梁りょう習

梁りょう習
魏たかし 大だい司つかさ農みのり・申さる門もん亭ちん侯こう
出生しゅっしょう	生年せいねん不ふ詳しょう 豫よ州しゅう陳ひね郡ぐん柘県
死去しきょ	太ふとし和わ4年ねん（230年ねん）
拼音	Liáng Xí
字じ	子こ虞おそれ
主君しゅくん	曹操そうそう→文ぶん帝みかど→明あかり帝みかど

梁りょう 習（りょう しゅう、? - 230年ねん）は、後こう漢かん末すえから三さん国こく時代じだいにかけての武将ぶしょう・政治せいじ家か。字じは子こ虞おそれ。梁はり施ほどこせの父ちち。豫よ州しゅう陳ひね郡ぐん柘県の人ひと。

『三国志さんごくし』魏たかし志こころざし「劉りゅう司馬しば梁りょう張ちょう温あつし賈伝」に伝つてがある。裴松之のによると、『魏ぎ略りゃく』では徐じょ福ぶく・厳いむ幹みき・李り義よし・張ちょう既すんで・游ゆう楚すわえ・裴潜・趙ちょう儼げん・韓かん宣せん・黄き朗ろうと同おなじ巻まきに収録しゅうろくされていたという（『三国志さんごくし』魏ぎ志こころざし「裴潜伝でん」注ちゅう）。

生涯しょうがい

郡ぐんの綱紀こうきであったが、曹操そうそうが司つかさ空そらになると召めし出だされて漳県長ちょうとなった。乗じょう氏し・海うみ西にし・下しも邳の県令けんれいを累るい転ころがし、所在しょざいで治ち名めいがあった。

海うみ西にし県令けんれいであった時とき、海うみ西にし・淮浦の住民じゅうみんが反乱はんらんを起おこしたので、都と尉じょうの衛まもる弥わたると共ともに広陵こうりょう郡ぐんの綱紀こうきであった徐じょ宣せんを救出きゅうしゅつした（『三国志さんごくし』魏ぎ志こころざし「徐じょ宣伝せんでん」）。

中央ちゅうおうに戻もどって西にし曹令史しとなり、やがて西にし曹属に昇進しょうしんした。同僚どうりょうの王思おうしが曹操そうそうの不興ふきょうを買かうと、不在ふざいだった王思おうしの身代みがわりとなって出頭しゅっとうした。王思おうしは駆かけ付つけて罪つみを自白じはくし、死刑しけいを受うけようとした。曹操そうそうは両者りょうしゃを義士ぎしであると感嘆かんたんした。

曹操そうそうは高こう幹みきに勝利しょうりして并州を支配しはい下かに置おくと、梁りょう習を別べつ部ぶ司馬しばとして并州刺史ししを代行だいこうさせた。この時ときの并州は、高こう幹みきの影響えいきょうで南みなみ匈奴きょうどが跳梁ちょうりょう跋扈ばっこし、官吏かんり民衆みんしゅうはその部落ぶらくへ亡命ぼうめいし、更さらに武装ぶそう豪族ごうぞくが割拠かっきょして争あらそいを繰くり返かえしている有様ありさまだった。梁はり習は有力ゆうりょく者しゃ達たちを厚あつく招聘しょうへいし、幕府ばくふに推挙すいきょすることで排除はいじょした。成人せいじん男子だんしを義勇ぎゆう兵へいとして徴用ちょうようして曹操そうそう軍ぐんに組くみ入いれ、その家族かぞくを鄴へ移住いじゅうさせ、その数かずは数すう万まん口くちとなった。命令めいれいに従したがわない者ものは武力ぶりょくで討伐とうばつし、4桁けたの首級しゅきゅうと5桁けたの捕虜ほりょを得えた。単たん于は恭順きょうじゅんし、名めい王おうは平伏ひれふし、部ぶ曲きょくは戸籍こせきに編入へんにゅうされている者ものと同様どうように職務しょくむへ就ついた。

こうして辺境へんきょうは粛清しゅくせいされ、百姓ひゃくしょうは野のに満みちて農業のうぎょうに勤務きんむし、禁令きんれいは行おこなわれた。梁はり習が推挙すいきょした常つね林はやし・楊俊・王おう淩・王おう象ぞう・荀緯は、みな出世しゅっせした（『三国志さんごくし』魏ぎ志こころざし「常つね林はやし伝つたえ」）。曹操そうそうは梁はり習を評価ひょうかして関内かんない侯こうの爵位しゃくいを授さづけ、改あらためて真しんの刺史ししとした。長老ちょうろうたちは、自分じぶんたちの聞きき知しる刺史ししの中なかで梁はり習に及およぶ者ものはいないと称賛しょうさんした。

213年ねん、并州と冀州が合併がっぺいすることになると、梁りょう習は議ぎ郎ろう・西部せいぶ都みやこ督ただし従事じゅうじとなり、元もとの部ぶ曲きょくを統括とうかつした。上うえ党とうへ使つかいし、鄴の宮殿きゅうでんへ大おおきな木材もくざいを徴発ちょうはつした。屯田とんでん都と尉じょうを2人にん置おいて人夫にんぷ600人にんを率ひきいさせ、道路どうろ沿ぞいに豆まめと粟あわを植うえて人畜じんちくの費用ひように充あてるようにと上表じょうひょうした。

并州で略奪りゃくだつを繰くり返かえし恐おそれられていた鮮卑の育そだて延のべを斬首ざんしゅし、残党ざんとうを震ふるえ上あがらせた。217年ねんに烏がらす桓の魯昔が謀叛ぼうほんを起おこすと、鮮卑を使つかってこれを討うち取とった（『魏ぎ略りゃく』）。

単たん于が入朝にゅうちょうし、西北せいほくに憂慮ゆうりょが無なくなったのは、梁りょう習の功績こうせきとされた。

曹丕（文ぶん帝みかど）が即位そくいして并州が再ふたたび設置せっちされると、梁りょう習が再ふたたび刺史ししとなり、申さる門もん亭ちん侯こうに進すすむ封ふうされ百ひゃく戸この所領しょりょうを得えた。梁はり習の政治せいじは、常つねに天下てんかで最もっとも優すぐれているとされた。

225年ねん、鮮卑の軻比能のうを討伐とうばつし、大勝たいしょうした（『三国志さんごくし』魏ぎ志こころざし「文ぶん帝みかど紀き」）

228年ねん、曹叡（明あきら帝みかど）に召めされて大だい司つかさ農みのりとなった。梁はり習は20年ねん余あまりも刺史ししを務つとめたにもかかわらず、私腹しふくを肥こやさず貧まずしい暮くらしをしていたので、明あきら帝みかどは梁はり習を厚遇こうぐうした上うえで賜たまわり物ものを与あたえ、功績こうせきを労ねぎらった。

230年ねんに亡なくなり、子この梁はり施ほどこせが後こうを継ついだ。

小説しょうせつ『三国志さんごくし演義えんぎ』には登場とうじょうしない。

参考さんこう資料しりょう

• 『三国志さんごくし』