宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつ

宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつ（ほうぞういんりゅうそうじゅつ）とは、奈良ならの興福寺こうふくじ宝蔵ほうぞう院主いんじゅ胤たね栄さかえが創始そうしした十文字じゅうもんじ槍やりを使つかった槍術そうじゅつである。薙刀なぎなた術じゅつも伝承でんしょうしていた。初代しょだい胤たね栄さかえのあと、2代目だいめ胤たね舜しゅん、3代目だいめ胤たね清きよし、4代目だいめ胤たね風ふうとつづいた。

初代しょだい胤たね栄さかえは、柳生やぎゅうとも親交しんこうがあったと云いわれる。また、福島ふくしま正則まさのりの家臣かしんで勇猛ゆうもうな武将ぶしょうとして知しられる笹ささの才蔵さいぞうこと可児かに吉長よしながが初代しょだい胤たね栄さかえに教おしえを請こうた、とも云いわれる。

現在げんざいはほとんどの形かたちなどが失しつ伝でんしており、宝蔵ほうぞう院いん流りゅう高田たかだ派はの江戸えどに伝つたえられた系統けいとうのみが現存げんそんしている。だが、この系統けいとうも全ぜん伝つては現存げんそんせず、辛かろうじて残のこっていた「槍やり合あわせの形かたち」のみが伝つたえられ、薙刀なぎなた術じゅつの形かたちなどは失しつ伝でんしている。

2017年ねんから女性じょせいにも入門にゅうもんが許可きょかされ、2018年ねんには初級しょきゅうの審査しんさに合格ごうかく者しゃが出でている。

宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつの分派ぶんぱ

胤たね栄さかえ┬宝蔵ほうぞう院いん流りゅう中村なかむら派は─宝蔵ほうぞう院いん流りゅう高田たかだ派は
    ├宝蔵ほうぞう院いん流りゅう松崎まつざき派は─加来かく流りゅう
    ├姉川あねがわ流りゅう
    ├法蔵ほうぞう院いん流りゅう（宝蔵ほうぞう院いん流りゅう長谷川はせがわ派は）
    └胤たね舜しゅん─宝蔵ほうぞう院いん流りゅう礒野いその派は─宝蔵ほうぞう院いん流下りゅうか石せき派は─宝蔵ほうぞう院いん流りゅう旅たび川かわ派は

宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつの登場とうじょうする作品さくひん

宮本みやもと武蔵むさしを主役しゅやくとする作品さくひんにおいて、武蔵むさしの決闘けっとうの相手あいてとして胤たね舜しゅんや高田たかだ吉次よしじが登場とうじょうすることが多おおい。小説しょうせつでは『魔界まかい転生てんせい』、漫画まんがでは『バガボンド』『ゴクウ』がある。『シグルイ』では徳川とくがわ家かの槍術そうじゅつ指南しなんとして宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつを習得しゅうとくした人物じんぶつが登場とうじょうする。「忠臣蔵ちゅうしんぐら」（赤穂あこう事件じけん）にからんだ架空かくうの人物じんぶつである俵たわら星ぼし玄蕃げんばは、宝蔵ほうぞう院いん流りゅうの天下てんか無双むそうの槍やりの名人めいじんであるとされる。このことは、三波みなみ春夫はるおの名曲めいきょく「元禄げんろく名めい槍やり譜ふ 俵たわら星ぼし玄蕃げんば」の前口上まえこうじょうでも紹介しょうかいされている。　

司馬しば遼りょう太郎たろうの短たん編集へんしゅう『新選しんせん組ぐみ血ち風ふう録ろく』の「槍やりは宝蔵ほうぞう院いん流りゅう」では、新選しんせん組ぐみ七なな番組ばんぐみ組長くみちょうの谷たに三十郎さんじゅうろうが宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつの使つかい手てとして登場とうじょうしている。

『赤あか胴どう鈴すず之の助すけ』には宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつの使つかい手て、岳たけ林りん坊ぼうが登場とうじょうする。

関連かんれん項目こうもく

• 宝蔵ほうぞう院いん流りゅう中村なかむら派は
• 宝蔵ほうぞう院いん流りゅう高田たかだ派は
• 石田いしだ和かず外がい
• 鍵田かぎた忠兵衛ちゅうべえ
• 丸橋まるはし忠弥ちゅうや
• 三吉みよし慎まこと蔵ぞう
• 窪田くぼた清音きよね

外部がいぶリンク

• 宝蔵ほうぞう院いん流りゅう槍術そうじゅつ
• 寳たから藏ぞう院いん胤たね栄さかえ法師ほうし大だい格かく之の傳つて - ウェイバックマシン（2008年ねん3月がつ22日にちアーカイブ分ぶん）