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この項目 こうもく では、漢字 かんじ 全般 ぜんぱん について説明 せつめい しています。日本 にっぽん で使用 しよう される漢字 かんじ については「日本 にっぽん における漢字 かんじ 」をご覧 らん ください。
漢字 かんじ (かんじ)は、中国 ちゅうごく 古代 こだい の黄河 こうが 文明 ぶんめい で最初 さいしょ に発祥 はっしょう した表記 ひょうき 文字 もじ 。四 よん 大 だい 文明 ぶんめい で使用 しよう された古代 こだい 文字 もじ のうち、現用 げんよう される唯一 ゆいいつ の文字 もじ 体系 たいけい である[12] [13] 。また最 もっと も文字数 もじすう が多 おお い文字 もじ 体系 たいけい であり、その数 かず は約 やく 15万 まん 字 じ に上 のぼ る。古代 こだい から周辺 しゅうへん 諸 しょ 国家 こっか や地域 ちいき に伝 つた わり漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏 けん を形成 けいせい し、言語 げんご のみならず文化 ぶんか 上 じょう に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えた。
現代 げんだい では中国 ちゅうごく 語 ご 、日本語 にほんご 、朝鮮 ちょうせん 語 ご (韓国 かんこく 語 ご )、広西 ひろせ の東興 とうこう 市 し にいるジン族 ぞく が使用 しよう するベトナム語 ご の記述 きじゅつ に使 つか われる。現在 げんざい 、朝鮮 ちょうせん 語 ご ではほとんど使用 しよう されなくなっている。20世紀 せいき に入 はい り、漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏内 けんない でも中国語 ちゅうごくご と日本語 にほんご 以外 いがい は漢字 かんじ 表記 ひょうき をほとんど廃止 はいし したが、なお約 やく 15億 おく 人 にん が使用 しよう し、約 やく 50億 おく 人 にん が使 つか うラテン文字 もじ についで、世界 せかい で2番目 ばんめ に使用 しよう 者 しゃ 数 すう が多 おお い文字 もじ 体系 たいけい である[14] 。
概要 がいよう
漢字 かんじ の特徴 とくちょう
ラテン文字 もじ に代表 だいひょう されるアルファベット が1つの音 おと 価 か を表記 ひょうき する音素 おんそ 文字 もじ であるのに対 たい し、漢字 かんじ は一般 いっぱん に、それぞれが個別 こべつ の意味 いみ を持 も ち音節 おんせつ に対応 たいおう している形態素 けいたいそ である[15] 。しかし現代 げんだい 中国 ちゅうごく 語 ご の単語 たんご は、大 だい 部分 ぶぶん が2つ以上 いじょう の漢字 かんじ を組 く み合 あ わせたものになっている[16] 。
本来 ほんらい 、1字 じ が一義 いちぎ を表 あらわ すことだけを重視 じゅうし して表意 ひょうい 文字 もじ としてきたのだが、これは古代 こだい 中国語 ちゅうごくご の1音節 おんせつ が1つの意味 いみ を表 あらわ す孤立 こりつ 語 ご 的 てき な言語 げんご 構造 こうぞう に由来 ゆらい するのであって、正確 せいかく には音 おと と意味 いみ 両者 りょうしゃ を表記 ひょうき する表 ひょう 語 ご 文字 もじ である。つまり、1字 じ が1語 ご を表 あらわ しているのである。このような漢字 かんじ の特徴 とくちょう から伝統 でんとう 的 てき な文字 もじ 学 がく では漢字 かんじ を形 かたち ・音 おと ・義 ぎ の3要素 ようそ によって分析 ぶんせき してきた。
しかし、1つの音 おと の持 も つ語 かたり が派生 はせい 義 ぎ を生 う んで、1字 じ が複数 ふくすう の(まったく正 せい 反対 はんたい の、あるいは無関係 むかんけい で一方 いっぽう の字義 じぎ からは想像 そうぞう することはできないような)字義 じぎ を持 も っていたり、読 よ みが変 か わって、複数 ふくすう の字音 じおん を持 も っていたりする場合 ばあい もある。また、外来 がいらい 語 ご を表記 ひょうき する場合 ばあい など、単純 たんじゅん に音 おと を表 あらわ すために作 つく られた漢字 かんじ もあり、字義 じぎ を持 も たない場合 ばあい もある。字義 じぎ の有無 うむ を問 と わず、1音節 おんせつ を表 あらわ す文字 もじ という点 てん において音節 おんせつ 文字 もじ である日本語 にほんご の仮名 かめい とは近 ちか い関係 かんけい にある。
漢字 かんじ を輸入 ゆにゅう した国 くに と、現在 げんざい の使用 しよう 状 じょう 況 きょう
漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏 けん における主 おも な言語 げんご での「漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏 けん 」「東 ひがし アジア文化 ぶんか 圏 けん 」という概念 がいねん のい方 いかた と書 か き方 かた
日本 にっぽん 、朝鮮 ちょうせん 、琉球 りゅうきゅう 王国 おうこく 、ベトナム は、古代 こだい 中国 ちゅうごく から漢字 かんじ を輸入 ゆにゅう して使用 しよう した。また、シンガポール 、マレーシア のように、中国 ちゅうごく から移住 いじゅう した人 ひと たちが多 おお く住 す み、漢字 かんじ を使用 しよう している地域 ちいき がある。これらの漢字 かんじ を使用 しよう する・していた周辺 しゅうへん 諸国 しょこく を包括 ほうかつ して漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏 けん と呼 よ ぶ。
日本 にっぽん では漢 かん 委 い 奴 やつ 国王 こくおう 印 しるし や古墳 こふん 時代 じだい の稲荷台 いなりだい 1号 ごう 墳 ふん に埋蔵 まいぞう されていた鉄 てつ 剣 けん の銘文 めいぶん が、日本 にっぽん における初期 しょき の漢字 かんじ 事例 じれい とされており[17] [18] [19] 、また近年 きんねん の研究 けんきゅう で、朝鮮半島 ちょうせんはんとう を経由 けいゆ して伝来 でんらい した文字 もじ ・使用 しよう 方法 ほうほう が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい が指摘 してき されている[20] [21] [18] 。
現在 げんざい 、漢字 かんじ は、中国 ちゅうごく (中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく )・台湾 たいわん (中華民国 ちゅうかみんこく )・日本 にっぽん (日本 にっぽん 国 こく )で日常 にちじょう 的 てき に、韓国 かんこく (大韓民国 だいかんみんこく )・シンガポール などで限定 げんてい 的 てき で用 もち いられている。しかし、20世紀 せいき 後半 こうはん の各国 かっこく 政府 せいふ の政策 せいさく で漢字 かんじ を簡略 かんりゃく 化 か したり使用 しよう の制限 せいげん などを行 おこな ったりしたため、現在 げんざい では、これらの国 くに で完全 かんぜん に文字 もじ 体系 たいけい を共有 きょうゆう しているわけではない。
また、北朝鮮 きたちょうせん やベトナム のように、漢字 かんじ 使用 しよう を公式 こうしき にやめた国 くに もある。しかし、漢字 かんじ は使 つか わなくなっても漢字 かんじ とともに流入 りゅうにゅう した語彙 ごい が各 かく 言語 げんご の語種 かたりぐさ として大 おお きな割合 わりあい を占 し めている。
漢字 かんじ 音 おん は地域 ちいき ・時代 じだい によって変化 へんか する。しかしながら、淵源 えんげん となる中 ちゅう 古音 こおん から各 かく 地域 ちいき の音韻 おんいん 変化 へんか に従 したが って規則 きそく 的 てき に変化 へんか しているため、類推 るいすい 可能 かのう な共通 きょうつう 性 せい を持 も っている。また地域 ちいき により発音 はつおん が違 ちが う場合 ばあい でも同 おな じ字 じ で表 あらわ すことができるため、国境 こっきょう を越 こ えて漢字 かんじ を使 つか った筆談 ひつだん でコミュニケーションを取 と ることもある。字形 じけい の複雑 ふくざつ さから、手書 てが きする場合 ばあい には、書 か き間違 まちが いや省略 しょうりゃく などによって字体 じたい は少 すく なからず変化 へんか してきた。そうして変化 へんか した字体 じたい のうち、ある程度 ていど の範囲 はんい に定着 ていちゃく した俗字 ぞくじ が各国 かっこく において正字 せいじ に選 えら ばれ、字形 じけい にわずかな差異 さい が見 み られる場合 ばあい がある。また地域 ちいき 音 おん や地域 ちいき 特有 とくゆう の字義 じぎ を表 あらわ すための国字 こくじ ・方言 ほうげん 字 じ や異体 いたい 字 じ も多 おお く作 つく られてきた。
漢字 かんじ の数 かず
中国 ちゅうごく 語 ご の音節 おんせつ の数 かず は、現代 げんだい 普通 ふつう 話 ばなし の場合 ばあい 、声調 せいちょう の組 く み合 あ わせを考 かんが えても1,600種 しゅ 未満 みまん であり、音節 おんせつ 文字 もじ であれば、これだけの文字種 もじしゅ があれば足 た りる計算 けいさん になる。しかし、同音 どうおん 異義 いぎ の語 かたり を、部首 ぶしゅ をつけるなどの手法 しゅほう を用 もち いて区別 くべつ する漢字 かんじ は、5,000種 しゅ 前後 ぜんこう が同 どう 時代 じだい 的 てき に使用 しよう されてきた。これに、時代 じだい の変遷 へんせん による字体 じたい の変化 へんか 、同 おな じ字音 じおん 、字義 じぎ を表 あらわ す異体 いたい 字 じ 、地域 ちいき 変種 へんしゅ などを加 くわ えて整理 せいり すると、簡単 かんたん に1万 まん を越 こ す漢字 かんじ が集 あつ まることになり、歴代 れきだい の字書 じしょ は時代 じだい が下 くだ るにつれて多 おお くの漢字 かんじ を集 あつ め、1994年 ねん の『中華 ちゅうか 字 じ 海 うみ 』に至 いた っては85,568字 じ を収録 しゅうろく している。ただし、ほとんどの文字 もじ は歴史 れきし 的 てき な文書 ぶんしょ の中 なか でしか見 み られない使用 しよう 頻度 ひんど の低 ひく いものである。研究 けんきゅう によると、中国 ちゅうごく で機能 きのう 的 てき 非 ひ 識字 しきじ 状態 じょうたい にならないようにするには、3,000字 じ から4,000字 じ の漢字 かんじ を知 し っていれば充分 じゅうぶん という[22] 。
一般 いっぱん に非 ひ 文明 ぶんめい 化 か 部族 ぶぞく の言語 げんご は語彙 ごい が多 おお すぎて整理 せいり されていない傾向 けいこう にあり、漢字 かんじ は発生 はっせい 当時 とうじ の時代 じだい の非合理 ひごうり 性 せい をそのまま引 ひ き継 つ いでしまったと批判 ひはん されている。[23] 。このように近代 きんだい 以降 いこう 、異体 いたい 字 じ を整理 せいり したり使用 しよう 頻度 ひんど の少 すく ない漢字 かんじ の利用 りよう を制限 せいげん しようとする動 うご きは何 なん 度 ど もあったが、現在 げんざい でもその数 かず は増 ふ え続 つづ けている[注釈 ちゅうしゃく 1] 。常 つね に新 あたら しい字 じ が創作 そうさく されるため、過去 かこ から現在 げんざい に至 いた る過程 かてい で、どれだけの数 かず の漢字 かんじ が作 つく られたかは明確 めいかく ではない。たとえば、既存 きそん の中 なか で考慮 こうりょ される漢字 かんじ がない何 なに かしらの意図 いと を表現 ひょうげん するために、新 あたら しい種類 しゅるい が作 つく られてきた。漢字 かんじ の理論 りろん とは万 まん 人 にん に開 ひら かれたもので、適当 てきとう と思 おも われれば新 あら たな漢字 かんじ をつくる事 こと が誰 だれ にでもできる。しかしながら、このように発明 はつめい された漢字 かんじ は、公的 こうてき に認 みと められた一覧 いちらん からはしばしば除 のぞ かれて行 い く[24] 。以下 いか に、主要 しゅよう な歴史 れきし 的 てき 中国語 ちゅうごくご 辞典 じてん (字書 じしょ )が採録 さいろく した漢字 かんじ 数 すう を表 あらわ す。
中国 ちゅうごく 語 ご 辞典 じてん に記 しる された漢字 かんじ の数 かず [25] [26]
年 とし
辞書 じしょ 名 めい
漢字 かんじ 数 すう
100
説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ
9,353
543
玉 たま 篇 へん
12,158
601
切 きり 韻 いん
16,917
997
龍 りゅう 龕 がん 手鑑 てかがみ
26,430
1011
広 こう 韻 いん
26,194
1039
集 しゅう 韻 いん
53,525
1208
五音 ごいん 篇 へん 海 うみ
54,595
1615
字彙 じい
33,179
1675
正字 せいじ 通 どおり
33,440
1716
康 かん 熙字典 じてん
47,035
1916
中華 ちゅうか 大 だい 字典 じてん (英語 えいご 版 ばん )
48,000
1989
漢語 かんご 大 だい 字典 じてん (第 だい 一 いち 版 はん )
54,678
1994
中華 ちゅうか 字 じ 海 うみ
85,568
2001
異體 いたい 字 じ 字典 じてん (正式 せいしき 一 いち 版 はん )
105,982
2010
漢語 かんご 大 だい 字典 じてん (第 だい 二 に 版 はん )
60,370
2014
漢字 かんじ 海 うみ
102,447
2024
異體 いたい 字 じ 字典 じてん (正式 せいしき 七 なな 版 はん )
106,303
コンピュータで処理 しょり するための文字 もじ 集合 しゅうごう では、Unicode 13.0が92,856字 じ 以上 いじょう を[注釈 ちゅうしゃく 2] 、日本 にっぽん の企業 きぎょう のソフトウェア 『今昔 こんじゃく 文字 もじ 鏡 きょう 』が(漢字 かんじ 以外 いがい の文字 もじ も含 ふく むが)約 やく 16万 まん 字 じ を[28] 収録 しゅうろく するなど、さらに多 おお くの漢字 かんじ を集 あつ めているものもある。一方 いっぽう 、中華民国 ちゅうかみんこく (台湾 たいわん )行政 ぎょうせい 院 いん 教育 きょういく 部 ぶ の『異體 いたい 字 じ 字典 じてん (正式 せいしき 七 なな 版 はん )』によれば、漢字 かんじ の正字 せいじ 数 かず (異体 いたい 字 じ を含 ふく まない)は29,920字 じ [29] であるが、こちらは国字 こくじ を含 ふく んでいない(「付録 ふろく 」としてだけ収録 しゅうろく してある[30] )。
歴史 れきし
伝承 でんしょう によると、中国 ちゅうごく における文字 もじ の発祥 はっしょう は、黄 き 帝 みかど の代 だい に倉 くら 頡 が砂浜 すなはま を歩 ある いた鳥 とり の足跡 あしあと を見 み て、足跡 あしあと から鳥 とり の種類 しゅるい が分 わ かるように概念 がいねん も同 おな じようにして表現 ひょうげん できることに気 き づいて作 つく った文字 もじ とされる。また『易 えき 経 けい 』には聖人 せいじん が漢字 かんじ を作 つく ったと記 しる されている。
新 しん 石器 せっき 時代 じだい の出土 しゅつど 土器 どき の表面 ひょうめん に文字 もじ 状 じょう の彫 ほ り込 こ みが見 み られる。しかし記号 きごう ・デザインの一種 いっしゅ とも考 かんが えられており、殷 いん 中期 ちゅうき まで続 つづ く。これらは漢字 かんじ と系統 けいとう を同 おな じくするかは定 さだ かではなく、漢字 かんじ の誕生 たんじょう と言 い えるかは不明 ふめい である。
考古学 こうこがく 的 てき に現存 げんそん する最古 さいこ の漢字 かんじ は、殷 いん 後期 こうき において占 うらな いの一種 いっしゅ である卜 ぼく (ぼく) の結果 けっか を書 か き込 こ むために使用 しよう された文字 もじ である。これを現在 げんざい 甲骨文字 こうこつもじ (亀甲 きっこう 獣 じゅう 骨 こつ 文 ぶん )と呼 よ ぶ。 漢字 かんじ としての完成 かんせい 度 ど が高 たか いことが研究 けんきゅう により明 あき らかにされている。
当時 とうじ の卜 ぼく は亀 かめ の甲羅 こうら や牛 うし の肩胛骨 けんこうこつ などの裏側 うらがわ に小 ちい さな窪 くぼ みを穿 うが ち、火 ひ に炙 あぶ って熱 ねっ した金属 きんぞく 棒 ぼう (青銅 せいどう 製 せい と言 い われる)を差 さ し込 こ む。しばらく差 さ し込 こ んだままにすると熱 ねっ せられた表側 おもてがわ に亀裂 きれつ が生 しょう じる。この亀裂 きれつ の形 かたち で吉凶 きっきょう を見 み るのであるが、その卜 ぼく をした甲 かぶと 骨 こつ に、卜 ぼく の内容 ないよう ・結果 けっか を彫 ほ り込 こ んだのである。
筆 ふで や木簡 もっかん を表 あらわ す甲骨文字 こうこつもじ が見 み られることから、それらを用 もち いて記 しる した文字 もじ もその時代 じだい にあったと推測 すいそく されるが、考古学 こうこがく 的 てき 出土 しゅつど はない。
現在 げんざい 存在 そんざい する中 なか での最古 さいこ の漢字 かんじ は、殷 いん 墟 から発掘 はっくつ される甲 かぶと 骨 こつ などに刻 きざ まれた甲骨文字 こうこつもじ である[31] 。その内容 ないよう は殷 いん 王朝 おうちょう 第 だい 22代 だい 武 たけ 丁 ちょう のころから書 か かれたものであるため、それ以前 いぜん には新 しん 石器 せっき 時代 じだい の遺跡 いせき 等 とう で発見 はっけん される記号 きごう はあっても、文字 もじ として使用 しよう できる漢字 かんじ ができあがったのは紀元前 きげんぜん 1300年 ねん ごろのことだと考 かんが えられる[32] 。この甲骨文字 こうこつもじ は物 もの の見 み たままを描 えが く象形 しょうけい 文字 もじ であり、当時 とうじ の甲骨文字 こうこつもじ は絵 え に近 ちか い様相 ようそう を持 も つものも多 おお かった。その一方 いっぽう で、ある種 しゅ の事態 じたい を表現 ひょうげん する動詞 どうし や形容詞 けいようし の文字 もじ も存在 そんざい した。たとえば、「立 だて 」の原型 げんけい である人 ひと が地面 じめん を表 あらわ す横 よこ 棒 ぼう の上 うえ に書 か かれた字 じ (指示 しじ 文字 もじ )、女性 じょせい が子供 こども をあやす様 よう から「好 このみ 」や、人 ひと が木 き の袂 たもと (たもと)にいる様 よう から「休 きゅう 」などの字 じ (会意 かいい 文字 もじ )も既 すで に含 ふく まれていた[33] 。さらに、同音 どうおん の単語 たんご をすでにある別 べつ の字 じ で表 あらわ す代用 だいよう 字 じ もあり、たとえば鳥 とり の羽 はね を示 しめ す「翼 つばさ 」の原型 げんけい は、同音 どうおん で次 つぎ のことを示 しめ す単語 たんご に流用 りゅうよう され、これがのちに「翌 よく 」となった[33] 。このように、すでに現在 げんざい の漢字 かんじ の書体 しょたい に似通 にかよ っている部分 ぶぶん が見受 みう けられ、非常 ひじょう に発展 はってん したものであり、おそらくはこれ以前 いぜん から発展 はってん の経路 けいろ を辿 たど ってきたものとみられる。最古 さいこ の漢字 かんじ には左右 さゆう や上下 じょうげ が反転 はんてん したものや、絵 え や記号 きごう に近 ちか い部品 ぶひん がつけられているものなど、現在 げんざい の常識 じょうしき では考 かんが えられない(当然 とうぜん ながら現在 げんざい では使用 しよう されていない)漢字 かんじ が存在 そんざい する[34] 。その後 ご 、青銅器 せいどうき に鋳込 いこ まれた金文 きんぶん という文字 もじ が登場 とうじょう した。「NHKスペシャル 中国 ちゅうごく 文明 ぶんめい の謎 なぞ 第 だい 2集 しゅう 漢字 かんじ 誕生 たんじょう 」では、古代 こだい メソポタミアの文字 もじ が商 しょう 取引 とりひき の記録 きろく から始 はじ まっているのに対 たい して、政治 せいじ の方針 ほうしん を決 き めるための占 うらな いの用途 ようと で、骨 ほね (これまでに14,000体 たい の殷 いん の生贄 いけにえ の犠牲 ぎせい となった人骨 じんこつ が出土 しゅつど )に刻 きざ むために使 つか われ始 はじ めた漢字 かんじ は、文字 もじ としてはきわめて特殊 とくしゅ なルーツであったとしている。たとえば、白 しろ は人間 にんげん の頭蓋骨 ずがいこつ の白 しろ に由来 ゆらい する象形 しょうけい 文字 もじ である。このように、鬼神 きじん と王 おう を繋 つな ぐための手段 しゅだん として、初期 しょき の漢字 かんじ は始 はじ まった[35] 。
周 しゅう の時代 じだい になると、外交 がいこう や商 しょう 取引 とりひき など多 おお くの用途 ようと に漢字 かんじ が使 つか われるようになり、それまでの種類 しゅるい だけでは足 た りなくなった。そこで多 おお くの新 あたら しい漢字 かんじ が作 つく られた[36] 。中国 ちゅうごく では「清 きよ らかで澄 す んだ」様子 ようす を「セイ(tseng)」と呼 よ び、新芽 しんめ が井戸端 いどばた に生 は えた様子 ようす から「青 あお 」に連 つら なる象形 しょうけい 文字 もじ を用 もち いた。この「セイ」という発音 はつおん と文字 もじ 「青 あお 」は形容詞 けいようし だけでなく「清 きよ らかで澄 す んだ」ものを呼 よ ぶさまざまな名詞 めいし にも使 つか われたが、これらにもそれぞれの漢字 かんじ が割 わ り当 あ てられるようになった。水 みず が「セイ」ならば「清 きよし 」、日差 ひざ しが「セイ」ならば「晴 はれ 」などである。このような漢字 かんじ の一群 いちぐん を「漢字 かんじ 家族 かぞく 」と言 い う。侖(liuan-luan、リン-ロン)も短冊 たんざく を揃 そろ えた様子 ようす から発 はっ し「揃 そろ えたもの」を示 しめ す象形 しょうけい 文字 もじ だが、これも車 くるま が揃 そろ えば「輪 わ 」、人間 にんげん 関係 かんけい が整 ととの っておれば「倫 りん 」、理論 りろん 整然 せいぜん としていれば「論 ろん 」という漢字 かんじ が作 つく られた。このように、音符 おんぷ に相当 そうとう する「青 あお 」「侖」などと、意味 いみ の類別 るいべつ を表 あらわ す意 い 符 ふ が組 く み合 あ わさった「形声 けいせい 文字 もじ 」が発達 はったつ した[37] 。紀元 きげん 100年 ねん ごろに後 こう 漢 かん の許 もと 慎 まき が著 あらわ した『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』は中国 ちゅうごく 初 はつ の字書 じしょ であり、9,353字 じ の漢字 かんじ について成 な り立 た ちを解説 かいせつ しているが、この中 なか の約 やく 8割 わり は形声 けいせい 文字 もじ である[37] 。このような文字 もじ 形成 けいせい の背景 はいけい には、中国 ちゅうごく では事物 じぶつ を感性 かんせい 的 てき にとらえ、枠 わく にはめ込 こ む習慣 しゅうかん が影響 えいきょう しているともいう。このため、音素 おんそ 文字 もじ や単音 たんおん 文字 もじ を作 つく り出 だ す傾向 けいこう が抑 おさ えられたと考 かんが えられる[37] 。
周 しゅう が混乱 こんらん の時代 じだい を迎 むか えると、漢字 かんじ は各地 かくち で独自 どくじ の発展 はってん をすることになる。その後 ご 、意義 いぎ ・形 かたち ともに抽象 ちゅうしょう 化 か が進 すす み、春秋 しゅんじゅう 戦国 せんごく 時代 じだい になると地方 ちほう ごとに通用 つうよう する字体 じたい が違 ちが うという事態 じたい が発生 はっせい した。そして天下 てんか を覇 は した秦 はた の始皇帝 しこうてい が字体 じたい 統一 とういつ に着手 ちゃくしゅ [38] 、そして生 う まれたのが小篆 しょうてん である。秦 はた は西 にし 周 しゅう の故 こ 地 ち を本拠地 ほんきょち にしたのであり、その文字 もじ は周 しゅう 王朝 おうちょう から受 う け継 つ がれたものだったため、その系統 けいとう 性 せい が保持 ほじ されたといえる。
小篆 しょうてん は尊厳 そんげん に溢 あふ れ難解 なんかい な書式 しょしき だった。秦 はた 、そして後 ご の漢 かん 代 だい になると、下級 かきゅう 役人 やくにん を中心 ちゅうしん に使 つか いにくい小篆 しょうてん の装飾 そうしょく 的 てき な部分 ぶぶん を省 はぶ き、曲線 きょくせん を直線 ちょくせん 化 か する変化 へんか が起 お こり、これが隷書 れいしょ となった。毛筆 もうひつ で書 か かれる木簡 もっかん や竹 たけ 簡 に書 か き込 こ む漢字 かんじ から始 はじ まった隷書 れいしょ は、書物 しょもつ から石碑 せきひ に刻 きざ まれる字 じ にまで及 およ んだ[39] 。この隷書 れいしょ を走 はし り書 が きしたものは「草 くさ 隷」と呼 よ ばれたが、やがてこれが草書 そうしょ となった[39] 。一方 いっぽう で、隷書 れいしょ をさらに直線 ちょくせん 的 てき に書 か いたものが楷書 かいしょ へ発達 はったつ し、これをさらに崩 くず して行書 ぎょうしょ が生 う まれた[39] 。
なお、隷書 れいしょ から楷書 かいしょ ができてそれをくずす形 かたち で草書 そうしょ と行書 ぎょうしょ ができたという説 せつ があるが現在 げんざい ではこの見解 けんかい は定説 ていせつ から外 はず れており、『総合 そうごう 百科 ひゃっか 事典 じてん ポプラディア 第 だい 三 さん 版 はん 』でも誤 あやま りとして修正 しゅうせい されている[40] 。
六朝 りくちょう から唐 とう の時代 じだい には書写 しょしゃ が広 ひろ まり、個人 こじん や地域 ちいき による独特 どくとく の崩 くず れが発生 はっせい するようになったが、科挙 かきょ の制 せい では「正字 せいじ 」という由緒 ゆいしょ 正 ただ しい漢字 かんじ が求 もと められたが、一般 いっぱん 庶民 しょみん では「通 つう 字 じ 」や「俗字 ぞくじ 」と呼 よ ばれる漢字 かんじ が多 おお く使 つか われた[39] 。宋 そう の時代 じだい には手工業 しゅこうぎょう 者 もの や商人 しょうにん など文字 もじ を仕事 しごと で使 つか う層 そう が台頭 たいとう し、俗字 ぞくじ が幅広 はばひろ く用 もち いられた[39] 。さらに木版 もくはん 技術 ぎじゅつ の発展 はってん により、楷書 かいしょ に印刷 いんさつ 書体 しょたい が生 う まれ、宋朝 そうちょう 体 たい と呼 よ ばれる書体 しょたい が誕生 たんじょう した。明代 あきよ から清 しん 代 だい にかけて、康 かん 熙字典 じてん に代表 だいひょう される明朝体 みんちょうたい が確立 かくりつ した。
現在 げんざい 、書籍 しょせき やコンピューター文書 ぶんしょ などの印刷 いんさつ に使用 しよう されている漢字 かんじ の書体 しょたい は明 あきら の時代 じだい に確立 かくりつ された明朝体 みんちょうたい が中心 ちゅうしん である。この起源 きげん を遡 さかのぼ ると、後 こう 漢 かん 末期 まっき に確立 かくりつ された楷書 かいしょ に行 い き着 つ く。
現代 げんだい 中国 ちゅうごく ではさらに簡素 かんそ 化 か を進 すす めた簡体字 かんたいじ が使 つか われる。「飛 ひ 」→「飞」のような大胆 だいたん な省略 しょうりゃく 、「機 き 」→「机 つくえ 」のような同音 どうおん 代替 だいたい 、「車 くるま 」→「车」のような草 くさ 書体 しょたい の借用 しゃくよう から、「從 したがえ (従 したがえ )」→「从」のような古 こ 字 じ の復活 ふっかつ まである。基本 きほん 的 てき に10画 かく 以下 いか に抑 おさ えるため、民間 みんかん に流布 るふ していた文字 もじ のほかに、投書 とうしょ を集 あつ め「文字 もじ 改革 かいかく 委員 いいん 会 かい 」が選択 せんたく することで決 き められた[39] 。
字形 じけい
書体 しょたい
文字 もじ は書 か く道具 どうぐ 、書 か かれる媒体 ばいたい 、書 か く速度 そくど 、書 か き方 かた などにより字形 じけい の様式 ようしき を変 か えることがある。この様式 ようしき の違 ちが いが文字 もじ 体系 たいけい 全体 ぜんたい に及 およ ぶ場合 ばあい 、これを書体 しょたい と呼 よ ぶ。現在 げんざい 、使 つか われている漢字 かんじ の書体 しょたい には篆書 てんしょ ・隷書 れいしょ ・草書 そうしょ ・行書 ぎょうしょ ・楷書 かいしょ の五体 ごたい があり、楷書 かいしょ の印刷 いんさつ 書体 しょたい として広 ひろ く使 つか われているものに明朝体 みんちょうたい がある。
なお、各 かく 書体 しょたい 発展 はってん の経緯 けいい については#歴史 れきし を参照 さんしょう されたい。
字体 じたい
漢字 かんじ は点 てん や横 よこ 棒 ぼう 、縦 たて 棒 ぼう などの筆画 ひっかく を組 く み合 あ わせて作 つく られている。ある漢字 かんじ がほかの漢字 かんじ から区別 くべつ される筆画 ひっかく の組 く み合 あ わせを字体 じたい と呼 よ ぶ。
構成 こうせい 要素 ようそ
漢字 かんじ は、筆画 ひっかく 、筆順 ひつじゅん 、偏旁 へんぼう 、偏旁 へんぼう の配置 はいち 構造 こうぞう という構成 こうせい 要素 ようそ を持 も つ。この構成 こうせい 方法 ほうほう の違 ちが いによって1つの字体 じたい を形成 けいせい する。漢字 かんじ は点 てん や線 せん で表 あらわ される筆画 ひっかく の組 く み合 あ わせで作 つく られるが、必 かなら ずしも一 いち 字 じ 一 いち 字 じ が形態 けいたい として独特 どくとく であるわけではなく、複数 ふくすう の漢字 かんじ に共通 きょうつう の部分 ぶぶん が存在 そんざい する。これを偏旁 へんぼう といい、偏 へん ・旁 つくり ・冠 かんむり ・脚 あし ・構 ・垂 たれ ・繞 にょう などの呼 よ び名 な が、字 じ の構成 こうせい 上 じょう の位置 いち などに基 もと づいて、これらの共通 きょうつう 部分 ぶぶん に与 あた えられる。非常 ひじょう に単純 たんじゅん な構成 こうせい の漢字 かんじ を除 のぞ けば、多 おお くの漢字 かんじ はこれらの共通 きょうつう 部分 ぶぶん を少 すく なくとも1つ、含 ふく んでいる。また、共通 きょうつう 部分 ぶぶん は、場合 ばあい によってはそれ自体 じたい が独立 どくりつ した文字 もじ としても存在 そんざい している場合 ばあい もある。これらのうち、一部 いちぶ の共通 きょうつう 部分 ぶぶん は部首 ぶしゅ と呼 よ ばれ、漢字 かんじ の分類 ぶんるい 、検索 けんさく の手 て がかりとして重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たす。
造 みやつこ 字 じ 構造 こうぞう
漢字 かんじ は造 みやつこ 字 じ および運用 うんよう の原理 げんり を表 あらわ す六書 りくしょ (指事 しじ ・象形 しょうけい ・形声 けいせい ・会意 かいい ・転注 てんちゅう ・仮借 かしゃく )に基 もと づき、象形 しょうけい 文字 もじ ・指事 しじ 文字 もじ ・会意 かいい 文字 もじ ・形声 けいせい 文字 もじ に分類 ぶんるい される。漢字 かんじ の85%近 ちか くが形声 けいせい 文字 もじ と言 い われている。
日本 にっぽん の国字 こくじ は、それぞれの部首 ぶしゅ が本来 ほんらい 持 も つ意味 いみ を解釈 かいしゃく して新 あら たに組 く み合 あ わせて、会意 かいい に倣 なら って作 つく られたものが多 おお いといわれる。
異体 いたい 字 じ
左 ひだり から1.第 だい 2.門 もん 3.点 てん 4.職 しょく 5.曜 6.前 ぜん 7.個 こ 8.選 せん 9.濾 10.機 き 11.闘 たたかえ 12.品 しな ,器 うつわ 13.摩 ま 、魔 ま の略字 りゃくじ 例 れい
漢字 かんじ には同 おな じ語 ご を表 あらわ すのに異 こと なる字体 じたい を用 もち いる場合 ばあい がある。たとえば、「からだ」を意味 いみ する「タイ」という音 おと をもつ漢語 かんご には「體 からだ 」「体 からだ 」「軆」「躰 からだ 」という何 なん 通 とお りかが当 あ てられるが、これらは同 おな じ漢字 かんじ の異 こと なる字体 じたい とされる。
互 たが いに同 おな じ意味 いみ と音 おと を表 あらわ しても字体 じたい を異 こと にする字 じ を異体 いたい と呼 よ ぶ。異体 いたい 字 じ のあいだで、正式 せいしき に用 もち いられる字体 じたい を正字 せいじ または本字 ほんじ と呼 よ ぶ。本字 ほんじ の認定 にんてい は時代 じだい や国 くに によって異 こと なっている。一方 いっぽう 、民間 みんかん で広 ひろ く使 つか われているが、正字 せいじ とは認 みと められない異体 いたい 字 じ を俗字 ぞくじ と呼 よ ぶ。また正字 せいじ を簡略 かんりゃく 化 か してできた異体 いたい 字 じ を略字 りゃくじ と呼 よ ぶことがある。
左 ひだり が繁体字 はんたいじ 、右 みぎ が簡体字 かんたいじ
戦後 せんご 、中国 ちゅうごく でも日本 にっぽん でも漢字 かんじ 改革 かいかく が行 おこな われ、異体 いたい 字 じ 間 あいだ でも簡単 かんたん な字体 じたい を正字 せいじ としたり、新 あたら しく簡略 かんりゃく 化 か した字体 じたい を作 つく ったりした。中国 ちゅうごく では字形 じけい の複雑 ふくざつ さを基準 きじゅん に元 もと の正字 せいじ を繁体字 はんたいじ 、簡化 か された字体 じたい のものを簡体字 かんたいじ と呼 よ んでいる。簡体字 かんたいじ は1956年 ねん の「漢字 かんじ 簡化方案 ほうあん 」公布 こうふ 以降 いこう 、正式 せいしき に用 もち いる字体 じたい として選 えら ばれている。一方 いっぽう 、日本 にっぽん では1946年 ねん の「当用漢字 とうようかんじ 表 ひょう 」と1949年 ねん の「当用漢字 とうようかんじ 字体 じたい 表 ひょう 」で簡略 かんりゃく 化 か された字体 じたい を定 さだ め、以後 いご 、使用 しよう してきた。このため「当用漢字 とうようかんじ 表 ひょう 」以後 いご に用 もち いられた字体 じたい を新 しん 字体 じたい 、それ以前 いぜん に用 もち いられた字体 じたい を旧 きゅう 字体 じたい と呼 よ んでいる。繁体字 はんたいじ ・旧 きゅう 字体 じたい と、簡体字 かんたいじ ・新 しん 字体 じたい とは「體 からだ 」と「体 からだ 」、「萬 まん 」と「万 まん 」のようにまったく字形 じけい の異 こと なる俗字 ぞくじ を採用 さいよう したものもあるが、「聲 こえ 」と「声 こえ 」、「醫 い 」と「医 い 」のように一部 いちぶ を使 つか ったものや、「學 がく 」と「学 がく 」のように一部 いちぶ の字形 じけい が変形 へんけい されたものが多 おお い。
字書 じしょ
字形 じけい の分析 ぶんせき は許 もと 慎 まき の『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』に始 はじ まる。ただし、そこで求 もと められていたものは字 じ の本義 ほんぎ と解 かい 字 じ を探 さぐ ることであり、古典 こてん 解釈 かいしゃく 学 がく のためであって、親 おや 字 じ には、おもに小篆 しょうてん が用 もち いられている。しかし、その部首 ぶしゅ 法 ほう や六書 りくしょ 、古 こ 字 じ ・異体 いたい 字 じ の分別 ふんべつ など後世 こうせい に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えている。このような字形 じけい によって分類 ぶんるい された辞典 じてん を字書 じしょ という。『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』は540部首 ぶしゅ で小篆 しょうてん 9,353字 じ および重文 じゅうぶん 1,163字 じ を扱 あつか っている。『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』を発展 はってん させたものに梁 りょう の顧野王 おう の『玉 たま 篇 へん 』がある。『玉 たま 篇 へん 』は、字義 じぎ を分類 ぶんるい して示 しめ すとともに、反切 はんせつ による字音 じおん 情報 じょうほう がつけられ、親 おや 字 じ は隷書 れいしょ 体 たい に改 あらた められている。542部首 ぶしゅ で12,824字 じ を扱 あつか っている。『玉 たま 篇 へん 』は日本 にっぽん での字書 じしょ の成立 せいりつ に影響 えいきょう を及 およ ぼしている。
こういった解 かい 字 じ を重視 じゅうし した部首 ぶしゅ 法 ほう をとる字書 じしょ に対 たい して、検字 けんじ という実用 じつよう 的 てき な目的 もくてき から部首 ぶしゅ 法 ほう を発展 はってん させた字書 じしょ が現 あらわ れるようになった。その濫觴 らんしょう は遼 りょう の僧侶 そうりょ 行 くだり 均 ひとし の『龍 りゅう 龕 がん 手鑑 てかがみ 』であり、『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』が篆書 てんしょ に従 したが って部首 ぶしゅ を立 た てたのに対 たい して、楷書 かいしょ 体 たい の字形 じけい によって部首 ぶしゅ を立 た てなおし、字形 じけい を字源 じげん から切 き り離 はな して記号 きごう として扱 あつか い、さらに部首 ぶしゅ 字 じ を声調 せいちょう によって4巻 かん に分 わ けることがなされている。『龍 りゅう 龕 がん 手鑑 てかがみ 』は240部首 ぶしゅ で26,430字 じ あまりを扱 あつか っている。その後 ご 、金 きむ の韓 かん 孝彦 たかひこ ・韓 かん 道昭 みちあき によって『五音 ごいん 篇 へん 海 うみ 』が作 つく られた。その特徴 とくちょう は部首 ぶしゅ 字 じ を五音 ごいん 三 さん 十 じゅう 六 ろく 字母 じぼ と声調 せいちょう によって配列 はいれつ したことであり、また部分 ぶぶん 的 てき にではあるが部首 ぶしゅ 以外 いがい の部分 ぶぶん の筆画 ひっかく 数 かず 順 じゅん に字 じ が並 なら べられている。444部首 ぶしゅ で54,595字 じ を扱 あつか った。明 あきら の万 まん 暦 れき 43年 ねん (1615年 ねん )梅 うめ 膺祚(ばいようそ)によって作 つく られた『字彙 じい 』はその後 ご の字書 じしょ の規範 きはん となる画期的 かっきてき な字書 じしょ であった。部首 ぶしゅ の統合 とうごう 整理 せいり を行 おこな って214部首 ぶしゅ で33,179字 じ を扱 あつか い、部首 ぶしゅ 字 じ および各 かく 部首 ぶしゅ に属 ぞく する親 おや 字 じ を筆画 ひっかく 数 すう 順 じゅん に配列 はいれつ したのである。その方法 ほうほう は214部首 ぶしゅ 49,000字 じ あまりを収録 しゅうろく した清 きよし の『康 かん 熙字典 じてん 』に継承 けいしょう された。
字音 じおん
構成 こうせい
漢字 かんじ 1字 じ は中国語 ちゅうごくご の1音節 おんせつ を表 あらわ す。中国 ちゅうごく 語 ご の音節 おんせつ 構造 こうぞう は「(子音 しいん )+ 母音 ぼいん +(子音 しいん )」である。現代 げんだい の中国 ちゅうごく 語 ご では英語 えいご のように多重 たじゅう 子音 しいん はない。また母音 ぼいん は三 さん 重母音 じゅうぼいん まである。
中国 ちゅうごく の伝統 でんとう 的 てき な音声 おんせい 言語 げんご 学 がく である音韻 おんいん 学 がく の分類 ぶんるい では、語頭 ごとう 子音 しいん ・ゼロ子音 しいん を声 こえ 母 はは 、母音 ぼいん または母音 ぼいん +語尾 ごび 子音 しいん を韻 いん 母 はは という。さらに、中国 ちゅうごく 語 ご は1音節 おんせつ の音 おと の高低 こうてい で意味 いみ を区別 くべつ するトーン言語 げんご であり、この音 おと の高低 こうてい の違 ちが いを声調 せいちょう という。つまり、漢字 かんじ 音 おん は「声 こえ 母 はは 」「韻 いん 母 はは 」「声調 せいちょう 」(略 りゃく して声 こえ ・韻 いん ・調 ちょう )の3つの要素 ようそ によって構成 こうせい されると考 かんが えられた。
字音 じおん 研究 けんきゅう 史 し
古代 こだい の漢字 かんじ 音 おん の情報 じょうほう は、詩 し など韻文 いんぶん にある押韻 おういん や漢字 かんじ を韻 いん 母 はは 別 べつ に分類 ぶんるい した「韻書 いんしょ 」によって得 え られる。
最古 さいこ の韻書 いんしょ は3世紀 せいき の『声 こえ 類 るい 』とされているが、散逸 さんいつ しており、詳細 しょうさい は不明 ふめい である。広 ひろ く一般 いっぱん に通用 つうよう した最初 さいしょ の韻書 いんしょ は7世紀 せいき の韻書 いんしょ 『切 きり 韻 いん 』である。それ以前 いぜん の漢字 かんじ 音 おん は『詩経 しきょう 』の押韻 おういん などを元 もと に復元 ふくげん が試 こころ みられており、上古 じょうこ 音 おん と呼 よ ばれる。中国 ちゅうごく の字音 じおん は、この上古 じょうこ 音 おん 、『切 きり 韻 いん 』に代表 だいひょう される中 ちゅう 古音 こおん 、14世紀 せいき の韻書 いんしょ 『中原 なかはら 音韻 おんいん 』に代表 だいひょう される近世 きんせい 音 おん 、および現行 げんこう の現代 げんだい 音 おん に分類 ぶんるい されている。
古代 こだい 漢 かん 字音 じおん 復元 ふくげん の基準 きじゅん とされているのは中古 ちゅうこ 音 おん であり、日本 にっぽん の漢和 かんわ 辞典 じてん にも反切 はんせつ や詩 し 韻 いん で中古 ちゅうこ 音 おん が示 しめ されている場合 ばあい が多 おお い。反切 はんせつ とは韻書 いんしょ や古典 こてん の注釈 ちゅうしゃく 書 しょ で使用 しよう されている漢字 かんじ 音 おん 表記 ひょうき 法 ほう で、前 まえ の漢字 かんじ の声 こえ 母 はは と後 うし ろの漢字 かんじ の韻 いん 母 はは と声調 せいちょう を組 くみ あせて表記 ひょうき する。たとえば「漢 かん 」は「暁 あかつき 翰」、「字 じ 」は「従 したがえ 志 こころざし 」であり、「漢 かん 」は「暁 あかつき 」の声 こえ 母 はは と「翰」の韻 いん 母 はは と声調 せいちょう を、「字 じ 」は「従 したがえ 」の声 こえ 母 はは と「志 こころざし 」の韻 いん 母 はは と声調 せいちょう を組 く み合 あ わせた音 おと であったと推測 すいそく される。
反切 はんせつ の声 こえ 母 はは の代表 だいひょう として使 つか う漢字 かんじ を字母 じぼ と呼 よ ぶ。字母 じぼ は五音 ごいん に基 もと づき唐 とう では三 さん 十 じゅう 字母 じぼ 、宋 そう では三 さん 十 じゅう 六 ろく 字母 じぼ が整理 せいり された。韻 いん 母 はは に関 かん しては『切 きり 韻 いん 』を宋 そう 代 だい に増補 ぞうほ 改訂 かいてい した『広 こう 韻 いん 』では二 に 百 ひゃく 六 ろく 韻 いん が韻 いん 目 め に立 た てられたが、時代 じだい や地域 ちいき を無視 むし してたくさん作 つく られていると言 い われている。その後 ご 、金 きむ の王 おう 文 ぶん 郁 いく の『平水 へいすい 新刊 しんかん 韻 いん 略 りゃく 』が立 た てた平水 へいすい 韻 いん 106韻 いん がその後 ご の漢詩 かんし の押韻 おういん にとっては規範 きはん とされた。
また漢字 かんじ のほとんどが形声 けいせい 文字 もじ であり、それは通常 つうじょう 、左側 ひだりがわ の偏 へん や上側 うわがわ の冠 かんむり を意 い 符 ふ 、右側 みぎがわ や下 した 側 がわ の旁 つくり を音符 おんぷ とするが、宋 そう 代 だい 以降 いこう 、旁 つくり にあらわされている字音 じおん こそが基本 きほん 義 ぎ を表 あらわ しているのだとする「右文 ゆうぶん 説 せつ 」が唱 とな えられた。20世紀 せいき に入 はい り、スウェーデンの言語 げんご 学者 がくしゃ ベルンハルド・カールグレン や日本 にっぽん の藤堂 とうどう 明 あきら 保 ほ が上古 じょうこ 音 おん の声 こえ 母 はは の分類 ぶんるい による単語 たんご 家族 かぞく の語源 ごげん 分析 ぶんせき を行 おこな っている。
字義 じぎ
字義 じぎ の特徴 とくちょう
漢字 かんじ 1字 じ は大体 だいたい において1つの形態素 けいたいそ を表 あらわ す。これは古代 こだい 中国語 ちゅうごくご の1音節 おんせつ が1形態素 けいたいそ を表 あらわ すためである。ただし、古代 こだい 中国語 ちゅうごくご の中 なか でも外来 がいらい 語 ご やオノマトペ には2音節 おんせつ 1形態素 けいたいそ の構造 こうぞう を持 も つものがあり、これを連綿 れんめん 語 ご という。連綿 れんめん 語 ご は意味 いみ は1つであるが、音節 おんせつ 数 すう に従 したが って漢字 かんじ 2字 じ が当 あ てられる。たとえば「葡萄 ぶどう 」「琵琶 びわ 」「彷彿 ほうふつ 」「恍惚 こうこつ 」などがある。この場合 ばあい の1つの漢字 かんじ はもう1つの漢字 かんじ と区別 くべつ されるような1つの意味 いみ を持 も たず、表音 ひょうおん 文字 もじ 的 てき な要素 ようそ が強 つよ い。逆 ぎゃく に1音節 おんせつ 2形態素 けいたいそ を表 あらわ す語 かたり もある。これはもともと2つの音節 おんせつ であったものが縮 ちぢみ 約 やく されて1音節 おんせつ になったものである。これを縮 ちぢみ 約 やく 語 かたり といい、漢字 かんじ 1字 じ が当 あ てられる。たとえば之 これ 於(シオ)→諸 しょ (ショ)、不可 ふか (フカ)→叵 (ハ)、而已(ジイ)→耳 みみ (ジ)などである。この場合 ばあい 、1つの漢字 かんじ に2つの意味 いみ があることになる。
単語 たんご がその意味 いみ を歴史 れきし 的 てき ・地理 ちり 的 てき に変化 へんか させるのと同様 どうよう 、語 かたり を表 あらわ している漢字 かんじ はその字義 じぎ を歴史 れきし 的 てき ・地理 ちり 的 てき に変化 へんか させている。
字義 じぎ 研究 けんきゅう 史 し
字義 じぎ は本義 ほんぎ ・引申義 よし ・仮借 かしゃく 義 ぎ などに分 わ けられて分析 ぶんせき されてきた。字義 じぎ を研究 けんきゅう する中国 ちゅうごく 伝統 でんとう の学問 がくもん は訓詁 くんこ 学 がく である。
本義 ほんぎ とはその字 じ が持 も つ基本 きほん 的 てき な意味 いみ である。歴史 れきし 的 てき に考察 こうさつ すれば語源 ごげん ということになる。本格 ほんかく 的 てき な本義 ほんぎ 研究 けんきゅう は後 こう 漢 かん の許 もと 慎 まき 『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』に始 はじ まる。その方法 ほうほう は字形 じけい から本義 ほんぎ を探 さぐ るというものである。これを形 かたち 訓 くん とも呼 よ ぶ。六書 りくしょ という造 みやつこ 字 じ 法 ほう が本義 ほんぎ 分析 ぶんせき に大 おお きな役割 やくわり を果 は たした。それは20世紀 せいき 甲骨文字 こうこつもじ の研究 けんきゅう に際 さい しても大 おお きな役割 やくわり を果 は たしている。また後 こう 漢 かん 末 まつ 、劉 りゅう 熙の『釈 しゃく 名 めい 』は、本義 ほんぎ を音声 おんせい に求 もと めた。これを声 こえ 訓 くん という。たとえば「日 ひ (ジツ)は実 み (ジツ)である。光輝 ひかりかがや いて充実 じゅうじつ しているからである」「月 つき (ゲツ)は欠 かけ (ケツ)である。満 み ちて欠 か けるからである」といったものである。声 こえ 訓 くん の方法 ほうほう 論 ろん は宋 そう 代 だい 以降 いこう の「右文 ゆうぶん 説 せつ 」や20世 せい 紀 きの カールグレンや藤堂 とうどう 明 あきら 保 ほ の音声 おんせい による語源 ごげん 分析 ぶんせき に発展 はってん していった。
引申義 よし とは、本義 ほんぎ から引 ひ き伸 の ばされて、つまり派生 はせい してできた意味 いみ である。たとえば「長 ちょう 」の本義 ほんぎ は長短 ちょうたん の意味 いみ で距離 きょり 的 てき に「ながい」ことを表 あらわ すが、引申されて長久 ちょうきゅう の意味 いみ 、時間 じかん 的 てき にながいことも意味 いみ するようになる。さらにそれは植物 しょくぶつ の生長 せいちょう の意味 いみ に引申され、さらに人間 にんげん の成長 せいちょう を意味 いみ するようになり、長幼 ちょうよう の区別 くべつ を生 しょう じ、長老 ちょうろう 、首長 しゅちょう へと引申されていったと考 かんが えられる。引申義 ぎ の研究 けんきゅう は、現代 げんだい の語彙 ごい 研究 けんきゅう に相当 そうとう する。それは古典 こてん の注釈 ちゅうしゃく で使 つか われて訓詁 くんこ 学 がく から発展 はってん し、前漢 ぜんかん には同義語 どうぎご を分類 ぶんるい した『爾 しか 雅 みやび 』という書物 しょもつ にまとめられ、これにより古語 こご や俗語 ぞくご などが系統的 けいとうてき に整理 せいり された。また前漢 ぜんかん の揚 あげ 雄 ゆう は『方言 ほうげん 』を著 あらわ し、同 どう 時代 じだい の地域 ちいき 言語 げんご を列挙 れっきょ して共通 きょうつう 語 ご でまとめている。
仮借 かしゃく 義 ぎ (かしゃぎ)とは、ある語 かたり を表 あらわ すのに同音 どうおん または音 おと が近 ちか い字 じ を借用 しゃくよう することを仮借 かしゃく というが、字義 じぎ の中 なか で仮借 かしゃく によってできたものをいう。たとえば「求 もとむ 」の本義 ほんぎ は「かわごろも」であるが、「もとめる」の意味 いみ を持 も つ同音 どうおん 語 ご に仮借 かしゃく された。やがて「もとめる」の方 ほう が基本 きほん 義 ぎ となってくると本義 ほんぎ は「裘」という別 べつ に漢字 かんじ を作 つく られるようになった。仮借 かしゃく は『説 せつ 文 ぶん 解 かい 字 じ 』の六書 りくしょ で用字 ようじ 法 ほう の1つに挙 あ げられたものである。これにより、字義 じぎ に本義 ほんぎ とまったく関係 かんけい のないものがあることを説明 せつめい できる。
文字 もじ の体系 たいけい
漢字 かんじ とは由来 ゆらい を異 こと にする、漢字 かんじ に似 に せた文字 もじ を「擬似 ぎじ 漢字 かんじ 」(契 ちぎり 丹 に 文字 もじ 、女 おんな 真 ま 文字 もじ 、西 にし 夏 なつ 文字 もじ など)、漢字 かんじ に由来 ゆらい する文字 もじ を「派生 はせい 漢字 かんじ 」(仮名 かめい など)と呼 よ ぶことがある[要 よう 出典 しゅってん ] 。
国字 こくじ ・派生 はせい 文字 もじ
直接的 ちょくせつてき に漢字 かんじ に由来 ゆらい しない周辺 しゅうへん 地域 ちいき の文字 もじ
漢字 かんじ 文化 ぶんか 圏 けん
日本 にっぽん における漢字 かんじ
戦後 せんご からは新 しん 字体 じたい を使用 しよう する。音読 おんよ み 、訓読 くんよ み と日本 にっぽん にだけ2種類 しゅるい の読 よ み方 かた があるため文面 ぶんめん から発音 はつおん を予測 よそく するのが難 むずか しい。
朝鮮 ちょうせん における漢字 かんじ
韓国 かんこく ではハングル との併用 へいよう を経由 けいゆ して、現代 げんだい ではほとんど用 もち いられなくなっている。北朝鮮 きたちょうせん では漢字 かんじ を廃止 はいし して、朝鮮 ちょうせん 語 ご 用 よう の文字 もじ であるチョソングル(ハングル) だけが用 もち いられている。
ベトナムにおける漢字 かんじ
中国 ちゅうごく 文化 ぶんか の影響 えいきょう を受 う けたベトナム にも漢字 かんじ が伝 つた わって用 もち いられるようになったが、漢字 かんじ を元 もと にした独自 どくじ の文字 もじ であるチュノム に変化 へんか し複雑 ふくざつ 化 か した。近代 きんだい に入 はい りフランス の植民 しょくみん 地 ち になって以後 いご 、中国 ちゅうごく 文化 ぶんか 圏 けん から切 き り離 はな されて漢字 かんじ ではなく「クオック・グー (国語 こくご )」と呼 よ ばれるロ ろ ーマ字 まじ が使用 しよう されるようになった。ベトナム民主 みんしゅ 共和 きょうわ 国 こく 成立 せいりつ 後 ご は漢字 かんじ はほとんど用 もち いられていないが、ベトナム語 ご の単語 たんご には漢語 かんご の影響 えいきょう が多 おお く残 のこ る。国文学 こくぶんがく を専攻 せんこう した者 もの であれば、漢字 かんじ を解 げ する可能 かのう 性 せい があるほか、漢字 かんじ 廃止 はいし 以前 いぜん に出生 しゅっしょう した高齢 こうれい 者 しゃ の中 なか にも漢字 かんじ を解 げ する人 ひと がいる。
琉球 りゅうきゅう における漢字 かんじ
シンガポールにおける漢字 かんじ
シンガポール の国民 こくみん は華人 かじん が多 おお く、中国 ちゅうごく 語 ご (普通 ふつう 話 ばなし とほぼ同一 どういつ であるシンガポール華 はな 語 ご )は公用 こうよう 語 ご のひとつであるため、漢字 かんじ も盛 さか んに用 もち いられる。使用 しよう される字体 じたい は、簡体字 かんたいじ が中心 ちゅうしん である。
マレーシアにおける漢字 かんじ
筆順 ひつじゅん や字形 じけい
漢字 かんじ には本来 ほんらい 、固定 こてい された筆順 ひつじゅん (書 が き順 じゅん )はない 。日本 にっぽん における漢字 かんじ の筆順 ひつじゅん は第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご の1958年 ねん (昭和 しょうわ 33年 ねん )の文部省 もんぶしょう (現在 げんざい の文部 もんぶ 科学 かがく 省 しょう )から出版 しゅっぱん された「筆順 ひつじゅん 指導 しどう の手 て びき 」を元 もと に定 さだ められ、学校 がっこう 教育 きょういく で使 つか われた、行書 ぎょうしょ の影響 えいきょう を受 う けたと類推 るいすい される手引 てびき 書 しょ によって筆順 ひつじゅん が決 き められている。しかし、これは決 けっ して正式 せいしき な漢字 かんじ の決 き まりではない[41] [42] [43] 。
江戸 えど 時代 じだい またはそれ以前 いぜん の武家 ぶけ 政権 せいけん 下 した の日本 にっぽん 、明治維新 めいじいしん 以降 いこう の日本 にっぽん の学校 がっこう 教育 きょういく でも、筆順 ひつじゅん の授業 じゅぎょう は実施 じっし されていなかった[42] 。
同様 どうよう に、「はね」や「止 と め」または線 せん の長短 ちょうたん など字形 じけい も良 よ し悪 あ しはなく、1949年 ねん (昭和 しょうわ 24年 ねん )4月 がつ に当用漢字 とうようかんじ 字体 じたい 表 ひょう が公布 こうふ された際 さい 、国語 こくご 審議 しんぎ 会 かい は注意 ちゅうい 事項 じこう として「本 ほん 表 ひょう の字体 じたい は活字 かつじ 用 よう であり、筆写 ひっしゃ (楷書 かいしょ )を拘束 こうそく しない」と記 しる している[44] 。
脚注 きゃくちゅう
注釈 ちゅうしゃく
出典 しゅってん
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参考 さんこう 文献 ぶんけん
関連 かんれん 項目 こうもく
外部 がいぶ リンク