杉下すぎした茂しげる

杉下すぎした 茂しげる

現役げんえき時代じだい（1955年ねん）
基本きほん情報じょうほう
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん地ち	東京とうきょう府ふ東京とうきょう市し神田かんだ区く （現げん：東京とうきょう都と千代田ちよだ区く）
生年月日せいねんがっぴ	(1925-09-17) 1925年ねん9月17日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(2023-06-12) 2023年ねん6月12日にち（97歳さい没ぼつ）
身長しんちょう 体重たいじゅう	182 cm 71 kg
選手せんしゅ情報じょうほう
投球とうきゅう・打席だせき	右みぎ投とう右みぎ打だ
ポジション	投手とうしゅ
プロ入いり	1949年ねん
初はつ出場しゅつじょう	1949年ねん4月がつ3日にち
最終さいしゅう出場しゅつじょう	1961年ねん10月がつ1日にち
経歴けいれき（括弧かっこ内ないはプロチーム在籍ざいせき年度ねんど）
選手せんしゅ歴れき
旧制きゅうせい帝京ていきょう商業しょうぎょう学校がっこう いすゞ自動車ずじどうしゃ 明治大学めいじだいがく旧制きゅうせい専せん門部かとべ 中日ちゅうにちドラゴンズ 名古屋なごやドラゴンズ 中日ちゅうにちドラゴンズ (1949 - 1960) 毎日まいにち大映だいえいオリオンズ (1961)
監督かんとく・コーチ歴れき
中日ちゅうにちドラゴンズ (1959 - 1960) 毎日まいにち大映だいえいオリオンズ (1962) 阪神はんしんタイガース (1964 - 1966) 中日ちゅうにちドラゴンズ (1968) 読売よみうりジャイアンツ (1976 - 1980) 西武せいぶライオンズ (1993 - 1994)
野球やきゅう殿堂でんどう（日本にっぽん） 殿堂でんどう表彰ひょうしょう者しゃ
選出せんしゅつ年ねん	1985年ねん
選出せんしゅつ方法ほうほう	競技きょうぎ者しゃ表彰ひょうしょう
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杉下すぎした 茂しげる（すぎした しげる、1925年ねん9月17日にち - 2023年ねん6月12日にち）は、東京とうきょう府ふ東京とうきょう市し神田かんだ区く（現げん：東京とうきょう都と千代田ちよだ区く）出身しゅっしんのプロ野球やきゅう選手せんしゅ（投手とうしゅ）・コーチ・監督かんとく、解説かいせつ者しゃ。

概要がいよう

日本にっぽんプロ野球やきゅう史上しじょう初はつの本格ほんかく的てきなフォークボールの使つかい手て（フォークボーラー）とされ、当時とうじは珍めずらしさがあったものの驚異きょうい的てきな変化へんかの切きれ味あじと落差らくさを誇ほこるフォークボールを自在じざいに操あやつって球界きゅうかいに絶大ぜつだいな影響えいきょうを与あたえたことから「フォークボールの神様かみさま」と呼よばれている。

1954年ねんに32勝しょうを挙あげるなど中日ちゅうにちドラゴンズのエースとして活躍かつやくし、沢村さわむら栄治えいじ賞しょうを史上しじょう初はじめて3度ど受賞じゅしょうしているほか、史上しじょう4人にん目め・セ・リーグ史上しじょう初はつとなる投手とうしゅ五ご冠かん王おうに輝かがやいている。その実力じつりょくは、「ミスタージャイアンツ」長嶋ながしま茂雄しげおからも「生涯しょうがいでナンバーワンと思おもえた人間にんげんの一人ひとり」と称しょうされた。歴代れきだい屈指くっしの名めい投手とうしゅコーチとも言いわれている。

経歴けいれき

プロ入いり前まえ

杉下すぎした家かの本家ほんけは「岐阜ぎふの小しょう京都きょうと」として知しられる郡上ぐじょう八幡やはただが、実家じっかは大おおきな中華ちゅうか料理りょうり屋やで、茂しげるは父親ちちおやが50歳さいほどの時ときに生うまれた。茂しげるにとって父親ちちおやは身体しんたいを壊こわして寝込ねこんでいる印象いんしょうしかないが、野球やきゅう好すきで、寝床ねどこにいながら東京とうきょう六ろく大学だいがく野球やきゅうの試合しあいをラジオで聞ききつつスコアブックを付つけていた。また母ははは野球やきゅう好すきではなかったが、日曜日にちようびには弁当べんとうを持もって神宮球場じんぐうきゅうじょうへ連つれて行いったという。茂しげるが2 - 3歳さいの頃ころに一家いっかは父親ちちおやの職場しょくばがある中央ちゅうおう区く新川しんかわへ転居てんきょしたが、その際さいにグローブとミットを買かってもらい、明正めいせい小学校しょうがっこう低てい学年がくねんの頃ころに3歳さい上じょうの兄あにとキャッチボールを始はじめた。当初とうしょは兄あにが投手とうしゅ、茂しげるが捕手ほしゅでプレーしていたが、茂しげるは「本当ほんとうは投手とうしゅが良よかったが弟おとうとだから仕方しかたない」として諦あきらめていたという。4年生ねんせいの2月がつに父親ちちおやが病没びょうぼつすると神田かんだ区く（現げん：千代田ちよだ区く）神田かんだへ転居てんきょし、錦にしき華はな小学校しょうがっこうへ転校てんこうした。錦にしき華はな小学校しょうがっこうは神田かんだ区くでは区く大会たいかいで負まけなしの強豪きょうごうで、4 - 5歳さい年上としうえの仲間なかまに混まざってプレーしていたところを野球やきゅう部ぶへ勧誘かんゆうされた。初はつの試合しあいのみ捕手ほしゅを務つとめ、2試合しあい目めから投手とうしゅとしてプレーする。

旧制きゅうせい帝京ていきょう商業しょうぎょう学校がっこうでは野球やきゅう部ぶに所属しょぞくし、監督かんとくだった天知あまち俊一しゅんいちの元もとで4番ばん・一塁いちるい手しゅとしてプレーした。長身ちょうしんを生いかして投手とうしゅとして登板とうばんすることもあったが当時とうじは弱じゃく肩かたで、守備しゅび時じの送球そうきゅうは下手へた投なげに近ちかい横手よこて投なげだった。1944年ねん3月がつに卒業そつぎょう後ご12月がつ25日にちに入隊にゅうたいし、野球やきゅう経験けいけん者しゃという理由りゆうだけで中隊ちゅうたい対抗たいこうの手榴弾しゅりゅうだん投なげ競争きょうそうの代表だいひょう選手せんしゅに選えらばれた。そのために弱じゃく肩かたをい出いだせず、投球とうきゅうフォームを上手じょうず投なげに矯正きょうせいして必死ひっしに遠とお投とうを練習れんしゅうした結果けっか、肩かたが強つよくなって優勝ゆうしょうした。1945年ねんには中国ちゅうごくに出征しゅっせいし、同年どうねん3月がつ21日にちに海軍かいぐんに所属しょぞくしていた兄あに・安あん佑たすくが特攻隊とっこうたいとして沖縄おきなわ方面ほうめんへ出撃しゅつげきして戦死せんしし、少佐しょうさに二に階かい級きゅう特進とくしんとなった。終戦しゅうせん後ごは杉下すぎした自身じしんも捕虜ほりょ収容しゅうよう所しょに入いれられ市中しちゅう引ひきずり回まわしまでさせられたが、井戸水いどみずの上澄うわずみだけを飲のむようにしたことが功こうを奏そうし生いき延のび1946年ねん1月がつに帰国きこくした。

復員ふくいん後ごは社会しゃかい人じん野球やきゅうのいすゞ自動車ずじどうしゃへ入社にゅうしゃし、当時とうじ監督かんとくだった苅田かりた久徳ひさのりによって本格ほんかく的てきに投手とうしゅとして起用きようされる。同どう時期じきに存在そんざいしたプロ野球やきゅう「大和やまと軍ぐん」が消滅しょうめつしたため、苅田かりた自身じしんや高橋たかはし吉雄よしおらが加入かにゅうして「いすゞ自動車ずじどうしゃ硬式こうしき野球やきゅう部ぶ」として本格ほんかく的てきに活動かつどうを開始かいしした。初はつの対外たいがい試合しあいは日本にほんコロムビア戦せんで、苅田かりたから投手とうしゅで起用きようされるといきなりノーヒットノーランを達成たっせいした。その際さいの球審きゅうしんは奇くしくも天知あまちで、病気びょうき療養りょうようの弱じゃく肩かた投手とうしゅから強肩きょうけん速球そっきゅう派は投手とうしゅに進化しんかしていた杉下すぎしたに驚愕きょうがくしていた。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんで中断ちゅうだんしていた東京とうきょう六ろく大学だいがく野球やきゅうリーグが1946年ねん春はるに再開さいかいされると、杉下すぎしたは野球やきゅうを続つづけるために都市とし対抗たいこう野球やきゅう終了しゅうりょう後ごにいすゞ自動車ずじどうしゃを退社たいしゃし、明治大学めいじだいがく旧制きゅうせい専門せんもん部ぶへ入学にゅうがくした。監督かんとくの苅田かりたが法政大学ほうせいだいがく出身しゅっしんだったために、杉下すぎしたへ「都市とし対抗たいこうが終おわったら法政ほうせいに入いれ」と言いっていたが断ことわり、杉下すぎしたの入学にゅうがくに関かんしても天知あまちは一切いっさい関与かんよしていないという。監督かんとくだった八はち十川そがわ胖ゆたかの指導しどうで練習れんしゅうを行おこなうがその練習れんしゅうはいい加減かげんなもので、午前ごぜん中ちゅうに300球きゅう近ちかくを投なげ込こんだ後のちに打撃だげき練習れんしゅうへ2時じ間あいだ登板とうばん、投なげ方かたも横よこや下したなど定さだまらない投球とうきゅうで、一いち日にち1000球きゅうも投なげ込こんだという。また、八はち十じゅう川がわから杉下すぎしたが天知あまちの教おしえ子ごと聞きくや、杉下すぎしたが一塁いちるい手しゅをやっていたらしいというだけで一塁いちるいでノックを受うけさせたほどである。

大学だいがく卒業そつぎょう直前ちょくぜんの1948年ねん正月しょうがつ、岡山おかやま県立けんりつ琴浦ことうら商業しょうぎょう学校がっこうに投手とうしゅとして在籍ざいせきしていた東谷ひがしたに夏樹なつきにナックルボールを教おしえていた杉下すぎしたを見みかけた天知あまちから、「『フォークボール』というものがある」と教おしえられる。しかし、試合しあいで初はじめて投とうじた1球きゅう目めが当あたり損そこねないの安打あんだになったことで縁起えんぎの悪わるさを嫌きらい、すぐに封印ふういんしてしまった。封印ふういん後ごも八はち十じゅう川がわから吐はくほどにまで投球とうきゅう練習れんしゅうをさせられてついに肩かたを壊こわしたが、杉下すぎしたは「残念ざんねんだったのは在学ざいがく中ちゅうに一いち度どもリーグ戦せんで優勝ゆうしょうできなかったこと」と述のべている。

プロ入いり後ご

米べいキャンプ参加さんかから五ご冠かん王おう

明治大学めいじだいがく旧制きゅうせい専せん門部かとべでの3年間ねんかんを終おえ、そのまま学部がくぶ（3年間ねんかん）へ進学しんがくするかプロ入いりするかで迷まよった杉下すぎしたは結局けっきょく、1949年ねんに中日ちゅうにちドラゴンズへ入団にゅうだんした。父親ちちおやの病没びょうぼつ後ごに駄菓子だがし店てんを営いとなんでいた母親ははおやからは「お金かねは何なんとかなるから学部がくぶへ進すすめ。野球やきゅうを職業しょくぎょうにしてはいけない」と猛もう反対はんたいされ、明治大学めいじだいがく監督かんとくの宮坂みやさか達雄たつおからは財界ざいかいからスポンサーを探さがしたが、他人たにんの世話せわになって大学だいがくを卒業そつぎょうすることに抵抗ていこうを感かんじていたという。杉下すぎしたの中日ちゅうにち入団にゅうだんに関かんしては天知あまちと、駿台すんだい倶楽部くらぶ会長かいちょうだった小西こにし得とく郎ろうの世話せわがあったという。また、入団にゅうだん直前ちょくぜんには当時とうじの人気にんきコメディアンで亡なくなったばかりの高勢たかせ実み乗じょうの2代目だいめとしてスカウトされたが、その理由りゆうは「（杉下すぎしたの）風貌ふうぼうがよく似にていた」というだけだったという。契約けいやく金きん50万まん円えん・年俸ねんぽう36万まん円えんでの入団にゅうだんで、当時とうじはラーメンが1杯はい50円えんの時代じだいだったが、「10年ねんやればサラリーマンの生涯しょうがい賃金ちんぎんより多おおくなるはず」と言いわれたという。

プロ初はつ登板とうばんとなった1949年ねん4月がつ3日にちの対たい南海なんかいホークス2回戦かいせん（中日ちゅうにち球場きゅうじょう）で初はつ勝利しょうりを挙あげると、対たい東映とうえいフライヤーズ戦せんでは封印ふういんしていたフォークボールを用もちいて大下おおした弘ひろしから3打席だせき連続れんぞく三振さんしんを奪うばった。同年どうねんは右肩みぎかたを痛いためるも8勝しょうを挙あげ、1950年ねんからは1955年ねんまで6年ねん連続れんぞく20勝しょうを含ふくむ、9年ねん連続れんぞく2桁けた勝利しょうりを記録きろくした。

1950年ねんの春季しゅんきキャンプでは右肩みぎかたの痛いたみから球たま拾ひろい専門せんもんとなったが、5月がつ頃ごろから痛いたみが消きえ、再発さいはつ防止ぼうしのために名古屋なごやでの試合しあい後ごは超ちょう短波たんぱ治療ちりょうを受うけ続つづけ、55試合しあい登板とうばんで27勝しょう（15敗はい）、防御ぼうぎょ率りつ3.20の好成績こうせいせきを残のこした。またこの年としの4月がつ21日にちには佐賀さが県けん鹿島かしま市しに在ざいする祐ゆう徳とく稲荷いなり神社じんじゃがかつて運営うんえいしていた祐ゆう徳とく国際こくさいグラウンドでの対たい西日本にしにほんパイレーツ第だい5回戦かいせんの6回かい表ひょうにプロ入いり初はつ本塁打ほんるいだとなる満塁まんるい本塁打ほんるいだを野本のもと喜一郎きいちろう（後のちに埼玉さいたま県立けんりつ上尾あげお高等こうとう学校がっこう、東洋大学とうようだいがくなどで監督かんとくを務つとめた）から放はなっているが、これはセントラル・リーグ初はつの“投手とうしゅが打うった満塁まんるい本塁打ほんるいだ”1号ごうであり、前身ぜんしん時代じだいを含ふくめた中日ちゅうにち球団きゅうだん史上しじょう初はつとなる“プロ入いり初はつ本塁打ほんるいだが満塁まんるい本塁打ほんるいだ”という快かい記録きろくでもあった。

1951年ねん2月がつ下旬げじゅんにはサンフランシスコ・シールズ監督かんとくのフランク・オドールからキャンプに招待しょうたいされて渡米とべいする。杉下すぎした自身じしんは後年こうねん、「どうして選えらばれたのか分わからないが、投手とうしゅはオレ一人ひとり。その代かわり野手やしゅは川上かわかみさん、藤村ふじむらさん、小鶴こづるさんと当時とうじの強打者きょうだしゃばかり。球団きゅうだん代表だいひょうが『杉下すぎしたは（キャンプ参加さんかのために）半年はんとし間あいだ帰国きこく出来できないかもしれん』と話はなすと、（天知あまち）監督かんとくは困こまった顔かおをしていたそうだ」「川上かわかみさんは将来しょうらいの日本にっぽん球界きゅうかいを背負せおって立たてるよう、『監督かんとくやコーチをよく見みておくように』と指示しじが出でていたらしい」と述のべている。その甲斐かいあって同年どうねんは28勝しょう（13敗はい）で初はつの最多さいた勝しょう、防御ぼうぎょ率りつ2.35で沢村さわむら賞しょうを初はつ受賞じゅしょうした。

1952年ねんも32勝しょうを挙あげる活躍かつやくで2年ねん連続れんぞくの沢村さわむら賞しょうを受賞じゅしょうしている。

杉下すぎしたにとってプロ野球やきゅう生活せいかつ最高さいこうの年としとなった1954年ねんは、32勝しょう・防御ぼうぎょ率りつ1.39・273奪だつ三振さんしんを記録きろくして中日ちゅうにちドラゴンズの初はつ優勝ゆうしょうを飾かざるだけでなく、自身じしんも最多さいた勝しょう、最優秀さいゆうしゅう防御ぼうぎょ率りつ、最多さいた奪だつ三振さんしん、最高さいこう勝率しょうりつ、最多さいた完封かんぷうを挙あげ、日本にっぽんプロ野球やきゅう史上しじょう4人にん目め、2リーグ分立ぶんりつ後ご初はつとなる投手とうしゅ五ご冠かん王おうに輝かがやいた。それ以外いがいにもMVPとベストナイン、沢村さわむら賞しょうに関かんしては史上しじょう初はつの3度目どめの受賞じゅしょうとなった。優勝ゆうしょうを争あらそった読売よみうりジャイアンツからはチームで14勝しょう（12敗はい）を挙あげたが、杉下すぎしたひとりで11勝しょうを挙あげた。同年どうねんの日本にっぽんシリーズ（対たい西鉄にしてつライオンズ戦せん）においても7試合しあい中ちゅう5試合しあいに登板とうばんし、4試合しあいで完投かんとう、最終さいしゅう戦せんでは後述こうじゅつするように普段ふだんは1試合しあいに数すう球きゅうしか投なげなかったフォークを多用たようし、3勝しょう1敗はいで球団きゅうだん史上しじょう初はつとなる日本一にっぽんいちに貢献こうけんしてシリーズMVPに輝かがやいた。

金田かねだとの投なげ合あい

杉下すぎしたと金田かねだ正一しょういち（国鉄こくてつスワローズ）の投なげ合あいは1950年代ねんだいのプロ野球やきゅうを代表だいひょうする名めい勝負しょうぶとして現在げんざいでも語かたり草ぐさとなっている。

1954年ねんの中日ちゅうにちドラゴンズは読売よみうりジャイアンツと優勝ゆうしょうを争あらそっていたが、国鉄こくてつとの試合しあいに敗やぶれれば優勝ゆうしょうを逃のがす成績せいせきとなっていた。監督かんとくの天知あまち俊一しゅんいちは杉下すぎしたに対たいし、国鉄こくてつのエース・金田かねだが登板とうばんする試合しあいは必かならず登板とうばんするよう指示しじしており、杉下すぎしたもそのように調整ちょうせいを行おこなっていた。結局けっきょく、杉下すぎしたは金田かねだと投なげ合あって全勝ぜんしょうを収おさめ、金田かねだは対たい中日ちゅうにちドラゴンズ戦せんで1勝しょう7敗はいと大おおきく負まけ越こす結果けっかとなった。杉下すぎしたは「3年ねん目めの石川いしかわが21勝しょうを挙あげて、（自身じしんとの）2本ほん柱ばしらが出来できたことが大おおきかった。僕ぼくが投なげるのは主おもに巨人きょじん戦せんと金田かねだが先発せんぱつする国鉄こくてつ戦せん。金田かねだからは点てんが取とりにくいから相手あいて打線だせんを抑おさえるしかない。それ以外いがいは石川いしかわの担当たんとうだ」と述のべている。

1955年ねん5月がつ10日とおかの試合しあい（川崎球場かわさききゅうじょう）でも金田かねだと投なげ合あい、1-0の僅差きんさスコアでノーヒットノーランを達成たっせいした。この試合しあいで杉下すぎしたが許ゆるした走者そうしゃは四球しきゅうのみの準じゅん完全かんぜん試合しあいだったが、その四球しきゅうは奇くしくも金田かねだに与あたえたものだった。試合しあい後ご、球審きゅうしんを務つとめた円城寺えんじょうじ満まんから杉下すぎしたへ「すまんかったのぉ。あの（四球しきゅうとなった金田かねだへの）高たかめの球たまはストライクと言いってもよかった」と声こえをかけられたが、杉下すぎしたは後年こうねん、「ストライクゾーンが広ひろい現代げんだいなら文句もんく無なしのストライク。高低こうていは球っきゅう1個こ分ぶん以上いじょう、左右さゆうも半分はんぶんは違ちがう」と述のべている。また、1957年ねん8月がつ21日にちの試合しあい（中日ちゅうにち球場きゅうじょう）では0-1で敗戦はいせん投手とうしゅとなったが、その試合しあいで金田かねだは完全かんぜん試合しあいを達成たっせいしている。

選手せんしゅ兼任けんにん監督かんとく就任しゅうにん

1957年ねん10月23日にちの対たい読売よみうりジャイアンツ戦たたかえ（後楽園こうらくえん球場きゅうじょう）ではプロ入いりから僅わずか8年ねん目めで通算つうさん200勝しょうを達成たっせい、敗戦はいせん投手とうしゅは後のちにプロレスラーへ転向てんこうする馬場ばば正平しょうへいだった。

プロ10年ねん目めが終おわった1958年ねんに球団きゅうだん事務所じむしょを訪問ほうもんすると、球団きゅうだんから「思おもい切きったことを考かんがえているから、後日ごじつまた来くるように」と言いわれる。3日にち後ご、杉下すぎしたが再度さいど訪問ほうもんすると「西沢にしざわ（当時とうじ37歳さい）と服部はっとり（当時とうじ38歳さい）には辞やめてもらう。30歳さい以上いじょうの選手せんしゅは不要ふよう」と伝つたえられた。杉下すぎした自身じしんも翌年よくねんには34歳さいになるものの、杉下すぎしたには残留ざんりゅうが要請ようせいされた。しかし、その要請ようせいも投手とうしゅとしての登板とうばんを考慮こうりょされないものであり、別べつの日ひに訪問ほうもんすると監督かんとく就任しゅうにんを要請ようせいされた。杉下すぎしたは前年ぜんねんにも11勝しょうを挙あげているために本人ほんにんは寝耳ねみみに水みずだったが、監督かんとく就任しゅうにんを受諾じゅだくする条件じょうけんとして服部はっとりと西沢にしざわの背番号せばんごう（10・15）を永久えいきゅう欠番けつばんとし、引退いんたい試合しあいを行おこなうことを要請ようせいした。この条件じょうけんは了承りょうしょうされ、杉下すぎしたは自身じしんの背番号せばんごう20も欠番けつばんにするかと問とわれても、「まだチームにいます」として拒否きょひした。中日ちゅうにちドラゴンズ時代じだいに挙あげた通算つうさん211勝しょうは、2012年ねんに山本やまもと昌あきらに抜ぬかれるまで球団きゅうだん記録きろくだった。

1959年ねんから1960年ねんまで中日ちゅうにちドラゴンズの選手せんしゅ兼任けんにん監督かんとくに就任しゅうにんしたが、監督かんとく業ぎょうに専念せんねんしたために公式こうしき戦せんの出場しゅつじょうは一切いっさい無なかった。監督かんとく1年ねん目めは伊奈いな努つとむ（当時とうじ24歳さい）、児玉こだま泰やすし・大矢根おおやね博臣ひろおみ（共ともに当時とうじ25歳さい）ら若手わかて投手とうしゅが揃そろい、野手やしゅも捕手ほしゅで入団にゅうだんした新人しんじんの江藤えとう慎一しんいちを一塁いちるいで起用きよう、入団にゅうだん2年ねん目めの前田まえだ益えき穂ほを三塁さんるいや遊ゆう撃げきに抜擢ばってきした。一気いっきに若返わかがえったチームは、64勝しょう61敗はい5分ふんで阪神はんしんと同率どうりつ2位いになったが、監督かんとく2年ねん目めの1960年ねんは投手とうしゅ陣じんが崩くずれ、63勝しょう67敗はいの5位いに終おわった。

1961年ねんには毎日まいにち大映だいえいオリオンズへ投手とうしゅコーチとして訪問ほうもんしたが、永田ながた雅一まさいちからの一言ひとことで現役げんえき復帰ふっきを果はたし、同年どうねん限かぎりで引退いんたいした。この年としは僅わずか4勝しょうしか挙あげられなかったため、生涯しょうがいシーズン平均へいきん20勝しょうを越こえることが出来できなかった。

現役げんえき引退いんたい後ご

1962年ねんには大毎だいまいの一軍いちぐん投手とうしゅコーチに就任しゅうにんし、菅原すがわら紀元きげん・若生わこう智男ともお・坂井さかい勝二しょうじとタイプが異ことなる10勝しょう投手とうしゅを3人にん輩出はいしゅつすると、最終さいしゅう戦せん終了しゅうりょう後ごに即座そくざに辞表じひょうを提出ていしゅつした。後日ごじつ、天知あまちに呼よび出だされて東京とうきょう・新橋しんばしの料亭りょうていへ行いくと、阪神はんしんタイガース監督かんとくの藤本ふじもと定義さだよしがおり、天知あまちからの「藤本ふじもとさんの野球やきゅうを勉強べんきょうしてこい」の一言ひとことで阪神はんしんタイガースの一軍いちぐん投手とうしゅ兼けんヘッドコーチに就任しゅうにんした。就任しゅうにん後ご、フロントからは「新聞しんぶん記者きしゃを大切たいせつにして下ください」と言いわれ驚おどろいたが、これは中日ちゅうにちでは親会社おやがいしゃが新聞しんぶん社しゃのため、記者きしゃのことを一切いっさい気きにしていなかったからとされていた。エース・村山むらやま実みのると両輪りょうりんだった小山こやま正明まさあきが1963年ねんのいわゆる「世紀せいきのトレード」で移籍いせき後ご、解雇かいこ寸前すんぜんだったジーン・バッキーを春季しゅんきキャンプ中ちゅうに身体しんたいの使つかい方かたから投球とうきゅう方法ほうほうまで徹底的てっていてきに指導しどうして29勝しょう・防御ぼうぎょ率りつ1.89の二に冠かんを獲得かくとくさせ、チームもリーグ優勝ゆうしょうさせた。シーズン終了しゅうりょう後ごには野球やきゅう評論ひょうろん家かとして、速球そっきゅう派は左腕さわんであるものの変化球へんかきゅうに難なんがあり評価ひょうかが二分にぶんしていた江夏えなつ豊ゆたか（大阪学院大学おおさかがくいんだいがく高等こうとう学校がっこう）を調査ちょうさして獲得かくとくを薦すすめたが、藤本ふじもとから「江夏えなつは記者きしゃとの話はなし方かたを知しらないから教おしえてやれ。お前まえが取とれと言いったんだからな。責任せきにんがある」と言いわれてしまった。

1966年ねんには阪神はんしんタイガースの監督かんとくに就任しゅうにん、藤本ふじもとは総そう監督かんとくとなったが、この年としは投手とうしゅ陣じんの不振ふしんで読売よみうりジャイアンツとは15ゲーム差さの4位いに低迷ていめいしていた。ある日ひの試合しあいで、杉下すぎしたは審判しんぱんから「権藤ごんどう正利まさとしがフォームに難なんがあり、マウンドで非常ひじょうに（ボークと）紛まぎらわしい動作どうさをするので、きちんと静止せいしさせるように。静止せいししないなら完全かんぜんにボークです」と指摘してきされた。その後ご、8月がつ10日とおかの対たい読売よみうりジャイアンツ戦せんにて審判しんぱんから「権藤ごんどうと話はなして下ください。相手あいて球団きゅうだんからも抗議こうぎが来きている」と言いわれたため、権藤ごんどうに「今日きょうだけは（紛まぎらわしい動作どうさを）止とめてくれ」と伝つたえた。5回かい裏うら2死し満塁まんるいで三塁さんるい側がわの巨人きょじんコーチである牧野まきの茂しげるが三さん走はしの黒江くろえ透とおる修おさむに本ほん盗とうのサインを出だし、黒江くろえは本塁ほんるいでアウトとなったものの牧野ぼくやが「ボークだ」と猛もう抗議こうぎし、判定はんていが覆おおった。権藤ごんどうの癖くせを知しり尽つくした策略さくりゃくだったが、結局けっきょくその1点てんで負まけたこともあり、怒いかり心頭しんとうの選手せんしゅとは裏腹うらはらに審判しんぱんの説明せつめいを少すこし聞きいただけであっさり引ひき上あげ、選手せんしゅに何なんの説明せつめいもしない杉下すぎしたについて、捕手ほしゅ・辻つじ佳けい紀きが試合しあい後ごに「かつての名めい投手とうしゅか何なんだか知しらんが、ボーク問題もんだいは微妙びみょうなんだ。自分じぶんひとりが説明せつめいを聞きいて納得なっとくしても我々われわれの気持きもちは収おさまらんよ。責任せきにん者しゃは喧嘩けんかするつもりでやってもらわんと。それが何なにだい?ああやって簡単かんたんに引ひき下さがっちゃって。ファイトファイトと言いって一番いちばんファイトが無ないのは誰だれだい」と吠ほえた。杉下すぎした自身じしんも、「オーナー（野田のだ誠まこと三さん）も烈火れっかのごとく怒おこってしまった。『あんな生温なまぬるい抗議こうぎするヤツにユニフォームを着きさせてはいけない』と。そう言いわれても仕方しかたない。試合しあい前まえに（審判しんぱんから）『ボークを取とります』と言いわれたんだから…」と述のべている。また後年こうねん、「この年としは新人しんじんで藤田ふじた平たいらが入団にゅうだんし、藤田ふじたを試合しあいで使つかうようオーナーから指令しれいがあったものの、当時とうじの正せい遊撃手ゆうげきしゅは吉田よしだ義男よしお。峠とうげは越こしていたかもしれないが、あれだけの吉田よしだを使つかわずに高卒こうそつ新人しんじんを使つかえというのは無茶むちゃな話はなしだ。この時ときは吉田よしだを二塁にるいに回まわして対応たいおうしたが、随分ずいぶん頭あたまを悩なやませた」と語かたっている。結局けっきょく、杉下すぎしたは同年どうねん8月がつ13日にちに遠征えんせい先さきの広島ひろしまで休養きゅうようを命めいじられ、藤本ふじもとが再ふたたび指揮しきを執とることになった。球団きゅうだんからは「杉下すぎしたが気疲きづかれから休養きゅうようの申もうし出でがあり、それを受うけた」とマスコミ各社かくしゃに連絡れんらくがあった。

1968年ねんには古巣ふるす・中日ちゅうにちの監督かんとくに復帰ふっきするが、前年ぜんねんまで3年ねん連続れんぞく2位いだったことから新聞しんぶんには「このままの布陣ふじんではBクラス」と連載れんさいされた。春季しゅんきキャンプ直前ちょくぜんになって監督かんとくの西沢にしざわ道夫みちおが健康けんこう上じょうの理由りゆうで辞任じにんし、杉下すぎしたに球団きゅうだんから「何なにとかしろ」と就任しゅうにん要請ようせいが来きたが、4月がつ20日はつかから9連勝れんしょうで首位しゅいに立たつも最下位さいかいに低迷ていめい、シーズン終了しゅうりょうを待またず8月がつに解任かいにんされた。

解任かいにん翌年よくねんの1969年ねんから1975年ねんまで、東京とうきょう放送ほうそう（TBS）・中部日本放送ちゅうぶにっぽんほうそうの野球やきゅう解説かいせつ者しゃや東京とうきょう中日ちゅうにちスポーツの野球やきゅう評論ひょうろん家かとして活動かつどう。1974年ねんには、ロッテオリオンズの投手とうしゅコーチだった植村うえむら義信よしのぶからの依頼いらいで村田むらた兆ちょう治ちにフォークボールの投なげ方かたを教おしえた。村田むらたは自己流じこりゅうのアレンジを加くわえて投なげ方かたを習得しゅうとくしたが、この年としの日本にっぽんシリーズで中日ちゅうにちと対戦たいせんした際さいに、フォークボールで三振さんしんの山やまを築きずいた。その結果けっか、杉下すぎしたは中日ちゅうにち球団きゅうだんの関係かんけい者しゃから激はげしく怒おこられたという。

1975年ねんシーズン終了しゅうりょう後ご、セ・リーグ会長かいちょうの鈴木すずき龍二りゅうじから「（最下位さいかいに終おわった）巨人きょじんをどう思おもう?お前まえが何なにとかしてやれ」と言いわれ、読売よみうりジャイアンツの一軍いちぐん投手とうしゅコーチに就任しゅうにんした。前年ぜんねんに長嶋ながしま茂雄しげおが引退いんたいして監督かんとくに就任しゅうにんしたが、いわゆるV9戦士せんしに衰おとろえが目立めだち、球団きゅうだん史上しじょう初はつの最下位さいかいに終おわっていた。1976年ねんは太平洋たいへいようクラブライオンズから加藤かとう初はじめが移籍いせきして15勝しょう、小林こばやし繁しげるが前年ぜんねんの5勝しょうから18勝しょう、新しん浦うら寿夫としおも11勝しょうを挙あげてリーグ優勝ゆうしょうを果はたし、野手やしゅはベテランが多おおかったが投手とうしゅが頑張がんばれば若手わかてへスイッチできることを表あらわした。1977年ねんに連覇れんぱを果はたしてからは1978年ねんから2位い、5位いと低迷ていめいし、1979年ねん秋あきの「地獄じごくの伊東いとうキャンプ」で若手わかてと中堅ちゅうけんを徹底的てっていてきに鍛きたえ上あげた。杉下すぎしたは1980年ねんを最後さいごの年としと決きめており、シーズン中ちゅうは高橋たかはし善正よしまさをコーチとして育成いくせいするためにベンチとブルペンを交代こうたいで担当たんとうしていた。結局けっきょく、チームは優勝ゆうしょうを逃のがしたものの最終さいしゅう戦せんに勝利しょうりして長嶋ながしまの留任りゅうにん条件じょうけんであるAクラス（3位い）を確保かくほし、翌朝よくあさには長嶋ながしまとコーヒーを飲のみながら「伊東いとうの成果せいかが出でましたね。江川えがわを筆頭ひっとうに投手とうしゅ陣じんは盤石ばんじゃく。来年らいねんは優勝ゆうしょうできます」と話はなしていたが長嶋ながしまは解任かいにん、杉下すぎしたもコーチを退任たいにんした。

1978年ねんには往年おうねんのライバル、金田かねだが中心ちゅうしんとなって「名球会めいきゅうかい」が設立せつりつされた。昭和しょうわ生うまれで野手やしゅは通算つうさん2000本ほん以上いじょうの安打あんだ、投手とうしゅは通算つうさん200勝しょう以上いじょうを日本にっぽんプロ野球やきゅうの公式こうしき戦せんで挙あげた選手せんしゅ、元もと選手せんしゅが入会にゅうかい条件じょうけんとされた。杉下すぎしたは中日ちゅうにちで通算つうさん200勝しょうを達成たっせいしていたが、大正たいしょう生うまれのために入会にゅうかいの対象たいしょう外がいとなった。名球会めいきゅうかいが発足ほっそくした当時とうじの存命ぞんめい者しゃでは別所べっしょ毅彦たけひこ、野口のぐち二郎じろう、藤本ふじもと英雄ひでお（通算つうさん200勝しょう以上いじょう）、川上かわかみ哲治てつじ（通算つうさん2000本ほん安打あんだ以上いじょう）も同様どうようの理由りゆうで対象たいしょう外がいとなっている。

1981年ねんにTBSの野球やきゅう解説かいせつ者しゃへ復帰ふっきしたが、1993年ねんから西武せいぶライオンズの一軍いちぐん投手とうしゅコーチを務つとめた。杉下すぎしたは、当時とうじの西武せいぶに清原きよはら和博かずひろ・秋山あきやま幸二こうじ、投手とうしゅも工藤くどう公こう康やすしなどが揃そろった黄金おうごん時代じだいだったことから「寝ねていても勝かてるような布陣ふじん」と述のべている。同時どうじに、「選手せんしゅを、というより森もり（投手とうしゅコーチ）を一いち人前にんまえにするのが仕事しごとだった。郭かく・渡辺わたなべ・工藤くどう・潮崎しおざき・鹿取かとりらが主力しゅりょくだからコーチなんか要いらない。色いろんな球団きゅうだんに行いったけど一番いちばん楽らくだった」と述のべている。

1985年ねんに野球やきゅう殿堂でんどう入いりを果はたし、プロ野球やきゅうマスターズリーグ「名古屋なごや80D'sers」の監督かんとくを2006年ねんから2年間ねんかん務つとめたほか、2007年ねんからは中日ちゅうにちスポーツ紙上しじょうに自伝じでん風ふうコラム「伝つたえる」を掲載けいさいしていた。

1996年ねん以降いこうは中日ちゅうにちドラゴンズの春季しゅんき沖縄おきなわキャンプに毎年まいとし参加さんかし、90歳さいを超こえても臨時りんじコーチとして投手とうしゅの指導しどうに当あたっていた。中日ちゅうにち以外いがいにも各かくチームのキャンプを巡回じゅんかいしては精力せいりょく的てきに投手とうしゅの指導しどうを行おこない、特とくにフォークボールの指導しどうには熱心ねっしんだった。

晩年ばんねん

2019年ねん頃ごろより肺はい機能きのうが低下ていかしたことに加くわえ、新型しんがたコロナウイルスの蔓延まんえんもあって臨時りんじコーチとしては2019年ねん春季しゅんきキャンプが最後さいごとなった。その後ごも感染かんせんを防ふせぐために自宅じたくで過すごしていたが、2022年ねん6月がつに間あいだ質しつ性せい肺炎はいえんと診断しんだんされ、療養りょうように入はいる。2023年ねん6月12日にちに肺炎はいえんのため、東京とうきょう都内とないの病院びょういんで死去しきょ、97歳さい没ぼつ。

杉下すぎしたの死去しきょにより、1950年代ねんだいに日本にっぽんプロ野球やきゅうの監督かんとくを務つとめた人物じんぶつは全員ぜんいん、鬼籍きせきに入はいったことになる。

フォークボール

明治大学めいじだいがく在学ざいがく中ちゅうに天知あまち俊一しゅんいちから教おしえられた「フォークボール」は、試合しあいで初はじめて投とうじた際さいに当あたり損そこねないの安打あんだになって以降いこう、杉下すぎした自身じしんが縁起えんぎの悪わるさを感かんじて封印ふういんした。しかし、プロ入いり後ごは封印ふういんしていたフォークボールを駆使くしし、「青あおバット」と呼よばれた大下おおした弘ひろしから三振さんしんを奪うばうなど「日本にっぽん初はつのフォークボーラー」として名なを売うった。

試合しあいで投とうじるのは数すう球きゅう

日本にっぽん初はつのフォークボーラーとして名なを売うったものの、杉下すぎしたは現在げんざいのフォークボーラーのような高たかい奪だつ三振さんしん率りつは記録きろくしていない。その理由りゆうとして「フォークボールを『最後さいごの切きり札ふだ』とする信念しんねんのもと、勝負しょうぶ所しょでのみ投とうじていたため」である。そのため、1試合しあいで投とうじるフォークボールは多おおくても5〜6球きゅう程度ていどと少すくないものだった。

杉下すぎしたはフォークボールについて「神様かみさま用ようのボール」と述のべたうえで、「神様かみさま以外いがいには見みせ球だましか使つかっていないが、それだけで相手あいては（フォークボールが）いつ来くるかで迷まよったという。また、『神様かみさまを倒たおして日本一にっぽんいちの投手とうしゅになる』と思おもっていた」と述のべている。ある日ひ、広岡ひろおか達朗たつろうから川上かわかみが杉下すぎしたのフォークボールの打うち方かたを寝ねないで研究けんきゅうしていたことを聞きくと「川上かわかみさんにも打うたれたことは無ない。流石さすがに真まっ直すぐ（直球ちょっきゅう）だけだとやられるから、“神様かみさま”を誤魔化ごまかすための球たまだった」と語かたっている。

また、杉下すぎしたの第だい一いち印象いんしょうがフォークボールの使つかい手てということから「僕ぼくの現役げんえき時代じだいを知しらない人ひとはフォークボールばかり投なげていたと思おもっているかもしれないが、投とうじるのは1試合しあいで数すう球きゅうだ。しかも（プロ入いりした）1949年ねんから日本一にっぽんいちになった1954年ねんまで。現役げんえきは1961年ねんまで続つづけたが1955年ねん以降いこうはほとんど投なげていない。直球ちょっきゅうに自信じしんがあったし、まやかしのボールで打うち取とっても面白おもしろくなかった」と述のべ、さらに初はつ対戦たいせんの打者だしゃにはまず投なげないと語かたっていた。「まず外角がいかく低ひくめへ2球きゅう、最後さいごは内角ないかく高たかめ。最初さいしょに内うちか外そとかは投なげた本人ほんにんにも分わからない。捕手ほしゅはミットを左右さゆうに動うごかして球たまを追おいかけても捕と球たま出来できないから、よくバッテリーを組くんだ河合かわい保彦やすひこは身体しんたいで止とめられるように中腰ちゅうごしで構かまえていた。投なげる目標もくひょうは河合かわいのマスクの奥おくのおでこ。高たかめギリギリに投なげて捕手ほしゅの手前てまえでバウンドしたから、落差らくさは最大さいだいで1メートルくらいあったと思おもう。サインはパーで直球ちょっきゅう、グーがカーブ、チョキがフォーク」と述のべている。

杉下すぎしたの配はい球だまはあくまでも速球そっきゅう中心ちゅうしんとし、そこにカーブなどの変化球へんかきゅうを交まじえるスタイルでフォークボールには固執こしつしなかった。しかし、直球ちょっきゅう勝負しょうぶにこだわりすぎるあまり、1956年ねん3月25日にちには樋とい笠りゅう一夫かずおに日本にっぽんプロ野球やきゅう史上しじょう初はつとなる「代打だいだ逆転ぎゃくてんサヨナラ本塁打ほんるいだ」を浴あび、広岡ひろおかにもサヨナラ本塁打ほんるいだを打うたれている。さらに選手せんしゅ晩年ばんねんには新あたらしい投球とうきゅう方法ほうほうを模索もさくするも結果けっかが出でず、1961年ねんに移籍いせきした毎日まいにち大映だいえいオリオンズでは僅わずか4勝しょうに終おわり、フォークボールに回帰かいきすることなく同年どうねん限かぎりで現役げんえきを引退いんたいした。引退いんたい後ごの自著じちょでは、現在げんざいのようにフォークボール中心ちゅうしんの投球とうきゅうを行おこなっていれば、それ相応そうおうの成績せいせきが残のこせていたかもしれないと回想かいそうしている。

ボールの気きの向むくまま

杉下すぎしたが投とうじていたフォークボールは現在げんざいの一般いっぱん的てきなフォークボールとは異ことなり、球たまが全まったく回転かいてんすることなく左右さゆうに揺ゆれながら落おちる、いわゆる「ナックルボール」に近ちかいものである。その球たまは蝶ちょうのようにひらひら舞まうとされ、そして調子ちょうしの良よい時ときは三さん段だんに渡わたって振ふれながら落おち、打者だしゃの手元てもとでさらに二に段階だんかいに渡わたって落おちたという。川上かわかみ哲治てつじが「ボールの縫ぬい目めが見みえた」「捕手ほしゅが取とれないのに打うてる訳わけがない」と言いうほどの変化へんかが起おきるのは杉下すぎしたの長ながい指ゆびがあってこそで、杉下すぎしたは人差ひとさし指ゆびと中指なかゆびの第だい二に関節かんせつの間あいだをボールが触ふれることなく通過つうかしたとも言いわれている。しかし、杉下すぎしたは「（球たまが）右みぎへ行いくのか左ひだりへ行いくのか、ボールの気きの向むくまま。精密せいみつなコントロールなどとは無縁むえんなものでした」と述懐じゅっかいしているほか、フォークボールを投とうじる際さいはとにかく腕うでを思おもい切きり振ふり、捕手ほしゅの顔面がんめんを目掛めがけて投なげることだけに集中しゅうちゅうしていたという。周囲しゅういからは「魔球まきゅう」と呼よばれ、他た球団きゅうだんでも多おおくの打者だしゃが研究けんきゅうしたが、杉下すぎしたは自身じしんの財産ざいさんだとして秘密ひみつを守まもり、オールスターゲームなどで他たチームの捕手ほしゅとバッテリーを組くんだ際さいには決けっして投なげず、マスコミにも握にぎり方かたを見みせることを拒否きょひした。

現役げんえき時代じだいに杉下すぎしたと名めい勝負しょうぶを繰くり広ひろげた金田かねだ正一しょういちは、「自分じぶんが見みた最高さいこうの投手とうしゅは藤本ふじもとさんでも別所べっしょさんでもない。正真正銘しょうしんしょうめいのフォークボールを投なげた杉下すぎしたさん」と語かたっており、青田あおた昇のぼるからも「金田かねだよりお前まえの方ほうが速はやかった」と言いわれたことがあると述のべている。杉下すぎしたも「フォークボールの亜流ありゅうを投なげた者ものは大勢おおぜいいるが、本物ほんもののフォークボールを投なげた者ものは5人にん。私わたしと村山むらやま実みのる、村田むらた兆ちょう治ち、野茂のも英雄ひでお、佐々木ささき主浩おもひろだ」と言いい、現在げんざいの投手とうしゅがフォークボールと称しょうして投なげているのはスプリットだと語かたっているほか、失投しっとうでないフォークボールが打うたれたのは長嶋ながしま茂雄しげおに一いち度どだけだと語かたっている。

フォークボールの伝授でんじゅ

杉下すぎした自身じしんが最初さいしょにフォークボールを伝授でんじゅしたのは板東ばんどう英二えいじだという。

プロ野球やきゅう選手せんしゅとしては決けっして手ての大おおきい方ほうではない板東ばんどうがフォークボールを習得しゅうとくしたことは杉下すぎした自身じしんも印象いんしょうに残のこったようで、1975年ねんに読売よみうりジャイアンツの投手とうしゅコーチに就任しゅうにん後ご、江川えがわ卓たくに投なげ方かたを指導しどうする際さいには、わざわざ板東ばんどうを遠征えんせい先さきに呼よび出だし、「フォークボールの握にぎり方かたを見みせてやってほしい」と頼たのんだという。また、村山むらやま実みのるなど1960年代ねんだいから1970年代ねんだいにかけてフォークボールを武器ぶきに活躍かつやくした投手とうしゅの大半たいはんは、自身じしんの教おしえ子ごであるとテレビ番組ばんぐみで発言はつげんしていた。

杉下すぎしたは「村山むらやまが関西大学かんさいだいがくの頃ころから、ある人ひとを通とおして教おしえていた。中日ちゅうにちや巨人きょじんも狙ねらっていたが肝臓かんぞうが悪わるいと聞きいて手てを引ひき、阪神はんしんに入はいった。最初さいしょの中日ちゅうにち監督かんとく時代じだいはライバルチームだが記者きしゃを通とおして頼たのまれ、ブルペンでこっそり指導しどうしたこともある。三塁さんるいコーチに立たつと、彼かれがフォークを投なげるときは全部ぜんぶ分わかったから打者だしゃに伝つたえたよ。阪神はんしんでコーチと選手せんしゅの関係かんけいになると『腕うでの位置いちを下さげて、いい変化へんかをするところを探さぐってごらん』と助言じょげんした。フォークは横手よこてでも下手へたでも投なげられるんだ。彼かれは『お客きゃくさんは、僕ぼくが真上まうえから投なげ下おろす“ザトペック投とう法ほう”を見みに来きます。イメージを壊こわしたくないので、いよいよダメになったら（腕うでの位置いちを）下さげます』とオーバースローにこだわった」と述のべている。しかし、杉下すぎした自身じしんは速球そっきゅうこそが投手とうしゅの価値かちで変化球へんかきゅうは衰おとろえを補おぎなう「最後さいごの手段しゅだん」と位置いちづけており、変化球へんかきゅうは好こう投手とうしゅの必須ひっす条件じょうけんではなく、投手とうしゅの技術ぎじゅつでもないと語かたった。

詳細しょうさい情報じょうほう

年度ねんど別べつ投手とうしゅ成績せいせき

年とし 度ど	球たま 団だん	登とう 板いた	先さき 発はつ	完かん 投とう	完かん 封ふう	無む 四よん 球たま	勝かち 利り	敗はい 戦せん	セ 丨 ブ	ホ 丨 ル ド	勝かち 率りつ	打だ 者もの	投とう 球たま 回かい	被ひ 安やす 打だ	被ひ 本ほん 塁るい 打だ	与あずか 四よん 球たま	敬けい 遠とお	与あずか 死し 球たま	奪だつ 三さん 振ふ	暴 投とう	ボ 丨 ク	失しつ 点てん	自じ 責せめ 点てん	防ぼう 御お 率りつ	W H I P
1949	中日ちゅうにち 名古屋なごや 中日ちゅうにち	29	15	7	0	0	8	12	--	--	.400	688	159.2	160	15	66	--	3	66	1	0	81	65	3.66	1.42
1950		55	30	22	2	0	27	15	--	--	.643	1361	325.2	269	24	134	--	7	209	5	0	135	116	3.20	1.24
1951		58	24	15	4	0	28	13	--	--	.683	1243	290.1	274	18	90	--	5	147	4	0	116	76	2.35	1.25
1952		61	30	25	6	2	32	14	--	--	.696	1448	355.2	316	13	96	--	3	160	5	0	118	92	2.33	1.16
1953		45	27	13	1	1	23	9	--	--	.719	1114	266.2	230	16	91	--	9	156	4	0	98	84	2.83	1.20
1954		63	32	27	7	1	32	12	--	--	.727	1531	395.1	265	9	103	--	7	273	7	0	71	61	1.39	0.93
1955		53	27	24	5	5	26	12	--	--	.684	1253	328.0	226	16	57	1	5	247	2	0	62	57	1.56	0.86
1956		42	26	19	4	5	14	14	--	--	.500	949	248.0	172	11	48	1	0	167	2	0	70	55	2.00	0.89
1957		41	12	6	1	1	10	7	--	--	.588	639	169.1	108	11	32	1	1	122	4	0	43	33	1.75	0.83
1958		46	18	10	1	2	11	9	--	--	.550	858	218.0	169	16	46	1	3	161	4	0	56	43	1.78	0.99
1961	大毎だいまい	32	4	2	0	1	4	6	--	--	.400	353	85.0	77	5	29	2	1	53	2	0	29	23	2.44	1.25
通算つうさん：11年ねん		525	245	170	31	18	215	123	--	--	.636	11437	2841.2	2266	154	792	6	44	1761	40	0	879	705	2.23	1.08

• 各かく年度ねんどの太字ふとじはリーグ最高さいこう
• 中日ちゅうにち（中日ちゅうにちドラゴンズ）は、1951年ねんに名古屋なごや（名古屋なごやドラゴンズ）に、1954年ねんに中日ちゅうにち（中日ちゅうにちドラゴンズ）に球団きゅうだん名めいを変更へんこう

年度ねんど別べつ監督かんとく成績せいせき

年度ねんど		チーム	順位じゅんい	試合しあい	勝利しょうり	敗戦はいせん	引分ひきわけ	勝率しょうりつ	ゲーム差さ	チーム 本塁打ほんるいだ	チーム 打率だりつ	チーム 防御ぼうぎょ率りつ	年齢ねんれい
1959年ねん	昭和しょうわ34年ねん	中日ちゅうにち	2位い	130	64	61	5	.512	13	106	.237	2.77	34歳さい
1960年ねん	昭和しょうわ35年ねん		5位い	130	63	67	0	.485	9	87	.230	3.08	35歳さい
1966年ねん	昭和しょうわ41年ねん	阪神はんしん	3位い	135	64	66	5	.492	25	81	.233	2.52	41歳さい
1968年ねん	昭和しょうわ43年ねん	中日ちゅうにち	6位い	134	50	80	4	.385	27	142	.246	3.72	43歳さい
通算つうさん：4年ねん				405	182	215	8	.458	Aクラス2回かい、Bクラス2回かい

※1959年ねんから1962年ねん、1966年ねんから1996年ねんまでは130試合しあい制せい

タイトル

• 最多さいた勝利しょうり：2回かい（1951年ねん、1954年ねん）
• 最優秀さいゆうしゅう防御ぼうぎょ率りつ：1回かい（1954年ねん）
• 最多さいた奪だつ三振さんしん：2回かい（1950年ねん、1954年ねん）※4年ねんのブランク受賞じゅしょうは同どう賞しょう史上しじょう最長さいちょうタイ（他たは鈴木すずき啓示けいじ、上原うえはら浩ひろし治ち）。当時とうじ連盟れんめい表彰ひょうしょうなし、セントラル・リーグでは1991年ねんより表彰ひょうしょう。
• 最高さいこう勝率しょうりつ：1回かい（1954年ねん）

表彰ひょうしょう

• 沢村さわむら栄治えいじ賞しょう：3回かい（1951年ねん、1952年ねん、1954年ねん）※最多さいたタイ記録たいきろく（他たは金田かねだ正一しょういち、村山むらやま実みのる、斎藤さいとう雅樹まさき、山本やまもと由ゆかり伸しん）
• 最高さいこう殊勲しゅくん選手せんしゅ（MVP）：1回かい（1954年ねん）
• ベストナイン：1回かい（投手とうしゅ部門ぶもん：1954年ねん）
• 野球やきゅう殿堂でんどう競技きょうぎ者しゃ表彰ひょうしょう（1985年ねん）
• 日本にっぽんシリーズMVP：1回かい（1954年ねん）
• 日本にっぽんシリーズ最優秀さいゆうしゅう投手とうしゅ賞しょう：1回かい（1954年ねん）

記録きろく

初はつ記録きろく

投手とうしゅ記録きろく

• 初はつ登板とうばん・初はつ勝利しょうり：1949年ねん4月がつ3日にち、対たい南海なんかいホークス2回戦かいせん（中日ちゅうにち球場きゅうじょう）

打撃だげき記録きろく

• 初はつ本塁打ほんるいだ：1950年ねん4月がつ21日にち、対たい西日本にしにほんパイレーツ5回戦かいせん（祐ゆう徳とく国際こくさいグラウンド）、6回かい表ひょうに野本のもと喜一郎きいちろうから左ひだり越えつ満塁まんるい本塁打ほんるいだ

節目ふしめの記録きろく

• 100勝しょう：1953年ねん4月がつ25日にち、対たい大洋たいようホエールズ3回戦かいせん（大阪おおさかスタヂアム）※史上しじょう15人にん目め
• 1000奪だつ三振さんしん：1954年ねん10月がつ10日とおか、対たい読売よみうりジャイアンツ25回戦かいせん（中日ちゅうにち球場きゅうじょう）、与那嶺よなみね要ようから ※史上しじょう11人にん目め
• 150勝しょう：1954年ねん10月がつ14日にち、対たい広島ひろしまカープ25回戦かいせん（中日ちゅうにち球場きゅうじょう）
• 200勝しょう：1957年ねん10月がつ23日にち、対たい読売よみうりジャイアンツ25回戦かいせん（後楽園こうらくえん球場きゅうじょう）※史上しじょう7人にん目め

その他たの記録きろく

• 投手とうしゅ三さん冠かん：1回かい（1954年ねん）※史上しじょう5人にん目め、セ・リーグ初はつ
• ノーヒットノーラン：1955年ねん5月がつ10日とおか、対たい国鉄こくてつスワローズ戦たたかえ（川崎球場かわさききゅうじょう）、9回かい無む安打あんだ1四球しきゅう無む失点しってん ※史上しじょう21人にん目め28度目どめ
• 2841.2イニングボークなし
• 日本にっぽんシリーズ4完投かんとう：1954年ねん ※シリーズ最多さいたタイ記録たいきろく
• オールスターゲーム出場しゅつじょう：6回かい（1951年ねん - 1956年ねん）

背番号せばんごう

• 20（1949年ねん - 1962年ねん）
• 63（1964年ねん - 1966年ねん、1968年ねん）
• 71（1976年ねん - 1980年ねん、1993年ねん - 1994年ねん）

関連かんれん情報じょうほう

著書ちょしょ

• 『フォークボール一いち代だい：勝利しょうりへの投球とうきゅう、その闘たたかいの足跡あしあと』（ベべースボすぼール・マガジン社るまがじんしゃ：1988年ねん12月がつ） ISBN 978-4583027210
• 『幻まぼろしのメジャーリーガーとフォークボール：50年ねん以上いじょう前まえ、私わたしは野球やきゅうの本場ほんばアメリカからスカウトされた』（本ほんの友とも社しゃ：2004年ねん4月がつ） ISBN 978-4894394568
• 『伝つたえる：わたしが見みてきた野球やきゅう80年ねん』（中日新聞社ちゅうにちしんぶんしゃ：2010年ねん11月） ISBN 978-4806206194
• 『伝つたえるII：プロ野球やきゅう 努力どりょくの神様かみさまたち』（中日新聞社ちゅうにちしんぶんしゃ、2013年ねん11月）ISBN 9784806206590

関連かんれん書籍しょせき

• 『杉下すぎした茂しげる物語ものがたり』（金子かねこ家か基もと著しる、室町むろまち書房しょぼう、1955年ねん)
• 『中日ちゅうにちドラゴンズ名めい選手せんしゅの時代じだい：テレビマンが描えがいたドラゴンズ痛快つうかい伝説でんせつ』（浅野あさの芳光よしみつ著しる、名古屋なごや丸善まるぜん出版しゅっぱんサービスセンター、2007年ねん11月、ISBN 9784895973854）
• 『杉下すぎした茂しげる「魔球まきゅう」の行方ゆくえ：日本にっぽん初はつの本格ほんかく派はフォークボール投手とうしゅと中日ちゅうにちドラゴンズの栄光えいこう：昭和しょうわ29年ねん』 （富永とみなが俊治しゅんじ著しる、アルマット、2010年ねん8月がつ、ISBN 9784877315283）

関連かんれん項目こうもく

• 東京とうきょう都と出身しゅっしんの人物じんぶつ一覧いちらん
• 明治大学めいじだいがくの人物じんぶつ一覧いちらん
• 中日ちゅうにちドラゴンズの選手せんしゅ一覧いちらん
• 千葉ちばロッテマリーンズの選手せんしゅ一覧いちらん
• ノーヒットノーラン達成たっせい者しゃ一覧いちらん
• 天知あまち茂しげる - 名古屋なごや市し出身しゅっしんの俳優はいゆう。芸名げいめいは当時とうじの中日ちゅうにちドラゴンズ監督かんとく・天知あまち俊一しゅんいちと杉下すぎしたの名前なまえが由来ゆらい。

外部がいぶリンク

• 個人こじん年度ねんど別べつ成績せいせき 杉下すぎした茂しげる - NPB.jp 日本にっぽん野球やきゅう機構きこう
• 選手せんしゅの各国かっこく通算つうさん成績せいせき Baseball-Reference (Japan)