魚類ぎょるい

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しょうさかなから転送てんそう
魚類ぎょるい
生息せいそく年代ねんだい: 中期ちゅうきカンブリア現世げんせい
様々さまざま海水かいすいぎょ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
うえつな : あご口上こうじょうつな Gnathostomata
つな : さかなつな廃止はいしPisces
学名がくめい
Pisces Linnaeus1758
英名えいめい
fish

魚類ぎょるい(ぎょるい)は、脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrataから四肢しし動物どうぶつ除外じょがいした動物どうぶつぐん日本語にほんご日常にちじょうさかな(さかな、うお)[注釈ちゅうしゃく 1]ばれる動物どうぶつである。

基本きほんてき一生いっしょうあいだ水中すいちゅう生活せいかついとなみ、えら(えら呼吸こきゅうおこない、ひれ(ひれもちいて移動いどうする。からだひょううろこ(うろこおおわれている。

ほとんどのたね外界がいかい温度おんどによって体温たいおん変化へんかさせる変温動物へんおんどうぶつである。マグロカジキ一部いちぶ軟骨なんこつ魚類ぎょるいもうばれる組織そしきにより、体温たいおん海水温かいすいおんよりもたかたもつことができる。

魚類ぎょるい地球ちきゅうじょうのあらゆる水圏すいけん環境かんきょう放散ほうさんし、その生息せいそくいき熱帯ねったいからごくいき海洋かいよう表層ひょうそうから深層しんそう、また内陸ないりく淡水たんすいいきまで多岐たきにおよぶ。その生態せいたい形態けいたいじつ様々さまざまである。魚類ぎょるい全体ぜんたいたねすうは2まん5,000 - 3まんちかくにものぼり、脊椎動物せきついどうぶつ全体ぜんたい半数はんすう以上いじょうめている。

おおきさはしゅによりおおきくことなる。現生げんなましゅ最大さいだいのものは体長たいちょう13.7メートルにたっするジンベエザメである。また化石かせきしゅふくめると、やく1おく6,500まんねんまえリードシクティス・プロブレマティカスに、推定すいてい仕方しかたちがいがあるが28メートル以上いじょうもしくは16.7メートルの個体こたい発見はっけんされている。一方いっぽう現生げんなましゅ最小さいしょうのものはパエドキプリス・プロゲネティカであり、成魚せいぎょでも7.9ミリメートルにしかならない。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

冒頭ぼうとうぶん定義ていぎでは煩雑はんざつ表現ひょうげんをとったが、これは現在げんざい系統けいとうがく立場たちばからこのぐん定義ていぎするほか方法ほうほういからである。ふるくはたんさかなかんがえればひとくくりに出来でき感覚かんかくであり、20世紀せいきなかばまではそれらをさかなつなとしてひとつにまとめ、そのしたあごるい軟骨なんこつ魚類ぎょるい硬骨魚こうこつぎょるいさんぐんくのが普通ふつうであった。これらは脊椎せきつい頭部とうぶ脊髄せきずいのうなどの脊椎動物せきついどうぶつ基本きほん構成こうせい体制たいせいち、えらきれえらとしてち、ひれがあって水中すいちゅう遊泳ゆうえいするのに都合つごうのいい構造こうぞうをもっている。だが、これらはすべて、脊椎動物せきついどうぶつのきわめて祖先そせんてき形態けいたいにすぎない。

現在げんざい分類ぶんるいがくてき観点かんてんからすると古典こてんてきさかなつなというぐんたん系統けいとうぐんではなくがわ系統けいとうぐんであり、たがいにかなり異質いしつ系統けいとう包含ほうがんしている。たとえば硬骨魚こうこつぎょるい四肢しし動物どうぶつとともに軟骨なんこつ魚類ぎょるいあごるいべつたん系統けいとうぐん構成こうせいするし、そもそも硬骨魚こうこつぎょるい軟骨なんこつ魚類ぎょるいはともにあごるいとはべつたん系統けいとうぐんであるあご口上こうじょうつな構成こうせいする。そのため、最古さいこ魚類ぎょるいであるミロクンミンギア、ハイコウイクチスから現代げんだい生息せいそくしているたねまでをひとつの概念がいねんとしてまとめようとした場合ばあい、このような表現ひょうげんにならざるをないのである。

進化しんか観点かんてんからえば、ヒトふく陸上りくじょう脊椎動物せきついどうぶつとお祖先そせん魚類ぎょるいである。脊椎動物せきついどうぶつ水中すいちゅう多様たようぐん分化ぶんかし、その一部いちぶから陸上りくじょう進出しんしゅつおこなわれ、それらがさらに分岐ぶんき多様たよう進化しんかげた。現在げんざい魚類ぎょるいはこれらのうち、水中すいちゅう段階だんかいにとどまっているもの(上陸じょうりく水中すいちゅうもどったものをのぞいて)をまとめたもの、といってもよい。ある意味いみでやはり陸上りくじょう進出しんしゅつによって多様たようしたぐんなか原始げんしてき構造こうぞうをとどめたものをまとめたものであるシダ植物しょくぶつというぐん位置いちづけにちかい。

なお、定義ていぎ関連かんれんしていえば、日本語にほんご基礎きそ語彙ごいとしての「さかな(さかな)」と学術がくじゅつ用語ようごである「魚類ぎょるい」とはべつである。後者こうしゃ分類ぶんるいがく手法しゅほうでしか定義ていぎされないのにたいし、前者ぜんしゃ元来がんらい生物せいぶつがく知識ちしきまったくないひとでもあつかうことのできる語彙ごいで、それでつかえない範囲はんいなかにおいてもちいられるものであった。

からだ構造こうぞう[編集へんしゅう]

解剖かいぼうがくてきると、魚類ぎょるいからだみず特徴とくちょう空気くうきくらべて粘性ねんせいたかい、溶存ようぞん酸素さんそすくない、ひかり吸収きゅうしゅう透過とうかしにくいなど)に適応てきおうしたものだとえる。近年きんねんまでのう構造こうぞうじょういたみをかんじないといわれたが、魚類ぎょるい痛覚つうかくには諸説しょせつあり、ニジマス痛覚つうかく実験じっけん痛覚つうかく受容じゅようたい存在そんざいするとした論文ろんぶん掲載けいさいされているためさかな痛覚つうかくがあることもおおいにかんがえられる[1]

からだ[編集へんしゅう]

マグロのえら。からだ後部こうぶからており、頭部とうぶ裏側うらがわにあたる

みず抵抗ていこうけにくい流線型りゅうせんけいであるしゅおおい。活発かっぱつおよまわたねおおい。

からだ頭部とうぶどうの3つにけられる。

頭部とうぶふくまれるものは、からうえあごの先端せんたんまでの、えらぶたほおからぜんえらぶたこつまで)およびしもあごである。あたまにはながヒゲ英語えいごばんトゲ英語えいごばんつものもいる。鼻孔びこうには様々さまざまかたちふかさのものがあるが、おおくの場合ばあいには、ぜん鼻孔びこうこう鼻孔びこうとが皮下ひか連結れんけつしたUがたかんになっており、鼻孔びこう口腔こうくうとはつながらない。吻の前部ぜんぶにあるぜん鼻孔びこうからはいったみずは、そのまま後部こうぶにあるのち鼻孔びこうから流出りゅうしゅつするようになっている。

どう頭部とうぶ以降いこうから肛門こうもん位置いちまでで、外見がいけんじょうしりひれまえまでである。消化しょうか器官きかんすべてここまでにふくまれる。

肛門こうもん以降いこうびれまでである。背面はいめん筋肉きんにくどうからへと連続れんぞくてき発達はったつしているので、外見がいけんじょう区別くべつがはっきりしない。つまり、どうからをまとめて運動うんどう使用しようしているともえる。比率ひりつ比較的ひかくてきたかく、おおくのたねで3わり以上いじょうウナギさかななどは7わり以上いじょうである。

えら(えら[編集へんしゅう]

水中すいちゅうすくない溶存ようぞん酸素さんそ利用りようするために、えらえら)という器官きかん発達はったつさせている。魚類ぎょるいぞくする脊索せきさく動物どうぶつもんえら基本きほん構造こうぞうは、くちから咽頭いんとうんだ外界がいかいすい排出はいしゅつするえらきれ(さいれつ)というスリット、スリットあいだえらゆみ(さいきゅう)という支柱しちゅうえらゆみしょうじたえらべん(さいべん)というガス交換こうかん器官きかんからっている。硬骨魚こうこつぎょるいでは、これらの基本きほん構造こうぞうのセットが頭部とうぶ後方こうほうにある1ついえらぶたこつ(さいがいこつ、いわゆるえらぶた)でおおわれていて、ゆみじょうほねささえられたえらゆみが4たい存在そんざいする。えらゆみからはいちえらべんなんほんび、さらにいちえらべんじょうには表面積ひょうめんせきひろげるためのえらべん多数たすう存在そんざいして、ガス交換こうかんもちいられる表面積ひょうめんせきいちじるしく拡大かくだいしている。えらべんには血管けっかん高密度こうみつどかよっており、外界がいかい海水かいすい淡水たんすい)と直接ちょくせつガス交換こうかんおこなう。そのためえらはあかえる。えらはガス交換こうかんほかにも、塩類えんるい細胞さいぼうによるイオン排出はいしゅつみや窒素ちっそ排泄はいせつぶつであるアンモニア排泄はいせつおこなっている。えらゆみはさんでえらべん反対はんたいがわにはしばしばえら(さいは)というくしじょう突起とっき発達はったつし、くちからいこんだみず堆積たいせきぶつなかから食物しょくもつをよりけたりけて食道しょくどうへとおく機能きのうっている。

ひれ(ひれ[編集へんしゅう]

さかなのひれ(カクレクマノミ)
しょうはなれひれ(finlet)。アジサバサンマなどの魚類ぎょるいにみられる

ひれ(ひれ)はからだからした薄膜うすまくじょう構造こうぞうである。基部きぶには骨格こっかく筋肉きんにくがあり、うごかせる。およいだり、海底かいてい地上ちじょうったりすなもぐったりするのに使つかわれる。

ひれはからだにつく位置いちによりつぎのように分類ぶんるいされる。

  • むねひれ(きょうき・むなびれ) Pectoral fins - あたま後方こうほうからだ側面そくめん位置いちする一対いっついのひれ。両生類りょうせいるい以降いこう前肢ぜんし変化へんかしたとされる。
  • 背鰭せびれ(はいき・せびれ) Dorsal fin - がわにあるひれ。たねによってかずことなり、だいいち背鰭せびれだい背鰭せびれなどと区別くべつする。
  • はらひれ(ふっき・はらびれ) Pelvic fins (Ventral fins) - はらがわ肛門こうもんよりあたまがわにある一対いっついのひれ。両生類りょうせいるい以降いこう後肢あとあし変化へんかしたとされる。
  • しりひれ(でんき・しりびれ) Anal fin - はらがわ肛門こうもんよりがわにあるひれ。
  • 尾鰭おびれ(びき・おびれ) Caudal fin (Tail fin) - からだもっと後方こうほうにあるひれ。
  • あぶらひれ(しき・あぶらびれ) Adipose fin - サケなどにられる、びれの後方こうほうにある1 つのちいさなひれ。
  • しょうはなれひれ(しょうりき・はなれびれ) Finlets - サバマグロなどのられる、多数たすうちいさなひれ。
  • あたまひれ(とうき・あたまびれ) -イトマキエイるい頭部とうぶにある1ついかくのようなひれ。

むねびれとはらびれは左右さゆう1たいあり、これらをたいひれ(ついき)、それ以外いがいたいひれ(ふついき)ぶ。またびれのかずは1、2、3かぞえ、まえからじゅんだい1背鰭せびれだい2背鰭せびれだい3背鰭せびれぶ。

ひれの形態けいたいは、軟骨なんこつ魚類ぎょるいにくひれるいじょうひれるいおおきくことなる。

  • サメエイなど軟骨なんこつぎょつなでは、ひれはあつ皮膚ひふおおわれ、ちゅう輻射ふくしゃ軟骨なんこつささえられる。硬骨魚こうこつぎょるいのようにあまり自由じゆううごかすことはできず、後退こうたいなどの動作どうさができない。サメのものはふかひれ(ふかひれ)とばれ、高級こうきゅう食材しょくざいとして名高なだかい。
  • シーラカンスハイギョなどにくひれつなでは、ひれの基部きぶ筋肉きんにくおおわれる。一部いちぶにくひれるいでは、むねびれやはらびれが陸上りくじょうあしとなり、四肢しし動物どうぶつへと進化しんかしていったとかんがえられている。
  • じょうひれつなではひれはまくじょう構造こうぞうぶつであり、からだ正中せいちゅうせん、あるいはその左右さゆうたいになってす。まくささえるようにひれには多数たすうすじひれじょう)がはいっていて、基部きぶではほね筋肉きんにく接続せつぞくしているのが普通ふつうである。ひれじょうには軟条(なんじょう)とげじょう(きょくじょう)の2 種類しゅるいがあり、とげじょうには毒腺どくせんとげどく装置そうち しどくそうち)をそなえているものもある。

ひれが遊泳ゆうえい以外いがい目的もくてき進化しんかしている場合ばあいもある。また進化しんか過程かていで、一部いちぶのひれが退化たいかしていることもおおい。

  • トビウオ仲間なかまは、からだたいして非常ひじょうおおきなむねびれをち、空中くうちゅう滑空かっくうすることができる。
  • ハゼウバウオ仲間なかまでははらびれが吸盤きゅうばん変化へんかして、いわ海藻かいそうなどにくっつくのに都合つごうい。
  • コバンザメではだいいち背鰭せびれ吸盤きゅうばん変化へんかし、大型おおがたさかなにくっついて移動いどうする習性しゅうせいっている。
  • アンコウ仲間なかまは、びれ釣竿つりざおのような形状けいじょう変化へんか(エスカ・なずらええさじょうからだ)し、先端せんたんはルアーになっている。
  • チョウチンアンコウ仲間なかまルアー部分ぶぶん発光はっこうそなえる。
  • ミノカサゴゴンズイなどは、とげじょう毒腺どくせん発達はったつさせてまもっている。
  • ホウボウはらびれがあしのようになっており、海底かいていってあるくのにてきしている。
  • マンボウびれとしりびれがつながって特殊とくしゅ形態けいたいかじひれ かじびれ)をなしている。
  • 遊泳ゆうえいりょくつよマグロカジキなどは2びれをち、前方ぜんぽうにあるだい1背鰭せびれみぞりたたむことができる。それぞれのひれは極限きょくげんまでみず抵抗ていこうらすように設計せっけいされ、高速こうそく遊泳ゆうえいとくしている。

うろこ(うろこ[編集へんしゅう]

うろこは1つ1つはちいさないたとげ(とげ)のようなかたちのもので、これが多数たすうあつまってからだ表面ひょうめんおおう。外部がいぶ衝撃しょうげきから皮膚ひふ筋肉きんにく内臓ないぞう保護ほごする役割やくわりになう。たねによっておおきさやかたちことなり、うろこをたないたねもいる。硬骨魚こうこつぎょるいのうろこには樹木じゅもく年輪ねんりん相当そうとうする模様もようきざまれており、年齢ねんれいるのに役立やくだつ。

うろこはおおきく4種類しゅるいけられる。現存げんそんする硬骨魚こうこつぎょるいおおくはえんうろこ(えんりん)あるいはくしうろこ(しつりん)をつ。ヒラメのようにからだ部分ぶぶんによってえんうろこくしうろこゆうする種類しゅるいもいる。

だてうろこ(じゅんりん、placoid scale
軟骨なんこつ魚類ぎょるいにのみられる。とげじょうのうろこで、真皮しんぴからびたずいうえをエナメルしつ象牙ぞうげしつおおう。とげからだ後方こうほういているため、からあたまかってなでるとざらざらする。いわゆるサメ肌さめはだである。
かたうろこ(こうりん、ganoid scale
あまりかさなりあわずにからだおおっているひらたいうろこ。骨質こっしつ外部がいぶエナメルしつおお構造こうぞうになっている。チョウザメガーポリプテルスなどの原始げんしてき硬骨魚こうこつぎょるいられる。
えんうろこ(えんりん、cycloid scale
年輪ねんりんのあるちいさな楕円だえんじょうのうろこ。アジカツオコバンザメコイなど。
くしうろこ(しつりん、ctenoid scale
えんうろこているが、一端いったんしょうとげゆうすることで区別くべつされる。くしうろこしょうとげちがいからさらに crenate、spinoid、ctenoid の3つにけられる。スズキサバマダイなどにられる。

ひょう(鰾)[編集へんしゅう]

コイScardinius erythrophthalmusぶくろまえしつひだり)と後室こうしつかれ、ウェーバー器官きかん連続れんぞくする

鰾はおもじょうひれるい器官きかんである。ぶくろともばれる。

魚類ぎょるいからだ海水かいすいより比重ひじゅうおおきく、なにもしなければ沈降ちんこうしてしまう。そこで、簡単かんたん浮力ふりょくるために鰾を発達はったつさせている。鰾は伸縮しんしゅくせい風船ふうせんのような器官きかんで、ガスをめたりいたりして浮力ふりょく調節ちょうせつおこなう。

原始げんしてきな鰾は消化しょうかかんから枝分えだわかれしており、水面すいめんくちして空気くうきれするひらき鰾(ゆう気管きかん鰾)である。しかし一部いちぶたね消化しょうかかんから分離ぶんりした閉鰾(気管きかん鰾)をち、鰾の周囲しゅういにあるもうからガスせんばれる細胞さいぼうかいしてガスをむ。

鰾は四肢しし動物どうぶつハイギョはいあいどうである。かつては鰾がはい進化しんかしたとかんがえられていたが、現在げんざいでははいから鰾が進化しんかしたとかんがえられている。初期しょき硬骨魚こうこつぎょるいは、淡水たんすい生活せいかつなか空気くうき呼吸こきゅう必要ひつようからはい発達はったつさせたが、水中すいちゅう生活せいかつ適応てきおうしたじょうひれるいでははいが鰾となった。そのため、硬骨魚こうこつぎょるいはい獲得かくとくするまえ分岐ぶんきしたサメエイなどの軟骨なんこつ魚類ぎょるいには鰾もはいもない。軟骨なんこつ魚類ぎょるいでは鰾のわりに肝臓かんぞう脂質ししつ蓄積ちくせきすることで浮力ふりょくている。じょうひれるいはいえら変化へんかさせるまえ分岐ぶんきしたにくひれるいは、鰾のわりにはいつ。ただし例外れいがいてきに、現生げんなまシーラカンスのラティメリア脂肪しぼうたされた鰾をつ。

じょうひれるいでも一部いちぶ原始げんしてきたねでは、鰾ははい機能きのうのこしており、えら呼吸こきゅうとはべつはい呼吸こきゅうおこなう。また、そこせい魚類ぎょるい深海魚しんかいぎょなかには、鰾をてき喪失そうしつしたか非常ひじょうちいさくなったものがおおい。

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魚類ぎょるい哺乳類ほにゅうるいもくとはことなり、4種類しゅるいきりたい細胞さいぼうち、紫外線しがいせん領域りょういき視覚しかくをもつ。このため、ひとにはオスとメスの区別くべつがほとんどできないしゅでも、紫外線しがいせん反射はんしゃりつがオスとメスでおおきながあることから、さかな自身じしんには両者りょうしゃ視覚しかくじょう明瞭めいりょうである可能かのうせいがある。

分布ぶんぷ生息せいそく環境かんきょう[編集へんしゅう]

魚類ぎょるい水中すいちゅう生活せいかつである。分布ぶんぷ世界中せかいじゅうわたり、その環境かんきょうによってことなったたねられる。

生活せいかつしている塩分えんぶん環境かんきょうによって、うみ生活せいかつする海水かいすいぎょ河川かせん湖沼こしょうなど内陸ないりく淡水たんすい生活せいかつする淡水魚たんすいぎょ大別たいべつされる。しかし、海水かいすい淡水たんすいじり河口かこうなどの水域すいいき生活せいかつする汽水ぎょや、海水かいすい淡水たんすいどちらでもきられるさかなもおり、海水かいすいぎょ淡水魚たんすいぎょ区別くべつ厳密げんみつでない。また、海水かいすいぎょしおみずうみ生息せいそくするさかなふくめて塩水えんすいぎょばれることもある。

うみでは海岸かいがんせんから外洋がいよう深海しんかいまであらゆるところ生息せいそくするたねがある。とく水深すいしん200メートル以深の深海しんかい生息せいそくするものを深海魚しんかいぎょという。インド洋いんどようから太平洋たいへいようおおくのたねがあり、大西洋たいせいようにはたねすうすくない。これは大西洋たいせいよう比較的ひかくてきあたらしくしょうじたうみであるためである(ボトルネック効果こうか)。

りくすいではみずうみいけかわおおくのたねがあり、洞窟どうくつなかだけにられるさかな地下水ちかすい生息せいそくするものもいる。りくすいりく海水かいすいによってそれぞれ孤立こりつしているので、淡水魚たんすいぎょには地域ちいきによるたね分化ぶんかられることがおおい。しかし、上位じょうい分類ぶんるいぐんはごくひろ分布ぶんぷいきつものがおおい。これは魚類ぎょるい進化しんかおおくが大陸たいりく移動いどう以前いぜんからこってきたためである。

一部いちぶたね生活せいかつなかうみ河川かせん往復おうふくする(とお回遊かいゆう)。

ほとんどの魚類ぎょるいみず環境かんきょうでは生活せいかつできない。これには陸上りくじょうからだささえるしくみをたないこと、水中すいちゅうでしか呼吸こきゅうできないことがおおきい。一部いちぶには、からだ下面かめんにあるひれでからだささえて移動いどうしたり、はいちょう皮膚ひふなどで空気くうきちゅうでも呼吸こきゅうできるものもあり、干潟ひかた湿地しっちなどの陸上りくじょうである程度ていど生活せいかつできるたねもある。しかしこれらのだい部分ぶぶんおも生活せいかつ水中すいちゅうであり、トビハゼのように水中すいちゅうよりりくにいる時間じかんながいようなたねも、皮膚ひふ乾燥かんそうにはえられないし、生殖せいしょくぎょ稚魚ちぎょ幼魚ようぎょ)の生活せいかつ水中すいちゅうである。

乾期かんきあがる河川かせん魚類ぎょるい生息せいそくしていることがある。これはほとんどの場合ばあいは、みずがある時期じきそとから侵入しんにゅうしてくるためである。しかし、一部いちぶたね乾燥かんそう特殊とくしゅ方法ほうほうる。たとえば肺魚はいぎょにはどろなかまゆつくってそこにこもり、みずがないぶしえる。カダヤシノソブランキウスなどは、たまごなかび、みずはいると孵化ふかする。しかし、節足動物せっそくどうぶつアルテミアのように完全かんぜん乾燥かんそうした状態じょうたいえるものはない。

繁殖はんしょく発生はっせい[編集へんしゅう]

まれたばかりのぎょ

繁殖はんしょく形態けいたい卵生らんせいおよび胎生たいせいたまご胎生たいせい)である。たまご卵黄らんおう栄養分えいようぶん)の割合わりあい比較的ひかくてきおおく、たまごわりばんわりおこなうものがおおく、ちいさなはいおおきな卵黄らんおうにくっついたような状態じょうたい発生はっせいがすすむ。孵化ふかしたぎょ卵黄らんおうかかえ、しばらくは卵黄らんおう栄養分えいようぶん使つかって成長せいちょうする。サメるいエイるいカダヤシカサゴウミタナゴなどの仲間なかまには、体内たいないたまご孵化ふかさせて子供こどもたまご胎生たいせいのものもいる。

繁殖はんしょく習性しゅうせい様々さまざまである。たまご胎生たいせいのものは体内たいない受精じゅせいだが、だい多数たすう体外たいがい受精じゅせいおこなう。そのさい多数たすうあつまってだきたまごせいおこなうものから、雌雄しゆういちついによるものまで様々さまざま配偶はいぐう行動こうどうられる。

変態へんたい[編集へんしゅう]

だい部分ぶぶん魚類ぎょるいあごるい以外いがい)の幼生ようせいは、すべて魚類ぎょるい体制たいせいそなえて孵化ふかする。そのてんでは直接ちょくせつ発生はっせいてきである。しかし、たねによっては成長せいちょうするにつれたかけじょう姿すがたおおきくわるものもある。

ミツマタヤリウオの仲間なかま一番いちばんぎょ

とくにほね魚類ぎょるいまれたばかりの幼生ようせいぎょ(しぎょ)、すこ成長せいちょうした幼生ようせい稚魚ちぎょ(ちぎょ)といって区別くべつする。両者りょうしゃあいだには明確めいかく形態けいたいてき変化へんかがあり、これを変態へんたいぶ。稚魚ちぎょからだおおきさこそちいさいが、成魚せいぎょおな形質けいしつそなえている。それにたいしてぎょ成魚せいぎょ形態けいたいてきにもかなりことなっている場合ばあいおおい。いくつかのたねでは「〜幼生ようせい」と名前なまえがついているが、そういうものは、発見はっけんおやとはべつたねだとおもわれてけられた名前なまえ名残なごりであるものおおい。ただし、すべてのたね変態へんたいおこなうわけではなく、ぎょ稚魚ちぎょ区別くべつがはっきりしないたねもある。

  • ヒラメカレイ仲間なかま - ぎょからだ両側りょうがわそなえ、左右さゆう対称たいしょう普通ふつうさかなおな姿すがたをしている。変態へんたいおこなうことで片方かたがた反対はんたいがわ移動いどうし、成魚せいぎょおな左右さゆう非対称ひたいしょうからだになる。ウシノシタ仲間なかまでは、かたかおなか貫通かんつうして移動いどうするものもられている。
  • ウナギ仲間なかま - レプトケファルス幼生ようせい Leptocepharus。ぎょ円筒えんとうがたからだではなく、細長ほそなががわへんしたやなぎのような体型たいけいをしている。からだ透明とうめいである。この幼生ようせいのタイプはウナギにかぎらず、カライワシ上目うわめElopomorpha のさかな共通きょうつうのものである。
  • チョウチョウウオ仲間なかま - トリクティス幼生ようせい Tholichthys。幼生ようせい頭部とうぶおおきく、まるでかぶとをかぶっているようにえる。
  • アンコウ仲間なかま - ぎょ浮遊ふゆう生活せいかつおくる。むねひれ巨大きょだいになり、ひらひらとしてきやすい。まれしゅミノアンコウでは、からだ全体ぜんたいみのをまとったようにおおくの糸状いとじょう構造こうぞうぶつおおわれる。
  • ミツマタヤリウオ仲間なかま - ぎょりょうからだからはなれ、コードのようなものでつながっている。

ぎょ特徴とくちょうてき形態けいたいをとるのは、おおくの場合ばあい浮遊ふゆう生活せいかつへの適応てきおうのためである。まだ十分じゅうぶん遊泳ゆうえいりょくたないため、水平すいへい方向ほうこうおよげないばかりか、そのままでは海底かいていしずんでしまう。そこでからだおおきなとげ糸状いとじょう構造こうぞうぶつやしたり、ひれをおおきくしたりして浮力ふりょくている。とげ捕食ほしょくたいする抵抗ていこうでもある。また、外見がいけんからはからないが、体液たいえきわりに比重ひじゅうかるみずあぶら気体きたいめて沈降ちんこうふせいでいる場合ばあいもある。

あごるいであるヤツメウナギは、幼生ようせいはより単純たんじゅんなアンモシーテス幼生ようせい時期じきつ。アンモシーテス幼生ようせいりょうき、すなどろなか生活せいかつする。アンモシーテス幼生ようせいナメクジウオ対応たいおうさせるかんがえもある。

認知にんち能力のうりょく感受性かんじゅせい[編集へんしゅう]

近年きんねん動物どうぶつ苦痛くつう研究けんきゅうは、軟体動物なんたいどうぶつ甲殻こうかくるいさかななどのさまざまな水生すいせい動物どうぶつが、苦痛くつう認識にんしきしている可能かのうせいしめしている[2]おおくの科学かがくしゃたちはさかな情感じょうかんそなえるとみとめており、さかな不安ふあん経験けいけんしていると推測すいそくされている[3]たとえば、アメリカの海洋かいよう生物せいぶつ学者がくしゃシルビア・アリス・アール博士はかせつぎのようにべている。

さかないたみをかんじるか?それは科学かがくしゃにとっては常識じょうしきだ。さかなには神経しんけいけいがあって脊椎動物せきついどうぶつとしての基本きほんてき機能きのうっている。かれらはわたしたちがかんがえる以上いじょうに、かんじることができる。ひと触覚しょっかくがあるように、さかなには側線そくせんという器官きかんがある。側線そくせんみず微妙びみょううごきを感知かんちして、ぐんおよぐことを可能かのうにしている。『かれらはいたみをかんじないから、恐怖きょうふかんじないからなにをしてもいい』というひとさかなのことをかっていない。つみなきものへの卑劣ひれつ行為こうい正当せいとうしたいだけ。そうでなければさかなをあんなに野蛮やばんあつか説明せつめいがつかない。」
映画えいが「SEASPIRACY」

またさかなは、人間にんげん同様どうよううつ」になるともかんがえられている。自然しぜんかいにはないストレス(過密かみつさかなからの攻撃こうげき人間にんげんによるあつかい、ワクチン接種せっしゅなど)にさらされた養殖ようしょくサケが、深刻しんこくなうつ状態じょうたいにあることが示唆しさされる研究けんきゅう[4]や、ゼブラフィッシュにエタノールを2週間しゅうかんあたつづけたあとでその供給きょうきゅうをストップして強制きょうせいてきにうつ状態じょうたいにさせたあと、こううつざいをゼブラフィッシュにあたえるという研究けんきゅうでは、エタノールの供給きょうきゅうたれてうごきが緩慢かんまんになりそこのほうに停滞ていたいするゼブラフィッシュが、こううつざい投与とうよ水槽すいそううえからしたへとおよまわりはじめる様子ようす観察かんさつされている。この研究けんきゅうでは「うつ状態じょうたい」のゼブラフィッシュは、うつの人々ひとびとおなじように、もの、おもちゃ、探検たんけんなど、ほぼすべてに興味きょうみうしな様子ようすせた[5]

さかなにとって、生活せいかつ環境かんきょう重要じゅうようで、小石こいし植物しょくぶつなど飼育しいく環境かんきょう工夫くふうほどこした水槽すいそうか、なにもない水槽すいそうかのどちらかを選択せんたくするように提示ていじされたゼブラフィッシュは、一貫いっかんして前者ぜんしゃ選択せんたくする。水槽すいそう有害ゆうがい酢酸さくさん () を注入ちゅうにゅうしてもこの選択せんたく持続じぞくした[6]

さかないたみをかんじる[7]情動じょうどうをつかさどる大脳だいのうえんけいにあたる部分ぶぶん魚類ぎょるいにもあることがわかっており、ダメージや損傷そんしょうがあったときさかな行動こうどうは、注意ちゅうい散漫さんまんになったり、損傷そんしょう部分ぶぶんをかばったり、異物いぶつのぞこうとしたり、食欲しょくよく低下ていかしたりする。そして、いたみをやわらげるモルヒネを投与とうよすると、注意ちゅういりょくもどし、通常つうじょう行動こうどうることが可能かのうになる[8]といった人間にんげんいたみをかんじたときおな反応はんのうしめす。

認知にんち能力のうりょくについては、ホンソメワケベラかがみうつった自分じぶん姿すがた観察かんさつしたり、自分じぶんからだにつけられた斑点はんてんかがみをみてこすりとそうとするなどかがみぞう認知にんち[9][10][11][12][13]メダカ相手あいてかお識別しきべつ[14]、タラはおと会話かいわする[15]

魚類ぎょるいなかではマンタ(オニイトマキエイ、ナンヨウマンタ)がもっとのう指数しすうたか種類しゅるいひとつとされ大型おおがた哺乳類ほにゅうるい同等どうとう知性ちせいっているとされており、のうのサイズはジンベエザメの10ばいありのう対比たいひ魚類ぎょるいなかでは最大さいだいである[16]。また、マンタはかがみぞう認知にんちをした可能かのうせいたか生物せいぶつにもかぞえられている[17]。また、マンタはすくなくとも一種いっしゅ特定とくてい個体こたい識別しきべつ友情ゆうじょうきずくことが判明はんめいした[18][19]

さかな認知にんち能力のうりょく感受性かんじゅせいについての世論せろん一致いっちしており、 9,000 にんのヨーロッパじん対象たいしょうとした 2018 ねん調査ちょうさでは、79% がさかな福祉ふくし家畜かちく福祉ふくしおなじくらい保護ほごされるべきだとかんがえていることがわかった[20]。また、2021ねんにオーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、チリ、中国ちゅうごく、インド、マレーシア、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、スーダン、タイ、英国えいこく米国べいこくの14かこく市民しみん対象たいしょうった調査ちょうさでは、いずれのくにでも60%以上いじょうが「さかないたみや感情かんじょうっている」ことに同意どういしている[21]

このような、さかな情感じょうかんたいする認知にんちひろがりを背景はいけいに、イギリス大手おおてのスーパーマーケット セインズベリーが、さかな飼育しいく密度みつど規定きていからだ切除せつじょ禁止きんし屠殺とさつ方法ほうほうなどの動物どうぶつ福祉ふくし基準きじゅんもうけたり[22]、スロバキアではきたこい販売はんばいはクリスマスの伝統でんとう一部いちぶであったが、2021ねん以降いこう小売こうり業者ぎょうしゃKauflandドイツばんテスコBilla英語えいごばんが、2022ねん以降いこうスロバキアでのきたコイの販売はんばい終了しゅうりょうすることを約束やくそく[23]したりするなどのさかな配慮はいりょするうごきが近年きんねんられる。また、イタリアのモンツァ、ボローニャ球形きゅうけい金魚鉢きんぎょばちでの金魚きんぎょ飼育しいく禁止きんし[24]、またベルギーでも「表面積ひょうめんせきちいさい球形きゅうけい金魚鉢きんぎょばちさかなにストレスをあたえる」として、まるいボウルの販売はんばい禁止きんし法案ほうあん検討けんとうちゅうである(2022ねん3がつ時点じてん[25]

系統けいとうじゅ[編集へんしゅう]

2018ねん平成へいせい30ねん現在げんざい魚類ぎょるい系統けいとう仮説かせつ以下いかとおりである[26]。なお下表かひょうでは魚類ぎょるいではない四肢ししるい太字ふとじあらわした:

脊椎動物せきついどうぶつ

ヌタウナギるい

ヤツメウナギるい

軟骨なんこつぎょつな
真正しんしょういたえらつな英語えいごばん

ネズミザメガンギエイなど

ぜんあたまつな

ギンザメ

硬骨魚こうこつぎょつな
にくひれつな
ひれ下綱しもつな

シーラカンス

ハイギョ下綱しもつな

ハイギョ

四肢しし動物どうぶつ下綱しもつな

四肢ししるい

じょうひれつな
うでひれ下綱しもつな

ポリプテルス

軟質なんしつ下綱しもつな

チョウザメ

しんひれるい
ぜんほね下綱しもつな英語えいごばん

アミア

ガー

ほね下綱しもつな
カライワシだん

カライワシソコギスウナギなど

アロワナだん

アロワナヒオドン

ニシン・ほね鰾団

ニシンセキトリイワシネズミギスコイナマズなど

正真しょうしんこつだん

はらとげひれ上目うわめキュウリウオ上目うわめシャチブリ上目うわめえんうろこ上目うわめハダカイワシ上目うわめアカマンボウ上目うわめがわとげひれ上目うわめとげひれ上目うわめ

進化しんか[編集へんしゅう]

られているなか最古さいこ脊椎動物せきついどうぶつであり魚類ぎょるいは、カンブリアミロクンミンギアるいである[27]つぎオルドビスあごるい発達はったつし、シルルに汽水域すいいき活動かつどうできるようになり、あごあごこうるい登場とうじょうした[28]

ひとさかな[編集へんしゅう]

魚類ぎょるい世界中せかいじゅう食物しょくもつとして利用りようされる。獣肉じゅうにくべることをきんじられていた仏教ぶっきょうおおくにではより重視じゅうしされる。

魚類ぎょるいらえる方法ほうほうとして代表だいひょうてきなのはもりなどで方法ほうほうあみですくう方法ほうほうなどであり、それぞれに各国かっこくで、あるいは対象たいしょうによって様々さまざま方法ほうほう工夫くふうされている。なかには動物どうぶつ使役しえきする(鵜飼うかカワウソなど)などの特殊とくしゅ方法ほうほうもある。それらは食料しょくりょう確保かくほのためでもあるが、趣味しゅみとしてもおこなわれている。

さかなることをまとめてりょう仕事しごととしては漁業ぎょぎょうという。また、食用しょくようさかなしゅ飼育しいくすることを養殖ようしょくという。

四方しほううみかこまれた日本にっぽんでもなじみふか食材しょくざいである。「不味まずさかな」「美味おいしいさかな」という実用じつようてき観点かんてんからさかな種類しゅるいへの関心かんしんたかい。貝類かいるい甲殻こうかくるいとあわせて魚介ぎょかいるいうこともおおく、それらは魚屋さかなやあつかわれる。そのような文化ぶんかもあり、生物せいぶつ和名わみょうにはにくいろ採用さいようされることがおおい。

いたりたり、あるいはげたりと様々さまざま料理りょうりされる。日本にっぽん刺身さしみなどではなまべるが少数しょうすうである。いたみやすいものがおおく、保存ほぞんのために塩漬しおづ干物ひもの燻製くんせい、あるいはあぶらけなど処理しょりされるれいおおい。直接的ちょくせつてき食品しょくひんでないれいとしては鰹節かつおぶしさかなひしおがある。

食料しょくりょうほか肥料ひりょう飼料しりょう加工かこうひん原料げんりょうなどとして使つかわれる。また、熱帯魚ねったいぎょ鑑賞かんしょう趣味しゅみとしてひろしたしまれている。各地かくち水族館すいぞくかんてられ、世界中せかいじゅうさかなることができる。日本にっぽんまわりをうみかこまれていることもあり、世界せかい有数ゆうすうさかな大国たいこくである。

水産すいさんぎょう
水産すいさんぎょう - 養殖ようしょくぎょう - みなと - 漁業ぎょぎょうけん - 漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい
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潜水せんすい(ダイビング) - フィッシュウォッチング - 水中すいちゅう写真しゃしん

健康けんこう[編集へんしゅう]

さかなには、エイコサペンタエンさん (EPA) やドコサヘキサエンさん (DHA) などのωおめが-3脂肪酸しぼうさんであるあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんおおふくまれる。さかなふくまれるDHAのおおくは、ラビリンチュラるいの1ぞくであるSchizochytriumぞくなどのような海産かいさん微生物びせいぶつによって生産せいさんされたものが、食物しょくもつ連鎖れんさ過程かていさかな体内たいない濃縮のうしゅくされたものである。

ωおめが-3脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅ心臓しんぞうびょう予防よぼういとわれている[29]のう網膜もうまくなど神経しんけいけい発達はったつにも関与かんよするといわれている。流行りゅうこうおさかな天国てんごくには「さかなべるとあたまくなる」というフレーズがあるが、上記じょうき健康けんこう影響えいきょうかんがえると根拠こんきょともえない。

村落そんらく単位たんい生活せいかつ習慣しゅうかんでは、労働ろうどうはげしく、さかなまた大豆だいず十分じゅうぶんにとり、野菜やさい海草かいそう多食たしょくする地域ちいき長寿ちょうじゅむらであり、べいしお過剰かじょう摂取せっしゅさかな偏食へんしょくられる地域ちいき短命たんめいむらおおいことが指摘してきされている[30][31][32]

魚介ぎょかいるい脂肪酸しぼうさんにて、魚介ぎょかいるい100グラムちゅうおも脂肪酸しぼうさんについて解説かいせつ

さかな世界せかい水系すいけい排出はいしゅつされる化学かがく物質ぶっしつ濃縮のうしゅくさせる。PCBやダイオキシン、水銀すいぎんなまり、DTTなどがある。さかなはPCBの最大さいだい摂取せっしゅげんであると指摘してきされる[3]

脂肪しぼうおおさかなは、オメガ3脂肪酸しぼうさん豊富ほうふ供給きょうきゅうげんであり、アルツハイマーびょう人々ひとびとのう有害ゆうがいかたまり形成けいせいするタンパク質たんぱくしつであるベータアミロイドのちゅう濃度のうど低下ていか関連かんれんしている。このため、すくなくともしゅうに2かいさかなべること。ただし、さけ、タラ、ライトマグロの缶詰かんづめ、ポラックなど、水銀すいぎんすくない品種ひんしゅ選択せんたくすること。さかな過敏かびん場合ばあいは、オメガ3サプリメントの摂取せっしゅについて医師いし相談そうだんするか、亜麻仁あまに、アボカド、クルミなどの陸生りくせいオメガ3ソースを選択せんたくすること[33]

どく[編集へんしゅう]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

20世紀せいきなかばまでは、魚類ぎょるいさかなじょうつな(ぎょじょうこう)として1つのつな分類ぶんるいされていた。これは日常にちじょう用語ようごにおける「さかな」に対応たいおうする分類ぶんるいぐんであった。さかなじょうつなには、軟骨なんこつぎょつな硬骨魚こうこつぎょつな絶滅ぜつめつしたいたがわつなおよび棘魚とげうおつなふくまれていた。

現在げんざい[いつ?]では、さかなつなたん系統けいとうぐんではなくがわ系統けいとうぐんであるとされる。たとえば、マグロ・メダカなどの典型てんけいてきさかなふくじょうひれつなは、サメなどの軟骨なんこつ魚類ぎょるいやヤツメウナギなどのあごるいよりも、ヒトなどの四肢しし動物どうぶつ両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるい鳥類ちょうるい哺乳類ほにゅうるい)によりきんえんである。このような分類ぶんるい人為じんいてきであるため、現在げんざいではさかなつな生物せいぶつ分類ぶんるいとしてはもちいられない。

ただし、漁業ぎょぎょうなどの実用じつようてき分野ぶんやでは、現在げんざい[いつ?]でも魚類ぎょるいもちいられる。

本稿ほんこうではあごるいしめすこととする。また全体ぜんたい分類ぶんるい体系たいけいNelson の分類ぶんるいしたがった。

分類ぶんるい方法ほうほう[編集へんしゅう]

様々さまざま形態けいたい尾鰭おびれ。A:、B:原尾はらお、C:せい、D:両尾もろおせいにはさらにおおくのバリエーションがある

魚類ぎょるい分類ぶんるいするにあたって使用しようされる特徴とくちょうのうち、とく注目ちゅうもくされるのがひれ形態けいたいである[34]背鰭せびれかずむねひれはらひれ位置いちあぶらひれ有無うむなどが、分類ぶんるいじょう重要じゅうよう形質けいしつとなる。れいとして、系統けいとうてきふる魚類ぎょるいコイなど)でははらひれからだ中央ちゅうおう付近ふきん位置いちするが、比較的ひかくてき高等こうとう魚類ぎょるいスズキなど)ではずっと前方ぜんぽう移動いどうし、むねひれのすぐであったりのど位置いちにあったりする。むねひれはらひれちかづけて連動れんどうさせることで、より効率こうりつ運動うんどうおこなえるようになったものとられている。またじょうひれるい魚類ぎょるいでは、各々おのおのひれなんほんとげじょうと軟条で構成こうせいされているかによって、系統けいとうてきちか種類しゅるいとお種類しゅるい見分みわけることができる。これらのひれ構成こうせい分類ぶんるいじょうきわめて重要じゅうよう要素ようそであるため、専門せんもんてきには略号りゃくごうもちいて「D.XII,9; A.III,8; P1.26〜28; P2.I,5」のようにあらわし、これをひれしき(きしき)とぶ。アルファベットはひれ種類しゅるい(D:背鰭せびれ、A:しりひれ、P1:むねひれ、P2:はらひれ)を、ローマ数字すうじ・アラビア数字すうじはそれぞれとげじょう・軟条のかずあらわしている。

分類ぶんるいもちいられる形質けいしつとして、骨格こっかくうろこもまた重要じゅうよう要素ようそである。より進化しんかした高等こうとう魚類ぎょるいでは、ほね癒合ゆごう省略しょうりゃくすすみ、全体ぜんたいかずすくなくなる傾向けいこうがある。これは脊椎動物せきついどうぶつ全体ぜんたいられる特徴とくちょうで、ウィリストンの法則ほうそくばれる[35]うろこ上述じょうじゅつしたような形態けいたい区別くべつほか側線そくせん基準きじゅん計測けいそくしたうろこかず側線そくせんうろこすう横列おうれつうろこすう)が分類ぶんるい形質けいしつとなる。

魚類ぎょるい様々さまざま体型たいけいからだしょくをしており、これらはにわかりやすい特徴とくちょうではあるが、すくなくとものレベルでの分類ぶんるい使用しようされることはすくない。体型たいけいからだしょく系統けいとうよりもむしろ環境かんきょうへの適応てきおう色濃いろこ反映はんえいしている。ぞくたねなどの下位かい分類ぶんるいでは、発光はっこうかず位置いちハダカイワシるい)、交接こうせつ形態けいたいアシロるい)など多種たしゅ多様たよう形質けいしつ分類ぶんるいもちいられている。

あご口上こうじょうつな Agnatha[編集へんしゅう]

あご口上こうじょうつな Gnathostomata[編集へんしゅう]

いたかわかい Placodermiomorphi[編集へんしゅう]

軟骨なんこつぎょかい Chondriomorphi[編集へんしゅう]

棘魚とげうおつな Acanthodii[編集へんしゅう]

硬骨魚こうこつぎょつな Teleostomi[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 「さかな」の語源ごげんについてはさかな参照さんしょう

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

構造こうぞう
輸卵管ゆらんかん - そう排出はいしゅつ
魚類ぎょるいからだひょう粘液ねんえき英語えいごばん
さかなこつ英語えいごばん
トリメチルアミン - さかなしゅう主成分しゅせいぶんひとつ。
さかな年齢ねんれい英語えいごばん - さかなうろこみみせききざまれるもんから年齢ねんれい推測すいそくできる(みみせき横断おうだん薄片はくへんほう)。
さかな感覚かんかく英語えいごばん
生物せいぶつ環境かんきょう
プランクトン - さかなつきりん
環境かんきょう問題もんだい - 絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅ - ワシントン条約じょうやく - レッドデータブック (環境省かんきょうしょう)
モデル生物せいぶつ - ゼブラフィッシュ
マウスブルーダー
大洋たいよう - わん - 海流かいりゅう - 回遊かいゆう - 水温すいおん漁礁ぎょしょう

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]