょうげんで、ともに幕末ばくまつから明治めいじにかけてやや卑俗ひぞく表現ひょうげんとして成立せいりつ[ちゅう 9]成立せいりつまもなくに標準ひょうじゅんとして東京とうきょうの「です[ちゅう 10]」が伝播でんぱしたため、中流ちゅうりゅう以上いじょうには浸透しんとうしないまま、はやいうちから衰退すいたいしていった[37]現在げんざい一部いちぶ高齢こうれいそう特殊とくしゅ場面ばめん古典こてん落語らくご京都きょうと芸妓げいぎ言葉ことばなど)でしかかれない。「です」と同様どうよう形容詞けいようしには本来ほんらいけない。

待遇たいぐう表現ひょうげん

近畿きんき方言ほうげんでは敬語けいごから侮蔑ぶべついたるまで、助動詞じょどうしによる待遇たいぐう表現ひょうげん発達はったつしており、はなしちゅう第三者だいさんしゃ動作どうさたいして日常にちじょうてき多用たようすることが特徴とくちょうてきである。

敬語けいご体系たいけい京都きょうと中心ちゅうしん複雑ふくざつ発達はったつした。東京とうきょう方言ほうげん敬語けいご基礎きそ江戸えど初期しょききょう言葉ことば影響えいきょうつよけて形成けいせいされたものであり、「おはようございます」「しておりませ」などにその名残なごりられる。明治めいじ以降いこう敬語けいご体系たいけい簡略かんりゃく共通きょうつうすすむが、絶対ぜったい敬語けいご(ウチとソトを区別くべつせず、自分じぶんにとって目上めうえ人物じんぶつにはかなら敬語けいごもちいる)てき性格せいかくたもち、共通きょうつうではすたれつつある素材そざい敬語けいごはなしちゅう動作どうさぬしたかめる敬語けいご)がむしろ興隆こうりゅうするなど、共通きょうつうとはちが敬語けいご発達はったつせている[38]

紀伊きい半島はんとうなどでは近畿きんき中央ちゅうおうのような助動詞じょどうしによる待遇たいぐう表現ひょうげん発達はったつしておらず、「敬語けいごがない」となされることがあるが(紀州きしゅうべん#敬語けいご参照さんしょう)、そうした地域ちいき方言ほうげんでは助詞じょしによって待遇たいぐう表現ひょうげんけている(助詞じょし敬語けいご[39]

ます
共通きょうつう同様どうようけいたいには「ます」をもちいる。勧誘かんゆう「ましょう」は「まひょ」、否定ひてい「ません」は「まへん」などとてんずることがある。否定ひていには「連用形れんようけい+はしませぬ」のてん婉曲えんきょくな「(「へん」とおな接続せつぞく)+しませんしまへん」もある(れいかしまへん・けしまへん)。過去かこがた「ました」は大阪おおさか京都きょうとでアクセントがことなり、大阪おおさかでは「きました」、京都きょうとでは「ました」とする。「ます」や「だす・どす・です」や「おます・おす」など「す」でわる丁寧ていねいは、うしろに特定とくてい助詞じょしくと「す」が促音そくおん撥音はつおんすることがある。これは大阪おおさか顕著けんちょであり、大阪おおさかべんらしさをかも一因いちいんとなる(れいもうかりますか→もうかりまっか、ぼちぼちですな→ぼちぼちでんな)。また、大阪おおさかでは「す」そのものを省略しょうりゃくすることもある(れいまります→まりま)[ちゅう 11]近世きんせいだいざかなどでは「やす」ともい(れい:わかりやした)、現在げんざい一部いちぶ高齢こうれいそうもちいる。
連用形れんようけい+「なはる」(れいきなはる
「なさる」のてん語頭ごとうに「」をけることもおおい(れい:おきなはる)。明治めいじ以降いこう変化へんかがたの「やはる」と「はる」がひろまり「なはる」は古風こふう表現ひょうげんとなったが、「はる」の命令めいれいがた一部いちぶ地域ちいきのぞいてほとんど普及ふきゅうしなかったため、命令めいれい表現ひょうげんには依然いぜん「なはる」の命令めいれいがたなはれ」や「なはい」(てんじて「ない」とも)がもちいられつづけた。「ておくれ」ととももちいることがおおい(れいっとくんなはれ・っとくんなはい)。
だんおん・その連用形れんようけい+「はる」(れいぎょうかはる
きなはる」→「きやはる」→「きゃはる」とてんじたもの。うえいちだんしたいちだんサ変さへん・カへんでは現在げんざいでも「やはる」または「ゃはる」とすることがある(れい:きやはった、きゃはった)。相手あいて第三者だいさんしゃたいするかる敬意けいいあらわすが、たか敬意けいいあらわす「なさる」「なはる」や「やす」が衰退すいたいし、共通きょうつう敬語けいご普及ふきゅうした現在げんざい共通きょうつう敬語けいごたか敬意けいい表現ひょうげんを「はる」がカバーするようになった。近畿きんき中央ちゅうおうひろ地域ちいきもちい、ビジネスやおおやけ場面ばめんでもよくかれる。大阪おおさかでは「なさる」への回帰かいき意識いしきからだん動詞どうしでも「連用形れんようけいおん+はる」とすることがある(れいきはる)。「て」に接続せつぞくして補助ほじょ動詞どうしとしてもちいる場合ばあいは「てはる」と「たはる」の2とおりのかたちがあり、後者こうしゃ京都きょうとおおい(れいべてはる・べたはる=べておられる)。
京都きょうとなどでは第三者だいさんしゃ動作どうさあらわさいに「はる」をもちいる頻度ひんどとくたかく(とりわけ女性じょせい)、「にいちゃんがかさはった」「可愛かわいらしいいぬあるいてはる」「田舎いなかひとらはのんびりしたはる」「電車でんしゃがもうすぐちゃっかはる」のように身内みうち目下もっか特定とくてい人物じんぶつ無機物むきぶつ動作どうさなどにも敬意けいいをほとんどともなわずにもちいることがある(丁寧ていねいてき用法ようほう)。極端きょくたんれいでは、「B29がはった!」「ねこさかなぬすまはった」のようにあきらかに自分じぶんにとってからぬ対象たいしょうもちいることすらある。
「(連用形れんようけい+やす」(れい)おきやす
「はる」よりも敬意けいいたか表現ひょうげんで、丁寧ていねい命令めいれい表現ひょうげんとしても多用たよう。「ておくれ」ととももちいることがおおい(れいっとくれやす・っとくりゃす)。金田一きんだいち春彦はるひこによると「お・・・あそばせ」が「おきあそばせ」→「おきあすばせ」→「おきあす」→「おきやす」とてんじたものという。京都きょうとさかんな表現ひょうげんだが、それ以外いがい地域ちいきでも「ごめんやす(=ごめんなさい・ごめんください)」のように慣用かんよう表現ひょうげんもちいることはおおかった。「おきやしとくれやす」のように「やす」をかさねるときわめてたか敬意けいいあらわす。「て」に接続せつぞくする場合ばあいは「てやす」のてんといやす」とする(れいっといやした)。くだけた表現ひょうげんに「やす」+「や」のてんやっしゃ」(れい:ごめんやっしゃ)などがある。
連用形れんようけい+「」+断定だんてい助動詞じょどうしれいってや(かれる)、っとってです(っておられます)
相手あいて第三者だいさんしゃたいするかる敬意けいいあるいはしたしみをあらわす。京都きょうと大阪おおさかでは近世きんせい多用たよう現在げんざい播磨はりま丹波たんばなどでもちいるが、大阪おおさか方面ほうめんから「はる」の流入りゅうにゅうすすんでおり、昭和しょうわ30年代ねんだい時点じてんでは神戸こうべ東灘ひがしなだ住吉すみよしがわが「てや」と「はる」の境界きょうかいだった[40]のが、現在げんざい播磨はりま東部とうぶまで「はる」がひろまりつつある。同形どうけい命令めいれい依頼いらい表現ひょうげんとはアクセントで区別くべつし、たとえば「っとってや」は「っとってや」だと「っててよ」、「っとってや」だと「っておいでだ」の過去かこがた「てやった」は地域ちいきによって「たあったたった[ちゅう 12]」や「ちゃった[ちゅう 13]」となる。
連用形れんようけい+「やる」(れいきやる
「ある」を待遇たいぐう助動詞じょどうし転用てんようしたもので、近世きんせいには相手あいて動作どうさたいしてかる敬意けいいを、近代きんだい以降いこう同輩どうはい以下いか第三者だいさんしゃ動作どうさたいしてしたしみのくわえる。大阪おおさかではおも女性じょせいもちいる。京都きょうとでは、「やる」の用法ようほうを「はる」がカバーしているため、男女だんじょとももちいない。
連用形れんようけい+「よる」(れいきよる
「おる」を待遇たいぐう助動詞じょどうし転用てんようしたもので、同輩どうはい以下いか第三者だいさんしゃ動作どうさ作用さようたいしてかる侮蔑ぶべつ苛立いらだち・不快ふかいなどのくわえる。男性だんせいのくだけた会話かいわでは侮蔑ぶべつをほとんどともなわずに多用たようすることがある。播磨はりま神戸こうべ丹波たんばでは使つかわれかたことなる(#アスペクト参照さんしょう)。
侮蔑ぶべつ

近畿きんき方言ほうげん侮蔑ぶべつとしては「くさる」「さらす」「けつかる」などがあり、なかでも「けつかる」は非常ひじょう強烈きょうれつ悪態あくたいである。「くさる」は連用形れんようけいと「て」に、「さらす」は連用形れんようけいに、「けつかる」は「て」にけてもちいる。「けつかる」単体たんたいでは「ある」「いる」の卑語ひご(ただしほぼ死語しご)を、「さらす」単体たんたいでは「する」の卑語ひごあらわす。

丁寧ていねい表現ひょうげん

京阪けいはんでは相手あいてたいしてなるべく丁寧ていねいに、へりくだって表現ひょうげんしようとする傾向けいこうつよい。そのため、近代きんだい商家しょうかで「さようでござりましてござります」のような敬語けいご多用たようされたり、「ぶぶけでも・・・」や「ぼちぼちでんなあ」のような婉曲えんきょくほう発達はったつしたりした。あらたまった会話かいわだけでなく日常にちじょう会話かいわでもその傾向けいこうはあり、「どいたれや」「堪忍かんにんしたって」のような第三者だいさんしゃてき命令めいれい依頼いらい表現ひょうげん後述こうじゅつ)はその典型てんけいえる。共通きょうつうでは慇懃無礼いんぎんぶれいとされることのある「させてもらうさせていただく」も近畿きんき地方ちほうから全国ぜんこくひろまった敬語けいご表現ひょうげんという[41]

敬称けいしょうの「さん」(くだけた場面ばめんでは「はん」とも)も日常にちじょうてき多用たようし、「おはようさん」「おめでとうさんです」などの慣用かんよう表現ひょうげん、「えべっさん」「おひがしさん」「すみよっさん」のような神仏しんぶつ社寺しゃじめいなどにさかんに「さん」をける。女房にょうぼう言葉ことば応用おうようで「おいもさん」「おまめさん」「おくどさん」「あめちゃん」など、生活せいかつ身近みぢかものとく飲食いんしょくぶつ)にもさかんに敬称けいしょうける。なお、伝統でんとうてき大阪おおさかべんではまえおとによって「さん」と「はん」の使つかけがあり、イおん・ウおん撥音はつおん・ハぎょうのちは「はん」になりにくいとされるが、現在げんざいでは使つかけが曖昧あいまいしており、そのれいとして京阪けいはん電鉄でんてつのキャッチコピー「おけいはん」(2000ねん以降いこう)や新野しんのしん大阪おおさか出身しゅっしん)の著書ちょしょ『まるごとなにわの芸人げいにんはん』(1996ねんリバティ書房りばてぃしょぼう)がげられる[42]

アスペクト

動作どうさ出来事できごとがどこまですすんでいるかのちがいをあらわ述語じゅつご形式けいしきを、アスペクト(そうぶ。

存在そんざい動詞どうしとアスペクト形式けいしきとの関係かんけい
  神戸こうべ播磨はりま 京阪けいはん滋賀しがけん 伊勢いせ
生物せいぶつ存在そんざい 中立ちゅうりつ おる いる おる
見下みさ おる
進行しんこうしょう 中立ちゅうりつ よる(よお) てる とる
見下みさ とる
完了かんりょうしょう 中立ちゅうりつ とる(とお) てる
見下みさ とる
連用形れんようけい+「てる」「とるとおる
「ている」「ておる」のてん西日本にしにほんさかんなのは「とる・とおる」であり、近畿きんき地方ちほうでもひろもちいるが、京阪けいはん滋賀しがけんなどでは東日本ひがしにっぽん方言ほうげんてきな「てる」も併用へいようする。「いる」「おる」の使つかけと同様どうよう、「てる」を中立ちゅうりつ表現ひょうげん、「とる・とおる」をやや粗野そや見下みさげた表現ひょうげんとする。
西日本にしにほん方言ほうげんでは、「とる・とおる」は完了かんりょう結果けっか状態じょうたい完了かんりょうしょう)、「よる」は進行しんこう継続けいぞく進行しんこうしょう)をあらわす。近畿きんき地方ちほうでも兵庫ひょうごけん阪神はんしんあいだのぞく)や紀伊きい半島はんとう一部いちぶなどではこの用法ようほうち、待遇たいぐう表現ひょうげんてきもちいる京阪けいはんなどとは顕著けんちょ対立たいりつをなす。播磨はりま神戸こうべでは「とる」「よる」は「とお」「よお」とてんずることがおおく、播州ばんしゅうべん神戸こうべべん特徴とくちょうとされる。 (れい)こけよった!(あやうくころぶところだった!) さくらっとお(さくらってしまっている) さくらりよお(さくらいままさにっている・ろうとしている)
連用形れんようけい+「たあるたる
「てある」のてん和歌山わかやまけん和泉いずみなどでは「ちゃある」。共通きょうつうの「てある」とちがって、他動詞たどうし自動詞じどうしわず生物せいぶつ動作どうさかんして幅広はばひろもちいる(れいいえったあった、たかがれたある)。また「ある」を「いる」のもちいる紀伊きい半島はんとう一部いちぶでは「てある」を「ている」のもちいる。
連用形れんようけい+「かける
「かける」には「・・・しはじめた途中とちゅう」と「もうすこしで・・・しはじめる」のふたつの意味いみがあるが、近畿きんき方言ほうげんでは前者ぜんしゃもちいる傾向けいこうつよい。たとえば「ごはんべかけたとき電話でんわった」の場合ばあい東京とうきょうでは「さあべようというとき」ととらえるひとおおいのにたいし、近畿きんき地方ちほうでは「2、3くちほどくちふくんでいたとき」ととらえるひとおおい。また「さききかけといて」(さきはじめておいて)のように「かける」を依頼いらい命令めいれい表現ひょうげんでももちいる。
連用形れんようけい+「とく」「んとく
「とく」は「ておく」のてん、「んとく」は「んとおく」のてん共通きょうつうでは「とく」「ないでおく」は「まえもってその動作どうさませておく」または「その状態じょうたい放置ほうちしておく」といった意味合いみあいでもちいるが、近畿きんき方言ほうげんではそうした意味合いみあいをともなわずにもちいることもあり、とくに「っとき」「かんとき」のようにかる命令めいれい禁止きんし表現ひょうげん多用たようする。

助動詞じょどうし

否定ひてい

「いわしをべなあかん!」
未然みぜんがた+「」 (れいかん
文語ぶんご助動詞じょどうし「ず」連体れんたいがたから派生はせいした「ぬ」がさらにてんじたもの。中世ちゅうせい以来いらい西日本にしにほん共通きょうつう表現ひょうげんであるが、近畿きんき中央ちゅうおうでは明治めいじ以降いこう「へん」が普及ふきゅうしたため、「ん」がもちいられる場面ばめんは、つよくいいき場合ばあい慣用かんよう表現ひょうげん、「んで・んでも」や「んと」のような助詞じょしともなった用法ようほうなど、やや限定げんていてきなものとなっている。
活用かつよう共通きょうつう「ない」ほど発達はったつしておらず、活用かつようがたすべおな連用形れんようけい終止しゅうしがた連体れんたいがた仮定かていがたのみである。連用形れんようけいは「んで」「んでも」でもちいる(れいぎょうかんでもええ)。仮定かていがたは「ね」であるが、後続こうぞく助詞じょし「ば」と融合ゆうごうして「」や「」となる(れいかねばあかん→かなあかん、かねばならん→かなならん・ぎょうかんならん)。活用かつようがたすくなさは語形ごけいによっておぎなわれ、たとえば形容詞けいようしい」と接続せつぞくする場合ばあいは「んこと」(れいかんことない)、動詞どうし接続せつぞくする場合ばあいは「んよう)」(れいぎょうかんようになる)で代用だいようする。ただし若年じゃくねんそう[いつ?]では共通きょうつう「なく」と「ん」の混合こんごうがたんく」がひろまりつつある(れいぎょうかんくてもええ ぎょうかんくない ぎょうかんくなる)。
「ずに」「なくて」に相当そうとうする表現ひょうげんとして、「未然みぜんがた+いで」と「未然みぜんがた+んと」がある(れい:どこへもかいで・かんと)。「いで」は「いでか」のかたち反語はんご表現ひょうげんにももちいる(れい:やらいでか=やらずにはいられるか)。「んと」は「かんとあかん」のように仮定かていあらわすこともあり、アクセントで区別くべつされる(「ずに」の場合ばあいは「んと」、仮定かてい場合ばあいは「かんと」)。禁止きんし「ないで」に相当そうとうする表現ひょうげんには「んといて」と「んとって」があり、これは「んと」に「いて」および「って」が接続せつぞくしたものである(れい:どこへもかんといて・かんとって)。
だんおとまたはエおん+「へん」、うえいちだんしたいちだんサ変さへん・カへん連用形れんようけい+「やへん」 (れいかへん、けへん、きやへん、べやへん、しやへん、きやへん
「ん」の強調きょうちょう表現ひょうげん連用形れんようけい+はせん」が幕末ばくまつから明治めいじにかけて「きはせん」→「きやせん・きやへん」→「きゃせん・きゃへん」→「かへん」→「けへん」とてんじたもの。明治めいじ以後いご「へん」は急速きゅうそく普及ふきゅうし、強調きょうちょううすれるとともに「ん」を圧倒あっとうするまでになった。だんでのアおん接続せつぞく京都きょうとで、エおん接続せつぞく大阪おおさかでそれぞれさかんな語法ごほうである。「へん」自体じたい活用かつようは「ん」とおなじである。
「やへん」は現在げんざい「へん」に集約しゅうやくされつつある(れいべやへん→べへん)。語幹ごかんが1はく動詞どうし場合ばあいは、「や」を省略しょうりゃくするわりに連用形れんようけい長音ちょうおんする(れいやへん→えへん)。うえいちだんは、連用形れんようけいのイおんかれて「へん」が「ひん」にてんじたり(とく京都きょうとれいやへん→みいひん、きょやへん→いいひん)、ぎゃくに「へん」にかれて連用形れんようけいがエおんてんじたりする(とく大阪おおさかれいやへん→めえへん、きょやへん→いえへん・ええへん)。サ変さへんは「しやへん」のてんせえへん」や「しいひん」、カへん否定ひていは「きやへん」のてんけえへん」や「きいひん」などとなる。カへんかんしては、共通きょうつうない」に影響えいきょうされた「こおへん」がひろまりつつある。
連用形れんようけい+「やん」 (れいやん、しやん、こやん
和歌山わかやまけん奈良ならけん三重みえけんで「ん」「へん」とともに併用へいようされる否定ひてい表現ひょうげんだん動詞どうしには接続せつぞくしない。大阪おおさかなどでも女性じょせいそうで「やなあかん・やんとあかん(なければいけない)」「やんとこ(ないでおこう)」「やんといたら(ないでおいたら)」といった特定とくてい形式けいしきもちいることがあり、2010年代ねんだいには大阪おおさか若年じゃくねんそうで「やん」が通常つうじょう否定ひていがたとしてひろまりつつあると報告ほうこくされている[43]先述せんじゅつの「やへん」が変化へんかしたもの(やへん→やん)とされるが、紀伊きい半島はんとうおお一段いちだん動詞どうしのラぎょうだん活用かつよう影響えいきょうん→らん→やん?)をかんがえる研究けんきゅうしゃもいる[43]
過去かこかたち
否定ひてい過去かこがた室町むろまち以来いらいの「未然みぜんがた+なんだ」(れいかなんだ)があり、明治めいじには「へん」成立せいりつともなって「せなんだ」のてんへなんだ」やその変形へんけいへんなんだ」などもまれた(れいぎょうかへなんだ)。しかし大正たいしょうごろから共通きょうつう「なかった」と「ん」「へん」の混合こんごうがたんかったへんかった」が登場とうじょうし、主流しゅりゅうとなりつつある[いつ?]

不可能ふかのう

西日本にしにほん方言ほうげん同様どうよう近畿きんき方言ほうげんでは能力のうりょくによる不可能ふかのう状況じょうきょうによる不可能ふかのう区別くべつする。しかし現在げんざいでは、両者りょうしゃ区別くべつをしない共通きょうつう影響えいきょうから、近畿きんき方言ほうげんにおいても区別くべつ曖昧あいまいし、両者りょうしゃ混合こんごうがたれい:ようおよげん・ようおよがれへん)がもちいられるようになるなどしている。

能力のうりょくによる不可能ふかのうよう 未然みぜんがた+」 (れいなしには、ようおよがん
おこな能力のうりょくくて、おこな立場たちばになくて、おこなうのがはばかられて、おこなになれず、到底とうてい出来できないという意味合いみあいをあらわす。古語こご「え・・・ず」と同義どうぎで、それから派生はせいしたとされる。不可能ふかのう表現ひょうげんでの「よう」は平板へいばん発音はつおんされ、通常つうじょうの「よう」とはアクセントがことなる(れいよう=とてもべられない、=よくべない)。
状況じょうきょうによる不可能ふかのう 未然みぜんがた+れへん」 (れい)クラゲがおっておよがれへん
大阪おおさかなど通常つうじょう否定ひていを「エおん+へん」とする地域ちいき多用たようする。可能かのう動詞どうしもちいないふる表現ひょうげんで、可能かのう動詞どうしもちいた不可能ふかのう表現ひょうげんと「エおん+へん」の同音どうおん衝突しょうとつけるために古形こけいたもたれた。京都きょうとなど通常つうじょう否定ひていを「アおん+へん」とする地域ちいき可能かのう動詞どうしもちいた「エおん+へん」を多用たようし(れいおよげへん)、「れへん」を多用たようする地域ちいきものとは意思いし疎通そつう支障ししょうをきたすことがある。たとえば、京都きょうとじんが「(都合つごうわるくて)けない」ので「けへん」とったのを、相手あいて大阪おおさかじんは「(きたくないから)かない」とちがえることがある。

意志いし勧誘かんゆう推量すいりょう

滋賀しがけん草津くさつえきにて。

意志いし表現ひょうげん勧誘かんゆう表現ひょうげんには「」「よう」をもちいる。サ変さへんでは古形こけいの「しょう[ちゅう 14]」をたもち(れい:どないしょうか)、カへんでもおも補助ほじょ動詞どうしとしてもちいる場合ばあい古形こけいの「こう」をもちいることがある(れいおこなってこう)。また「う」「よう」にともな長音ちょうおん省略しょうりゃくされやすい(れいこか、どないしょ)。

推量すいりょう表現ひょうげん明治めいじ以降いこう「や」をもちいた「終止しゅうしがた+やろう」が主流しゅりゅうで、「ったろう」「あかかろう」「なかろう」などの表現ひょうげんふるめかしいものとされる。丁寧ていねいがたも「けいたい終止しゅうしがた+やろ」(促音そくおんすると「っしゃろ」)であり、「だす」「どす」の推量すいりょうがた共通きょうつう「でしょう」のようなかたちらず「だすやろ・だっしゃろ」「どすやろ・どっしゃろ」とする。また共通きょうつうでは「だろう」は男性だんせいてき表現ひょうげんとされ、女性じょせいは「でしょ(う)」をもちいることがおおいが、近畿きんき方言ほうげんの「やろう」に男性だんせいてき印象いんしょううすく、女性じょせい多用たようする。推量すいりょう現在げんざいは「んやろ」「へんやろ」が主流しゅりゅうであるが、かつては「まい」をもちいた。共通きょうつうにはない「未然みぜんがた+う+まい」というかたちもあり(れい:しょまい、こまい、べよまい)、各地かくちで「未然みぜんがた+う+まい)」を勧誘かんゆう表現ひょうげんもちいた(れいはよこまいか)。

仮定かてい

仮定かていは「連用形れんようけい+たら」にほぼ一本いっぽんされている。たとえば共通きょうつうでは「おこなったら」「けば・きゃ」「くと」「くなら」「くのなら」「くのだったら」などとけるところも、近畿きんき方言ほうげん話者わしゃは「おこなったら」と「くのやったら(くんやったら)」でます傾向けいこうがある。とくに「なら」は「ほんなら・ほな」(「それなら」のてん)や「さいなら」など慣用かんよう表現ひょうげん以外いがいではほとんどもちいない。

授受じゅじゅ

近畿きんき方言ほうげんでは「Aが・・・してくれる」よりも「Aに・・・してもらう」の形式けいしきこの傾向けいこうがある。「・・・てもらいたい」という表現ひょうげんは「てほしい」とい、昭和しょうわ以降いこう全国ぜんこくにもひろまった。「てほしい」の対義語たいぎごとして「らん」がある。「てやる」は「たる」や「ちゃる」(紀伊きい和泉いずみなど)とちぢめることがおおい。「しけりゃくれてやる」のような自分じぶんから相手あいてへの動作どうさたいして「くれる」はもちいない。「邪魔じゃまやさかい退たいいたれや(=邪魔じゃまだから退しりぞいてくれよ)」「堪忍かんにんしたって(=勘弁かんべんして)」のように「てやる」をもちいた第三者だいさんしゃてき婉曲えんきょく命令めいれい依頼いらい表現ひょうげんがある。また「てやる」のつよいいいかたに「てこます」があり、「ゆくてこましたろか(=やっつけてやろうか)」のような喧嘩けんか言葉ことばや、「なにもええこといし、もうてこまそ」のように自分じぶん動作どうさ諧謔かいぎゃくせいめるのにもちいる。

使役しえき

使役しえきには「」「さす」を多用たようするが、活用かつようは「べささん(=べさせぬ)」「かした(=かせた)」のようにだんしてもちいることがある。「さす」を「連用形れんようけい+やす」とする地域ちいきもある(れいやす、やさん)。

完了かんりょう

「〜してしまう」「〜しちゃう」「〜しちまう」という意味いみ完了かんりょうには「てまう」をもちいる。「てまう」「うてまう」などと連用形れんようけいわせて使つかわれる。「できてまいます!」のように丁寧ていねい併用へいようすることはすくない。過去かこがたウ音便うおんびんにより「てもうた」になり、「やってもうた(やってしもた)」などのように使つかわれる。

助詞じょし

くだけたぶんでのかく助詞じょし省略しょうりゃく東京とうきょうよりもさかんで、共通きょうつうではぶんとなる「わたし名前なまえ田中たなかいます」のような「と」「(っ)て」の省略しょうりゃくおこなわれる(「とけ」とばれる)。「と」「(っ)て」の省略しょうりゃくこるのは「う」と「おもう」のまえかぎられ、とりわけ「う」のまえでの省略しょうりゃく頻度ひんどたかい。「とう」「とおもう」を「ちゅう」「ともう」とちぢみやくすることもある[44]れい:なんちゅうこっちゃ、これで大丈夫だいじょうぶやともてたのに)。頻繁ひんぱん省略しょうりゃくこるかく助詞じょし目的もくてきかく「を」であるが、それ以外いがいかく助詞じょしでも1音節おんせつのち省略しょうりゃくこりやすい(れいいたい→いたい)。

近畿きんき方言ほうげん特徴とくちょうづける助詞じょしには「なあ」がある。現在げんざいではいくぶんあらたまった表現ひょうげんとして共通きょうつう「ねえ」も併用へいようするようになったが、依然いぜんとしてあいだとう助詞じょしおわり助詞じょしびかけの感動かんどうとして男女だんじょわず多用たようする。英国えいこく翻訳ほんやく会社かいしゃToday Translationsの調査ちょうさによると、近畿きんき方言ほうげんの「Naa(=なあ)」は世界せかいもっと翻訳ほんやくむずかしい言葉ことばだい3であるという[45]表現ひょうげん中世ちゅうせい近世きんせい多用たようされた「のお」があるが、現代げんだい京阪神けいはんしんでは「のお」は粗野そや男性だんせいてき表現ひょうげんとされる。「なあ」と「のお」はともに平安へいあん初期しょき京都きょうともちいられた「なう」からかれたもので、そのうち「なあ」は室町むろまち時代じだい発生はっせいしたとされる[46]

「なあ」のほかに近畿きんき方言ほうげん特徴とくちょうてきおわり助詞じょしにはつぎのようなものがある。

ねん
先述せんじゅつ「ねや」のてんで、「」とも。撥音はつおんわることから「ねや」より語感ごかんやわらかいが、相手あいてへの自己じこ主張しゅちょうつよくなっている。「や」との接続せつぞくは「ねや」とどうじ(れい:ほんまやねん)だが、一部いちぶ若年じゃくねんそうでは「や」をかいさず直接ちょくせつ体言たいげんけるれいがある(れいきねん)。「や」からの派生はせい意識いしきうすれたため「やねんや」や「やねんやん)」(若年じゃくねんそう)のような表現ひょうげん可能かのうれい:ほんまやねんやろ。共通きょうつう直訳ちょくやくすると「本当ほんとうなのだだろ」)。過去かこがたは「たのや・たねや」のてんてん」であるが、和泉いずみなど一部いちぶでは過去かこがたに「ねん」を直接ちょくせつけて「たねん」とする。
東京とうきょう女性じょせい同形どうけいだが、近畿きんき方言ほうげんの「わ」は下降かこう調ちょう男女だんじょとも多用たようする。ただし「わ」に抑揚よくようけて詠嘆えいたんつよめる(れいれいやわあ→れいやあ)のは女性じょせいてき用法ようほうであり、昭和しょうわ大阪おおさか女性じょせいでは「はよてえわあ(=はやてよ)」「あんた先行さきゆきでわあ(=あなたさきってちょうだいよ)」のような用法ようほうもあった[47]促音そくおんすると「っさ」となる(れいきまっさ)。「わ」の強調きょうちょう表現ひょうげんには「わい」があり、現在げんざい男性だんせいてき表現ひょうげんとされる。「な」とわせた「わな」「わいな」もよくもちいる。
主張しゅちょう
主張しゅちょういかけ・たしなめなどをあらわ助詞じょしには、「」を多用たようする。「ぜ」のてんであるが、東京とうきょうの「ぜ」にたいして、「こうぜ」のような勧誘かんゆう用法ようほうはあまり一般いっぱんてきでない、「よ」程度ていどかる意味合いみあいで女性じょせい多用たようする、などのちがいがある。地域ちいき個人こじんによっては「ぜ→で」と同様どうように「ぞ」を「」とするが、「ど」には男性だんせいてき粗野そや印象いんしょうがある。「で」よりも相手あいてへのうったえかけがつよ表現ひょうげんに「がな」があり、たん相手あいてとがめるだけでなく、やさしくなぐさめるときにももちいる[48]京都きょうと女性じょせいそうなどでは「」ももちい、促音そくおんすると「っせ」となる(れいきまっせ)。
いな・いや
近世きんせい多用たようされた表現ひょうげんで、様々さまざま文末ぶんまつけて強調きょうちょう感動かんどうなどをあらわす。「いな」と「いや」では「いや」のほう意味合いみあいがつよい。現在げんざいでは連用形れんようけい命令めいれい表現ひょうげん強調きょうちょう後述こうじゅつ)や「かいな・かいや」「わいな・わいや」「どいな・どいや」、「なに?」の強調きょうちょうがたなにいな?」などにのこる。「どいや」は「兵庫ひょうご神戸こうべのなんどいや」として神戸こうべべん特徴とくちょうとされた。
助詞じょしの「の」に疑問ぎもんおわり助詞じょしつづける場合ばあいじゅんからだ助詞じょしとしてもちいる場合ばあいに「」や「のん」とすることがある(れいあそびにくんか? あそびにくのんか? そんなんおかしいわ そのふくわたしのんや)。疑問ぎもんおわり助詞じょし省略しょうりゃくして「の」およびその変形へんけいをそのまま疑問ぎもんおわり助詞じょしとしてもちいるのも男女だんじょわずさかんである(れいあそびにくん? あそびにくのん?)。「のん」はおも大阪おおさかもちい、女性じょせいそうではかる主張しゅちょうにももちいる(れい今度こんどわたし東京とうきょうくのん)。断定だんてい「や」との接続せつぞくは「の・のん」は「やの・やのん」、「ん」は「なん」とする(れい:ほんまやの? ほんまやのん? ほんまなん?)。
疑問ぎもん反語はんご
共通きょうつう同様どうよう、「」と「かい」をもちいる。ただし、「そうなのかい?」「これもべるかい?」のようなかるいかけの用法ようほう近畿きんき方言ほうげんの「かい」にはない。「かい」にふくみをたせる場合ばあいは「かいな」「かいや」とする。「か」のわりに「かえ」または「かい」のてん」をもちいることもある。「け」は京阪神けいはんしんでは男性だんせい粗野そや会話かいわもちいることがおおいが、「か」と同等どうとうあるいはよりしたしみのあるかたりとして多用たようする地域ちいきもあり、とく河内かわうちべん特徴とくちょうとしてられる。地域ちいきによっては「」とも。なお「なにだっけ?」のような「け」は古語こご「けり」からてんじたものであり、ここでの「け」とは無関係むかんけいである。
やんかやん
反語はんごてき断定だんてい主張しゅちょうあらわす。「やんか」は明治めいじ後期こうき大正たいしょうごろ大阪おおさかわか女性じょせいそうからひろまった表現ひょうげんで、「やないか」のてんとするせつと「や」+「んか」とするせつがある。地域ちいき個人こじんによっては「け」をもちいた「やんけ」や、つよめたいいかたやんかいな」「やんかいさ」なども。「やん」は「やんか」の省略しょうりゃくで、戦後せんごわか女性じょせいそう中心ちゅうしんひろまった。関東かんとうしん方言ほうげん「じゃん」とは、けいたい接続せつぞく可能かのうなこと(れい:ほんまですやん)や「だろ?」にちか用法ようほうれい:まさか・・・うそやん?!)[ちゅう 15]語尾ごび下降かこうさせる婉曲えんきょく伝達でんたつ表現ひょうげんれい今度こんどわたし東京とうきょうくんやん↓・やんかぁ↓)などのちがいがある。「やんな」では「だよな・だよね」をあらわす(れい:ほんまやんな)。また「ねん・てん」に「やんか」を接続せつぞくさせる場合ばあい、「ねんかてんか」と省略しょうりゃくすることがある(れい:ほんまやねんか、おこなってきてんか)。

近畿きんき方言ほうげん特有とくゆう助詞じょしとして、「かとて」「かてて」からてんじた「かてかって」がある。接続せつぞく助詞じょしとして活用かつようおも過去かこ「た」や否定ひてい「ん」)の連体れんたいがた接続せつぞくして逆接ぎゃくせつ条件じょうけんあらわす(れいなにしたかてあかん)ほか、ふく助詞じょしとして体言たいげんかく助詞じょし接続せつぞくして共通きょうつう「でも」「さえ」のあらわす(れいわたしかてできる 大阪おおさかにかてある)。文頭ぶんとうもちいる場合ばあいは「そやかてそうかて」とする。

原因げんいん理由りゆうあらわ接続せつぞく助詞じょしとして、近畿きんき地方ちほうひろもちいる表現ひょうげんに「さかい」がある。中世ちゅうせいまつ成立せいりつとされ、語源ごげんについては名詞めいしさかい」の転用てんようとするせつ古語こご「け」に由来ゆらいするとのせつなどがある。「さかいに」「さかいで」「さけ」などとも。「大阪おおさかさかいに江戸えどべらぼう」のことわざがあるほどに近畿きんき方言ほうげん代表だいひょうする表現ひょうげんだったが、現在げんざい京阪けいはんでは共通きょうつう「から」が圧倒的あっとうてき優勢ゆうせいになっている。「さかい」のほか、大阪おおさかなどの「よってよってに」、京都きょうとの「」(れい:これうまいしべてみ)、三重みえけん滋賀しがけんなどの「」(れいあめやでまちとか)などもある。

命令めいれい禁止きんし

近畿きんき方言ほうげんでは複数ふくすう命令めいれい禁止きんし表現ひょうげん発達はったつし、つよ表現ひょうげんおだやかな表現ひょうげん場面ばめんおうじて使つかける。

命令めいれい表現ひょうげん
命令めいれいがた表現ひょうげん
だん・カ変動へんどう命令めいれいがた共通きょうつうわりないが、サ変さへん一段いちだん動詞どうし命令めいれいがたには文語ぶんご命令めいれいがた「・・・よ」のてん「・・・」をもちい(れいよ→い)、そのうちサ変さへんしたいちだん場合ばあいまえのエおんかれて「・・・」と発音はつおんすることがおおい(れい:せよ→せい・せえ、べよ→べえ)。女性じょせい通常つうじょう命令めいれいがた表現ひょうげんではなく後述こうじゅつ連用形れんようけい表現ひょうげんもちいることがおおく、前田まえだいさむは「しも大阪おおさかおんなにして『のぼれ』だの『め』『て』だのうんつたとするならば、それはおとこおにのやうなおんなであらう。」とまでべている[49]。「しろ」「べろ」など「ろ」でわる命令めいれいがたは、共通きょうつうとして以外いがいには、近畿きんき方言ほうげんでは本来ほんらいもちいない。命令めいれいがた(「・・・ろ」をふくむ)のうしろにけるおわり助詞じょし共通きょうつう同様どうよう」と「」が一般いっぱんてき
連用形れんようけい表現ひょうげんれい
おだやかな命令めいれい表現ひょうげん。「連用形れんようけい+なされ」の後略こうりゃくうしろには「」「」をけることがおおいが、若年じゃくねんそう中心ちゅうしんに「」をけることもある。1音節おんせつではほぼかならず、1音節おんせつ以外いがいでもおだやかにねん場合ばあいに、長音ちょうおん(ただししたいちだんは「え」ではなく「い」ともう)がこる(れい:しい、きい、きい、べえ、べい)。一段いちだん動詞どうしでは連用形れんようけい表現ひょうげん命令めいれいがた表現ひょうげん同形どうけいになるが、アクセントによる区別くべつがあり、たとえば「てみい」「べえ」は「てみい」「しょくえ」だと命令めいれいがた表現ひょうげん、「てみい」「」だと連用形れんようけい表現ひょうげんあらわす。また一段いちだん動詞どうしでは「い」をよりばしてねんつよめることがある(れいべいいな、べいいや)。京都きょうとなどでは「おき」「お」のように「お」をけて丁寧ていねいさせたり、「よし」をけて女性じょせいてき命令めいれい表現ひょうげんとすることがある(れいきよし、べよし)。
否定ひてい助動詞じょどうし+疑問ぎもんおわり助詞じょし
かんか」のような否定ひてい助動詞じょどうし疑問ぎもんおわり助詞じょしによる表現ひょうげん多用たようする。「かい」をもちいるものはとりわけつよ命令めいれいあらわす(れいかんかい!)。動詞どうし未然みぜんがたくものだけでなく、幾分いくぶんおだやかな命令めいれいとして「連用形れんようけい+ん+疑問ぎもん」(れいこうきんかいな)や「て(お)くれんか」のりゃくてんか」(れいおこなってんか)もある。
「て」をもちいた表現ひょうげん
「て」も共通きょうつう同様どうよう多用たようする。うしろには「」「」をけることがおおい(れいぎょうってな・おこなってや)。「てえ」とばすとややあまえた表現ひょうげんになる(れいおこなってえなあ、おこなってえやあ)。
禁止きんし表現ひょうげん
終止しゅうしがた表現ひょうげん
共通きょうつうわらず「終止しゅうしがた+な」で禁止きんしあらわすが、サ変さへん場合ばあい「するな・すんな」にくわえて「すな」のかたちもちいる。また「な」をつよめる場合ばあい「なよ」にくわえて「なや」とする(れいくなや)。
連用形れんようけい表現ひょうげん 連用形れんようけい+「」 (れいきな
おだやかな禁止きんし表現ひょうげん。「連用形れんようけい+なさるな」の後略こうりゃく。「な」まえ長音ちょうおんすることがある(れい:しいなや)。「な」のほかに「なや」「ないな」などももちいる(れいきなや、きないな)。命令めいれい表現ひょうげん同形どうけいになることがあるが、アクセントによる区別くべつがあり、たとえば「きな」は「きな」だと命令めいれい、「な」だと禁止きんしあらわす。
「て」をもちいた表現ひょうげんれいぎょうってな
命令めいれい表現ひょうげんだけでなく禁止きんし表現ひょうげんでも「て」をもちいた表現ひょうげんがある。用法ようほう連用形れんようけい禁止きんし表現ひょうげんるいし、「てな」「てなや」「てないな」などのかたちもちいる。命令めいれい表現ひょうげん同形どうけいになることがあるが、アクセントによる区別くべつがあり、たとえば「くだりってな」は「ってな」だと命令めいれい、「ってな」だと禁止きんしあらわす。

その

  • 性差せいさ
共通きょうつう同様どうよう近畿きんき方言ほうげんおおくでも性差せいさによる表現ひょうげんちがいが存在そんざいする。とりわけ近代きんだい大阪おおさかでは「いやしい(=いやだわあ)」「とうわ(=ってちょうだいよ)」「てみい(=てみなさいよ)」のような独特どくとく女性じょせい発達はったつした。近畿きんき方言ほうげん性差せいさ特徴とくちょう女性じょせい男性だんせいそうにもひろまるケースがおおいことであり、近畿きんき方言ほうげん基本きほんてき表現ひょうげんである断定だんてい「や」、し「へん」、尊敬そんけい「なはる」、おわり助詞じょし「で」なども女性じょせいそうからひろまったとされる。
大阪おおさかなどでは「ちゃうちゃうちゃう」「そやそやそや」など、テンポよく言葉ことばかさねることが共通きょうつうよりもさかんである。京都きょうとには「あっついあついなあ」や「きつきつめる」のような形容詞けいようしかさねる表現ひょうげんもある。
  • 詠嘆えいたん表現ひょうげん
近畿きんき方言ほうげんでは「あつーい!」「あちい!」のような表現ひょうげんではなく、「あっつう」「ああしんど」のような語幹ごかん用法ようほう多用たようする。「たい」にもてはめることができる(れい海外かいがいきたあ)。近世きんせい近代きんだい京阪けいはん女性じょせいそうでは「語幹ごかん+やの」とも(れい:ああしんどやの)。
指示しじおおくは共通きょうつうおなじであるが、「あそこ」が「あこ」または「あっこ」にてんずることがある。また「○のよう・んな(に)」にたる表現ひょうげんに「○ない」があり、語源ごげんについては「○のよう」のてんとするせつや「○がい」のてんとするせつ(「○ŋai」→「○nai」)がある[50]。 (れい調子ちょうしどないや? どないもこないも
「こそあど」に断定だんてい「や」をつづけるさい、「そ」「ど」の場合ばあい「そうや→そや」「どうや→どや」と短音たんおんすることがおおい。さらに「せやしや」「でや」などとてんずることもある。
よくられた京阪けいはん一人称いちにんしょうには、少女しょうじょわか女性じょせいもちいる「うち」(複数ふくすうがた「うちら」は男性だんせい使用しよう)、「わたい・あたい」のてんわてあて」(もと女性じょせいで、のち男性だんせい使用しよう)、「わし」のてん男性だんせいもちいる「わい」(二人称ににんしょうでも使用しよう)がある。「わて・あて」と「わい」はステレオタイプな関西かんさいじん一人称いちにんしょうとされてきたが、現在げんざいではほぼ年配ねんぱいしゃかぎられる表現ひょうげんである。
京阪けいはんでは二人称ににんしょうには東京とうきょうなどと同様どうよう「あんた」「おまえ」を多用たようする。「あなた」は共通きょうつうとして以外いがいはほとんどもちいず、丁寧ていねい二人称ににんしょうには「おたくさん)」や「あんたはんあんさん」、「おまはん」(「御前ごぜんさま」のてん同輩どうはい以下いかたいして)などをもちいる。「自分じぶん」や「われ」「おのれおんどれ」など一人称いちにんしょう二人称ににんしょうもちいるれいがあるが、東京とうきょうの「てめえ」などと同様どうよう現象げんしょうである。

語彙ごい

ここでは近畿きんき地方ちほうひろもちいる語彙ごいげる。なお、近畿きんき方言ほうげん語彙ごいはかつて中央ちゅうおうとして周辺しゅうへん地域ちいき伝播でんぱすることがおおかったため、以下いかげる語彙ごいふくめて、近畿きんき地方ちほう以外いがいにも分布ぶんぷするものがすくなくない。たとえば「おおきに」は近畿きんき地方ちほうかぎらず、西日本にしにほん各地かくち東北とうほく地方ちほう一部いちぶでももちいる地域ちいきがある。「関東かんとう」「レーコー」など飲食いんしょく関係かんけい語彙ごいについては近畿きんき地方ちほう#しょく文化ぶんか参照さんしょう

  • あかんかん】 - 駄目だめだ。いけない。「らちがあかぬ」のりゃく。「あかへん」「あけへん」とも。近年きんねんでは「とても魅力みりょくてき自分じぶんおぼれてダメになってしまう」というぎゃくのプラスの最上級さいじょうきゅう意味いみつ「あかんやつ」の派生はせいがある。丁寧ていねいだと「あきまへん」になる。
    • あかんたれかんれ】 - 駄目だめやつ弱虫よわむし小心者しょうしんもの
  • あじないあんないあじい】 - 美味おいしくない。あじうすい。京都きょうとなどのいいかた
  • あて - さけさかな。おとおしのことは「」とう。またまったくべつ意味いみだが、「わたし(わたし)」のこと。
  • あほうあほ阿呆あほう阿房あほう】 - おろかなこと。関東かんとうの「馬鹿ばか」にたいする。つよめて場合ばあいあっぽ)」などとも(おも子供こども)。
    • あほほど阿呆あほうほど】 - (馬鹿ばかみたいに)数量すうりょうはなはだしい様子ようす
    • あほんだら阿呆あほう陀羅】 - だい馬鹿ばか野郎やろう
  • あんじょう - 上手じょうずに。上手うまく。「あじく」のてん。 (れい)あんじょうたのんまっさ。 
  • いかのぼりいか - たこ共通きょうつう「たこ」がタコ由来ゆらいするのと同様どうよう姿すがたイカることに由来ゆらい
  • いがむ - かたむく、(きが)ずれる。「ゆがむ」のてん。 (れいはしらがちょっといがんでへんか?
  • いきるほてる・熅る】 - あつくなる(原義げんぎ)。てんじて、いきらげておこる。元気げんきづく。調子ちょうしる。「いき」を動詞どうししたものか。「調子ちょうしる」の用法ようほうとく京都きょうとなどでさか[51]
  • いけず - 意地悪いじわる近世きんせいには「いかず」とも。もとは「一筋縄ひとすじなわではかぬ」ことから、強情ごうじょうしゃ頑固がんこしゃ・ならずものなどをした。
  • いこるおこる】 - 「おこる(おこる)」のてん炭火すみび安定あんていしてえている様子ようす。 (れいすみがええかんじにいこっとるな。
  • いちば市場いちば】 - 日常にちじょうてき近所きんじょ住民じゅうみんものをする小規模しょうきぼ商店しょうてんがい
  • いちびる - 調子ちょうしる。ふざける。名詞めいしがたいちびり」でお調子ちょうししゃ
  • いと - むすめじょう。「いとけない(=おさない)」あるいは「いとしげない(=いとしい)」のりゃくか。「ぼん」の対義語たいぎご。 (れい)いとはん(=おじょうちゃん)
  • いぬぬ・ぬ】 - かえる。る。古語こご「いぬ」の残存ざんそん。 (れい)とっとといね!
  • いや - 「い」に抑揚よくようけて、女性じょせい多用たようする感動かんどう。「おやまあ」などに相当そうとう
  • いらういらう】 - いじる。さわる。もてあそぶ。「いろう」とも。 (れい)かさぶたいろうたらあかん。
  • いらち【苛ち】 - 短気たんきしゃ。せっかち。「いらつ」(苛立いらだつ、こげる)の名詞めいしがた大阪おおさかじん気質きしつ端的たんてきあらわ言葉ことばとされる。
  • いわす - やりめる。やっつける。「グウのおとわす」ことから。てんじて、せしめる。(からだを)こわす。 (れいかたをいわした。
  • ええ - 「よい」のてん終止しゅうしがた連体れんたいがたのみでもちい、通常つうじょう「えかった」「えければ」のような活用かつようはしない。関東かんとうの「いい」は「ええ」がさらにてんじたもの。なお「かわええ」という表現ひょうげん京阪けいはん方言ほうげんとしてはあやまり(「可愛かわいい」は「かわい」ではなく「かわゆい」のてんであるため)。 (れいええもんやす
    • ええし - 「しゅう」のてん良家りょうけ金持かねもちのいえ
  • えげつない - 露骨ろこつな。強烈きょうれつな。卑劣ひれつな。あくどい。もとは「いげちない」「いげつない」とった。
  • えずく - もよおす。く。げたときこえ(オエッ)と「く」がわさったものという。
  • えらいえらい・えらい・苛い】 - 立派りっぱな・大変たいへんな・大変たいへんに・とても・とんでもないの多用たようするほか、一部いちぶで「くたびれる」のでももちいる。大変たいへんに・とてものもちいるさい本来ほんらい連用形れんようけい「えろう」よりも「えらい」が多用たようされる(「えらいこと」のりゃく)。語源ごげんは「いらし(苛し)」[52]とおる年間ねんかん大阪おおさかざつのどじょう魚市場うおいちば若者わかものたちによってされたというせつもある[ちゅう 16]。 (れい)えらい(=とても)とおいとこまでってえらなった(=くたびれた)わ。 えろう・えらいすんまへん。
    • えらいさんえらよう】 - ある集団しゅうだんなか一定いってい地位ちい指導しどうてき立場たちばにあるひと。 (れい町内ちょうないかいのえらいさん。
  • えんりょのかたまり遠慮えんりょかたまり】 - おかずの最後さいごあまものたがいに遠慮えんりょってなかなかはしかないことから。
  • おいえ - 室内しつない座敷ざしき台所だいどころすことも。「御上おかみ」または「御家おいえ」のてんという。「おいえさん」で(町家まちやの)おくさんの。 (れい)おいえへがっとくれやす。
  • おいでやすだしでやす】 - 歓迎かんげいあらわ挨拶あいさつ言葉ことば。より丁寧ていねい幾分いくぶんあらたまった表現ひょうげんに「しやす」がある。
    「おいでやす」と地名ちめい滋賀しがけん野洲やす)とをかけたコピー
  • おいどきょしょ】 - おしり女房にょうぼう言葉ことば由来ゆらい
  • おおきにおおけにおおきに・たいけに】 - 「おおきにありがとう」などの後略こうりゃくで、感謝かんしゃあらわ挨拶あいさつ言葉ことば
  • おかんおとん - 「おかあさん」「おとうさん」のくだけたいいかた
  • おにいおねえ - 「おにいちゃん」「おねえちゃん」のくだけたいいかた
  • おじいおばあ - 「おばあちゃん」「おじいちゃん」のくだけたいいかた
  • おことおおおことうさん)【御事おんこと(さん)】 - 大晦日おおみそかなどの仕事しごとおさめの挨拶あいさつ言葉ことば相手あいて年末ねんまつ多忙たぼうたいするねぎらいとけいいをあらわす。
  • おしピンしピン】 - 画鋲がびょう[53]
  • おためたまものめ】 - 結婚式けっこんしき祝儀しゅうぎわたしてくれたひとたいしてそのわたす1わりのおかえし。関西かんさい全域ぜんいきにみられるが、発祥はっしょう京都きょうと[54]
  • おちょくる - からかう。小馬鹿こばかにする。
  • おとつい - 一昨日おととい
  • おっさん - おじさん(中年ちゅうねん男性だんせいたいするけ)、和尚おしょうさん。平板へいばんめば前者ぜんしゃの、「さん」をげてめば後者こうしゃ意味いみになる[55]
  • おはようおかえりやす)【はやかえり(やす)】 - 出立しゅったつ見送みおく挨拶あいさつ言葉ことば[56]。「はやかえっててください」のであり、「さっさとかえってください」ではない。
  • おぼこい - おさない。子供こどもっぽい。あどけない。うぶな。「さん」のてん「おぼこ」の形容詞けいようしがた
  • おもろい - 面白おもしろい。否定ひていがた「おもろ(う)ない」はくだけて「おもんない」とも。もと男性だんせい
  • おやかましさんおやかまっさんやかましさん】 - 辞去じきょするさい挨拶あいさつ言葉ことば
  • かいかい】 - 大学だいがくねん厳密げんみつには在学ざいがく年数ねんすうし、留年りゅうねんなどで在学ざいがく年数ねんすう在籍ざいせき学年がくねんことなる場合ばあいは「4ねん6回生かいせい」(入学にゅうがくして6ねん大学だいがく4年生ねんせい)などとする。もと京都きょうと帝国ていこく大学だいがく用語ようごだが、近畿きんき地方ちほういちえん学生がくせい言葉ことばとなっている。 (れい)「なん回生かいせいですか?」「2かいです」「あ、どうかいやん」
  • かしわにわとり】 - 鶏肉とりにく
  • がしんたれ餓死がしれ】 - 意気地無いくじなし。甲斐性かいしょうし。能無のうなし。
  • カッターシャツ) - ワイシャツ狭義きょうぎでは学生がくせいようシャツをす。ワイシャツ#日本語にほんごでのについて参照さんしょう
  • かなわんかなわん・てきわん】 - いやだ。やりれない。たまらない。「かなん」とりゃくしてうことがおお[57]
  • かまへんかめへん【構へん】 - かまわない[58]。「かまわへん」のりゃく
  • がめつい - 大阪おおさかべん認識にんしきされがちな語彙ごいだが、実際じっさいげき作家さっか菊田きくた一夫かずおが1959ねん発表はっぴょうした戯曲ぎきょくがめついやつ』でひろめた造語ぞうごである。詳細しょうさいがめついやつ#形容詞けいようし「がめつい」の造語ぞうご参照さんしょう
  • かわやかわや】 - トイレ、便所べんじょ高野たかのさんの「こうや」とおとていること、もとはかわうえいたけて「かわ」をつくり、りょう便びんをそのままみずながしたことに由来ゆらいする。実際じっさい高野たかのさんてらではかわだい小便しょうべんながしていた[59]
  • かんこくさい紙子かみこくさい】 - くさい。きなくさい。
  • かんてき - ななりんてんじて、癇癪かんしゃく。 (れい)かんてきしゃ(=かん癪持しゃくもち)
  • きがわるいわるい】 - かんじがわるい。いやかんじ。
  • きしょい - 気色けしきわるい。「きもい」よりつよ不快ふかいかん拒絶きょぜつあらわす言葉ことば[60][ちゅう 17]
  • ぎょうさん仰山ぎょうさん】 - 数量すうりょう程度ていどはなはだしいこと。「ようさん」とも(「ようけ」との混合こんごうか)。
  • くらいぬけらいけ】 - 大食漢たいしょくかん。または、べてすぐトイレにひと。60㎏たわらこめめるとき使つか直径ちょっけい50cmほどの漏斗ろうと名称めいしょうらいけ」から[61]
  • けったい - 奇妙きみょうへん不思議ふしぎ。おかしい。「たい」または「希代きたい」のてんという。
  • けったくそがわるい【けったくそわるい】 - しゃくさわる。忌々いまいましい。気味きみわるい。「けったくそ」は「けったい」の派生はせい
  • ごあさって明後日みょうごにち】 - 「今日きょう」からかぞえてにち、つまり「しあさって」の翌日よくじつ東京とうきょうでは「やのあさって」。ちなみに「しあさって」で「あさっての翌日よくじつ」をすのは近畿きんき地方ちほうから東京とうきょうつたわった用法ようほうである[ちゅう 18]
  • こうこ - こうもの漬物つけもの。「おこうこ」とも。
  • こうと公道こうどう】 - 質素しっそ地味じみだが上品じょうひんさをそなえている様子ようす。 (れい)こうとなお部屋へやどすなあ。
  • こけるける】 - ころぶ。たおれる。他動詞たどうしがたは「こかす」。
  • こそばいこしょばい - くすぐったい。かゆい。「こそばゆい」のりゃく動詞どうしがたこそぼる」でくすぐるの
  • ごつい - でかい。つよい。いかつい。ひどい。1970年代ねんだい以降いこう大阪おおさかなどではおもに「ごっつ」のかたち強調きょうちょう副詞ふくしとしてももちいる。 (れい)ごっつやばい。
  • こてこて - 必要ひつよう以上いじょう濃厚のうこうりつける様子ようす関西かんさいべん関連かんれん辞書じしょによっては掲載けいさいされていない[62]ちなみに大阪おおさか料理りょうりは「こてこて」のイメージがあるが、実際じっさい薄口うすくち醤油じょうゆ昆布こぶ出汁だし基調きちょうとしたうすあじである[63]
  • ごんたけんふとし】 - 腕白わんばく小僧こぞう。やんちゃ坊主ぼうずつよめたいいかたは「ごんたくれ」。人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり義経よしつね千本せんぼんさくら』の登場とうじょう人物じんぶつめいから。
  • さいぜん最前さいぜん】 - ついさっき。いましがた。(れい)さいぜんうたばっかりやのに。
  • さしし】 - 物差ものさし。定規じょうぎ。 (れい)そこのさしって。
  • さぶいぼかんいぼ】 - 鳥肌とりはだ。ぞっとしたときのものは「ぞぞ」とも。 (れい)あー、さぶいぼがた。
  • さら - あたらしいこと・もの。共通きょうつうでも「更地さらち」「まっさら」などの表現ひょうげんもちいる。 (れい)さらのさら
    • さらぴん - 「さら」をつよめたいいかた。「ぴん」の語源ごげんとしては、「しなせつポルトガルのpintaせつ(「ピンからキリまで」の「ピン」とおなじ)がある。
  • しい - 「する」の連用形れんようけい名詞めいし。・・・しがちなひと。・・・してばかりのひと。「らんことをする→いらんことしい」や「ええかっこをする→ええかっこしい」や「真似まねをする→まねしい」など。
  • しばく - たたく。っぱたく。バブルころには「ちゃぁしばけへん?」「マクドしばけへん?」「ネズミしばけへん?」のように、「・・・へ飲食いんしょくあそびにく」のもちいるのが流行りゅうこうした。
  • しゃあないしやない - しょうがない。仕方しかたがない。
  • じゃまくさい邪魔臭じゃまくさい】 - 面倒臭めんどうくさい。 (れい邪魔臭じゃまくさ仕事しごとやなあ。
  • じゅんさい蓴菜じゅんさい】 - とらえどころがい。てんじて、どっちつかず。でたらめ。いい加減かげん[64]ジュンサイはぬめりがあってはしつかみにくいことから[64]。 (れい)じゅんさいなこと(=いい加減かげんなこと)すな。
  • しょうもないしょうむない仕様しようい】 - つまらない。面白おもしろくない。くだらない。
  • しるいしゅるいしるい】 - 水気みずけおおく、湿しめっているよう。「じるい」や「じゅるい」とも(「じゅくじゅく」などからの類推るいすいか)。安永やすなが5ねん世間せけん仲人なこうど気質きしつ』に、京都きょうとで「しるい」とうのを大和やまと河内かわちでは「じるい」とい、そのことを京都きょうとじんはおかしがるとの記述きじゅつがある[65]。 (れいあめみちがじゅるいなあ。
  • しんきくさい辛気しんき心気臭しんきくさい】 - じれったい。苛立いらだたしい。まどろっこしい。
  • しんどい - つかれる。くるしい。「辛労しんろう」あるいは「心労しんろう」のてん「しんど」の形容詞けいようしという[66]。 (れい家計かけいがしんどいわ。
  • すいすいいい・さんいい】 - すっぱい。共通きょうつうでも「いもあまいもける」の慣用かんようもちいる。
  • すかたん - まぬけ。とんちんかん。見当けんとうちがい。なお「まぬけ」も近畿きんき地方ちほうからひろまった表現ひょうげんである。
  • すこい - ずるい。狡猾こうかつ。「こすい」の倒語とうご
  • ずっこい - ずるい。「すこい」と「ずるい」の混合こんごうか。 (れい)あんたばっかしずっこいわあ。
  • ずつないじゅつない術無じつない】 - なすじゅつがなくてつらい。くるしい。古語こご「ずちなし」のてん。 (れい)ようけべてずつない(=はらくるしい)わ。 ずつない(=きまりがわるい)なあ。
  • せいだい - きよし々。おおいに。うんと。「せいざい」などとも。「せい(を)して」のてんという。 (れい)せいだい気張きばりや。
  • せたらうせったらうたらう】 - 背負せおう。「せたろう」とも。
  • せやかて - そうはっても。
  • せんどせん】 - なんも。たびたび。てんじて、大層たいそう。ひどく。 (れい)せんどわすな!
  • たくく】 - る。炊飯すいはん以外いがいにも多用たよう。 (れい夕飯ゆうはん大根だいこんいたん(=煮物にもの)やで。
  • だぼ - 馬鹿ばか。「あほ」よりもつよいいいかた播磨はりま神戸こうべもちいる。
  • だんない - 「大事だいじない」の省略しょうりゃくつかえない。かまわない[67]
  • ちゃいする - 幼児ようじで、てる。 (れい)そんなばばい(=ばっちい)もんちゃいし。
  • ちゃう - ちがう。〜ではない。(れい)そうちゃうか?(=そうではないか?)
  • ちょお - ちょっと。当然とうぜんながら「ちょう」とは無関係むかんけい。 (れい)ちょおってえな。
  • ちょ(う)けるあざけける】 - ふざける。おどける。「ちょかる」とも。名詞めいしがたちょけ」でふざけたことをする・ひと。 (れい)ちょけてる場合ばあいちがうで!
  • つぶれるつぶれる】 - 「駄目だめになる」「たいらに変形へんけいしてこわれる」だけでなく、外見がいけんじょう変形へんけいともなわない破損はそん故障こしょうにももちいる。 (れい)テレビがつぶれおった。
  • てれこ - さかさま。あべこべ。歌舞伎かぶき用語ようご手入ていれこ」から。
  • でん - おにごっこなどでおににタッチすること。「でんをつく」ともう。おにごっこ以外いがいでも、たんにタッチをかたりや、おにがタッチしてすぐげるようから、短時間たんじかん滞在たいざいしてすぐにかえることの比喩ひゆとしてももちいる。 (れい山田やまださん、いえにでんついてかえってきただけや。
  • てんご(う) - いたずら。わるふざけ。冗談じょうだん
  • でんぼぼう】 - 打撲だぼくによるもの出来物できぶつ出物でもの
  • - 名詞めいし形容詞けいようし形容動詞けいようどうし語頭ごとうけてののしり・あきれなどをえる。てんじて、たんなる強調きょうちょう[ちゅう 19]。(れい)どあほ どぎつい ど根性こんじょう[ちゅう 20] どたま(=どたま) ど派手はでなか[68]
    • どつく・どづく【どく】 - たたく。なぐる。
    • どつぼにはまる【どつぼはまる】 - 最悪さいあく状態じょうたいになる。やることなすことすべわる方向ほうこうかう。「どつぼ」は肥溜こえだめのもと芸人げいにん楽屋がくや言葉ことば
  • どもならん・どんならん - 「どうにもならぬ」のてん。どうしようもない。おおわりいだ。
  • どや - どうだ。どうやの短縮形たんしゅくけい。「ドヤがお」の由来ゆらいはここから。[69]
  • どんくさいどんくさい】 - にぶい。手際てぎわわるい。
  • どんつき【どんき】 - たり。 (れい)あっこにどんとっえるやろ、そこをみぎがるのが近道ちかみちや。
  • ないないい】 - 幼児ようじで、片付かたづける。 (れい)おもちゃないないしょうな。
  • なおすなおす】 - 片付かたづける。もと場所ばしょもどす。 (れい)これだなになおしといて。
  • なんきん南京なんきん】 - カボチャ京都きょうとでは「かぼちゃ」や「おかぼ」。
  • なんば南蛮なんばん】 - トウモロコシ。「南蛮なんばんキビ」の後略こうりゃく
  • なんぼなにぼ】 - いくら。いくつ。どれほど。「何程なにほど」のてん。 (れい)なんぼのもんじゃい!(=どれほどのもんだい)
  • におう・におぐにおう・においぐ】 - 自動詞じどうしとしてだけでなく、他動詞たどうしとしてももちいる。すなわち、においの発生はっせいげんが「におう」だけでなく、自発じはつてきににおいを動作どうさにももちいる。「におぐ」は「におい」と「ぐ」が混合こんごうしたもの。 (れい)ドリアン、くさいでみ。
  • ねき根際ねぎわ】 - がわちかく。
  • ぱっち - たけなが股引ももひき
  • はばかりさんはばかりさん】 - ろうをねぎらう挨拶あいさつ言葉ことば
  • はらがおおきいはらおおきい】 - 満腹まんぷくである状態じょうたい近畿きんき地方ちほう出身しゅっしん女性じょせいが「おなかがおおきなってしもた」とっても、そのおおくは「妊娠にんしんしてしまった」ではなくたんに「満腹まんぷくになった」のである。
  • ばり - とても。かなり。山陽さんよう地方ちほう由来ゆらい言葉ことばで、1980年代ねんだい神戸こうべ播磨はりま中心ちゅうしん流行りゅうこうした。
  • はんなり - 上品じょうひんはなやかな、あかるい様子ようす。 (れい)はんなりした(着物きものの)やなあ。
  • びびんちょ - きたならしいもの仲間外なかまはずれにするときはや言葉ことば。えんがちょ。「べべんちょ」などとも。
  • ひらうひろう】 - 連用形れんようけいウ音便うおんびん「ひろおた・ひろおて」からの類推るいすいしょうじた語形ごけいとおる以降いこう「ひろう」よりも優勢ゆうせいとなった。 (れいをひらいにった。
  • フレッシュ - コーヒーや紅茶こうちゃもちいるクリームやミルク[70]
  • べべた - びり。最下位さいかい。「べべ」「べべちゃ」や「どべ」(ど+べべた)などとも。
  • ほかす放下ほかす】 - てる。 (れい)この書類しょるいほかしといて。
  • ほげた頬桁ほおげた】 - 文句もんく。(目上めうえたいする)反論はんろん物言ものいい。原義げんぎは「頬骨ほおぼね」。 (れい)ほげたをく(=文句もんくう)。
  • ほたえる - さわぐ。ふざける。じゃれる。
  • ぽち - 祝儀しゅうぎ。チップ。「ぽち」をれるふくろが「ぽちぶくろ」である。
  • ほっこり - (いち仕事しごとえて)つかれた様子ようす近年きんねん、のんびりするなどのもちいるものえている。 (れい)せんどあるいてほっこりしたし(=くたびれたし)、おちゃでも一服いっぷくしょうか。
  • ぼちぼち - そろそろ、まあまあ。あめしずくの「ぽつりぽつり」からきた言葉ことばだという。たとえば「ぼちぼちこか」とった場合ばあい「ぼ」にアクセントをつければ「そろそろこうか」という意味いみになり、それにたいして「ち」にアクセントをつければ「ゆっくりこうか」になる。大阪おおさか以外いがいではあまり使つかわれない[71]
  • ほな - それでは。(れい)ほな、また。
  • ぼん - ぼうや。とくに、良家りょうけぼっちゃん。「ぼう」のてん。「ぼんぼん」「ぼんち」などとも。 (れい)ぼんぼんそだち。
  • ぼんさんがへをこいたぼうさんがいた】 - だるまさんがころんだ。「においだらくさかった」とつづける。
  • ほんまほんしん】 - 本当ほんとう実際じっさい。「本間ほんま」ではない。 (れい)ほんまもん(=本物ほんもの)のあじ
  • まいど毎度まいど】 - 大阪おおさか商業しょうぎょう社会しゃかいひろもちいる挨拶あいさつ言葉ことば。 (れい)まいどおおきに!
  • マクド - マクドナルドりゃくマクドナルド#各国かっこくにおける呼称こしょう参照さんしょう
  • まったり - まろやかでこくのあるあじわい。1990年代ねんだい以降いこう、のんびり・ゆったりした様子ようすという意味いみもちいるものえている。
  • まんまんちゃん - 幼児ようじで、仏様ほとけさま地域ちいきによってはかみつきなどもす。「南無阿弥陀仏なむあみだぶつさま」のてん。お辞儀じぎあらわす「あん」をうしろにけると、ふつへのいのりの動作どうさあらわす。 (れい)お仏壇ぶつだんにまんまんちゃんあんしいや。
  • みずくさい水臭みずくさい】 - みずっぽい。塩気しおけりない。てんじて、よそよそしい(共通きょうつうれられた用法ようほう)。 (れい)この味噌汁みそしる、ちょっと水臭みずくさいなあ。
  • みずや水屋みずや】 - 食器しょっきだな台所だいどころ全体ぜんたいすことも。
  • めっちゃ - とても。ちょう。「めちゃくちゃ」のりゃくで、1970-80年代ねんだい以降いこう大阪おおさかから近畿きんき地方ちほういちえん急速きゅうそくひろまった。「めっさ」などとも。同様どうようかたりに「むちゃくちゃ」のりゃくむっちゃ」などがある。
  • めばちこばちこ】 - 麦粒腫ばくりゅうしゅ。ものもらい。京都きょうとなどでは「めいぼめぼ」(いぼ)。
  • めんちきる【めんちる】 - ガンをつける。にらみつける。「たまる」→「めんたる」と成立せいりつしたという。
  • モータープール - 駐車ちゅうしゃじょう。パーキング。進駐軍しんちゅうぐん用語ようごをハイカラきの大阪おおさかじん真似まねたのがはじまり[72]。ただし、英語えいごでの本義ほんぎぐん配車はいしゃじょうやそこに待機たいきするくるまぐんであるため、一般いっぱん駐車ちゅうしゃじょう車両しゃりょう使用しようするのは本来ほんらい間違まちがい。中部ちゅうぶ地方ちほう金沢かなざわ静岡しずおかなど)以西いせいひろもちいる。
    大阪おおさかにて
  • もむないもみない - 美味おいしくない。まずい。「うまうもない」あるいは「うまみがない」のてんという。また「もう瀰」というのガマガエルの煮物にもの語源ごげんであるとのせつもある(食用しょくようガエル参照さんしょう)。大阪おおさかなどのいいかた
  • やいやい- なんもしつこくうさま。「やいやいいないな」などと使つかう。[69]
  • やつす【俏す・やつす】 - おめかしする。名詞めいしがたやつし」でめかし。もとは歌舞伎かぶきかい隠語いんごで、江戸えど時代じだい町人ちょうにんそう流行りゅうこうとしてひろまったもの。 (れい)そないやつしてどこきなはるの?
  • ややこしい - 煩雑はんざつだ。厄介やっかいだ。面倒めんどうだ。まぎらわしい。あやしい。「あかぼう」を意味いみする「ややこ」の形容詞けいようしあかぼう世話せわ面倒めんどう大変たいへんだということから。「ややこい」などとも。 (れい今日きょう天気てんきはややこしい(=微妙びみょうだ)な。
  • やんぺやんぴ - 物事ものごとをやめるときごえおも子供こどももちいる。「め」のてんか。 (れい)もうやーんぺ。
  • ようけよけ - 数量すうりょうはなはだしいこと。たくさん。「余計よけい」のてん
  • よすよせす】 - 仲間なかまれる。おもあそびに参加さんかするときもちいられる。(れいよせして(参加さんかさせて)
  • よばれるばれる】 - 御馳走ごちそうばれるの多用たようする。てんじて、たんに「う」の丁寧ていねいとしてもちいることもある。 (れい)たんとよばれや(=おべよ)。
  • よむむ】 - かずかぞえる。共通きょうつうでも「さばむ」「ひょうむ」などの表現ひょうげんもちいる。 (れいじゅうんでから風呂ふろからがりや。
  • よろしゅうおあがりやす)【よろしゅうがり(やす)】 - つたな食事しょくじ十分じゅうぶんがってくださいましたので、「ご馳走様ちそうさま」にたいするかたり[73]十分じゅうぶんがってくださいので「いただきます」ののちもちいる家庭かていもある[73]
  • わや - 台無だいなし。滅茶苦茶めちゃくちゃ道理どうりわない。駄目だめ。「枉惑」のてん「わやく」の派生はせい。「わやくちゃ」「わやくそ」などとも。 (れい)さっぱりわやや。
  • わらかす - わらわす。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ ここまで、阪口さかぐちあつしよしへん日本語にほんご講座こうざだいろくかん 日本語にほんご歴史れきし』(大修館書店たいしゅうかんしょてん、1990ねん)の徳川とくがわそうけん東西とうざいのことばあらそい」を参考さんこう文献ぶんけんとした。
  2. ^ 当時とうじ上方かみがたでは「くゎんねん」と発音はつおんしており、「かんねん」は関東かんとうなまりとされていた。
  3. ^ 立派りっぱな」の上方かみがたなまり。
  4. ^ かれ一緒いっしょらす」のような用法ようほう共通きょうつうもとからあるが、「わたしかれ趣味しゅみ一緒いっしょだ」のような「同一どういつ」という意味いみ用法ようほう近畿きんき方言ほうげんからひろまったもの。
  5. ^ かたり自体じたい近畿きんき方言ほうげん由来ゆらいするが、現在げんざい全国ぜんこくひろ使つかわれる「ゆったりと」という用法ようほう本来ほんらい近畿きんき方言ほうげんではあまり一般いっぱんてきでない。
  6. ^ がする」という用法ようほう共通きょうつうもとからあるが、「腹立はらだたしい」という用法ようほう近畿きんき方言ほうげんからひろまったもの。
  7. ^ 「おる」に尊敬そんけい接続せつぞくさせるのは京阪けいはんでは一般いっぱんてきでなく(通常つうじょう「おらはる」や「おおりやす」などは誤用ごよう)、「おられる」はあくまで共通きょうつうとしてもちいる。
  8. ^ 近代きんだい初期しょきまでは江戸えど東京とうきょうでもけいたいと「だ」を併用へいようすることがあった。
  9. ^ 東京とうきょうの「です」も江戸えど後期こうき成立せいりつ当初とうしょかぎられた階層かいそう表現ひょうげんであり、中流ちゅうりゅう以上いじょうではもちいなかった。(1917ねん口語こうごほう別記べっき』)
  10. ^ 東京とうきょうの「です」とはべつに、近世きんせい上方かみがたにも独自どくじの「です」があったとするせつもある。
  11. ^ あるアメリカの旅行りょこうしゃ大阪おおさかバスの運転うんてんしゅに「つぎえきまりますか?」といたところ「まりま」とわれたため、関西かんさいべんらないひとにはよくわからない返事へんじ仕方しかたはらった旅行りょこうしゃ新聞しんぶん投書とうしょしたという。
    末延すえのぶ岑生みねお『ニホン英語えいご世界せかいつうじる』〈平凡社へいぼんしゃ新書しんしょ〉2010ねん ISBN 9784582855357 p16
  12. ^ 富山とやまけん高岡たかおか周辺しゅうへんでも使用しようされる。
  13. ^ みなと舞鶴まいづるちゃったまつりなるイベントが開催かいさいされるほど「ちゃった」は舞鶴まいづるべん特徴とくちょうとされるが、「ちゃった」の使用しよう地域ちいき丹波たんば播磨はりま一部いちぶ兵庫ひょうごけん多可たかまち加美かみ)にも分布ぶんぷする。
  14. ^ 「せう」のてん。「しょう」がさらにてんじたものが共通きょうつうの「しよう」とされる。
  15. ^ この用法ようほうは「うそやん」以外いがいではまれ
  16. ^ あるときだいたいがとれ、若者わかもの6にん料理りょうりしたが、1人ひとりがエラでゆびにけがをした。そのさいに「エラいたい、えらいたいじゃ」とったことから、おおきなものにたいして「えらい」とうようになったという。
    さつ埜(2006)p90-91
  17. ^ 解釈かいしゃく学会がっかいへん解釈かいしゃくだい43かん(1997ねん教育きょういく出版しゅっぱんセンター)に掲載けいさいされた大阪おおさか府立ふりつ阿部あべ高校こうこう教員きょういん岡本おかもと利昭としあきの「しん科目かもく現代げんだい』の授業じゅぎょういち思案しあん 阿倍あべだか言葉ことば・『きもい』『きしょい』こう」という54にん高校生こうこうせいこころみた質問しつもん調査ちょうさによると、「きしょい」について「つよ不快ふかいかんかんじるとき使つかう」とこたえた生徒せいとは26%、「それほどつよ嫌悪けんおかんいときに使つかう」とこたえた生徒せいとは15%。「きもい」にたいして「かる不快ふかいかんかんじる言葉ことば」とこたえた生徒せいとは33%、「つよ不快ふかいかんるのもいやなものにたいする言葉ことば」とこたえた生徒せいとは20%であった。
    さつ埜(2006)p74
  18. ^ 東京とうきょうでは本来ほんらい明日あした→あさって→やのあさって→しあさって」のじゅんだった。
  19. ^ 元来がんらいよりそうじて否定ひていてき意味いみ使つかわれる言葉ことばであった。そのため、2001ねんにエプソンがゆう起用きようして「どキレイ」というキャッチコピーを、2003ねん日清食品にっしんしょくひん上戸彩うえとあや起用きようして「どうまい」というキャッチコピーを発表はっぴょうしたことにかんしては言語げんごがく専門せんもんによる非難ひなん対象たいしょうになり、前者ぜんしゃは2002ねんひらかれた「なにわことばのつどい」だい20かい記念きねん総会そうかい(テーマ「大阪おおさかべん誤用ごよう悪用あくようただす」)のなかでも批判ひはんされた。
    さつ埜(2006ねん) p45
  20. ^ 根性こんじょう大根だいこん」のように肯定こうていてきもちいるのは戦後せんごからの用法ようほうで、もとは「くさった根性こんじょう」「がった根性こんじょう」といった

出典しゅってん

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  61. ^ さつ埜(2006ねん) p143-144
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参考さんこう文献ぶんけん

その関連かんれん書籍しょせき

外部がいぶリンク