サクソフォーン (英 えい : Saxophone )またはサクソフォン 、サキソフォン は、通常 つうじょう は真鍮 しんちゅう 製 せい で、単 たん 簧(英語 えいご 版 ばん ) (シングルリード)マウスピース を使 つか って演奏 えんそう される木管 もっかん 楽器 がっき の一族 いちぞく である[ 1] 。口語 こうご ではサックス (sax)と略称 りゃくしょう で呼 よ ばれる。
ほとんどのサクソフォーンは真鍮 しんちゅう で作 つく られているものの、金管楽器 きんかんがっき のようにマウスピース (英語 えいご 版 ばん ) のカップの中 なか で唇 くちびる を振動 しんどう させるのではなく、リード (伝統 でんとう 的 てき には木質 もくしつ のダンチク で作 つく られている)を振動 しんどう させて音 おと を出 だ すため、木管 もっかん 楽器 がっき に分類 ぶんるい される。他 た の木管 もっかん 楽器 がっき と同様 どうよう に、胴 どう 管 かん の有効 ゆうこう 長 ちょう を変 か えて気 き 柱 ばしら の共鳴 きょうめい 周波数 しゅうはすう を制御 せいぎょ するために胴 どう 管 かん の孔 あな を覆 おお うことで、演奏 えんそう される音 おと 高 だか を制御 せいぎょ する[ 2] 。奏者 そうしゃ はキー を押 お すことで孔 あな を塞 ふさ ぐあるいは開放 かいほう する。
サクソフォーンは、クラシック音楽 おんがく (コンサートバンド 、室内楽 しつないがく 、ソロレパートリー、時 とき にはオーケストラ など)、軍楽隊 ぐんがくたい 、マーチングバンド 、ジャズ (ビッグバンド やジャズコンボなど)、現代 げんだい 音楽 おんがく で使用 しよう されている。また、独奏 どくそう 楽器 がっき および旋律 せんりつ 楽器 がっき として、あるいはロックンロール やポピュラー音楽 おんがく のいくつかのスタイルではホーンセクション (英語 えいご 版 ばん ) の一員 いちいん としても使用 しよう される。
1840年代 ねんだい 初頭 しょとう にベルギー の楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ アドルフ・サックス によって最初 さいしょ のサクソフォーンが発明 はつめい されて以来 いらい [ 3] 、サクソフォーン族 ぞく 内 ない の移調 いちょう および調律 ちょうりつ の基準 きじゅん によって区別 くべつ される様々 さまざま な楽器 がっき 群 ぐん が生 う み出 だ されてきた。サックスは1846年 ねん 6月 がつ 28日 にち にサクソフォーンの特許 とっきょ を取得 しゅとく した(2つのグループ。それぞれ7種類 しゅるい )。それぞれのグループは、音 おと 高 だか によって並 なら べられた楽器 がっき で構成 こうせい されており、調 しらべ は交互 こうご になっている。標準 ひょうじゅん 音 おん 高 だか がB♭ とE♭ のグループがすぐに支配 しはい 的 てき になり、今日 きょう 見 み られるほとんどのサクソフォーンがこれらのグループに属 ぞく する。標準 ひょうじゅん 音 おん 高 だか がCとFの楽器 がっき は定着 ていちゃく することはなく、サックスによって製作 せいさく された楽器 がっき のごく一部 いちぶ に留 と まる。A = 440 Hz へるつ の(コンサート用 よう )基準 きじゅん よりも高 たか く調律 ちょうりつ された「ハイピッチ」("H "または "HP "とも表記 ひょうき されている)サクソフォーンは、屋外 おくがい での使用 しよう に適 てき した音質 おんしつ のために20世紀 せいき 初頭 しょとう まで生産 せいさん されていたが、現代 げんだい の調律 ちょうりつ では演奏 えんそう できず、時代遅 じだいおく れと考 かんが えられている。「ローピッチ」("L "または "LP "とも表記 ひょうき されている)サクソフォーンは、現代 げんだい の楽器 がっき と同等 どうとう の調律 ちょうりつ がされている。Cソプラノ およびCメロディ サクソフォーンは、20世紀 せいき 初頭 しょとう に応接間 おうせつま 楽器 がっき としてカジュアルな市場 いちば 向 む けに生産 せいさん された。F管 かん のサクソフォーンは1920年代 ねんだい 後半 こうはん に導入 どうにゅう されたが、受 う け入 い れられることはなかった。現代 げんだい のサクソフォーン族 ぞく は、歴史 れきし 的 てき な楽器 がっき や実験 じっけん 的 てき な楽器 がっき はともかく、B♭ – E♭ シリーズの楽器 がっき のみで構成 こうせい されている。最 もっと も広 ひろ く使用 しよう され、入手 にゅうしゅ 可能 かのう なサクソフォーンは、ソプラノ、アルト、テナー、およびバリトンサクソフォーンである。
1840年代 ねんだい にベルギー の管楽器 かんがっき 製作 せいさく 者 しゃ アドルフ・サックス (Adolphe Sax)がバスクラリネット の改良 かいりょう 中 ちゅう に円錐 えんすい 管 かん の魅力 みりょく に注目 ちゅうもく したのを基 もと に考案 こうあん された楽器 がっき 。1846年 ねん に特許 とっきょ を取得 しゅとく している。Saxophoneの名 な は彼 かれ にちなむ。元々 もともと 吹奏楽 すいそうがく 団 だん における木管 もっかん 楽器 がっき と金管楽器 きんかんがっき の橋渡 はしわた しを目的 もくてき に開発 かいはつ された。構造 こうぞう 上 じょう 、木管 もっかん 楽器 がっき に分類 ぶんるい されるが、真鍮 しんちゅう を主 おも とした金属 きんぞく で作 つく られており[ 4] [ 注 ちゅう 1] 、木管 もっかん 楽器 がっき の運動 うんどう 性能 せいのう の高 たか さ、金管楽器 きんかんがっき のダイナミックレンジ の広 ひろ さを兼 か ね備 そな えている。新 あたら しい楽器 がっき の恩恵 おんけい として、洗練 せんれん された運 うん 指 ゆび 、発音 はつおん の容易 たやす さは他 た の吹奏楽 すいそうがく 器 き に類 るい がない。
クラシック音楽 おんがく からポップス 、ロック 、ジャズ に至 いた るまで、様々 さまざま な分野 ぶんや の音楽 おんがく で用 もち いられる。特 とく に吹奏楽 すいそうがく やビッグバンド には欠 か かせない存在 そんざい である。管弦楽 かんげんがく では使用 しよう されることは少 すく ないが、曲 きょく によっては使用 しよう される場合 ばあい もある。ソプラノ 、アルト 、テナー 、バリトン の4本 ほん のサクソフォーンで演奏 えんそう されるサクソフォーン四 よん 重奏 じゅうそう は、クラシカルサクソフォーンの代表 だいひょう 的 てき な合奏 がっそう 形態 けいたい のひとつであり、そのために作曲 さっきょく された曲 きょく も多数 たすう 存在 そんざい する。
代々木公園 よよぎこうえん でサクソフォーンを練習 れんしゅう する男性 だんせい
様々 さまざま なサクソフォーンの「キイ音域 おんいき 」(上 うえ 音 おん (英語 えいご 版 ばん ) を出 だ すアルティッシモ (英語 えいご 版 ばん ) 音域 おんいき よりも下 した )では、音 おと 高 だか は浅 あさ い「皿 さら 」が付 つ いた「キイ」(鍵 かぎ )によって制御 せいぎょ される。皿 さら の内側 うちがわ は「音 おと 孔 あな 」を塞 ふさ ぐ革 かわ 製 せい 「タンポ 」が固定 こてい されている。音 おと 孔 あな を塞 ふさ ぐことによって、「ボア 」内 ない の気 き 柱 ばしら の共鳴 きょうめい 長 ちょう (したがって周波数 しゅうはすう )が制御 せいぎょ される。音 おと 孔 あな とマウスピースの間 あいだ に位置 いち する「ベントホール」と呼 よ ばれる小 ちい さな孔 あな は、「オクターブキー」によって開放 かいほう される。ベントホールが開放 かいほう されると、音 おと 高 だか を決定 けってい する周波数 しゅうはすう として第 だい 1倍音 ばいおん を残 のこ したまま、基本 きほん 周波数 しゅうはすう を消去 しょうきょ することによって音 おと 高 だか が1オクターブ 上 あ がる。ほとんどの現代 げんだい サクソフォーンは低 ひく い(楽器 がっき の調 しらべ の、すなわち記 き 音 おん の)B♭ を出 だ すためのキイを持 も つ。現代 げんだい バリトンサクソフォーンは一般 いっぱん に低 ひく いAまで演奏 えんそう 可能 かのう である。また、低 ひく いAまで演奏 えんそう 可能 かのう なアルトサクソフォーンが生産 せいさん されたこともあった。キイ操作 そうさ で出 だ すことができる最 さい 高音 こうおん は伝統 でんとう 的 てき に低 ひく いB♭ の2オクターブ半 はん 上 じょう のFであるが、最近 さいきん のほとんどの演奏 えんそう 会 かい 用 よう 楽器 がっき のキイ音域 おんいき はF♯ まで拡張 かくちょう されている。現代 げんだい ソプラノサクソフォーンではハイGキイを持 も つものもごく一般 いっぱん 的 てき である。Fより上 うえ の音 おと はアルティッシモ音域 おんいき の一部 いちぶ であると考 かんが えられ、高度 こうど なアンブシュア 技術 ぎじゅつ と運 うん 指 ゆび の組 く み合 あ わせを使 つか って出 だ すことができる。現代 げんだい サクソフォーンはアルティッシモの演奏 えんそう を手助 てだす けするキイ機構 きこう を備 そな えている。現代 げんだい のサクソフォーン奏者 そうしゃ はテナーとアルトにおいて音域 おんいき を4オクターブ 以上 いじょう にまで拡張 かくちょう してきた。ほとんどのサクソフォーンのための音楽 おんがく は大抵 たいてい 高音 こうおん 部 ぶ 記号 きごう (ト音 おん 記号 きごう )を使 つか って表記 ひょうき される。
すべてのサクソフォーンが譜面 ふめん 上 じょう の音 おと 高 だか を出 だ すために同 どう じキイ配置 はいち および運 うん 指 ゆび を使用 しよう するため、音楽 おんがく が適切 てきせつ に移調 いちょう されている時 とき に、能力 のうりょく のある奏者 そうしゃ が様々 さまざま なサイズを持 も ち替 か えることは難 むずか しくはなく、多 おお くの奏者 そうしゃ が行 おこな っている。バリトンとアルトはE♭ 管 かん であるため、奏者 そうしゃ は低音 ていおん 部 ぶ 記号 きごう (ヘ音 おん 記号 きごう )で表記 ひょうき されたコンサートピッチの音楽 おんがく を、調 しらべ 号 ごう に3つのシャープ を加 くわ えることによってあたかも高音 こうおん 部 ぶ 記号 きごう であるかのように読 よ むことができる。この過程 かてい は「音部 おとべ 置換 ちかん 」と呼 よ ばれ、バリトンホルン (英語 えいご 版 ばん ) 、ファゴット 、ユーフォニアム 、コントラバス 、トロンボーン 、チューバ のために書 か かれたパートをE♭ 管 かん の楽器 がっき で演奏 えんそう することが可能 かのう になる。これは、バンドあるいはオーケストラでこれらの楽器 がっき が不足 ふそく している場合 ばあい に有用 ゆうよう かもしれない。
教育 きょういく 用 よう サクソフォーン。図 ず は低音 ていおん ホール(7番 ばん にあたる)が左手 ひだりて 側 がわ にある、いわゆる「インライン」で、現在 げんざい では右手 みぎて 側 がわ にある「オフセット」が主流 しゅりゅう である。
朝顔 あさがお 管 かん (ベル)
一番 いちばん 管 かん
二 に 番 ばん 管 かん
吹込 ふきこめ 管 かん (ネック)
歌口 うたぐち (マウスピース )
胴 どう 輪 わ
鍵 かぎ 孔 あな 管 かん
打 だ 痕 あと 止 とめ
座 ざ 柱 ばしら
鍵 かぎ 覆 くつがえ
歌 うた 口受 こうじゅ コルク
吊 つ り環 たまき
指 ゆび 掛 かけ
拇指 ぼし 台 だい
蝶 ちょう ネジ
蝶 ちょう ネジ受
タンポ皿 さら
タンポ
貝皿 かいざら
貝 かい
キー
鍵 かぎ 管 かん
鍵 かぎ 柱 ばしら
芯 しん 金 きん
ローラー
ローラー用 よう 芯 しん 金 きん
平 ひら 発条 はつじょう
平 ひら 発条 はつじょう 止 とめ ネジ
臼 うす
鋼 はがね 針 はり
ケリ
鳩目 はとめ
連絡 れんらく 棒 ぼう
センター棒 ぼう
剣 けん ネジ
リング
コルク
コルクホールダー
リード
締金 しめがね (リガチャー)
双 そう 柱 はしら
カップ
吊 つ り紐 ひも (ストラップ)
真 ま っ直 す ぐなソプラノ およびソプラニーノ サクソフォーンは、マウスピースの反対 はんたい 側 がわ の端 はし に広 ひろ がった「ベル」(鐘 かね )を持 も つ真 ま っ直 す ぐな円錐 えんすい 形 がた ボアで構成 こうせい されている。アルトおよびより大型 おおがた のサクソフォーンは、最 もっと も高 たか い音 おと 孔 あな より上部 じょうぶ に取 と り外 はず し可能 かのう な湾曲 わんきょく した「ネック」(首 くび )(まれに例外 れいがい もある。ネックはマウスピースを奏者 そうしゃ の口元 くちもと に向 む ける役割 やくわり を持 も つ)、ボアを上 うえ に向 む けるUの字 じ 型 がた の「ボウ」(弓 ゆみ )、ベルを前方 ぜんぽう に向 む けるベルの喉 のど のカーブを含 ふく む。ベル付近 ふきん のカーブはサクソフォーン族 ぞく 固有 こゆう の特徴 とくちょう であり、ソプラノやソプラニーノでさえもこのカーブ様式 ようしき で作 つく られることがある。バリトン、バス、およびコントラバスサクソフォーンは、本体 ほんたい とマウスピースの間 あいだ の追加 ついか の(複数 ふくすう の)ボウと直角 ちょっかく の曲 きょく げを使 つか ってボアの長 なが さに対応 たいおう している。
左手 ひだりて は胴 どう 管 かん の上側 うわがわ 部分 ぶぶん のキイを操作 そうさ し、右手 みぎて は下 した 側 がわ 部分 ぶぶん のキイを操作 そうさ する。右手 みぎて 親指 おやゆび は「サムフック」の下 した に位置 いち し、左手 ひだりて 親指 おやゆび はサクソフォーンを安定 あんてい させバランスを取 と るために「サムレスト」の上 うえ に置 お かれるか、オクターブキイを操作 そうさ する。ほとんどのサクソフォーンの重量 じゅうりょう は右手 みぎて 親指 おやゆび と楽器 がっき の胴体 どうたい の背面 はいめん にある「ストラップリング」に取 と り付 つ けられたネックストラップによって分担 ぶんたん される。より小型 こがた の楽器 がっき では、比較的 ひかくてき 多 おお くの重量 じゅうりょう が親指 おやゆび によって支持 しじ される。
キイは、音 おと 孔 あな 上 じょう のパッド(タンポ)の位置 いち を制御 せいぎょ するカップ、レバー、およびピボットからなる。操作 そうさ されていない時 とき に開 ひら いているキイもあれば閉 と じているキイもある。これらはばねによってそれぞれの位置 いち に保持 ほじ されており、指 ゆび または手 て (パームキイの場合 ばあい )の押圧力 りょく によって操作 そうさ される。 キーは、パッドカップに直接 ちょくせつ 、またはパッドカップに直接 ちょくせつ あるいはリンケージと呼 よ ばれる連結 れんけつ 部 ぶ で)接続 せつぞく されたレバーを使 つか った「キイタッチ」への押圧力 りょく によって作動 さどう するキイカップとピボットとの間 あいだ のレバーは「キイアーム」と呼 よ ばれる。
サクソフォーンの運 うん 指 ゆび はオーボエ の運 うん 指 ゆび とベーム・システム の組 く み合 あ わせであり[ 5] 、フルート の運 うん 指 ゆび あるいはクラリネットの高 こう 音域 おんいき の運 うん 指 ゆび と似 に ている。
「スタック」キイはそれぞれの手 て の親指 おやゆび 、人差 ひとさ し指 ゆび 、および中指 なかゆび で操作 そうさ され、やや凹 へこ んだボタン型 がた のキイタッチ(キイボタン)が、それらが制御 せいぎょ するパッドカップと同 おな じ動 うご きで操作 そうさ される。スタックキイは「レギュレーションバー」および「ブリッジアーム」リンケージでより高 たか いスタックキイを連結 れんけつ される。キイボタンは直接 ちょくせつ な下向 したむ きの指 ゆび による押圧力 りょく でキイを操作 そうさ する時 とき には優位 ゆうい 性 せい があるが、他 た の指 ゆび や手 て の動 うご きでキイを操作 そうさ する場合 ばあい には不利 ふり になるため、そのような動 うご きで操作 そうさ されるキイでの使用 しよう は、サックスの設計 せっけい の進化 しんか とともに減少 げんしょう していった。
左手 ひだりて によって操作 そうさ されるパームキイおよび「フロントF」キイ、ならびに右手 みぎて によって操作 そうさ される「ハイF」、「ハイF♯ 」、および「ハイG」キイは、キイ音域 おんいき の上側 うわがわ の端 はし を制御 せいぎょ し、アルティッシモ音 おん をベントするために使 つか われる。右手 みぎて によって操作 そうさ される「半音 はんおん 」キイはスタック音域 おんいき 内 ない のF♯ 、B♭ 、およびCのための代替 だいたい 運 うん 指 ゆび を提供 ていきょう する。右手 みぎて と左手 ひだりて の薬指 くすりゆび は、キイを開 ひら いて音 おと 高 だか を半音 はんおん 上 あ げたり、楽器 がっき の低 てい 音域 おんいき に向 む けてキイを閉 と じる(左手 ひだりて によって操作 そうさ される「ベルキイ」も使 つか う)。薬指 くすりゆび によって操作 そうさ されるキイは「テーブル」キイと呼 よ ばれる。ローAを出 だ せる楽器 がっき はこの音 おと 用 よう の左 ひだり 親指 おやゆび キイを持 も つ。
1920年代 ねんだい 初頭 しょとう 以降 いこう に生産 せいさん されたサクソフォーンでは、左手 ひだりて テーブルから操作 そうさ されるG♯ キイは、G♯ 作動 さどう 機構 きこう (F-連結 れんけつ 、スタック連結 れんけつ G♯ 機構 きこう )への押圧力 りょく にかかわらず、下部 かぶ スタック上 じょう のキイを閉 と じることで閉 と じられる。この機能 きのう により特定 とくてい の音程 おんてい の速度 そくど と演奏 えんそう しやすさを大 おお きく上昇 じょうしょう した。これによって、より下 した 側 がわ のスタックキイが押圧されている時 とき にキイが開 ひら いたままになる「ダイレクトG♯ 」アクションを持 も つサクソフォーンは時代 じだい 遅 おく れて見 み なされるようになった。現代 げんだい の左手 ひだりて テーブルもG♯ キイとローC♯ 、B、およびB♭ を「連結 れんけつ 」し、それらのキイのいずれかが押圧され、右手 みぎて スタックキイが押圧されていない時 とき にG♯ キイが開 ひら く。それは、楽器 がっき の低 てい 音域 おんいき に近 ちか い特定 とくてい の音程 おんてい を演奏 えんそう するうえでも大 おお きな利点 りてん を与 あた える。 ヴィンテージ楽器 がっき を演奏 えんそう するために、連結 れんけつ 式 しき のG♯ の利点 りてん を惜 お しむ奏者 そうしゃ もいるが、フロントFキイとスタック連結 れんけつ G♯ キイは、本格 ほんかく 的 てき な奏者 そうしゃ によって決定的 けっていてき に重要 じゅうよう な機能 きのう とみなされている[ 6] 。
サクソフォーンは大小 だいしょう さまざまな楽器 がっき があるが、それぞれの楽器 がっき はほとんど相似 そうじ な形状 けいじょう をしている。サクソフォーンの管 かん は、マウスピース に近 ちか い方 ほう からベルに近 ちか い方 ほう に向 む かって、ほぼ一定 いってい の割合 わりあい で太 ふと さが増 ま しており、全体 ぜんたい として円錐 えんすい 状 じょう になっている。このためサクソフォーンは整数 せいすう 倍 ばい の倍音 ばいおん を出 だ すことができ、開 ひらき 管 かん 楽器 がっき に分類 ぶんるい される。一方 いっぽう 、構造 こうぞう 上 じょう サクソフォーンにもっとも近 ちか い楽器 がっき であるクラリネット は、管 かん の太 ふと さがほぼ一定 いってい の円柱 えんちゅう 状 じょう であるため偶数 ぐうすう 倍 ばい の倍音 ばいおん がほとんど発生 はっせい せず、閉管 楽器 がっき に分類 ぶんるい される。
この開 ひらけ 管楽器 かんがっき である事 こと を奏法 そうほう に応用 おうよう する例 れい として、オーバートーンとアルティッシモ(フラジオレット )が挙 あ げられる(弦楽器 げんがっき のフラジオレット とは原理 げんり が異 こと なる)。喉 のど の開 ひら き、口腔 こうくう 内 ない 、アンブシュア 、通常 つうじょう とは異 こと なる運 うん 指 ゆび を総合 そうごう 的 てき に変化 へんか させ、リードの振動 しんどう を通常 つうじょう の状態 じょうたい より多 おお くする事 こと で倍音 ばいおん を発生 はっせい し、通常 つうじょう 運 うん 指 ゆび の音域 おんいき よりも更 さら に高音 こうおん を出 だ す事 こと を可能 かのう にしている奏法 そうほう である。20世紀 せいき 後半 こうはん までは主 おも にジャズ系 けい の奏者 そうしゃ がアドリブ の中 なか で多用 たよう する奏法 そうほう であったが、21世紀 せいき に入 はい ってからはクラシック奏者 そうしゃ も演奏 えんそう の幅 はば を広 ひろ げる為 ため に利用 りよう しており、またそのような現代 げんだい 曲 きょく も多数 たすう 書 か かれている。
ソプラニーノおよびソプラノは一般 いっぱん にほぼまっすぐの直 ちょく 管 かん (ストレート)である。一方 いっぽう 、アルトからコントラバスまでは管 かん の長 なが さが長 なが いため、一般 いっぱん には何 なん 回 かい か管 かん が曲 ま げられた曲 きょく 管 かん (カーブド)の形状 けいじょう をしている。管 かん の折 お り返 かえ し部分 ぶぶん はその形状 けいじょう からU字 じ 管 かん と呼 よ ばれる。カーブド・ソプラノと呼 よ ばれる曲 きょく 管 かん のソプラノやストレート・アルト、テナーと呼 よ ばれる直 じき 管 かん のアルト、テナーも存在 そんざい するが、生産 せいさん 本数 ほんすう はそれほど多 おお くない。管 かん が直 ちょく 管 かん であるか曲 きょく 管 かん であるかは音色 ねいろ にも大 おお きな影響 えいきょう を与 あた える。
サクソフォンの最初 さいしょ 期 き の頃 ころ から、ボディーやキイカップは複雑 ふくざつ な形状 けいじょう にも対応 たいおう できるように、真鍮 しんちゅう の板材 いたざい から作 つく られていた。機械 きかい 的 てき なキイ装置 そうち は、他 た の形態 けいたい の真鍮 しんちゅう 材 ざい から手工 しゅこう 具 ぐ で作 つく られた、または機械 きかい 加工 かこう された部品 ぶひん から組 く み立 た てられる。キング (英語 えいご 版 ばん ) は1930年代 ねんだい に純銀 じゅんぎん 製 せい のネックとベルを持 も つサクソフォーンを発表 はっぴょう し、1960年代 ねんだい 初頭 しょとう にもこの「シルバーソニック」スキームを継続 けいぞく した。ヤナギサワ は1980年代 ねんだい にこのスキームを復活 ふっかつ させ、後 のち に純銀 じゅんぎん 製 せい の楽器 がっき を全面 ぜんめん 的 てき に導入 どうにゅう した[ 7] 。カイルヴェルト とP・モーリア は一部 いちぶ のサクソフォーンモデルのボディーのために洋銀 ようぎん (フルートにより一般 いっぱん 的 てき に使 つか われる銅 どう -ニッケル-亜鉛 あえん 合金 ごうきん )を使用 しよう してきた[ 8] 。視覚 しかく 的 てき ならびに音色 ねいろ への効果 こうか のため、銅 どう 含量の高 たか い真鍮 しんちゅう がより一般 いっぱん 的 てき な「イエローブラス」や「カートリッジ(弾薬 だんやく 筒 とう )ブラス」の代 か わりに使 つか われることもある。ヤナギサワの902および992シリーズのサクソフォーンは、真鍮 しんちゅう 製 せい の901および991モデルに比 くら べて、よりヴィンテージ感 かん のある暗 くら い音色 ねいろ を実現 じつげん するために、銅 どう 含量の高 たか いのリン青銅 せいどう を使用 しよう している[ 9] 。様々 さまざま なブランドから高 こう 銅 どう 含量合金 ごうきん 製 せい サクソフォーンが販売 はんばい されている。
1920年 ねん 以降 いこう 、ほとんどのサクソフォーンはスタックキイを操作 そうさ する交換 こうかん 可能 かのう なキイボタンを持 も つ。これらは大抵 たいてい は樹脂 じゅし 製 せい あるいは真珠 しんじゅ 母 はは 製 せい のいずれかである。一部 いちぶ のサクソフォーンは、アワビ 、石 いし 、または木製 もくせい のキイボタンを持 も つ。一部 いちぶ の高級 こうきゅう モデルでは、他 た のキイの凸 とつ 型 がた キイタッチを形成 けいせい するために高価 こうか なキイボタン素材 そざい を使用 しよう している。キイ装置 そうち のヒンジが旋回 せんかい する軸 じく およびスクリューピン、ならびにキイを休止 きゅうし 位置 いち に保持 ほじ する針 はり ばねおよび重 かさ ね板 ばん ばね は大抵 たいてい ブルーイング (英語 えいご 版 ばん ) 処理 しょり された鋼 はがね 製 せい あるいはステンレス鋼 こう 製 せい である。フェルト 、コルク 、革 かわ 、および様々 さまざま な合成 ごうせい 素材 そざい の緩衝 かんしょう 材 ざい が、キイの動 うご きからの摩擦 まさつ を低減 ていげん し、機械 きかい 的 てき ノイズを最小 さいしょう 化 か するため、有益 ゆうえき なパッドシーリング、イントネーション (英語 えいご 版 ばん ) 、スピード、「感覚 かんかく 」のためキイ装置 そうち の動作 どうさ を最適 さいてき 化 か するために使用 しよう される。洋銀 ようぎん はその機械 きかい 的 てき 耐久 たいきゅう 性 せい からヒンジに使用 しよう されることがあるものの、こういった部品 ぶひん のための最 もっと も一般 いっぱん 的 てき な素材 そざい は真鍮 しんちゅう のままである。銅 どう 含量の高 たか いボディーを持 も つサクソフォーンも、そららの合金 ごうきん と比較 ひかく して真鍮 しんちゅう の機械 きかい 的 てき 特性 とくせい がより適 てき しているため、真鍮 しんちゅう 製 せい のキイ装置 そうち を持 も つ。
最終 さいしゅう 的 てき な組 く み立 た ての前 まえ に、メーカーは通常 つうじょう 、ホーンの表面 ひょうめん に仕上 しあ げを施 ほどこ す。最 もっと も一般 いっぱん 的 てき な仕上 しあ げは、透明 とうめい なあるいは着色 ちゃくしょく されたアクリルラッカー を薄 うす く塗 ぬ ったものである。黒色 こくしょく や白色 はくしょく のラッカー仕上 しあ げもある。ラッカー は真鍮 しんちゅう を酸化 さんか から保護 ほご するために働 はたら き、その輝 かがや きを維持 いじ する。銀 ぎん めっき または金 かね めっきは一部 いちぶ のモデルで高級 こうきゅう オプションとして提供 ていきょう されている。一部 いちぶ の銀 ぎん めっきサクソフォーンもラッカー塗装 とそう される。サクソフォーンの金 かね めっきは、金 かね を定着 ていちゃく させるために銀 ぎん による下地 したじ めっきが必要 ひつよう なため、高価 こうか な処理 しょり である[ 10] 。ニッケル めっきは低 てい 予算 よさん モデルのサクソフォーンのボディーに使 つか われており、ラッカーよりも耐久 たいきゅう 性 せい の高 たか い仕上 しあ げが求 もと められる時 とき (ほとんどは教育 きょういく 用 よう モデルのサクソフォーン)に一般 いっぱん 的 てき に使用 しよう される。鏡面 きょうめん 仕上 しあ げが一般 いっぱん 的 てき だが、艶 つや 消 け し仕上 しあ げのもの、アンラッカー仕上 しあ げなどバリエーションが存在 そんざい する。近年 きんねん 、母 はは 材 ざい の化学 かがく 的 てき 表面 ひょうめん 処理 しょり がラッカーやめっきに代 か わるものとして使用 しよう されるようになってきている。一部 いちぶ のサクソフォーン奏者 そうしゃ 、小売 こうり 店 てん 、修理 しゅうり 技術 ぎじゅつ 者 しゃ は、ラッカーやめっきの種類 しゅるい (またはラッカーの有無 うむ [ 11] )が楽器 がっき の音色 ねいろ に影響 えいきょう を与 あた える要因 よういん になるのではないか(メッキやラッカーの性質 せいしつ で管 かん 体 たい の振動 しんどう が変化 へんか し、音色 ねいろ などが変 か わる)と主張 しゅちょう している。管 かん 体 たい とキー・シャフトなどのパーツ群 ぐん を別 べつ 色 しょく にメッキする事 こと により、より装飾 そうしょく としての見栄 みば えを高 たか める事 こと を狙 ねら った楽器 がっき も販売 はんばい されている。
テナーサクソフォーンのマウスピース、リガチャー、リード、およびキャップ
サクソフォーンはクラリネットのものと似 に たシングルリードマウスピース を使用 しよう する。それぞれのサイズのサクソフォーンは異 こと なるサイズのリードとマウスピースを使用 しよう する。
ほとんどのサクソフォーン奏者 そうしゃ はダンチク から作 つく られたリードを使用 しよう するが、20世紀 せいき 半 なか ばからは繊維 せんい 強化 きょうか プラスチック やその他 た の複 ふく 合 ごう 材 ざい から作 つく られたリードも作 つく られている。サクソフォーンのリードはクラリネットのリードとはわずかに違 ちが ったプロポーションで、同 おな じ長 なが さに対 たい して幅 はば が広 ひろ い。リードは様々 さまざま なブランド、スタイル、および強度 きょうど のものが市販 しはん されている。サクソフォーン奏者 そうしゃ は、強 つよ さ(硬 かた さ)や素材 そざい の異 こと なるリードを使 つか って、どの強 つよ さやカットが自分 じぶん のマウスピースやアンブシュア、生理 せいり 、演奏 えんそう スタイルに合 あ っているかを実験 じっけん する。
マウスピースの設計 せっけい は音色 ねいろ に重大 じゅうだい な影響 えいきょう を与 あた える[ 12] 。異 こと なる演奏 えんそう スタイルには、異 こと なる設計 せっけい 特性 とくせい ・特徴 とくちょう のマウスピースが好 この まれる傾向 けいこう がある。初期 しょき のマウスピースは、クラシック演奏 えんそう のための「温 あたた かみのある」、「丸 まる みのある」音 おと を出 だ すために設計 せっけい された。クラシックのマウスピースの中 なか でも、凹型(「掘 ほ り込 こ み型 がた 」)の「チャンバー」を持 も つものは、アドルフ・サックスの原初 げんしょ の設計 せっけい に忠実 ちゅうじつ である。これらは、クラシック演奏 えんそう のラッシャー (英語 えいご 版 ばん ) 派 は に好 この まれる、より柔 やわ らかな(あまり突 つ き刺 さ さらない)音色 ねいろ を与 あた える。マルセル・ミュール に影響 えいきょう されたクラシック演奏 えんそう のフランス派 は に従 したが うサクソフォーン奏者 そうしゃ は、高次 こうじ の倍音 ばいおん を比較的 ひかくてき 多 おお く含 ふく む幾分 いくぶん 「明 あか るい」音色 ねいろ のために一般 いっぱん 的 てき により小 ちい さなチャンバーを持 も つマウスピースを使用 しよう する。1920年代 ねんだい 以降 いこう のダンス楽団 がくだん やジャズアンサンブルでのサクソフォーンの使用 しよう は、「ダイナミックレンジ 」と遠 とお 達 たち 性 せい (プロジェクション)を重視 じゅうし し、これによってマウスピースのチャンバー形状 けいじょう や先端 せんたん デザイン、金属 きんぞく 構造 こうぞう に革新 かくしん をもたらされた。クラシックのマウスピースとは対極 たいきょく にあるのが、チャンバーが小 ちい さく、先端 せんたん とチャンバーの間 あいだ のリードの上 うえ のクリアランス(隙間 すきま )が低 ひく いもので、ハイ「バッフル」と呼 よ ばれる。これらは、最大 さいだい のプロジェクションを持 も つ明 あか るい音 おと を生 う み出 だ し、アンプに接続 せつぞく された楽器 がっき の中 なか で音 おと を際立 きわだ たせるのに適 てき しており、現代 げんだい ポップスやスムースジャズ で一般 いっぱん 的 てき に使用 しよう される。
マウスピースは、加 か 硫 ゴム(エボナイト と呼 よ ばれることもある)、樹脂 じゅし 、および青銅 せいどう あるいは外科 げか 用 よう ステンレス鋼 こう (英語 えいご 版 ばん ) といった金属 きんぞく など多種 たしゅ 多様 たよう な素材 そざい で作 つく られる。これまで使 つか われたあまり一般 いっぱん 的 てき でない素材 そざい には、木 き 、ガラス、水晶 すいしょう 、磁器 じき 、骨 ほね がある。最近 さいきん 、デルリン がマウスピースの素材 そざい に加 くわ わった。
マウスピース素材 そざい のサクソフォーンの音色 ねいろ への影響 えいきょう はこれまで多 おお くの議論 ぎろん の対象 たいしょう となってきた。ラリー・ティール (英語 えいご 版 ばん ) によれば、マウスピースの素材 そざい は音 おと に、たとえあったとしても、わずかしか影響 えいきょう を与 あた えず、物理 ぶつり 的 てき な寸法 すんぽう がマウスピースに音色 ねいろ を与 あた える[ 13] 。「暗 くら く」鳴 な る金属 きんぞく 製 せい のマウスピースや「明 あか るく」鳴 な る硬質 こうしつ ゴム製 せい のマウスピースの例 れい がある。金属 きんぞく に比 くら べて硬質 こうしつ ゴムの剛性 ごうせい が低 ひく いため、金属 きんぞく を使 つか うよりも音色 ねいろ やレスポンスに影響 えいきょう を与 あた える設計 せっけい 特性 とくせい が制限 せいげん される。硬質 こうしつ ゴムの先端 せんたん 付近 ふきん に必要 ひつよう とされる追加 ついか 体積 たいせき が、口 くち の位置 いち や気流 きりゅう 特性 とくせい に影響 えいきょう を与 あた える。最近 さいきん では、ネックコルクに入 はい る「シャンク」の上 うえ のマウスピースの質量 しつりょう を増 ふ やすことが、マウスピースとネックの接続 せつぞく 部 ぶ を安定 あんてい 化 か することによって倍音 ばいおん 列 れつ の完全 かんぜん 性 せい を高 たか めるための設計 せっけい 要素 ようそ となっている。シャンク重 おも り(シャンクの上 うえ にある真鍮 しんちゅう の大 おお きな輪 わ )は、「共鳴 きょうめい と遠 とお 達 たち 性 せい 」を高 たか めるために、一部 いちぶ のデルリン 製 せい マウスピースで使用 しよう されている[ 14] 。硬質 こうしつ ゴムのボディーとがっしりした金属 きんぞく 製 せい シャンクを採用 さいよう した他 ほか の「ハイブリッド型 がた 」設計 せっけい も同様 どうよう の質量 しつりょう 分布 ぶんぷ を持 も っているものの、製品 せいひん 説明 せつめい では音 おと の特性 とくせい への寄与 きよ は強調 きょうちょう されていない[ 15] 。
アドルフ・サックス 。サクソフォーンの発明 はつめい 者 しゃ 。
サクソフォーンはベルギーの楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ 、フルート奏者 そうしゃ 、クラリネット奏者 そうしゃ であったアドルフ・サックス によって1840年 ねん 頃 ごろ に設計 せっけい された[ 3] 。ディナン 生 う まれで元々 もともと はブリュッセル を拠点 きょてん としていたサックスは、楽器 がっき 事業 じぎょう を興 おこ すために1842年 ねん にパリへ移 うつ った。サクソフォーンに取 と り組 く む前 まえ 、サックスはバスクラリネット のキイ装置 そうち と音響 おんきょう を改善 かいぜん し、低 てい 音域 おんいき を拡張 かくちょう することによっていくつかの改良 かいりょう を行 おこな った。サックスはオフィクレイド (木管 もっかん 楽器 がっき と同様 どうよう のキイを持 も つ低音 ていおん 大型 おおがた 円錐 えんすい 形 がた 金管楽器 きんかんがっき )の製作 せいさく 者 しゃ でもあった。これら2つの楽器 がっき での経験 けいけん によって、最初 さいしょ のサクソフォーンを製作 せいさく するために必要 ひつよう な技能 ぎのう と技術 ぎじゅつ を磨 みが くことができた。
バスクラリネットを改良 かいりょう した仕事 しごと の副産物 ふくさんぶつ として、サックスは金管楽器 きんかんがっき の遠 とお 達 たち 性 せい (プロジェクション)と木管 もっかん 楽器 がっき の俊敏 しゅんびん 性 せい を併 あわ せ持 も つ楽器 がっき の開発 かいはつ を始 はじ めた。サックスは、オーバーブローイング (英語 えいご 版 ばん ) で12度 ど 音程 おんてい が上 あ がるクラリネットとは異 こと なり、オクターブ でオーバーブローイングすることを望 のぞ んだ。オクターブでオーバーブローイングする楽器 がっき は、両方 りょうほう の音域 おんいき で同一 どういつ の運 うん 指 ゆび を有 ゆう する。
サックスはシングルリードマウスピースと真鍮 しんちゅう 製 せい 円錐 えんすい 形 がた 胴 どう 管 かん を持 も つ楽器 がっき を作 つく り上 あ げた。1840年代 ねんだい 初頭 しょとう には複数 ふくすう のサイズのサクソフォーンを製造 せいぞう しており、1846年 ねん 1月 がつ 28日 にち にこの楽器 がっき について15年間 ねんかん の特許 とっきょ を申請 しんせい し、取得 しゅとく した[ 16] 。この特許 とっきょ は、ソプラニーノ からコントラバス まで基本 きほん 設計 せっけい の14の型 かた (2つのカテゴリーにそれぞれ7種類 しゅるい )を網羅 もうら していた。限 かぎ られた数 かず のFとCの調 しらべ 性 せい を持 も つ楽器 がっき がサックスによって生産 せいさん されたが、E♭とB♭の調 しらべ 性 せい を持 も つ型 かた がすぐに標準 ひょうじゅん となった。当初 とうしょ はすべての楽器 がっき で、高音 こうおん 部 ぶ 譜表 ふひょう の五線 ごせん の下 した のBから五 ご 線 せん の上 うえ の3本 ほん 目 め の加 か 線 せん の半音 はんおん 下 か のE♭ までの音域 おんいき が書 か かれており、それぞれのサクソフォンの音域 おんいき は2オクターブ半 はん であった。サックスの特許 とっきょ は1866年 ねん に失効 しっこう した[ 17] 。その後 ご 、膨大 ぼうだい な数 かず の他 ほか の楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ がサクソフォーンの設計 せっけい とキイ装置 そうち に自身 じしん の改良 かいりょう を実装 じっそう した。
左手 ひだりて はトリエベール第 だい 3型 がた オーボエ 、右手 みぎて はベーム ・クラリネットを参考 さんこう にしたサックスの原初 げんしょ のキイ装置 そうち は、あまりに単純 たんじゅん で、特定 とくてい のレガートパッセージや広 ひろ い音程 おんてい を指 ゆび で演奏 えんそう するのが極 きわ めて困難 こんなん であった。このシステムは後 のち に追加 ついか キイ、連結 れんけつ 機構 きこう 、いくつかの音程 おんてい をより簡単 かんたん にするための代替 だいたい 運 うん 指 ゆび などによって発展 はってん していった。
サクソフォンの開発 かいはつ の初期 しょき には、上 うえ のキイ音域 おんいき はE、さらに五線 ごせん の上 うえ のFまで拡張 かくちょう された。1880年代 ねんだい 、サクソフォーンのための楽譜 がくふ はローBからFの音域 おんいき で書 か かれた。1887年 ねん 、ビュッフェ・クランポン 社 しゃ がベルの延長 えんちょう と音域 おんいき をB♭ まで半音 はんおん 下 か に拡張 かくちょう するための追加 ついか キイの追加 ついか に関 かん する特許 とっきょ を取得 しゅとく した[ 18] 。この拡張 かくちょう は現代 げんだい のほとんどの設計 せっけい において標準 ひょうじゅん となっている。バリトンサクソフォーンは例外 れいがい でさらにローAまで音域 おんいき が拡張 かくちょう された。最 さい 高音 こうおん がFの高 こう 音域 おんいき は、現代 げんだい サクソフォーンでアルティッシモF♯ が一般 いっぱん 的 てき となるまでの1世紀 せいき 近 ちか くにわたって標準 ひょうじゅん であり続 つづ けた。
1840年代 ねんだい と1850年代 ねんだい 、サックスの発明 はつめい は小 ちい さなクラシックアンサンブル(サクソフォーンアンサンブルと混合 こんごう アンサンブルの両方 りょうほう )においてや、独奏 どくそう 楽器 がっき として、またフランスとイギリスの軍楽隊 ぐんがくたい において使 つか われるようになった。サクソフォーンの教則 きょうそく 本 ほん が出版 しゅっぱん され、サクソフォーン指導 しどう がフランス、スイス、ベルギー、スペイン、およびイタリアのコンセルヴァトワール (音楽 おんがく 院 いん )で提供 ていきょう された。1856年 ねん までに、ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽 かんげんがく 団 だん は8本 ほん のサクソフォーンを編成 へんせい に含 ふく んでいた。サクソフォーンは管弦楽 かんげんがく 曲 きょく においても実験 じっけん 的 てき に使 つか われたが、オーケストラの楽器 がっき として広 ひろ く使 つか われるようにはならなかった。1853年 ねん から1854年 ねん に、ルイ・アントワーヌ・ジュリアン のオーケストラは米国 べいこく コンサートツアーでソプラノサクソフォーンを一員 いちいん として加 くわ えた[ 19] 。
ヨーロッパのクラシック音楽 おんがく 界 かい からの関心 かんしん と支持 しじ を受 う けていた初期 しょき の時期 じき を経 へ て、19世紀 せいき 終 お わり頃 ころ には彼 かれ らのサクソフォーンへの関心 かんしん は薄 うす れていった。パリ音楽 おんがく 院 いん では1870年 ねん から1900年 ねん までサクソフォーンの教育 きょういく が中断 ちゅうだん され、その間 あいだ クラシックのサクソフォーンレパートリーは停滞 ていたい した[ 16] 。しかしこの時期 じき に、第 だい 22連隊 れんたい 楽団 がくだん のリーダーであるパトリック・ギルモア と、オランダからの移住 いじゅう 者 しゃ であり、サックスと家業 かぎょう の関係 かんけい を持 も つサクソフォーン奏者 そうしゃ のエドワード・A・ルフェーブル (英語 えいご 版 ばん ) の努力 どりょく によって、サクソフォーンがアメリカで普及 ふきゅう し始 はじ めた。ルフェーブルは、イギリスのオペラ団 だん のクラリネット奏者 そうしゃ として着任 ちゃくにん した後 のち 、1872年 ねん 初頭 しょとう にニューヨークに移住 いじゅう した。ギルモアはその夏 なつ 、ボストンで開催 かいさい された世界 せかい 平和 へいわ 記念 きねん 国際 こくさい 音楽 おんがく 祭 さい (英語 えいご 版 ばん ) を主催 しゅさい した。ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽 かんげんがく 団 だん が演奏 えんそう を行 おこな い、ルフェーブルはその催 もよお し物 もの のためのグレート・フェスティバル・オーケストラのクラリネット奏者 そうしゃ として参加 さんか した[ 20] 。1873年 ねん 秋 あき 、ギルモアはギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽 かんげんがく 団 だん の影響 えいきょう の下 した で第 だい 22連隊 れんたい 楽団 がくだん を再 さい 編成 へんせい し、前年 ぜんねん にニューヨークでサクソフォーン奏者 そうしゃ としての名声 めいせい を確立 かくりつ していたルフェーブルを採用 さいよう した。ギルモアの楽団 がくだん はすぐにソプラノ・アルト・テナー・バリトンのサクソフォーン・セクションを編成 へんせい し、サクソフォーン・セクションは四重奏 しじゅうそう 団 だん としても演奏 えんそう を行 おこな った。ギルモアとルフェーブルの連携 れんけい は1892年 ねん にギルモアが亡 な くなるまで続 つづ いたが、その間 あいだ 、ルフェーブルは様々 さまざま な規模 きぼ や楽器 がっき 編成 へんせい のより小規模 しょうきぼ なアンサンブルで演奏 えんそう し、作曲 さっきょく 家 か と協力 きょうりょく してサクソフォーンのための軽快 けいかい なクラシックやポピュラーのレパートリーを増 ふ やした[ 21] 。
ルフェーブルのその後 ご の促進 そくしん 活動 かつどう は、サックスの普及 ふきゅう に極 きわ めて大 おお きな意味 いみ を持 も った。1880年代 ねんだい の終 お わり頃 ころ から、ルフェーブルは金管楽器 きんかんがっき メーカーのC.G. コーン (英語 えいご 版 ばん ) に助言 じょげん を求 もと め、高価 こうか で、手 て に入 はい りにくく、機械 きかい 的 てき に信頼 しんらい 性 せい の低 ひく いヨーロッパの楽器 がっき に代 か わる改良 かいりょう 型 がた のサクソフォーンを開発 かいはつ し、アメリカ市場 いちば 向 む けに生産 せいさん を開始 かいし した。1890年代 ねんだい 初頭 しょとう には、コーンとその分社 ぶんしゃ であるブッシャー・マニュファクチャリング・カンパニー (英語 えいご 版 ばん ) でサクソフォーンの定期 ていき 的 てき な生産 せいさん が開始 かいし され、サクソフォーンがアメリカで飛躍 ひやく 的 てき に入手 にゅうしゅ し易 やす くなった。ルフェーブルは、音楽 おんがく 出版 しゅっぱん 者 もの カール・フィッシャー (英語 えいご 版 ばん ) と協力 きょうりょく して、サクソフォーンのためのトランスクリプション 、編曲 へんきょく 、およびオリジナル作品 さくひん を配布 はいふ したり、コーン音楽 おんがく 院 いん と協力 きょうりょく して、アメリカでのサクソフォーン教育 きょういく の発展 はってん に尽力 じんりょく した。ルフェーブルとコーン社 しゃ 、フィッシャーとの関係 かんけい は20世紀 せいき の最初 さいしょ の10年 ねん まで続 つづ き、フィッシャーは死後 しご もルフェーブルの作品 さくひん を新 あら たに編曲 へんきょく したものの出版 しゅっぱん を続 つづ けた[ 22] 。
20世紀 せいき 初頭 しょとう の成長 せいちょう と発達 はったつ [ 編集 へんしゅう ]
サクソフォーンはクラシック音楽 おんがく の世界 せかい では重要 じゅうよう 性 せい が取 と るに足 た らないままで、主 おも に目新 めあたら しい楽器 がっき とみなされていたが、20世紀 せいき 初 はじ めの数 すう 十 じゅう 年間 ねんかん にはサクソフォーンのための多 おお くの新 あたら しい音楽 おんがく 的 てき ニッチが確立 かくりつ された。世紀 せいき の変 か わり目 め には、ヴォードヴィル やラグタイム 楽団 がくだん での初期 しょき の使用 しよう が、ダンス楽団 がくだん 、そして最終 さいしゅう 的 てき にはジャズ での使用 しよう の基礎 きそ を築 きず いた。アメリカではサクソフォーンの市場 いちば が拡大 かくだい するにつれ、製造 せいぞう 業 ぎょう も成長 せいちょう した。1905年 ねん から1912年 ねん にかけてマーチン・バンド・インストゥルメント・カンパニー (英語 えいご 版 ばん ) がサクソフォーンの製造 せいぞう を開始 かいし し、1916年 ねん にはクリーヴランド・バンド・インストゥルメント・カンパニーがH・N・ホワイト・カンパニー (英語 えいご 版 ばん ) との契約 けいやく の下 した でサクソフォーンの製造 せいぞう を開始 かいし した。ピアノと同 おな じ楽譜 がくふ 、同 おな じ調 ちょう で演奏 えんそう するためのCソプラノ およびCメロディ (アルトとテナーの間 あいだ )の導入 どうにゅう により、カジュアル市場 いちば 向 む けにサクソフォーンを販売 はんばい 促進 そくしん した。このような楽器 がっき の生産 せいさん は大 だい 恐慌 きょうこう の間 あいだ に止 と まった。1920年代 ねんだい には、フレッチャー・ヘンダーソン ・オーケストラやデューク・エリントン ・オーケストラの影響 えいきょう を受 う けて、サクソフォーンがジャズ楽器 がっき として使用 しよう されるようになった。1920年代 ねんだい 後半 こうはん から1930年代 ねんだい 初頭 しょとう にかけて、主 おも にマルセル・ミュール とシーグルト・ラッシャー の努力 どりょく により、クラシックサクソフォーンの近代 きんだい 化 か が始 はじ まり、サクソフォーンのためのクラシックのレパートリーが急速 きゅうそく に拡大 かくだい した。
よりダイナミックでより技術 ぎじゅつ 的 てき に要求 ようきゅう される演奏 えんそう スタイルにサクソフォーンが使用 しよう されたことが、キイ装置 そうち と音響 おんきょう 設計 せっけい の改善 かいぜん の動機 どうき を与 あた えた。初期 しょき のサクソフォーンは、アルトやより大型 おおがた のサクソフォーンに必要 ひつよう な2つのオクターブ・ベントを制御 せいぎょ するために、左手 ひだりて の親指 おやゆび で操作 そうさ する2つの独立 どくりつ したオクターブキイを持 も っていた。世紀 せいき の変 か わり目 め のキイ装置 そうち の大 おお きな進歩 しんぽ は、左手 ひだりて の親指 おやゆび を使 つか って1つのオクターブキイで2つのオクターブ・ベントを操作 そうさ する機構 きこう の開発 かいはつ であった。キイ装置 そうち の人間 にんげん 工学 こうがく に基 もと づいた設計 せっけい は、1920年代 ねんだい から1930年代 ねんだい にかけて急速 きゅうそく に進化 しんか した。1920年代 ねんだい には、ハイEとFの代替 だいたい 運 うん 指 ゆび に対応 たいおう したフロントF機構 きこう とスタックリンクG♯ キイアクションが標準 ひょうじゅん となり、その後 ご 、G♯ とベルキイを制御 せいぎょ する左手 ひだりて テーブルキイ機構 きこう の改良 かいりょう が行 おこな われた。1920年代 ねんだい から1930年代 ねんだい にかけての新 あたら しいボア設計 せっけい は、優 すぐ れたイントネーション 、ダイナミックレスポンス、音色 ねいろ の質 しつ の向上 こうじょう の探求 たんきゅう からもたらされた。1920年代 ねんだい は、ブッシャーのストレート・アルトおよびテナー、キング・Saxello ・ソプラノ、F管 かん のC.G. コーン・メゾ・ソプラノ・サクソフォーン、イングリッシュホルン とのハイブリッドであるConn-O-Sax サクソフォーンといった設計 せっけい の実験 じっけん の時代 じだい でもあった。
サックスの現代 げんだい 的 てき な配置 はいち 設計 せっけい は1930年代 ねんだい から1940年代 ねんだい にかけて登場 とうじょう し、まずバリトンではC.G. コーン 、アルトとテナーではキング が右側 みぎがわ のベルキイを導入 どうにゅう した。左手 ひだりて テーブルの機構 きこう は、1936年 ねん にセルマー 社 しゃ がバランスド・アクション (英語 えいご 版 ばん ) 楽器 がっき で革命 かくめい を起 お こし、右側 みぎがわ のベルキイ配置 はいち を採用 さいよう しました。1948年 ねん 、セルマー社 しゃ は左右 さゆう のキイを「オフセット」したスーパーアクション・サクソフォーンを発表 はっぴょう した。セルマーが最終 さいしゅう 的 てき なレイアウトを考案 こうあん してから30年 ねん から40年 ねん の間 あいだ に、この配置 はいち 設計 せっけい は学生 がくせい からプロのモデルまで、ほぼ全 すべ てのサックスに採用 さいよう された。
ハイF♯ キイは、バランスド・アクション・モデルのオプションとして最初 さいしょ に導入 どうにゅう されたが、初期 しょき の実装 じっそう ではイントネーションに悪影響 あくえいきょう を与 あた えると認識 にんしき されていたため、受 う け入 い れられるまでに数 すう 十 じゅう 年 ねん を要 よう した[ 23] 。
香港 ほんこん でサクソフォーンを演奏 えんそう する米 べい 海軍 かいぐん 第 だい 七 なな 艦隊 かんたい 音楽 おんがく 隊 たい の水兵 すいへい 。
サクソフォーンの音響 おんきょう 的 てき 性格 せいかく から、クラシックのみならずジャズやポップス、映画 えいが や劇 げき 伴 とも のサウンドトラックで使用 しよう されることも多 おお い。
西洋 せいよう 音楽 おんがく ではその音色 ねいろ と機能 きのう 性 せい を活 い かした独奏 どくそう 曲 きょく や、管弦楽 かんげんがく への使用 しよう 例 れい が特 とく に近代 きんだい 音楽 おんがく 以降 いこう 、多 おお く見 み られるようになった。フランス語 ふらんすご 圏 けん は比較的 ひかくてき 早期 そうき にこの楽器 がっき を好 この んだようだが、ドイツ語 ご 圏 けん は戦後 せんご まで遅 おく れた。
サックスは最初 さいしょ に軍楽隊 ぐんがくたい で人気 にんき を博 はく した。ドイツでは当初 とうしょ は無視 むし されていたが、フランスやベルギーの軍楽隊 ぐんがくたい はいち早 はや くこの楽器 がっき をアンサンブルに取 と り入 い れた。ほとんどのフランスやベルギーの軍楽隊 ぐんがくたい は少 すく なくとも、E♭ バリトン、B♭ テナー、E♭ アルト、B♭ ソプラノから成 な る4人組 にんぐみ のサクソフォーンを編成 へんせい に含 ふく んでいる。これらの4つの楽器 がっき は、サクソフォーンの中 なか で最 もっと も人気 にんき があることが示 しめ されてきた。E♭ コントラバスとB♭ バスは通常 つうじょう 、非 ひ 現実 げんじつ 的 てき な大 おお きさで、E♭ ソプラニーノは力強 ちからづよ さが不十分 ふじゅうぶん であると考 かんが えられている。イギリスの軍楽隊 ぐんがくたい では、最低 さいてい でも2人 ふたり のサックス奏者 そうしゃ をアルトとテナーに配置 はいち する傾向 けいこう がある[要 よう 出典 しゅってん ] 。
サクソフォーンはコンサート・バンド に導入 どうにゅう され、大抵 たいてい はE♭ アルトサクソフォーン、B♭ テナーサクソフォーン、E♭ バリトンサクソフォーンが求 もと められる。コンサート・バンドでは、アルトが2人 ふたり 、テナーが1人 ひとり 、バリトンが1人 ひとり の場合 ばあい もある。また、B♭ ソプラノサクソフォーンを使 つか うこともあるが、その場合 ばあい は第 だい 一 いち アルトサクソフォーン奏者 そうしゃ が演奏 えんそう する。B♭バスサクソフォーンは、一部 いちぶ のコンサート・バンド音楽 おんがく (特 とく にパーシー・グレインジャー の作品 さくひん )で使用 しよう されている[ 24] 。
サクソフォーンは、サクソフォーン四 よん 重奏 じゅうそう やその他 た の室内楽 しつないがく の編成 へんせい で使用 しよう される。クラシックのサクソフォーン四 よん 重奏 じゅうそう は、B♭ ソプラノサクソフォーン、E♭ アルトサクソフォーン、B♭ テナーサクソフォーン、E♭ バリトンサクソフォーン(SATB)で構成 こうせい される。時折 ときおり 、ソプラノが第 だい 2アルトサクソフォーン(AATB)と入 い れ替 か わることもある。プロのサクソフォーン四 よん 重奏 じゅうそう 団 だん の中 なか には、ジェームズ・フェイ (英語 えいご 版 ばん ) のアルトカルテット[ 25] (4本 ほん のアルト)のように、非 ひ 標準 ひょうじゅん 的 てき な楽器 がっき 編成 へんせい を取 と り入 い れたものもある。
サックスを知 し るフランスの作曲 さっきょく 家 か を中心 ちゅうしん に、SATB (英語 えいご 版 ばん ) 器楽 きがく 編成 へんせい 法 ほう のための19世紀 せいき にさかのぼるクラシックの作曲 さっきょく と編曲 へんきょく のレパートリーがある。しかし、サクソフォーンのための室内楽 しつないがく 作品 さくひん の大 だい 部分 ぶぶん は、1928年 ねん にマルセル・ミュール によって開始 かいし された近代 きんだい クラシックサクソフォーンの時代 じだい のものである。シグルート・ラッシャー は、1931年 ねん からオーケストラ作品 さくひん においてソリストとして活躍 かつやく し、現代 げんだい クラシックサクソフォーンのレパートリーの発展 はってん にも大 おお きく貢献 こうけん した。ミュール四 よん 重奏 じゅうそう 団 だん は、そのメンバーが示 しめ した技術 ぎじゅつ 水準 すいじゅん の高 たか さ と、近代 きんだい 四 よん 重奏 じゅうそう レパートリーの発展 はってん に中心 ちゅうしん 的 てき な役割 やくわり を果 は たしたことから、四重奏 しじゅうそう の原型 げんけい であると考 かんが えられている。しかし、ミュールのアンサンブルよりも前 まえ にも、組織 そしき された四重奏 しじゅうそう 団 だん は存在 そんざい した。その代表 だいひょう 的 てき な例 れい は、1873年 ねん から1893年 ねん にかけてパトリック・ギルモア の第 だい 22連隊 れんたい 楽団 がくだん の一部 いちぶ だったエドワード・A・ルフェーブル (1834年 ねん - 1911年 ねん )が率 ひき いた四重奏 しじゅうそう 団 だん である[ 21] 。
20世紀 せいき と21世紀 せいき には、サクソフォーンの交響 こうきょう 楽団 がくだん での人気 にんき が高 たか まった。また、オペラや合唱 がっしょう などのジャンルでも使用 しよう されてきた。多 おお くのミュージカル の楽譜 がくふ には、サクソフォーンのパートが含 ふく まれており、時 とき には他 た の木管 もっかん 楽器 がっき や金管楽器 きんかんがっき と持 も ち替 か えることもある。
サクソフォーンを使 つか った室内楽 しつないがく 曲 きょく [ 編集 へんしゅう ]
サクソフォーンを使 つか った管弦楽 かんげんがく 曲 きょく [ 編集 へんしゅう ]
サクソフォーンは吹奏楽 すいそうがく の標準 ひょうじゅん 的 てき な編成 へんせい に含 ふく まれる。例 たと えば、アルフレッド・リード 作曲 さっきょく 『アルメニアン・ダンス パート1 』の編成 へんせい はアルト(1st, 2nd)、テナー、バリトン、バス(オプション)を含 ふく む。
SSストックホルム (英語 えいご 版 ばん ) 。第 だい 369歩兵 ほへい 連隊 れんたい 楽団 がくだん とリーダーのジェームズ・リース・ユーロップ中佐 ちゅうさ (1918年 ねん - 1919年 ねん 、冬 ふゆ )。
世紀 せいき の変 か わり目 め にアメリカでサクソフォーンが普及 ふきゅう したのと同時 どうじ に、ラグタイム 音楽 おんがく が台頭 たいとう した。ラテン系 けい やアフリカ系 けい アメリカ人 じん のリズムの影響 えいきょう を受 う けたラグタイムのシンコペーション を特徴 とくちょう とするバンドは、アメリカの文化 ぶんか 的 てき 景観 けいかん の中 なか で刺激 しげき 的 てき な新 あたら しい特徴 とくちょう であり、新 あたら しいダンスのスタイルの基礎 きそ を提供 ていきょう した。ラグタイムを演奏 えんそう するブラスバンド の中 なか で最 もっと もよく知 し られているのは、W・C・ハンディ (英語 えいご 版 ばん ) とジェームズ・リース・ユーロップ (英語 えいご 版 ばん ) が率 ひき いるサクソフォーンを含 ふく んだバンドであった。ユーロップの第 だい 369歩兵 ほへい 連隊 れんたい 楽団 がくだん は、1918年 ねん のツアー中 ちゅう にフランスでラグタイムを広 ひろ めた[ 28] 。ラグタイムの人気 にんき に続 つづ いて、1920年代 ねんだい にはダンスバンドが台頭 たいとう してきた。サクソフォーンは同 どう 時期 じき にヴォードヴィル ショーでも使用 しよう された。ラグタイム、ヴォードヴィル、ダンスバンドはアメリカの多 おお くの人々 ひとびと にサクソフォーンを紹介 しょうかい した。ルディ・ウィードフ (英語 えいご 版 ばん ) は、この時期 じき に最 もっと も有名 ゆうめい なサクソフォーン・スタイリスト、ヴィルトゥオーソ となり、1920年代 ねんだい のサクソフォーン熱 ねつ をもたらした[ 29] 。
ジャズ楽器 がっき としてのサクソフォーンの台頭 たいとう は、1920年代 ねんだい 初頭 しょとう にダンスバンドに広 ひろ く採用 さいよう されたことがきっかけとなった。1923年 ねん に結成 けっせい されたフレッチャー・ヘンダーソン ・オーケストラは、即興 そっきょう 演奏 えんそう をバックアップするための編曲 へんきょく を行 おこな い、ジャズの最初 さいしょ の要素 ようそ を大 だい 規模 きぼ なダンスバンドのフォーマットにもたらしました[ 30] 。フレッチャー・ヘンダーソン・オーケストラの革新 かくしん 的 てき な演奏 えんそう に続 つづ き、デューク・エリントン ・オーケストラやジーン・ゴールドケット (英語 えいご 版 ばん ) のビクター・レコーディング・オーケストラ (英語 えいご 版 ばん ) では、サクソフォーンやその他 た の楽器 がっき を使 つか ったジャズ・ソロを披露 ひろう した。ダンスバンドとジャズの結 むす びつきは、1930年代 ねんだい のスウィング・ミュージック で頂点 ちょうてん を迎 むか えた。1930年代 ねんだい のスウィングバンドの影響 えいきょう を受 う けた大 だい 規模 きぼ なショー・バンド形式 けいしき は、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご 、人気 にんき ボーカリストやステージショーのバッキングとして使用 しよう され、ビッグバンド・ジャズの基礎 きそ となりました。サクソフォーン・セクションを持 も つショーバンドは、戦後 せんご のテレビ番組 ばんぐみ にも出演 しゅつえん した。
ジャズ初期 しょき に最 もっと も影響 えいきょう を受 う けたサクソフォーンのスタイリスト、コールマン・ホーキンス (1945年 ねん 頃 ごろ )。
コールマン・ホーキンス は、1923年 ねん から1934年 ねん にかけてフレッチャー・ヘンダーソンと共演 きょうえん した際 さい に、テナーサクソフォーンをジャズのソロ楽器 がっき として確立 かくりつ した。ホーキンスのアルペジオ 、豊 ゆた かな音色 ねいろ 、ビブラート を多用 たよう したスタイルは、レスター・ヤング 以前 いぜん のスウィング時代 じだい のテナー奏者 そうしゃ に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えた。彼 かれ の影響 えいきょう を直接 ちょくせつ 受 う けたテナー奏者 そうしゃ には、チュー・ベリー (英語 えいご 版 ばん ) 、チャーリー・バーネット (英語 えいご 版 ばん ) 、テックス・ベネキー 、ベン・ウェブスター 、ヴィド・ムッソ (英語 えいご 版 ばん ) 、ハーシェル・エヴァンス 、バディ・テイト (英語 えいご 版 ばん ) 、ドン・バイアス (英語 えいご 版 ばん ) などがいる[ 5] 。ホーキンスのバンド仲間 なかま であるベニー・カーター とデューク・エリントンのアルトサクソフォーン奏者 そうしゃ ジョニー・ホッジス はスウィング時代 じだい のアルト・スタイルに影響 えいきょう を与 あた え、ハリー・カーニー はデューク・エリントン・オーケストラでバリトンサクソフォーンを有名 ゆうめい にした。ニューオーリンズの奏者 そうしゃ 、シドニー・ベシェ は1920年代 ねんだい にソプラノサクソフォーンを演奏 えんそう することで知 し られるようになった。ベシェは「小 ちい さな花 はな (可愛 かわい い花 はな )」の作曲 さっきょく 者 しゃ でもある。
1920年代 ねんだい にニューオーリンズ・ジャズ からシカゴスタイルのジャズが進化 しんか していく中 なか で、その特徴 とくちょう の一 ひと つは、アンサンブルにサクソフォーンを加 くわ えたことであった。シカゴの小規模 しょうきぼ なアンサンブルは、ニューオーリンズや大 だい 編成 へんせい バンドよりも即興 そっきょう 的 てき な自由 じゆう 度 ど が高 たか く、サクソフォーン奏者 そうしゃ ジミー・ドーシー (英語 えいご 版 ばん ) (アルト)、フランキー・トランバウアー (英語 えいご 版 ばん ) (Cメロディ)、バド・フリーマン (英語 えいご 版 ばん ) (テナー)、スタンプ・エヴァンス (バリトン)の革新 かくしん 性 せい を育 はぐく んでいった。ドーシーとトランバウアーは、テナーサクソフォーン奏者 そうしゃ のレスター・ヤングに重要 じゅうよう な影響 えいきょう を与 あた えた[ 5] 。
レスター・ヤングのテナーサクソフォーンへのアプローチはホーキンスのものとは異 こと なり、よりメロディックな「直線 ちょくせん 的 てき 」な演奏 えんそう を重視 じゅうし し、コード構造 こうぞう を織 お り交 ま ぜながら、曲 きょく によって指示 しじ されたものとは異 こと なるより長 なが いフレーズを演奏 えんそう していた。ヤングはビブラートをあまり使 つか わず、演奏 えんそう しているパッセージに合 あ わせて演奏 えんそう している。音色 ねいろ は1930年代 ねんだい の同 どう 時代 じだい 人 じん よりも滑 なめ らかで暗 くら い。ヤングの演奏 えんそう は、アル・コーン 、スタン・ゲッツ 、ズート・シムズ 、デクスター・ゴードン 、ウォーデル・グレイ (英語 えいご 版 ばん ) 、リー・コニッツ 、ウォーン・マーシュ 、チャーリー・パーカー 、アート・ペッパー などの現代 げんだい ジャズ・サクソフォーン奏者 そうしゃ に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えた[ 5] 。
チャーリー・パーカー 。ビバップ革命 かくめい のリーダー。1947年 ねん 。
1930年代 ねんだい 後半 こうはん にレスター・ヤングがカウント・ベイシー・オーケストラ (英語 えいご 版 ばん ) と共演 きょうえん したことや、ホーキンスが1939年 ねん に録音 ろくおん した「ボディ・アンド・ソウル (英語 えいご 版 ばん ) 」が人気 にんき を博 はく したことで、サクソフォーンはニューオーリンズでのジャズの始 はじ まり以来 いらい ジャズの代表 だいひょう 的 てき な楽器 がっき であったトランペットに匹敵 ひってき するほどの影響 えいきょう 力 りょく を持 も つようになった。しかし、サクソフォーンがジャズに与 あた えた最大 さいだい の影響 えいきょう は、数 すう 年 ねん 後 ご 、アルトサクソフォーン奏者 そうしゃ のチャーリー・パーカーが、何 なに 世代 せだい にもわたるジャズ・ミュージシャンに影響 えいきょう を与 あた えたビバップ 革命 かくめい のアイコンとなった時 とき に起 おこ った。ビバップやポストビバップのジャズアンサンブルの小 しょう グループ形式 けいしき は、1940年代 ねんだい にチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー 、セロニアス・モンク 、バド・パウエル らが活躍 かつやく した。
1950年代 ねんだい の著名 ちょめい なアルト奏者 そうしゃ には、ソニー・スティット 、キャノンボール・アダレイ 、ジャッキー・マクリーン 、ルー・ドナルドソン 、ソニー・クリス 、ポール・デスモンド などがおり、著名 ちょめい なテナー奏者 そうしゃ には、レスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、デクスター・ゴードン 、ジョン・コルトレーン 、ソニー・ロリンズ 、スタン・ゲッツ 、ズート・シムズ 、ラッキー・トンプソン などがいた。サージ・チャロフ 、ジェリー・マリガン 、ペッパー・アダムス 、レオ・パーカー はバリトンサクソフォーンにソロ楽器 がっき としての注目 ちゅうもく を集 あつ めさせた。スティーヴ・レイシー はモダンジャズの文脈 ぶんみゃく でソプラノサクソフォーンに新 あら たな注目 ちゅうもく を集 あつ め、ジョン・コルトレーンは1960年代 ねんだい にソプラノサクソフォーンの人気 にんき を高 たか めました。フュージョン、スムーズジャズ ミュージシャンのケニーG もソプラノサクソフォーンを主 おも な楽器 がっき として使用 しよう している[ 31] 。
ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン 、サム・リヴァース 、ファラオ・サンダース といったサクソフォーン奏者 そうしゃ は、1960年代 ねんだい の前衛 ぜんえい 的 てき な動 うご きで創造 そうぞう 的 てき な探求 たんきゅう の最前線 さいぜんせん を定義 ていぎ した。モード・ジャズ 、ハーモロディクス (英語 えいご 版 ばん ) 、フリー・ジャズ と共 とも に提供 ていきょう された新 あら たな領域 りょういき は、サクソフォーン奏者 そうしゃ が思 おも いつくあらゆる発明 はつめい 品 ひん を使 つか って探求 たんきゅう された。前衛 ぜんえい 運動 うんどう の影響 えいきょう の一 ひと つは、サクソフォーンにおける非 ひ 西洋 せいよう 的 てき な民族 みんぞく 音楽 おんがく の探求 たんきゅう である。アルトサクソフォーン奏者 そうしゃ のスティーヴ・コールマン やグレッグ・オズビー のように、前衛 ぜんえい と他 た のカテゴリーのジャズの境界 きょうかい 線 せん に挑戦 ちょうせん するジャンルでも、前衛 ぜんえい ジャズは影響 えいきょう 力 りょく を持 も ち続 つづ けている。
イリノイ・ジャケー (英語 えいご 版 ばん ) 、R&Bサクソフォーンの初期 しょき の実力 じつりょく 者 しゃ 。1941年 ねん 。
1940年代 ねんだい の「ジャンプ・スウィング」バンドはリズム・アンド・ブルース を生 う み出 だ した。これは、ホーンセクションとブルース の音色 ねいろ をベースにメロディックなセンスで演奏 えんそう するサクソフォーンの高揚 こうよう 感 かん のある力強 ちからづよ い音色 ねいろ で重 おも くリズム感 かん のあるスタイルを特徴 とくちょう とした。イリノイ・ジャケー 、サム・ブテラ (英語 えいご 版 ばん ) 、アーネット・コブ 、ジミー・フォレスト (英語 えいご 版 ばん ) はR&Bのテナー・スタイルに大 おお きな影響 えいきょう を与 あた え、ルイ・ジョーダン 、エディ・"クリーンヘッド"・ヴィンソン (英語 えいご 版 ばん ) 、アール・ボスティック (英語 えいご 版 ばん ) 、ブル・ムース・ジャクソン (英語 えいご 版 ばん ) はアルトに大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えた。
R&Bサクソフォーン奏者 そうしゃ は、後 ご のスカ 、ソウル 、ファンク などのジャンルに影響 えいきょう を与 あた えた。ジョニー・オーティス (英語 えいご 版 ばん ) とレイ・チャールズ がホーン・セクションをフィーチャーし、ザ・メンフィス・ホーンズ (英語 えいご 版 ばん ) 、フェニックス・ホーンズ (英語 えいご 版 ばん ) 、タワー・オブ・パワー がそのセクション演奏 えんそう で名 な を馳 は せるようになった。ローウェル・フルソン (英語 えいご 版 ばん ) 、T-ボーン・ウォーカー 、B.B.キング 、ギター・スリム らのシカゴや西海岸 にしかいがん のブルース・バンドにもホーン・セクションが加 くわ わった。スカのローランド・アルフォンソ、モータウンのウィリアム・ムーア(ファンク・ブラザーズ)らも活躍 かつやく した。シカゴ 、チェイス、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ といったロックとソウル、ラテンを融合 ゆうごう したブラス・ロックバンドはホーン・セクションをフィーチャーしていた。ボビー・キーズ とクラレンス・クレモンズ は、ロック・サクソフォーンのスタイリストとして活躍 かつやく した。ジュニア・ウォーカー (英語 えいご 版 ばん ) 、キング・カーティス 、メイシオ・パーカー はソウルやファンクのサクソフォーン・スタイリストとして影響 えいきょう 力 りょく を持 も ち、マイケル・ブレッカー やキャンディ・ダルファー らに影響 えいきょう を与 あた えた。アフロビートのフェラ・クティ、マヌ・ディバンゴらも注目 ちゅうもく を集 あつ めた。
サックスによる発明 はつめい 以降 いこう 、実験 じっけん 的 てき なサクソフォーンやサクソフォーン関連 かんれん 楽器 がっき が数多 かずおお く登場 とうじょう したが、そのほとんどは跡形 あとかた もなくなった。1920年代 ねんだい 初頭 しょとう には、シカゴのReiffel & Husted社 しゃ がスライドソプラノサクソフォーンを生産 せいさん した[ 32] [ 33] [ 34] 。1920年代 ねんだい には、いくつかの真 ま っ直 す ぐなアルトおよびテナーサクソフォーンがブッシャー によって生産 せいさん されたが、扱 あつか いが面倒 めんどう で持 も ち運 はこ びが難 むずか しいことが判明 はんめい した。ブッシャー社 しゃ では、あるヴォードヴィル 芸人 げいにん のための目新 めあたら しい楽器 がっき として、1本 ほん のストレート・バリトン・サクソフォーンを特注 とくちゅう で製作 せいさく した[ 35] 。C.G. コーン は1928年 ねん から1929年 ねん にかけて、Conn-O-Sax とF管 かん のメゾソプラノサクソフォーン の2つの新 あたら しい変種 へんしゅ を発表 はっぴょう した。サクソフォーンのボアとキイにヘッケルフォン に似 に た形 かたち のベルを組 く み合 あ わせたこの楽器 がっき は、イングリッシュホルン の音色 ねいろ を模倣 もほう することを目的 もくてき としたもので、1929年 ねん と1930年 ねん にのみ生産 せいさん された。この楽器 がっき はローAからハイGまでの音域 おんいき を持 も っている。コーンのメゾソプラノは、目新 めあたら しい楽器 がっき とみなされていたものの大 だい 恐慌 きょうこう の経済 けいざい 状況 じょうきょう により市場 いちば が縮小 しゅくしょう したため、同様 どうよう に生産 せいさん 期間 きかん は短 たん かかった。ほとんどがコーン社 しゃ の修理 しゅうり 訓練 くんれん の対象 たいしょう として使用 しよう された。
1920年代 ねんだい の珍 めずら しい設計 せっけい の中 なか で最 もっと も成功 せいこう したのはキングのSaxello であった。基本 きほん 的 てき には真 ま っ直 す ぐなB♭ ソプラノであるが、ネックが少 すこ し湾曲 わんきょく していてベルが先端 せんたん にある。H・N・ホワイト・カンパニー によって製作 せいさく された。このいった楽器 がっき は今 いま では4千 せん 米 あめりか ドルもの高値 たかね が付 つ く。その持続 じぞく 的 てき な影響 えいきょう 力 りょく は、カイルヴェルト 、ランポーネ&カッツァーニ (イタリア語 ご 版 ばん ) (altello モデル)、L.A.Sax、Sax Dakota USAなどの多 おお くの会社 かいしゃ が、ストレート(真 ま っ直 す ぐな)・ボア、ティップ(傾斜 けいしゃ した)・ベルのソプラノサクソフォーンをsaxello(または "saxelloソプラノ")として販売 はんばい していることに表 あらわ れている。
2つの1920年代 ねんだい の変種 へんしゅ への関心 かんしん は、ジャズ・ミュージシャンのラサーン・ローランド・カーク によって復活 ふっかつ した。カークはブッシャーのストレートアルトを "stritch"、Saxelloを "manzello" と呼 よ んだ。ブッシャーのストレートアルトは市販 しはん 品 ひん であったが、manzelloは特注 とくちゅう の大 おお きなベルと改造 かいぞう キイ装置 そうち を持 も つSaxelloであった[ 36] 。より最近 さいきん では、メゾソプラノ、またはその現代 げんだい 的 てき な変種 へんしゅ が、ジャズミュージシャンのアンソニー・ブラクストン (英語 えいご 版 ばん ) 、ジェームズ・カーター (英語 えいご 版 ばん ) 、ヴィニー・ゴリア 、ジョー・ロヴァーノ によって使用 しよう されるようになった。
オーケストラのCソプラノに似 に た大 おお きさの「コントラアルト」サクソフォーンは、20世紀 せいき 後半 こうはん にカリフォルニアの楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ ジム・シュミットによって開発 かいはつ された[ 37] 。ボアが大 おお きくなり、新 あたら しい運 うん 指 ゆび システムが導入 どうにゅう され、調 しらべ と音域 おんいき 以外 いがい はCソプラノに似 に ていない。
エッペルハイムのSoprilloサクソフォーン
ドイツ、ミュンヘンのベンディクト・エッペルハイム (英語 えいご 版 ばん ) は、サクソフォーンの最高 さいこう 音域 おんいき と最低 さいてい 音域 おんいき に最近 さいきん の新 あたら しい手法 しゅほう を取 と り入 い れた。ソプリロサックス (英語 えいご 版 ばん ) はピッコロ の大 おお きさの真 ま っ直 す ぐな楽器 がっき で、上側 うわがわ のスピーカーホールがマウスピースに組 く み込 こ まれている。元 もと のサクソフォーン族 ぞく を拡張 かくちょう したこの楽器 がっき は、B♭ ソプラノサクソフォーンよりも1オクターブ高 たか い音 おと 高 だか になっている。1999年 ねん にエッペルスハイムによって開発 かいはつ されたチューバックス [ 38] は、E♭ コントラバスサクソフォーンと同 おな じ音域 おんいき 、同 どう じ運 うん 指 ゆび で演奏 えんそう することができるが、その口径 こうけい はコントラバスサクソフォーンよりも狭 せま く、その結果 けっか 、よりコンパクトで「よりリード感 かん のある」音色 ねいろ を持 も つ楽器 がっき となった(ダブルリードのコントラバスサリュソフォーン に似 に ている)。より小型 こがた の(そしてより一般 いっぱん 的 てき に入手 にゅうしゅ 可能 かのう な)バリトンサクソフォーンのマウスピースとリードで演奏 えんそう することができる。エッペルスハイムはCとB♭ のサブコントラバス・チューバックスも製作 せいさく しており、後者 こうしゃ はこれまでに製作 せいさく された中 なか で最 もっと も低音 ていおん のサクソフォーンである。
2000年代 ねんだい に開発 かいはつ されたサクソフォーン変種 へんしゅ の中 なか でも、ベルギーの楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ フランソワ・ルイが2001年 ねん に発明 はつめい したダブルソプラノサクソフォーン「アウロクローム 」は、その代表 だいひょう 的 てき なものである。
1950年代 ねんだい 以降 いこう 、非金属 ひきんぞく 製 せい のボディを持 も つサクソフォーンが時折 ときおり 生産 せいさん されるようになった。こういった楽器 がっき は耐久 たいきゅう 性 せい や修理 しゅうり 性 せい 、キイアクションや音色 ねいろ の不備 ふび など、多 おお くの問題 もんだい を抱 かか えており、受 う け入 い れられなかった[ 39] [ 40] 。最 もっと もよく知 し られているのは、チャーリー・パーカーやオーネット・コールマンが短期間 たんきかん 使用 しよう した1950年代 ねんだい のグラフトン (英語 えいご 版 ばん ) アクリル 製 せい アルトサクソフォーンである。この楽器 がっき は、手頃 てごろ な価格 かかく のモデルとして10年 ねん 以上 いじょう 生産 せいさん された。ポリカーボネート 製 せい のビブラトサックス (英語 えいご 版 ばん ) は、金属 きんぞく 製 せい サックスに代 か わる低 てい 価格 かかく モデルとして生産 せいさん されている。木製 もくせい サワット・サクソフォーン (英語 えいご 版 ばん ) はタイで小規模 しょうきぼ に生産 せいさん されている。ボディ素材 そざい が音 おと に与 あた える影響 えいきょう については意見 いけん が分 わ かれる。
サクソフォーンの運 うん 指 ゆび は、楽器 がっき が発明 はつめい されてからわずかな変更 へんこう しか加 くわ えられていないが、1つ目 め の開 ひら いた音 おと 孔 あな の下 した のキイが閉 と じているために、一部 いちぶ の音 おと の反応 はんのう に影響 えいきょう を与 あた えたり、わずかに弱 よわ まるなど、音響 おんきょう 的 てき な問題 もんだい を内在 ないざい している。また、キイセンター間 あいだ に触覚 しょっかく の一貫 いっかん 性 せい がないため、キイセンター間 あいだ を移動 いどう する際 さい に余分 よぶん な努力 どりょく を必要 ひつよう とする。このような音響 おんきょう 的 てき な問題 もんだい と、原初 げんしょ の運 うん 指 ゆび システムの厄介 やっかい な側面 そくめん を改善 かいぜん するための以下 いか の2つの努力 どりょく は注目 ちゅうもく に値 あたい する。
ルブラン のRationaleおよびシステム[ 41] ・サクソフォーンは1つ目 め の開 ひら いた音 おと 孔 あな より下 した の閉 と じたキイに関連 かんれん する音響 おんきょう 的 てき な問題 もんだい を解決 かいけつ するために設計 せっけい されたキイ機構 きこう を持 も つ。また、他 た の運 うん 指 ゆび を半 はん 歩 ふ 先 さき の運 うん 指 ゆび と一致 いっち させながら1つのキイを押 お し下 さ げることによって、音階 おんかい の半音 はんおん 階 かい 移動 いどう を行 おこな うことができる。ルブラン・システムの特徴 とくちょう のいくつかは、1950年代 ねんだい と1960年代 ねんだい のVito Model 35サクソフォーンに組 く み込 こ まれていた。システムの利点 りてん にもかかわらず、特定 とくてい のキイ機構 きこう の複雑 ふくざつ さに関連 かんれん した費用 ひよう と機械 きかい 的 てき 信頼 しんらい 性 せい の問題 もんだい によって、受 う け入 い れられなかった[ 42] 。
半音 はんおん 階 かい (リニアフィンガリング)サクソフォーンは、楽器 がっき デザイナーでありビルダーでもあるジム・シュミットのプロジェクトである。キイに関係 かんけい なくすべての音程 おんてい 間 あいだ の触感 しょっかん と論理 ろんり 的 てき な一貫 いっかん 性 せい を最大限 さいだいげん に高 たか め、1つ目 め の開 ひら いた音 おと 孔 あな より下 した の閉 と じたキイに関連 かんれん する音響 おんきょう 的 てき な問題 もんだい を回避 かいひ するホーンを開発 かいはつ した[ 43] 。いくつかの試作 しさく 品 ひん が製作 せいさく され、展示 てんじ 会 かい で発表 はっぴょう された。この独創 どくそう 的 てき で高価 こうか なサクソフォーンの生産 せいさん は、個別 こべつ 注文 ちゅうもん 制 せい である[ 44] 。
Saxos de Bambú 。アルゼンチンのÁngel Sampedro del Río製作 せいさく 。
安価 あんか なキイを持 も たない民俗 みんぞく 版 ばん 竹 たけ 製 せい サクソフォーン(シャリュモー を想起 そうき させる)が20世紀 せいき にハワイ、ジャマイカ、タイ、インドネシア、エチオピア、アルゼンチンの楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ らによって開発 かいはつ された。ザフーン と呼 よ ばれるハワイの楽器 がっき は1980年代 ねんだい に考案 こうあん され、「bamboo sax」としても販売 はんばい されているが、その円筒 えんとう 形 がた ボア はクラリネットのものにより酷似 こくじ しており、キイ装置 そうち の欠如 けつじょ によってリコーダー に似 に た見 み た目 め となっている。ジャマイカで最 もっと もよく知 し られている同様 どうよう のタイプの竹 たけ 製 せい 「サクソフォーン」の開発 かいはつ 者 しゃ はメント ・ミュージシャンで楽器 がっき 製作 せいさく 者 しゃ のシュガー・ベリー (英語 えいご 版 ばん ) (ウィリアム・ウォーカー)であった[ 45] 。インドネシア、スラウェシ島 とう のミナハサ族 ぞく 地域 ちいき では、様々 さまざま な大 おお きさの竹 たけ 「サクソフォーン」[ 46] と金管楽器 きんかんがっき から成 な るバンドが存在 そんざい する。これらの楽器 がっき はヨーロッパの楽器 がっき を模 も したもので、現地 げんち の材料 ざいりょう を使 つか って作 つく られている。同様 どうよう の楽器 がっき はタイでも生産 せいさん されている[ 47] 。
アルゼンチンでは、Ángel Sampedro del RíoとMariana Garcíaが1985年 ねん から様々 さまざま な大 おお きさの竹 たけ 製 せい サクソフォーンを生産 せいさん してきた。大型 おおがた のものは低音 ていおん を演奏 えんそう できるように竹 たけ 製 せい キイを持 も つ[ 48] 。
多 おお くのウインドシンセサイザー はサクソフォーンのように演奏 えんそう 、指 ゆび 奏 そう される。
現在 げんざい 、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、ソプラノサックスの4種類 しゅるい がもっともよく使 つか われる。また、ソプラニーノサックスやバスサックスも使 つか われることがある。クラシック ではアルトが、また、ジャズ・ポピュラー では、アルトとテナーが標準 ひょうじゅん 的 てき に用 もち いられる。
ソプラニッシモ(ピッコロ) (Sopranissimo (piccolo) saxophone )
調 しらべ 性 せい は変 へん ロ (B♭) 調 ちょう である。演奏 えんそう される機会 きかい は滅多 めった にない。演奏 えんそう には強靭 きょうじん なアンブシュア を必要 ひつよう とする。
ソプリロ (Soprillo )
エッペルスハイム社 しゃ はソプリロ (Soprillo ) と称 しょう している。
ソプラニーノ (sopranino saxophone )
調 しらべ 性 せい は変 へん ホ (E♭)調 ちょう で、実音 みお は記 き 譜 ふ より短 たん 3度 ど 高 たか い。演奏 えんそう される機会 きかい は少 すく ないが、サクソフォーンのアンサンブルなどで用 もち いられることがある。またジャズプレイヤーが、持 も ち替 か え用 よう の楽器 がっき として使用 しよう する場合 ばあい がある。
ソプラノ (soprano saxophone )
調 しらべ 性 せい はアルトよりも完全 かんぜん 5度 ど 高 たか い変 へん ロ (B♭) 調 ちょう で、実音 みお は記 き 譜 ふ より長 ちょう 2度 ど 低 ひく い。サクソフォーン四 よん 重奏 じゅうそう においてはリーダー的 てき 存在 そんざい になる。また、テナーと同 おな じ調 ちょう 性 せい であるため、ジャズなどではテナー奏者 そうしゃ が持 も ち替 か えて演奏 えんそう することが多 おお い。略号 りゃくごう ではS.Sax[ 52] やss[ 53] と表記 ひょうき される。
本来 ほんらい はネックからベルまで円錐 えんすい 状 じょう の直 ちょく 管 かん (ストレート)であるが、 柳澤 やなぎさわ 管楽器 かんがっき がネック部分 ぶぶん が少 すこ し曲 ま がっているカーブドネックの楽器 がっき を発売 はつばい してから、音色 ねいろ の柔 やわ らかさも手伝 てつだ いカーブドネックも一般 いっぱん 的 てき になってきた。また両方 りょうほう の特性 とくせい を1本 ほん の楽器 がっき で補 おぎな う為 ため 、アルト以下 いか と同様 どうよう にネック部分 ぶぶん の分割 ぶんかつ を採用 さいよう し、ストレートとカーブドのネックを付 つ け替 か え式 しき にしたものもある(デタッチャブルネック)。カーブドソプラノと称 しょう するアルトサクソフォーン同様 どうよう 全体 ぜんたい が曲 きょく 管 かん である楽器 がっき や、サクセロと称 しょう したベル部 ぶ だけが正面 しょうめん を向 む いた楽器 がっき も存在 そんざい する。ハイF# キーを備 そな えるものの中 なか には半音 はんおん 上 じょう のハイG キーを持 も ち、実音 みお ファ (F)を出 だ せるものもある。明 あか るい音色 ねいろ のC 調 しらべ 管 かん も存在 そんざい したが、現在 げんざい は生産 せいさん されていない(C メロディを参照 さんしょう )。
オーロクローム (aulochrome )
通常 つうじょう の音色 ねいろ で(特殊 とくしゅ 奏法 そうほう の重 じゅう 音 おと ではなく)同時 どうじ に2つの音 おと を出 だ せる、二 に 重 じゅう ソプラノ・サクソフォーン。フィリップ・ボスマンがこの楽器 がっき のために「ファンファーレIII」という協奏曲 きょうそうきょく を書 か き下 お ろした。[ 注 ちゅう 3]
アルト (alto saxophone )
調 しらべ 性 せい は変 へん ホ (E♭) 調 ちょう で、実音 みお は記 き 譜 ふ より長 ちょう 6度 ど 低 ひく い。標準 ひょうじゅん 的 てき な音域 おんいき はヘ音 おん 記号 きごう のレ♭ (D♭) から約 やく 2オクターヴ半 はん 上 じょう のラ♭ (A♭)まで、ハイF# キーを備 そな えるものはその半音 はんおん 上 じょう のラ (A)までを演奏 えんそう することができる。略号 りゃくごう ではA.Sax[ 52] やas[ 53] と表記 ひょうき される。
昔 むかし の個体 こたい の中 なか には、管 かん を伸 の ばしド (C)まで演奏 えんそう できるようにしたものも稀 まれ に存在 そんざい する。吹奏楽 すいそうがく ではメロディー ラインを担当 たんとう する部分 ぶぶん が多 おお い。ソプラノと比較 ひかく してネックが大 おお きく曲 ま がり、本体 ほんたい も途中 とちゅう で折 お り返 かえ した構造 こうぞう となっている(ごく稀 まれ にネック部 ぶ 以外 いがい がほぼ直 ちょく 管 かん の「ストレートアルト」も存在 そんざい するが、一般 いっぱん 的 てき ではない)。サクソフォーンと言 い えばこの構造 こうぞう がイメージされることも多 おお く、サクソフォーンの中 なか で最 もっと も標準 ひょうじゅん 的 てき な楽器 がっき といえる。クラシカルサクソフォーンのための独奏 どくそう 曲 きょく 、協奏曲 きょうそうきょく はほとんどがアルトサクソフォーンのために書 か かれている。また、ビッグバンドのサクソフォーンセクションはアルトがセクションリーダーを務 つと め、主 しゅ 旋律 せんりつ を奏 かな でることが一般 いっぱん 的 てき である。
テナー (tenor saxophone )
調 しらべ 性 せい はアルトよりも完全 かんぜん 4度 ど 低 ひく い変 へん ロ (B♭) 調 ちょう で実音 みお は記 き 譜 ふ より1オクターヴと長 ちょう 2度 ど 低 ひく い。標準 ひょうじゅん 的 てき な音域 おんいき はヘ音 おん 記号 きごう のラ♭ (A♭)から約 やく 2オクターヴ半 はん 上 じょう のミ♭ (E♭) まで、ハイF#キーを備 そな えるものはその半音 はんおん 上 じょう のミ (E) までを演奏 えんそう することができる。略号 りゃくごう ではT.Sax[ 52] やts[ 53] と表記 ひょうき される。
アルトと比較 ひかく してネックや本体 ほんたい が長 なが く管 かん の曲 ま がりが大 おお きいが、基本 きほん 的 てき な構造 こうぞう はアルトに類似 るいじ している(アルト同様 どうよう 、ごく稀 まれ にネック部 ぶ 以外 いがい がほぼ直 ちょく 管 かん の向 む いた「ストレートテナー」も存在 そんざい するが、やはり一般 いっぱん 的 てき ではない)。アルトの次 つぎ によく使 つか われる楽器 がっき で、演奏 えんそう 者 しゃ も多 おお い。男性 だんせい 的 てき かつ豪快 ごうかい な音色 ねいろ を持 も つことから、ジャズ、ポピュラーミュージックでは幅広 はばひろ いジャンルでソロ楽器 がっき としても重用 じゅうよう されている。
C メロディ (C melody saxophone )
アドルフ・サックスは当初 とうしょ 2つのファミリーのサクソフォーンを考案 こうあん した。すなわち、現在 げんざい 使 つか われているE♭管 かん -B♭管 かん ファミリーの楽器 がっき と、F管 かん -C管 かん ファミリーのそれである。F管 かん -C管 かん の楽器 がっき はほとんど製作 せいさく されなかったが、C管 かん テナーがメロディサックスというニックネームで存在 そんざい した。調 しらべ 性 せい はハ (C)調 ちょう で、実音 みお は記 き 譜 ふ より1オクターヴ低 ひく い。20世紀 せいき 前半 ぜんはん には製造 せいぞう されていた。B♭管 かん テナーと全音 ぜんおん 違 ちが いのためあくまでテナーとして位置 いち づけるべきであろう。また、C管 かん でピアノ、ギター、オルガン、フルートやオーボエの実 じつ 音譜 おんぷ を移調 いちょう することなく、豊富 ほうふ な量 りょう の既存 きそん 楽譜 がくふ をそのまま演奏 えんそう できたため、アマチュアや教会 きょうかい 音楽 おんがく 用 よう に好 この まれた。2011年 ねん 現在 げんざい は製造 せいぞう されていないが根強 ねづよ い愛好 あいこう 家 か が存在 そんざい し、レストアされたビンテージ楽器 がっき が流通 りゅうつう している。
バリトンサクソフォーン
バリトン (bari(y)tone saxophone )
調 しらべ 性 せい は変 へん ホ (E♭) 調 ちょう で、実音 みお は記 き 譜 ふ より1オクターヴ と長 ちょう 6度 ど 低 ひく く、アルトよりも1オクターヴ低 ひく い。略号 りゃくごう ではB.Sax[ 52] やbs[ 53] と表記 ひょうき される。
一般 いっぱん 的 てき に(他 た のサクソフォーンに存在 そんざい しない)ローA キーを備 そな え、記 き 譜 ふ 上 じょう のA、すなわち実音 みお のド (C) の音 おと を出 だ すことができるが、昔 むかし の個体 こたい にはこの機構 きこう がなかったり、軽快 けいかい な音色 ねいろ を出 だ すためにこの機構 きこう を省略 しょうりゃく したりするものもある。アルトおよびテナーと比 くら べるとネック近 ちか くの本体 ほんたい に折 お り返 かえ しが設 もう けられているなどの構造 こうぞう 上 じょう の差異 さい が見 み られる。座 ざ 位 い で演奏 えんそう した際 さい に楽器 がっき 本体 ほんたい が床 ゆか に大 おお きく接近 せっきん してしまうため、ベルの折 お り返 かえ し部分 ぶぶん に一 いち 脚 きゃく が組 く み込 こ まれているものも存在 そんざい する。吹奏楽 すいそうがく ではサクソフォーンおよび木管 もっかん セクションのバス声 ごえ 部 ぶ (低音 ていおん 部 ぶ )を担当 たんとう するほか、ビッグバンド においても低 てい 声 こえ 部 ぶ を担当 たんとう する。まれにトップアルトサックスとオクターブ違 ちが いの主 しゅ 旋律 せんりつ やアドリブ ソロを吹 ふ くこともある。クラシカルサクソフォーンにおいてはアンサンブル楽器 がっき としての性格 せいかく が強 つよ いが、最近 さいきん では栃尾 とちお 克樹 かつき の様 よう にバリトンをソロ楽器 がっき として演奏 えんそう するプレイヤーも出 で てきている。ジャズにおいてはジェリー・マリガン 、ロニーキューバー 、ロック・ポップスにおいてはステファン・"ドク"・クプカ(タワー・オブ・パワー )のような著名 ちょめい なバリトンサックス奏者 そうしゃ が存在 そんざい する。
なお、管楽器 かんがっき で一般 いっぱん に「バリトン」と呼 よ ばれるバリトンホルン(ユーフォニアム )と区別 くべつ するために「バリサックス」(Bari Sax)と表現 ひょうげん されることがある。また、日本 にっぽん では「バリサク」という俗称 ぞくしょう で呼 よ ばれることもある(熊本 くまもと などの一部 いちぶ 地域 ちいき では「バリサキ」という俗称 ぞくしょう もある)。
バス (bass saxophone )
調 しらべ 性 せい はテナーよりも1オクターヴ低 ひく い変 へん ロ (B♭) 調 ちょう 。実音 みお は記 き 譜 ふ より2オクターヴと長 ちょう 2度 ど 低 ひく い。構造 こうぞう はバリトンに類似 るいじ している。大 だい 編成 へんせい の吹奏楽 すいそうがく やサクソフォーンのアンサンブルなどで用 もち いられることがある。
コントラバス (contrabass saxophone )
調 しらべ 性 せい はバリトンよりも1オクターヴ低 ひく い変 へん ホ (E♭) 調 ちょう 。世界 せかい でも数 すう 台 だい しかなく(日本 にっぽん には3台 だい しかない)、背 せ の高 たか い人 ひと 以外 いがい は演奏 えんそう 時 じ に脚立 きゃたつ を必要 ひつよう とする。サクソフォーンのアンサンブルなどで、稀 まれ に用 もち いられることがある。
チューバックス (tubax )
コントラバスが携帯 けいたい に不便 ふべん であるため、エッペルスハイム社 しゃ が管長 かんちょう を折 お り曲 ま げて作 つく ったのがこの楽器 がっき 。音域 おんいき はコントラバスと同一 どういつ だが、マウスピース はバリトンと同 おな じ物 ぶつ が使用 しよう 可能 かのう 。
サブコントラバス (Subcontrabass saxophone )
もともと存在 そんざい しなかったが、1999年 ねん にドイツのエッペルスハイム社 しゃ が初 はじ めて製作 せいさく に成功 せいこう した。世界 せかい で数 すう 本 ほん しか作 つく られていない。全長 ぜんちょう は2メートル半 はん から3メートル近 ちか い大 おお きさである。調 しらべ 性 せい はバスより1オクターヴ低 ひく い変 へん ロ調 ちょう 。同社 どうしゃ はB♭管 かん コントラバスサクソフォンと称 しょう している。
チューバックス (tubax )
エッペルスハイム社 しゃ はサブコントラバス管 かん の全 ぜん 高 こう を縮 ちぢ めたB♭管 かん チューバックスも開発 かいはつ ・製造 せいぞう している。
スラップ奏法 そうほう
舌打 したう ち。弦楽器 げんがっき のピチカート奏法 そうほう に近 ちか い弾 ひ いた音 おと を出現 しゅつげん させる。
キーノイズ奏法 そうほう
キーを素早 すばや く塞 ふさ いだ時 とき の音 おと (ノイズ)が楽器 がっき 内 ない で反響 はんきょう した音 おと を利用 りよう する。そのため低音 ていおん 楽器 がっき で大 おお きいキーほど大 おお きな音 おと が出 で る。
重 じゅう 音 おと 奏法 そうほう
マルチフォニックまたはメアクラングと呼 よ ばれる。通常 つうじょう とは違 ちが う運 うん 指 ゆび を用 もち いて和音 わおん を発生 はっせい させる。
循環 じゅんかん 呼吸 こきゅう
演奏 えんそう 中 ちゅう に口 くち の中 なか に溜 た めた空気 くうき を押 お し出 だ しながら鼻 はな から息 いき を吸 す い、連続 れんぞく して音 おと を出 だ し続 つづ ける。
マウスピース無 な し奏法 そうほう
直接 ちょくせつ 管 かん のマウスピース付 づ け口 こう に唇 くちびる を当 あ てて演奏 えんそう する。スラップと組 く み合 あ わされるが、トランペット奏法 そうほう と組 く み合 あ わせることもできる。
割 わり 音 おん 奏法 そうほう
主 おも にロックやジャズ・フュージョンなどで利用 りよう される。エレキギターのオーバードライブの様 よう な割 わ れた効果 こうか 音 おん が出 で る。ファズとグロウル(グロウトーンとも)に分 わ けられる。ファズはリードの振動 しんどう が主 おも な発生 はっせい 源 げん で主 おも に高 こう 音域 おんいき で使用 しよう され、グロウルは発声 はっせい しながら音 おと を出 だ す。グロウルは発声 はっせい できる限 かぎ りほぼ全 すべ ての音域 おんいき で使用 しよう できるが低音 ていおん では効果 こうか が薄 うす く主 おも にオクターブキーを押 お した上 うえ の音域 おんいき で利用 りよう される。
オーバートーン奏法 そうほう
最低 さいてい 音 おと またはその半音 はんおん 上 じょう と、ほぼ全 すべ てキーを塞 せ いだ状態 じょうたい (+オクターブキーを併用 へいよう )で口腔 こうくう 内 ない や喉 のど を変化 へんか させると前述 ぜんじゅつ のオーバートーンが発生 はっせい し、管長 かんちょう に相応 そうおう する倍音 ばいおん を出 だ す事 こと が出来 でき る。オーバートーンで出 で る音色 ねいろ は通常 つうじょう の運 うん 指 ゆび と音色 ねいろ が異 こと なるため、組 く み合 あ わせて吹 ふ くと通常 つうじょう とは違 ちが った音色 ねいろ でフレーズを吹 ふ く事 こと が出来 でき る。マイケル・ブレッカー が主 おも な使 つか い手 て で知 し られていた。
ハーフトーン
リードに少 すこ し舌 した を付 つ ける事 こと で少 すこ しこもった音色 ねいろ を出 だ す。長音 ちょうおん で周期 しゅうき 的 てき に利用 りよう するとビブラートとは違 ちが った効果 こうか を出 だ す事 こと ができる。
フラッタータンギング
ビッグ・ジェイ・マクニーリーら、ホンカーが使用 しよう 。
セルマー (ヘンリー・セルマー・パリ )、ヤマハ 、ヤナギサワ は生産 せいさん 本数 ほんすう が世界 せかい 屈指 くっし で「サクソフォーン3大 だい メーカー」と呼 よ ばれる[ 56] 。これにクランポン やカイルベルト など他 た メーカーが追従 ついしょう する形 かたち となっている。
^ まれにプラスチックやガラスなどで作 つく ったものもあり、チャーリー・パーカーなど著名 ちょめい 演奏 えんそう 家 か が使 つか った例 れい もある。
^ S,A,A,T,Bの5本 ほん ものサックスが使用 しよう されている。現在 げんざい でも演奏 えんそう の機会 きかい に恵 めぐ まれているオーケストラ作品 さくひん としては異例 いれい の規模 きぼ である。
^ 2002年 ねん にパリ のラジオ・フランス での演奏 えんそう 会 かい 、次 つ いで2003年 ねん にブリュッセル のアルス・ムジカ現代 げんだい 音楽 おんがく 祭 さい にて披露 ひろう された。公式 こうしき サイト
^ スカタライツ
^ ハーレム・ノクターンの演奏 えんそう で有名 ゆうめい 。
^ スタックス・レコードのハウスバンド
^ マッスル・ショールズ
^ メンフィス・ホーンズ
^ モータウンのサックス奏者 そうしゃ
^ ブラス・ロックのシカゴのメンバー
^ ブルース・スプリングスティーン
^ サックスとベースを演奏 えんそう する。クルセイダーズのメンバーだった。
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