昇進しょうしん伝達でんたつ式しき

昇進しょうしん伝達でんたつ式しき（しょうしんでんたつしき）は、大相撲おおずもうの番付ばんづけ編成へんせい会議かいぎで新しん横綱よこづな、新しん大関おおぜきが誕生たんじょうした場合ばあいに、使者ししゃが当該とうがい力士りきしのもと（基本きほん的てきに相撲すもう部屋へや）へ赴おもむいてその旨むねを伝つたえる儀式ぎしき。

概要がいよう

場所ばしょ後ごの番付ばんづけ編成へんせい会議かいぎで翌よく場所ばしょの番付ばんづけ編成へんせいが行おこなわれ、その際さいに新しん横綱よこづな・新しん大関おおぜき・特例とくれいによらず復帰ふっきした大関おおぜきが誕生たんじょうした場合ばあい、決定けっていの当日とうじつに当該とうがい力士りきしのもとへ使者ししゃが派遣はけんされる（大関おおぜき陥落かんらく後ごの場所ばしょの好成績こうせいせきにより特例とくれいで大関おおぜきに復帰ふっきした力士りきしへは伝達でんたつ式しきが行おこなわれない）。使者ししゃは、理事りじと審判しんぱん委員いいん各かく1人ひとり。理事りじは一門いちもんを問とわない（最近さいきんは昇進しょうしん力士りきしが属ぞくする一門いちもんの理事りじが使者ししゃを務つとめることが多おおい）が、審判しんぱん委員いいんは必かならず当該とうがい昇進しょうしん力士りきしが属ぞくする一門いちもんの委員いいんが使者ししゃを務つとめる。対たいして相撲すもう部屋へやでは力士りきし本人ほんにんと親方おやかた、親方おやかたの妻つまの3人にんで使者ししゃを出迎でむかえる。式しきでは使者ししゃが昇進しょうしん決定けっていの口上こうじょうを言いい、現在げんざいでは力士りきしが「謹つつしんでお受うけいたします」と返答へんとうしその上うえで決意けつい表明ひょうめいのコメントを述のべる、という流ながれになっている。

今日きょう、伝達でんたつ式しきはほぼ形式けいしき的てきなものになっているが、新しん横綱よこづな、新しん大関おおぜきは新しん番付ばんづけの発表はっぴょうを待またずにこれを以もってそれぞれの地位ちいに基もとづいた待遇たいぐうを受うけることになる。類似るいじのものとして、新しん十じゅう両りょう力士りきしへの昇進しょうしん通知つうちがあるが、これは明あかり荷にや化粧廻けしょうまわしなどの準備じゅんびが必要ひつようになる新しん関取せきとりに配慮はいりょしてのもので、伝達でんたつ式しきのような行事ぎょうじは行おこなわず、また当該とうがい力士りきしの待遇たいぐうは正式せいしきな番付ばんづけ発表はっぴょうまで幕下まくした力士りきしのままとなる。

歴史れきし

明治めいじ36年ねん（1903年ねん）に常陸ひたち山谷さんや右みぎエ門もんが横綱よこづな免許めんきょを打診だしんされた際さい、「できれば二に代目だいめ梅うめヶ谷藤たにふじ太郎たろうと一緒いっしょにお願ねがいしたい」と答こたえたと言いわれており、これが現在げんざいのような伝達でんたつ式しきの端緒たんしょとされる。

大正たいしょう6年ねん（1917年ねん）1月がつ場所ばしょ後ご、大だい錦にしき卯う一郎いちろうが横綱よこづなに、栃とち木山きやま守也もりやが大関おおぜきに、と出羽海でわのうみ部屋へやの両りょう力士りきしが同時どうじ昇進しょうしんを果はたしたが、伝達でんたつ式しきは一緒いっしょに行おこなわれたのかどうか、資料しりょうが少すくなくはっきりしない。その後ご、同様どうようの例れいは一いち度どもなく（二人ふたりとも大関おおぜきの例れいでは、昭和しょうわ37年ねん5月場所ばしょの栃とちノ海うみ晃あきら嘉よしみ・栃とち光正みつまさ之これの同どう部屋へや同時どうじ昇進しょうしんの伝達でんたつ式しきが一緒いっしょに行おこなわれている）、平成へいせい5年ねん（1993年ねん）7月がつ場所ばしょで、ともに二子山ふたごやま部屋へやの力士りきしであった貴たかノ花はな光司こうじ（当時とうじ大関おおぜき・のち横綱よこづな貴乃花たかのはな）と若ノ花わかのはな勝かち（当時とうじ関脇せきわけ・のち横綱よこづな若乃花わかのはな）が、それぞれ横綱よこづな・大関おおぜきへの同時どうじ昇進しょうしんの可能かのう性せいがあった時ときには、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいも前例ぜんれいから学まなぶことができずに苦慮くりょしたといわれる。結果けっか的てきに、同どう場所ばしょでは若ノ花わかのはなの大関おおぜき昇進しょうしんだけ実現じつげんした。

昭和しょうわも戦後せんごしばらくまで、番付ばんづけ編成へんせい会議かいぎは千秋楽せんしゅうらくの当夜とうや、伝達でんたつ式しきは翌朝よくあさに行おこなわれていた。鏡かがみ里さと喜代治きよじや栃とち錦にしき清隆きよたか、或あるいは若ノ花わかのはな勝治かつじに、自分じぶんが昇進しょうしん出来できるとは思おもわず使者ししゃが到着とうちゃくしても部屋へやに不在ふざいであったため、部屋へや関係かんけい者しゃに慌あわてて呼よび戻もどされたという逸話いつわがある（現在げんざいでは、編成へんせい会議かいぎは千秋楽せんしゅうらくの3日にち後ごに開ひらかれることが多おおい）。

相撲すもう協会きょうかいによると伝達でんたつ式しきの口上こうじょうが現在げんざいのように「謹つつしんでお受うけ致いたします…」という形かたちが定着ていちゃくしたのは昭和しょうわ40年代ねんだいごろであり、初代しょだい・若乃花わかのはな（当時とうじ若ノ花わかのはな、1955年ねん10月がつ）は「ありがたくお受うけします」、大鵬たいほう（1960年ねん11月）は「喜よろこんでお受うけします。これからも頑張がんばります」だけであった。

通常つうじょう使者ししゃを迎むかえる側がわは、大関おおぜき・横綱よこづなへ昇進しょうしんする力士りきし本人ほんにんと、その師匠ししょう夫妻ふさいが伝達でんたつ式しきに出席しゅっせきする。例外れいがいとして、昭和しょうわ56年ねん（1981年ねん）1月がつ場所ばしょ後ごに大関おおぜき昇進しょうしんと及および同年どうねん7月がつ場所ばしょ後ごに横綱よこづな昇進しょうしんした千代ちよの富士ふじ貢みつぐの場合ばあい、当時とうじ師匠ししょうの九重ここのえ親方おやかた（元もと横綱よこづな北きたの富士ふじ勝昭かつあき）と昭和しょうわ52年ねん（1977年ねん）10月がつに死去しきょした先代せんだい九きゅう重じゅう親方おやかた（元もと横綱よこづな千代ちよの山やま雅信まさのぶ）の未亡人みぼうじんが同席どうせきしていた。これは北きたの富士ふじが「千代ちよの富士ふじを相撲すもう界かいに入門にゅうもんさせたのは亡なき先代せんだい九きゅう重じゅうの方ほうだから」という配慮はいりょからであった（なお千代ちよの富士ふじの大関おおぜき昇進しょうしん時じの九重ここのえ親方おやかたは当時とうじ独身どくしんであり、その後ご千せん代だいの富士ふじの弟弟子おとうとでしで、北きたの富士ふじが九重ここのえを継ついでからの入門にゅうもんである北勝海ほくとうみ信芳のぶよしの大関おおぜき及および横綱よこづな昇進しょうしん伝達でんたつ式しきの時ときは、九重ここのえ親方おやかた夫妻ふさいが揃そろって出席しゅっせきしている）。ちなみに北きたの富士ふじは、1966年ねん7月がつ場所ばしょ（名古屋なごや場所ばしょ）後ごの大関おおぜき昇進しょうしんの際さいには自身じしんも当時とうじ所属しょぞくの出羽海でわのうみ部屋へや関係かんけい者しゃも予想よそうだにしない出来事できごとであったために事前じぜんの準備じゅんびが出来できておらず、羽織はおり袴はかまを兄弟子あにでしだった横綱よこづな佐田さだの山やまから、足袋たびを近所きんじょに宿舎しゅくしゃがあった横綱よこづな柏戸かしわどから急いそぎ借かりて伝達でんたつ式しきに臨のぞんだが、間あいだの悪わるいことに立たち会あうべき師匠ししょうの8代だい出羽海でわのうみ夫妻ふさいも不在ふざいだったため、部屋へや頭あたまの佐田さだの山やまが師匠ししょう代理だいりを務つとめるという一幕ひとまくもあった。

平成へいせい2年ねん（1990年ねん）3月がつ場所ばしょ後ごに霧島きりしま一博かずひろが大関おおぜきに昇進しょうしんした際さいは、師匠ししょうの井筒いづつ親方おやかた（元もと関脇せきわけ鶴つるヶ嶺みね昭男あきお）の夫人ふじんが1979年ねんに死去しきょしており、再婚さいこんもしていなかったため、師匠ししょうと弟子でしの2人ふたりだけで使者ししゃを迎むかえた。令れい和わ5年ねん（2023年ねん）7月がつ場所ばしょ後ごに大関おおぜき昇進しょうしんの豊昇ほうしょう龍りゅう智勝ともかつも師弟していだけで使者ししゃを迎むかえているが、事情じじょうは不明ふめい。

また、平成へいせい17年ねん（2005年ねん）11月場所ばしょ後ごに琴きん欧州おうしゅう勝紀かつのり（のち琴きん欧おう洲しゅう）が大関おおぜきに昇進しょうしんした際さいは、琴きん欧州おうしゅうを入門にゅうもんから指導しどうして11月場所ばしょ中ちゅうに停年ていねん退職たいしょくした師匠ししょうの12代だい佐渡さどヶ嶽だけ（元もと横綱よこづな琴きん櫻さくら傑すぐる將しょう）の出席しゅっせきも特例とくれいとして認みとめられ、直前ちょくぜんに部屋へやを継承けいしょうした13代だい佐渡さどヶ嶽だけ（元もと関脇せきわけ琴きんノ若わか晴はれ將すすむ）夫妻ふさいと共ともに昇進しょうしん伝達でんたつ式しきに立たち会あった。それから2年ねん後ご、平成へいせい19年ねん（2007年ねん）7月がつ場所ばしょ後ごの琴きん光喜みつよし啓司けいじの大関おおぜき昇進しょうしん時じも、12代だい佐渡さどヶ嶽だけは体調たいちょう不安ふあんから後うしろの方ほうで椅子いすに座すわりながら伝達でんたつ式しきを眺ながめていた（その大関おおぜき昇進しょうしんからわずか3週間しゅうかん後ご、12代だい佐渡さどヶ嶽だけは66歳さいで死去しきょ）。

さらに、令れい和わ2年ねん（2020年ねん）9月がつ場所ばしょ後ごに正代しょうだい直也なおやが大関おおぜきに昇進しょうしんした時とき、師匠ししょうの時津風ときつかぜ親方おやかた（元もと幕内まくうち時津とぎつ海かい正博まさひろ）が体調たいちょうを崩くずして緊急きんきゅう手術しゅじゅつを受うけることとなり、部屋へや付つきの枝川えだがわ親方おやかた（元もと幕内まくうち蒼あおい樹いつき山さん秀樹ひでき）が代理だいり出席しゅっせきした。

一般いっぱん的てきに伝達でんたつ式しきは所属しょぞくする部屋へやまたは地方ちほう場所ばしょの宿舎しゅくしゃで行おこなわれる。ただし平成へいせい29年ねん（2017年ねん）1月がつ場所ばしょ後ごの稀まれ勢ぜいの里さと寛ひろしが横綱よこづなに昇進しょうしんした際さいには、東京とうきょう都と江戸川えどがわ区くに所在しょざいする田子たつこノ浦うら部屋へやが狭せまく、優勝ゆうしょう後ごには報道陣ほうどうじんが殺到さっとうして入はいりきらないという事態じたいが発生はっせいし、また「新しん横綱よこづなの門出かどでを盛大せいだいに祝いわいたい」という部屋へや側がわの配慮はいりょから、伝達でんたつ式しきは田子たつこノ浦うら部屋へやから千代田ちよだ区くの帝国ていこくホテルに場所ばしょを変かえて行おこなわれた。

昇進しょうしん伝達でんたつ式しき終了しゅうりょう後ご、部屋へやの玄関げんかん前まえなどで新しん横綱よこづな・新しん大関おおぜきが部屋へやの力士りきし（基本きほんは幕下まくした以下いかだが、旭あさひ富士ふじ正也まさやの横綱よこづな昇進しょうしん時じや照あきらノ富士ふじ春雄はるおの大関おおぜき再さい昇進しょうしん時じ・横綱よこづな昇進しょうしん時じ、把わ瑠都凱斗は全員ぜんいん関取せきとり衆しゅ。豊昇ほうしょう龍りゅうは騎馬きば後列こうれつの2人ふたりが関取せきとり。稀まれ勢ぜいの里さとの横綱よこづな昇進しょうしん時じや小しょう錦にしき八はち十じゅう吉きち、朝あさ乃山英樹ひできは騎馬きば中央ちゅうおうの1人ひとりだけ関取せきとり）による騎馬きばに乗のって（体格たいかくなどの都合つごうで、新しん横綱よこづな・新しん大関おおぜきは台だいに乗のって、騎馬きばは組くんでいる振ふりという場合ばあいもある）両りょう腕うでを掲かかげるのが恒例こうれいとなっている。

一人ひとりの関取せきとりが伝達でんたつ式しきを複数ふくすう経験けいけんする例れいとして、大関おおぜき昇進しょうしん時じと横綱よこづな昇進しょうしん時じにそれぞれ1回かいの計けい2回かいが多おおい。しかし大関おおぜき陥落かんらく後ごに関脇せきわけ10勝しょう特例とくれい復帰ふっきではない再さい大関おおぜき昇進しょうしんを達成たっせいした場合ばあいは大関おおぜき昇進しょうしん時じの伝達でんたつ式しきを複ふく数すう回かい経験けいけんする場合ばあいもあり得える。その例れいとして、魁さきがけ傑すぐる將はた晃あきらは新しん大関おおぜき昇進しょうしん時じ（1975年ねん1月がつ場所ばしょ後ご）と大関おおぜき再さい昇進しょうしん時じ（1977年ねん1月がつ場所ばしょ後ご）の計けい2回かい伝達でんたつ式しきを経験けいけん。そして照あきらノ富士ふじは新しん大関おおぜき昇進しょうしん時じ（2015年ねん5月場所ばしょ後ご）・大関おおぜき再さい昇進しょうしん時じ（2021年ねん3月がつ場所ばしょ後ご）・横綱よこづな昇進しょうしん時じ（2021年ねん7月がつ場所ばしょ後ご）の計けい3回かい伝達でんたつ式しきを経験けいけんした史上しじょう初はつの関取せきとりとなった。

四よん字じ熟語じゅくご

若貴わかたかブームの最中さいちゅう、若乃花わかのはな勝かち・貴乃花たかのはな光司こうじら旧きゅう二子山ふたごやま部屋へや所属しょぞく力士りきしが大関おおぜき及および横綱よこづなへの昇進しょうしんが決きまった力士りきしの伝達でんたつ式しきでの口上こうじょうにおいて「四よん字じ熟語じゅくご」を使用しようしていたことから、以降いこう伝達でんたつ式しきで四よん字じ熟語じゅくごを用もちいるケース、もしくは伝達でんたつ式しきで四よん字じ熟語じゅくごを用もちいるか否ひかが話題わだいになるケースが目立めだっている。

それ以前いぜんも四よん字じ熟語じゅくごであることを意識いしきさせないシンプルな「一生懸命いっしょうけんめい」を多おおくの力士りきしが用もちい、初代しょだい貴たかノ花はなに始はじまり、北きたの湖うみ、若わか三さん杉すぎ、千代ちよの富士ふじ、朝あさ潮しお、先代せんだい霧島きりしま、朝あさ青あお龍りゅうらが用もちいていた。

貴乃花たかのはな光司こうじは平成へいせい5年ねん1月がつ場所ばしょ後ごの大関おおぜき昇進しょうしんで「『不撓ふとう不屈ふくつ』の精神せいしんで相撲すもう道どうに精進しょうじんいたします」、平成へいせい6年ねん（1994年ねん）11月場所ばしょ後ごの横綱よこづな昇進しょうしんでは「今後こんごも『不撓ふとう不屈ふくつ』の精神せいしんで、力士りきしとして相撲すもう道どうに『不惜身命ふしゃくしんみょう』を貫つらぬく所存しょぞんでございます」と口上こうじょう。また貴乃花たかのはなの兄あにである若乃花わかのはな勝しょうは、平成へいせい5年ねん7月がつ場所ばしょ後ごの大関おおぜき昇進しょうしんでは「『一意いちい専心せんしん』の気持きもちを忘わすれず相撲すもう道どうに精進しょうじんします」、平成へいせい10年ねん（1998年ねん）5月がつ場所ばしょ後ごの横綱よこづな昇進しょうしんでは「『堅忍不抜けんにんふばつ』の精神せいしんで精進しょうじんしていきます」と、それぞれ若貴わかたか兄弟きょうだいはほぼ定型ていけいなものになっていた伝達でんたつ式しきでの口上こうじょうに新しん境地きょうちを与あたえた。さらに若貴わかたか兄弟きょうだいと同おなじ二子山ふたごやま部屋へやの貴ノ浪たかのなみ貞博さだひろも、大関おおぜき昇進しょうしんの伝達でんたつ式しきでは『勇往ゆうおう邁進まいしん』という四よん字じ熟語じゅくごを使用しようしていた。

この3人にんの発言はつげんから、後のちに「四よん文字もじ熟語じゅくごを口上こうじょうする」という誤解ごかいまで生うまれることとなった。無論むろんこれは義務ぎむではなく、伝達でんたつ式しきで使つかわない力士りきしもいる。北きたの富士ふじ勝昭かつあきは2021年ねん7月がつ場所ばしょ後ごの照あきらノ富士ふじの横綱よこづな昇進しょうしん伝達でんたつ式しきが行おこなわれた際さいに、「慣例かんれいの口上こうじょうは『不動ふどう心しんを心掛こころがけ、横綱よこづなの品格ひんかく、力量りきりょうの向上こうじょうに努つとめます』。誠まことにシンプルで私わたしは好すきだ。いっときはやった四よん字じ熟語じゅくごだけは使つかってくれるなと思おもっていたのでうれしい」と四よん字じ熟語じゅくご否定ひてい派はの立場たちばを示しめした。一方いっぽう、令れい和わ2年ねん（2020年ねん）9月がつ場所ばしょ後ごに、時津風ときつかぜ部屋へやの正代しょうだい直也なおやが『至誠しせい一貫いっかん』を口上こうじょうで用もちいて、再ふたたび四よん字じ熟語じゅくごの口上こうじょうが注目ちゅうもくされている。

なお、大関おおぜき復帰ふっきにより二に度目どめの昇進しょうしん伝達でんたつ式しきを経験けいけんした魁さきがけ傑すぐると照あきらノ富士ふじはともに「謹つつしんでお受うけいたします」とだけ述のべている。魁さきがけ傑すぐるは「（大関おおぜきから陥落かんらくして）一いち度ど大関おおぜきの名なを汚よごしてしまったので何なにと言いえばいいのか」と悩なやんだ挙あげ句く、「謹つつしんでお受うけします」とだけ答こたえたという。照あきらノ富士ふじは1度目どめの大関おおぜき昇進しょうしん伝達でんたつ式しきと同おなじことを目指めざしていることから「謹つつしんでお受うけします」とだけ答こたえたという 。

使用しようされた四よん字じ熟語じゅくごは以下いかの通とおり。

年月としつき	名前なまえ	番付ばんづけ	四よん字じ熟語じゅくご
1993年ねん1月がつ	貴たかノ花はな	大関おおぜき	不撓ふとう不屈ふくつ
1993年ねん7月がつ	若ノ花わかのはな	大関おおぜき	一意いちい専心せんしん
1994年ねん1月がつ	貴ノ浪たかのなみ	大関おおぜき	勇往ゆうおう邁進まいしん
1994年ねん11月	貴乃花たかのはな	横綱よこづな	不惜身命ふしゃくしんみょう
1998年ねん5月がつ	若乃花わかのはな	横綱よこづな	堅忍不抜けんにんふばつ
2000年ねん3月がつ	武双山むそうやま	大関おおぜき	正々堂々せいせいどうどう
2003年ねん1月がつ	朝あさ青あお龍りゅう	横綱よこづな	一生懸命いっしょうけんめい
2006年ねん3月がつ	白はく鵬ほう	大関おおぜき	全身全霊ぜんしんぜんれい
2007年ねん5月がつ	白はく鵬ほう	横綱よこづな	精神せいしん一いち到いた
2007年ねん7月がつ	琴きん光喜みつよし	大関おおぜき	力戦りきせん奮闘ふんとう
2008年ねん11月	日馬くさま富士ふじ	大関おおぜき	全身全霊ぜんしんぜんれい
2011年ねん9月がつ	琴きん奨すすむ菊きく	大関おおぜき	万まん理り一いち空そら
2012年ねん9月がつ	日馬くさま富士ふじ	横綱よこづな	全身全霊ぜんしんぜんれい
2014年ねん3月がつ	鶴つる竜りゅう	横綱よこづな	一生懸命いっしょうけんめい
2020年ねん9月がつ	正代しょうだい	大関おおぜき	至誠しせい一貫いっかん
2023年ねん7月がつ	豊昇ほうしょう龍りゅう	大関おおぜき	気魄きはく一閃いっせん

その他た

平成へいせい18年ねん（2006年ねん）3月がつ場所ばしょ後ごの大関おおぜき昇進しょうしん伝達でんたつ式しきと、及および平成へいせい19年ねん（2007年ねん）5月がつ場所ばしょ後ごの横綱よこづな昇進しょうしん伝達でんたつ式しきでの白はく鵬ほう翔しょうの場合ばあい、当時とうじの師匠ししょうだった宮城野みやぎの親方おやかた（元もと十じゅう両りょう金きむ親和しんな行ぎょう）夫妻ふさいが同席どうせきしていた。だが白はく鵬ほうが大相撲おおずもう入門にゅうもん時じから育そだての親おやであった、当時とうじ部屋へや付つきの熊くまヶ谷だに親方おやかた（元もと前頭まえがしら竹たけ葉山はやま真しん邦くに）の伝達でんたつ式しき出席しゅっせきは共ともに認みとめられず、別席べっせきから眺ながめる形式けいしきとなった。これについて当時とうじの北きたの湖うみ敏さとし満みつる理事りじ長ちょうは、白はく鵬ほうの横綱よこづな昇進しょうしん時じに横綱よこづな審議しんぎ委員いいんの内館うちだて牧子まきこから「白はく鵬ほうの師匠ししょうは誰だれですか?」の質問しつもんに「熊くまヶ谷たにです。今いま迄までそうしてきたし、今後こんごも熊くまヶ谷だにが指導しどうすべき」と返答へんとうしていた（なお平成へいせい22年ねん（2010年ねん）11月場所ばしょ後ご、熊くまヶ谷たにと宮城野みやぎのとの名跡みょうせき交換こうかんが行おこなわれたため、以後いごは宮城野みやぎの親方おやかた（元もと竹たけ葉山はやま）が横綱よこづな白しろ鵬おおとりの正式せいしきな師匠ししょうとなっている）。

平成へいせい20年ねん（2008年ねん）11月場所ばしょ後ごの日馬くさま富士ふじ公平こうへいの大関おおぜき昇進しょうしん伝達でんたつ式しきでは、日馬くさま富士ふじの師匠ししょうである伊勢いせヶ濱はま親方おやかた（元もと横綱よこづな旭あさひ富士ふじ正也まさや）に関かんして、使者ししゃの一人ひとりである大島おおしま理事りじ（元もと大関おおぜき旭あさひ國こく斗と雄ゆう）が、かつて伊勢いせヶ浜はまの師匠ししょう（日馬くさま富士ふじからは大だい師匠ししょう）であり、さらにもう一人ひとりの使者ししゃの春日山かすがやま審判しんぱん委員いいん（元もと前頭まえがしら春日かすが富士ふじ晃あきら大だい）が、伊勢いせヶ浜はまとは一時いちじ的てきに師弟してい関係かんけいだったということでも話題わだいとなった。