川口かわぐち幹夫みきお

川口かわぐち 幹夫みきお（かわぐち みきお、1926年ねん9月25日にち - 2014年ねん11月5日にち）は、日本にっぽんのテレビプロデューサー、テレビディレクター。日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい（NHK）の第だい16代だい会長かいちょう。

東京とうきょう都と出生しゅっしょう、鹿児島かごしま県けん川辺かわべ郡ぐん川辺かわべ町まち（現げん南みなみ九州きゅうしゅう市し）育そだち（関東かんとう在住ざいじゅうの南みなみ薩出身しゅっしん者しゃで構成こうせいされる興南こうなん会かい会長かいちょうも歴任れきにん）。目加田めかださくを著ちょ『花はな萬まん葉よう』の撮影さつえい者しゃで知しられる写真しゃしん家かの川口かわぐち小夜子さよこ（1929年ねん - 1994年ねん）は妻つま。童謡どうよう歌手かしゅの川口かわぐち京子きょうこは長女ちょうじょ。

来歴らいれき・人物じんぶつ

生後せいご間あいだもなく父ちちが死去しきょし1929年ねんに母ははと別わかれて鹿児島かごしま県けん川辺かわべ郡ぐん川辺かわべ町まち（現げん南みなみ九州きゅうしゅう市し）に移住いじゅうし祖母そぼらに育そだてられる。旧制きゅうせい県立けんりつ四よん中ちゅう（現げん・県立けんりつ川辺かわべ高校こうこう）、旧制きゅうせい七なな高だかを経へて、東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ卒業そつぎょう後ご、1950年ねんNHKに入局にゅうきょく。初はつ任地にんちは福岡放送局ふくおかほうそうきょく。その後ご、演芸えんげい畑はたけを歩あゆむ。入局にゅうきょく直後ちょくごの1951年ねんに放送ほうそうされた『第だい1回かいNHK紅白こうはく歌合戦うたがっせん』をラジオで聞きいた川口かわぐちは『NHK紅白こうはく歌合戦うたがっせん』が将来しょうらい大おおきくなることを予想よそうしたという（この時とき、紅白こうはくが長寿ちょうじゅ番組ばんぐみ化かすることを予想よそうしていたスタッフはいなかったという）。

紅白こうはくを国民こくみん的てき番組ばんぐみに育そだて上あげ、多おおくの音楽おんがく番組ばんぐみの演出えんしゅつ・制作せいさくで活躍かつやくした。その後ご制作せいさく局きょくドラマ部ぶ担当たんとう部長ぶちょう（1970年ねん）として『大河たいがドラマ』や当時とうじ新進しんしん気鋭きえいのドラマ作家さっかを起用きようし、数々かずかずの番組ばんぐみ作づくりに関かかわる。また『ドラマ人間にんげん模様もよう』枠わくを作つくり、『夢ゆめ千せん代だい日記にっき』『あ・うん』『花はなへんろ』『シャツの店みせ』など多おおくの名作めいさくを世よに送おくり出だした。

1983年ねんから1991年ねんにかけて、日本にっぽん映画えいがテレビプロデューサー協会きょうかい第だい2代だい会長かいちょう。理事りじ（1980年ねん）、放送ほうそう総そう局長きょくちょう（1982年ねん）、専務せんむ理事りじ（1983年ねん）まで昇進しょうしんしたが、自民党じみんとう宏池会こうちかいと深ふかいつながりを持もつ島しま桂かつら次じと会長かいちょうの座ざを争あらそい、敗やぶれる。

1986年ねん、NHK交響こうきょう楽団がくだん理事りじ長ちょうに就任しゅうにん。島しまが失脚しっきゃくした後のち、1991年ねんNHKの会長かいちょうに就任しゅうにん、1997年ねんに退任たいにんした。

在任ざいにん中ちゅうは島しまの商業しょうぎょう化か路線ろせんを否定ひていした。ハイビジョン実用じつよう化か試験しけん放送ほうそう、テレビの国際こくさい放送ほうそうを開始かいし、「ラジオ深夜しんや便びん」等とうの24時じ間あいだ放送ほうそうやFM文字もじ多重たじゅう放送ほうそうを推進すいしんした。一方いっぽうで、FMローカル放送ほうそうのブロック化かを推進すいしんするといった地方ちほう局きょくの合理ごうり化かを進すすめたり、中波ちゅうは放送ほうそうのステレオ化かには消極しょうきょく的てきといった姿勢しせいも見みせたりした。

川口かわぐちは会長かいちょう就任しゅうにん時じに「番組ばんぐみ制作せいさくは農業のうぎょうである」と発言はつげんし、長期ちょうき的てき視野しやにたった番組ばんぐみ作づくりを訴うったえた。また、あらゆるタブーへの挑戦ちょうせんを説といた。

NHKスペシャル「奥おくヒマラヤ禁断きんだんの王国おうこく・ムスタン」のやらせが発覚はっかくした際さいには放送ほうそう総そう局長きょくちょう・曾我そが健けんを委員いいん長ちょうとする調査ちょうさ委員いいん会かいを設もうけ、徹底的てっていてきに番組ばんぐみの問題もんだい点てんを洗あらい出だし、調査ちょうさ報告ほうこくにまとめ公表こうひょうした。また、この問題もんだいでNHK経営けいえい委員いいん会かいに進退伺しんたいうかがいを提出ていしゅつしたが、辞任じにんする必要ひつようなしとの回答かいとうを得えた。

川口かわぐち自身じしんは競馬けいばファンでもあり、『NHK競馬けいば中継ちゅうけい』の放送ほうそうレース拡大かくだいを提案ていあんしそれを実行じっこうに移うつした実績じっせきもある。

1994年ねんから札幌さっぽろこどもミュージカル育成いくせい会かい（2015年ねん7月がつ31日にち解散かいさん）で脚本きゃくほん・演出えんしゅつを担当たんとうする他ほか、副ふく会長かいちょうも歴任れきにんした。

1997年ねん、川口かわぐちはNHK会長かいちょうを退任たいにん後ご、NHK名誉めいよ顧問こもんとなる。またNHK、民放みんぽう、制作せいさく会社かいしゃと放送ほうそう業界ぎょうかいの有志ゆうし者しゃで結成けっせいした放送ほうそう人じんの会かい初代しょだい会長かいちょうに就任しゅうにんした。

1999年ねん、川口かわぐちの母ははの再婚さいこん相手あいてとの間あいだにもうけた異父いふ妹いもうとからの誘さそいがあり、神奈川かながわ県けん藤沢ふじさわ市しに移住いじゅうし異父いふ妹いもうと夫婦ふうふと共ともに生活せいかつする。

2014年ねん11月5日にち、胃いがんのため88歳さいで没ぼっした。

交友こうゆう関係かんけい

俳優はいゆうの天本あまもと英世ひでよとは旧制きゅうせい七なな高だか・東京大学とうきょうだいがくの同窓生どうそうせいにあたる。

エピソード

橋田はしだ壽賀子すがこはおしんの企画きかくを民放みんぽう各社かくしゃに持もち込こんだがバブル景気けいきに湧わく時代じだいだったこともあり「苦労くろう話ばなしや貧乏びんぼうものは当あたらない」といった理由りゆうで全すべて断ことわられ、NHKに持もち込こんだところ当時とうじ放送ほうそう総そう局長きょくちょうだった川口かわぐちは明治めいじから昭和しょうわを生いき抜ぬいた女性じょせいの苦労くろう話はなしのおしんを二ふたつ返事へんじで承諾しょうだくした。橋田はしだは2年ねん前まえのNHK大河たいがドラマ、おんな太閤たいこう記きで最高さいこう視聴しちょう率りつ36.8%を記録きろくするなどNHKにとっては売うれっ子こ脚本きゃくほん家かという認識にんしきであったが企画きかくとしては川口かわぐち以外いがいが全員ぜんいん反対はんたいした。だが川口かわぐちは「視聴しちょう率りつを気きにせず書かいてください」と橋田はしだに伝つたえこの企画きかくを通とおした。おしんはその後ご、最高さいこう視聴しちょう率りつ62.9%を叩たたき出だし、朝あさの連続れんぞくドラマは勿論もちろん、日本にっぽんの全すべてのドラマが持もつ視聴しちょう率りつ記録きろくを全すべて塗ぬり替かえ（現在げんざいでもこの記録きろくは破やぶられていない）戦後せんご最大さいだいのヒット作さくとなったほか、世界せかい68ヶ国かこくや地域ちいきで放送ほうそうされるという、世界せかいを代表だいひょうする作品さくひんとなった。

制作せいさく番組ばんぐみ

• 夢ゆめで逢あいましょう（1961年ねん - 1966年ねん）
• 歌うたのグランド・ショー
• 若わかさとリズム（1965年ねん - 1966年ねん）制作せいさく統括とうかつ
• おはよう、ぼくの海うみ（1969年ねん）エグゼクティヴ・プロデューサー
• マザー（1970年ねん）エグゼクティヴ・プロデューサー - ノンクレジット。
• さすらい（1971年ねん）エグゼクティヴ・プロデューサー - ノンクレジット。

制作せいさく舞台ぶたい

札幌さっぽろこどもミュージカル

• ポロリンタン物語ものがたり（1989年ねん）脚本きゃくほん
• オラバ（1992年ねん）脚本きゃくほん
• ポンタとキタキツネ（1995年ねん）脚本きゃくほん
• むかし地球ちきゅうのどこかで（1998年ねん）脚本きゃくほん
• ニンゲン・コレ・ミナ・オナジ〜ゼノさんとこどもたち〜（2000年ねん）脚本きゃくほん
• 家出いえでした犬いぬの話はなし（2003年ねん）脚本きゃくほん

ヴォーカル

• OH! MY GOD（2002年ねん）監修かんしゅう

ビブリオグラフィ

著書ちょしょ

• 『主役しゅやく・脇役わきやく・湧わかせ役やく : テレビ「志こころざし」の時代じだい』講談社こうだんしゃ、1987年ねん4月がつ20日はつか。NDLJP:12275896。 
• 会長かいちょうは快調かいちょうです!（1999年ねん、東京とうきょう新聞しんぶん出版しゅっぱん局きょく）
• 小夜子さよこへ 妻つまが遺のこした花はながたみ（1999年ねん、ホーム社しゃ）
• 冷ひや汗あせ、感動かんどう50年ねん 私わたしのテレビ交遊こうゆう録ろく（2004年ねん、日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい）

共著きょうちょ

• 合唱がっしょうのための舞台ぶたい作品さくひん 子こどものためのミュージカル ポンタとキタキツネ（1998年ねん、音楽おんがくの友とも社しゃ）

関連かんれん書籍しょせき

• 時代じだいの証言しょうげん者しゃ 14 「放送ほうそう文化ぶんか」 川口かわぐち幹夫みきお（2006年ねん、読売新聞よみうりしんぶん東京とうきょう本社ほんしゃ〈読売よみうりぶっくれっと no.55〉）

後述こうじゅつの読売新聞よみうりしんぶんにて掲載けいさいのインタビュー内容ないようを加筆かひつ・修正しゅうせいし刊行かんこう。

雑誌ざっし記事きじ

インタビュー

• 読売新聞よみうりしんぶん（2005年ねん11月28日にち - 12月27日にち、読売新聞社よみうりしんぶんしゃ）時代じだいの証言しょうげん者しゃ「放送ほうそう文化ぶんか・川口かわぐち幹夫みきお」編へん

作詞さくし

• 碧瑠璃へきるりの空そらに（1946年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 池井いけい優ゆう『藤山ふじやま一郎いちろうとその時代じだい』新潮社しんちょうしゃ、1997年ねん5月がつ25日にち。ISBN 9784104179015。 
• 川口かわぐち幹夫みきお『冷ひや汗あせ、感動かんどう50年ねん 私わたしのテレビ交遊こうゆう録ろく』日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい、2004年ねん11月20日にち。ISBN 4-14-005469-7。 

関連かんれん項目こうもく

• 東京大学とうきょうだいがくの人物じんぶつ一覧いちらん
• 鹿児島かごしま県けん出身しゅっしんの人物じんぶつ一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 札幌さっぽろこどもミュージカル 札幌さっぽろこどもミュージカル育成いくせい会かい　オフィシャルホームページ