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カニ

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出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
（蟹かにから転送てんそう）
曖昧さ回避 この項目こうもくでは、動物どうぶつについて説明せつめいしています。その他たの用法ようほうについては「カニ (曖昧あいまいさ回避かいひ)」をご覧らんください。
カニ
様々さまざまな種類しゅるいのカニ
分類ぶんるい
界さかい : 動物どうぶつ界さかい Animalia
門もん : 節足動物せっそくどうぶつ門もん Arthropoda
階級かいきゅうなし : 汎ひろし甲殻こうかく類るい Pancrustacea
亜あ門もん : 甲殻こうかく亜あ門もん Crustacea
綱つな : 軟甲綱つな（エビ綱つな） Malacostraca
亜あ綱つな : 真ま軟甲亜あ綱つな Eumalacostraca
上目うわめ : ホンエビ上目うわめ Eucarida
目め : 十じゅう脚きゃく目め（エビ目め） Decapoda
亜あ目め : 抱だき卵たまご亜あ目め（エビ亜あ目め） Pleocyemata
下目しため : 短たん尾下おくだり目め（カニ下目しため） Brachyura
学名がくめい
Brachyura
Linnaeus, 1758
和名わみょう
カニ（蟹かに）
英名えいめい
Crab
群ぐん
Pachygrapsus marmoratusの雄ゆう（上うえ）と雌めす（下した）。腹はら板ばんの形状けいじょうが異ことなる性的せいてき二形ふたなりがある。
卵たまごを抱かかえたXantho poressa
アオガニ（英語えいご版ばん）が脱皮だっぴする様子ようす。
カニの部位ぶい概略がいりゃく図ず
解剖かいぼう図ず

カニ（蟹かに）は、十じゅう脚きゃく目め短たん尾下おくだり目め（たんびかもく、Brachyura、別名べつめい：カニ下目しため）に属ぞくする甲殻こうかく類るいの総称そうしょう。タラバガニやヤシガニなどは十じゅう脚きゃく目め異い尾下おくだり目め（ヤドカリ下目しため）に属ぞくするが、これらも漁業ぎょぎょう・流通りゅうつう等ひとしの産業さんぎょう上うえ「カニ」として扱あつかうことがある[1][2]。また分類ぶんるい学がくにおいて、本ほん分類ぶんるい以外いがいの水産すいさん節足動物せっそくどうぶつで「カニ」の名なを与あたえられているものも多おおい。

概要がいよう

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熱帯ねったいから極地きょくちまで、世界中せかいじゅうの海うみに様々さまざまな種類しゅるいが生息せいそくし、一部いちぶは沿岸えんがん域いきの陸上りくじょうや淡水たんすい域いきにも生息せいそくする。成体せいたいの大おおきさは数すうmmしかないものから、脚あしの両りょう端はしまで3mを超こすタカアシガニまで変化へんかに富とむ。箱はこ形がたにまとまった頭あたま胸部きょうぶに5対ついの歩ふ脚あし（胸むね脚あし）があり、このうち最もっとも前ぜん端はしの1対ついが鉗脚（かんきゃく：はさみ）となる。触角しょっかくは2対たいあるが、どちらもごく短みじかい。腹部ふくぶは筋肉きんにくが発達はったつせず、頭あたま胸部きょうぶの腹はら面めんに折おり畳たたまれる。ただしそれぞれ例外れいがいもある。

なお、食用しょくようの「カニ」としてタラバガニやヤシガニ等ひとしも知しられるが、これらは正確せいかくには短たん尾下おくだり目めではなく異い尾下おくだり目めに分類ぶんるいされる。よく見みると歩ふ脚あしが3対たい6本ほんしかないように見みえるが、これは第だい5歩ほ脚あしが甲羅こうら内ないの鰓えら室しつ（鰓えらがある空間くうかん）に折おり畳たたまれているためである[1][2]。

特徴とくちょう

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大だい部分ぶぶんが頭あたま胸部きょうぶからなる体からだは、背面はいめん全体ぜんたいが堅かたいキチン質しつの頭あたま胸むね甲かぶと（甲羅こうら）で覆おおわれている。頭あたま胸むね甲かぶとの前ぜん縁えんから一いち対ついの柄えの付ついた複眼ふくがんが突つき出だし、通常つうじょうはすぐ外側そとがわの溝みぞ（眼窩がんか）に倒たおして収納しゅうのうできる。触角しょっかくは2対たいあるがいずれも短みじかい。第だい一いち触角しょっかくは前まえに突つき出だして上うえに折おれ、先端せんたんに小ちいさな二に枝えだがある。第だい二に触角しょっかくは単純たんじゅんな毛髪もうはつ状じょうである。口くち部ぶは第だい三さん顎あご脚あしが扉とびらのように変化へんかして大だい顎あごをはじめとした口くちの諸しょ器官きかんを覆おおうが、ベンケイガニ科かやモクズガニ科かの一部いちぶ等とうでは第だい三さん顎あご脚あしが小ちいさく、大だい顎あごが露出ろしゅつする[1][2][3][4]。

5対たい10本ほんの胸むね脚あしの内うち、第だい1歩ほ脚あしは鉗脚（はさみ）に変化へんかしていて、餌えさを掴つかんだり敵てきを威嚇いかくしたりするのに用もちいる。シオマネキのオスでは片方かたがたの鋏やっとこが巨大きょだい化かするが、大おおきな鋏やっとこは求愛きゅうあい行動こうどうのみに使つかい、採と食しょくにはもう片方かたがたの小ちいさな鋏やっとこを用もちいる。他た4対ついの胸むね脚あしは鉗脚ではなく、歩あるくための「歩ふ脚あし」となる。但ただし例外れいがいもあり、ムツアシガニ科かは名なの通とおり歩ふ脚あしが3対たい6本ほんしかない。カイカムリやヘイケガニ等ひとしでは第だい5脚きゃくあるいは第だい4・第だい5脚きゃくが小ちいさな鉗脚、あるいは鉤かぎ状じょうに変化へんかし、これで海綿かいめんや貝殻かいがらを背負せおって身みを隠かくす。ワタリガニ科かでは第だい5脚きゃく、キンセンガニ科かでは4対ついの脚あし全すべてが鰭ひれ状じょうに変化へんかしている為ため、歩あるきより泳およぎの方ほうが得意とくいである[1][2][4]。このような鰭ひれ状じょうの遊泳ゆうえいに向むく脚あしを遊泳ゆうえい脚あしと呼よぶ[5][6]。

多おおくのカニが「横よこ歩あるき」をするが、ミナミコメツキガニは前まえ歩あるき、アサヒガニ科かやカラッパ科かのカニは後うしろ歩あるきをする。クモガニ科かとコブシガニ科かのカニは七なな個この節ふしからできている脚あしの各かく節ふしが管状かんじょうで、前後ぜんご左右さゆうへ自由自在じゆうじざいに動うごくことができる[7]。また横よこ歩あるきしか出来できない種類しゅるいでも回転かいてんで弱よわらせると暫しばらく縦たて歩あるきをする。

エビ類るいやヤドカリ類るいと違ちがって腹部ふくぶの筋肉きんにくは発達はったつせず、また尾お部ぶ先端せんたんの「尾お扇おうぎ」もない。腹部ふくぶはアサヒガニ等ひとし一部いちぶの分類ぶんるい群ぐんを除のぞいて頭あたま胸むね甲かぶとの下した側がわに折おり畳たたまれる。その形状けいじょうから俗ぞくに「ふんどし」とも呼よばれる。オスの腹部ふくぶは幅はばが狭せまく、1対ついの交尾こうび器きがあるが、メスの腹部ふくぶは抱だき卵たまごする為ために幅はばが広ひろく、卵たまごを保持ほじする為ための腹はら脚あしが発達はったつする[1][2]。

呼吸こきゅうは頭あたま胸むね甲かぶとの両側りょうがわにある鰓えらで行おこなう為ため、生存せいぞんには水みずが不可欠ふかけつである。鰓えらは、「ガニ」ともいい、俗ぞくに有害ゆうがいであるといい、「カニは食くっても（食くうても）ガニ食くうな」といましめられる。陸上りくじょう生活せいかつにある程度ていど適応てきおうしたアカテガニやオカガニ類るい等とうも、たまに水分すいぶん補給ほきゅうをする必要ひつようがある。水揚みずあげしたカニが「泡あわを吹ふく」のは、限かぎられた水みずを繰くり返かえし使つかっているうちに水分すいぶんの蒸発じょうはつや鰓えらの粘膜ねんまく成分せいぶんが混こんじる等とうが原因げんいんで粘着ねんちゃく性せいが出でて泡あわとなったものである。但ただし陸生りくせい種しゅは長時間ちょうじかんの乾燥かんそうに耐たえうるので泡あわを吹ふくことは少すくない。また水中すいちゅうに居いるカニは泡あわを吹ふかない。また、茹ゆでると殻からが赤あかくなるのは、甲羅こうらの中なかで通常つうじょう蛋白質たんぱくしつと結むすび付ついているアスタキサンチンという色素しきそが、加熱かねつにより蛋白質たんぱくしつと分離ぶんりするからである。

発生はっせい

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卵たまごから孵化ふかした幼生ようせいはプランクトンとして海中かいちゅうを浮遊ふゆうしながら成長せいちょうし、それぞれの生息せいそくに適てきした場所ばしょに漂着ひょうちゃくし稚ややガニとなる。これは陸上りくじょう生活せいかつに適応てきおうしたアカテガニやオカガニ類るいとて例外れいがいではなく、初夏しょかの新月しんげつの夜よるなど特定とくていの時期じきに一斉いっせいに海岸かいがんに集あつまり、それぞれに水中すいちゅうで産卵さんらん（実際じっさいには卵たまごの中なかで育そだった幼生ようせいを放出ほうしゅつ）して、再ふたたび内陸ないりくへと戻もどってゆく行動こうどうが見みられる。海うみ棲のカニでは普通ふつう、初はじめにゾエアという幼生ようせいの時期じきがあり、次ついでメガロパ期きにややカニらしくなり、やがて稚ややガニとなって底そこ生せい生活せいかつにはいる。但ただしサワガニとヤマガニは幼生ようせい期きを卵たまごの中なかで過すごす為ため、一生いっしょうを海うみと無縁むえんに、淡水たんすい中ちゅうで過すごす[1][2]。

生息せいそく環境かんきょう

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ケガニ
ズワイガニ

淡水たんすい・汽水・沿岸えんがん域いきから深海しんかいや洞窟どうくつまで、様々さまざまな水域すいいきに色々いろいろなカニが生息せいそくする。陸上りくじょう、純じゅん淡水たんすいに生息せいそくする種たねは少すくなく、汽水域すいいき、海岸かいがん線せんから海中かいちゅうに大だい部分ぶぶんが集中しゅうちゅうする。マングローブ林はやしでは木きに登のぼっているものもある。干潟ひかたでは小しょう動物どうぶつとして数かずが多おおく、もっともよく目立めだつものである。巣す穴あなを深ふかく掘ほるものが多おおく、底そこ質しつの構造こうぞうに大おおきな影響えいきょうを持もち、水鳥みずとりの餌えさとしても重要じゅうようである[1][2][3][4]。

他たの動物どうぶつの体からだを生息せいそく場所ばしょにするものもあり、サンゴやウニ、ウミシダなどに生息せいそくするものも知しられるが、寄生きせいか共生きょうせいかは判別はんべつし難がたい。カキやアサリなど貝類かいるいの体内たいないに生息せいそくする物ものもおり、それらを使つかった料理りょうりから出でてくることもある[1][2]。

クリスマス島とうは11月頃ごろにアカガニが大量たいりょう発生はっせいすることで有名ゆうめいである。

分類ぶんるい

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De Grave et al.（2009）より[8]。彼かれらは目もくと科かの間あいだに分類ぶんるい階級かいきゅう「群ぐん」（section）を置おいている。

カイカムリ群ぐん

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アサヒガニ群ぐん

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マメヘイケガニ群ぐん

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真ま短たん尾お群ぐん

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ヘテロトレマータ亜あ群ぐん

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トラコトレマータ亜あ群ぐん

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亜あ群ぐん未定みてい

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  • 亜あ群ぐん未定みてい - 現生げんなま0種しゅ、化石かせき1種しゅ

人間にんげんとの関かかわり

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カニ漁りょう（英語えいご版ばん）、カニかご（英語えいご版ばん）

利用りよう

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「カニ料理りょうりの一覧いちらん」も参照さんしょう
ゆでた蟹かに
福井ふくい駅えきの駅弁えきべんである越前えちぜんかにめし
大阪おおさか市し・道頓堀どうとんぼりの蟹かに専門せんもん料理りょうり店てん・かに道楽どうらく

ズワイガニ、ケガニ、ガザミ等ひとし、多おおくの種類しゅるいが食用しょくように漁獲ぎょかくされる。料理りょうり法ほうはしゃぶしゃぶ、刺身さしみ、焼やき物もの、カニ汁じる、鍋なべ料理りょうり等ひとし多種たしゅ多様たようである。蒸むしたり茹ゆでたりして殻からを割わって食たべる事こともあるし、身みを解かいしてサラダ、チャーハン等ひとしの具ぐ材ざいにもする。カニの殻からを割わるための道具どうぐとしてクラブクラッカーがあるほか、カニを食たべるための専用せんようの道具どうぐとしてカニスプーンやカニフォークがある。殻からをむく手間てまを省はぶくため、脚あしはむき身みや半はんむき身み（ハーフポーション）の状態じょうたいで供きょうされることもある。他ほかにも観賞かんしょう用ようにペットにされたりもする。

蟹かにの流通りゅうつう形態けいたいには、生せいのほか、冷凍れいとう品ひん（まるごとのもの、脚あし、爪つめなど部位ぶいを分わけたものなど）、缶詰かんづめなどがある。また、雑炊ぞうすいのもとなど、他たの食材しょくざいと組くみ合あわせて、乾燥かんそうした身みを入いれているものや、カニの茹ゆで汁じるを基もとにした出汁だし、濃縮のうしゅくスープなども販売はんばいされている。

缶詰かんづめでカニ肉にくが硫酸紙りゅうさんしに包つつまれているのは、カニ肉にくの変色へんしょくを防ふせぐためである[9]。

中国ちゅうごくでは「九きゅう雌めす十じゅう雄ゆう」といい、旧暦きゅうれきの9月がつはメスの上海しゃんはい蟹かに（チュウゴクモクズガニ）が、10月はオスの上海しゃんはい蟹かにが美味びみとされている。これは秋あきに気温きおんが下さがるに従したがって上海しゃんはい蟹かにの産卵さんらん時期じきが近ちかづき、ミソや肉にくが溜たまりだすからである。同おなじ頃ごろ、日本にっぽんのモクズガニも漁りょうの時期じきとなる。上海しゃんはい蟹かには生いきたまま、藁わらで足あしを縛しばって流通りゅうつうさせられる。

なお、一般いっぱんにカニは高級こうきゅう食材しょくざいなので、代だい用品ようひんとして魚肉ぎょにくで作つくるかに蒲鉾かまぼこもある。

食用しょくよう以外いがいにも、カニやエビの殻からからはキチン、キトサン、グルコサミンなどが製造せいぞうされる。また、カニを潰つぶした血液けつえきを採取さいしゅし、漆うるしなどの「かぶれの薬くすり」等とうとして使つかう人ひともいるが、これは民間みんかん療法りょうほうの域いきを出でない。

食品しょくひんとしての害がい

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  • 食物しょくもつアレルギーを起おこしやすい食品しょくひんとされる。日本にっぽんでは「食品しょくひん衛生えいせい法ほう第だい十じゅう九きゅう条じょう第だい一いち項こうの規定きていに基もとづく表示ひょうじの基準きじゅんに関かんする内閣ないかく府ふ令れい 別表べっぴょう第だい四よん」により特定とくてい原材料げんざいりょうに指定していされており、食品しょくひん衛生えいせい法ほう第だい19条じょうの適用てきようを受うけるため、カニを原材料げんざいりょうとして含ふくむ製品せいひんを販売はんばいする場合ばあいにはカニを原材料げんざいりょうに使用しようしている旨むねを表示ひょうじする義務ぎむがある。エビも同様どうように特定とくてい原材料げんざいりょうに指定していされている[10]。
  • スベスベマンジュウガニなど、毒どくを持もつカニもいる。
  • 人ひとの寄生虫きせいちゅうの中間ちゅうかん宿主しゅくしゅとなるものがあり、日本にっぽんでは十分じゅうぶんな加熱かねつ処理しょりを経へていない淡水たんすい産さんのカニを食たべると、肺臓はいぞうジストマに感染かんせんする可能かのう性せいがある。
  • 古ふるくからの食くい合あわせとして、飲用いんよう水すいと交互こうごに食しょくすと軽かるい腹痛はらいたを起おこしやすいとされている。

文化ぶんか

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  • 癌がんのことを英語えいごで cancer と言いうが、この呼よび名なは腫瘍しゅようとその周辺しゅうへんの血管けっかんその他たの組織そしきが作つくり出だす形状けいじょうがカニに似にる事ことからラテン語らてんごの「カニ」から引用いんようされて付つけられた。潰瘍かいようを意味いみする canker も同どう源みなもとだが、ギリシャ語ごの karkinos（カニ）と共ともに、これらの語かたりはサンスクリット語ご karkataḥ（カニ）などと同おなじく、古ふるい印欧語いんおうご起源きげんの言葉ことばであるとされる。
  • 西洋せいよう星座せいざの名称めいしょうはラテン語らてんごなので、黄道こうどう星座せいざの一ひとつである「かに座ざ」も Cancer である。「かに星雲せいうん」も潰つぶれたカニの様ように見みえるという理由りゆうからこの名なが付ついたが、かに星雲せいうんがあるのはかに座ざではなくおうし座ざである。
  • カニと言いえば横よこ歩あるきが有名ゆうめいなので、横よこに進すすむものに「カニ」の名なが付つけられる場合ばあいがある。
    • J.S.バッハが作曲さっきょくした「音楽おんがくの捧ささげもの」に含ふくまれる「逆行ぎゃっこうカノン」は、各かく旋律せんりつが左右さゆうを行いき違ちがう様ようから「蟹かに行ぎょうカノン（または「蟹かにのカノン」）」とも呼よばれている。
    • 江戸えど時代じだい以降いこうの日本にっぽんでは横よこ方向ほうこうに進すすむオランダ語ごや英語えいごのアルファベット文章ぶんしょうの事ことを蟹かに文字もじと称しょうしていた。
    • 中国ちゅうごくではカニを横行おうこう君子くんし（おうこうくんし）とも呼よぶ。台湾たいわんのRealtek社しゃの社やしろ章あきらのカニの絵えは「横行おうこう天下でんか」（『天下てんかに横行おうこうする』、即すなわち『世界せかいをのし歩あるく』）という社しゃ訓くんに基もとづいて採用さいようされた。
  • フランシスコ・ザビエルには、インドネシア諸島しょとうアンボイナから舟ふねでモルッカ諸島しょとうセラム島とうを目指めざす途中とちゅう海うみに落おとした十字架じゅうじかをカニが拾ひろい届とどけてくれた、舟底ふなそこに空あいた穴あなをカニが塞ふさいでくれた、カニの背中せなかに十字架じゅうじかが刻きざまれる様ようになった、という逸話いつわが有ある。これに因ちなみ、フランシスコ・ザビエルの日傘ひがさや鹿児島かごしまカテドラル・ザビエル記念きねん聖堂せいどうの鐘かねには十字架じゅうじかを持もったカニが描えがかれている[11]。
  • 第だい一いち脚きゃくの鋏やっとこが目めを引ひく特徴とくちょうである。
    • 日本にっぽんの童謡どうようである「あわて床屋とこや」ではそのためカニは鋏やっとこを持もって床屋とこやをやっている。
    • エレベーターや列車れっしゃなどに設置せっちされている自動じどうドアはドアに指ゆびを挟はさまぬよう警告けいこくするステッカーが貼はられていることがあるが、そのステッカーの絵えが人ひとの手てが蟹かにに挟はさまれている絵えである場合ばあいがある。
  • 2019年ねん、イギリス労働党ろうどうとうは、動物どうぶつ愛護あいごの観点かんてんから公約こうやくの一ひとつに「カニを生いきたままゆでる調理ちょうり法ほうの禁止きんし」を掲かかげた[12]。

慣用かんよう句く

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蟹かにの念仏ねんぶつ
蟹かにの念仏ねんぶつ（かにのねんぶつ）　蟹かにが口くちの中なかでぶつぶつ泡あわを立たてるように、くどくどと呟（つぶや）く様子ようす。
蟹かには甲羅こうらに似にせて穴あなを掘ほる
蟹かには自分じぶんの甲羅こうらの大おおきさに合あわせて穴あなを掘ほるものだということから、人ひとは自分じぶんの力量りきりょうや身分みぶんに応おうじた言動げんどうをするものだということ。また、人ひとはそれ相応そうおうの願望がんぼうを持もつものだ。
蟹かにの爪つめがもがれたよう
爪つめはカニにとって武器ぶきであり、餌えさを採とる大切たいせつな手てだが、それをもがれたという状態じょうたいから、頼たよりを失うしない呆然ぼうぜん自失じしつの様ようをいう。
うろたえる蟹かに穴あなに入はいらず
穴あなもぐりの名人めいじんといわれるカニも、慌あわてふためくと、自分じぶんの穴あながどこにあるのかわからなくなる。という意いで、冷静れいせいに物事ものごとに対処たいしょしないと、適切てきせつな判断はんだんや行動こうどうが出来できず失敗しっぱいするという意い。→パニック
蟹かにの穴あな入いり
カニが慌あわてて穴あなに逃にげ込こむ様子ようすから、慌あわてふためく状態じょうたいをいう。
蟹かにの死しにばさみ
カニがいったん物ものを挟はさむと、爪つめがもげても放はなさないことから、欲深よくふかさや執念しゅうねんの深ふかさを例たとえていう。
後ご這はう蟹かにが餅もちを拾ひろう
いつも「鵜うの目め鷹たかの目め」でせかせかしていなくても、思おもわぬ幸運こううんに行いき当あたることもある。という意いで、人ひとの運うん、不運ふうんを例たとえる。
蟹かにの横這よこばい
単たんに横よこに移動いどうするという意味いみにも使つかうが、貴人きじんに顔かおを向むけたままで横よこに移動いどうする様子ようすをその様ように言いう場合ばあいもある。この言葉ことばが諺ことわざとして使つかわれる時ときは「人目ひとめには奇妙きみょうに見みえても、自分じぶんには適てきしたやり方かた」と「物事ものごとが奇妙きみょうに横よこにずれていくこと」という二に通とおりの意味いみがある。
登山とざんでは、断崖絶壁だんがいぜっぺきの中腹ちゅうふくにあって足あしを交互こうごに出だせないほど細ほそいルートをこのように呼よぶことがある（例れい:剱岳）

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h 内海うつみ冨士夫ふじお・西村にしむら三郎さぶろう・鈴木すずき克美かつみ『エコロン自然しぜんシリーズ 海岸かいがん動物どうぶつ』ISBN 4586321059 1971年ねん発行はっこう・1996年ねん改訂かいてい版ばん 保育ほいく社しゃ
  2. ^ a b c d e f g h 三宅みやけ貞さだ祥さち『原色げんしょく日本にっぽん大型おおがた甲殻こうかく類るい図鑑ずかん II』ISBN 4586300639 1983年ねん 保育ほいく社しゃ
  3. ^ a b 鹿児島かごしまの自然しぜんを記録きろくする会かい編へん『川かわの生いき物もの図鑑ずかん 鹿児島かごしまの水辺みずべから』（解説かいせつ : 鈴木すずき廣志ひろし）ISBN 493137669X 2002年ねん 南方みなかた新しん社しゃ
  4. ^ a b c 奥谷おくたに喬司たかし・楚すわえ山やま勇いさむ『新装しんそう版ばん山やま溪けいフィールドブックス3 海辺うみべの生いきもの』（解説かいせつ:武田たけだ正ただし倫りん） ISBN 4635060608 2006年ねん 山やまと溪谷社けいこくしゃ
  5. ^ “泳およぐカニ”. 姫路ひめじ市し. 2024年ねん4月がつ23日にち閲覧えつらん。
  6. ^ “干潟ひがたの生物せいぶつ：竹原たけはらステーション（水産すいさん実験じっけん所しょ）”. fishlab.hiroshima-u.ac.jp. 2024年ねん4月がつ23日にち閲覧えつらん。
  7. ^ 『マグロは時速じそく160キロで泳およぐ』 PHP文庫ぶんこ　中村なかむら幸さいわい昭あきら　PHP研究所けんきゅうじょ　38ページ
  8. ^ De Grave, Sammy; Pentcheff, N. Dean; Ahyong, Shane T.; et al. (2009), “A classification of living and fossil genera of decapod crustaceans” (PDF), Raffles Bulletin of Zoology Suppl. 21: 1–109, https://decapoda.nhm.org/pdfs/31051/31051.pdf 
  9. ^ “カニ缶かんの中なかの紙かみ包つつみなぜ？ - ののちゃんのＤＯ科学かがく”. asahi.com. 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ. 2019年ねん6月がつ5日にち閲覧えつらん。
  10. ^ アレルギー表示ひょうじの一部いちぶ改正かいせいの完全かんぜん施行しこうについて (PDF) - 消費しょうひ者しゃ庁ちょう、2010年ねん5月がつ17日にち[出典しゅってん無効むこう]
  11. ^ 昔むかしここは海うみだった　■ザビエル蟹かにと十字架じゅうじか■[出典しゅってん無効むこう]
    ザビエルの城しろースペイン・バスクの旅たび こんにちは！ハングルース/ウェブリブログ[要よう検証けんしょう – ノート]
  12. ^ “商業しょうぎょう捕鯨ほげいの再開さいかい停止ていしを＝英えい最大さいだい野党やとうが公約こうやく発表はっぴょう”. 時事通信じじつうしん (2019年ねん8月がつ30日にち). 2019年ねん8月がつ31日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 小林こばやし哲あきら「河川かせん環境かんきょうにおけるカニ類るいの分布ぶんぷ様式ようしきと生態せいたい」『応用おうよう生態せいたい工学こうがく』、応用おうよう生態せいたい工こう学会がっかい、113-130頁ぺーじ、2000年ねん7月がつ21日にち。doi:10.3825/ece.3.113。ISSN 1344-3755。https://doi.org/10.3825/ece.3.113。2021年ねん1月がつ16日にち閲覧えつらん。 

関連かんれん項目こうもく

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ウィキメディア・コモンズには、カニに関連かんれんするカテゴリがあります。
ウィキクォートに蟹かにに関かんする引用いんよう句集くしゅうがあります。
ウィキスピーシーズにカニに関かんする情報じょうほうがあります。

外部がいぶリンク

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