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サクソフォーン - Wikipedia コンテンツにスキップ

サクソフォーン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Saxから転送てんそう
サクソフォーン
かく言語げんごでの名称めいしょう
えい saxophone
どく Saxophon
ふつ saxophone
sassofono
サクソフォーン
ひだりソプラノサクソフォーンみぎテナー・サクソフォーン
分類ぶんるい
キーたん楽器がっき422.212-71
音域おんいき

関連かんれん楽器がっき

軍楽隊ぐんがくたいよう:


オーケストラよう:


その:

演奏えんそうしゃ
関連かんれん項目こうもく

サクソフォーンえい: Saxophone)またはサクソフォンサキソフォンは、通常つうじょう真鍮しんちゅうせいで、たん英語えいごばん(シングルリード)マウスピース使つかって演奏えんそうされる木管もっかん楽器がっき一族いちぞくである[1]口語こうごではサックス(sax)と略称りゃくしょうばれる。

概要がいよう

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ほとんどのサクソフォーンは真鍮しんちゅうつくられているものの、金管楽器きんかんがっきのようにマウスピース英語えいごばんのカップのなかくちびる振動しんどうさせるのではなく、リード伝統でんとうてきには木質もくしつダンチクつくられている)を振動しんどうさせておとすため、木管もっかん楽器がっき分類ぶんるいされる。木管もっかん楽器がっき同様どうように、どうかん有効ゆうこうちょうえてばしら共鳴きょうめい周波数しゅうはすう制御せいぎょするためにどうかんあなおおうことで、演奏えんそうされるおとだか制御せいぎょする[2]奏者そうしゃキーすことであなふさぐあるいは開放かいほうする。

サクソフォーンは、クラシック音楽おんがくコンサートバンド室内楽しつないがく、ソロレパートリー、ときにはオーケストラなど)、軍楽隊ぐんがくたいマーチングバンドジャズビッグバンドやジャズコンボなど)、現代げんだい音楽おんがく使用しようされている。また、独奏どくそう楽器がっきおよび旋律せんりつ楽器がっきとして、あるいはロックンロールポピュラー音楽おんがくのいくつかのスタイルではホーンセクション英語えいごばん一員いちいんとしても使用しようされる。

1840年代ねんだい初頭しょとうベルギー楽器がっき製作せいさくしゃアドルフ・サックスによって最初さいしょのサクソフォーンが発明はつめいされて以来いらい[3]、サクソフォーンぞくない移調いちょうおよび調律ちょうりつ基準きじゅんによって区別くべつされる様々さまざま楽器がっきぐんされてきた。サックスは1846ねん6がつ28にちにサクソフォーンの特許とっきょ取得しゅとくした(2つのグループ。それぞれ7種類しゅるい)。それぞれのグループは、おとだかによってならべられた楽器がっき構成こうせいされており、調しらべ交互こうごになっている。標準ひょうじゅんおんだかがBとEのグループがすぐに支配しはいてきになり、今日きょうられるほとんどのサクソフォーンがこれらのグループにぞくする。標準ひょうじゅんおんだかがCとFの楽器がっき定着ていちゃくすることはなく、サックスによって製作せいさくされた楽器がっきのごく一部いちぶまる。A = 440 Hzへるつの(コンサートよう基準きじゅんよりもたか調律ちょうりつされた「ハイピッチ」("H "または "HP "とも表記ひょうきされている)サクソフォーンは、屋外おくがいでの使用しようてきした音質おんしつのために20世紀せいき初頭しょとうまで生産せいさんされていたが、現代げんだい調律ちょうりつでは演奏えんそうできず、時代遅じだいおくれとかんがえられている。「ローピッチ」("L "または "LP "とも表記ひょうきされている)サクソフォーンは、現代げんだい楽器がっき同等どうとう調律ちょうりつがされている。CソプラノおよびCメロディサクソフォーンは、20世紀せいき初頭しょとう応接間おうせつま楽器がっきとしてカジュアルな市場いちばけに生産せいさんされた。Fかんのサクソフォーンは1920年代ねんだい後半こうはん導入どうにゅうされたが、れられることはなかった。現代げんだいのサクソフォーンぞくは、歴史れきしてき楽器がっき実験じっけんてき楽器がっきはともかく、B – Eシリーズの楽器がっきのみで構成こうせいされている。もっとひろ使用しようされ、入手にゅうしゅ可能かのうなサクソフォーンは、ソプラノ、アルト、テナー、およびバリトンサクソフォーンである。

番号ばんごう サクソフォーン 調しらべせい オクターブじょう オクターブ
1 ソプラニッシモ B ## ソプラノ
2 ソプラニーノ E ## アルト
3 Cソプラノ C ## Cメロディー
4 ソプラノ B ソプラニッシモ テナー
5 メゾソプラノ F ## ##
6 アルト E ソプラニーノ バリトン
7 Cメロディー C Cソプラノ ##
8 テナー B ソプラノ バス
9 バリトン E アルト コントラバス
10 バス B テナー サブコントラバス
11 コントラバス E バリトン ##
12 サブコントラバス B バス ##

詳細しょうさい

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1840年代ねんだいベルギー管楽器かんがっき製作せいさくしゃアドルフ・サックス(Adolphe Sax)がバスクラリネット改良かいりょうちゅう円錐えんすいかん魅力みりょく注目ちゅうもくしたのをもと考案こうあんされた楽器がっき1846ねん特許とっきょ取得しゅとくしている。Saxophoneのかれにちなむ。元々もともと吹奏楽すいそうがくだんにおける木管もっかん楽器がっき金管楽器きんかんがっき橋渡はしわたしを目的もくてき開発かいはつされた。構造こうぞうじょう木管もっかん楽器がっき分類ぶんるいされるが、真鍮しんちゅうおもとした金属きんぞくつくられており[4][ちゅう 1]木管もっかん楽器がっき運動うんどう性能せいのうたかさ、金管楽器きんかんがっきダイナミックレンジひろさをそなえている。あたらしい楽器がっき恩恵おんけいとして、洗練せんれんされたうんゆび発音はつおん容易たやすさは吹奏楽すいそうがくるいがない。

クラシック音楽おんがくからポップスロックジャズいたるまで、様々さまざま分野ぶんや音楽おんがくもちいられる。とく吹奏楽すいそうがくビッグバンドにはかせない存在そんざいである。管弦楽かんげんがくでは使用しようされることはすくないが、きょくによっては使用しようされる場合ばあいもある。ソプラノアルトテナーバリトンの4ほんのサクソフォーンで演奏えんそうされるサクソフォーンよん重奏じゅうそうは、クラシカルサクソフォーンの代表だいひょうてき合奏がっそう形態けいたいのひとつであり、そのために作曲さっきょくされたきょく多数たすう存在そんざいする。

解説かいせつ

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代々木公園よよぎこうえんでサクソフォーンを練習れんしゅうする男性だんせい

おとだか音域おんいき

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へんロ(B長調ちょうちょう音階おんかい演奏えんそうしたときソプラノアルトテナーバリトン伝統でんとうてきなキイ音域おんいきはin C)。

様々さまざまなサクソフォーンの「キイ音域おんいき」(うえおん英語えいごばんアルティッシモ英語えいごばん音域おんいきよりもした)では、おとだかあさい「さら」がいた「キイ」(かぎ)によって制御せいぎょされる。さら内側うちがわは「おとあな」をふさかわせいタンポ」が固定こていされている。おとあなふさぐことによって、「ボアないばしら共鳴きょうめいちょう(したがって周波数しゅうはすう)が制御せいぎょされる。おとあなとマウスピースのあいだ位置いちする「ベントホール」とばれるちいさなあなは、「オクターブキー」によって開放かいほうされる。ベントホールが開放かいほうされると、おとだか決定けっていする周波数しゅうはすうとしてだい1倍音ばいおんのこしたまま、基本きほん周波数しゅうはすう消去しょうきょすることによっておとだかが1オクターブがる。ほとんどの現代げんだいサクソフォーンはひくい(楽器がっき調しらべの、すなわちおんの)Bすためのキイをつ。現代げんだいバリトンサクソフォーンは一般いっぱんひくいAまで演奏えんそう可能かのうである。また、ひくいAまで演奏えんそう可能かのうなアルトサクソフォーンが生産せいさんされたこともあった。キイ操作そうさすことができるさい高音こうおん伝統でんとうてきひくいBの2オクターブはんじょうのFであるが、最近さいきんのほとんどの演奏えんそうかいよう楽器がっきのキイ音域おんいきはFまで拡張かくちょうされている。現代げんだいソプラノサクソフォーンではハイGキイをつものもごく一般いっぱんてきである。Fよりうえおとはアルティッシモ音域おんいき一部いちぶであるとかんがえられ、高度こうどアンブシュア技術ぎじゅつうんゆびわせを使つかってすことができる。現代げんだいサクソフォーンはアルティッシモの演奏えんそう手助てだすけするキイ機構きこうそなえている。現代げんだいのサクソフォーン奏者そうしゃはテナーとアルトにおいて音域おんいきを4オクターブ以上いじょうにまで拡張かくちょうしてきた。ほとんどのサクソフォーンのための音楽おんがく大抵たいてい高音こうおん記号きごう(トおん記号きごう)を使つかって表記ひょうきされる。

すべてのサクソフォーンが譜面ふめんじょうおとだかすためにどうじキイ配置はいちおよびうんゆび使用しようするため、音楽おんがく適切てきせつ移調いちょうされているときに、能力のうりょくのある奏者そうしゃ様々さまざまなサイズをえることはむずかしくはなく、おおくの奏者そうしゃおこなっている。バリトンとアルトはEかんであるため、奏者そうしゃ低音ていおん記号きごう(ヘおん記号きごう)で表記ひょうきされたコンサートピッチの音楽おんがくを、調しらべごうに3つのシャープくわえることによってあたかも高音こうおん記号きごうであるかのようにむことができる。この過程かていは「音部おとべ置換ちかん」とばれ、バリトンホルン英語えいごばんファゴットユーフォニアムコントラバストロンボーンチューバのためにかれたパートをEかん楽器がっき演奏えんそうすることが可能かのうになる。これは、バンドあるいはオーケストラでこれらの楽器がっき不足ふそくしている場合ばあい有用ゆうようかもしれない。

構造こうぞう

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教育きょういくようサクソフォーン。低音ていおんホール(7ばんにあたる)が左手ひだりてがわにある、いわゆる「インライン」で、現在げんざいでは右手みぎてがわにある「オフセット」が主流しゅりゅうである。

設計せっけい特徴とくちょう

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ぐなソプラノおよびソプラニーノサクソフォーンは、マウスピースの反対はんたいがわはしひろがった「ベル」(かね)をぐな円錐えんすいがたボアで構成こうせいされている。アルトおよびより大型おおがたのサクソフォーンは、もっとたかおとあなより上部じょうぶはず可能かのう湾曲わんきょくした「ネック」(くび)(まれに例外れいがいもある。ネックはマウスピースを奏者そうしゃ口元くちもとける役割やくわりつ)、ボアをうえけるUのがたの「ボウ」(ゆみ)、ベルを前方ぜんぽうけるベルののどのカーブをふくむ。ベル付近ふきんのカーブはサクソフォーンぞく固有こゆう特徴とくちょうであり、ソプラノやソプラニーノでさえもこのカーブ様式ようしきつくられることがある。バリトン、バス、およびコントラバスサクソフォーンは、本体ほんたいとマウスピースのあいだ追加ついかの(複数ふくすうの)ボウと直角ちょっかくきょくげを使つかってボアのながさに対応たいおうしている。

左手ひだりてどうかん上側うわがわ部分ぶぶんのキイを操作そうさし、右手みぎてしたがわ部分ぶぶんのキイを操作そうさする。右手みぎて親指おやゆびは「サムフック」のした位置いちし、左手ひだりて親指おやゆびはサクソフォーンを安定あんていさせバランスをるために「サムレスト」のうえかれるか、オクターブキイを操作そうさする。ほとんどのサクソフォーンの重量じゅうりょう右手みぎて親指おやゆび楽器がっき胴体どうたい背面はいめんにある「ストラップリング」にけられたネックストラップによって分担ぶんたんされる。より小型こがた楽器がっきでは、比較的ひかくてきおおくの重量じゅうりょう親指おやゆびによって支持しじされる。

キイは、おとあなじょうのパッド(タンポ)の位置いち制御せいぎょするカップ、レバー、およびピボットからなる。操作そうさされていないときひらいているキイもあればじているキイもある。これらはばねによってそれぞれの位置いち保持ほじされており、ゆびまたは(パームキイの場合ばあい)の押圧りょくによって操作そうさされる。 キーは、パッドカップに直接ちょくせつ、またはパッドカップに直接ちょくせつあるいはリンケージとばれる連結れんけつで)接続せつぞくされたレバーを使つかった「キイタッチ」への押圧りょくによって作動さどうするキイカップとピボットとのあいだのレバーは「キイアーム」とばれる。

サクソフォーンのうんゆびオーボエうんゆびベーム・システムわせであり[5]フルートうんゆびあるいはクラリネットのこう音域おんいきうんゆびている。

「スタック」キイはそれぞれの親指おやゆび人差ひとさゆび、および中指なかゆび操作そうさされ、ややへこんだボタンがたのキイタッチ(キイボタン)が、それらが制御せいぎょするパッドカップとおなうごきで操作そうさされる。スタックキイは「レギュレーションバー」および「ブリッジアーム」リンケージでよりたかいスタックキイを連結れんけつされる。キイボタンは直接ちょくせつ下向したむきのゆびによる押圧りょくでキイを操作そうさするときには優位ゆういせいがあるが、ゆびうごきでキイを操作そうさする場合ばあいには不利ふりになるため、そのようなうごきで操作そうさされるキイでの使用しようは、サックスの設計せっけい進化しんかとともに減少げんしょうしていった。

左手ひだりてによって操作そうさされるパームキイおよび「フロントF」キイ、ならびに右手みぎてによって操作そうさされる「ハイF」、「ハイF」、および「ハイG」キイは、キイ音域おんいき上側うわがわはし制御せいぎょし、アルティッシモおんをベントするために使つかわれる。右手みぎてによって操作そうさされる「半音はんおん」キイはスタック音域おんいきないのF、B、およびCのための代替だいたいうんゆび提供ていきょうする。右手みぎて左手ひだりて薬指くすりゆびは、キイをひらいておとだか半音はんおんげたり、楽器がっきてい音域おんいきけてキイをじる(左手ひだりてによって操作そうさされる「ベルキイ」も使つかう)。薬指くすりゆびによって操作そうさされるキイは「テーブル」キイとばれる。ローAをせる楽器がっきはこのおとようひだり親指おやゆびキイをつ。

1920年代ねんだい初頭しょとう以降いこう生産せいさんされたサクソフォーンでは、左手ひだりてテーブルから操作そうさされるGキイは、G作動さどう機構きこう(F-連結れんけつ、スタック連結れんけつG機構きこう)への押圧りょくにかかわらず、下部かぶスタックじょうのキイをじることでじられる。この機能きのうにより特定とくてい音程おんてい速度そくど演奏えんそうしやすさをおおきく上昇じょうしょうした。これによって、よりしたがわのスタックキイが押圧されているときにキイがひらいたままになる「ダイレクトG」アクションをつサクソフォーンは時代じだいおくれてなされるようになった。現代げんだい左手ひだりてテーブルもGキイとローC、B、およびBを「連結れんけつ」し、それらのキイのいずれかが押圧され、右手みぎてスタックキイが押圧されていないときにGキイがひらく。それは、楽器がっきてい音域おんいきちか特定とくてい音程おんてい演奏えんそうするうえでもおおきな利点りてんあたえる。 ヴィンテージ楽器がっき演奏えんそうするために、連結れんけつしきのG利点りてんしむ奏者そうしゃもいるが、フロントFキイとスタック連結れんけつGキイは、本格ほんかくてき奏者そうしゃによって決定的けっていてき重要じゅうよう機能きのうとみなされている[6]

かん形状けいじょう音色ねいろ

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サクソフォーンは大小だいしょうさまざまな楽器がっきがあるが、それぞれの楽器がっきはほとんど相似そうじ形状けいじょうをしている。サクソフォーンのかんは、マウスピースちかほうからベルにちかほうかって、ほぼ一定いってい割合わりあいふとさがしており、全体ぜんたいとして円錐えんすいじょうになっている。このためサクソフォーンは整数せいすうばい倍音ばいおんすことができ、ひらきかん楽器がっき分類ぶんるいされる。一方いっぽう構造こうぞうじょうサクソフォーンにもっともちか楽器がっきであるクラリネットは、かんふとさがほぼ一定いってい円柱えんちゅうじょうであるため偶数ぐうすうばい倍音ばいおんがほとんど発生はっせいせず、閉管楽器がっき分類ぶんるいされる。

このひらけ管楽器かんがっきであること奏法そうほう応用おうようするれいとして、オーバートーンとアルティッシモ(フラジオレット)がげられる(弦楽器げんがっきフラジオレットとは原理げんりことなる)。のどひらき、口腔こうくうないアンブシュア通常つうじょうとはことなるうんゆび総合そうごうてき変化へんかさせ、リードの振動しんどう通常つうじょう状態じょうたいよりおおくすること倍音ばいおん発生はっせいし、通常つうじょううんゆび音域おんいきよりもさら高音こうおんこと可能かのうにしている奏法そうほうである。20世紀せいき後半こうはんまではおもにジャズけい奏者そうしゃアドリブなか多用たようする奏法そうほうであったが、21世紀せいきはいってからはクラシック奏者そうしゃ演奏えんそうはばひろげるため利用りようしており、またそのような現代げんだいきょく多数たすうかれている。

ソプラニーノおよびソプラノは一般いっぱんにほぼまっすぐのちょくかん(ストレート)である。一方いっぽう、アルトからコントラバスまではかんながさがながいため、一般いっぱんにはなんかいかんげられたきょくかん(カーブド)の形状けいじょうをしている。かんかえ部分ぶぶんはその形状けいじょうからUかんばれる。カーブド・ソプラノとばれるきょくかんのソプラノやストレート・アルト、テナーとばれるじきかんのアルト、テナーも存在そんざいするが、生産せいさん本数ほんすうはそれほどおおくない。かんちょくかんであるかきょくかんであるかは音色ねいろにもおおきな影響えいきょうあたえる。

材質ざいしつ

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サクソフォンの最初さいしょころから、ボディーやキイカップは複雑ふくざつ形状けいじょうにも対応たいおうできるように、真鍮しんちゅう板材いたざいからつくられていた。機械きかいてきなキイ装置そうちは、形態けいたい真鍮しんちゅうざいから手工しゅこうつくられた、または機械きかい加工かこうされた部品ぶひんからてられる。キング英語えいごばんは1930年代ねんだい純銀じゅんぎんせいのネックとベルをつサクソフォーンを発表はっぴょうし、1960年代ねんだい初頭しょとうにもこの「シルバーソニック」スキームを継続けいぞくした。ヤナギサワは1980年代ねんだいにこのスキームを復活ふっかつさせ、のち純銀じゅんぎんせい楽器がっき全面ぜんめんてき導入どうにゅうした[7]カイルヴェルトP・モーリア一部いちぶのサクソフォーンモデルのボディーのために洋銀ようぎん(フルートにより一般いっぱんてき使つかわれるどう-ニッケル-亜鉛あえん合金ごうきん)を使用しようしてきた[8]視覚しかくてきならびに音色ねいろへの効果こうかのため、どう含量のたか真鍮しんちゅうがより一般いっぱんてきな「イエローブラス」や「カートリッジ(弾薬だんやくとう)ブラス」のわりに使つかわれることもある。ヤナギサワの902および992シリーズのサクソフォーンは、真鍮しんちゅうせいの901および991モデルにくらべて、よりヴィンテージかんのあるくら音色ねいろ実現じつげんするために、どう含量のたかいのリン青銅せいどう使用しようしている[9]様々さまざまなブランドからこうどう含量合金ごうきんせいサクソフォーンが販売はんばいされている。

1920ねん以降いこう、ほとんどのサクソフォーンはスタックキイを操作そうさする交換こうかん可能かのうなキイボタンをつ。これらは大抵たいてい樹脂じゅしせいあるいは真珠しんじゅははせいのいずれかである。一部いちぶのサクソフォーンは、アワビいし、または木製もくせいのキイボタンをつ。一部いちぶ高級こうきゅうモデルでは、のキイのとつがたキイタッチを形成けいせいするために高価こうかなキイボタン素材そざい使用しようしている。キイ装置そうちのヒンジが旋回せんかいするじくおよびスクリューピン、ならびにキイを休止きゅうし位置いち保持ほじするはりばねおよびかさばんばね大抵たいていブルーイング英語えいごばん処理しょりされたはがねせいあるいはステンレスこうせいである。フェルトコルクかわ、および様々さまざま合成ごうせい素材そざい緩衝かんしょうざいが、キイのうごきからの摩擦まさつ低減ていげんし、機械きかいてきノイズを最小さいしょうするため、有益ゆうえきなパッドシーリング、イントネーション英語えいごばん、スピード、「感覚かんかく」のためキイ装置そうち動作どうさ最適さいてきするために使用しようされる。洋銀ようぎんはその機械きかいてき耐久たいきゅうせいからヒンジに使用しようされることがあるものの、こういった部品ぶひんのためのもっと一般いっぱんてき素材そざい真鍮しんちゅうのままである。どう含量のたかいボディーをつサクソフォーンも、そららの合金ごうきん比較ひかくして真鍮しんちゅう機械きかいてき特性とくせいがよりてきしているため、真鍮しんちゅうせいのキイ装置そうちつ。

表面ひょうめん仕上しあ

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最終さいしゅうてきてのまえに、メーカーは通常つうじょう、ホーンの表面ひょうめん仕上しあげをほどこす。もっと一般いっぱんてき仕上しあげは、透明とうめいなあるいは着色ちゃくしょくされたアクリルラッカーうすったものである。黒色こくしょく白色はくしょくのラッカー仕上しあげもある。ラッカー真鍮しんちゅう酸化さんかから保護ほごするためにはたらき、そのかがやきを維持いじする。ぎんめっきまたはかねめっきは一部いちぶのモデルで高級こうきゅうオプションとして提供ていきょうされている。一部いちぶぎんめっきサクソフォーンもラッカー塗装とそうされる。サクソフォーンのかねめっきは、かね定着ていちゃくさせるためにぎんによる下地したじめっきが必要ひつようなため、高価こうか処理しょりである[10]ニッケルめっきはてい予算よさんモデルのサクソフォーンのボディーに使つかわれており、ラッカーよりも耐久たいきゅうせいたか仕上しあげがもとめられるとき(ほとんどは教育きょういくようモデルのサクソフォーン)に一般いっぱんてき使用しようされる。鏡面きょうめん仕上しあげが一般いっぱんてきだが、つや仕上しあげのもの、アンラッカー仕上しあげなどバリエーションが存在そんざいする。近年きんねんははざい化学かがくてき表面ひょうめん処理しょりがラッカーやめっきにわるものとして使用しようされるようになってきている。一部いちぶのサクソフォーン奏者そうしゃ小売こうりてん修理しゅうり技術ぎじゅつしゃは、ラッカーやめっきの種類しゅるい(またはラッカーの有無うむ[11])が楽器がっき音色ねいろ影響えいきょうあたえる要因よういんになるのではないか(メッキやラッカーの性質せいしつかんたい振動しんどう変化へんかし、音色ねいろなどがわる)と主張しゅちょうしている。かんたいとキー・シャフトなどのパーツぐんべつしょくにメッキすることにより、より装飾そうしょくとしての見栄みばえをたかめることねらった楽器がっき販売はんばいされている。

マウスピースとリード

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テナーサクソフォーンのマウスピース、リガチャー、リード、およびキャップ

サクソフォーンはクラリネットのものとたシングルリードマウスピース使用しようする。それぞれのサイズのサクソフォーンはことなるサイズのリードとマウスピースを使用しようする。

ほとんどのサクソフォーン奏者そうしゃダンチクからつくられたリードを使用しようするが、20世紀せいきなかばからは繊維せんい強化きょうかプラスチックやそのふくごうざいからつくられたリードもつくられている。サクソフォーンのリードはクラリネットのリードとはわずかにちがったプロポーションで、おなながさにたいしてはばひろい。リードは様々さまざまなブランド、スタイル、および強度きょうどのものが市販しはんされている。サクソフォーン奏者そうしゃは、つよさ(かたさ)や素材そざいことなるリードを使つかって、どのつよさやカットが自分じぶんのマウスピースやアンブシュア、生理せいり演奏えんそうスタイルにっているかを実験じっけんする。

マウスピースの設計せっけい音色ねいろ重大じゅうだい影響えいきょうあたえる[12]ことなる演奏えんそうスタイルには、ことなる設計せっけい特性とくせい特徴とくちょうのマウスピースがこのまれる傾向けいこうがある。初期しょきのマウスピースは、クラシック演奏えんそうのための「あたたかみのある」、「まるみのある」おとすために設計せっけいされた。クラシックのマウスピースのなかでも、凹型(「がた」)の「チャンバー」をつものは、アドルフ・サックスの原初げんしょ設計せっけい忠実ちゅうじつである。これらは、クラシック演奏えんそうラッシャー英語えいごばんこのまれる、よりやわらかな(あまりさらない)音色ねいろあたえる。マルセル・ミュール影響えいきょうされたクラシック演奏えんそうのフランスしたがうサクソフォーン奏者そうしゃは、高次こうじ倍音ばいおん比較的ひかくてきおおふく幾分いくぶんあかるい」音色ねいろのために一般いっぱんてきによりちいさなチャンバーをつマウスピースを使用しようする。1920年代ねんだい以降いこうのダンス楽団がくだんやジャズアンサンブルでのサクソフォーンの使用しようは、「ダイナミックレンジ」ととおたちせい(プロジェクション)を重視じゅうしし、これによってマウスピースのチャンバー形状けいじょう先端せんたんデザイン、金属きんぞく構造こうぞう革新かくしんをもたらされた。クラシックのマウスピースとは対極たいきょくにあるのが、チャンバーがちいさく、先端せんたんとチャンバーのあいだのリードのうえのクリアランス(隙間すきま)がひくいもので、ハイ「バッフル」とばれる。これらは、最大さいだいのプロジェクションをあかるいおとし、アンプに接続せつぞくされた楽器がっきなかおと際立きわだたせるのにてきしており、現代げんだいポップスやスムースジャズ一般いっぱんてき使用しようされる。

マウスピースは、ゴム(エボナイトばれることもある)、樹脂じゅし、および青銅せいどうあるいは外科げかようステンレスこう英語えいごばんといった金属きんぞくなど多種たしゅ多様たよう素材そざいつくられる。これまで使つかわれたあまり一般いっぱんてきでない素材そざいには、、ガラス、水晶すいしょう磁器じきほねがある。最近さいきんデルリンがマウスピースの素材そざいくわわった。

マウスピース素材そざいのサクソフォーンの音色ねいろへの影響えいきょうはこれまでおおくの議論ぎろん対象たいしょうとなってきた。ラリー・ティール英語えいごばんによれば、マウスピースの素材そざいおとに、たとえあったとしても、わずかしか影響えいきょうあたえず、物理ぶつりてき寸法すんぽうがマウスピースに音色ねいろあたえる[13]。「くらく」金属きんぞくせいのマウスピースや「あかるく」硬質こうしつゴムせいのマウスピースのれいがある。金属きんぞくくらべて硬質こうしつゴムの剛性ごうせいひくいため、金属きんぞく使つかうよりも音色ねいろやレスポンスに影響えいきょうあたえる設計せっけい特性とくせい制限せいげんされる。硬質こうしつゴムの先端せんたん付近ふきん必要ひつようとされる追加ついか体積たいせきが、くち位置いち気流きりゅう特性とくせい影響えいきょうあたえる。最近さいきんでは、ネックコルクにはいる「シャンク」のうえのマウスピースの質量しつりょうやすことが、マウスピースとネックの接続せつぞく安定あんていすることによって倍音ばいおんれつ完全かんぜんせいたかめるための設計せっけい要素ようそとなっている。シャンクおもり(シャンクのうえにある真鍮しんちゅうおおきな)は、「共鳴きょうめいとおたちせい」をたかめるために、一部いちぶデルリンせいマウスピースで使用しようされている[14]硬質こうしつゴムのボディーとがっしりした金属きんぞくせいシャンクを採用さいようしたほかの「ハイブリッドがた設計せっけい同様どうよう質量しつりょう分布ぶんぷっているものの、製品せいひん説明せつめいではおと特性とくせいへの寄与きよ強調きょうちょうされていない[15]

歴史れきし

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初期しょき開発かいはつ採用さいよう

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アドルフ・サックス。サクソフォーンの発明はつめいしゃ

サクソフォーンはベルギーの楽器がっき製作せいさくしゃ、フルート奏者そうしゃ、クラリネット奏者そうしゃであったアドルフ・サックスによって1840ねんごろ設計せっけいされた[3]ディナンまれで元々もともとブリュッセル拠点きょてんとしていたサックスは、楽器がっき事業じぎょうおこすために1842ねんにパリへうつった。サクソフォーンにまえ、サックスはバスクラリネットのキイ装置そうち音響おんきょう改善かいぜんし、てい音域おんいき拡張かくちょうすることによっていくつかの改良かいりょうおこなった。サックスはオフィクレイド木管もっかん楽器がっき同様どうようのキイを低音ていおん大型おおがた円錐えんすいがた金管楽器きんかんがっき)の製作せいさくしゃでもあった。これら2つの楽器がっきでの経験けいけんによって、最初さいしょのサクソフォーンを製作せいさくするために必要ひつよう技能ぎのう技術ぎじゅつみがくことができた。

バスクラリネットを改良かいりょうした仕事しごと副産物ふくさんぶつとして、サックスは金管楽器きんかんがっきとおたちせい(プロジェクション)と木管もっかん楽器がっき俊敏しゅんびんせいあわ楽器がっき開発かいはつはじめた。サックスは、オーバーブローイング英語えいごばんで12音程おんていがるクラリネットとはことなり、オクターブでオーバーブローイングすることをのぞんだ。オクターブでオーバーブローイングする楽器がっきは、両方りょうほう音域おんいき同一どういつうんゆびゆうする。

サックスはシングルリードマウスピースと真鍮しんちゅうせい円錐えんすいがたどうかん楽器がっきつくげた。1840年代ねんだい初頭しょとうには複数ふくすうのサイズのサクソフォーンを製造せいぞうしており、1846ねん1がつ28にちにこの楽器がっきについて15年間ねんかん特許とっきょ申請しんせいし、取得しゅとくした[16]。この特許とっきょは、ソプラニーノからコントラバスまで基本きほん設計せっけいの14のかた(2つのカテゴリーにそれぞれ7種類しゅるい)を網羅もうらしていた。かぎられたかずのFとCの調しらべせい楽器がっきがサックスによって生産せいさんされたが、E♭とB♭の調しらべせいかたがすぐに標準ひょうじゅんとなった。当初とうしょはすべての楽器がっきで、高音こうおん譜表ふひょう五線ごせんしたのBからせんうえの3ほんせん半音はんおんのEまでの音域おんいきかれており、それぞれのサクソフォンの音域おんいきは2オクターブはんであった。サックスの特許とっきょは1866ねん失効しっこうした[17]。その膨大ぼうだいかずほか楽器がっき製作せいさくしゃがサクソフォーンの設計せっけいとキイ装置そうち自身じしん改良かいりょう実装じっそうした。

左手ひだりてはトリエベールだい3がたオーボエ右手みぎてベーム・クラリネットを参考さんこうにしたサックスの原初げんしょのキイ装置そうちは、あまりに単純たんじゅんで、特定とくていのレガートパッセージやひろ音程おんていゆび演奏えんそうするのがきわめて困難こんなんであった。このシステムはのち追加ついかキイ、連結れんけつ機構きこう、いくつかの音程おんていをより簡単かんたんにするための代替だいたいうんゆびなどによって発展はってんしていった。

サクソフォンの開発かいはつ初期しょきには、うえのキイ音域おんいきはE、さらに五線ごせんうえのFまで拡張かくちょうされた。1880年代ねんだい、サクソフォーンのための楽譜がくふはローBからFの音域おんいきかれた。1887ねんビュッフェ・クランポンしゃがベルの延長えんちょう音域おんいきをBまで半音はんおん拡張かくちょうするための追加ついかキイの追加ついかかんする特許とっきょ取得しゅとくした[18]。この拡張かくちょう現代げんだいのほとんどの設計せっけいにおいて標準ひょうじゅんとなっている。バリトンサクソフォーンは例外れいがいでさらにローAまで音域おんいき拡張かくちょうされた。さい高音こうおんがFのこう音域おんいきは、現代げんだいサクソフォーンでアルティッシモF一般いっぱんてきとなるまでの1世紀せいきちかくにわたって標準ひょうじゅんでありつづけた。

1840年代ねんだいと1850年代ねんだい、サックスの発明はつめいちいさなクラシックアンサンブル(サクソフォーンアンサンブルと混合こんごうアンサンブルの両方りょうほう)においてや、独奏どくそう楽器がっきとして、またフランスとイギリスの軍楽隊ぐんがくたいにおいて使つかわれるようになった。サクソフォーンの教則きょうそくほん出版しゅっぱんされ、サクソフォーン指導しどうがフランス、スイス、ベルギー、スペイン、およびイタリアのコンセルヴァトワール音楽おんがくいん)で提供ていきょうされた。1856ねんまでに、ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽かんげんがくだんは8ほんのサクソフォーンを編成へんせいふくんでいた。サクソフォーンは管弦楽かんげんがくきょくにおいても実験じっけんてき使つかわれたが、オーケストラの楽器がっきとしてひろ使つかわれるようにはならなかった。1853ねんから1854ねんに、ルイ・アントワーヌ・ジュリアンのオーケストラは米国べいこくコンサートツアーでソプラノサクソフォーンを一員いちいんとしてくわえた[19]

ヨーロッパのクラシック音楽おんがくかいからの関心かんしん支持しじけていた初期しょき時期じきて、19世紀せいきわりころにはかれらのサクソフォーンへの関心かんしんうすれていった。パリ音楽おんがくいんでは1870ねんから1900ねんまでサクソフォーンの教育きょういく中断ちゅうだんされ、そのあいだクラシックのサクソフォーンレパートリーは停滞ていたいした[16]。しかしこの時期じきに、だい22連隊れんたい楽団がくだんのリーダーであるパトリック・ギルモアと、オランダからの移住いじゅうしゃであり、サックスと家業かぎょう関係かんけいつサクソフォーン奏者そうしゃエドワード・A・ルフェーブル英語えいごばん努力どりょくによって、サクソフォーンがアメリカで普及ふきゅうはじめた。ルフェーブルは、イギリスのオペラだんのクラリネット奏者そうしゃとして着任ちゃくにんしたのち、1872ねん初頭しょとうにニューヨークに移住いじゅうした。ギルモアはそのなつ、ボストンで開催かいさいされた世界せかい平和へいわ記念きねん国際こくさい音楽おんがくさい英語えいごばん主催しゅさいした。ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽かんげんがくだん演奏えんそうおこない、ルフェーブルはそのもよおもののためのグレート・フェスティバル・オーケストラのクラリネット奏者そうしゃとして参加さんかした[20]。1873ねんあき、ギルモアはギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽かんげんがくだん影響えいきょうしただい22連隊れんたい楽団がくだんさい編成へんせいし、前年ぜんねんにニューヨークでサクソフォーン奏者そうしゃとしての名声めいせい確立かくりつしていたルフェーブルを採用さいようした。ギルモアの楽団がくだんはすぐにソプラノ・アルト・テナー・バリトンのサクソフォーン・セクションを編成へんせいし、サクソフォーン・セクションは四重奏しじゅうそうだんとしても演奏えんそうおこなった。ギルモアとルフェーブルの連携れんけいは1892ねんにギルモアがくなるまでつづいたが、そのあいだ、ルフェーブルは様々さまざま規模きぼ楽器がっき編成へんせいのより小規模しょうきぼなアンサンブルで演奏えんそうし、作曲さっきょく協力きょうりょくしてサクソフォーンのための軽快けいかいなクラシックやポピュラーのレパートリーをやした[21]

ルフェーブルのその促進そくしん活動かつどうは、サックスの普及ふきゅうきわめておおきな意味いみった。1880年代ねんだいわりころから、ルフェーブルは金管楽器きんかんがっきメーカーのC.G. コーン英語えいごばん助言じょげんもとめ、高価こうかで、はいりにくく、機械きかいてき信頼しんらいせいひくいヨーロッパの楽器がっきわる改良かいりょうがたのサクソフォーンを開発かいはつし、アメリカ市場いちばけに生産せいさん開始かいしした。1890年代ねんだい初頭しょとうには、コーンとその分社ぶんしゃであるブッシャー・マニュファクチャリング・カンパニー英語えいごばんでサクソフォーンの定期ていきてき生産せいさん開始かいしされ、サクソフォーンがアメリカで飛躍ひやくてき入手にゅうしゅやすくなった。ルフェーブルは、音楽おんがく出版しゅっぱんものカール・フィッシャー英語えいごばん協力きょうりょくして、サクソフォーンのためのトランスクリプション編曲へんきょく、およびオリジナル作品さくひん配布はいふしたり、コーン音楽おんがくいん協力きょうりょくして、アメリカでのサクソフォーン教育きょういく発展はってん尽力じんりょくした。ルフェーブルとコーンしゃ、フィッシャーとの関係かんけいは20世紀せいき最初さいしょの10ねんまでつづき、フィッシャーは死後しごもルフェーブルの作品さくひんあらたに編曲へんきょくしたものの出版しゅっぱんつづけた[22]

20世紀せいき初頭しょとう成長せいちょう発達はったつ

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サクソフォーンはクラシック音楽おんがく世界せかいでは重要じゅうようせいるにらないままで、おも目新めあたらしい楽器がっきとみなされていたが、20世紀せいきはじめのすうじゅう年間ねんかんにはサクソフォーンのためのおおくのあたらしい音楽おんがくてきニッチが確立かくりつされた。世紀せいきわりには、ヴォードヴィルラグタイム楽団がくだんでの初期しょき使用しようが、ダンス楽団がくだん、そして最終さいしゅうてきにはジャズでの使用しよう基礎きそきずいた。アメリカではサクソフォーンの市場いちば拡大かくだいするにつれ、製造せいぞうぎょう成長せいちょうした。1905ねんから1912ねんにかけてマーチン・バンド・インストゥルメント・カンパニー英語えいごばんがサクソフォーンの製造せいぞう開始かいしし、1916ねんにはクリーヴランド・バンド・インストゥルメント・カンパニーがH・N・ホワイト・カンパニー英語えいごばんとの契約けいやくしたでサクソフォーンの製造せいぞう開始かいしした。ピアノとおな楽譜がくふおな調ちょう演奏えんそうするためのCソプラノおよびCメロディ(アルトとテナーのあいだ)の導入どうにゅうにより、カジュアル市場いちばけにサクソフォーンを販売はんばい促進そくしんした。このような楽器がっき生産せいさんだい恐慌きょうこうあいだまった。1920年代ねんだいには、フレッチャー・ヘンダーソン・オーケストラやデューク・エリントン・オーケストラの影響えいきょうけて、サクソフォーンがジャズ楽器がっきとして使用しようされるようになった。1920年代ねんだい後半こうはんから1930年代ねんだい初頭しょとうにかけて、おもマルセル・ミュールシーグルト・ラッシャー努力どりょくにより、クラシックサクソフォーンの近代きんだいはじまり、サクソフォーンのためのクラシックのレパートリーが急速きゅうそく拡大かくだいした。

よりダイナミックでより技術ぎじゅつてき要求ようきゅうされる演奏えんそうスタイルにサクソフォーンが使用しようされたことが、キイ装置そうち音響おんきょう設計せっけい改善かいぜん動機どうきあたえた。初期しょきのサクソフォーンは、アルトやより大型おおがたのサクソフォーンに必要ひつような2つのオクターブ・ベントを制御せいぎょするために、左手ひだりて親指おやゆび操作そうさする2つの独立どくりつしたオクターブキイをっていた。世紀せいきわりのキイ装置そうちおおきな進歩しんぽは、左手ひだりて親指おやゆび使つかって1つのオクターブキイで2つのオクターブ・ベントを操作そうさする機構きこう開発かいはつであった。キイ装置そうち人間にんげん工学こうがくもとづいた設計せっけいは、1920年代ねんだいから1930年代ねんだいにかけて急速きゅうそく進化しんかした。1920年代ねんだいには、ハイEとFの代替だいたいうんゆび対応たいおうしたフロントF機構きこうとスタックリンクGキイアクションが標準ひょうじゅんとなり、その、Gとベルキイを制御せいぎょする左手ひだりてテーブルキイ機構きこう改良かいりょうおこなわれた。1920年代ねんだいから1930年代ねんだいにかけてのあたらしいボア設計せっけいは、すぐれたイントネーション、ダイナミックレスポンス、音色ねいろしつ向上こうじょう探求たんきゅうからもたらされた。1920年代ねんだいは、ブッシャーのストレート・アルトおよびテナー、キング・Saxello・ソプラノ、FかんのC.G. コーン・メゾ・ソプラノ・サクソフォーン、イングリッシュホルンとのハイブリッドであるConn-O-Saxサクソフォーンといった設計せっけい実験じっけん時代じだいでもあった。

現代げんだいサックスの登場とうじょう

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サックスの現代げんだいてき配置はいち設計せっけいは1930年代ねんだいから1940年代ねんだいにかけて登場とうじょうし、まずバリトンではC.G. コーン、アルトとテナーではキング右側みぎがわのベルキイを導入どうにゅうした。左手ひだりてテーブルの機構きこうは、1936ねんセルマーしゃバランスド・アクション英語えいごばん楽器がっき革命かくめいこし、右側みぎがわのベルキイ配置はいち採用さいようしました。1948ねん、セルマーしゃ左右さゆうのキイを「オフセット」したスーパーアクション・サクソフォーンを発表はっぴょうした。セルマーが最終さいしゅうてきなレイアウトを考案こうあんしてから30ねんから40ねんあいだに、この配置はいち設計せっけい学生がくせいからプロのモデルまで、ほぼすべてのサックスに採用さいようされた。

ハイFキイは、バランスド・アクション・モデルのオプションとして最初さいしょ導入どうにゅうされたが、初期しょき実装じっそうではイントネーションに悪影響あくえいきょうあたえると認識にんしきされていたため、れられるまでにすうじゅうねんようした[23]

使用しよう

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香港ほんこんでサクソフォーンを演奏えんそうするべい海軍かいぐんだいなな艦隊かんたい音楽おんがくたい水兵すいへい

サクソフォーンの音響おんきょうてき性格せいかくから、クラシックのみならずジャズやポップス、映画えいがげきとものサウンドトラックで使用しようされることもおおい。

西洋せいよう音楽おんがくではその音色ねいろ機能きのうせいかした独奏どくそうきょくや、管弦楽かんげんがくへの使用しようれいとく近代きんだい音楽おんがく以降いこうおおられるようになった。フランス語ふらんすごけん比較的ひかくてき早期そうきにこの楽器がっきこのんだようだが、ドイツけん戦後せんごまでおくれた。

軍楽隊ぐんがくたいとクラシック音楽おんがく

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サックスは最初さいしょ軍楽隊ぐんがくたい人気にんきはくした。ドイツでは当初とうしょ無視むしされていたが、フランスやベルギーの軍楽隊ぐんがくたいはいちはやくこの楽器がっきをアンサンブルにれた。ほとんどのフランスやベルギーの軍楽隊ぐんがくたいすくなくとも、Eバリトン、Bテナー、Eアルト、Bソプラノからる4人組にんぐみのサクソフォーンを編成へんせいふくんでいる。これらの4つの楽器がっきは、サクソフォーンのなかもっと人気にんきがあることがしめされてきた。EコントラバスとBバスは通常つうじょう現実げんじつてきおおきさで、Eソプラニーノは力強ちからづよさが不十分ふじゅうぶんであるとかんがえられている。イギリスの軍楽隊ぐんがくたいでは、最低さいていでも2人ふたりのサックス奏者そうしゃをアルトとテナーに配置はいちする傾向けいこうがある[よう出典しゅってん]

サクソフォーンはコンサート・バンド導入どうにゅうされ、大抵たいていはEアルトサクソフォーン、Bテナーサクソフォーン、Eバリトンサクソフォーンがもとめられる。コンサート・バンドでは、アルトが2人ふたり、テナーが1人ひとり、バリトンが1人ひとり場合ばあいもある。また、Bソプラノサクソフォーンを使つかうこともあるが、その場合ばあいだいいちアルトサクソフォーン奏者そうしゃ演奏えんそうする。B♭バスサクソフォーンは、一部いちぶのコンサート・バンド音楽おんがくとくパーシー・グレインジャー作品さくひん)で使用しようされている[24]

サクソフォーンは、サクソフォーンよん重奏じゅうそうやその室内楽しつないがく編成へんせい使用しようされる。クラシックのサクソフォーンよん重奏じゅうそうは、Bソプラノサクソフォーン、Eアルトサクソフォーン、Bテナーサクソフォーン、Eバリトンサクソフォーン(SATB)で構成こうせいされる。時折ときおり、ソプラノがだい2アルトサクソフォーン(AATB)とわることもある。プロのサクソフォーンよん重奏じゅうそうだんなかには、ジェームズ・フェイ英語えいごばんのアルトカルテット[25](4ほんのアルト)のように、標準ひょうじゅんてき楽器がっき編成へんせいれたものもある。

サックスをるフランスの作曲さっきょく中心ちゅうしんに、SATB英語えいごばん器楽きがく編成へんせいほうのための19世紀せいきにさかのぼるクラシックの作曲さっきょく編曲へんきょくのレパートリーがある。しかし、サクソフォーンのための室内楽しつないがく作品さくひんだい部分ぶぶんは、1928ねんマルセル・ミュールによって開始かいしされた近代きんだいクラシックサクソフォーンの時代じだいのものである。シグルート・ラッシャーは、1931ねんからオーケストラ作品さくひんにおいてソリストとして活躍かつやくし、現代げんだいクラシックサクソフォーンのレパートリーの発展はってんにもおおきく貢献こうけんした。ミュールよん重奏じゅうそうだんは、そのメンバーがしめした技術ぎじゅつ水準すいじゅんたかと、近代きんだいよん重奏じゅうそうレパートリーの発展はってん中心ちゅうしんてき役割やくわりたしたことから、四重奏しじゅうそう原型げんけいであるとかんがえられている。しかし、ミュールのアンサンブルよりもまえにも、組織そしきされた四重奏しじゅうそうだん存在そんざいした。その代表だいひょうてきれいは、1873ねんから1893ねんにかけてパトリック・ギルモアだい22連隊れんたい楽団がくだん一部いちぶだったエドワード・A・ルフェーブル(1834ねん - 1911ねん)がひきいた四重奏しじゅうそうだんである[21]

20世紀せいきと21世紀せいきには、サクソフォーンの交響こうきょう楽団がくだんでの人気にんきたかまった。また、オペラや合唱がっしょうなどのジャンルでも使用しようされてきた。おおくのミュージカル楽譜がくふには、サクソフォーンのパートがふくまれており、ときには木管もっかん楽器がっき金管楽器きんかんがっきえることもある。

サクソフォーンの楽曲がっきょく

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サクソフォーンよん重奏じゅうそうきょく

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サクソフォーンを使つかった室内楽しつないがくきょく

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サクソフォーンを使つかった管弦楽かんげんがくきょく

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サクソフォーンを使つかったオペラおよびミュージカル

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吹奏楽すいそうがく

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サクソフォーンは吹奏楽すいそうがく標準ひょうじゅんてき編成へんせいふくまれる。たとえば、アルフレッド・リード作曲さっきょくアルメニアン・ダンス パート1』の編成へんせいはアルト(1st, 2nd)、テナー、バリトン、バス(オプション)をふくむ。

ジャズとR&B

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SSストックホルム英語えいごばんだい369歩兵ほへい連隊れんたい楽団がくだんとリーダーのジェームズ・リース・ユーロップ中佐ちゅうさ(1918ねん - 1919ねんふゆ)。

世紀せいきわりにアメリカでサクソフォーンが普及ふきゅうしたのと同時どうじに、ラグタイム音楽おんがく台頭たいとうした。ラテンけいやアフリカけいアメリカじんのリズムの影響えいきょうけたラグタイムのシンコペーション特徴とくちょうとするバンドは、アメリカの文化ぶんかてき景観けいかんなか刺激しげきてきあたらしい特徴とくちょうであり、あたらしいダンスのスタイルの基礎きそ提供ていきょうした。ラグタイムを演奏えんそうするブラスバンドなかもっともよくられているのは、W・C・ハンディ英語えいごばんジェームズ・リース・ユーロップ英語えいごばんひきいるサクソフォーンをふくんだバンドであった。ユーロップのだい369歩兵ほへい連隊れんたい楽団がくだんは、1918ねんのツアーちゅうにフランスでラグタイムをひろめた[28]。ラグタイムの人気にんきつづいて、1920年代ねんだいにはダンスバンドが台頭たいとうしてきた。サクソフォーンはどう時期じきヴォードヴィルショーでも使用しようされた。ラグタイム、ヴォードヴィル、ダンスバンドはアメリカのおおくの人々ひとびとにサクソフォーンを紹介しょうかいした。ルディ・ウィードフ英語えいごばんは、この時期じきもっと有名ゆうめいなサクソフォーン・スタイリスト、ヴィルトゥオーソとなり、1920年代ねんだいのサクソフォーンねつをもたらした[29]

ジャズ楽器がっきとしてのサクソフォーンの台頭たいとうは、1920年代ねんだい初頭しょとうにダンスバンドにひろ採用さいようされたことがきっかけとなった。1923ねん結成けっせいされたフレッチャー・ヘンダーソン・オーケストラは、即興そっきょう演奏えんそうをバックアップするための編曲へんきょくおこない、ジャズの最初さいしょ要素ようそだい規模きぼなダンスバンドのフォーマットにもたらしました[30]。フレッチャー・ヘンダーソン・オーケストラの革新かくしんてき演奏えんそうつづき、デューク・エリントン・オーケストラやジーン・ゴールドケット英語えいごばんビクター・レコーディング・オーケストラ英語えいごばんでは、サクソフォーンやその楽器がっき使つかったジャズ・ソロを披露ひろうした。ダンスバンドとジャズのむすびつきは、1930年代ねんだいスウィング・ミュージック頂点ちょうてんむかえた。1930年代ねんだいのスウィングバンドの影響えいきょうけただい規模きぼなショー・バンド形式けいしきは、だい世界せかい大戦たいせん人気にんきボーカリストやステージショーのバッキングとして使用しようされ、ビッグバンド・ジャズの基礎きそとなりました。サクソフォーン・セクションをつショーバンドは、戦後せんごのテレビ番組ばんぐみにも出演しゅつえんした。

ジャズ初期しょきもっと影響えいきょうけたサクソフォーンのスタイリスト、コールマン・ホーキンス(1945ねんごろ)。

コールマン・ホーキンスは、1923ねんから1934ねんにかけてフレッチャー・ヘンダーソンと共演きょうえんしたさいに、テナーサクソフォーンをジャズのソロ楽器がっきとして確立かくりつした。ホーキンスのアルペジオゆたかな音色ねいろビブラート多用たようしたスタイルは、レスター・ヤング以前いぜんのスウィング時代じだいのテナー奏者そうしゃおおきな影響えいきょうあたえた。かれ影響えいきょう直接ちょくせつけたテナー奏者そうしゃには、チュー・ベリー英語えいごばんチャーリー・バーネット英語えいごばんテックス・ベネキーベン・ウェブスターヴィド・ムッソ英語えいごばんハーシェル・エヴァンスバディ・テイト英語えいごばんドン・バイアス英語えいごばんなどがいる[5]。ホーキンスのバンド仲間なかまであるベニー・カーターとデューク・エリントンのアルトサクソフォーン奏者そうしゃジョニー・ホッジスはスウィング時代じだいのアルト・スタイルに影響えいきょうあたえ、ハリー・カーニーはデューク・エリントン・オーケストラでバリトンサクソフォーンを有名ゆうめいにした。ニューオーリンズの奏者そうしゃシドニー・ベシェは1920年代ねんだいにソプラノサクソフォーンを演奏えんそうすることでられるようになった。ベシェは「ちいさなはな可愛かわいはな)」の作曲さっきょくしゃでもある。

1920年代ねんだいニューオーリンズ・ジャズからシカゴスタイルのジャズが進化しんかしていくなかで、その特徴とくちょうひとつは、アンサンブルにサクソフォーンをくわえたことであった。シカゴの小規模しょうきぼなアンサンブルは、ニューオーリンズやだい編成へんせいバンドよりも即興そっきょうてき自由じゆうたかく、サクソフォーン奏者そうしゃジミー・ドーシー英語えいごばん(アルト)、フランキー・トランバウアー英語えいごばん(Cメロディ)、バド・フリーマン英語えいごばん(テナー)、スタンプ・エヴァンス(バリトン)の革新かくしんせいはぐくんでいった。ドーシーとトランバウアーは、テナーサクソフォーン奏者そうしゃのレスター・ヤングに重要じゅうよう影響えいきょうあたえた[5]

レスター・ヤングのテナーサクソフォーンへのアプローチはホーキンスのものとはことなり、よりメロディックな「直線ちょくせんてき」な演奏えんそう重視じゅうしし、コード構造こうぞうぜながら、きょくによって指示しじされたものとはことなるよりながいフレーズを演奏えんそうしていた。ヤングはビブラートをあまり使つかわず、演奏えんそうしているパッセージにわせて演奏えんそうしている。音色ねいろは1930年代ねんだいどう時代じだいじんよりもなめらかでくらい。ヤングの演奏えんそうは、アル・コーンスタン・ゲッツズート・シムズデクスター・ゴードンウォーデル・グレイ英語えいごばんリー・コニッツウォーン・マーシュチャーリー・パーカーアート・ペッパーなどの現代げんだいジャズ・サクソフォーン奏者そうしゃおおきな影響えいきょうあたえた[5]

チャーリー・パーカー。ビバップ革命かくめいのリーダー。1947ねん

1930年代ねんだい後半こうはんにレスター・ヤングがカウント・ベイシー・オーケストラ英語えいごばん共演きょうえんしたことや、ホーキンスが1939ねん録音ろくおんした「ボディ・アンド・ソウル英語えいごばん」が人気にんきはくしたことで、サクソフォーンはニューオーリンズでのジャズのはじまり以来いらいジャズの代表だいひょうてき楽器がっきであったトランペットに匹敵ひってきするほどの影響えいきょうりょくつようになった。しかし、サクソフォーンがジャズにあたえた最大さいだい影響えいきょうは、すうねん、アルトサクソフォーン奏者そうしゃのチャーリー・パーカーが、なに世代せだいにもわたるジャズ・ミュージシャンに影響えいきょうあたえたビバップ革命かくめいのアイコンとなったときおこった。ビバップやポストビバップのジャズアンサンブルのしょうグループ形式けいしきは、1940年代ねんだいにチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーセロニアス・モンクバド・パウエルらが活躍かつやくした。

1950年代ねんだい著名ちょめいなアルト奏者そうしゃには、ソニー・スティットキャノンボール・アダレイジャッキー・マクリーンルー・ドナルドソンソニー・クリスポール・デスモンドなどがおり、著名ちょめいなテナー奏者そうしゃには、レスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、デクスター・ゴードンジョン・コルトレーンソニー・ロリンズスタン・ゲッツズート・シムズラッキー・トンプソンなどがいた。サージ・チャロフジェリー・マリガンペッパー・アダムスレオ・パーカーはバリトンサクソフォーンにソロ楽器がっきとしての注目ちゅうもくあつめさせた。スティーヴ・レイシーはモダンジャズの文脈ぶんみゃくでソプラノサクソフォーンにあらたな注目ちゅうもくあつめ、ジョン・コルトレーンは1960年代ねんだいにソプラノサクソフォーンの人気にんきたかめました。フュージョン、スムーズジャズミュージシャンのケニーGもソプラノサクソフォーンをおも楽器がっきとして使用しようしている[31]

ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマンサム・リヴァースファラオ・サンダースといったサクソフォーン奏者そうしゃは、1960年代ねんだい前衛ぜんえいてきうごきで創造そうぞうてき探求たんきゅう最前線さいぜんせん定義ていぎした。モード・ジャズハーモロディクス英語えいごばんフリー・ジャズとも提供ていきょうされたあらたな領域りょういきは、サクソフォーン奏者そうしゃおもいつくあらゆる発明はつめいひん使つかって探求たんきゅうされた。前衛ぜんえい運動うんどう影響えいきょうひとつは、サクソフォーンにおける西洋せいようてき民族みんぞく音楽おんがく探求たんきゅうである。アルトサクソフォーン奏者そうしゃスティーヴ・コールマングレッグ・オズビーのように、前衛ぜんえいのカテゴリーのジャズの境界きょうかいせん挑戦ちょうせんするジャンルでも、前衛ぜんえいジャズは影響えいきょうりょくつづけている。

イリノイ・ジャケー英語えいごばん、R&Bサクソフォーンの初期しょき実力じつりょくしゃ。1941ねん

1940年代ねんだいの「ジャンプ・スウィング」バンドはリズム・アンド・ブルースした。これは、ホーンセクションとブルース音色ねいろをベースにメロディックなセンスで演奏えんそうするサクソフォーンの高揚こうようかんのある力強ちからづよ音色ねいろおもくリズムかんのあるスタイルを特徴とくちょうとした。イリノイ・ジャケーサム・ブテラ英語えいごばんアーネット・コブジミー・フォレスト英語えいごばんはR&Bのテナー・スタイルにおおきな影響えいきょうあたえ、ルイ・ジョーダンエディ・"クリーンヘッド"・ヴィンソン英語えいごばんアール・ボスティック英語えいごばんブル・ムース・ジャクソン英語えいごばんはアルトにおおきな影響えいきょうあたえた。

R&Bサクソフォーン奏者そうしゃは、スカソウルファンクなどのジャンルに影響えいきょうあたえた。ジョニー・オーティス英語えいごばんレイ・チャールズがホーン・セクションをフィーチャーし、ザ・メンフィス・ホーンズ英語えいごばんフェニックス・ホーンズ英語えいごばんタワー・オブ・パワーがそのセクション演奏えんそうせるようになった。ローウェル・フルソン英語えいごばんT-ボーン・ウォーカーB.B.キングギター・スリムらのシカゴや西海岸にしかいがんのブルース・バンドにもホーン・セクションがくわわった。スカのローランド・アルフォンソ、モータウンのウィリアム・ムーア(ファンク・ブラザーズ)らも活躍かつやくした。シカゴ、チェイス、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズといったロックとソウル、ラテンを融合ゆうごうしたブラス・ロックバンドはホーン・セクションをフィーチャーしていた。ボビー・キーズクラレンス・クレモンズは、ロック・サクソフォーンのスタイリストとして活躍かつやくした。ジュニア・ウォーカー英語えいごばんキング・カーティスメイシオ・パーカーはソウルやファンクのサクソフォーン・スタイリストとして影響えいきょうりょくち、マイケル・ブレッカーキャンディ・ダルファーらに影響えいきょうあたえた。アフロビートのフェラ・クティ、マヌ・ディバンゴらも注目ちゅうもくあつめた。

めずらしい機種きしゅ

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サックスによる発明はつめい以降いこう実験じっけんてきなサクソフォーンやサクソフォーン関連かんれん楽器がっき数多かずおお登場とうじょうしたが、そのほとんどは跡形あとかたもなくなった。1920年代ねんだい初頭しょとうには、シカゴのReiffel & Hustedしゃがスライドソプラノサクソフォーンを生産せいさんした[32][33][34]。1920年代ねんだいには、いくつかのぐなアルトおよびテナーサクソフォーンがブッシャーによって生産せいさんされたが、あつかいが面倒めんどうはこびがむずかしいことが判明はんめいした。ブッシャーしゃでは、あるヴォードヴィル芸人げいにんのための目新めあたらしい楽器がっきとして、1ほんのストレート・バリトン・サクソフォーンを特注とくちゅう製作せいさくした[35]C.G. コーンは1928ねんから1929ねんにかけて、Conn-O-SaxとFかんメゾソプラノサクソフォーンの2つのあたらしい変種へんしゅ発表はっぴょうした。サクソフォーンのボアとキイにヘッケルフォンかたちのベルをわせたこの楽器がっきは、イングリッシュホルン音色ねいろ模倣もほうすることを目的もくてきとしたもので、1929ねんと1930ねんにのみ生産せいさんされた。この楽器がっきはローAからハイGまでの音域おんいきっている。コーンのメゾソプラノは、目新めあたらしい楽器がっきとみなされていたもののだい恐慌きょうこう経済けいざい状況じょうきょうにより市場いちば縮小しゅくしょうしたため、同様どうよう生産せいさん期間きかんたんかかった。ほとんどがコーンしゃ修理しゅうり訓練くんれん対象たいしょうとして使用しようされた。

1920年代ねんだいめずらしい設計せっけいなかもっと成功せいこうしたのはキングのSaxelloであった。基本きほんてきにはぐなBソプラノであるが、ネックがすこ湾曲わんきょくしていてベルが先端せんたんにある。H・N・ホワイト・カンパニーによって製作せいさくされた。このいった楽器がっきいまでは4せんあめりかドルもの高値たかねく。その持続じぞくてき影響えいきょうりょくは、カイルヴェルトランポーネ&カッツァーニイタリアばんaltelloモデル)、L.A.Sax、Sax Dakota USAなどのおおくの会社かいしゃが、ストレート(ぐな)・ボア、ティップ(傾斜けいしゃした)・ベルのソプラノサクソフォーンをsaxello(または "saxelloソプラノ")として販売はんばいしていることにあらわれている。

2つの1920年代ねんだい変種へんしゅへの関心かんしんは、ジャズ・ミュージシャンのラサーン・ローランド・カークによって復活ふっかつした。カークはブッシャーのストレートアルトを "stritch"、Saxelloを "manzello" とんだ。ブッシャーのストレートアルトは市販しはんひんであったが、manzelloは特注とくちゅうおおきなベルと改造かいぞうキイ装置そうちつSaxelloであった[36]。より最近さいきんでは、メゾソプラノ、またはその現代げんだいてき変種へんしゅが、ジャズミュージシャンのアンソニー・ブラクストン英語えいごばんジェームズ・カーター英語えいごばんヴィニー・ゴリアジョー・ロヴァーノによって使用しようされるようになった。

オーケストラのCソプラノにおおきさの「コントラアルト」サクソフォーンは、20世紀せいき後半こうはんにカリフォルニアの楽器がっき製作せいさくしゃジム・シュミットによって開発かいはつされた[37]。ボアがおおきくなり、あたらしいうんゆびシステムが導入どうにゅうされ、調しらべ音域おんいき以外いがいはCソプラノにていない。

エッペルハイムのSoprilloサクソフォーン

ドイツ、ミュンヘンのベンディクト・エッペルハイム英語えいごばんは、サクソフォーンの最高さいこう音域おんいき最低さいてい音域おんいき最近さいきんあたらしい手法しゅほうれた。ソプリロサックス英語えいごばんピッコロおおきさのぐな楽器がっきで、上側うわがわのスピーカーホールがマウスピースにまれている。もとのサクソフォーンぞく拡張かくちょうしたこの楽器がっきは、Bソプラノサクソフォーンよりも1オクターブたかおとだかになっている。1999ねんにエッペルスハイムによって開発かいはつされたチューバックス[38]は、Eコントラバスサクソフォーンとおな音域おんいきどううんゆび演奏えんそうすることができるが、その口径こうけいはコントラバスサクソフォーンよりもせまく、その結果けっか、よりコンパクトで「よりリードかんのある」音色ねいろ楽器がっきとなった(ダブルリードのコントラバスサリュソフォーンている)。より小型こがたの(そしてより一般いっぱんてき入手にゅうしゅ可能かのうな)バリトンサクソフォーンのマウスピースとリードで演奏えんそうすることができる。エッペルスハイムはCとBのサブコントラバス・チューバックスも製作せいさくしており、後者こうしゃはこれまでに製作せいさくされたなかもっと低音ていおんのサクソフォーンである。

2000年代ねんだい開発かいはつされたサクソフォーン変種へんしゅなかでも、ベルギーの楽器がっき製作せいさくしゃフランソワ・ルイが2001ねん発明はつめいしたダブルソプラノサクソフォーン「アウロクローム」は、その代表だいひょうてきなものである。

1950年代ねんだい以降いこう非金属ひきんぞくせいのボディをつサクソフォーンが時折ときおり生産せいさんされるようになった。こういった楽器がっき耐久たいきゅうせい修理しゅうりせい、キイアクションや音色ねいろ不備ふびなど、おおくの問題もんだいかかえており、れられなかった[39][40]もっともよくられているのは、チャーリー・パーカーやオーネット・コールマンが短期間たんきかん使用しようした1950年代ねんだいグラフトン英語えいごばんアクリルせいアルトサクソフォーンである。この楽器がっきは、手頃てごろ価格かかくのモデルとして10ねん以上いじょう生産せいさんされた。ポリカーボネートせいビブラトサックス英語えいごばんは、金属きんぞくせいサックスにわるてい価格かかくモデルとして生産せいさんされている。木製もくせいサワット・サクソフォーン英語えいごばんはタイで小規模しょうきぼ生産せいさんされている。ボディ素材そざいおとあたえる影響えいきょうについては意見いけんかれる。

サクソフォーンのうんゆびは、楽器がっき発明はつめいされてからわずかな変更へんこうしかくわえられていないが、1つひらいたおとあなしたのキイがじているために、一部いちぶおと反応はんのう影響えいきょうあたえたり、わずかによわまるなど、音響おんきょうてき問題もんだい内在ないざいしている。また、キイセンターあいだ触覚しょっかく一貫いっかんせいがないため、キイセンターあいだ移動いどうするさい余分よぶん努力どりょく必要ひつようとする。このような音響おんきょうてき問題もんだいと、原初げんしょうんゆびシステムの厄介やっかい側面そくめん改善かいぜんするための以下いかの2つの努力どりょく注目ちゅうもくあたいする。

ルブランのRationaleおよびシステム[41]・サクソフォーンは1つひらいたおとあなよりしたじたキイに関連かんれんする音響おんきょうてき問題もんだい解決かいけつするために設計せっけいされたキイ機構きこうつ。また、うんゆびはんさきうんゆび一致いっちさせながら1つのキイをげることによって、音階おんかい半音はんおんかい移動いどうおこなうことができる。ルブラン・システムの特徴とくちょうのいくつかは、1950年代ねんだいと1960年代ねんだいのVito Model 35サクソフォーンにまれていた。システムの利点りてんにもかかわらず、特定とくていのキイ機構きこう複雑ふくざつさに関連かんれんした費用ひよう機械きかいてき信頼しんらいせい問題もんだいによって、れられなかった[42]

半音はんおんかい(リニアフィンガリング)サクソフォーンは、楽器がっきデザイナーでありビルダーでもあるジム・シュミットのプロジェクトである。キイに関係かんけいなくすべての音程おんていあいだ触感しょっかん論理ろんりてき一貫いっかんせい最大限さいだいげんたかめ、1つひらいたおとあなよりしたじたキイに関連かんれんする音響おんきょうてき問題もんだい回避かいひするホーンを開発かいはつした[43]。いくつかの試作しさくひん製作せいさくされ、展示てんじかい発表はっぴょうされた。この独創どくそうてき高価こうかなサクソフォーンの生産せいさんは、個別こべつ注文ちゅうもんせいである[44]

関連かんれん楽器がっき

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Saxos de Bambú。アルゼンチンのÁngel Sampedro del Río製作せいさく

安価あんかなキイをたない民俗みんぞくばんたけせいサクソフォーン(シャリュモー想起そうきさせる)が20世紀せいきにハワイ、ジャマイカ、タイ、インドネシア、エチオピア、アルゼンチンの楽器がっき製作せいさくしゃらによって開発かいはつされた。ザフーンばれるハワイの楽器がっきは1980年代ねんだい考案こうあんされ、「bamboo sax」としても販売はんばいされているが、その円筒えんとうがたボアはクラリネットのものにより酷似こくじしており、キイ装置そうち欠如けつじょによってリコーダーとなっている。ジャマイカでもっともよくられている同様どうようのタイプのたけせい「サクソフォーン」の開発かいはつしゃメント・ミュージシャンで楽器がっき製作せいさくしゃシュガー・ベリー英語えいごばん(ウィリアム・ウォーカー)であった[45]。インドネシア、スラウェシとうミナハサぞく地域ちいきでは、様々さまざまおおきさのたけ「サクソフォーン」[46]金管楽器きんかんがっきからるバンドが存在そんざいする。これらの楽器がっきはヨーロッパの楽器がっきしたもので、現地げんち材料ざいりょう使つかってつくられている。同様どうよう楽器がっきはタイでも生産せいさんされている[47]

アルゼンチンでは、Ángel Sampedro del RíoとMariana Garcíaが1985ねんから様々さまざまおおきさのたけせいサクソフォーンを生産せいさんしてきた。大型おおがたのものは低音ていおん演奏えんそうできるようにたけせいキイを[48]

おおくのウインドシンセサイザーはサクソフォーンのように演奏えんそうゆびそうされる。

画像がぞう

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種類しゅるい

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現在げんざい、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、ソプラノサックスの4種類しゅるいがもっともよく使つかわれる。また、ソプラニーノサックスやバスサックスも使つかわれることがある。クラシックではアルトが、また、ジャズ・ポピュラーでは、アルトとテナーが標準ひょうじゅんてきもちいられる。

ソプラニッシモ(ピッコロ) (Sopranissimo (piccolo) saxophone)
調しらべせいへん (B♭) 調ちょうである。演奏えんそうされる機会きかい滅多めったにない。演奏えんそうには強靭きょうじんアンブシュア必要ひつようとする。
ソプリロ (Soprillo)
エッペルスハイムしゃはソプリロ (Soprillo) としょうしている。
ソプラニーノ (sopranino saxophone)
調しらべせいへん(E♭)調ちょうで、実音みおよりたん3たかい。演奏えんそうされる機会きかいすくないが、サクソフォーンのアンサンブルなどでもちいられることがある。またジャズプレイヤーが、よう楽器がっきとして使用しようする場合ばあいがある。
ソプラノ (soprano saxophone)
調しらべせいはアルトよりも完全かんぜん5たかへんロ (B♭) 調ちょうで、実音みおよりちょう2ひくい。サクソフォーンよん重奏じゅうそうにおいてはリーダーてき存在そんざいになる。また、テナーとおな調ちょうせいであるため、ジャズなどではテナー奏者そうしゃえて演奏えんそうすることがおおい。略号りゃくごうではS.Sax[52]やss[53]表記ひょうきされる。
本来ほんらいはネックからベルまで円錐えんすいじょうちょくかん(ストレート)であるが、 柳澤やなぎさわ管楽器かんがっきがネック部分ぶぶんすこがっているカーブドネックの楽器がっき発売はつばいしてから、音色ねいろやわらかさも手伝てつだいカーブドネックも一般いっぱんてきになってきた。また両方りょうほう特性とくせいを1ほん楽器がっきおぎなため、アルト以下いか同様どうようにネック部分ぶぶん分割ぶんかつ採用さいようし、ストレートとカーブドのネックをしきにしたものもある(デタッチャブルネック)。カーブドソプラノとしょうするアルトサクソフォーン同様どうよう全体ぜんたいきょくかんである楽器がっきや、サクセロとしょうしたベルだけが正面しょうめんいた楽器がっき存在そんざいする。ハイF#キーをそなえるもののなかには半音はんおんじょうのハイGキーをち、実音みおファ(F)をせるものもある。あかるい音色ねいろC調しらべかん存在そんざいしたが、現在げんざい生産せいさんされていない(C メロディを参照さんしょう)。
オーロクローム (aulochrome)
通常つうじょう音色ねいろで(特殊とくしゅ奏法そうほうじゅうおとではなく)同時どうじに2つのおとせる、じゅうソプラノ・サクソフォーン。フィリップ・ボスマンがこの楽器がっきのために「ファンファーレIII」という協奏曲きょうそうきょくろした。[ちゅう 3]
アルト (alto saxophone)
調しらべせいへん (E♭) 調ちょうで、実音みおよりちょう6ひくい。標準ひょうじゅんてき音域おんいきはヘおん記号きごうレ♭ (D♭) からやく2オクターヴはんじょうラ♭(A♭)まで、ハイF#キーをそなえるものはその半音はんおんじょう(A)までを演奏えんそうすることができる。略号りゃくごうではA.Sax[52]やas[53]表記ひょうきされる。
むかし個体こたいなかには、かんばし(C)まで演奏えんそうできるようにしたものもまれ存在そんざいする。吹奏楽すいそうがくではメロディーラインを担当たんとうする部分ぶぶんおおい。ソプラノと比較ひかくしてネックがおおきくがり、本体ほんたい途中とちゅうかえした構造こうぞうとなっている(ごくまれにネック以外いがいがほぼちょくかんの「ストレートアルト」も存在そんざいするが、一般いっぱんてきではない)。サクソフォーンとえばこの構造こうぞうがイメージされることもおおく、サクソフォーンのなかもっと標準ひょうじゅんてき楽器がっきといえる。クラシカルサクソフォーンのための独奏どくそうきょく協奏曲きょうそうきょくはほとんどがアルトサクソフォーンのためにかれている。また、ビッグバンドのサクソフォーンセクションはアルトがセクションリーダーをつとめ、しゅ旋律せんりつかなでることが一般いっぱんてきである。
テナー (tenor saxophone)
調しらべせいはアルトよりも完全かんぜん4ひくへん (B♭) 調ちょう実音みおより1オクターヴとちょう2ひくい。標準ひょうじゅんてき音域おんいきはヘおん記号きごうラ♭(A♭)からやく2オクターヴはんじょうミ♭ (E♭) まで、ハイF#キーをそなえるものはその半音はんおんじょう (E) までを演奏えんそうすることができる。略号りゃくごうではT.Sax[52]やts[53]表記ひょうきされる。
アルトと比較ひかくしてネックや本体ほんたいながかんがりがおおきいが、基本きほんてき構造こうぞうはアルトに類似るいじしている(アルト同様どうよう、ごくまれにネック以外いがいがほぼちょくかんいた「ストレートテナー」も存在そんざいするが、やはり一般いっぱんてきではない)。アルトのつぎによく使つかわれる楽器がっきで、演奏えんそうしゃおおい。男性だんせいてきかつ豪快ごうかい音色ねいろつことから、ジャズ、ポピュラーミュージックでは幅広はばひろいジャンルでソロ楽器がっきとしても重用じゅうようされている。
C メロディ (C melody saxophone)
アドルフ・サックスは当初とうしょ2つのファミリーのサクソフォーンを考案こうあんした。すなわち、現在げんざい使つかわれているE♭かん-B♭かんファミリーの楽器がっきと、Fかん-Cかんファミリーのそれである。Fかん-Cかん楽器がっきはほとんど製作せいさくされなかったが、Cかんテナーがメロディサックスというニックネームで存在そんざいした。調しらべせい(C)調ちょうで、実音みおより1オクターヴひくい。20世紀せいき前半ぜんはんには製造せいぞうされていた。B♭かんテナーと全音ぜんおんちがいのためあくまでテナーとして位置いちづけるべきであろう。また、Cかんでピアノ、ギター、オルガン、フルートやオーボエのじつ音譜おんぷ移調いちょうすることなく、豊富ほうふりょう既存きそん楽譜がくふをそのまま演奏えんそうできたため、アマチュアや教会きょうかい音楽おんがくようこのまれた。2011ねん現在げんざい製造せいぞうされていないが根強ねづよ愛好あいこう存在そんざいし、レストアされたビンテージ楽器がっき流通りゅうつうしている。
バリトンサクソフォーン
バリトン (bari(y)tone saxophone)
調しらべせいへん (E♭) 調ちょうで、実音みおより1オクターヴちょう6ひくく、アルトよりも1オクターヴひくい。略号りゃくごうではB.Sax[52]やbs[53]表記ひょうきされる。
一般いっぱんてきに(のサクソフォーンに存在そんざいしない)ローAキーをそなえ、じょうのA、すなわち実音みお (C) のおとすことができるが、むかし個体こたいにはこの機構きこうがなかったり、軽快けいかい音色ねいろすためにこの機構きこう省略しょうりゃくしたりするものもある。アルトおよびテナーとくらべるとネックちかくの本体ほんたいかえしがもうけられているなどの構造こうぞうじょう差異さいられる。演奏えんそうしたさい楽器がっき本体ほんたいゆかおおきく接近せっきんしてしまうため、ベルのかえ部分ぶぶんいちきゃくまれているものも存在そんざいする。吹奏楽すいそうがくではサクソフォーンおよび木管もっかんセクションのバスごえ低音ていおん)を担当たんとうするほか、ビッグバンドにおいてもていこえ担当たんとうする。まれにトップアルトサックスとオクターブちがいのしゅ旋律せんりつアドリブソロをくこともある。クラシカルサクソフォーンにおいてはアンサンブル楽器がっきとしての性格せいかくつよいが、最近さいきんでは栃尾とちお克樹かつきようにバリトンをソロ楽器がっきとして演奏えんそうするプレイヤーもてきている。ジャズにおいてはジェリー・マリガンロニーキューバー、ロック・ポップスにおいてはステファン・"ドク"・クプカ(タワー・オブ・パワー)のような著名ちょめいなバリトンサックス奏者そうしゃ存在そんざいする。
なお、管楽器かんがっき一般いっぱんに「バリトン」とばれるバリトンホルン(ユーフォニアム)と区別くべつするために「バリサックス」(Bari Sax)と表現ひょうげんされることがある。また、日本にっぽんでは「バリサク」という俗称ぞくしょうばれることもある(熊本くまもとなどの一部いちぶ地域ちいきでは「バリサキ」という俗称ぞくしょうもある)。
バス (bass saxophone)
調しらべせいはテナーよりも1オクターヴひくへん (B♭) 調ちょう実音みおより2オクターヴとちょう2ひくい。構造こうぞうはバリトンに類似るいじしている。だい編成へんせい吹奏楽すいそうがくやサクソフォーンのアンサンブルなどでもちいられることがある。
コントラバス (contrabass saxophone)
調しらべせいはバリトンよりも1オクターヴひくへん (E♭) 調ちょう世界せかいでもすうだいしかなく(日本にっぽんには3だいしかない)、たかひと以外いがい演奏えんそう脚立きゃたつ必要ひつようとする。サクソフォーンのアンサンブルなどで、まれもちいられることがある。
チューバックス (tubax)
コントラバスが携帯けいたい不便ふべんであるため、エッペルスハイムしゃ管長かんちょうげてつくったのがこの楽器がっき音域おんいきはコントラバスと同一どういつだが、マウスピースはバリトンとおなぶつ使用しよう可能かのう
サブコントラバス (Subcontrabass saxophone)
もともと存在そんざいしなかったが、1999ねんにドイツのエッペルスハイムしゃはじめて製作せいさく成功せいこうした。世界せかいすうほんしかつくられていない。全長ぜんちょうは2メートルはんから3メートルちかおおきさである。調しらべせいはバスより1オクターヴひくへん調ちょう同社どうしゃはB♭かんコントラバスサクソフォンとしょうしている。
チューバックス (tubax)
エッペルスハイムしゃはサブコントラバスかんぜんこうちぢめたB♭かんチューバックスも開発かいはつ製造せいぞうしている。

奏法そうほう

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拡張かくちょう奏法そうほう

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スラップ奏法そうほう
舌打したうち。弦楽器げんがっきのピチカート奏法そうほうちかいたおと出現しゅつげんさせる。
キーノイズ奏法そうほう
キーを素早すばやふさいだときおと(ノイズ)が楽器がっきない反響はんきょうしたおと利用りようする。そのため低音ていおん楽器がっきおおきいキーほどおおきなおとる。
じゅうおと奏法そうほう
マルチフォニックまたはメアクラングとばれる。通常つうじょうとはちがうんゆびもちいて和音わおん発生はっせいさせる。
循環じゅんかん呼吸こきゅう
演奏えんそうちゅうくちなかめた空気くうきしながらはなからいきい、連続れんぞくしておとつづける。
マウスピース奏法そうほう
直接ちょくせつかんのマウスピースこうくちびるてて演奏えんそうする。スラップとわされるが、トランペット奏法そうほうわせることもできる。
わりおん奏法そうほう
おもにロックやジャズ・フュージョンなどで利用りようされる。エレキギターのオーバードライブのようれた効果こうかおんる。ファズとグロウル(グロウトーンとも)にけられる。ファズはリードの振動しんどうおも発生はっせいげんおもこう音域おんいき使用しようされ、グロウルは発声はっせいしながらおとす。グロウルは発声はっせいできるかぎりほぼすべての音域おんいき使用しようできるが低音ていおんでは効果こうかうすおもにオクターブキーをしたうえ音域おんいき利用りようされる。
オーバートーン奏法そうほう
最低さいていおとまたはその半音はんおんじょうと、ほぼすべてキーをいだ状態じょうたい(+オクターブキーを併用へいよう)で口腔こうくうないのど変化へんかさせると前述ぜんじゅつのオーバートーンが発生はっせいし、管長かんちょう相応そうおうする倍音ばいおんこと出来できる。オーバートーンで音色ねいろ通常つうじょううんゆび音色ねいろことなるため、わせてくと通常つうじょうとはちがった音色ねいろでフレーズをこと出来できる。マイケル・ブレッカーおも使つかられていた。
ハーフトーン
リードにすこしたけることすこしこもった音色ねいろす。長音ちょうおん周期しゅうきてき利用りようするとビブラートとはちがった効果こうかことができる。
フラッタータンギング
ビッグ・ジェイ・マクニーリーら、ホンカーが使用しよう

著名ちょめいなプレイヤー

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クラシック

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洋楽ようがく/R&Bなど

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洋楽ようがく/ジャズ

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邦楽ほうがく

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おもなメーカー

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セルマーヘンリー・セルマー・パリ)、ヤマハヤナギサワ生産せいさん本数ほんすう世界せかい屈指くっしで「サクソフォーン3だいメーカー」とばれる[56]。これにクランポンカイルベルトなどメーカーが追従ついしょうするかたちとなっている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ まれにプラスチックやガラスなどでつくったものもあり、チャーリー・パーカーなど著名ちょめい演奏えんそう使つかったれいもある。
  2. ^ S,A,A,T,Bの5ほんものサックスが使用しようされている。現在げんざいでも演奏えんそう機会きかいめぐまれているオーケストラ作品さくひんとしては異例いれい規模きぼである。
  3. ^ 2002ねんパリラジオ・フランスでの演奏えんそうかいいで2003ねんブリュッセルのアルス・ムジカ現代げんだい音楽おんがくさいにて披露ひろうされた。公式こうしきサイト
  4. ^ スカタライツ
  5. ^ ハーレム・ノクターンの演奏えんそう有名ゆうめい
  6. ^ スタックス・レコードのハウスバンド
  7. ^ マッスル・ショールズ
  8. ^ メンフィス・ホーンズ
  9. ^ モータウンのサックス奏者そうしゃ
  10. ^ ブラス・ロックのシカゴのメンバー
  11. ^ ブルース・スプリングスティーン
  12. ^ サックスとベースを演奏えんそうする。クルセイダーズのメンバーだった。

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書籍しょせき

[編集へんしゅう]
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  • Eugen Brixel: Die Klarinette und das Saxophon. In: Schriftenreihe für Jungmusiker. Heft 1. Musikverlag Stefan Reischel, Oberneunkirchen, Österreich, 1983.
  • Grove, George (January 2001). Stanley Sadie, ed. The New Grove Encyclopædia of Music and Musicians (2nd ed.). Grove's Dictionaries of Music. Volume 18, pp534–539. ISBN 1-56159-239-0.
  • Bernhard Habla: Solo-Saxophon und Blasorchester. Verzeichnis von über 350 Solowerken für ein oder mehrere Saxophone und Blasorchester. In: Werke für Soloinstrument mit Blasorchester. Band 5. Wien 1996
  • Matthias Hochheim: Saxwelt, das deutsche Saxophonbuch. Books on Demand, 2004 (Ausführliche Seriennummernlisten, Das C-Melody, Die Geschichte des Saxophons und dessen Hersteller) ISBN 3-8334-2187-8.
  • Horwood, Wally (1992) [1983]. Adolphe Sax, 1814–1894: His Life and Legacy ((Revised edition) ed.). Herts: Egon Publishers. ISBN 0-905858-18-2.
  • Howe, Robert (2003). Invention and Development of the Saxophone 1840–55. Journal of the American Musical Instrument Society.
  • Ingham, Richard (1998). The Cambridge Companion to the Saxophone. Cambridge: Cambridge Univ. Press. ISBN 0-521-59348-4.
  • Kool, Jaap (1931). Das Saxophon (in German). Leipzig: J. J. Weber. (translated to English as Gwozdz, Lawrence (1987). The Saxophone. Egon Publishers Ltd.)
  • Kotchnitsky, Léon (1985) [1949]. Sax and His Saxophone (Fourth ed.). North American Saxophone Alliance.
  • Uwe Ladwig: Saxofone. buchwerft-verlag.de, 2011, ISBN 978-3863422806
  • Lindemeyer, Paul (1996). Celebrating the Saxophone. William Morrow & Co. ISBN 0-688-13518-8.
  • Jean-Marie Londeix: 150 ans de musique pour saxophone. Roncorp Publications, USA 1995. (Dieses dicke, teure Buch listet die weltweite Gesamtheit an Kompositionen auf, die jemals für mindestens ein Saxofon im Zeitraum von 1844 bis 1994 komponiert wurden einschließlich pädagogischer Lektüre, Kammermusik, Ensemble und Konzerten, gleichen sowie gemischten Besetzungen.)
  • Marzi, Mario (2009). Il Saxofono. The Expression of Music 4 (in Italian). Varese, Italy: Zecchini Editore (Zecchini Publisher). p. 468. ISBN 978-88-87203-86-8.
  • Patrick Murphy: Extended Techniques for Saxophone. An Approach Through Musical Examples. (Dissertation) Arizona State University, 2013
  • Peter Ninaus: Voraussetzungen für den Bläserunterricht am Beispiel der Klarinette. Eine Betrachtung unter den Aspekten der Musikpädagogik, Psychologie, Physiologie und des Instrumentenbaus. Bakkalaureatsarbeit an der Universität für Musik und darstellende Kunst in Graz, 2004.
  • Segell, Michael (2005). The Devil's Horn: The Story of the Saxophone, from Noisy Novelty to King of Cool. Farrar, Straus and Giroux. ISBN 0-374-15938-6.
  • Sax, Mule & Co, Jean-Pierre Thiollet, H & D (Paris), 2004. ISBN 2914266030
  • Ventzke, Raumberger, Hilkenbach: Die Saxophone. Beiträge zu ihrer Bau-Charakteristik, Funktion und Geschichte, 4. Auflage, Erwin Bochinsky, Frankfurt 2001, ISBN 3-923639-45-7.

関連かんれん項目こうもく

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