大相撲おおずもうダイジェスト

『大相撲おおずもうダイジェスト』（おおずもうダイジェスト）とは、テレビ朝日てれびあさひがNETテレビ（日本にっぽん教育きょういくテレビ）として開局かいきょくした1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）春場所はるばしょ（3月8日にち）から2003年ねん（平成へいせい15年ねん）秋場所あきばしょ（9月21日にち）まで放送ほうそうし、主おもに深夜しんやに放送ほうそうしていた大相撲おおずもう本場所ほんばしょの録画ろくが中継ちゅうけい番組ばんぐみである。尚なお、番組ばんぐみ開始かいし当初とうしょは「好こう取組とりくみ待まったなし」という番組ばんぐみ名めいで放送ほうそうされていた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい映画えいが部ぶが放送ほうそうマスコミ用ように撮影さつえいした映像えいぞうを使つかい、スタジオでアナウンサーと親方おやかたの解説かいせつを加くわえるというものだった。協会きょうかいの理事りじ1名めいが本ほん番組ばんぐみの担当たんとう理事りじとしてクレジットされていた。地方ちほう場所ばしょの時ときには開催かいさい地ちの系列けいれつ局きょく（毎日放送まいにちほうそう^{[注釈ちゅうしゃく 1]}→朝日放送あさひほうそう・名古屋テレビ放送なごやてれびほうそう・九州朝日放送きゅうしゅうあさひほうそう）が制作せいさく協力きょうりょくとして加くわわった。最初さいしょに「本日ほんじつは横綱よこづな大関おおぜきが敗やぶれる波乱はらんがありました」などの総括そうかつ的てきなアナウンスなどは一切いっさい行おこなわず、取とり組くみを順じゅんに伝つたえる形かたちだったため、仕事しごとなどで生放送なまほうそうを見みられない相撲すもうファンは、スポーツニュースなどを見みなければ本番ほんばん組ぐみを擬似ぎじ生放送なまほうそう的てきに楽たのしむことができた。

オープニングは、放送ほうそう開始かいし時じより相撲すもうのはね太鼓たいこが使用しようされていた。打うち出だし直後ちょくごに収録しゅうろくされたものを撮とって出だしにし、一発いっぱつ勝負しょうぶで「撮とり直なおし」は利きかなかった。1971年ねん三さん月がつ場所ばしょ限かぎりで一旦いったん休止きゅうしした後のち、1972年ねん九きゅう月がつ場所ばしょからカラー放送ほうそうで再開さいかい。再開さいかい後ごは平日へいじつのみ『23時じショー』に内包ないほうされていた時期じきがあった^[1]。

1985年ねんに「ニュースステーション」が始はじまると、平日へいじつはそれまで23:15-45だった放送ほうそう時間じかんが月つき-木きは23:15-45、金曜きんようは23:45-0:15となった。またニュースステーションの後のちの7分間ふんかんの番組ばんぐみが、大相撲おおずもう開催かいさい中ちゅうのみ当とう番組ばんぐみの後のちに放送ほうそうされたため、月つき-木きは系列けいれつ全局ぜんきょくで、後続こうぞくの23:52以降いこうの大半たいはんの番組ばんぐみの開始かいし時刻じこくの分ぶんの下した1桁けたが2か7となった。

1992年ねん（平成へいせい4年ねん）五ご月がつ場所ばしょから1997年ねん（平成へいせい9年ねん）三さん月がつ場所ばしょまで中日ちゅうにちと千秋楽せんしゅうらくは1時じ間あいだに拡大かくだいして放送ほうそうされた。桂かつら三枝みえ（現げん・6代目だいめ桂かつら文枝ふみえ）をメイン司会しかいに据すえ、通常つうじょうのダイジェストに加くわえ、ウィークリーハイライトを流ながしたり、千秋楽せんしゅうらくには優勝ゆうしょう力士りきしや活躍かつやくした力士りきしをスタジオに招まねいたりしていた。この頃ころは若貴わかたかブームの時期じきに当あたり、23時じ台だいという深夜しんやでの放送ほうそうにもかかわらず視聴しちょう率りつが20%を超こえたことが珍めずらしくないという異例いれいの高こう視聴しちょう率りつを叩たたき出だしていた。1993年ねん（平成へいせい5年ねん）9月がつには『水曜すいよう特とくバン!』枠わくにおいて3000回かい記念きねん番組ばんぐみが放送ほうそうされた。

2000年ねん（平成へいせい12年ねん）五ご月がつ場所ばしょから2002年ねん（平成へいせい14年ねん）三さん月がつ場所ばしょはさらに進行しんこう役やくを加くわえ、3人にん体制たいせいで放送ほうそうしていた。進行しんこう役やくは当初とうしょは女性じょせいアナウンサーが担当たんとうしていたが、2000年ねん9月がつに川北かわきた桃子ももこが降板こうばんし、2001年ねんからは女性じょせいアナウンサーの出演しゅつえんは無なくなり、男性だんせいアナウンサーとヨーコ・ゼッターランド（主おもに金かね・土曜日どようびを担当たんとう）が進行しんこう役やくを担当たんとうするようになった。

2000年ねん五月ごがつ場所ばしょ以降いこうは『ネオバラエティ』・『金曜きんようナイトドラマ』枠わく優先ゆうせんとなり同どう枠わくとの逆転ぎゃくてん及および30分ふんから20分ふんに縮小しゅくしょうされた影響えいきょうでさらに遅おそい午前ごぜん0時じ台だいの放送ほうそうとなった^{[注釈ちゅうしゃく 2]}。また、協会きょうかい退職たいしょく後ごのKONISHIKIも解説かいせつ陣じんに加くわわっていた。

2003年ねん九月場所くがつばしょ（9月21日にち）をもってテレビ朝日てれびあさひ系列けいれつにおいては番組ばんぐみ終了しゅうりょうとなったものの、生なま中継ちゅうけいの放送ほうそう時間じかんはほとんどの場合ばあい18:00までの夕刻ゆうこく時間じかん帯たいのため、2004年ねん（平成へいせい16年ねん）初場所はつばしょ（1月がつ）からはNHK総合そうごうテレビで『大相撲おおずもう・幕内まくうちの全ぜん取組とりくみ』として本場所ほんばしょごとに放送ほうそうされている。終了しゅうりょうにあたっては開局かいきょく当初とうしょからの大切たいせつな番組ばんぐみだが視聴しちょう者しゃ層そうの変化へんかについていけなくなったことを理由りゆうに挙あげていた（最高さいこうでも視聴しちょう率りつは23％は取とれていたが、末期まっきには6％と低迷ていめいしていたという）。

BS朝日あさひでも2001年ねん（平成へいせい13年ねん）一いち月がつ場所ばしょ以降いこう、2003年ねん（平成へいせい15年ねん）九きゅう月がつ場所ばしょまで放送ほうそうしていた。

また、2004年ねん五ご月がつ場所ばしょからはスポーツ・アイ ESPN（のちJ sports ESPN）でも『劇げき戦せん!大相撲おおずもう』として独自どくじのダイジェスト番組ばんぐみを放送ほうそうしていたが、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）三さん月がつ場所ばしょで放送ほうそうを終了しゅうりょうした。

平成へいせい30年ねん1月がつからはかつての製作せいさく局きょくであるテレビ朝日てれびあさひとサイバーエージェントが共同きょうどう出資しゅっしして設立せつりつしたインターネットテレビ局てれびきょく・AbemaTVが大相撲おおずもう中継ちゅうけいを開始かいししたことにより「AbemaTV大相撲おおずもうダイジェスト」として復活ふっかつしている。当初とうしょは30分ふん番組ばんぐみであったが同どう5月がつ場所ばしょからは15分ふんに短縮たんしゅく、さらに平成へいせい31年ねん3月がつ場所ばしょからは10分ふんに短縮たんしゅくされ、取組とりくみ映像えいぞうが紹介しょうかいされるのは「ベストバウト」上位じょうい5番ばんと「推おし力士りきし」・十じゅう両りょう以下いかの「注目ちゅうもくのWAKATE」の取組とりくみのみとなり、それ以外いがいは結果けっかのみとなった。

制作せいさくに関かんする逸話いつわ[編集へんしゅう]

この番組ばんぐみのルーツは戦後せんごしばらく、映画えいが館かんで封切ふうきり作品さくひんの合間あいまに本場所ほんばしょの取とり組くみをまとめて上映じょうえいしていたニュース映像えいぞうである。映像えいぞうで相撲すもうを見みられる唯一ゆいいつの場ばとして大人気だいにんきで、撮影さつえいや編集へんしゅうは日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい映画えいが部ぶ（株式会社かぶしきがいしゃ相撲すもう映画えいが）が一いち手てに引ひき受うけていた。ところが昭和しょうわ30年代ねんだいにテレビ放送ほうそうが始はじまると、NHKも民放みんぽうもこぞって相撲すもう中継ちゅうけいを始はじめた。そこで、危機きき感かんを持もった映画えいが部ぶがテレビ局てれびきょくに売うり込こみ、映画えいが部ぶの映像えいぞうを使つかったダイジェストが始はじまった^[1]。NETテレビも開局かいきょく後ごの1959年ねん三さん月がつ場所ばしょと五ご月がつ場所ばしょを中継ちゅうけいしたがこの二に場所ばしょで相撲すもう中継ちゅうけいから撤退てったいし、以後いごはダイジェストへシフトすることになった^[2]。

毎日まいにち、収録しゅうろくの時刻じこくが近ちかづくと、非番ひばんのアナウンサーが車くるまで親方おやかたを迎むかえに行いく。幕内まくうちの取組とりくみが終おわってから約やく3時じ間あいだが経過けいかしたころであり、本場所ほんばしょ中ちゅうで観客かんきゃくも多おおいため、付つき合あいで酒さけを飲のんでいる親方おやかたも珍めずらしくない。泥酔でいすいした親方おやかたが放送ほうそう中ちゅうに居眠いねむりしたり暴言ぼうげんを吐はいたりしたら番組ばんぐみの性質せいしつ上じょう放送ほうそう事故じこになりかねないため、その日ひの親方おやかたの酒量しゅりょうによっては関係かんけい者しゃが青あおざめることもあった^[1]。

編集へんしゅうも当時とうじは大変たいへんであり、フィルムを手作業てさぎょうで必要ひつようなところだけ切きり、つないでいくということをした。音声おんせいは別べつ録ろくりなので映像えいぞうに合あわせてあとから編集へんしゅうしなければならず、毎日まいにち、時間じかんとの戦たたかいであった^[1]。

喋しゃべりがうまかった親方おやかたは元もと鶴づるヶ嶺みねの井筒いづつであり、銅どう谷たに志朗しろうは「絶妙ぜつみょうのタイミングで、簡潔かんけつに、ユーモラスにまとめてくれ、いつもうならされました」と振ふり返かえっている。逆ぎゃくに喋しゃべりが苦手にがてだったのは北きたの湖うみや大だい鵬おおとりであり、前者ぜんしゃは収録しゅうろく中ちゅう、机つくえの端はしを握にぎり締しめており、後者こうしゃも同おなじように緊張きんちょうしていた^[1]。

主おもな実況じっきょうアナウンサー[編集へんしゅう]

テレビ朝日てれびあさひ
朝日放送あさひほうそう
- 太田おおた元治もとはる
- 松原まつばら宏樹ひろき
名古屋なごやテレビ（メ〜テレ）
九州朝日放送きゅうしゅうあさひほうそう
毎日放送まいにちほうそう（1975年ねん三さん月がつ場所ばしょまでの近畿きんき地区ちくネット局きょく）
- 小池こいけ清きよし^[2]

AbemaTV

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

^ 毎日放送まいにちほうそうが『23時じショー』を打うち切きって以降いこうは、単独たんどく番組ばんぐみだった土ど・日曜にちようも含ふくめてネットチェンジまでサンテレビ・近畿放送きんきほうそう・テレビ和歌山てれびわかやまで放送ほうそうされた。
^ この時期じきには近畿きんき広域こういき圏けんの朝日放送あさひほうそうのみ先行せんこう放送ほうそう、日曜にちようは『GET SPORTS』のニュース&スポーツと特集とくしゅう〔関東かんとうのみ〕の間あいだに放送ほうそう。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

^ ^a ^b ^c ^d ^e 大空おおぞら出版しゅっぱん『相撲すもうファン』vol.4 66頁ぺーじから67頁ぺーじ
^ ^a ^b 毎日放送まいにちほうそう40年ねん史し編纂へんさん室しつ（編集へんしゅう）『毎日放送まいにちほうそうの40年ねん』毎日放送まいにちほうそう、1991年ねん、112頁ぺーじ。