大島おおしま雅太郎まさたろう

大島おおしま 雅太郎まさたろう（おおしま まさたろう、1868年ねん1月がつ25日にち（慶応けいおう4年ねん/明治めいじ元年がんねん1月がつ1日にち） - 1948年ねん（昭和しょうわ23年ねん）6月9日にち）は、戦前せんぜんの三井みつい合名ごうめい会社かいしゃ理事りじ、蒐書家か、慶應義塾けいおうぎじゅく評議ひょうぎ員いん、日本にっぽん書誌しょし学会がっかい同人どうじん。

源氏物語げんじものがたりの写本しゃほんの収集しゅうしゅう家かで知しられるが、鎌倉かまくら時代ときよからの古こ写本しゃほんの収集しゅうしゅうに努つとめ、その膨大ぼうだいなコレクションは青あお谿書屋や（せいけいしょおく）と称しょうした。戦後せんごの財閥ざいばつ解体かいたいで公職こうしょく追放ついほうとなり、旧きゅう蔵書ぞうしょは散逸さんいつした。雅号がごうは景けい雅みやび。角田つのだ文衛ふみえは大島おおしまの人ひととなりを、「恭謙きょうけん温良おんりょう」と評ひょうした。

経歴けいれき

大島おおしまの父ちちで塚本つかもと長ちょう民みんの弟おとうとでもある大島おおしま景けい保ほは旧きゅう日向ひなた国こく延岡のべおか藩はん藩士はんしで、北条ほうじょう流りゅう兵学へいがく指南しなん役やくであり、西南せいなん戦争せんそうでは西郷さいごう隆盛たかもり率ひきいる西郷さいごう軍ぐんに呼応こおうする党とう薩諸隊たいの一ひとつの延岡のべおか隊たいの小しょう隊長たいちょうとなる。雅太郎まさたろうは長男ちょうなんとして日向ひなた国こくに生うまれる。

はじめ、私塾しじゅく・亮あきら天てん社しゃに入はいり、藩主はんしゅの内藤ないとう政まさし挙きょに学まなぶ。のちに教員きょういんとなり、松本まつもと純じゅん次郎じろう、加藤かとう好太郎こうたろう、佐々木ささき良太郎りょうたろうと共ともに上京じょうきょうし、明治めいじ23年ねん（1890年ねん）慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく部ぶ理財りざい科かを卒業そつぎょう後ご、三井みつい銀行ぎんこうに入行にゅうこう。三井みつい同族どうぞく会かい事務じむ局きょくを経へて、三井みつい合名ごうめい会社かいしゃに移うつる。後のちに、台湾たいわん拓殖たくしょく製茶せいちゃ会社かいしゃ取締役とりしまりやく、芝浦製作所しばうらせいさくしょ監査かんさ役やく、三井生命保険みついせいめいほけん等ひとしの三井みつい財閥ざいばつ系けい企業きぎょうの要職ようしょくを歴任れきにん。三井みつい合名ごうめい理事りじ会かい・團だん琢磨たくま理事りじ長ちょうの下もとで、阪井さかい徳太郎とくたろうと共ともに理事りじに就任しゅうにん。

歌道かどうを嗜たしなみ、佐佐木ささき信綱のぶつなに師事しじして和歌わかを修おさめ、池田いけだ亀鑑きかんと親交しんこうを持もつようになる。池田いけだの源氏物語げんじものがたり研究けんきゅうには、大島おおしまの購入こうにゅうした古こ写本しゃほんが大おおいに与あずかっていた。その一方いっぽう、日本にっぽん書誌しょし学会がっかいの同人どうじんとなり、長沢ながさわ規矩きく也、川瀬かわせ一馬かずまとも学がく縁えんを結むすび、有数ゆうすうの古書こしょ収集しゅうしゅう家かとなった。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの財閥ざいばつ解体かいたいによりその膨大ぼうだいな蔵書ぞうしょは市場いちばに出でて散ちり散ぢりになり、未いまだに大だい部分ぶぶんの蔵書ぞうしょが行方ゆくえ不明ふめいとなっている。しかし、2000年ねん以後いごから徐々じょじょに慶應義塾けいおうぎじゅく図書館としょかんなどに写本しゃほんや古こ活字かつじ版ばんが集あつまり始はじめている。他た、日本にっぽん各地かくちの各かく大学だいがく、図書館としょかんに大島おおしまのコレクション本ほんが所蔵しょぞうされている。

青あお谿書屋や

黒くろ印しるしは「探さがせ花はな文庫ぶんこ」である。

青あお谿書屋やに含ふくまれていたもののうち、幾いくつかを挙あげる:

• 源氏物語げんじものがたりの写本しゃほん:
  • 大島本おおじまほん - 単たんに「大島本おおじまほん」と言いうと、青あお表紙ひょうし系統けいとうで、善本ぜんぽんとして知しられる、特定とくていの写本しゃほんを指さす
  • 日大にちだい鎌倉かまくら諸しょ本ほん集成しゅうせい本ほん源氏物語げんじものがたり
  • 大島おおしま河内かわうち本ほん源氏物語げんじものがたり
  • 為ため定本ていほん源氏物語げんじものがたり系図けいず
  • 中京大学ちゅうきょうだいがく本ほん源氏物語げんじものがたり
  • 源氏げんじ系図けいず小しょう鏡きょう - 大島おおしま旧きゅう蔵ぞうのものは「源氏物語げんじものがたり中ちゅうの人々ひとびと」の題だい
  • 耕こう雲くも本ほん
• 『大島本おおじまほん古こ系図けいず』 - 源氏物語げんじものがたりの系図けいず。藤原為家ふじわらのためいえ筆ふで、現在げんざいの所在しょざいは不明ふめい。巣す守もりの記述きじゅつを含ふくむ。
• 土佐とさ日記にっき

参考さんこう文献ぶんけん

• 『国文学こくぶんがく解釋かいしゃくと鑑賞かんしょう,第だい 65 巻かん』
• 角田つのだ文衛ふみえ『紫式部むらさきしきぶ伝でん　その生涯しょうがいと「源氏物語げんじものがたり」』　法藏館ほうぞうかん、2007年ねん
• 上原うえはら作さく和わ『光源氏ひかるげんじ物語ものがたり傳來でんらい史し』武蔵野むさしの書院しょいん、2011年ねん

関連かんれん項目こうもく

• 大島本おおじまほん - 一般いっぱんの「大島本おおじまほん」と呼よばれる写本しゃほんについても記述きじゅつ