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遺伝子いでんし作物さくもつ

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出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

遺伝子いでんし作物さくもつ(いでんしくみかえさくもつ、英語えいご: genetically modified crops)とは、遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつもちいて遺伝いでんてき性質せいしつ改変かいへんおこなわれた作物さくもつである。略称りゃくしょうGM作物さくもつ英語えいご: GM crops)である。

日本語にほんごでは、いくつかの表記ひょうき混在こんざいしている。遺伝子いでんしぐみかわ作物さくもつ反対はんたい遺伝子いでんし作物さくもつ厚生こうせい労働省ろうどうしょう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ食品しょくひん衛生えいせいほうではくみえDNA技術ぎじゅつ応用おうよう作物さくもつ農林水産省のうりんすいさんしょうでは遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ使つかう。

英語えいごgenetically modified organism からGMOともばれることがある。なお、GMOは通常つうじょうトランスジェニック動物どうぶつなどもふく遺伝子いでんしぐみ生物せいぶつし、作物さくもつかぎらない。

GMO生産せいさんマップ(国際こくさいアグリバイオ事業じぎょうだん英語えいごばん、2019ねん)。耕作こうさく面積めんせきによって色分いろわけされている。
  1000まんヘクタール以上いじょう
  5まんから1000まんヘクタール
  5まんヘクタール以下いか
  栽培さいばいされていない

概要がいよう

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遺伝子いでんしぐみ作物さくもつは、商業しょうぎょうてき栽培さいばいされている植物しょくぶつ作物さくもつ)に遺伝子いでんし操作そうさおこない、あらたな遺伝子いでんし導入どうにゅう発現はつげんさせたり、内在ないざいせい遺伝子いでんし発現はつげん促進そくしん抑制よくせいしたりすることにより、あらたな形質けいしつ付与ふよされた作物さくもつである。食用しょくよう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつでは、除草じょそうざいたいせい病害虫びょうがいちゅうたいせい貯蔵ちょぞうせい増大ぞうだいなどの生産せいさんしゃ流通りゅうつう業者ぎょうしゃにとっての利点りてん重視じゅうしした遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ開発かいはつ先行せんこうし、こうしてされた食品しょくひんだいいち世代せだい遺伝子いでんしぐみ食品しょくひんぶ。これにたいし、食物しょくもつ成分せいぶん改変かいへんすることによって栄養えいようたかめたり、有害ゆうがい物質ぶっしつ減少げんしょうさせたり、医薬品いやくひんとして利用りようできたりするなど、消費しょうひしゃにとっての直接的ちょくせつてき利益りえき重視じゅうしした遺伝子いでんし作物さくもつ開発かいはつ近年きんねん活発かっぱつとなり、こうしてされた食品しょくひんだい世代せだい食品しょくひんという。

遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ作製さくせいには、開発かいはつ過程かていこう効率こうりつ安全あんぜんせいかんする懸念けねん払拭ふっしょくのためにさまざまな手法しゅほうれられている。たとえば、遺伝子いでんしわった細胞さいぼう形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼう)だけを選択せんたくするプロセスにおいて、かつては医療いりょうよう畜産ちくさんようとしてももちいられる抗生こうせい物質ぶっしつ選択せんたくマーカー遺伝子いでんしとしてその抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんしもちいられていた。現在げんざいではそのような抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんし遺伝子いでんしぐみ作物さくもつのこっていることが規制きせいされる場合ばあいもあり、それ以外いがい選択せんたくマーカー遺伝子いでんし利用りようしたり、選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょしたりといった技術ぎじゅつ開発かいはつされた。

遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ栽培さいばいこく作付さくづけ面積めんせき年々ねんねん増加ぞうかしている。2015ねん時点じてんぜん世界せかい大豆だいず(ダイズ)作付さくづ面積めんせきの83%、トウモロコシの29%、ワタの75%、カノーラの24%がGM作物さくもつである(ISAAA調査ちょうさ)。遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ商業しょうぎょうてき本格ほんかくてき栽培さいばいされた1996ねんから2014ねんまでは年々ねんねん栽培さいばい面積めんせきえてきたが2015ねんになってはじめて前年ぜんねんくら栽培さいばい面積めんせきが1%減少げんしょうした。

2020ねん10がつアルゼンチン世界せかいはじめて遺伝子いでんしぐみ小麦こむぎ承認しょうにんした。ヒマワリ由来ゆらいで、すでに大豆だいずへの実績じっせきがある遺伝子いでんしHB4により、旱魃かんばつでも従来じゅうらい品種ひんしゅより平均へいきん20%おさむである。アルゼンチンとフランス企業きぎょう開発かいはつした[1]

日本にっぽんについては、限定げんていてきではあるが、あおいバラ (サントリーフラワーズ)商業しょうぎょう栽培さいばいにより2009ねんには遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ商業しょうぎょう栽培さいばいこくとなった。

日本にっぽん輸入ゆにゅう穀類こくるい半量はんりょう以上いじょうすで遺伝子いでんしぐみ作物さくもつであるという推定すいていもある[よう出典しゅってん]

遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ開発かいはつ利用りようについて、賛成さんせい反対はんたいあいだはげしい論争ろんそうがある。おも論点ろんてんは、生態せいたいけいなどへの影響えいきょう経済けいざい問題もんだい倫理りんりめん食品しょくひんとしての安全あんぜんせいなどである。生態せいたいけいなどへの影響えいきょう経済けいざい問題もんだいかんしては、単一たんいつ作物さくもつ品種ひんしゅだい規模きぼ栽培さいばいすること(モノカルチャー)にともなしょ問題もんだい遺伝子いでんし作物さくもつ特有とくゆう問題もんだい混同こんどうして議論ぎろんされることがおおい。食品しょくひんとしての安全あんぜんせいかんして、特定とくてい遺伝子いでんしぐみ作物さくもつではなく遺伝子いでんし操作そうさ自体じたい食品しょくひんとしての安全あんぜんせいそこなっているという主張しゅちょうがある。そのような主張しゅちょう論拠ろんきょとなっている研究けんきゅうたいし、実験じっけん設計せっけい不備ふびやデータ解釈かいしゃくじょうあやまりを多数たすう指摘してきしたうえで科学かがくてき根拠こんきょ充分じゅうぶんともなっていないとする反論はんろんもある[2]

日本にっぽんでは、厚生こうせい労働省ろうどうしょうおよび内閣ないかく食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかいによって、ジャガイモダイズテンサイトウモロコシナタネワタアルファルファおよびパパイアの8作物さくもつ318種類しゅるいについて、2018ねん平成へいせい30ねん)2がつ23にち時点じてん食品しょくひん安全あんぜんせい確認かくにんされている[3]

起源きげん

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従来じゅうらい育種いくしゅがく延長えんちょう導入どうにゅうされた、1973ねん以降いこう遺伝子いでんしぐみえの手法しゅほうとしては、放射線ほうしゃせん照射しょうしゃじゅうイオン粒子りゅうしせん照射しょうしゃ変異へんいばらせい薬品やくひんなどの処理しょりで、はい染色せんしょくたい変異へんい導入どうにゅうしたははほん多数たすう作成さくせいし、そこから有用ゆうよう形質けいしつ個体こたい選抜せんばつする作業さぎょうかさねるという手順てじゅんおこなわれた。

最初さいしょのGMOが作成さくせいされたあとに、科学かがくしゃ自発じはつてきなモラトリアムを、くみえDNA実験じっけんもとめて観測かんそくした。モラトリアムのひとつの目標もくひょうは、しん技術ぎじゅつ状態じょうたい、および危険きけんせい評価ひょうかするアシロマ会議かいぎのための時間じかん提供ていきょうすることだった。生化学せいかがくもの参入さんにゅうあらたなバイオテクノロジー開発かいはつ遺伝子いでんし地図ちず作成さくせいなどにより、作物さくもつとなる植物しょくぶつたいして、「目的もくてきとする」形質けいしつをコードする遺伝子いでんし導入どうにゅうしたり、「問題もんだいがある」形質けいしつ遺伝子いでんしノックアウトしたりすることができるようになった。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、研究けんきゅう進展しんてんとともにきびしいガイドラインがもうけられた。そのようなガイドラインは、のちにアメリカ国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょ他国たこくでも相当そうとうする機関きかんにより公表こうひょうされた。これらのガイドラインは、GMOが今日きょうまで規制きせいされる基礎きそしている。

はじめて市場いちば登場とうじょうした遺伝子いでんしぐみ作物さくもつわれるのは、アンチセンスRNAほうmRNA相補そうほてきなRNAをつくらせることで、標的ひょうてきとなるタンパク質たんぱくしつなま合成ごうせいおさえる手法しゅほうRNAiほう一種いっしゅ)をもちいて、ペクチン分解ぶんかいする酵素こうそポリガラクツロナーゼのさんせい抑制よくせいしたトマト "Flavr Savr" である。ほかのトマトと比較ひかくして、じゅくしても果皮かひ果肉かにくやわらかくなりにくいという特徴とくちょうつ。

分類ぶんるい

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遺伝子いでんしぐみえ「植物しょくぶつ」として開発かいはつされているものは、植物しょくぶつ自体じたい研究けんきゅうもちいられるモデル植物しょくぶつとして利用りようされているものと、産業さんぎょうてき利用りようされている、もしくは産業さんぎょうてき利用りよう目指めざして研究けんきゅうされている遺伝子いでんしぐみえ「作物さくもつ」にけることができる。さらに、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつは、食用しょくよう作物さくもつ食用しょくよう作物さくもつ遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん)、飼料しりょう用作ようさくぶつなどに分類ぶんるい可能かのうである。なお、食用しょくよう作物さくもつ飼料しりょうよう作物さくもつとの境界きょうかい明確めいかくではないため、食用しょくよう作物さくもつ飼料しりょうよう作物さくもつ双方そうほう遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん範疇はんちゅうふくめて説明せつめいする。また、食用しょくよう作物さくもつ飼料しりょうよう作物さくもつエタノール生産せいさん燃料ねんりょうようあぶら生産せいさん利用りようされることもある。

食用しょくよう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ

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食用しょくよう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつとしては、園芸えんげい作物さくもつはやしおもである。園芸えんげい作物さくもつとしては花卉かき主体しゅたいである。たとえば、あお花色はないろカーネーションムーンダスト」は、一般いっぱん消費しょうひしゃ花屋はなやられている遺伝子いでんしぐみ作物さくもつである。また、2009ねん11月に国内こくない市販しはん開始かいしされたあおいバラ遺伝子いでんしぐみ作物さくもつである。そのほか、きくカロテノイド含量を変化へんかさせたり、トレニアアントシアニンなま合成ごうせいけいオーロンなま合成ごうせいけい変化へんかさせて黄色きいろいトレニアのはなつくったりするこころ[4]がある。はやしれいとしては製紙せいしようリグニン構造こうぞうや含量を改変かいへんされたポプラヤマナラシユーカリテーダマツラジアータマツおおく、セルロース含量をたかめたギンドロ[5]などもある。

なお、食用しょくよう作物さくもつ飼料しりょうよう作物さくもつがエタノール生産せいさん燃料ねんりょうようあぶら生産せいさん利用りようされることもあるが、バイオエタノールバイオディーゼルようスイッチグラスナンヨウアブラギリなどの食用しょくよう植物しょくぶつ分子ぶんし育種いくしゅする研究けんきゅうすすんでいる。たとえば、スプラウトとして食用しょくようとされることもあるアルファルファにおいては、反芻はんすう動物どうぶつ飼料しりょうようとしてタンニン含量を増加ぞうかさせたものが開発かいはつされているとともに、リグニンなま合成ごうせい抑制よくせいしてリグニン含量を低下ていかさせたものが上市かみいちされている[6]

遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん分類ぶんるい

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遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん分類ぶんるいとしてはさまざまなものがあるが、いちれいとして以下いかのように分類ぶんるいされることがある。ほん項目こうもくにおいては、この分類ぶんるいしたがって解説かいせつする。なお、だいさん世代せだいかんしてはまだ明確めいかくではない。

だいいち世代せだい
除草じょそうざいたいせい病害虫びょうがいちゅうたいせい貯蔵ちょぞうせい増大ぞうだいなど
だい世代せだい
成分せいぶん改変かいへん食品しょくひん消費しょうひしゃ利益りえき強調きょうちょうされたもの。
だいさん世代せだい
過酷かこく環境かんきょうでも成育せいいくできたり、収量しゅうりょうたかかったりするような作物さくもつか?

日本にっぽんにおいてだい一種いっしゅ使用しよう食用しょくようまたは飼料しりょうようきょうするための使用しよう栽培さいばい加工かこう保管ほかん運搬うんぱんおよび廃棄はいきならびにこれらに付随ふずいする行為こうい)をみとめられているくみ品種ひんしゅには、たとえば、選択せんたくマーカー遺伝子いでんし以外いがいに1品種ひんしゅに6種類しゅるい害虫がいちゅう抵抗ていこうせいと2種類しゅるい除草じょそうざいたいせいけい8種類しゅるい外来がいらい遺伝子いでんし導入どうにゅうされたもの[7]や、1品種ひんしゅに7種類しゅるい害虫がいちゅう抵抗ていこうせいと3種類しゅるい除草じょそうざいたいせいけい10種類しゅるい外来がいらい遺伝子いでんし導入どうにゅうされたもの[8]除草じょそうざいたいせい改変かいへんされた脂肪酸しぼうさんざんもと組成そせい貯蔵ちょぞう脂質ししつ双方そうほうつという、世代せだいをまたいでいるといえるもの[9]もある。このように、ことなった形質けいしつくみ品種ひんしゅをかけわせて、複数ふくすう形質けいしつ (stacked traits) を導入どうにゅうされたくみ品種ひんしゅをスタック(ド)品種ひんしゅ (stacked GM line (variety, cultivar)) ということがある。

なお、前述ぜんじゅつとおり、まだだいさん世代せだいについてはかくたる定説ていせつがないため、ストレスたいせい作物さくもつかんしては「だいいち世代せだいぐみ食品しょくひん開発かいはつじょうきょう」において説明せつめいする。

だいいち世代せだいぐみ食品しょくひん開発かいはつじょうきょう

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概説がいせつ

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だいいち世代せだいぐみ食品しょくひんは、作物さくもつ除草じょそうざいたいせい病害虫びょうがいちゅうたいせい貯蔵ちょぞうせい増大ぞうだいなどの形質けいしつ導入どうにゅうされたものである。これらの特質とくしつは、生産せいさんしゃ流通りゅうつう業者ぎょうしゃにとっての利点りてんとなるだけでなく、安価あんか安全あんぜん食品しょくひん安定あんてい供給きょうきゅうにつながるというてん消費しょうひしゃにとってもおおきなメリットとなる。また、農薬のうやく使用しようりょう減少げんしょうこうおこり栽培さいばい利用りよう可能かのうせいなどにより環境かんきょうめんでの負荷ふか減少げんしょうはかれることや、収穫しゅうかくりょうおおかったり、損耗そんこうすくなかったりという性質せいしつつことは持続じぞくてき農業のうぎょうすすめていくじょうでも有用ゆうようである。

以下いかに、除草じょそうざいたいせい作物さくもつ害虫がいちゅう抵抗ていこうせい作物さくもつたいびょうせい作物さくもつ保存ほぞんせい増大ぞうだいさせた作物さくもつゆうせいみのる形質けいしつ付与ふよゆうせいみのりからのみのりせい回復かいふくたい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼ生産せいさんトウモロコシ乾燥かんそうたいせいトウモロコシなどにかんして、それぞれの種類しゅるい原理げんりについて説明せつめいする。

除草じょそうざいたいせい作物さくもつ

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概説がいせつ

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だいいち世代せだいぐみ作物さくもつとしては、ラウンドアップやビアラホス (bialaphos) など特定とくてい除草じょそうざいたいせい品種ひんしゅ作成さくせいし、その除草じょそうざいによる雑草ざっそう防除ぼうじょ利用りようするような作物さくもつ開発かいはつされている。これは農作業のうさぎょう効率こうりつだけではなく、土壌どじょう流出りゅうしゅつによる環境かんきょう破壊はかいふせこうおこり栽培さいばい適用てきようできる。ダイズ主要しゅよう生産せいさんである南北なんぼくアメリカ諸国しょこくでは表土ひょうど流出りゅうしゅつだい問題もんだいとなっている。前作ぜんさく植物しょくぶつざん渣を放置ほうちできるため、植物しょくぶつざん渣がマルチ(マルチング)となって風雨ふううから土壌どじょう流出りゅうしゅつふせぎ、土壌どじょうたがやすことによって土壌どじょう流亡りゅうぼうしやすくなることをこうおこり栽培さいばいによってふせぐことができる[10]。そのほか、有毒ゆうどく雑草ざっそう収穫しゅうかくぶつへの混入こんにゅうらせるとの主張しゅちょうもある。

単一たんいつ除草じょそうざい除草じょそうざいたいせい作物さくもつわせで長年ながねん栽培さいばいつづけると、その除草じょそうざいたいするたいせい雑草ざっそう出現しゅつげんする。この現象げんしょう自体じたい一般いっぱんてきなものであり、すでに除草じょそうざいラウンドアップたいするたいせい雑草ざっそう出現しゅつげん報告ほうこくされている。このような事態じたいけるための方策ほうさくとして、複数ふくすう除草じょそうざいたいしてたいせい作物さくもつ複数ふくすう除草じょそうざい混用こんようことなる除草じょそうざいとその除草じょそうざいたいせい作物さくもつ複数ふくすうわせをもちいた定期ていきてき輪作りんさくなどが推奨すいしょうされている[11]

除草じょそうざいふくめた薬剤やくざいたいするたいせい機構きこうとしてつぎのものがげられる。

  • 薬剤やくざいとその標的ひょうてきとの親和しんわせい低下ていか
  • 標的ひょうてき過剰かじょう発現はつげん
  • 薬剤やくざい分解ぶんかい修飾しゅうしょくによる無毒むどく
  • 薬剤やくざい移行いこう吸収きゅうしゅう阻害そがい
  • 薬剤やくざい阻害そがいしないべつ経路けいろ誘導ゆうどう
  • もともとは活性かっせいたない薬剤やくざい活性かっせいゆうする物質ぶっしつ変換へんかんする経路けいろ抑制よくせい

除草じょそうざいたいしても、これらの機構きこう単独たんどくもしくは複数ふくすうわせて植物しょくぶつたいせいしている。

以下いか除草じょそうざい種類しゅるいごとのたいせい作物さくもつについて説明せつめいする。

ラウンドアップたいせい作物さくもつ

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ビアラホスたいせい作物さくもつ

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ビアラホス (bialaphos)[注釈ちゅうしゃく 1]放線ほうせんきん Streptomyces hygroscopicus, S. viridochromogenes などが生産せいさんする抗生こうせい物質ぶっしつであり、窒素ちっそ代謝たいしゃにおいてアンモニウムイオンの同化どうか関与かんよするグルタミン合成ごうせい酵素こうそ阻害そがいざいとして作用さようする[注釈ちゅうしゃく 2]。グルタミン合成ごうせい酵素こうそ阻害そがいされると毒性どくせいたかいアンモニウムイオンが植物しょくぶつ体内たいない蓄積ちくせきして、植物しょくぶつたい枯死こしさせるとかんがえられている。

ビアラホス生産せいさんきんは、ビアラホスが自身じしんのグルタミン合成ごうせい酵素こうそ阻害そがいする事態じたい対処たいしょするため、ビアラホスを無毒むどくする酵素こうそホスフィノスリシン N-アセチルもと転移てんい酵素こうそ英語えいごばん[注釈ちゅうしゃく 3]遺伝子いでんし barっている。そこで bar植物しょくぶつない発現はつげんできるように改変かいへんして導入どうにゅうすることでビアラホスたいせい作物さくもつ開発かいはつした(薬剤やくざい分解ぶんかい修飾しゅうしょくによる無毒むどく)。

ブロモキシニルたいせい作物さくもつ

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ブロモキシニル[注釈ちゅうしゃく 4]やアイオキシニル[注釈ちゅうしゃく 5]はオキシニル (oxynil) けい除草じょそうざいであり、光合成こうごうせいけい電子でんし伝達でんたつけい阻害そがいすることで除草じょそう活性かっせいしめす。肺炎はいえん桿菌かんきんクレブシエラ・ニューモニエKlebsiella pneumoniae subsp. ozaenae由来ゆらいのブロモキシニル・ニトリラーゼ[注釈ちゅうしゃく 6]は、ブロモキシニルを3,5-ジブロモ 4-ヒドロキシ安息香あんそくこうさん (3,5-dibromo 4-hydroxybenzoate) とアンモニアに、アイオキシニルを3,5-ジヨード 4-ヒドロキシ安息香あんそくこうさん (3,5-diiodo 4-hydroxybenzoate) とアンモニアに加水かすい分解ぶんかいできる。そこで、このニトリラーゼの遺伝子いでんしoxy植物しょくぶつ導入どうにゅうしてブロモキシニルたいせいにしている(薬剤やくざい分解ぶんかい修飾しゅうしょくによる無毒むどく)。バイエルクロップサイエンス株式会社かぶしきがいしゃ西洋せいようナタネ・カノーラ OXY-23については、「除草じょそうざいブロモキシニルたいせいセイヨウナタネ (oxy, Brassica napus L.) (OXY-235, OECD UI: ACS-BNØ11-5) の生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょう評価ひょうかしょ概要がいよう[12]」などで公表こうひょうされている。

スルホニルウレアけい除草じょそうざいたいせい作物さくもつ

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スルホニルウレア (sulfonylurea) けい除草じょそうざい(SUざい)には多数たすう薬剤やくざい登録とうろくされている。SUざい後述こうじゅつの「ALS遺伝子いでんし特異とくいてき置換ちかん」の小節しょうせつべているbispyribacと同様どうようにALS/AHAS[注釈ちゅうしゃく 7]阻害そがいざい分岐ぶんきくさりアミノ酸あみのさん[注釈ちゅうしゃく 8]なま合成ごうせいけい阻害そがいする。ALS/AHASのSUざいたいする感受性かんじゅせい低下ていかしたたいせい変異へんいられており、たいせいがたALS遺伝子いでんし導入どうにゅうして発現はつげんさせることによりSUざいたいせい作物さくもつ分子ぶんし育種いくしゅされている(薬剤やくざいとその標的ひょうてきとの親和しんわせい低下ていかによるたいせい)。そのほか、ヒト肝臓かんぞう発現はつげんしているシトクロムP450 (cytochrome P450) の分子ぶんししゅのうち、CYP2C9やCYP2C19をイネ発現はつげんさせてSUざいであるクロルスルフロン[注釈ちゅうしゃく 9]とイマゾスルフロン (imazosulfuron) にたいしてそれぞれたいせいさせたれいもある[13]。ヒトの肝臓かんぞうでクロルスルフロンがCYP2C9によって、イマゾスルフロンがCYP2C19によってそれぞれ水酸化すいさんかされて代謝たいしゃされるという知見ちけんから応用おうようされたものである(薬剤やくざい分解ぶんかい修飾しゅうしょくによる無毒むどく)。

イミダゾリノンけい除草じょそうざいたいせい作物さくもつ

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イミダゾリノン (imidazolinone) けい除草じょそうざいはスルホニルウレアけい除草じょそうざい同様どうようにALSを阻害そがいする。そこで、イミダゾリノンけい除草じょそうざいたいして感受性かんじゅせい低下ていかしたALSの遺伝子いでんし導入どうにゅうしてたいせい作物さくもつ育種いくしゅした(薬剤やくざいとその標的ひょうてきとの親和しんわせい低下ていかによるたいせい)。そのれいとして、BASFアグロ株式会社かぶしきがいしゃのイミダゾリノンけい除草じょそうざいたいせいダイズがあり、「イミダゾリノンけい除草じょそうざいたいせいダイズ(改変かいへんcsr1-2, Glycine max (L.) Merr.)(CV127, OECD UI: BPS-CV127-9) 申請しんせいしょとう概要がいよう[14]」などで公表こうひょうされている。

2,4-Dたいせい作物さくもつ

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2,4-D[注釈ちゅうしゃく 10]植物しょくぶつホルモンオーキシンよう生理せいり活性かっせいしめし、こう濃度のうどでは植物しょくぶつ枯死こしさせる作用さようつ。2,4-Dを2,4-ジクロロフェノール[注釈ちゅうしゃく 11]変換へんかんする酵素こうそ2,4-D モノオキシゲナーゼ[注釈ちゅうしゃく 12]タンパク質たんぱくしつ: TfdA)を利用りようして2,4-Dたいせいタバコワタなどの作物さくもつつくられた[15]薬剤やくざい分解ぶんかい修飾しゅうしょくによる無毒むどく)。TfdAはグラム陰性いんせい細菌さいきんAlcaligenes eutrophusプラスミドpJP5じょう遺伝子いでんしtfdA由来ゆらいのものである。なお、グラム陰性いんせい桿菌かんきんSphingobium herbicidovorans同様どうよう酵素こうそ遺伝子いでんしaad-1改変かいへんされて導入どうにゅうされた2,4-Dたいせいトウモロコシは、ダウ・ケミカルにより開発かいはつされている。複数ふくすう系統けいとう開発かいはつされており、「アリルオキシアルカノエートけい除草じょそうざいたいせいトウモロコシ(改変かいへんaad-1, Zea mays subsp. mays (L.)Iltis.)(DAS40278, OECD UI:DAS-4Ø278-9) 申請しんせいしょとう概要がいよう[16][注釈ちゅうしゃく 13]」などで公表こうひょうされている。また、グラム陰性いんせい桿菌かんきんデルフチア・アシドボランス由来ゆらい同様どうよう酵素こうそ遺伝子いでんしaad-12改変かいへんがたによっても2,4-Dたいせいダイズやワタが開発かいはつされている。

ジカンバたいせい作物さくもつ

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ジカンバ(dicamba: 3,6-dichloro-2-methoxybenzoic acid, 3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香あんそくこうさん, CAS No. 1918-00-9)は、2,4-Dと同様どうようオーキシンよう生理せいり活性かっせいしめ除草じょそうざいである。ジカンバを3,6-ジクロロサリチル酸さりちるさん (3,6-dichlorosalicylic acid) へ変換へんかんする酵素こうそジカンバ モノオキシゲナーゼ[注釈ちゅうしゃく 14](DMO)を利用りようしてジカンバたいせいのダイズがつくられた(薬剤やくざい分解ぶんかい修飾しゅうしょくによる無毒むどく)。グラム陰性いんせい細菌さいきんStenotrophomonas maltophilia DI-6かぶ由来ゆらい改変かいへんdmo遺伝子いでんし利用りようされ、ダイズに導入どうにゅうされている。改変かいへんDMOのアミノ末端まったんがわにはプラスチドへの移行いこうペプチド (transit peptide) が融合ゆうごうされている。ジカンバたいせいダイズにかんしては、「除草じょそうざいジカンバたいせいダイズ(改変かいへんdmo, Glycine max (L.) Merr.)(MON87708, OECD UI : MON-877Ø8-9) 申請しんせいしょとう概要がいよう[17]」などで公表こうひょうされている。

イソキサフルトールたいせい作物さくもつ

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4-ヒドロキシフェニルピルビンさんジオキシゲナーゼ[注釈ちゅうしゃく 15](HPPD)は、4-ヒドロキシフェニルピルビンさん[注釈ちゅうしゃく 16]ホモゲンチジンさん[注釈ちゅうしゃく 17]変換へんかんする反応はんのう触媒しょくばいする。ホモゲンチジンさんはいくつかの段階だんかいて、光合成こうごうせいやカロテノイドせい合成ごうせい重要じゅうようなプラストキノン[注釈ちゅうしゃく 18]トコフェロールるい前駆ぜんくたいである2-メチル-6-フィトキノール[注釈ちゅうしゃく 19]変換へんかんされる。

イソキサゾールけい除草じょそうざいであるイソキサフルトール (isoxaflutole: 5-cyclopropyl-4- (2-methylsulfonyl-4-trifluoromethylbenzoyl) isoxazole, CAS No. 141112-29-0) は、その代謝たいしゃ産物さんぶつ2-シアノ-3-シクロプロピル-1-(2-メチルスルホニル-4-トリフルオロメチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン[注釈ちゅうしゃく 20](DKN)がHPPDの基質きしつである4-ヒドロキシフェニルピルビンさん競合きょうごうしてHPPD活性かっせい阻害そがいすることにより除草じょそう活性かっせいしめす。

植物しょくぶつにイソキサフルトールたいせい付与ふよするために、シュードモナスぞく細菌さいきんPseudomonas protegens Pf-5かぶhppd遺伝子いでんしから1塩基えんき置換ちかんされたものがもちいられている。この遺伝子いでんしは、1塩基えんき置換ちかんによるミスセンス変異へんいによって本来ほんらいアミノ酸あみのさん配列はいれつ (GenBank:AAY92656.1) から1アミノ酸あみのさん置換ちかんされたHPPDをコードしている。この変異へんいがたHPPDはDKNによって阻害そがいされにくいためホモゲンチジンさん合成ごうせいされる(薬剤やくざいとその標的ひょうてきとの親和しんわせい低下ていかによるたいせい)。なお、植物しょくぶつのHPPDはプラスチド局在きょくざいしているが、バクテリアであるP. protegenes由来ゆらい変異へんいがたHPPDはそのままではプラスチドへ移行いこうできない。そこで、変異へんいがたHPPDのアミノ末端まったんがわにはプラスチドへ移行いこうできるように移行いこうペプチドが融合ゆうごうされている。なお、P. protegenes Pf-5かぶはかつてP. fluorescens分類ぶんるいされていたため、P. fluorescens Pf-5かぶ記載きさいされている場合ばあいがある。バイエルクロップサイエンスしゃのイソキサフルトールたいせいダイズにかんしては、「除草じょそうざいグリホサートおよびイソキサフルトールたいせいダイズ(2mepsps, 改変かいへんhppd, Glycine max (L.) Merr.)(FG72,OECD UI: MST-FG072-3) 申請しんせいしょとう概要がいよう[18]」などで公表こうひょうされている。

メソトリオンたいせい作物さくもつ

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メソトリオン[注釈ちゅうしゃく 21]は、トリケトンけい除草じょそうざいである。メソトリオンも上記じょうきのイソキサフルトールと同様どうようにHPPDの阻害そがいざいである。そこで、エンバク (Avena sativa) 由来ゆらいのメソトリオンに感受性かんじゅせい低下ていかした変異へんいがたhppd遺伝子いでんし導入どうにゅうにより、メソトリオンたいせいダイズが育種いくしゅされた(薬剤やくざいとその標的ひょうてきとの親和しんわせい低下ていかによるたいせい)。シンジェンタしゃのメソトリオンたいせいダイズにかんしては、「除草じょそうざいメソトリオンたいせいダイズ(改変かいへんavhppd, Glycine max (L.) Merr.)(SYHT04R, OECD UI: SYN-∅∅∅4R-8) 申請しんせいしょとう概要がいよう[19]」などで公表こうひょうされている。

害虫がいちゅう抵抗ていこうせい作物さくもつ

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概説がいせつ

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害虫がいちゅうたいして毒性どくせいゆうするタンパク質たんぱくしつ害虫がいちゅう天敵てんてき誘引ゆういんする物質ぶっしつ生産せいさんさせることで、害虫がいちゅう発生はっせいおさえる害虫がいちゅうたいせいのものも存在そんざいする。その機構きこうとしては、

げられるが、とくBacillus thuringiensis結晶けっしょうせいタンパク質たんぱくしつ (Bt toxin) 遺伝子いでんし導入どうにゅうによる害虫がいちゅう抵抗ていこうせい作物さくもつ成功せいこうしている。

Bt toxin生産せいさん作物さくもつ

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概説がいせつ
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Bt toxinのBはぞくめいBacillus頭文字かしらもじに、tはたね小名しょうみょうthuringiensis頭文字かしらもじ由来ゆらいする。B. thuringiensis性質せいしつとして、

  • 土壌どじょう細菌さいきん芽胞がほう形成けいせいするときに結晶けっしょうせいタンパク質たんぱくしつδでるた-うち毒素どくそ: δでるた-endotoxin, Bt toxin)を蓄積ちくせきする。
  • 結晶けっしょうせいタンパク質たんぱくしつ昆虫こんちゅうちょうたっすると部分ぶぶん消化しょうかされ、殺虫さっちゅうせい毒素どくそペプチド遊離ゆうりする。
  • 哺乳類ほにゅうるいには殺虫さっちゅうせい毒素どくそペプチドと結合けつごうする特異とくいてき受容じゅようたいがないため、毒性どくせい発揮はっきできない。
  • 菌株きんしゅによって生産せいさんする結晶けっしょうせいタンパク質たんぱくしつ作用さようする昆虫こんちゅう種類しゅるいことなる。

というものがある。Bt toxinは哺乳類ほにゅうるいには毒性どくせいたないため、Bt toxinを生産せいさんする植物しょくぶつ人間にんげんべてもがいはない。そこでBt toxinを生産せいさんする害虫がいちゅうたいせいぐみ作物さくもつ開発かいはつにつながった。日本にっぽんにおいては市民しみん団体だんたいなどによって人体じんたいへのがい喧伝けんでんされているが、現時点げんじてんにおいて人体じんたいへの有害ゆうがいせい確認かくにんされていない。Bt toxinをそのまま植物しょくぶつ生産せいさんされる場合ばあいもあるが、おおくの場合ばあい部分ぶぶん消化しょうかさいのぞかれる配列はいれつ除去じょきょして、殺虫さっちゅうせい毒素どくそペプチドをふく部分ぶぶん主体しゅたいとした、もっと小型こがたタンパク質たんぱくしつとして植物しょくぶつ生産せいさんさせている。生産せいさんかぶちがいによりBt toxinにはさまざまな種類しゅるいがある。その種類しゅるいにより、殺虫さっちゅうスペクトルがことなってくる。そのため、作物さくもつ導入どうにゅうされたBt toxin遺伝子いでんし種類しゅるいにより、殺虫さっちゅう活性かっせいしめ昆虫こんちゅうことなる。

Bt生産せいさん作物さくもつ導入どうにゅうにより、

  • 殺虫さっちゅうざい使用しようりょう大幅おおはば削減さくげん
  • 組織そしきない侵入しんにゅうみの害虫がいちゅうにも作用さよう
  • 害虫がいちゅう以外いがいへの殺虫さっちゅうざいによる影響えいきょう大幅おおはば低下ていか
  • 虫害ちゅうがいによる傷口きずぐちからの糸状いとじょうきん感染かんせんしょういちじるしく低下ていかし、また収量しゅうりょう増加ぞうか効用こうよう
  • その結果けっかとしてカビどく (mycotoxin) の含量(フモニシン: fumonisin、アフラトキシン: aflatoxinなどの総量そうりょう)の低下ていか(「害虫がいちゅう抵抗ていこうせいトウモロコシにおけるカビどく含有がんゆうりょう低下ていか」の小節しょうせつ参照さんしょう
  • Bt生産せいさん作物さくもつ殺虫さっちゅう対象たいしょう害虫がいちゅう減少げんしょうともなう、おな害虫がいちゅうによる作物さくもつ被害ひがい減少げんしょう[20]

という結果けっかられている。

その重要じゅうよう利点りてんは、あるしゅ作物さくもつ連作れんさく可能かのうにするということである。米国べいこく中西部ちゅうせいぶにおけるトウモロコシ栽培さいばいれいげられる。トウモロコシは肥料ひりょうをコントロールすれば連作れんさく障害しょうがいにくい作物さくもつである。しかし、かつては米国べいこく中西部ちゅうせいぶコーンベルトにおいて連作れんさくできなかった。その原因げんいんは、ウェスタンコーンルートワーム (western corn rootworm: Diabrotica virgifera virgifera LeConte) などの数種類すうしゅるいのネクイハムシによる被害ひがいであった。これらのネクイハムシの成虫せいちゅうはトウモロコシはたけ羽化うかし、地中ちちゅう産卵さんらんする。そして、よくはる播種はしゅされたトウモロコシの種子しゅし発芽はつがするころに孵化ふかする。幼虫ようちゅう生育せいいく初期しょきよう加害かがいするためトウモロコシの被害ひがいおおきかった。これらのネクイハムシの幼虫ようちゅうはトウモロコシのようがないと成育せいいくできないため、生産せいさんしゃはトウモロコシ栽培さいばいのあとにべつ作物さくもつ輪作りんさくして虫害ちゅうがい防除ぼうじょしてきた。ところが、ほかの作物さくもつ栽培さいばいされているあいだ孵化ふかせず、トウモロコシが播種はしゅされると孵化ふかするネクイハムシの系統けいとう各地かくち出現しゅつげんしたため、輪作りんさく無効むこうになりつつあった。そのような状況じょうきょうに、においてBt toxinを生産せいさんするくみえトウモロコシ品種ひんしゅ上市かみいちされ、連作れんさく可能かのうとなった[21]

Btスイートコーン品種ひんしゅ
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トウモロコシの栽培さいばい面積めんせきは、圧倒的あっとうてきデントコーン品種ひんしゅおおくをめているため、トウモロコシのくみ品種ひんしゅだい部分ぶぶんはデントコーンのものである。くみスイートコーン品種ひんしゅ遺伝子いでんしぐみえトウモロコシ品種ひんしゅ開発かいはつ初期しょきから少数しょうすうではあるが存在そんざいしていた[注釈ちゅうしゃく 22]が、近年きんねん相次あいついで複数ふくすうくみえスイートコーン品種ひんしゅ上市かみいちされている。スイートコーンは、でトウモロコシやきトウモロコシや缶詰かんづめとして利用りようされるため、害虫がいちゅう食害しょくがいこんがあるとおおきく商品しょうひん価値かちげる。そのため、加工かこうされることがおおいデントコーンの場合ばあい収量しゅうりょう重要じゅうようであるが、スイートコーンの場合ばあい収量しゅうりょうよりも食害しょくがいこんがなく商品しょうひんとなるかどうかの商品しょうひんりつほうおおきな意味いみち、栽培さいばいには殺虫さっちゅうざい重要じゅうよう役割やくわりたしている。アメリカにおいてスイートコーンの主要しゅよう害虫がいちゅうはアメリカタバコガ (Heliocoverpa zea) である。そこで、アメリカタバコガに抵抗ていこうせいつBtスイートコーンとそのははほんだい規模きぼ栽培さいばい試験しけんおこなわれ、その商品しょうひんりつ調しらべられた[22]。その結果けっか、Btスイートコーン品種ひんしゅ商品しょうひんりつ安定あんていてきたかかったが、一方いっぽう、そのははほん商品しょうひんりつはBt品種ひんしゅくらひくくその変動へんどうはばおおきかった。そこで、Btスイートコーン品種ひんしゅ栽培さいばい殺虫さっちゅうざい使用しよう大幅おおはば減少げんしょうさせるとともに、大量たいりょう殺虫さっちゅうざい使用しようともな職業しょくぎょうじょう環境かんきょうじょう危険きけん減少げんしょうさせることになろうと結論けつろんづけている。

Bt toxin生産せいさん作物さくもつ改善かいぜんすべきてん益虫えきちゅう増加ぞうか
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作物さくもつ主要しゅよう害虫がいちゅうたいする殺虫さっちゅう活性かっせいつBt toxinの遺伝子いでんし選択せんたくされて導入どうにゅうされている。その結果けっか主要しゅよう害虫がいちゅう被害ひがい低減ていげんするため、殺虫さっちゅうざい散布さんぷ減少げんしょうする。その結果けっか、Bt toxin自体じたい殺虫さっちゅうスペクトルがせまいため、副次的ふくじてき害虫がいちゅう主要しゅよう害虫がいちゅう作用さようするBt toxinに感受性かんじゅせいであれば、増加ぞうかして主要しゅよう害虫がいちゅうわってあらたな被害ひがいあたえることがある[23]。また、主要しゅよう害虫がいちゅう複数ふくすうあって、それぞれべつのBt toxin感受性かんじゅせい場合ばあい同様どうようである。そのほか、ある作物さくもつ主要しゅよう害虫がいちゅう減少げんしょうさせることができたために、農薬のうやく散布さんぷりょうって副次的ふくじてき害虫がいちゅう増加ぞうかしてその作物さくもつだけでなくほか作物さくもつ被害ひがいあたえることがある。これは前述ぜんじゅつおな主要しゅよう害虫がいちゅう減少げんしょうによる作物さくもつたいする被害ひがい減少げんしょう[20]とはぎゃく副次的ふくじてき害虫がいちゅうによる作物さくもつたいする被害ひがい増大ぞうだいである。そのれいとして、中国ちゅうごくにおいてBtワタの導入どうにゅうによって殺虫さっちゅうざい散布さんぷった結果けっか殺虫さっちゅう対象たいしょうがいのカスミカメムシるいえ、ワタ以外いがい果樹かじゅえんにも被害ひがいをもたらしていることが報告ほうこくされている[11]。そのための対策たいさくとして、

  • あらたな害虫がいちゅう作用さようするべつのBt toxinの遺伝子いでんし導入どうにゅうする。
  • 広範囲こうはんい害虫がいちゅうにも作用さようするBt toxinの遺伝子いでんし導入どうにゅうする。
  • べつ原理げんり抵抗ていこうせい遺伝子いでんし導入どうにゅうする。

ことがかんがえられる。そのため、広範囲こうはんい害虫がいちゅう抵抗ていこうせいたせるためには複数ふくすうことなる殺虫さっちゅうスペクトルのBt toxin遺伝子いでんし導入どうにゅうされた作物さくもつ開発かいはつされている。

一方いっぽう上記じょうきとはぎゃくにBt toxin生産せいさん作物さくもつ栽培さいばいにより害虫がいちゅうべる益虫えきちゅう増加ぞうかし、周辺しゅうへんくみ作物さくもつにも天敵てんてきによる害虫がいちゅうコントロールがおよ利点りてん示唆しさする報告ほうこく存在そんざいする[23]。Bt toxin生産せいさん作物さくもつ害虫がいちゅう益虫えきちゅう両者りょうしゃともころ殺虫さっちゅうざい処理しょり必要ひつようとしないため、Btワタはオオタバコガ (Helicoverpa armigera) などによる被害ひがい予防よぼうするだけでなく、この害虫がいちゅうべる益虫えきちゅうかずやすことを発見はっけんした[24]

なお、ほかの殺虫さっちゅうざい同様どうようにBt toxin抵抗ていこうせい害虫がいちゅう発生はっせい報告ほうこくされている。そこで、Bt toxin たいせい害虫がいちゅう出現しゅつげん管理かんり対策たいさくとして、

  • Bt toxinをこう濃度のうど生産せいさんする系統けいとうもちいる。
  • Bt toxin抵抗ていこうせい害虫がいちゅうはある遺伝子いでんし劣性れっせいホモ接合せつごう出現しゅつげんするため、感受性かんじゅせい個体こたい供給きょうきゅうげんとして、周辺しゅうへんBt品種ひんしゅ栽培さいばいする(緩衝かんしょうたい設置せっち)。
  • 定期ていきてき害虫がいちゅう採集さいしゅうして、抵抗ていこうせい発達はったつ程度ていどをモニタリングする。

ことが推奨すいしょうされている[25][26][27]

Bt toxin生産せいさん作物さくもつ自家じか採種さいしゅ抵抗ていこうせい害虫がいちゅう出現しゅつげん
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Bt toxin生産せいさん作物さくもつ害虫がいちゅう抵抗ていこうせい発達はったつおさえる対策たいさく基本きほんは、上記じょうきのようにこう濃度のうどのBt toxinを生産せいさんする品種ひんしゅもちい、Bt toxin生産せいさん作物さくもつ緩衝かんしょうとして栽培さいばいすることであり、さらに複数ふくすうのBt toxinを生産せいさんする品種ひんしゅもちいることも有効ゆうこうとされている。こう濃度のうどBt toxin生産せいさん作物さくもつにおいては害虫がいちゅう幼虫ようちゅう段階だんかい死亡しぼうさせ、次世代じせだいのこ個体こたい大幅おおはばらせる。しかし、不正ふせい増殖ぞうしょく種子しゅし自家じか採種さいしゅによるBt toxin濃度のうど不十分ふじゅうぶん作物さくもつ栽培さいばい面積めんせきひろがるとBt toxin抵抗ていこうせい害虫がいちゅう出現しゅつげん助長じょちょうすることになり、不正ふせい増殖ぞうしょく種子しゅしくみ作物さくもつ種子しゅし自家じか採種さいしゅ重大じゅうだい問題もんだいとなってくる[28]。そのため、栽培さいばい農家のうかによる正規せいき種子しゅし購入こうにゅう害虫がいちゅう出現しゅつげんのモニタリングは重要じゅうようである。

天敵てんてき誘引ゆういん物質ぶっしつ生産せいさん作物さくもつ

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殺虫さっちゅうせいせんちゅう誘因ゆういんざい合成ごうせい酵素こうそ遺伝子いでんし導入どうにゅうによる害虫がいちゅう防除ぼうじょれい報告ほうこくされた[29]植物しょくぶつしょく昆虫こんちゅうによる食害しょくがいきると、天敵てんてき誘引ゆういんする揮発きはつせい物質ぶっしつ植物しょくぶつ放出ほうしゅつすることがある。そこで、作物さくもつ害虫がいちゅう防除ぼうじょ改良かいりょうするうえで、これらの揮発きはつせい物質ぶっしつ利用りよう提案ていあんされてきた。トウモロコシ重大じゅうだい害虫がいちゅうであるウェスタンコーンルートワーム (D. virgifera virgifera) の食害しょくがいは、おおくのトウモロコシ品種ひんしゅから(E)-βべーた-カリオフィレン ((E)-βべーた-caryophyllene: EβべーたC) を放出ほうしゅつさせる。EβべーたCは殺虫さっちゅうせいせんちゅう (Heterorhabditis megidis) を誘引ゆういんする。そして、殺虫さっちゅうせいせんちゅう食害しょくがいする害虫がいちゅう感染かんせんしてころす。しかし、だい部分ぶぶん北米ほくべいのトウモロコシ品種ひんしゅはEβべーたCの放出ほうしゅつのううしなっており、そのためせんちゅうによる防除ぼうじょをほとんどけられない。それらのトウモロコシ品種ひんしゅのEβべーたC生産せいさんのう回復かいふくさせるために、オレガノ由来ゆらいのEβべーたC合成ごうせい酵素こうそ(E)-βべーた-caryophyllene synthase, EC 4.2.3.57, 反応はんのう遺伝子いでんし導入どうにゅうされたトウモロコシは、恒常こうじょうてきにEβべーたCを放出ほうしゅつできるようになった。その結果けっか、ウェスタンコーンルートワームが発生はっせいしている圃場ほじょうせんちゅう散布さんぷした試験しけんでは、EβべーたC放出ほうしゅつトウモロコシでは有意ゆういたいする被害ひがい減少げんしょうし、形質けいしつ転換てんかん放出ほうしゅつけいのトウモロコシにくらべ60%すくない成虫せいちゅうしか羽化うかできなかった。

たいびょうせい作物さくもつ

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概説がいせつ

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だいいち世代せだいぐみ作物さくもつとしてたいびょうせいゆうするものもつくられている。病害びょうがい抵抗ていこうせい遺伝子いでんし糸状いとじょうきん細胞さいぼうかべ成分せいぶんであるキチン加水かすい分解ぶんかいするキチナーゼ遺伝子いでんし導入どうにゅう多数たすうあるうちのいちれい[30])によるものであるが、そのなかでも植物しょくぶつウイルスたいせいのものがとく成功せいこうしている。そのほか、糸状いとじょうきん細菌さいきんせい植物しょくぶつ病原菌びょうげんきんたいせいあたえるためにディフェンシンなどの抗菌こうきんペプチドなどを作物さくもつ生産せいさんさせるこころみもすすんでいる。

ウイルス抵抗ていこうせい作物さくもつ

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ジャガイモイチゴなどの栄養えいよう繁殖はんしょくせい作物さくもつ果樹かじゅなどの永年えいねんせい作物さくもつにおいて植物しょくぶつウイルスによる被害ひがいおおきく、それらに植物しょくぶつウイルス抵抗ていこうせい付与ふよすることは農業のうぎょうじょう重要じゅうようである。ただし、ウイルス抵抗ていこうせい作物さくもつ特定とくていのウイルスにたいしてのみ抵抗ていこうせいであり、ウイルス一般いっぱんたいして抵抗ていこうせいつわけではない。ウイルス抵抗ていこうせい作物さくもつ特定とくていのウイルスに抵抗ていこうせいであり、その特定とくていのウイルスを媒介ばいかいする害虫がいちゅう防除ぼうじょする必要ひつようがなくなるため、その害虫がいちゅうへの殺虫さっちゅうざい散布さんぷ不要ふようとなる。しかし、野菜やさい果物くだもの外見がいけんあじのわずかな劣化れっかでも商品しょうひん価値かちおおきく影響えいきょうするため、ほかの病害虫びょうがいちゅう防除ぼうじょのために農薬のうやく散布さんぷ必要ひつようである。そのため、その特定とくていのウイルス以外いがい被害ひがいおおきい地域ちいきでは、生産せいさんしゃはウイルス抵抗ていこうせい品種ひんしゅ採用さいようする必要ひつようせいかんじないとかんがえられる[31]

とくにウイルス抵抗ていこうせい作物さくもつ成功せいこうれいとしては、papaya ringspot virus(PRSV, パパイヤ・リングスポット・ウイルス)によってほぼ壊滅かいめつしたハワイパパイヤ栽培さいばい遺伝子いでんしぐみえパパイヤ品種ひんしゅ(Rainbow:レインボー)によって復活ふっかつできた事例じれいげられる。これについては後述こうじゅつする。なお、2011ねん2がつ以降いこう報道ほうどうされた、沖縄おきなわにおけるレインボーとはことなる承認しょうにん遺伝子いでんしぐみえパパイヤが栽培さいばいされていた事例じれいについてもしるす。植物しょくぶつウイルスたいせいあたえる手法しゅほうとしてはさまざまな機構きこうもちいられているが、その手法しゅほうすくなくとも4種類しゅるいげられる。

decoatingの阻害そがい
植物しょくぶつウイルスが植物しょくぶつ細胞さいぼうない侵入しんにゅうしてゲノム複製ふくせいさせたり、ゲノムにコードされているタンパク質たんぱくしつ生産せいさんさせたりするためには外皮がいひタンパク質たんぱくしつ (coat protein) をぐこと(decoating、脱殻ぬけがら)が必要ひつようである。もし、侵入しんにゅうした細胞さいぼうない外皮がいひタンパク質たんぱくしつ大量たいりょう存在そんざいしている場合ばあい、decoating してもウイルスのゲノムがすぐに外皮がいひタンパク質たんぱくしつおおわれて (recoating)、植物しょくぶつウイルスのゲノムはゲノムの複製ふくせいタンパク質たんぱくしつ翻訳ほんやく必要ひつよう酵素こうそリボソーム接触せっしょくできず、ゲノムの複製ふくせい翻訳ほんやく阻害そがいされる。そこで植物しょくぶつ細胞さいぼう植物しょくぶつウイルスの外皮がいひタンパク質たんぱくしつ遺伝子いでんし導入どうにゅうし、細胞さいぼうちゅう外皮がいひタンパク質たんぱくしつ大量たいりょう生産せいさんさせてdecoatingを阻害そがいする手法しゅほうもちいられている。
PTGS (post-transcriptional gene silencing) という機構きこう利用りよう
おおくの植物しょくぶつウイルスのゲノムはRNAであり、その生活せいかつたまきなかほんくさりRNAの形成けいせいしょうじる。そのウイルスのRNAとあい同性どうせい相補そうほせいのあるRNAが発現はつげんされるように改変かいへんされた形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつは、対応たいおうするウイルスにたいして、PTGSと同様どうよう機構きこうにより、dicersiRNA (short interfering RNA) やRISC (RNA-induced silencing complex)などをつうじてウイルスのほんくさりRNAの分解ぶんかいおこなえるようになり、植物しょくぶつウイルスに抵抗ていこうせいになる。これはRNAiいちれいといえる。
植物しょくぶつウイルスのゲノムの複製ふくせい必要ひつようなreplicaseの変異へんいがた遺伝子いでんし導入どうにゅうによるたいせい利用りよう
植物しょくぶつ由来ゆらいのウイルス抵抗ていこうせい遺伝子いでんし (R gene) の導入どうにゅうおよび発現はつげん強化きょうか
レインボー・パパイヤ
[編集へんしゅう]

ハワイのパパイヤ・リングスポット・ウイルス(PRSV)抵抗ていこうせいのパパイヤはレインボー・パパイヤ[32]としてすでにアメリカやカナダや日本にっぽんなどで市販しはんされている。東南とうなんアジアにおいてもPRSVのべつかぶたいせいしめすパパイヤが開発かいはつされている。レインボー・パパイヤにかんしては、「パパイヤリングスポットウイルス抵抗ていこうせいパパイヤ(改変かいへんPRSV CP, uidA, nptII, Carica papaya L.)(55-1, OECD UI: CUH-CP551-8) 申請しんせいしょとう概要がいよう[33]」で公表こうひょうされている。外皮がいひタンパク質たんぱくしつ大量たいりょうにパパイヤちゅう生産せいさんさせることによってPRSV抵抗ていこうせいあらわれることが期待きたいされたが、実際じっさいにはRNAiによってPRSV抵抗ていこうせいあらわれた。あかにくしゅのパパイヤ・サンセット (Sunset) に外皮がいひタンパク質たんぱくしつ遺伝子いでんし導入どうにゅうされ、そのふえ後代こうだい外皮がいひタンパク質たんぱくしつ遺伝子いでんしホモ接合せつごうあかにくしゅのPRSV抵抗ていこうせいのサンアップ (SunUp) が選択せんたくされた。サンアップと形質けいしつ転換てんかんたいでPRSV感受性かんじゅせいにくしゅのカポホ (Kapoho) を交雑こうざつさせたF1品種ひんしゅがレインボーである。レインボー・パパイヤの一種いっしゅ使用しよう日本にっぽんでも2011ねん平成へいせい23ねん)8がつ31にち認可にんかされ、同年どうねん12がつ1にちより市販しはんされた。これは、加工かこうせい遺伝子いでんしぐみ植物しょくぶつたいをそのまま食用しょくようとする日本にっぽんにおけるはじめてのれいとなった。レインボー・パパイヤの果実かじつちゅう種子しゅしからは、メンデルの法則ほうそくもとづきウイルス抵抗ていこうせい感受性かんじゅせいなえが3:1でられる。ただし、レインボー・パパイヤはF1品種ひんしゅであるため、発芽はつがしたなえはF2世代せだいであり、さまざまな形質けいしつ雑多ざった集団しゅうだんになる。

沖縄おきなわにおける承認しょうにんのウイルス抵抗ていこうせい遺伝子いでんしぐみえパパイヤ栽培さいばい市販しはん事例じれい
[編集へんしゅう]

レインボーとはことなる承認しょうにんのウイルス抵抗ていこうせい遺伝子いでんしぐみえパパイヤが沖縄おきなわにおいて市販しはんおよび栽培さいばいされていたことが、2011ねん2がつと4がつ公表こうひょうされた[34][35][36]。それらによると、市販しはん栽培さいばいされていたものは台湾たいわん開発かいはつされたPRSV抵抗ていこうせい品種ひんしゅであり、たいのう5ごうとして販売はんばいされていた。たいのう5ごう本来ほんらい遺伝子いでんしぐみたいではない通常つうじょう品種ひんしゅとして、交雑こうざつ育種いくしゅにより1987ねん開発かいはつされたものである。それにレインボーとおな機構きこうによるウイルス抵抗ていこうせい台湾たいわん導入どうにゅうされたものが、台湾たいわん種苗しゅびょう会社かいしゃから輸入ゆにゅうされた種子しゅし混入こんにゅうしていたことが承認しょうにんくみえパパイヤの栽培さいばい市販しはん事例じれい原因げんいんかんがえられている。このくみ品種ひんしゅカルタヘナほうもとづく承認しょうにんけていないため、カルタヘナほう食品しょくひん衛生えいせいほうもとづいて市販しはん栽培さいばい規制きせいされ、販売はんばいされていた種苗しゅびょう果実かじつ回収かいしゅう破棄はきされ、たいのう5ごううたがいのある植物しょくぶつたいりや伐採ばっさいされた。厚生こうせい労働省ろうどうしょうによると、この遺伝子いでんしぐみえパパイヤの摂食せっしょくによる危害きがいにつながるような情報じょうほういまのところ確認かくにんされていない[37]さらに、環境省かんきょうしょう農林水産省のうりんすいさんしょう共同きょうどう見解けんかいではこの承認しょうにん遺伝子いでんしぐみえパパイヤによる生物せいぶつ多様たようせいへの影響えいきょうひくいとされている[38]

ウイルス抵抗ていこうせい品種ひんしゅのほかの病害虫びょうがいちゅう被害ひがい

[編集へんしゅう]

ウイルス抵抗ていこうせい品種ひんしゅはウイルスによる被害ひがいすくなくなるが、害虫がいちゅうによる食害しょくがい害虫がいちゅうによって媒介ばいかいされる細菌さいきんせい病害びょうがいけやすくなるという報告ほうこくがある[39]。これはカボチャの仲間なかまであるスクアッシュ (squash) をウイルスたいせいにするとウイルスがひろがった場合ばあい当然とうぜんのことながらウイルス抵抗ていこうせい品種ひんしゅほう生産せいさんせいたかいが、害虫がいちゅうであるキューカンバー・ビートル (cucumber beetle) が健全けんぜん植物しょくぶつたいであるウイルス抵抗ていこうせい品種ひんしゅこのんで食害しょくがいするため、キューカンバー・ビートルが媒介ばいかいするErwiniaぞく細菌さいきんなどの病害びょうがいすというものである。

ディフェンシン生産せいさんイネ

[編集へんしゅう]

ディフェンシンとは、やく80アミノ酸あみのさんざんもとから構成こうせいされシステインざんもと構造こうぞう特徴とくちょうとする抗菌こうきんペプチドの総称そうしょうである。さまざまなアブラナ植物しょくぶつたねがディフェンシンをふくむが、これはカイコカブトムシウサギヒトなどがもつディフェンシンとは構造こうぞう活性かっせい範囲はんいおよび活性かっせい強度きょうどことなる。

イネにはアブラナ植物しょくぶつのディフェンシンと配列はいれつ類似るいじせいたかいものは存在そんざいしない。そこで、アブラナ植物しょくぶつのさまざまなディフェンシンをイネ生産せいさんさせて、イネの重大じゅうだい病害びょうがいであるいもちびょう白葉はくよう枯病抵抗ていこうせい付与ふよする研究けんきゅうすすめられてきた。ディフェンシン遺伝子いでんしはイネの緑葉りょくよう組織そしき特異とくいてき発現はつげんをするプロモーターと連結れんけつされて、イネ(ははほん品種ひんしゅ:どんとこい[40])に導入どうにゅうされている[41]同様どうよう研究けんきゅう多数たすうり、ワサビ由来ゆらいのディフェンシンを生産せいさんするイネも病害びょうがい抵抗ていこうせいしめしている[42][43]

ここで、アブラナ植物しょくぶつのディフェンシンのくみえによりイネは大量たいりょうのディフェンシンを恒常こうじょうてき生産せいさんすることになる。これにより抗生こうせい物質ぶっしつ農薬のうやく乱用らんようによるたいせい病原菌びょうげんきん出現しゅつげん同様どうようにディフェンシンたいせい細菌さいきんやウイルスの出現しゅつげん必至ひっしかんがえられている。さらに、くみえディフェンシン遺伝子いでんし発現はつげんさせるプロモーターがたいせい遺伝子いでんし水平すいへい移動いどう可能かのうにして、たねえたディフェンシンたいせい拡散かくさんひろこることを遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいつよ懸念けねんしている[44][45]。しかし、アブラナのディフェンシンとヒトのディフェンシンとは構造こうぞうおおきくことなる。ディフェンシンをもともと生産せいさんするアブラナ作物さくもつ大量たいりょう栽培さいばいされてきたが、いままでそのような報告ほうこくはない。また、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいはそのような懸念けねんしめしておきながら一方いっぽうで、アブラナ作物さくもつ大量たいりょう栽培さいばいにも、アブラナのディフェンシンよりもヒトのディフェンシンとはるかに類似るいじしたディフェンシンを生産せいさんする家畜かちく飼育しいくにも、ディフェンシンたいせいきん出現しゅつげん阻止そしすることを目的もくてきとして反対はんたいしてはいない。

これにたいする反論はんろんとして、「自然しぜんかいではディフェンシンは必要ひつようなときにのみ生産せいさんされるためたいせい問題もんだいがないのであり、ちょうどペニシリンが医薬品いやくひんとして生産せいさんされるまえはペニシリン生産せいさん能力のうりょくつアオカビが存在そんざいしたにもかかわらず、ペニシリンたいせいきんがいない状況じょうきょうおなじと解釈かいしゃくすべきである」というものがある。『自然しぜんかいではディフェンシンは必要ひつようなときにのみ生産せいさんされるためたいせい問題もんだいがない』という仮説かせつされているが、イネに導入どうにゅうされたカラシナ由来ゆらいのディフェンシンは細菌さいきん感染かんせんがなくても種子しゅし表層ひょうそう生産せいさんされるものであり[46]、『必要ひつようなとき』とはどのようなときをさすのかも、この仮説かせつ根拠こんきょ自体じたいあきらかにされていない。なお、ペニシリンたいせいきんれいにした反論はんろんは、比喩ひゆとして適切てきせつではない。まず、抗生こうせい物質ぶっしつ生産せいさんきん自体じたいたいせいきんである。ペニシリンは細菌さいきん細胞さいぼうかべ成分せいぶんであるペプチドグリカンなま合成ごうせい阻害そがいすることによって抗菌こうきんせい発揮はっきする。しかし、きんであるあおカビには、もともとペプチドグリカンがないため、自身じしんには作用さようしない。一方いっぽう抗生こうせい物質ぶっしつ生産せいさんきん自身じしんにも本来ほんらい作用さようするようなカナマイシンやエリスロマイシンなどを生産せいさんするきんは、自身じしん生産せいさんする抗生こうせい物質ぶっしつ自身じしん作用さようしないようにするために、抗生こうせい物質ぶっしつ抗生こうせい物質ぶっしつ作用さようてん修飾しゅうしょくするたいせい遺伝子いでんしをもともと保持ほじしている。ペニシリンには、生産せいさんきんであるあおカビ以外いがいにも多種たしゅ多様たようのペニシリンたいせいきん自然しぜんかい当初とうしょより存在そんざいしていた。ペプチドグリカンたないきんるいマイコプラズマはもともとペニシリンたいせいきんであり、ペプチドグリカンを細菌さいきんなかでもシュードモナスぞく細菌さいきんのようにペニシリン感受性かんじゅせいひくいものも多数たすう存在そんざいし、ペニシリンのβべーた-ラクタムたまきひらけきれする酵素こうそβべーた-ラクタマーゼ[注釈ちゅうしゃく 23]などによりペニシリンたいせいとなっている細菌さいきん存在そんざいする。ペニシリンが医薬品いやくひんとして生産せいさんされる以前いぜんに、これらの微生物びせいぶつ存在そんざいしていたことを否定ひていできない以上いじょう、「たいせいきんがいない状況じょうきょう」というものを想定そうていできない。

なお、カイコのディフェンシンであるcecropin B [47]をイネで生産せいさんさせて白葉はくよう枯病に抵抗ていこうせいあたえた研究けんきゅう[48]やいろいろな抗菌こうきんペプチドの配列はいれつから設計せっけいされた人工じんこう抗菌こうきんペプチドMsrA1をジャガイモ生産せいさんさせて病害びょうがい抵抗ていこうせいにした研究けんきゅう[49]などもある。

果実かじつ収穫しゅうかく適期てっき拡大かくだい保存ほぞんせい向上こうじょう

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果実かじつとうなかには収穫しゅうかく適期てっき非常ひじょうみじかいものがある。とくに、生食なましょくようトマトなどではいろづきはじめたらすぐに収穫しゅうかくして流通りゅうつうせる必要ひつようせいたかい。そうしないと店頭てんとうならぶころにはじゅく状態じょうたいになったり、ケチャップピューレなどへの工業こうぎょうてき加工かこう過程かていはいまえ傷口きずぐちから腐敗ふはいしたりして商品しょうひん価値かち低下ていかすることがおおくなるためである。そこで、じゅくしても果皮かひやわらかくならないように細胞さいぼうあいだ充填じゅうてんしているペクチン (pectin) の分解ぶんかい抑制よくせいされた遺伝子いでんしぐみえトマトが開発かいはつされた。また、ペクチンの分解ぶんかい果実かじつじゅくするときに誘導ゆうどうされるため、ペクチンの分解ぶんかい抑制よくせいではなくじゅくおくらせることでやわらかくならないようにされたトマトやメロン開発かいはつされた。それらの手法しゅほうは3種類しゅるいられている。

ペクチンを分解ぶんかいする酵素こうそポリガラクチュロナーゼ[注釈ちゅうしゃく 24]生産せいさん抑制よくせい
ポリガラクチュロナーゼの生産せいさんをアンチセンスRNAほうなどのRNAiの技法ぎほう直接ちょくせつ抑制よくせいしたFlavr Savr[50]などのトマトが開発かいはつされた[51]。その結果けっかじゅくしても果皮かひなどはあまりやわらかくならない。
果実かじつ成熟せいじゅく制御せいぎょ(エチレンせい合成ごうせい酵素こうそ抑制よくせい
果実かじつじゅくする過程かていでポリガラクチュロナーゼの発現はつげん誘導ゆうどうされるため、果実かじつじゅくする過程かてい制御せいぎょする方向ほうこう研究けんきゅうすすんでいる。果実かじつじゅくする過程かていには、植物しょくぶつホルモン一種いっしゅであるエチレン関与かんよしている。そこで、エチレンのなま合成ごうせい抑制よくせいする研究けんきゅうすすんだ。エチレンのなま合成ごうせいけいは、つぎ過程かていからなる。
そこで、この過程かてい関与かんよするACC合成ごうせい酵素こうそやACC酸化さんか酵素こうそをアンチセンスRNAほうやコサプレッションほうなどのRNAiの技法ぎほう抑制よくせいすれば、エチレンのなま合成ごうせい抑制よくせいされるわけである。ACC合成ごうせい酵素こうそ抑制よくせいしたトマト 1345-4[54]がDNA Plant Technology Corporationしゃにより開発かいはつされた。
果実かじつ成熟せいじゅく制御せいぎょ(エチレンせい合成ごうせいちゅうあいだたい分解ぶんかい
  • エチレンせい合成ごうせいちゅうあいだたいであるACCを分解ぶんかいすることでエチレン生産せいさん抑制よくせいする。土壌どじょう細菌さいきんPseudomonas chlororaphis由来ゆらいのACCデアミナーゼ[注釈ちゅうしゃく 27]遺伝子いでんし導入どうにゅうによって、ACCを2-オキソ酪酸 (2-oxobutyrate[55]) とアンモニア加水かすい分解ぶんかいすることによってエチレンせい合成ごうせい抑制よくせいされたトマトも開発かいはつされている。ACCデアミナーゼ遺伝子いでんし導入どうにゅうされたトマトは室温しつおん収穫しゅうかく121にち放置ほうちしても瑞々みずみずしい状態じょうたいであった[56]モンサントしゃのトマト CGN-89322-3 (8338)[57]はACCデアミナーゼ遺伝子いでんし導入どうにゅうされたものである。
  • エチレンせい合成ごうせい出発しゅっぱつ物質ぶっしつであるSAMを加水かすい分解ぶんかいして減少げんしょうさせ、結果けっかとしてエチレン合成ごうせいりょうらす。SAM加水かすい分解ぶんかい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 28]遺伝子いでんし導入どうにゅうによって達成たっせいされた。Agritope Inc.の開発かいはつしたトマト品種ひんしゅ35 1 N[58]やメロン品種ひんしゅAとB[59]れいがある。

エチレンせい合成ごうせい抑制よくせいされたトマト果実かじつ出荷しゅっかまえ倉庫そうこでエチレン処理しょりをすると正常せいじょうじゅくしはじめる。エチレンによる果実かじつついじゅくおおくの果実かじつれられている。たとえばバナナマンゴーなどの熱帯ねったい輸入ゆにゅう果実かじつは、害虫がいちゅう移入いにゅう防止ぼうしのため未熟みじゅく果実かじつ輸入ゆにゅうしエチレンによってついじゅくされている[注釈ちゅうしゃく 29]。エチレン合成ごうせい抑制よくせいによる収穫しゅうかく適期てっき拡大かくだい手法しゅほうではそのための設備せつび利用りようできる。

マイコトキシン分解ぶんかい酵素こうそ生産せいさん作物さくもつ

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植物しょくぶつたい傷口きずぐちより進入しんにゅうした糸状いとじょうきん生産せいさんするマイコトキシン食料しょくりょう飼料しりょう安全あんぜんせいおびやかすだい問題もんだいである。Bt toxin生産せいさん作物さくもつでは害虫がいちゅうによる食害しょくがいるために、マイコトキシン含量がっている。それよりも生産せいさんされたマイコトキシンを分解ぶんかいする酵素こうそ作物さくもつ生産せいさんさせて、積極せっきょくてきにマイコトキシン含量を低減ていげんさせるこころみがある。

そのひとつが、マイコトキシンであるフモニシン分解ぶんかい酵素こうそをトウモロコシに生産せいさんさせてフモニシン含量を低減ていげんさせようというものである。黒色こくしょく酵母こうぼExophiala spiniferaのフモニシン分解ぶんかいけい酵素こうそはすでに解析かいせきされている[60]。そこで、これらの酵素こうそをトウモロコシで生産せいさんさせようというものである[61]

つぎに、ゼアラレノン[62](Zearalenone) 分解ぶんかい酵素こうそ遺伝子いでんし導入どうにゅうである。糸状いとじょうきんClonostachys roseaよりラクトンかんかいきれ酵素こうそ遺伝子いでんしzhd101をトウモロコシに導入どうにゅうしたところ、ゼアラレノンをほとんど分解ぶんかいしてしまったという結果けっかられた[63]

ゆうせいみのり形質けいしつ作物さくもつ

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概説がいせつ

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収量しゅうりょう増加ぞうか病虫害びょうちゅうがい抵抗ていこうなどの雑種ざっしゅつよぜい目的もくてきおおくのF1(first filial generation:雑種ざっしゅだいいちだい作物さくもつつくられている。自家じか受粉じゅふん可能かのう作物さくもつ固定こていされた品種ひんしゅではおおくの遺伝子いでんしにおいてホモ接合せつごう状態じょうたいになっているため、ことなる品種ひんしゅをかけわせた雑種ざっしゅだいいち世代せだいであるF1状態じょうたいになればおおくの遺伝子いでんしにおいてヘテロ接合せつごう状態じょうたいになって雑種ざっしゅきょうぜい効果こうかによる収量しゅうりょう増加ぞうか品質ひんしつ向上こうじょう期待きたいされる。F1種子しゅしることはトウモロコシのよう雄花おばな雌花めばなわかれている作物さくもつでは比較的ひかくてき容易よういではあるが、人手ひとでがかかる。さらに、自家じか受粉じゅふんする作物さくもつ他家たけ受粉じゅふんさせて安定あんていてき均一きんいつなF1種子しゅしることは困難こんなんである。そのため、花粉かふん形成けいせいしない、花粉かふんみのりせいがないというゆうせいみのる系統けいとうがあればF1種子しゅしやすくなる。現在げんざいでは、さまざまな作物さくもつゆうせいみのり系統けいとうもちいてF1品種ひんしゅ開発かいはつされているが、それでも利用りようできる作物さくもつ限定げんていされている。そこで、遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつゆうせいみのり系統けいとう開発かいはつ応用おうようされている。

組織そしき特異とくいてき除草じょそうざい感受性かんじゅせい利用りようしたゆうせいみのる

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花粉かふん成熟せいじゅく関与かんよしているタペート細胞さいぼうでは発現はつげんしないようなプロモーターを利用りようした除草じょそうざいたいせい作物さくもつもちいたゆうせいみのり付与ふよである。公開こうかいされている「除草じょそうざいグリホサート誘発ゆうはつせいゆうせいみのるおよ除草じょそうざいグリホサートたいせいトウモロコシ(改変かいへん cp4 epsps, Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)(MON87427, OECD UI: MON-87427-7) 申請しんせいしょとう概要がいよう[64]」をれいとする。

除草じょそうざいグリホサート(ラウンドアップたいせい遺伝子いでんしラウンドアップこう参照さんしょう)をタペート細胞さいぼうおよびしょう胞子ほうしにおいては発現はつげんしないかあるいは発現はつげんしても微量びりょうであるが、栄養えいよう組織そしきおよびめすせい生殖せいしょく組織そしきにおいてはグリホサートたいせい付与ふよするのに十分じゅうぶんりょう発現はつげんできるようなプロモーターに連結れんけつする。それが導入どうにゅうされたトウモロコシをグリホサート存在そんざい自家じか受粉じゅふんさせ、導入どうにゅう遺伝子いでんしをホモ接合せつごう品種ひんしゅ(BB)を種子しゅしおやとして育種いくしゅする。一方いっぽう種子しゅしおやとはべつ系統けいとう品種ひんしゅで、ぜん組織そしきたいせいしめすようなべつのプロモーターで制御せいぎょされているグリホサートたいせい遺伝子いでんしをホモ接合せつごう品種ひんしゅ(AA)を花粉かふんおやとする。種子しゅしおや花粉かふんおや隣接りんせつして栽培さいばいし、雄花おばな分化ぶんかする8ようごろおよび10ようごろにグリホサートを散布さんぷして、種子しゅしおや(BB)の花粉かふんみのりにする。タペート細胞さいぼうでもたいせいである花粉かふんおや(AA)の花粉かふんみのりせいがあるため、種子しゅしおや雌花めばな受粉じゅふんする。種子しゅしおやのみから種子しゅし採種さいしゅすればそれはヘテロ接合せつごう(AB)のF1種子しゅしとなる。F1植物しょくぶつたいはAのゲノムもつため、植物しょくぶつぜん組織そしきはグリホサートたいせいしめす。

特異とくいてき発現はつげんをするDNAメチル酵素こうそ利用りようしたゆうせいみのる

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プロモーターエンハンサーのDNAがメチルされることによりトランス転写てんしゃ因子いんしがそれらを認識にんしきできなくなり、その結果けっか細胞さいぼう分化ぶんか生育せいいく影響えいきょうあた死滅しめつさせることがある。そこで大腸菌だいちょうきん遺伝子いでんしdamにコードされているDNAちゅうアデニンざんもとをメチルする酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 30]を、トウモロコシの特異とくいてき発現はつげんする遺伝子いでんし512delのプロモーターをもちいてトウモロコシちゅう生産せいさんさせると葯や花粉かふん形成けいせいできずゆうせいみのりとなった。Pioneer Hi-Bred International Inc.の開発かいはつしたトウモロコシ 676、678、680のれいがある[65]

BARNASEをもちいたゆうせいみのり形質けいしつ付与ふよとBARSTARをもちいたゆうせいみのりからの回復かいふく

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遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつにより花粉かふん成熟せいじゅくできなくなるような人為じんいてきゆうせいみのり系統けいとうゆうせいみのりからのみのりせい回復かいふく系統けいとうつくられた。その実現じつげんにはつぎよっつのものが重要じゅうよう役割やくわりたす。

  • 存在そんざいする、花粉かふん成熟せいじゅく関与かんよしているタペート細胞さいぼうにおいて特異とくいてき発現はつげんしているタバコ (Nicotiana tabacum) 由来ゆらい遺伝子いでんしTA29(配列はいれつ)のプロモーター
  • グラム陽性ようせい細菌さいきんBacillus amyloliquefaciens由来ゆらいのRNase(リボヌクレアーゼ)であるBARNASEの遺伝子いでんしbarnase(配列はいれつ
  • BARNASEと特異とくいてき結合けつごうして阻害そがいする、おなじくB. amyloliquefaciens由来ゆらいタンパク質たんぱくしつであるBARSTARの遺伝子いでんしbarstar配列はいれつ
  • 除草じょそうざいたいせい遺伝子いでんし

TA29のプロモーターとbarnaseのキメラ遺伝子いでんし配列はいれつ)によって、のタペート細胞さいぼう特異とくいてきにBARNASEが生産せいさんされると細胞さいぼうないのRNAが分解ぶんかいされてタペート細胞さいぼう死滅しめつし、花粉かふん成熟せいじゅくできなくなり、その結果けっか、その植物しょくぶつゆうせいみのり系統けいとうとなる。

種子しゅしおやとなるゆうせいみのり系統けいとう近傍きんぼう花粉かふんおやとなる品種ひんしゅ栽培さいばいすれば、ゆうせいみのり系統けいとう結実けつじつする種子しゅし両者りょうしゃのF1であることが期待きたいされる。しかし、その種子しゅしからられたF1植物しょくぶつたいゆうせいみのるであるかくりつたかく、ダイズ、トウモロコシ、イネ、菜種なたねなどの収穫しゅうかくする作物さくもつにおいては自家じか受粉じゅふんできることがのぞまれるため、F1植物しょくぶつたいにおいてはゆうせいみのり形質けいしつ出現しゅつげんしないほうがよい。そこで、花粉かふんおやゆうせいみのりからのみのりせい回復かいふく系統けいとうである必要ひつようがある。そのためには、花粉かふんおやとしてもちいる植物しょくぶつが、TA29のプロモーターとbarstarのキメラ遺伝子いでんし配列はいれつ)によって葯のタペート細胞さいぼう特異とくいてきにBARSTARが生産せいさんされるように導入どうにゅうされた遺伝子いでんしをホモ接合せつごう保有ほゆうしていればよい。

これらのBARNASEとBARSTARを利用りようしたけい説明せつめいする。F1しん品種ひんしゅとしたいそれぞれ純系じゅんけいのAとBの品種ひんしゅ用意よういする。Aにはbarnase除草じょそうざいたいせい遺伝子いでんし双方そうほうふくむカセットを導入どうにゅうする。導入どうにゅうされてできたゆうせいみのり品種ひんしゅをAsとする。Asに導入どうにゅうされたカセットが1コピーであるならAsの遺伝子いでんしがたは (barnase / -) となる。Asはゆうせいみのるであり自家じか受粉じゅふんできないためゆうせいみのり維持いじ系統けいとうとしておや品種ひんしゅAをもちい、その花粉かふん受粉じゅふんさせて結実けつじつさせ、種子しゅし播種はしゅする。種子しゅし遺伝子いでんしがたはAと同一どういつのものとAsと同一どういつの (barnase / -) とが1:1で分離ぶんりしてくる。Asと同一どういつの (barnase / -) のものだけをbarnaseおな導入どうにゅう遺伝子いでんしカセット存在そんざいしている除草じょそうざいたいせい遺伝子いでんしによって除草じょそうざいたいせい選択せんたくできる。そのため、Asを大量たいりょう増殖ぞうしょくできる。Bにbarstar除草じょそうざいたいせい遺伝子いでんし双方そうほうふくむカセットを導入どうにゅうする。できた品種ひんしゅBrは自家じか受粉じゅふん可能かのうであるため、除草じょそうざいたいせい後代こうだいをとってそのなかからホモ接合せつごうとなった遺伝子いでんしがた (barstar / barstar) のかぶBrrを選択せんたくして増殖ぞうしょくする。Brrをみのりせい回復かいふく系統けいとうとしてもちいる。Asの近傍きんぼうにBrrをえてAsに結実けつじつしたF1種子しゅしのみを採種さいしゅする。F1種子しゅし遺伝子いでんしがたbarnasebarstarかんして (barnase / -, barstar / -) と (- / -, barstar / -) が1:1で分離ぶんりし、それぞれの種子しゅしからそだったF1植物しょくぶつたい自家じか受粉じゅふん可能かのうとなる。

この手法しゅほう適用てきようれい多数たすうあるが、そのいちれいとしてバイエルクロップサイエンスしゃカノーラについてげると「除草じょそうざいグルホシネート耐性たいせいおよゆうせいみのるおよみのりせい回復かいふくせいセイヨウナタネ(改変かいへんbar, barnase, barstar, Brassica napus L.)(MS8RF3, OECD UI: ACS-BNØØ5-8×ACS-BNØØ3-6) の生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょう評価ひょうかしょ概要がいよう[66]」で公表こうひょうされている。

なお、F1品種ひんしゅ結実けつじつした種子しゅし(F2世代せだい)は発芽はつが可能かのう栽培さいばいできるが、遺伝いでんてき均一きんいつ集団しゅうだんであるため、次回じかい栽培さいばいにはあらたに種子しゅし購入こうにゅうする必要ひつようがある。これは、F1品種ひんしゅ栽培さいばいする場合ばあいくみえのF1品種ひんしゅでもまいさくごとにF1品種ひんしゅ種子しゅし購入こうにゅうしなくてはならないのとおな理由りゆうである。

たい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼ生産せいさんトウモロコシ

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しゅとしてトウモロコシを原料げんりょうとしたエタノール生産せいさん効率こうりつてきおこなうために開発かいはつされたものである。従来じゅうらい、トウモロコシこくつぶ乾燥かんそう粉末ふんまつからエタノールを生産せいさんする場合ばあい加水かすい加熱かねつするとともに微生物びせいぶつ由来ゆらいたい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼグルコアミラーゼ添加てんかして澱粉でんぷん溶化と糖化とうかしてから、酵母こうぼエタノール発酵はっこうさせている。微生物びせいぶつ由来ゆらいαあるふぁ-アミラーゼを添加てんかするわりに、トウモロコシこくつぶちゅうたい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼを生産せいさん貯蔵ちょぞうさせて、作業さぎょう工程こうてい簡略かんりゃくていコストねらったものである。たとえば、公開こうかいさせているシンジェンタシード株式会社かぶしきがいしゃの「たい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼさんせいならびにチョウおよびコウチュウ害虫がいちゅう抵抗ていこうせいならびに除草じょそうざいグルホシネートおよびグリホサートたいせいトウモロコシ (たい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼさんせいならびにチョウおよびコウチュウ害虫がいちゅう抵抗ていこうせいならびに除草じょそうざいグルホシネートおよびグリホサートたいせいトウモロコシ(改変かいへんamy797E, 改変かいへんcry1Ab, cry34Ab1, cry35Ab1, 改変かいへんcry3Aa2, cry1F, pat, mEPSPS, Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)(3272×Bt11×B.t. Cry34/35Ab1 Event DAS-59122-7×MIR604×B.t. Cry1F maize line 1507×GA21, OECD UI:SYN-E3272-5×SYN-BTØ11-1×DAS-59122-7×SYN-IR6Ø4-5×DAS-Ø15Ø7-1×MON-ØØØ21-9) ならびに当該とうがいトウモロコシの分離ぶんり系統けいとう包含ほうがんされる組合くみあわせ(すでだい一種いっしゅ使用しよう規程きてい承認しょうにんけたものをのぞく。)の申請しんせいしょとう概要がいよう[67]」によると、Thermococcalesこうねつ細菌さいきん由来ゆらいαあるふぁ-アミラーゼ遺伝子いでんし改変かいへんした改変かいへんamy797E遺伝子いでんしをトウモロコシに導入どうにゅうして、たい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼをこくつぶさんさせている。トウモロコシこくつぶちゅう生産せいさんされるαあるふぁ-アミラーゼとしてたい熱性ねっせいのものがえらばれた理由りゆうは、デンプンの溶化と糖化とうか促進そくしん雑菌ざっきん汚染おせん減少げんしょうのためにトウモロコシこくつぶ粉末ふんまつ加水かすいしたものを加熱かねつするため、その温度おんどしつかつしてはならないからである。また、トウモロコシこくつぶちゅう生産せいさんされたαあるふぁ-アミラーゼが予期よきせぬ影響えいきょうおよぼさないようにするため、成熟せいじゅくちゅう保存ほぞんちゅうこくつぶちゅうでデンプンを分解ぶんかいしないようにする必要ひつようがある。そのためには、細胞さいぼうないαあるふぁ-アミラーゼとデンプンを隔離かくりすればよい。そこで、改変かいへんAMY797E αあるふぁ-アミラーゼのアミノ末端まったんには、しょう胞体うち輸送ゆそうするためのシグナルペプチド付加ふかされた。さらに、カルボキシルまつはしには、しょう胞体に局在きょくざいさせるためにしょう胞体残留ざんりゅうシグナル配列はいれつ(KDEL)が付加ふかされた。これらの付加ふか配列はいれつにより、生産せいさんされたたい熱性ねっせいαあるふぁ-アミラーゼは胚乳はいにゅう細胞さいぼうしょう胞体ちゅう蓄積ちくせきされる。一方いっぽうαあるふぁ-アミラーゼの基質きしつであるデンプンはこくつぶちゅうプラスチドいち形態けいたいであるアミロプラストなか澱粉でんぷんつぶとして存在そんざいしている。つまり、改変かいへんAMY797E αあるふぁ-アミラーゼと基質きしつとなるデンプンは、細胞さいぼうないことなる細胞さいぼうないしょう器官きかんにそれぞれ存在そんざいしているため、細胞さいぼう破壊はかいされないかぎりは改変かいへんAMY797E αあるふぁ-アミラーゼによるデンプン分解ぶんかいしょうじないとかんがえられる。

ストレスたいせい作物さくもつ

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概説がいせつ

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植物しょくぶつ生育せいいくしていくうえでさまさまざまな環境かんきょうストレスがある。たとえば、低温ていおんストレス、凍結とうけつストレス、高温こうおんストレス、乾燥かんそうストレス、浸透しんとうあつストレスしおストレス)、つよこうストレス、冠水かんすいストレスなどが代表だいひょうてきである。これらのストレスにつよ作物さくもつ開発かいはつできれば利用りよう耕地こうちとして利用りようできるようになるため、さまざまな研究けんきゅうすすめられている。たとえば、低温ていおんストレスの感受性かんじゅせい抵抗ていこうせいかんしては、プラスチドのチラコイドまくのホスファチジルグリセロール (phosphatidyl glycerol) の脂肪酸しぼうさんざんもと組成そせい関与かんよしているため、ホスファチジルグリセロールのなま合成ごうせいけいにおいてまれる脂肪酸しぼうさんざんもと基質きしつ特異とくいせいかかわる酵素こうそ acyl-(acyl-carrier protein): glycerol-3-phosphate acyltransferase (GPAT) を改変かいへんすることによって低温ていおんたいせい付与ふよする研究けんきゅうなどがある[68][69]浸透しんとうあつストレス(しおストレス)にかんしては、ナトリウムイオンの細胞さいぼうからの排出はいしゅつ促進そくしんするためにNa+/H+ アンチポーターなどの利用りよう研究けんきゅうすすんでいる。そのほか、これらのストレスに共通きょうつうしょうじる障害しょうがい軽減けいげんするために、グリシンベタインプロリントレハロースなどの適合てきごう溶質ようしつ (compatible solute) の合成ごうせい遺伝子いでんし蓄積ちくせきさせるための遺伝子いでんし導入どうにゅう、ストレス応答おうとうせい遺伝子いでんし制御せいぎょする DREB (Dehydration-Responsive Element Binding factor) などの転写てんしゃ因子いんし発現はつげんねつショックタンパクしつなどのストレス関連かんれんタンパク質たんぱくしつ、ストレスによってしょうじる活性かっせい酸素さんそしゅ消去しょうきょするアスコルビンさんペルオキシダーゼスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの遺伝子いでんし利用りようする研究けんきゅうすすんでいる。そのほか、タンパク質たんぱくしつユビキチンかかわるE3 ユビキチン・リガーゼ (E3 ubiquitin ligase) であるOsSDIR1を過剰かじょう生産せいさんさせることにより、イネを乾燥かんそうたいせいにしたれい存在そんざいする[70]

また、微量びりょう成分せいぶん欠乏けつぼう過剰かじょう植物しょくぶつにとってはストレスとなる。たとえば、てつ植物しょくぶつ微量びりょう栄養素えいようそであるが、比較的ひかくてき要求ようきゅうせいたかく、不足ふそくすると生育せいいく遅滞ちたいクロロシスなどがしょうじる。そこで、土壌どじょうちゅう不溶化ふようかしているてつ溶化する能力のうりょく植物しょくぶつ付与ふよしたり、てつふくタンパク質たんぱくしつ機能きのうてき代替だいたいできるタンパク質たんぱくしつ生産せいさんさせたりして、てつ欠乏けつぼう緩和かんわする育種いくしゅおこなわれている。また、その微量びりょう成分せいぶんたいしても研究けんきゅうすすめられている。

RNAシャペロンを利用りようした乾燥かんそうたいせいトウモロコシ

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モンサントしゃ乾燥かんそうたいせいトウモロコシ MON87460にかんしては、「乾燥かんそうたいせいトウモロコシ(改変かいへんcspB, Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)(MON87460, OECD UI: MON-8746Ø-4) 申請しんせいしょとう概要がいよう[71]」によって公表こうひょうされている。トウモロコシの後期こうき栄養えいよう生長せいちょうから初期しょき生殖せいしょく生長せいちょうにおける乾燥かんそうストレス条件下じょうけんかにおいて収量しゅうりょう減少げんしょう抑制よくせいするために、改変かいへん低温ていおんショックタンパクしつB (cold shock protein B) 遺伝子いでんし改変かいへんcspB遺伝子いでんし[72])を導入どうにゅうされたものである。改変かいへんcspB遺伝子いでんし供与きょうよたいは、納豆なっとうきんもその一部いちぶとしてふくまれる枯草かれくさきんBacillus subtilisである。CspBはRNAシャペロンとして機能きのうして、RNAの構造こうぞう解消かいしょうすることがられている。

グリシンベタイン蓄積ちくせきによるストレスたいせい

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グリシンベタインは、テンサイホウレンソウなどのアカザ植物しょくぶつコムギなど低温ていおんたいせい植物しょくぶつおおふくまれる適合てきごう溶質ようしつであるが、イネトマトアラビドプシス蓄積ちくせきしない。多量たりょうふくまれても細胞さいぼう生化学せいかがく反応はんのう細胞さいぼうないしょう器官きかんには悪影響あくえいきょうおよぼさずに浸透しんとうあつ調整ちょうせい活性かっせい酸素さんそからまくタンパク質たんぱくしつ保護ほごおこなうことがられている。そこで、グリシンベタインをなま合成ごうせいしない植物しょくぶつにグリシンベタインを合成ごうせいさせてさまざまなストレスたいせい強化きょうかするこころみがある。

グリシンベタインはコリン[注釈ちゅうしゃく 31]ベタインアルデヒド (betaine aldehyde[73]) を酸化さんかされて合成ごうせいされる。この反応はんのうおこな合成ごうせいけいにはいくつかの種類しゅるいがあることがられている。植物しょくぶつではプラスチド合成ごうせいされる。コリンからベタインアルデヒドへ酸化さんかする酵素こうそ、コリンいち酸素さんそ添加てんか酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 32]フェレドキシン要求ようきゅうせい酵素こうそである。つぎにベタインアルデヒドからグリシンベタインへ酸化さんかする酵素こうそ、ベタインアルデヒド脱水だっすいもと酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 33]によってグリシンベタインへと酸化さんかされる。一方いっぽう細菌さいきんArthrobacter globiformisでは分子ぶんしじょう酸素さんそのみを要求ようきゅうするいち種類しゅるい酵素こうそ、コリン酸化さんか酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 34]によって合成ごうせいされている。A. globiformisのコリン酸化さんか酵素こうそ遺伝子いでんしcodAは、導入どうにゅうする遺伝子いでんしが1つでむこととコードしている酵素こうそがコリンと分子ぶんしじょう酸素さんそ以外いがいには必要ひつようとしない性質せいしつのため、植物しょくぶつ大腸菌だいちょうきん由来ゆらいのグリシンベタインせい合成ごうせい酵素こうそ遺伝子いでんしよりも植物しょくぶつ導入どうにゅうされているれいおおい。

なお、コリンいち酸素さんそ添加てんか酵素こうそ遺伝子いでんしであるcodA植物しょくぶつ発現はつげんさせてもグリシンベタイン生成せいせいりょうすくないのは、植物しょくぶつちゅうのコリン含量が制限せいげん要因よういんとなっているからである。そこで豊富ほうふ存在そんざいするグリシンからグリシンベタインへ変換へんかんするべつのグリシンベタイン合成ごうせい経路けいろ利用りようするこころみがある。メタン生成せいせい細菌さいきんMethanohalophilus portucalensis FDF1かぶ由来ゆらいのグリシン サルコシン N-メチルもと転移てんい酵素こうそ (glycine sarcosine N-methyltransferase: GSMT) とサルコシン ジメチルグリシン N-メチルもと転移てんい酵素こうそ (sarcosine dimethylglycine N-methyltransferase: SDMT) を植物しょくぶつ生産せいさんさせた[74]。GSMTはグリシン N-メチルもと転移てんい活性かっせいグリシン N-メチルトランスフェラーゼ)とサルコシン N-メチルもと転移てんい活性かっせいを、SDMTはサルコシン N-メチルもと転移てんい活性かっせいとジメチルグリシン N-メチルもと転移てんい活性かっせいつ。つまり、GSMTとSDMTによりグリシンからサルコシンへ、サルコシンからN, N-ジメチルグリシンへ、N, N-ジメチルグリシンからグリシンベタインへ変換へんかんされる。GSMTとSDMTが生産せいさんされているシロイヌナズナしおたいせいしめした。

グリシンベタインを生産せいさんするようになった形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつは、低温ていおんストレス、高温こうおんストレス、乾燥かんそうストレス、凍結とうけつストレス、しおストレスなどさまざまなストレス抵抗ていこうせいしめすようになる。合成ごうせいされたグリシンベタインのモル濃度のうどだけでは、そのストレス抵抗ていこうせい説明せつめいできない。そこで、グリシンベタインの細胞さいぼうない局在きょくざいによる局所きょくしょてきだか濃度のうどまくタンパク質たんぱくしつたいする保護ほご作用さよう、コリン酸化さんか酵素こうそ反応はんのうともなしょうじる過酸化水素かさんかすいそによる活性かっせい酸素さんそ消去しょうきょけい酵素こうそ常時じょうじ誘導ゆうどうなど、ストレスたいせい機構きこう説明せつめいするさまざまなせつがある。

プロリン蓄積ちくせきによるストレスたいせい

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アミノ酸あみのさんプロリン同様どうよう適合てきごう溶質ようしつである。プロリンを蓄積ちくせきさせる手法しゅほうには2種類しゅるいある。ひとつは、プロリン合成ごうせい促進そくしんする方法ほうほうであり、もうひとつはプロリン分解ぶんかい阻害そがいする方法ほうほうである。プロリンのなま合成ごうせいこう濃度のうどのプロリンによってフィードバック阻害そがいける。そこで、プロリンせい合成ごうせいけいのフィードバック阻害そがいける酵素こうそL-1-ピロリン-5-カルボンさん合成ごうせい酵素こうそ (L-1-Pyrroline-5-carboxylate synthetase) のフィードバック阻害そがい解除かいじょされた変異へんい酵素こうそ遺伝子いでんし導入どうにゅうすると大量たいりょうのプロリンが合成ごうせいされた[75]。もうひとつは、プロリンを分解ぶんかいする酵素こうそ、プロリン脱水だっすいもと酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 35]RNAiなどの手法しゅほう阻害そがいする方法ほうほうである。プロリンを蓄積ちくせきすることにより形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつはさまざまなストレスに抵抗ていこうせいしめすようになった[75]

トレハロース蓄積ちくせきによるストレスたいせい

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トレハロース動植物どうしょくぶつ微生物びせいぶつひろ存在そんざいする、保水ほすいりょくつよとうである。これを植物しょくぶつ蓄積ちくせきさせて乾燥かんそうつよしこうストレスたいせいにした[76]グルコース-6-リンさんUDP-グルコースからトレハロース-6-リンさん[77]合成ごうせいする酵素こうそ、トレハロース-6-リンさん合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 36]とトレハロース-6-リンさんからトレハロースに変換へんかんする酵素こうそ、トレハロース-6-リンさんだつリン酸化さんか酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 37]導入どうにゅうすることによって達成たっせいされた。

活性かっせい酸素さんそ消去しょうきょ酵素こうそによるストレスたいせい

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アスコルビンさんペルオキシダーゼ[注釈ちゅうしゃく 38]グルタチオンペルオキシダーゼ[注釈ちゅうしゃく 39]カタラーゼ[注釈ちゅうしゃく 40]やSOD[注釈ちゅうしゃく 41]などの活性かっせい酸素さんそ除去じょきょする酵素こうそ過剰かじょう生産せいさんすることによって、さまざまなストレスたいせい付与ふよする研究けんきゅうすすんでいる[78][79]

ムギネ酸類さんるい生産せいさんによるアルカリ土壌どじょうてつ欠乏けつぼうたいせいイネ

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アルカリ土壌どじょうちゅうにおいてさんてつ安定あんていであり、植物しょくぶつから放出ほうしゅつされる有機ゆうきさん溶化することは困難こんなんである。そのため、アルカリ土壌どじょうちゅうでは植物しょくぶつてつ欠乏けつぼうこして生育せいいくしにくい。イネ植物しょくぶつムギネさんるいとよばれるキレートのう物質ぶっしつ放出ほうしゅつして、アルカリ土壌どじょうちゅうさんてつ吸収きゅうしゅうしている。オオムギはその能力のうりょくたかいため、アルカリ土壌どじょうちゅうでもよく生育せいいくできるが、イネやトウモロコシの能力のうりょくひくく、アルカリ土壌どじょうちゅうでの生育せいいく困難こんなんである。そこで、アルカリ土壌どじょうちゅうでも生育せいいくできるイネの開発かいはつ目的もくてきとして、イネのムギネさんせい合成ごうせいけい強化きょうかしててつ欠乏けつぼうたいせいイネが開発かいはつされた。

ムギネさんなま合成ごうせいは、まず3分子ぶんしS-アデノシル-L-メチオニン (S-adenosyl-L-methionine[52]: SAM)から1分子ぶんしのニコチアナミン(nicotianamine[80]) を合成ごうせいする酵素こうそであるニコチアナミン合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 42]によってはじまり、ニコチアナミンから3"-デアミノ-3"-オキソニコチアナミン (3"-deamino-3"-oxonicotianamine[81]) に変換へんかんする酵素こうそであるニコチアナミン・アミノもと転移てんい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 43]や、3"-デアミノ-3"-オキソニコチアナミンから2'-デオキシムギネさん (2'-deoxymugineic acid[82]) に還元かんげんする酵素こうそである3"-デアミノ-3"-オキソニコチアナミン還元かんげん酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 44]や、2'-デオキシムギネさんからムギネさん変換へんかんする酵素こうそである2'-デオキシムギネさん-2'-ジオキシゲナーゼ[注釈ちゅうしゃく 45]などの酵素こうそ関与かんよしている。これらの酵素こうそ遺伝子いでんしはオオムギよりたんはなされている。これらの酵素こうそ遺伝子いでんし導入どうにゅうされたイネはアルカリ土壌どじょうにおけるてつ欠乏けつぼうたいせいしめした[83]現在げんざい、さまざまな遺伝子いでんし導入どうにゅうされた形質けいしつ転換てんかんイネが試験しけん栽培さいばいされている[84][85][86]

フラボドキシン生産せいさんによるてつ欠乏けつぼうたいせい植物しょくぶつ

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てつ電子でんし伝達でんたつけい電子でんし伝達でんたつタンパク質たんぱくしつであるフェレドキシン構成こうせい成分せいぶんであり、高等こうとう植物しょくぶつにおいててつ欠乏けつぼうすると結果けっかとしてフェレドキシンが不足ふそくし、電子でんし伝達でんたつけい関与かんよしているプラスチドの光合成こうごうせいけいなどに支障ししょうをきたす。ところが、あるしゅラン藻類そうるいにおいては、フェレドキシンが不足ふそくすると、フェレドキシンと類似るいじした機能きのうち、おおくの反応はんのうにおいてフェレドキシンの代替だいたいとなるフラボドキシン (flavodoxin) が合成ごうせいされる。フラボドキシンはフラビンモノヌクレオチドふく電子でんし伝達でんたつタンパク質たんぱくしつである。そこで、ラン由来ゆらいのフラボドキシン遺伝子いでんしにプラスチドへの移行いこうシグナル部分ぶぶん塩基えんき配列はいれつ融合ゆうごうしたものを高等こうとう植物しょくぶつにおいて発現はつげんさせるとてつ欠乏けつぼうたいせい増強ぞうきょうされることが確認かくにんされている[87][88][89]

くみ作物さくもつ収量しゅうりょう

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Roundup Ready2Yieldのようにはじめから収量しゅうりょうたかめるように育種いくしゅされたものでもなくても、除草じょそうざいたいせいダイズや害虫がいちゅう抵抗ていこうせいトウモロコシの収量しゅうりょう在来ざいらいしゅよりもたかいことが報告ほうこくされている[90]

除草じょそうざいたいせいダイズ
栽培さいばい技術ぎじゅつめん除草じょそうざいたいせいダイズを栽培さいばいするさいうねあいだせまくすることでより高密度こうみつど種子しゅしをまいて、単位たんい面積めんせきあたりの収量しゅうりょう増加ぞうかさせる栽培さいばいほう利用りようできるようになった。在来ざいらい品種ひんしゅでは1 haあたり60まんかぶ栽培さいばいしていた。それよりも高密度こうみつど栽培さいばいをするとひかり条件じょうけんわるくなるため、1かぶあたりのさいかちすう種子しゅしすう減少げんしょうしたが、1つ1つの種子しゅしおおきくなり、最終さいしゅうてき収穫しゅうかくりょうは1haあたり80まんかぶ最大さいだいとなった。
害虫がいちゅう抵抗ていこうせいトウモロコシ
害虫がいちゅう抵抗ていこうせいくみ品種ひんしゅは、害虫がいちゅう加害かがいによる損失そんしつらすため、基礎きそ収量しゅうりょうおなぐみ品種ひんしゅくらべても、結果けっかとしてたか収量しゅうりょうられることになる。それだけではなく、高密度こうみつど栽培さいばいによっても収量しゅうりょうえている。害虫がいちゅう抵抗ていこうせいトウモロコシの場合ばあいくきもぐアワノメイガなどの被害ひがいるため密植みっしょくしてもくきたおれる被害ひがいるためである。

だい世代せだいぐみ食品しょくひん開発かいはつじょうきょう

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概説がいせつ

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だい世代せだいぐみ食品しょくひんとは、ワクチンひとし有用ゆうようタンパク質たんぱくしつ工場こうじょうとして利用りようすることができたり、栄養素えいようそおおふくませたり、食品しょくひんちゅう有害ゆうがい物質ぶっしつ低減ていげんさせたり、消費しょうひしゃにとって利益りえきえるものである。たとえば、Bがた肝炎かんえん予防よぼうべるワクチンとしてBがた肝炎かんえんウイルス表面ひょうめん抗原こうげんをバナナで発現はつげんさせ経口けいこう免疫めんえきによってBがた肝炎かんえん感染かんせん防除ぼうじょするこころみがある[91]あぶらかて種子しゅしちゅう油脂ゆし脂肪酸しぼうさんざんもと組成そせい改変かいへんすることは、だい世代せだいぐみ食品しょくひん開発かいはつ初期しょきからの目標もくひょうであった。また、日本にっぽんにおいてはインスリン分泌ぶんぴつ誘導ゆうどうして糖尿とうにょうびょうになりにくくするコメ経口けいこう免疫めんえき寛容かんようによるスギ花粉かふんしょう低減ていげんするコメの開発かいはつ先行せんこうしている。また、鉄分てつぶんおおふくむコメも開発かいはつちゅうである。

オレインさんだか含有がんゆう遺伝子いでんしぐみえダイズ

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一般いっぱんてきなダイズちゅう飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんざんもと組成そせいリノールさん(18:2)(やく50%)、オレインさん(18:1)(やく20%)、リノレンさん(18:3)(やく10%)である。一方いっぽう、オレインさんだか含有がんゆう遺伝子いでんしぐみえダイズ(こうオレインさんダイズ)にはやく85%のオレインさんざんもとふくまれ、リノールさんやリノレンさんなどのあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん(polyunsaturated fatty acids : PUFAs)ざんもとすくない。オレインさんのような一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん(monounsaturated fatty acid)ざんもと多量たりょうふく油脂ゆしちゅう高密度こうみつどリポタンパク質たんぱくしつ(high density lipoprotein : HDL)の比率ひりつやして、動脈どうみゃく硬化こうか防止ぼうしするとかんがえられている。さらに、オレインさんはPUFAsにくら酸化さんか安定あんていである。そのため、こうオレインさんダイズあぶらなどにてきしている。

これは、炭素たんそすう18の脂肪酸しぼうさん飽和ほうわ関与かんよしている酵素こうそ発現はつげん制御せいぎょすることによって達成たっせいされた。

ステアリンさんからリノールさんまでの飽和ほうわ酵素こうそデサチュラーゼには、ステアリンさん(18:0)のCoAチオエステルであるステアロイルCoA (stearoyl-CoA[92])からオレインさんのCoAチオエステルであるオレオイルCoA (oleoyl-CoA[93])への反応はんのう触媒しょくばいするΔでるた9-desaturase[94] (ωおめが9-desaturaseとも[注釈ちゅうしゃく 46]とオレインさんざんもとからリノールさんざんもとへの飽和ほうわ関与かんよしている酵素こうそωおめが6-desaturase (デサチュラーゼ, Δでるた12-desaturaseとも: FAD2)がある。このωおめが6-desaturaseの遺伝子いでんし(FAD2)の発現はつげん抑制よくせいすることによってオレインさんざんもとの含量をたかめている。デュポンしゃのダイス 260-05系統けいとうかんしては、「こうオレインさんダイズ(GmFad2-1, Glycine max (L.) Merr.)(260-05, OECD UI :DD- Ø26ØØ5-3) 申請しんせいしょとう概要がいよう[95]」により、公表こうひょうされている。

さらに、FAD2を抑制よくせいするだけではなくFATBも抑制よくせいすることにより、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんざんもと含量がすくなくオレインさんざんもと含量のおおいダイズが開発かいはつされている。FATBとは、パルミトイル-ACP チオエステラーゼ(palmitoyl-ACP thioesterase, EC 3.1.2.14[注釈ちゅうしゃく 47], ACP: acyl carrier protein、アシル輸送ゆそうタンパク質たんぱくしつ)であり、炭素たんそくさり14-18の飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんざんもとつアシル-ACPを加水かすい分解ぶんかいでき、そのなかでもおもにパルミトイル-ACP (16:0-ACP)を加水かすい分解ぶんかいする。一方いっぽう、FATAはオレオイル-ACPを加水かすい分解ぶんかいする[注釈ちゅうしゃく 48]。FATBが抑制よくせいされ、FATA活性かっせい十分じゅうぶんある場合ばあい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんざんもと減少げんしょうし、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんざんもと増加ぞうかする。さらに、あたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんざんもとへの変換へんかん触媒しょくばいするFAD2が抑制よくせいされていれば、一価不飽和脂肪酸残基であるオレインさんざんもとの含量は増加ぞうかする。このような形質けいしつつモンサントしゃのMON87705系統けいとうかんしては、「てい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんこうオレインおよ除草じょそうざいグリホサートたいせいダイズ(GmFAD2-1A, GmFATB1A, 改変かいへんcp4 epsps, Glycine max (L.) Merr.)(MON87705, OECD UI: MON-877Ø5-6)申請しんせいしょとう概要がいよう[96]」により、公表こうひょうされている。

ステアリドンさん含有がんゆう遺伝子いでんしぐみえダイズ

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エイコサペンタエンさん(eicosapentaenoic acid(20:5): EPA)やドコサヘキサエンさん(docosahexaenoic acid(22:6): DHA) などのちょうくさりωおめが-3脂肪酸しぼうさんは、心臓しんぞう発作ほっさのリスクを軽減けいげんすることがられている。これらの脂肪酸しぼうさん前駆ぜんくたいであるステアリドンさん(stearidonic acid(18:4): SDA)のざんもとふくむダイズを育種いくしゅした。ダイズにはSDAがふくまれない。これは、炭素たんそくさり18脂肪酸しぼうさんカルボキシルもとからかぞえて6番目ばんめと7番目ばんめ炭素たんそあいだじゅう結合けつごう導入どうにゅうするωおめが12-desaturase[注釈ちゅうしゃく 49]がダイズにないためである。そこでサクラソウ一種いっしゅであるPrimula juliaeからωおめが12-desaturaseに対応たいおうするコーディング領域りょういき導入どうにゅうされた。

また、ダイズのリノールさんざんもとからαあるふぁ-リノレンさんざんもと変換へんかんするωおめが3-desaturase(Δでるた15-desaturase: FAD3)の活性かっせいたかめるために、アカパンカビ(Neurospora crassa)のΔでるた15-desaturaseの遺伝子いでんし導入どうにゅうされている。その結果けっか、リノールさんのCoAチオエステルであるリノレオイル-CoA (linoleoyl-CoA[97])からωおめが12-desaturaseによってγがんま-リノレンさんのCoAチオエステルであるγがんま-リノレノイル-CoA (γがんま-linolenoyl-CoA[98])[注釈ちゅうしゃく 50]に、γがんま-リノレノイル-CoAからωおめが3-desaturaseによってステアリドノイル-CoA(stearidonoyl-CoA[99])へと変換へんかんされる。もしくは、リノレオイル-CoAからωおめが3-desaturaseによってαあるふぁ-リノレンさんのCoAチオエステルであるαあるふぁ-リノレノイル-CoA (αあるふぁ-linolenoyl-CoA[100])へ、αあるふぁ-リノレノイルCoAからωおめが12-desaturaseによってステアリドノイル-CoA[注釈ちゅうしゃく 51]へと変換へんかんされる。

ステアリドンさん含有がんゆう遺伝子いでんしぐみえダイズにかんしてはモンサントしゃのMON87769が、「ステアリドンさんさんせいおよ除草じょそうざいグリホサートたいせいダイズ(改変かいへんPj.D6D, 改変かいへんNc.Fad3, 改変かいへんcp4 epsps, Glycine max (L.) Merr.)(MON87769×MON89788, OECD UI:MON-87769-7×MON-89788-1)申請しんせいしょとう概要がいよう[101]」で公表こうひょうされている。

リシンだか含有がんゆうトウモロコシ

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L-リシン (L-lysine) は必須ひっすアミノ酸あみのさん一種いっしゅである。しかし、イネ植物しょくぶつ貯蔵ちょぞうタンパク質たんぱくしつではその含有がんゆうりょうひくいため、飼料しりょうとして使つかさいにはリシンを添加てんかしている。このコストを低減ていげんするために、リシンをおおふくトウモロコシであるモンサントLY038が開発かいはつされた。

現在げんざい市販しはんされているリシンは、微生物びせいぶつ[注釈ちゅうしゃく 52]もちいたアミノ酸あみのさん発酵はっこうによって工業こうぎょう生産せいさんされているものである。かくアミノ酸あみのさんせい合成ごうせいけいでは、それぞれのアミノ酸あみのさん濃度のうど低下ていかするとなま合成ごうせい促進そくしんされるとともに、必要ひつよう以上いじょうアミノ酸あみのさん濃度のうど上昇じょうしょうするとなま合成ごうせい抑制よくせいされるようにフィードバック制御せいぎょされている。微生物びせいぶつによるアミノ酸あみのさん発酵はっこうにおいてはそのアミノ酸あみのさんなま合成ごうせいけいかぎ酵素こうそフィードバック阻害そがい解除かいじょされたものを利用りようすることがおおい。あるアミノ酸あみのさんなま合成ごうせいけいのフィードバック阻害そがい解除かいじょかぶはそのアミノ酸あみのさんアナログたいするたいせいかぶ(アナログたいせいかぶ)としてられる。リシンせい合成ごうせい場合ばあい、フィードバック阻害そがいは、リシンせい合成ごうせいけい酵素こうそぐんの1つでかぎ酵素こうそでもあるジヒドロジピコリンさん合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 53](DHDPS)の酵素こうそ活性かっせい低下ていかしょうじる。最終さいしゅう産物さんぶつであるリシンがネガティブ・エフェクターとしてアロステリック酵素こうそであるDHDPSに作用さようする。

そこで、リシン・アナログたいせいCorynebacterium glutamicumのDHDPS(リシンによるフィードバック阻害そがい解除かいじょされている変異へんいがた)をコードしている遺伝子いでんしcordapA利用りようされた。さらに、植物しょくぶつ細胞さいぼうしつなか合成ごうせいされたC. glutamicum変異へんいがたDHDPSが植物しょくぶつのリシンせい合成ごうせいであるプラスチド移行いこうできるように、トウモロコシのDHDPSの遺伝子いでんしmDHDPSのプラスチドへの移行いこう配列はいれつ(transit peptide)部分ぶぶん塩基えんき配列はいれつが、C. glutamicumのDHDPS遺伝子いでんし(cordapA)と連結れんけつされた融合ゆうごう遺伝子いでんしがつくられた。それにトウモロコシの胚乳はいにゅう貯蔵ちょぞうタンパク質たんぱくしつであるグロブリン(globlin 1)の遺伝子いでんしのプロモーターと連結れんけつされたものがトウモロコシに導入どうにゅうされた。導入どうにゅうされたC. glutamicum変異へんいがたDHDPSはフィードバック阻害そがい解除かいじょされているため植物しょくぶつでもリシンせい合成ごうせいがフィードバック阻害そがいされず、また、胚乳はいにゅうちゅう発現はつげんするグロブリン遺伝子いでんしのプロモーターによってトウモロコシ種子しゅしちゅうのリシン含有がんゆうりょう増加ぞうかした。モンサントLY038の「生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょう評価ひょうかしょ概要がいよう[102]」、「こうリシン(lysine)トウモロコシ(cordapA, Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)(LY038, OECD UI: REN-ØØØ38-3)の生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょう評価ひょうかしょ概要がいよう[103]」は、公開こうかいされている。形質けいしつ転換てんかんにおける選択せんたくけい選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょけいとして、後述こうじゅつの「選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょけい」のうちの「Cre-loxP system」がもちいられている。

プロビタミンA強化きょうか作物さくもつ

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概説がいせつ

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ビタミンA欠乏けつぼうは、子供こども失明しつめい発育はついく障害しょうがいなどをまねき、慢性まんせいてき摂取せっしゅりょうすくない後進こうしん地域ちいきでは将来しょうらい人口じんこう構成こうせいにまで影響えいきょうあたえる。このため、国際こくさい協力きょうりょく一環いっかんとして様々さまざま研究けんきゅう機関きかん団体だんたいがビタミンAの摂取せっしゅりょうたかめるための品種ひんしゅ改良かいりょうんでいる[104]植物しょくぶつカロテノイド一部いちぶはビタミンAの前駆ぜんくたいであるプロビタミンAである。1分子ぶんしβべーた-カロテン(βべーた-carotene)から2分子ぶんしのビタミンAに、1分子ぶんしαあるふぁ-カロテンγがんま-カロテンやβべーた-クリプトキサンチンから1分子ぶんしのビタミンAに変換へんかんされる。そこで、作物さくもつちゅうのプロビタミンAりょうやすための機構きこうとしてつぎのものがげられる。

  • カロテノイドせい合成ごうせいけい強化きょうかによるカロテノイド全体ぜんたい増加ぞうか
  • プロビタミンAとしての効力こうりょくたかβべーた-カロテンのこう比率ひりつ
  • カロテンからキサントフィルへの変換へんかん抑制よくせい

そこでイネ、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、サツマイモなど様々さまざま作物さくもつにおいて、これらの機構きこう応用おうようされてプロビタミンA強化きょうか作物さくもつ開発かいはつされている。

ゴールデンライス

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おおくの発展はってん途上とじょうこくにおいて深刻しんこく問題もんだいになっているビタミンA(vitamin A)欠乏けつぼう解決かいけつさくとして開発かいはつされたイネの品種ひんしゅである[105]。ビタミンAの前駆ぜんくたいであるβべーた-カロテンうち胚乳はいにゅう含有がんゆうするため精米せいまいされたべい黄金おうごんしょくていすることから、このような名称めいしょうがつけられた[106]

ゴールデンライスには植物しょくぶつ由来ゆらいフィトエン合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 54]遺伝子いでんしpsy細菌さいきん由来ゆらいのフィトエン飽和ほうわ酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 55]遺伝子いでんしcrtI導入どうにゅうされており、リコペン合成ごうせいできる[106]細菌さいきん由来ゆらいのフィトエン飽和ほうわ酵素こうそであるCrtIは植物しょくぶつのカロテノイド合成ごうせい場所ばしょであるプラスチドへはそのままでは移行いこうできないので、crtIにはプラスチドへの移行いこうペプチドをコードした塩基えんき配列はいれつ融合ゆうごうされている[107]。リコペンはイネのうち胚乳はいにゅうちゅうにもともと存在そんざいするリコペンβべーた-たまき酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 56]によってβべーた-カロテンに変換へんかんされる[108]

ゴールデンライス自体じたい主食しゅしょくとしてもビタミンAの必要ひつようりょうたさないとの主張しゅちょう遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいにあったが、2005ねんには、あらたにゴールデンライス2が発表はっぴょうされ、これだけを摂食せっしょくすることでビタミンAの必要ひつようりょうがまかなえるようになった[105]。これはカロテノイドなま合成ごうせいけい遺伝子いでんしとしてゴールデンライスでもちいられていたスイセン由来ゆらいpsyわりにトウモロコシ由来ゆらいpsy利用りようすることにより達成たっせいされた[105]

ゴールデンライスは2015ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく特許とっきょ商標しょうひょうちょうの"Patents for Humanity Awards英語えいごばん"を受賞じゅしょう[109]、2018ねんにはオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく食品しょくひんとして承認しょうにんされ[110]、そして2021ねん世界せかいはじめてフィリピン洪水こうずい乾燥かんそう両方りょうほうたいせいがあるコメ品種ひんしゅ「RC82」を遺伝子いでんし操作そうさしたゴールデンライスの商業しょうぎょう栽培さいばい認可にんかされた[111]

プロビタミンA強化きょうかジャガイモ

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ジャガイモにおいては様々さまざま機構きこう適用てきようされて塊茎かいけいなかのプロビタミンAが強化きょうかされたジャガイモが開発かいはつされている。ゴールデンライスと同様どうようカロテノイドせい合成ごうせい強化きょうかする目的もくてきで、Erwinia由来ゆらいのフィトエン合成ごうせい酵素こうそ(CrtB)とフィトエン飽和ほうわ酵素こうそ(CrtI)とリコペンβべーた-たまき酵素こうそ(CrtY)の遺伝子いでんし導入どうにゅうされたものが開発かいはつされた[112]。また、プロビタミンAとしての効力こうりょくたかβべーた-カロテンのこう比率ひりつをはかるために、αあるふぁ-カロテンの合成ごうせい関与かんよするリコペンεいぷしろん-たまき酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 57]抑制よくせいして、βべーた-たまきつカロテノイドの含量をたかめたものも開発かいはつされている[113]さらに、βべーた-カロテンからキサントフィルへの変換へんかん抑制よくせいすることにより、βべーた-カロテン含量をたかめたジャガイモも開発かいはつされている。βべーた-カロテンのβべーた-たまき水酸化すいさんかする酵素こうそβべーた-カロテン 3-水酸化すいさんか酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 58]抑制よくせいするものである[114]。これらのプロビタミンAが強化きょうかされたジャガイモの塊茎かいけい断面だんめん色味いろみていする。

ビタミンE強化きょうかダイズ

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トコフェロールるいにはビタミンE活性かっせいがあるが、分子ぶんししゅによってその活性かっせい強弱きょうじゃくことなる。トコフェロールるいはメチル程度ていどやメチルもと位置いちによって、αあるふぁ-, βべーた-, γがんま-, δでるた-トコフェロールと区別くべつされている。これらのなかでは、αあるふぁ-トコフェロールがもっともビタミンE活性かっせいつよ分子ぶんししゅであり、つぎβべーた-トコフェロールである。ダイズ種子しゅし由来ゆらいするダイズちゅう存在そんざいするトコフェロールるい主要しゅようぶん子種こだねγがんま-トコフェロールであり、つぎδでるた-トコフェロールである。これらはビタミンE活性かっせいよわい。そこで、これらをαあるふぁ-トコフェロールやβべーた-トコフェロールに変換へんかんすることによってビタミンE活性かっせい増強ぞうきょうすることがこころみられた[115]エゴマ(Perilla frutescens, シソ同種どうしゅ植物しょくぶつ)のγがんま-トコフェロール・メチル転移てんい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 59]遺伝子いでんしエンドウマメ種子しゅし特異とくいてき貯蔵ちょぞうタンパク質たんぱくしつであるvicillinの遺伝子いでんしのプロモーターをもちいてダイズの種子しゅしちゅう発現はつげんさせた。その結果けっかγがんま-トコフェロールやδでるた-トコフェロールの含量は大幅おおはば一方いっぽうαあるふぁ-トコフェロール含量は10ばいきょうβべーた-トコフェロール含量は15ばいじゃくまでえた。その結果けっか、ビタミンE活性かっせいが4.8ばい強化きょうかされたダイズ種子しゅしられた。

アントシアニンだか含有がんゆう果実かじつ

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アントシアニンフラボノイドけいポリフェノールであり、植物しょくぶつ重要じゅうよう色素しきそである。アントシアニンにはこう酸化さんか活性かっせいとともに様々さまざま生理せいり活性かっせいがあり、健康けんこう食品しょくひんとしても注目ちゅうもくされている。このアントシアニンをトマト大量たいりょう蓄積ちくせきさせることに成功せいこうした。キンギョソウ由来ゆらいのアントシアニンの合成ごうせい誘導ゆうどうする2種類しゅるい転写てんしゃ因子いんし遺伝子いでんしDelila (Del)(ACCESSION M84913塩基えんき配列はいれつ)とRosea1 (Ros1)(ACCESSION DQ275529塩基えんき配列はいれつ)をトマトに導入どうにゅうし、過剰かじょう発現はつげんさせたところ、デルフィニジンけいのアントシアニンを大量たいりょう蓄積ちくせきした紫色むらさきいろのトマトの果実かじつができた[116]。このアントシアニンが大量たいりょう蓄積ちくせきして果実かじつ紫色むらさきいろになる形質けいしつは、トマトのほか品種ひんしゅ交配こうはいさせると、交雑こうざつ品種ひんしゅにも遺伝いでんすることがしめされている。

スギ花粉かふんまい

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スギ花粉かふんまいとは、摂食せっしょくによりスギ花粉かふんしょう緩和かんわさせることを目的もくてきに、スギ花粉かふん抗原こうげんタンパク質たんぱくしつ種子しゅし蓄積ちくせきするように遺伝子いでんしぐみえによって作出さくしゅつされたイネである。2005ねん農業生物資源研究所のうぎょうせいぶつしげんけんきゅうじょ高木たかぎ英典ひでのりらによってマウスでスギ花粉かふんへのアレルギー症状しょうじょう緩和かんわ報告ほうこくされ、ヒトへの応用おうよう研究けんきゅう開発かいはつすすめられている[117]

鉄分てつぶん豊富ほうふなコメ

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上記じょうきにあるゴールデンライスと同様どうように、おおくの発展はってん途上とじょうこくにおいて深刻しんこく問題もんだいになっているてつ欠乏けつぼうとそれによる貧血ひんけつ解決かいけつさくとして鉄分てつぶん豊富ほうふなコメが開発かいはつされている。おおきくけてふたつの方法ほうほうがある。ひとつは、てつ貯蔵ちょぞうするダイズ由来ゆらいタンパク質たんぱくしつであるフェリチン(ferritin)の分子ぶんししゅH1やH2[118]をイネの種子しゅしちゅう多量たりょう蓄積ちくせきさせることで種子しゅしちゅうてつ貯蔵ちょぞう能力のうりょくたかめ、てつ含有がんゆうりょう増加ぞうかさせる方法ほうほうであり、こちらは"フェリチンまい"ともばれている[119][120]。もうひとつは、植物しょくぶつにとっててつイオン吸収きゅうしゅうかかわるムギネさん合成ごうせい前駆ぜんくたいであるとともにてつイオンの体内たいない輸送ゆそうかかニコチアナミン合成ごうせいする酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 42]遺伝子いでんし発現はつげんりょうたかめる方法ほうほうである。オオムギ由来ゆらいこう発現はつげんのニコチアナミン合成ごうせい酵素こうそ遺伝子いでんしをイネに導入どうにゅうして植物しょくぶつたいちゅうのニコチアナミンをやすことでてつ種子しゅしへの輸送ゆそう能力のうりょくたかめている。こちらの方法ほうほうでは白米はくまいなかてつ濃度のうどが3ばい増加ぞうかしていた[121][122]。ニコチアナミン合成ごうせい酵素こうそ遺伝子いでんしは、アルカリ性あるかりせい土壌どじょうでもてつイオンを吸収きゅうしゅうして生育せいいくできるイネやトウモロコシの開発かいはつにも利用りようされている。

フィターゼ生産せいさん作物さくもつ

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フィチンさん(phytate[注釈ちゅうしゃく 60]種子しゅしなどのおおくの植物しょくぶつ組織そしき存在そんざいする植物しょくぶつにおける主要しゅようリンさん貯蔵ちょぞう形態けいたいである。フィチンさんキレート作用さようつよく、おおくの金属きんぞくイオンをつよ結合けつごうし、とくフィチン (phytin: 不溶性ふようせいのフィチンさん金属きんぞくしお)のかたちおお存在そんざいする。フィチンさんのリンさんざんもとは、反芻はんすう動物どうぶつではフィチンさん加水かすい分解ぶんかい酵素こうそであるフィターゼ[注釈ちゅうしゃく 61]がほとんどないため、消化しょうか吸収きゅうしゅうされにくい。反芻はんすう動物どうぶつ由来ゆらい糞便ふんべんちゅうから分解ぶんかいのフィチンさん環境かんきょう放出ほうしゅつされると環境かんきょうちゅう分解ぶんかいされてリンさん遊離ゆうりして水圏すいけんとみ栄養えいようまねくこととなる。一方いっぽうウシなどの反芻はんすう動物どうぶつはルーメン(反芻はんすう)ない微生物びせいぶつによってつくられるフィターゼが加水かすい分解ぶんかいするためフィチンさん由来ゆらいのリンさん利用りようできる。

現在げんざい、フィチンさん由来ゆらいのリンさんやフィチンとして不溶化ふようかされているミネラルの吸収きゅうしゅう目的もくてき反芻はんすう動物どうぶつ飼料しりょうには、微生物びせいぶつ由来ゆらいのフィターゼを添加てんかすることがある。そこで、フィターゼを飼料しりょう添加てんかしなくてもよいように糸状いとじょうきん大腸菌だいちょうきんのフィターゼの遺伝子いでんしをトウモロコシやダイズで発現はつげんさせてフィチンさんのリンさん有効ゆうこう利用りようりつたかめるこころみがおこなわれた[123]さらに、フィターゼ生産せいさんトウモロコシをニワトリ給餌きゅうじしてフィチンさん由来ゆらいのリンさん有効ゆうこう利用りようりつ上昇じょうしょうしていることがたしかめられた[124][125]

その、フィチンさん金属きんぞくイオンにたいするキレート活性かっせいたかいためフィチンさんによっててつ吸収きゅうしゅう阻害そがいされるが、てつ貯蔵ちょぞうタンパク質たんぱくしつであるフェリチン(ferritin)とフィターゼをとも生産せいさんさせたトウモロコシでは鉄分てつぶん有効ゆうこう利用りようりつ有意ゆうい上昇じょうしょうしていた[126]という報告ほうこくもある。

貯蔵ちょぞうデンプンのあらためしつ

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デンプンは、グルコースポリマーで、ちょくくさり構造こうぞうアミロース枝分えだわかれ構造こうぞうをもつアミロペクチンから構成こうせいされている。アミロースとアミロペクチンの分子ぶんしりょうや含量や枝分えだわかれ頻度ひんどによって物性ぶっせいことなる。デンプンは植物しょくぶつプラスチドなま合成ごうせいされ、とくにデンプン合成ごうせいさかんでデンプンを貯蔵ちょぞうしているプラスチドをアミロプラストとよぶ。細胞さいぼうしつからプラスチドに輸送ゆそうされたグルコース-1-リンさんグルコース-6-リンさんADP-グルコース[注釈ちゅうしゃく 62]はプラスチドちゅう最終さいしゅうてきにADP-グルコースとなり、ADP-グルコースのグルコースざんもとはデンプン合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 63]によって伸長しんちょうちゅうのアミロースやアミロペクチンの還元かんげんまつはしのグルコースざんもとの4水酸基すいさんき脱水だっすいちぢみあいしてあらたなαあるふぁ-1,4グルコシド結合けつごう形成けいせいしてまれる。プラスチドちゅうのデンプン合成ごうせい酵素こうそはデンプンつぶ結合けつごうがたデンプン合成ごうせい酵素こうそ (GBSS: granule-bound starch synthase)と可溶性かようせいデンプン合成ごうせい酵素こうそ(SSS: soluble starch synthase)に大別たいべつされる。GBSSはアミロースのなま合成ごうせい関与かんよしている。SSSによって合成ごうせい途中とちゅうαあるふぁ-1,4グルコシド結合けつごうのグルコースざんもとちょくくさりが、枝分えだわかれ酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 64]によって一部いちぶ切断せつだんされ、その切断せつだんされてしょうじた還元かんげんまつはしのグルコースざんもとの1水酸基すいさんきちょくくさり部分ぶぶん中間ちゅうかんのグルコースざんもとの6水酸基すいさんきあいだαあるふぁ-1,6グルコシド結合けつごうしょうじる。こうしてしょうじた分子ぶんしちゅう存在そんざいする複数ふくすう還元かんげんまつはしはSSSによって伸長しんちょうするとともに枝分えだわかれ酵素こうそによってあらたに還元かんげんまつはしがわくさり次々つぎつぎ形成けいせいされる。一方いっぽう余分よぶんαあるふぁ-1,6グルコシド結合けつごう部分ぶぶんえだ酵素こうそによって切断せつだんされがわくさり整理せいりされて、アミロペクチンは合成ごうせいされる。つまり、アミロースとアミロペクチンの含量はGBSSとSSSの活性かっせいによって制御せいぎょされている。よって、GBSSが欠損けっそんしていればアミロペクチンのみをふくモチせいとなり、SSSの活性かっせい低下ていかしているとこうアミロース含量となる。そこで遺伝子いでんし操作そうさによってGBSSやSSSの生産せいさんりょう制御せいぎょして、デンプン組成そせい改変かいへんできるようになった。

GBSS生産せいさんりょう抑制よくせいされてモチせい変換へんかんされた"Amflora"と名付なづけられたジャガイモ品種ひんしゅ(EH92-527-1系統けいとう)がすでにBASFによって開発かいはつされ、チェコ、スウェーデン、ドイツで商業しょうぎょう栽培さいばいされている[127]

キャッサバちゅうのシアン化合かごうぶつ削減さくげん

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キャッサバ (Manihot esculenta) は熱帯ねったいにおける重要じゅうよう作物さくもつである。ただし、タンパク質たんぱくしつ含量がすくなく、かつ、有毒ゆうどくシアン化合かごうぶつである青酸せいさんはいとうからだおおふくんでいる。ふくまれる青酸せいさんはいとうたいのうち、95%はリナマリンで、5%はロトストラリン[注釈ちゅうしゃく 65]である。キャッサバを食料しょくりょう飼料しりょうにするためには青酸せいさんはいとうたい分解ぶんかい産物さんぶつであるアセトンシアノヒドリン[注釈ちゅうしゃく 66]除去じょきょ重要じゅうようであり、不十分ふじゅうぶんだと健康けんこう被害ひがいしょうじることがある。そこでキャッサバちゅうのシアン化合かごうぶつ減少げんしょうさせるための研究けんきゅうすすめられている。そのひとつにはヒドロキシニトリルだつはなれ酵素こうそ [注釈ちゅうしゃく 67]をキャッサバの生産せいさんさせるというものがある。ヒドロキシニトリルだつはなれ酵素こうそはアセトンシアノヒドリンを青酸せいさんアセトン分解ぶんかいする酵素こうそである。ヒドロキシニトリルだつはなれ酵素こうそによってしょうじた青酸せいさん気化きかするため、ヒドロキシニトリルだつはなれ酵素こうそ活性かっせいとキャッサバちゅう青酸せいさん化合かごうぶつ濃度のうどとのあいだにはまけ相関そうかんせいがある[128]野生やせいがたのキャッサバのではほとんど生産せいさんされていないヒドロキシニトリルだつはなれ酵素こうそ過剰かじょう生産せいさんさせた結果けっか形質けいしつ転換てんかんたいではでリナマリン含量が80%低下ていかするとともタンパク質たんぱくしつ含量が3ばい増加ぞうかしていた[129]

ワタちゅうのゴシポールの削減さくげん

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ワタ(Gossypium hirsutum)の種子しゅしやく1. 65 kgたり、ワタ繊維せんい1 kgが生産せいさんされる。ワタの種子しゅしは21%の油脂ゆしとともに23%のこう品質ひんしつタンパク質たんぱくしつふくんでいる。しかし、ワタの種子しゅし自体じたい脱脂だっし種子しゅし反芻はんすう動物どうぶつ飼料しりょうとして利用りようされているが、食料しょくりょうとしてもたん動物どうぶつ飼料しりょうとしても利用りようされていない。こころ機能きのうきも機能きのう障害しょうがいするゴシポール[注釈ちゅうしゃく 68]せんふくまれているからである。ゴシポールはセスキテルペン一種いっしゅである。そこで、わた食料しょくりょう飼料しりょうとして利用りようするために、せんたない変異へんいワタが発見はっけんされたのでそれをもちいてせん欠損けっそん品種ひんしゅ育種いくしゅがすすめられ、上市かみいちされた。しかし、せん欠損けっそん品種ひんしゅ害虫がいちゅう抵抗ていこうせい関与かんよしているテルペノイドくため、きわめて虫害ちゅうがいいやすいので農民のうみん拒否きょひされた。そこで種子しゅしでのみゴシポールが削減さくげんされた品種ひんしゅ開発かいはつ目的もくてきとして、ゴシポールの前駆ぜんくたいであるδでるた-カディニン[注釈ちゅうしゃく 69]ファルネシルピロリンさん[注釈ちゅうしゃく 70]から合成ごうせいする酵素こうそであるδでるた-カディニン合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 71]を、ワタの種子しゅし特異とくいてきαあるふぁ-globulin Bの遺伝子いでんしのプロモーターをもちい、RNAiで抑制よくせいした形質けいしつ転換てんかんワタが開発かいはつされた[130][131]。この形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ種子しゅしわか芽生めばえにおいてのみゴシポールや関連かんれん物質ぶっしつの含量が低下ていかしており、地上ちじょうでは含量の変化へんかはなかった。つまり、害虫がいちゅう抵抗ていこうせいおおきくは変化へんかせず、また、この形質けいしつ世代せだいにわたり安定あんてい遺伝いでんしていた。

アクリルアミド生成せいせいりょうすくないジャガイモ

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デンプンなどの糖類とうるいアスパラギン共存きょうぞんしているもの、穀類こくるいなど、を加熱かねつすると様々さまざま毒性どくせいアクリルアミド生成せいせいする。とくフライドポテトなどが問題もんだいされている。そこでアクリルアミド生成せいせいりょうらすために遊離ゆうりアスパラギン含量のすくないジャガイモの開発かいはつおこなわれている。 ジャガイモにはアスパラギン合成ごうせい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 72]としてStAst1とStAst2の種類しゅるいられている。まずはじめにStAst1とStAst2の遺伝子いでんしStAst1StAst2双方そうほう根茎こんけい特異とくいてき抑制よくせいした形質けいしつ転換てんかんジャガイモが開発かいはつされた。温室おんしつでの形質けいしつ転換てんかんジャガイモの生育せいいく根茎こんけい収量しゅうりょう野生やせいがたのものと遜色そんしょくがなく、その根茎こんけいちゅう遊離ゆうりアスパラギン含量は野生やせいがたのものの1/20程度ていどであった[132]。ところが、その形質けいしつ転換てんかんたい圃場ほじょう試験しけんしたところ、植物しょくぶつたい生育せいいくわるく、根茎こんけいはいびつで収量しゅうりょうひくかった[133]。そこで、解析かいせきすすめた結果けっかStAst1根茎こんけいおもに、StAst2緑色みどりいろ組織そしきおも発現はつげんしていることがわかった。そのため、StAst1根茎こんけい特異とくいてき抑制よくせいしたところ、圃場ほじょう試験しけんにおいても生育せいいく収量しゅうりょう正常せいじょうで、遊離ゆうりアスパラギン含量がすくない、つまり、加熱かねつしてもアクリルアミド生成せいせいりょうすくない形質けいしつ転換てんかんジャガイモがられた[133]

そしてAsn1 (StAst1おなじ)をRNAiによって抑制よくせいして遊離ゆうりアスパラギンを減少げんしょうさせ、ホスホリラーゼとデンプン関連かんれんタンパク質たんぱくしつであるR1をRNAiによって抑制よくせいしてデンプンから還元かんげんとうへの変換へんかんおさえて、両者りょうしゃ効果こうかによって加熱かねつによるアクリルアミドの生成せいせい減少げんしょうさせたジャガイモがInnateという商標しょうひょうで2015ねん3がつ20日はつかアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)によって認可にんかされた[24]。なお、Innateにおいてはきず切断せつだんによる褐変をふせぐために、ポリフェノール・オキシダーゼの遺伝子いでんしPpo5をRNAiによって抑制よくせいしてされている[25]

なみだないタマネギ

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なみだないタマネギ参照さんしょう

褐変しにくいリンゴ

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リンゴ果実かじつ切断せつだんすると、果実かじつ切断せつだんめんが褐変することがられている。これは果実かじつ細胞さいぼうえきなかクロロゲンさんエピカテキンなどのポリフェノールがプラスチドちゅうポリフェノールオキシダーゼ(PPO: polyphenol oxidase)と細胞さいぼう損傷そんしょうによって接触せっしょくして、酸化さんか重合じゅうごうされて分子ぶんしちゅう共役きょうやくじゅう結合けつごうび、長波ちょうはちょうひかりまで吸収きゅうしゅうすることが原因げんいんである。そこで、リンゴの果実かじつの褐変をさえるために4種類しゅるいのPPOの遺伝子いでんし PPO2, GPO3, APO5, pSR7のそれぞれ394, 457, 457, 453 塩基えんきたいのDNA断片だんぺん利用りようしたRNAiによってPPO活性かっせい抑制よくせいされたリンゴが開発かいはつされた[26]。リンゴの品種ひんしゅGolden DeliciousとGranny Smithにおいて実用じつようされ、Artic appleの商標しょうひょうで2015ねん3がつ20日はつかにアメリカのFDAによって認可にんかされた[27]

作製さくせいほう

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概説がいせつ

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遺伝子いでんしぐみ植物しょくぶつ作製さくせいするじょうで、植物しょくぶつのホスト(宿主しゅくしゅ)・ベクターけい (host-vector system) が必要ひつようとされる。そのホスト・ベクターけい構築こうちくするじょう以下いかの4種類しゅるいけい必要ひつようとされる。

  • 植物しょくぶつ細胞さいぼうへの遺伝子いでんし導入どうにゅうけい(導入どうにゅうけい)
  • 遺伝子いでんしくみわった細胞さいぼう(形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼう)だけを選択せんたくするためのけい(選択せんたくけい)
  • 導入どうにゅうした遺伝子いでんし複製ふくせいさせ、細胞さいぼう分裂ぶんれつにも伝達でんたつさせるためのけい(複製ふくせいけい)
  • 単一たんいつ細胞さいぼうから植物しょくぶつ個体こたいまで再生さいせいさせるためのけい(分化ぶんか再生さいせいけい)

これらについて以下いかふし簡単かんたん説明せつめいする。

なお、外来がいらい遺伝子いでんし導入どうにゅう場所ばしょとして、細胞さいぼうかくゲノムだけではなく、プラスチド・ゲノムもある。プラスチド・ゲノムに導入どうにゅうして形質けいしつえることをプラスチド形質けいしつ転換てんかん(plastid transformation)という。

また、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいからの反対はんたい理由りゆうひとつであった「医療いりょうよう家畜かちくよう抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんし選択せんたくマーカー遺伝子いでんしとしての利用りよう」を回避かいひするためにもちいられている、「あたらしい選択せんたくマーカー遺伝子いでんし選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょけい利用りよう」についてもべる。

さらに、反対はんたい理由りゆうひとつである「ゲノムの特定とくてい場所ばしょねらって遺伝子いでんし導入どうにゅうできない」という問題もんだい解決かいけつするためにジーン・ターゲッティングの技法ぎほう導入どうにゅうされていることについても紹介しょうかいする。また、導入どうにゅうされた遺伝子いでんし利用りよう制限せいげんする遺伝いでんてき利用りよう制限せいげん技術ぎじゅつについても解説かいせつする。

その遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ作製さくせいほうとは直接ちょくせつ関係かんけいないが、それが商品しょうひんされ一般いっぱん圃場ほじょう栽培さいばいされるために要求ようきゅうされている「環境かんきょうたいする影響えいきょう」と「食品しょくひんとしての安全あんぜんせい」を評価ひょうかする安全あんぜんせい審査しんさについてもべる。

導入どうにゅうけい

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導入どうにゅうけいとは、目的もくてきとする遺伝子いでんし細胞さいぼう遺伝子いでんし発現はつげんする場所ばしょ導入どうにゅうするためのけいである。遺伝子いでんし導入どうにゅう発現はつげんさせるための植物しょくぶつ細胞さいぼうないしょう器官きかんとして、現在げんざいかくプラスチド(plastid)が標的ひょうてきとなっている。導入どうにゅうけいにはいろいろな手法しゅほうがあるが、現在げんざい主要しゅよう方法ほうほうは、パーティクル・ガンほうアグロバクテリウムほうであり、それぞれについて簡単かんたん説明せつめいする。

そのにも、DNAをふくんだとうはりえきなかプロトプラストこう電圧でんあつ電気でんきパルスをあたえて細胞さいぼうまく短時間たんじかんだけあなけてひとしちょうえきちゅうのDNAを細胞さいぼうない導入どうにゅうさせるエレクトロポレーションほうがあるが、その操作そうさ煩雑はんざつさと効率こうりつひくさとイネへのアグロバクテリウムほう適用てきよう可能かのうになったことにより、現在げんざいではほとんど利用りようされていない。また、最近さいきん使用しようれいえてきたウィスカー(whisker)ほうがある。

パーティクル・ガンほう

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ウィスカーほう

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ウィスカーとは、ひげじょう強度きょうどたかたん結晶けっしょうであり、マイクロ試験管しけんかんちゅう植物しょくぶつ組織そしきやカルスと滅菌めっきん処理しょりされたウィスカーとDNAをふく溶液ようえきはげしく攪拌し、ウィスカーによってきずついた細胞さいぼうない溶液ようえきちゅうのDNAが侵入しんにゅうまれるようにする。組織そしきやカルスを洗浄せんじょう固体こたい選択せんたく培地ばいちにて形質けいしつ転換てんかんたい選択せんたく増殖ぞうしょくさせる。使用しようされるウィスカーとしてシリコンカーバイドよりホウさんアルミニウム(2B2O3・9Al2O3)のものが安全あんぜんせいめんからこのまれる。植物しょくぶつ形質けいしつ転換てんかん操作そうさ手順てじゅんは、植物しょくぶつ組織そしきとウィスカーをDNAをふく溶液ようえきちゅうはげしく撹拌かくはん洗浄せんじょうし、そのは、後述こうじゅつの「パーティクル・ガンほうによる手順てじゅん」の4.以降いこう同様どうようである。

アグロバクテリウムほう

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Agrobacterium tumefaciens正式せいしき名称めいしょう Rhizobium radiobacter)がおももちいられている。自然しぜんかいではA. tumefaciensは、そう子葉しよう植物しょくぶつ宿主しゅくしゅとしてクラウンゴール(crown gallまたはcrowngall)という腫瘍しゅよう形成けいせいさせ、それをA. tumefaciensできるが植物しょくぶつできないオパイン(またはオピン: opine)という特殊とくしゅイミノさん生産せいさんする工場こうじょうとしている。これを生物せいぶつがくてき植民しょくみんという。これはA. tumefaciensふくまれるTi (tumor inducing) plasmidのT-DNA (transferred DNA)が植物しょくぶつ細胞さいぼうかくゲノムに導入どうにゅうされたことによってしょうじる。そこで、このDNA導入どうにゅう機構きこう利用りようして植物しょくぶつへの遺伝子いでんし導入どうにゅう方法ほうほうとして中間ちゅうかんベクターほうとバイナリーベクターほう(binary vector)が開発かいはつされた。そのうち、現在げんざいはバイナリー・ベクターほう主流しゅりゅうである。これは、Ti plasmidの本来ほんらいのT-DNAを除去じょきょされたvir helper Ti plasmidと、大腸菌だいちょうきんA. tumefaciens双方そうほう利用りようできる小型こがたのシャトル・ベクター(shuttle vector)に人工じんこうのT-DNAを付与ふよしたものとで構築こうちくされている。vir helper Ti plasmidには、本来ほんらいのT-DNAが存在そんざいしないため、植物しょくぶつにクラウンゴール(腫瘍しゅよう)を形成けいせいできないが、T-DNAを植物しょくぶつゲノムに導入どうにゅうするために必要ひつようvir領域りょういき存在そんざいしているため、のプラスミドじょう存在そんざいする人工じんこうT-DNAを植物しょくぶつ導入どうにゅうできる。このように同一どういつのDNAじょう存在そんざいしなくても、作用さようしあえる遺伝子いでんしあいだ関係かんけいをトランスという。以下いかに、バイナリー・ベクターほう簡単かんたん説明せつめいする。

A. tumefaciens存在そんざいするTi plasmidは巨大きょだいプラスミドであり、これをA. tumefaciensから直接ちょくせつたんはな試験しけん管内かんない操作そうさすることは困難こんなんである。一方いっぽう、Ti plasmidじょうにはvir領域りょういきという、T-DNAを植物しょくぶつゲノムに導入どうにゅうするために必要ひつよう遺伝子いでんしぐん存在そんざいするので、Ti plasmidは植物しょくぶつへの遺伝子いでんし導入どうにゅうには必要ひつようである。しかし、本来ほんらいのT-DNAは植物しょくぶつ腫瘍しゅようするので不要ふようである。そこで、本来ほんらいのT-DNAを欠損けっそんしたがvir領域りょういき保持ほじしたままのvir helper Ti plasmidとそれを保持ほじするA. tumefaciens菌株きんしゅ開発かいはつされた。A. tumefaciens染色せんしょくたいじょうにも植物しょくぶつへの遺伝子いでんし導入どうにゅう必要ひつようとされる遺伝子いでんしぐん(chv genes: chromosomal virulence genes)が存在そんざいするために、さらにTi plasmidの宿主しゅくしゅとしてもA. tumefaciensはアグロバクテリウムほうにおいて必要ひつようとされる。

T-DNAのりょう末端まったんにはRB(right border:みぎ境界きょうかい配列はいれつ)とLB(left border:ひだり境界きょうかい配列はいれつ)というみじか配列はいれつ存在そんざいしている。RBとLBにはさまれた配列はいれつ植物しょくぶつ導入どうにゅうされ、そのあいだ配列はいれつには特異とくいせいがない。つまり、植物しょくぶつ導入どうにゅうしたい遺伝子いでんし形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ選択せんたくするための選択せんたくマーカー遺伝子いでんしをRBとLBにはさみこめば、任意にんい人工じんこうのT-DNAを構築こうちくできる。

さらに、vir領域りょういきとT-DNAとの作用さよう関係かんけいはトランスであり、両者りょうしゃ同一どういつのプラスミドじょう存在そんざいしている必要ひつようい。そこで、操作そうさしやすい小型こがたのシャトル・ベクターに人工じんこうのT-DNAを付与ふよしたT-DNAプラスミドを試験しけん管内かんない改変かいへんしたのち大腸菌だいちょうきんもちいて増幅ぞうふくさせる。その、T-DNAプラスミドをA. tumefaciens導入どうにゅうして、A. tumefaciensうちvir helper Ti plasmidと共存きょうぞんさせて植物しょくぶつ人工じんこうのT-DNAを導入どうにゅうさせる。この小型こがたのシャトル・ベクターであるT-DNAプラスミドは、大腸菌だいちょうきんでの複製ふくせい開始かいしてん広範囲こうはんいグラム陰性いんせいきんあいだでの複製ふくせい可能かのう複製ふくせい開始かいしてん存在そんざいするこう宿主しゅくしゅいきベクターであり、また、人工じんこうのT-DNA部分ぶぶんない存在そんざいする植物しょくぶつ形質けいしつ転換てんかん選択せんたくもちいられる選択せんたくマーカー遺伝子いでんし以外いがいにも、大腸菌だいちょうきんA. tumefaciens形質けいしつ転換てんかんたい選択せんたく必要ひつよう選択せんたくマーカー遺伝子いでんしべつ保持ほじしている。

A. tumefaciens本来ほんらい宿主しゅくしゅそう子葉しよう植物しょくぶつであるが、vir領域りょういき転写てんしゃ誘導ゆうどうするフェノールけい物質ぶっしつアセトシリンゴン(acetosyringone)の利用りようvir領域りょういき転写てんしゃ活性かっせい恒常こうじょうてきたかいhypervirulent helper Ti plasmidの開発かいはつにより、イネなどのたん子葉しよう植物しょくぶつきんるいなどへの応用おうよう可能かのうとなってきている。

アグロバクテリウムほうは、パーティクル・ガンほうくら高価こうか機材きざい必要ひつようなく、また、ランニングコストもひくい。T-DNAは植物しょくぶつかくゲノムに1〜2コピー程度ていどていコピーすう導入どうにゅうされることがおおい。一方いっぽう、アグロバクテリウムの感染かんせん抗生こうせい物質ぶっしつもちいてアグロバクテリウムを除去じょきょするなどの煩雑はんざつ操作そうさ必要ひつようであり、アグロバクテリウムの感染かんせん効率こうりつ材料ざいりょう種類しゅるい状態じょうたいによって様々さまざま変化へんかする。

選択せんたくけい

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多数たすう細胞さいぼう材料ざいりょうとして、それらに遺伝子いでんし導入どうにゅうこころみても、それらのなかから極少きょくしょうすう形質けいしつ転換てんかんたいしかられないことがおおい。そのため、形質けいしつ転換てんかんたいのみを特異とくいてき選択せんたくする選択せんたくマーカー遺伝子いでんし目的もくてき遺伝子いでんし以外いがい同時どうじ導入どうにゅうする必要ひつようがある。選択せんたくマーカー遺伝子いでんし性質せいしつとしては、形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼうのみが生存せいぞん増殖ぞうしょくできるポジティブ選択せんたく可能かのうであり、さら形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼう形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼうとが混在こんざいしあったキメラ(chimera)を形成けいせいしにくいことがのぞましい。おおくの場合ばあいアミノグリコシドけい抗生こうせい物質ぶっしつカナマイシン(kanamycin)やG418ハイグロマイシンB(hygromycin B)などのたいせい遺伝子いでんし遺伝子いでんしぐみ作物さくもつにももちいられてきたが、現在げんざいでは後述こうじゅつあたらしい選択せんたくマーカー遺伝子いでんしやマーカー除去じょきょ技術ぎじゅつもちいられるようになった。

複製ふくせいけい

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導入どうにゅうされた遺伝子いでんし植物しょくぶつ細胞さいぼう細胞さいぼう分裂ぶんれつにあわせて複製ふくせいされなくては、一過いっかせい遺伝子いでんし発現はつげん(transient gene expression)となって、安定あんていした形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつることができない。そこで外来がいらい遺伝子いでんし複製ふくせいけい必要ひつようとなる。現在げんざい植物しょくぶつ場合ばあい外来がいらい遺伝子いでんし植物しょくぶつかくゲノムに挿入そうにゅうされて、かくゲノムの複製ふくせいにあわせて一緒いっしょ複製ふくせいされるようにすることが主流しゅりゅうである。また、プラスチドのDNAに外来がいらい遺伝子いでんしあいどうくみによって導入どうにゅうするけい存在そんざいする。

分化ぶんか再生さいせいけい

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外来がいらい遺伝子いでんし導入どうにゅうされた単一たんいつ形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼうより植物しょくぶつ個体こたい分化ぶんか再生さいせいするけいである。上記じょうきみっつのけい効率こうりつ高低こうていはあるがほぼ共通きょうつう手法しゅほうもちいることができる。しかし、このけいは、植物しょくぶつのホスト・ベクターけい構築こうちくするじょうで、このけい確立かくりつすればその植物しょくぶつ形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ個体こたいがえられるのとほぼおな意味いみつほど重要じゅうようなものである。おおくの場合ばあいオーキシンサイトカイニンなどの植物しょくぶつホルモンの濃度のうどえることによって植物しょくぶつ個体こたい再生さいせいさせている。しかし、材料ざいりょう状態じょうたい培養ばいよう開始かいしからの時間じかん材料ざいりょう成熟せいじゅくなどによっておおきく変化へんかする。おおくの場合ばあいカルスてカルスからシュートが分化ぶんかしてくる。そのシュートを発根はっこん培地ばいちいでから馴化じゅんかしてはちげする。なお、シロイヌナズナ(アラビドプシス: Arabidopsis thaliana)やそのきんえんのストレスたいせいつよThellungiella halophila (salt cress)などにおいては、未熟みじゅくはなつぼみをアグロバクテリウムかかにごえきにつけるフローラル・ディップ(floral dip)ほうや、はなつぼみにアグロバクテリウムかかにごえき噴霧ふんむしたりするフローラル・スプレー(floral spray)ほうもちいられており、それらの処理しょり植物しょくぶつたいよりられた種子しゅし選択せんたく培地ばいちじょう置床おきどこ発芽はつがさせ、そのなかから形質けいしつ転換てんかんたい選択せんたくしている。つまり、もともと分化ぶんかのう種子しゅし発芽はつがさせて選択せんたくするだけなので人為じんいてき再生さいせいけい必要ひつようとされない。フローラル・ディップほうやフローラル・スプレーほう適用てきようできる植物しょくぶつはまだ少数しょうすうではあるが、適用てきようできれば形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ操作そうさきわめて簡便かんべんされる。

その、カルスなどの分化ぶんか状態じょうたいでの形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ培養ばいようすることが目的もくてき場合ばあいには、分化ぶんか再生さいせいけい必要ひつようとされない。

植物しょくぶつ形質けいしつ転換てんかん操作そうさ手順てじゅん

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パーティクル・ガンほうによる手順てじゅん

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パーティクル・ガンほうによる一般いっぱんてき形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ操作そうさ手順てじゅんれい簡単かんたんしめす。

  1. 植物しょくぶつ導入どうにゅうしたい遺伝子いでんし選択せんたくマーカー遺伝子いでんし存在そんざいするDNA溶液ようえきとよくかかにごしたかね微粒子びりゅうしとを混和こんわしてエタノール沈殿ちんでんおこなう。
  2. 遠心えんしん分離ぶんりにより回収かいしゅうされたDNAでコートされたかね微粒子びりゅうしふうし、パーティクル・ガンにセットする。
  3. 無菌むきんてき植物しょくぶつもしくは滅菌めっきんした植物しょくぶつ断片だんぺんくき断片だんぺんなどの組織そしきへんをシャーレのなか固体こたい培地ばいちじょう置床おきどこしてパーティクル・ガンにセットしてから、かね微粒子びりゅうしむ。
  4. 植物しょくぶつ組織そしきをカルスを誘導ゆうどうする植物しょくぶつホルモンもふく選択せんたく培地ばいちぎ、選択せんたく培地ばいちじょう増殖ぞうしょくするカルスを選択せんたくする。
  5. 増殖ぞうしょくしたカルスをシュート分化ぶんかよう植物しょくぶつホルモンもふく選択せんたく培地ばいちぎ、シュートを分化ぶんかさせる。
  6. カルスからシュートを切除せつじょして、シュートを発根はっこんよう選択せんたく培地ばいちぎ、発根はっこんしたのちはちげして馴化じゅんかする。
  7. カルスが形成けいせいされたのちかく段階だんかい遺伝子いでんし導入どうにゅう確認かくにんする。

アグロバクテリウムほうによる手順てじゅん

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バイナリー・ベクターをもちいたアグロバクテリウムほうによる一般いっぱんてき形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ操作そうさ手順てじゅんれい簡単かんたんしめす。

  1. 小型こがたプラスミドのシャトル・ベクターじょうのT-DNA部分ぶぶん目的もくてき遺伝子いでんし挿入そうにゅうする。T-DNA部分ぶぶんには選択せんたくマーカー遺伝子いでんしふくまれている。
  2. くみわったプラスミドを大腸菌だいちょうきん導入どうにゅうして、大腸菌だいちょうきんちゅうやしてから回収かいしゅうし、挿入そうにゅう遺伝子いでんし確認かくにんする。
  3. 回収かいしゅうしたプラスミドを電気でんき穿孔せんこう(エレクトロポレーション: electroporation)ほうさんおや接合せつごう伝達でんたつほうなどを利用りようしてvir helper Ti plasmidをふくA. tumefaciens導入どうにゅうする。そのさい、シャトル・ベクターじょうのバクテリアでの選択せんたくマーカー遺伝子いでんし利用りようしてシャトル・ベクターが導入どうにゅうされたA. tumefaciens選択せんたくする。
  4. 選択せんたくしたA. tumefaciens液体えきたい培地ばいち増殖ぞうしょくさせてあつまりきんし、共存きょうぞん培養ばいよう培地ばいちかかにごする。
  5. 無菌むきんてき植物しょくぶつもしくは滅菌めっきんした植物しょくぶつ断片だんぺんくき断片だんぺんなどの組織そしきへんをシャーレのなかうつし、A. tumefaciens共存きょうぞん培養ばいようする。このさいに、アセトシリンゴンなどを添加てんかすると感染かんせん効率こうりつ上昇じょうしょうする。
  6. 共存きょうぞん培養ばいようわった植物しょくぶつ組織そしきへんをカルスを誘導ゆうどうする植物しょくぶつホルモンもふく選択せんたく培地ばいちぎ、選択せんたく培地ばいちじょう増殖ぞうしょくするカルスを選択せんたくする。この培地ばいちには、A. tumefaciens除菌じょきんするためのカルベニシリンやセフォタキシムなどの植物しょくぶつには影響えいきょうすくなく、アグロバクテリウムにはつよ作用さようする抗生こうせい物質ぶっしつふくまれている。
  7. 増殖ぞうしょくしたカルスをシュート分化ぶんかよう植物しょくぶつホルモンと除菌じょきんよう抗生こうせい物質ぶっしつふく選択せんたく培地ばいちぎ、シュートを分化ぶんかさせる。
  8. シュートを切除せつじょして、除菌じょきんよう抗生こうせい物質ぶっしつふく発根はっこんよう選択せんたく培地ばいちぎ、発根はっこんしたのちはちげして馴化じゅんかする。
  9. カルスが形成けいせいされたのち植物しょくぶつたいかく段階だんかい遺伝子いでんし導入どうにゅうA. tumefaciens除去じょきょ確認かくにんする。

プラスチド形質けいしつ転換てんかん

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プラスチド形質けいしつ転換てんかん(plastid transformation)とは、植物しょくぶつ細胞さいぼうかくゲノムにではなく、プラスチド・ゲノムに外来がいらいDNAを導入どうにゅうして形質けいしつえることである。プラスチドには、プラスチド・ゲノムが複数個ふくすうこ存在そんざいし、さら細胞さいぼうちゅうにプラスチドが多数たすう存在そんざいするため、細胞さいぼうたりすうせんコピーのプラスチド・ゲノムが存在そんざいすることもある。そのため、だい規模きぼ遺伝子いでんしりょう効果こうか(gene dosage effect)を期待きたいでき、かくゲノムに外来がいらい遺伝子いでんし導入どうにゅうしてタンパク質たんぱくしつ生産せいさんさせるよりもはるかに多量たりょう目的もくてきタンパク質たんぱくしつ生産せいさんさせることが可能かのうとなる場合ばあいがある。また、プラスチドの転写てんしゃ翻訳ほんやく機構きこう原核げんかく生物せいぶつがたなので、複数ふくすう外来がいらい遺伝子いでんし単一たんいつのポリシストロニック・オペロン(polycistronic operon)として導入どうにゅう可能かのうである。

プラスチド形質けいしつ転換てんかんにおける遺伝子いでんし導入どうにゅうけいとして、パーティクル・ガンほうもちいられている。導入どうにゅうされたDNA断片だんぺんあいどうくみえによるプラスチド・ゲノムとの遺伝子いでんし置換ちかんによってプラスチド・ゲノムにまれ、プラスチド・ゲノムの複製ふくせいわせて複製ふくせいされる。そのため、プラスチド形質けいしつ転換てんかんには、外来がいらいDNAがまれても影響えいきょうすくない、プラスチド・ゲノムの一部いちぶが、事前じぜんたんはなされている必要ひつようがある。つまり、植物しょくぶつしゅやプラスチド・ゲノムの種類しゅるいごと導入どうにゅうするために必要ひつようなベクターがことなることになる。具体ぐたいてきには、たんはなされたプラスチド・ゲノムの一部いちぶなか外来がいらいDNAが挿入そうにゅうされても影響えいきょうすくない部位ぶい選択せんたくマーカー遺伝子いでんしとも目的もくてき遺伝子いでんしのカセットが挿入そうにゅうされたDNAを調製ちょうせいする。これがパーティクル・ガンほう植物しょくぶつ細胞さいぼう導入どうにゅうされるとカセットの両側りょうがわ配列はいれつとプラスチド・ゲノムのそれらとのあいどう配列はいれつあいだカ所かしょあいどうくみえがてい頻度ひんどしょうじ、遺伝子いでんし置換ちかんによって外来がいらいDNAがプラスチド・ゲノムに挿入そうにゅうされる。このくみがたのプラスチド・ゲノムを選択せんたくてき増幅ぞうふくさせるための選択せんたくけい必要ひつようになる。遺伝子いでんし置換ちかんされたプラスチド・ゲノムはプラスチドちゅう野生やせいがたのプラスチド・ゲノムと混在こんざいした状態じょうたい(ヘテロプラスミー: heteroplasmy)であるが、選択せんたくかえしていくあいだにそのプラスチドにふくまれるゲノムDNAがすべぐみがたになった状態じょうたいとなり、さらにその細胞さいぼうちゅうふくまれるプラスチド全体ぜんたいくみがたになる(ホモプラスミー: homoplasmy)ことが期待きたいされる。プラスチド形質けいしつ転換てんかんにおいて細胞さいぼうちゅうぜんプラスチドをくみがたのホモプラスミーにするためには細胞さいぼう選択せんたく長期間ちょうきかんつづける必要ひつようがある。そのため、プラスチド形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつるために必要ひつよう時間じかんは、かくゲノムに外来がいらい遺伝子いでんし導入どうにゅうして形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつるよりもながくなる傾向けいこうがある。

プラスチド形質けいしつ転換てんかん選択せんたくけいとして、スペクチノマイシン(spectinomycin)と、大腸菌だいちょうきんトランスポゾンであるTn7由来ゆらいのスペクチノマイシンたいせい遺伝子いでんしaadAもちいられることがおおい。

あたらしい選択せんたくマーカー遺伝子いでんし選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょけい利用りよう

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医療いりょうよう畜産ちくさんよう抗生こうせい物質ぶっしつたいするたいせいマーカー遺伝子いでんし利用りよう制限せいげん

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現在げんざい遺伝子いでんしぐみ手法しゅほうにおいて、多数たすう細胞さいぼう材料ざいりょうとしてそのなかから極少きょくしょうすう形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼう選択せんたくする操作そうさもちいられることがおおい。そのため、形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼう選択せんたくするための選択せんたくマーカー遺伝子いでんし発現はつげん指標しひょうとして形質けいしつ転換てんかんたい選択せんたくしている。この植物しょくぶつ選択せんたくマーカー遺伝子いでんしくみ作物さくもつにおいてもカナマイシン(kanamycin)などのアミノグリコシド(aminoglycoside)けい抗生こうせい物質ぶっしつたいせいあたえる遺伝子いでんしもちいられることがおおかった。そこに、社会しゃかい政策せいさくてき問題もんだい形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ選択せんたくけいにも影響えいきょうをおよぼした。EUは2004ねんまつをもって医療いりょうよう家畜かちくようもちいられる抗生こうせい物質ぶっしつたいするたいせい遺伝子いでんし形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ細胞さいぼう選択せんたく禁止きんしした。そして、今後こんご、EUで販売はんばいされる遺伝子いでんしぐみ植物しょくぶつ食品しょくひん選択せんたくマーカー遺伝子いでんしもちいられているか、選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょされていなくてはならないとした(European Parliament 2001)[134]形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ選択せんたくマーカー遺伝子いでんし基本きほんてきには形質けいしつ転換てんかんたい選択せんたくという育種いくしゅきょく初期しょきもちいられるにぎない。

しかし、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいは、くみ作物さくもつつカナマイシンたいせい遺伝子いでんし(NPTII: aminoglycoside (neomycin) phosphotransferase遺伝子いでんし) やハイグロマイシンBたいせい遺伝子いでんし(hpt: hygromycin phosphotransferase遺伝子いでんし)などの抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんしちょうない細菌さいきんごくひく頻度ひんどであってもまれる可能かのうせいがあるとし、これを批判ひはん根拠こんきょひとつとしていた。そこで、除草じょそうざいとしてもちいられているビアラホス(bialaphos: phosphinothricinとなって作用さよう)のよう農業のうぎょうよう抗生こうせい物質ぶっしつ医療いりょうよう畜産ちくさんようにほとんどもちいられていない抗生こうせい物質ぶっしつのぞいて、医療いりょうよう畜産ちくさんようこう生物せいぶつたいするたいせい遺伝子いでんし選択せんたくマーカーとして利用りようすることを規制きせいしたわけである。その結果けっかあらたな選択せんたくマーカー遺伝子いでんし利用りようした選択せんたくけいもちいられるようになった。さらに、はじめの選択せんたくでは抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんし選択せんたくマーカー遺伝子いでんしとして利用りようするが、のちにその抗生こうせい物質ぶっしつたいせい遺伝子いでんしかけしっさせる手法しゅほう開発かいはつされた。ただし、カナマイシンたいせい付与ふよする遺伝子いでんしnptIIは、自然しぜんかいひろひろがって存在そんざいしており、カナマイシン自体じたい医薬いやくとしての使用しようごくまれか、もしくは使用しようされていないという理由りゆう規制きせいがいとなっている[28]

なお、EU予算よさんによって設立せつりつ運営うんえいされている独立どくりつ機関きかんであるEuropean Food Safety Authority (EFSA)は、"EFSA evaluates antibiotic resistance marker genes in GM plants" (News Story 11 June 2009)において、"In their joint opinion, the GMO and BIOHAZ Panels concluded that transfers of ARMG (antibiotic resistance marker genes) from GM plants to bacteria have not been shown to occur either in natural conditions or in the laboratory."とあるように遺伝子いでんしぐみ植物しょくぶつからバクテリアへの抗生こうせい物質ぶっしつたいせいマーカー遺伝子いでんし移行いこう自然しぜん条件下じょうけんかでも実験じっけんしつでも観察かんさつできなかったと発表はっぴょうしている。

抗生こうせい物質ぶっしつたいせい以外いがいあらたな選択せんたくマーカー遺伝子いでんし

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あらたな選択せんたくマーカー遺伝子いでんしなかには、植物しょくぶつ利用りようできない炭素たんそげんまたは解毒げどくできるようにするものがある。

D-amino acid oxidase (DAAO)
DAAO(EC 1.4.3.3, 反応はんのう)は赤色あかいろ酵母こうぼRhodotorula gracilis由来ゆらいDAO1にコードされているものを利用りようおおくのD-アミノ酸あみのさん(D-amino acids)をαあるふぁ-ケトさん(αあるふぁ-keto acids: 2-オキソさん(2-oxo acids))に変換へんかんできる。D-アラニン(D-Ala), D-セリン(D-Ser)は毒性どくせいち、DAAOによって解毒げどくされるため、形質けいしつ転換てんかんたいをpositive selectionできる。(D-Alaからピルビンさん(pyruvate), D-Serから3-ヒドロキシピルビンさん(3-hydroxy pyruvate)へ解毒げどくαあるふぁくらい炭素たんそ光学こうがく活性かっせいくなる。)。D-イソロイシン(D-Ile), D-バリン(D-Val)の毒性どくせいひくいが、それらのαあるふぁ-ケトさん毒性どくせいつ。そのため、部位ぶい特異とくいてきくみえによりDAO1形質けいしつ転換てんかんたいから除去じょきょされたくみたいをnegative selection可能かのうである。また、後述こうじゅつのcotransformationにおいては、この酵素こうそ遺伝子いでんしだけを選択せんたくマーカー遺伝子いでんしとしてもちいても培地ばいちくわえるD-アミノ酸あみのさんえるだけでpositive selectionもnegative selectionもをおこなえる。
phosphomannose isomerase (PMI)
フルクトース-6-リンさんかいとうけいなかあいだ代謝たいしゃぶつであり、マンノース-6-リンさんをフルクトース-6-リンさん変換へんかんできれば、唯一ゆいいつ炭素たんそげんとして生育せいいくできることになる。おおくの植物しょくぶつPMI(EC 5.3.1.8, 反応はんのう)を所持しょじせず、マンノース-6-リンさんをフルクトース-6-リンさん変換へんかんできない。そのため、マンノース(mannose)を選択せんたく培地ばいちちゅう唯一ゆいいつ炭素たんそげんとした場合ばあい植物しょくぶつはマンノースをできないが、大腸菌だいちょうきんEscherichia coli由来ゆらいのPMI遺伝子いでんしpmi導入どうにゅうされた形質けいしつ転換てんかんたいはマンノースをかいとうけい導入どうにゅうできるため、生育せいいく可能かのうとなる。なお、培地ばいちからまれたマンノースは植物しょくぶつヘキソース・キナーゼ(hexose kinase)(ヘキソキナーゼ: hexokinaseとも記述きじゅつされる: EC 2.7.1.1 (反応はんのう), EC 2.7.1.2 (反応はんのう))によってマンノース-6-リンさん変換へんかんされる。
2-deoxyglucose 6-phosphate phosphatase
2-deoxyglucose (2DOG)はグルコースの2炭素たんそ水酸基すいさんき水素すいそ原子げんし置換ちかんされたグルコースのアナログである。2DOGはヘキソース・キナーゼによって6炭素たんそ水酸基すいさんきがリン酸化さんかされ、2-deoxyglucose 6-phosphateになるが、それ以上いじょうかいとうけい酵素こうそ基質きしつとはならない。おおくの植物しょくぶつにとって、2DOGはかいとうけい阻害そがいざいであり、細胞さいぼう成長せいちょう阻害そがいする。そこで、2DOGたいせい酵母こうぼから2-deoxyglucose 6-phosphate phosphataseの遺伝子いでんしたんはなし、植物しょくぶつ発現はつげんさせたところ、2DOGたいせいとなった。
D-arabitol 4-dehydrogenase
D-arabitol 4-dehydrogenase(EC 1.1.1.11, 反応はんのう)により植物しょくぶつにアラビトール(D-arabitol)のう導入どうにゅうする。
phosphite oxidoreductase
phosphite oxidoreductase(EC 1.20.1.1, 反応はんのう)はリンさんリンさん酸化さんかできる。植物しょくぶつリンさんリンみなもととして利用りようできないため、リンげんとしてリンさんのみが存在そんざいする場合ばあい生育せいいくできない。しかし、バクテリア由来ゆらいのphosphite oxidoreductaseの遺伝子いでんし導入どうにゅうされた形質けいしつ転換てんかん細胞さいぼう形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ生育せいいくできることを利用りようした選択せんたくけいである[135]リンさん安価あんかであるため、安価あんか形質けいしつ転換てんかんたい選択せんたくできる。さらに、リンさんふくまずリンさんふく培養ばいようで、形質けいしつ転換てんかんたい形質けいしつ転換てんかんたい種子しゅし混在こんざいしているものから形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつたいだけを選択せんたく可能かのうである。

選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょけい

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その選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょするけい利用りようするものもある。

cotransformation
抗生こうせい物質ぶっしつたいせいなどの選択せんたくマーカー遺伝子いでんし目的もくてき遺伝子いでんし別々べつべつのDNA断片だんぺんとして導入どうにゅうして、選択せんたくマーカー遺伝子いでんし選択せんたくした形質けいしつ転換てんかんたいなかから目的もくてき遺伝子いでんし選択せんたくマーカー遺伝子いでんし植物しょくぶつ細胞さいぼうのゲノムの別々べつべつ部位ぶいまれたものを選択せんたくして、後代こうだいをとり目的もくてき遺伝子いでんしつが選択せんたく遺伝子いでんしたないものを選択せんたくするというもの。外来がいらい遺伝子いでんし能力のうりょくコンピテントセル(competent cell)がかぎられていることを利用りようする手法しゅほうである。この手法しゅほうには、後代こうだいをとるという過程かていふくまれているため、この手法しゅほう果樹かじゅはやしなどのヘテロ接合せつごうせいつよ植物しょくぶつしゅたいする適用てきよう限定げんていてきになってしまう。つまり、かく遺伝子いでんしのヘテロ接合せつごうせいつよいと、たとえ自家じか受粉じゅふんであったとしてもおや品種ひんしゅとはまったことなった形質けいしつ後代こうだいあらわれてしまうため、おや品種ひんしゅ品種ひんしゅ改良かいりょう遺伝子いでんし解析かいせきという目的もくてきたすことが困難こんなんになるからである。なお、イネやダイズなど自家じか受粉じゅふんかえした結果けっか、ホモ接合せつごうせいつよ作物さくもつであれば、後代こうだいをとってもゲノムの遺伝子いでんし構成こうせいおや品種ひんしゅとほとんどわらないため、問題もんだいにくい。
MAT vectorほう
日本製紙にほんせいし株式会社かぶしきがいしゃ開発かいはつしたMulti-Auto-Transformationのりゃくである。いろいろなタイプがあるが、サイトカイニン(cytokinin)合成ごうせい遺伝子いでんし(iptZ)とたい塩性えんせい酵母こうぼである醤油じょうゆ酵母こうぼZygosaccharomyces rouxii内在ないざいせいプラスミドpSR1の部位ぶい特異とくいてきぐみ酵素こうそとその標的ひょうてき配列はいれつじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつ(direct repeats)として利用りようしているものの説明せつめいをする。植物しょくぶつホルモン一種いっしゅであるサイトカイニンはいただき優勢ゆうせい打破だはするために、サイトカイニンがおおいとがわ次々つぎつぎびてたい植物しょくぶつ形成けいせいする。iptZ部位ぶい特異とくいてきぐみ酵素こうそ遺伝子いでんし標的ひょうてき配列はいれつじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつかこみ、その外側そとがわ目的もくてき遺伝子いでんし配置はいちしたDNA(「目的もくてき遺伝子いでんし+ 反復はんぷく配列はいれつ + iptZ + 部位ぶい特異とくいてきぐみ酵素こうそ遺伝子いでんし + 反復はんぷく配列はいれつ」カセット)を植物しょくぶつ細胞さいぼう導入どうにゅうすると、サイトカイニンが過剰かじょう生産せいさんされ、たい形成けいせいされる。そのなかから、部位ぶい特異とくいてきぐみ酵素こうそ遺伝子いでんし標的ひょうてき配列はいれつじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつ作用さようしてiptZ部位ぶい特異とくいてきぐみ酵素こうそ遺伝子いでんし除去じょきょされ、目的もくてき遺伝子いでんしのこったもの(「目的もくてき遺伝子いでんし+ 反復はんぷく配列はいれつ」カセット)を保持ほじするシュートが正常せいじょういただき優勢ゆうせいしめ表現ひょうげんがたのものとしてられる。それを目的もくてき遺伝子いでんしのみを所持しょじするものか検定けんていして、確認かくにんする。
Cre-loxP system
バクテリオファージP1の部位ぶい特異とくいてきぐみ酵素こうそであるCreとその標的ひょうてき配列はいれつloxP (5'-ATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTAT-3')を2つじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつとしてもちいて、loxPじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつあいだ選択せんたくマーカー遺伝子いでんしふく配列はいれつ特異とくいてき除去じょきょするけい利用りようしたものである。(基本きほん原理げんりとうについてはCre-loxP部位ぶい特異とくいてきぐみ参照さんしょうすること。)Cre-loxP systemもちいた手法しゅほうにはいくつかのものがあり、そのうちの2つを紹介しょうかいする。まず1つめは交配こうはい利用りようしたものである。導入どうにゅうしたい目的もくてき遺伝子いでんしloxPじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつ外側そとがわに、選択せんたくマーカー遺伝子いでんしloxPじゅん方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつ内側うちがわ配置はいちして、「目的もくてき遺伝子いでんし+ loxP + 選択せんたくマーカー遺伝子いでんし + loxP」カセットを作製さくせいし、それを植物しょくぶつ導入どうにゅうして形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつをつくる。つぎに、それとCreを生産せいさんするようにcre遺伝子いでんし導入どうにゅうされた形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ交配こうはいして、「目的もくてき遺伝子いでんし+ loxP + 選択せんたくマーカー遺伝子いでんし + loxP」カセットと「cre遺伝子いでんし」カセットの双方そうほう後代こうだいる。そのだい細胞さいぼうなかには、loxP あいだくみえがしょうじた結果けっか選択せんたくマーカー遺伝子いでんし部分ぶぶんがループアウトして除去じょきょされのこされた「目的もくてき遺伝子いでんし+ loxP」カセットと「cre遺伝子いでんし」カセットの双方そうほうつようになった細胞さいぼうあらわれる。そこで、その交配こうはいかぶから後代こうだいて、そのなかから「cre遺伝子いでんし」カセットをたないが「目的もくてき遺伝子いでんし+ loxP」カセットのみをつものを選択せんたくすると選択せんたくマーカー遺伝子いでんし除去じょきょされた個体こたいられる。2つめは特異とくいてき化合かごうぶつ誘導ゆうどうせいプロモーターを利用りようしたものである。「目的もくてき遺伝子いでんし+ loxP + 選択せんたくマーカー遺伝子いでんし + 特異とくいてき化合かごうぶつ誘導ゆうどうせいプロモーター+ cre + loxP」カセットを作製さくせい植物しょくぶつたい導入どうにゅうする。特異とくいてき化合かごうぶつ誘導ゆうどうせいプロモーターとして植物しょくぶつ通常つうじょうせっすることのないテトラサイクリンエストラジオールとうしつコルチコイドなどで誘導ゆうどうされるものを利用りようした場合ばあい、それらの化合かごうぶつ形質けいしつ転換てんかんたい処理しょりするとloxPあいだくみえがしょうじて「目的もくてき遺伝子いでんし+ loxP」となったものがられる。

しん技術ぎじゅつ(ジーン・ターゲッティング)の導入どうにゅう

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その現在げんざいジーン・ターゲッティングほうもちいて遺伝子いでんし置換ちかん植物しょくぶつ応用おうようするこころみがすすんでいる。植物しょくぶつあいどうくみ活性かっせいひくく、内在ないざいせい遺伝子いでんし配列はいれつ類似るいじせいたかいDNA断片だんぺん導入どうにゅうしても内在ないざいせい遺伝子いでんしほとんしょうどうくみえをこさず、あいどうくみによって標的ひょうてき以外いがいまれるものがだい部分ぶぶんである。そこで様々さまざま工夫くふう必要ひつようとなる。

ALS遺伝子いでんし特異とくいてき置換ちかん

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ひとつのれいが、pyrimidinyl carboxyけい除草じょそうざいであるbispyribacへのたいせいしめすイネの開発かいはつである。前記ぜんきの「除草じょそうざいたいせい作物さくもつ」の小節しょうせつべたsulfonylureaけい除草じょそうざい同様どうように、この除草じょそうざい分岐ぶんきくさりアミノ酸あみのさん(branched chain amino acids, BCAA)なま合成ごうせいけい酵素こうそ一種いっしゅであるacetolactate synthase (ALS)の阻害そがいざいである。イネのある変異へんいたいは、ALSの2カ所かしょアミノ酸あみのさんざんもと変異へんいによってbispyribacにたいして高度こうどたいせいしめす。そこで、あいどうくみえによるたいせい形質けいしつ転換てんかんたい除去じょきょするためにpromoterとALSのN(アミノ)まつはしがわ配列はいれつかけしっしたイネ由来ゆらい変異へんいがたALSをイネに導入どうにゅうしてたいせいになったあいどうくみえによる遺伝子いでんし置換ちかんたいたんはなした。そのhomo接合せつごうたいいちじるしくbispyribacにたいしてたいせいとなっていた[136]

この過程かてい変異へんいがたALSのpromoterとALSのN末端まったんがわ配列はいれつかけしっしたものをもちいているのは重要じゅうようである。promoterとALSのN末端まったんがわ配列はいれつふく完全かんぜん変異へんいがたALSもちいればゲノムの本来ほんらいALS以外いがいのところにあいどうくみえによって挿入そうにゅうされてもbispyribacたいせいになってしまう。また、promoterのみを除去じょきょ開始かいしコドンから完全かんぜん変異へんいがたALSタンパク質たんぱくしつコード領域りょういき(翻訳ほんやく領域りょういき、ORF)をふくんでいるものをもちいれば、ほとんどのあいどうくみえによるbispyribacたいせいかぶ除去じょきょできるはずであるが、T-DNA taggingにもちいられているようにAgrobacterium(アグロバクテリウム)ほうではT-DNAはかなりのこう頻度ひんど転写てんしゃ活性かっせいたか領域りょういき挿入そうにゅうされるため、なんらかの遺伝子いでんしのpromoter下流かりゅう挿入そうにゅうされ、その転写てんしゃ方向ほうこう挿入そうにゅう断片だんぺんのセンスくさり方向ほうこう一致いっちすればbispyribacたいせいかぶしょうじる可能かのうせいがある。そこで、promoterとN末端まったんがわ配列はいれつかけしっしたものをもちいれば、あいどうくみえによるbispyribacたいせい形質けいしつ転換てんかんたいによるバックグラウンドをほぼ排除はいじょできるわけである。

この遺伝子いでんし置換ちかんたい基本きほんてき標的ひょうてきとなったALS配列はいれつのみが野生やせいがた一部いちぶことなるだけであり、選択せんたくマーカー遺伝子いでんし存在そんざいしないため、突然変異とつぜんへんいにより育種いくしゅされたものと区別くべつがつかない。このことは遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん実質じっしつてき同等どうとうせい確保かくほするじょうおおきな意味いみつ。

任意にんい遺伝子いでんし特異とくいてき置換ちかん遺伝子いでんし破壊はかい

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また、変異へんいがたALSのようなそれ自体じたい選択せんたくマーカーとなる遺伝子いでんしだけでなく、任意にんい遺伝子いでんし遺伝子いでんし置換ちかんにより遺伝子いでんし破壊はかいする方法ほうほう開発かいはつされた。これらの方法ほうほうゲノム編集へんしゅう手法しゅほう一部いちぶである。あいどうくみえがしょうじやすい生物せいぶつしゅにおいて、あいどうくみえによる遺伝子いでんし置換ちかんたいるための方法ほうほうおおきくふたつにけられる。ひとつは、あいどうくみたい死滅しめつするが、あいどうくみえによる遺伝子いでんし置換ちかんたい生存せいぞんできるようにして遺伝子いでんし置換ちかんたい濃縮のうしゅくする方法ほうほうである。もうひとつの方法ほうほうは、配列はいれつ特異とくいてきあいどうくみ効率こうりつ向上こうじょうさせる方法ほうほうである。

前者ぜんしゃ方法ほうほうとして、diphtheria toxinの遺伝子いでんし利用りようしているものがある。これは、diphtheria toxinがかく生物せいぶつ細胞さいぼうしつ蛋白質たんぱくしつ合成ごうせい阻害そがいするため、diphtheria toxinを生産せいさんするかく細胞さいぼう死滅しめつすることを利用りようしている。Agrobacteriumほうによる形質けいしつ転換てんかんにおいてT-DNAのright borderとleft borderの内側うちがわ近傍きんぼうにネガティブ選択せんたくマーカーとしてはたらくdiphtheria toxin-A(ジフテリアどくA)遺伝子いでんし1個いっこずつぎゃく方向ほうこう反復はんぷく配列はいれつ(inverted repeats)として配置はいちし、さらにその内側うちがわ遺伝子いでんし破壊はかいしたい配列はいれつあいどう配列はいれつとポジティブ選択せんたくマーカー遺伝子いでんし挿入そうにゅうすることによって、あいどうくみえをこしたもののみ生存せいぞんできるようにしたものである。あいどうくみえによって2のdiphtheria toxin-A遺伝子いでんし除去じょきょされポジティブ選択せんたくマーカー遺伝子いでんし導入どうにゅうされた細胞さいぼう生存せいぞん可能かのうであるが、あいどうくみえによって標的ひょうてき遺伝子いでんし以外いがいのところにright borderとleft borderとともにdiphtheria toxin-A遺伝子いでんし導入どうにゅうされた細胞さいぼう死滅しめつするとかんがえられる。ただし、この方法ほうほうによってもイネにおいて選択せんたくされた形質けいしつ転換てんかんたいのうち目的もくてきとする遺伝子いでんし破壊はかいたい頻度ひんどは1.9%であった[137]さらなる効率こうりつ上昇じょうしょうかんする研究けんきゅう必要ひつようである。

後者こうしゃ方法ほうほうとして、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFNs)やTranscription Activator-Like Effector Nuclease (TALENs)やメガヌクレアーゼ(meganuclease)を利用りようして、配列はいれつ特異とくいてきあいどうくみ頻度ひんど上昇じょうしょうさせ、植物しょくぶつにおける遺伝子いでんし置換ちかん効率こうりつたかめる研究けんきゅうがある[138][139][140]。DNAほんくさり切断せつだん修復しゅうふくする過程かていでその切断せつだん近傍きんぼうのDNAのあいどうくみ効率こうりつ上昇じょうしょうする。ゲノムちゅう任意にんい部位ぶいだけを特異とくいてき切断せつだんしゲノムのほか部位ぶい切断せつだんしないような酵素こうそなが認識にんしき配列はいれつ必要ひつようとするため、通常つうじょう制限せいげん酵素こうそでは対応たいおうできない。そこで、認識にんしき切断せつだんさせたいながいDNA配列はいれつ切断せつだんできる酵素こうそ人為じんいてき設計せっけいできるものでなくてはならない。それらの条件じょうけんたすものとしてZFNsやTALENsがげられる。置換ちかんしたい遺伝子いでんし領域りょういきない特異とくいてき配列はいれつ認識にんしきできるよう設計せっけいされた人工じんこうてきなZFNsなどを植物しょくぶつちゅう誘導ゆうどうせいプロモーターなどを利用りようして生産せいさんさせるとその特異とくいてき配列はいれつふく領域りょういきでDNAほんくさり切断せつだんしょうじる。そのときに置換ちかんしたい領域りょういきあい同性どうせいのあるDNA断片だんぺん導入どうにゅうされているとそれを鋳型いがたとしたDNA修復しゅうふくしょうじ、あいどうくみえによる遺伝子いでんし置換ちかんしょうじることになる。この方法ほうほう人為じんいてきDNAほんくさり切断せつだんともなわない、前述ぜんじゅつ方法ほうほうより遺伝子いでんし置換ちかん効率こうりつ上昇じょうしょうさせることができる。しかし、ZFNsの配列はいれつ認識にんしきあまさによる標的ひょうてき配列はいれつ以外いがい切断せつだんもあるため、ZFNsの改良かいりょうがなお必要ひつようである。また、ZFNsなどとともにエキソヌクレアーゼヘリカーゼ発現はつげんさせることによりあいどうくみ効率こうりつさらたかめることができる。

なお、DNAほんくさり切断せつだんしょうじたのちあいどうくみえがしょうじないとNHEJ(non-homologous end joining: あいどう末端まったん結合けつごう)がしょうじる場合ばあいがある。その場合ばあいは、遺伝子いでんし破壊はかい(ノックアウト)がしょうじることになる。

ZFNsやTALENs以外いがいにも原核げんかく生物せいぶつ外来がいらいDNA排除はいじょ機構きこうかかわるCRISPR/Cas9をもちいたけいがゲノム編集へんしゅう利用りようされはじめている(ゲノム編集へんしゅうコンソーシアム)。CRISPR/Cas9けいでは、特定とくていDNA配列はいれつ認識にんしきするガイドRNAに対応たいおうする合成ごうせいDNAをベクターに挿入そうにゅうするだけである。そのため、複数ふくすうのジンクフィンガー・モチーフをわせて作成さくせいされるZFNsを作製さくせいするよりも簡便かんべん短時間たんじかん人工じんこうエンドヌクレアーゼけい構築こうちく可能かのうである。

遺伝子いでんし利用りよう制限せいげん技術ぎじゅつ

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遺伝子いでんし利用りよう制限せいげん技術ぎじゅつ(GURTs: gene use restriction technologies)または遺伝いでんてき利用りよう制限せいげん技術ぎじゅつ(GURTs: genetic use restriction technologies)とは、特異とくいてき化合かごうぶつによる遺伝子いでんし発現はつげん誘導ゆうどうけい配列はいれつ特異とくいてきくみ酵素こうそとその標的ひょうてき配列はいれつ利用りようした遺伝子いでんし発現はつげん形質けいしつ人為じんいてき制御せいぎょする技術ぎじゅつである。この技術ぎじゅつのことを、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ反対はんたい形質けいしつ(trait)を制御せいぎょすることにかこつけて「裏切うらぎもの(traitor)」とよぶことがある。この技術ぎじゅつ利用りようすれば、次世代じせだい種子しゅしから導入どうにゅうされた遺伝子いでんし除去じょきょしたり、必要ひつようないときまでは形質けいしつあらわれないがその形質けいしつ必要ひつよう場合ばあいには特定とくてい化合かごうぶつ処理しょりすると形質けいしつ誘導ゆうどうしたりできる。また、いわゆる「ターミネーター技術ぎじゅつ」もこのおう用例ようれいである。

特異とくいてき化合かごうぶつによる遺伝子いでんし発現はつげん誘導ゆうどうけい

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外部がいぶからあたえた化合かごうぶつによって遺伝子いでんし発現はつげん誘導ゆうどうするために開発かいはつされた。遺伝子いでんし発現はつげん制御せいぎょにはトランス転写てんしゃ因子いんしシスエレメント関与かんよしている。トランス転写てんしゃ因子いんしはドメイン(domain)構造こうぞうをとっており、それらはシスエレメントである特定とくていのDNA配列はいれつ認識にんしきして結合けつごうするDNA結合けつごう領域りょういきや、転写てんしゃ活性かっせい関与かんよするトランス活性かっせい領域りょういきや、シグナルを検知けんちして転写てんしゃ活性かっせいのう制御せいぎょするシグナル検知けんち領域りょういきなどにけることができる。これらのドメインをべつのトランス転写てんしゃ因子いんしのドメインと交換こうかんすることにより、べつのDNA配列はいれつ結合けつごうさせたり、べつのシグナルによって転写てんしゃ活性かっせい制御せいぎょできたりする場合ばあいがある。そこで、外部がいぶからあたえる化合かごうぶつをシグナルとする人工じんこうのトランス転写てんしゃ因子いんしとシスエレメントのけい開発かいはつされた。

人工じんこうのトランス転写てんしゃ因子いんしもとめられる条件じょうけんとして、

  • 人工じんこうのトランス転写てんしゃ因子いんし活性かっせい制御せいぎょするシグナルとなるインデューサーアクチベーターとして特異とくいてき化合かごうぶつ必要ひつようであり、それらは植物しょくぶつ生活せいかつたまきなか合成ごうせいされず、さらせっする可能かのうせいひく化合かごうぶつであること。
  • 人工じんこう転写てんしゃ因子いんし結合けつごうして転写てんしゃ制御せいぎょする、プロモーターのシスエレメントとなるDNA配列はいれつ植物しょくぶつ存在そんざいしないもの。植物しょくぶつ元々もともともちいているようなシスエレメントを利用りようすると、植物しょくぶつ予定よていがい影響えいきょうおよぼす可能かのうせいたかくなる。そこで、進化しんかてきはなれたバクテリアなどのシスエレメントを利用りようすると、植物しょくぶつ自身じしん本来ほんらいっているトランス転写てんしゃ因子いんしとバクテリア由来ゆらいのシスエレメントとが相互そうご作用さようする可能かのうせいひくくなる。

げられる。上記じょうき条件じょうけんたすために、バクテリア由来ゆらいのシスエレメントと結合けつごうするDNA結合けつごう領域りょういきアミノ酸あみのさん配列はいれつ特異とくいてき化合かごうぶつ結合けつごうして転写てんしゃ因子いんし活性かっせい制御せいぎょするシグナル検知けんち領域りょういきアミノ酸あみのさん配列はいれつおよび、トランス転写てんしゃ活性かっせい領域りょういきアミノ酸あみのさん配列はいれつとのみっつの領域りょういき融合ゆうごうした人工じんこうキメラ・トランス転写てんしゃ因子いんし合成ごうせいされている。現在げんざいでは、テトラサイクリンエストラジオールとうしつコルチコイドなどによる遺伝子いでんし発現はつげん誘導ゆうどうけい開発かいはつされている。

  • テトラサイクリン誘導ゆうどうけい大腸菌だいちょうきんトランスポゾンTn10存在そんざいするテトラサイクリンたいせいオペロン(tetオペロン)の発現はつげんは、リプレッサーであるTetR(アミノ酸あみのさん配列はいれつ)とオペレーターであるtetO (5'-TCCCTATCAGTGATAGAGAA-3')によってまけ制御せいぎょされている。テトラサイクリン存在そんざいではTetRは活性かっせいがたtetO結合けつごうして転写てんしゃ阻害そがいしているが、テトラサイクリン存在そんざいでは活性かっせいがたとなりtetOから解離かいりする。つまり、テトラサイクリンがtetオペロンのインデューサーである。そこで植物しょくぶつちゅう構成こうせいてき発現はつげんする遺伝子いでんしのプロモーターの下流かりゅうにTetRの遺伝子いでんしtetR結合けつごうしたものと、それとはべつべつのプロモーターの下流かりゅうtetO複数個ふくすうこ連結れんけつするとともにさらにその下流かりゅう発現はつげん誘導ゆうどうしたい遺伝子いでんし結合けつごうしたものをわせたものから構築こうちくされている。tetO複数個ふくすうこ連結れんけつしている理由りゆうはTetRの結合けつごう効率こうりつたかめて、テトラサイクリン存在そんざいでの遺伝子いでんし発現はつげん抑制よくせい効果こうかたかめるためである。テトラサイクリンをインデューサーとして投与とうよすることによってtetO下流かりゅう遺伝子いでんし誘導ゆうどうされる。なお、インデューサーとしてはテトラサイクリンよりもドキシサイクリンほう誘導ゆうどうせいたかい。なお、このけいはキメラ・トランス転写てんしゃ因子いんしもちいたアクチベーターがたのものではなく、リプレッサーがたである。
  • エストラジオール誘導ゆうどうけい:DNA結合けつごう領域りょういきとして大腸菌だいちょうきんのSOSレギュロン(regulon)のリプレッサーであるLexA(アミノ酸あみのさん配列はいれつ)のだい1-87アミノ酸あみのさんざんもと配列はいれつ単純たんじゅんヘルペスウイルス(HSV: Herpes Simplex Virus)由来ゆらいのVP16(アミノ酸あみのさん配列はいれつ)のトランス転写てんしゃ活性かっせい領域りょういき(だい403-479アミノ酸あみのさんざんもと配列はいれつ)、ヒト・エストロゲン受容じゅようたいのシグナル検知けんち領域りょういき(だい282-595アミノ酸あみのさんざんもと配列はいれつ)を融合ゆうごうしてつくられた合成ごうせい転写てんしゃ活性かっせい因子いんしXVE(アミノ酸あみのさん配列はいれつ)と、本来ほんらいはLexAが結合けつごうするオペレーターであるSOS box (5'-TACTGTATATATATACAGTA-3')をXVEが結合けつごうするシスエレメントとし、CaMV 35S最小さいしょうプロモーターのTATAボックス(TATA box)の上流じょうりゅうにSOS boxを複数個ふくすうこはいした転写てんしゃ誘導ゆうどうけいである[141][142][143]。CaMV 35S最小さいしょうプロモーターにはエストラジオールが存在そんざいしないとほとんど転写てんしゃ活性かっせいがない。しかし、XVEとエストラジオールが結合けつごうするとXVEはSOS boxと結合けつごうして下流かりゅうのCaMV 35S最小さいしょうプロモーターの転写てんしゃ活性かっせい強力きょうりょく誘導ゆうどうする。つまり、せい制御せいぎょけいである。
  • デキサメタゾン誘導ゆうどうけい:DNA結合けつごう領域りょういきおよびシグナル検知けんち領域りょういきとしてTetR(1-208アミノ酸あみのさんざんもと)と、べつのシグナル検知けんち領域りょういきとしてラットのとうしつコルチコイド受容じゅようたい(GR: glucocorticoid receptor)のホルモン結合けつごう領域りょういき(512-794アミノ酸あみのさんざんもと)と、HSVのVP16のトランス転写てんしゃ活性かっせい領域りょういき(363-490アミノ酸あみのさんざんもと)の融合ゆうごう蛋白質たんぱくしつTGVとtetO利用りようして、デキサメタゾン誘導ゆうどう、テトラサイクリンで抑制よくせいするけいである[144][145]。TetRが結合けつごうするオペレーターであるtetOをTGVが結合けつごうするシスエレメントとし、CaMV 35S最小さいしょうプロモーターのTATAボックス上流じょうりゅうtetO複数個ふくすうこはいしてある。テトラサイクリンもデキサメタゾンも存在そんざいではCaMV 35S最小さいしょうプロモーターの転写てんしゃ活性かっせいはほとんどない。テトラサイクリン存在そんざいでかつデキサメタゾン存在そんざいではTGVにデキサメタゾンが結合けつごうしたものがtetO結合けつごうして、転写てんしゃ強力きょうりょく誘導ゆうどうされる。そこにテトラサイクリンが添加てんかされるとTGV-デキサメタゾン-テトラサイクリンふく合体がったいとなってtetOから遊離ゆうりするため転写てんしゃ抑制よくせいされる。

上記じょうき化学かがく物質ぶっしつによる遺伝子いでんし発現はつげん制御せいぎょけいもちいて、配列はいれつ特異とくいてきぐみ酵素こうそ生産せいさん制御せいぎょしてin vivo形質けいしつ改変かいへんする技術ぎじゅつ(遺伝子いでんし利用りよう制限せいげん技術ぎじゅつ)が開発かいはつされた。その配列はいれつ特異とくいてきぐみ酵素こうそとその標的ひょうてき配列はいれつとしてCreとloxP酵母こうぼの2-μみゅーm DNAや醤油じょうゆ酵母こうぼのpSR1のくみ酵素こうそとそれらの標的ひょうてき配列はいれつもちいられている。そのおう用例ようれいげる。

いわゆる「ターミネーター技術ぎじゅつ

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次世代じせだい種子しゅし発芽はつが抑制よくせい技術ぎじゅつである。自家じか受粉じゅふんする作物さくもつでは、くみ品種ひんしゅからの契約けいやくがい自家じか採種さいしゅおこなわれていることがある。その制限せいげんのためと交配こうはいによる遺伝子いでんし拡散かくさん防止ぼうしために開発かいはつされた。この技術ぎじゅつのためには3つのけい必要ひつようである。

  • 毒素どくそ遺伝子いでんし種子しゅし成熟せいじゅく晩期ばんき発現はつげんして種子しゅしはいころすが、成長せいちょう繁殖はんしょく時期じき部位ぶいでは発現はつげんしてはならない。そのために、はい発生はっせい後期こうき種子しゅし特異とくいてき発現はつげんするプロモーターとそれをもちいて生産せいさんされる毒素どくそ遺伝子いでんし
  • 種子しゅし特異とくいてき発現はつげんする毒素どくそ遺伝子いでんしまれていても、種苗しゅびょう会社かいしゃ大量たいりょう種子しゅし生産せいさんができるようにその発現はつげん抑制よくせいするけい
  • 種子しゅし販売はんばいさいして、種子しゅし特異とくいてき発現はつげんできるように毒素どくそ遺伝子いでんし抑制よくせい解除かいじょするためのけい

それらをたすために、ワタにおけるれいではつぎのものがもちいられている。

  • ワタの後期こうきはい形成けいせい主要しゅようタンパク質たんぱくしつ(LEA: late embryogenesis abundant protein)遺伝子いでんしLEAのプロモーターとサボンソウ(Saponaria officinalis)のリボソームかつタンパク質たんぱくしつ(RIP: ribosome-inactivating protein, EC 3.2.2.22, アミノ酸あみのさん配列はいれつ, 塩基えんき配列はいれつ)かリボヌクレアーゼ(RNase)であるBARNASEを毒素どくそとする。
  • LEAプロモーターと毒素どくそ遺伝子いでんしあいだ分断ぶんだんして転写てんしゃ翻訳ほんやく阻害そがいする分断ぶんだん配列はいれつ
  • 分断ぶんだんする配列はいれつ条件じょうけんてき除去じょきょするためのけいとして配列はいれつ特異とくいてきぐみ酵素こうそとその標的ひょうてき配列はいれつ

れいとしてRIPとCreとloxPtetRtetOけいについて説明せつめいする。「目的もくてき遺伝子いでんし + (LEAプロモーター + loxP + 分断ぶんだん配列はいれつ + loxP + RIP) + (構成こうせいてきプロモーター + tetR) + (構成こうせいてきプロモーター + 複数ふくすうtetO + cre)」というカセットを植物しょくぶつたい導入どうにゅうしておく。構成こうせいてきプロモーターによりリプレッサーであるTetRがつね生産せいさんされているため、オペレーター配列はいれつであるtetOにTetRが結合けつごうしてcre転写てんしゃ翻訳ほんやくされない。その結果けっか後期こうきはい形成けいせいであっても、分断ぶんだん配列はいれつによって毒素どくそRIPが生産せいさんされないので正常せいじょうはい発生はっせい進行しんこうする。そのため、種苗しゅびょう会社かいしゃはこの植物しょくぶつ種子しゅしやすことができる。しかし、種子しゅし出荷しゅっかするまえインデューサーであるドキシサイクリン処理しょりするとTetRがかつしてtetOから遊離ゆうりしてCreが生産せいさんされる。その結果けっかじゅん方向ほうこうならんでいるふたつのloxPあいだでCreにより配列はいれつ特異とくいてきくみえがしょうじて「目的もくてき遺伝子いでんし + (LEAプロモーター + loxP + RIP) + (構成こうせいてきプロモーター + tetR) + (構成こうせいてきプロモーター + 複数ふくすうtetO + cre)」という構造こうぞう変換へんかんする。LEAプロモーター + loxP + RIPわせは転写てんしゃ翻訳ほんやく阻害そがいされない。この構造こうぞう種子しゅし正常せいじょう発芽はつが生育せいいく開花かいかできるが、受精じゅせい種子しゅし形成けいせい最終さいしゅう段階だんかいである後期こうきはい形成けいせいはいにおいてのみ転写てんしゃ活性かっせいLEAプロモーターにより、はいにおいてRIPが生産せいさんされはい死滅しめつする。その結果けっか次世代じせだい種子しゅし発芽はつができなくなる。

この技術ぎじゅつかんしては反対はんたい意見いけんつよいために現時点げんじてんにおいては栽培さいばいされている遺伝子いでんしぐみ作物さくもつには利用りようされていない。なお、「ターミネーター技術ぎじゅつ」とは遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ反対はんたいから命名めいめいされた通称つうしょうである。

遺伝いでんてき改変かいへん遺伝子いでんし除去じょきょ技術ぎじゅつ(genetically modified gene deletor)

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いわゆる「ターミネーター技術ぎじゅつ」を利用りようした場合ばあい次世代じせだい種子しゅし発芽はつがしなくなるため批判ひはんつよい。そこで、次世代じせだい種子しゅし発芽はつができるが導入どうにゅうされた遺伝子いでんし次世代じせだいにはつたわらないように花粉かふん種子しゅしから除去じょきょする技術ぎじゅつである。その結果けっか農家のうか契約けいやくはんして自家じか採種さいしゅしても、その種子しゅしからはくみ品種ひんしゅることができなくなる。生態せいたいけいたいする遺伝子いでんし汚染おせん減少げんしょうすることもできる。種子しゅし花粉かふん特異とくいてきプロモーターをもちいて配列はいれつ特異とくいてきくみ酵素こうそ遺伝子いでんし誘導ゆうどうして、標的ひょうてき配列はいれつじゅん方向ほうこうかえし(direct repeats)によってかこまれたDNA領域りょういき(導入どうにゅうされた形質けいしつかかわる遺伝子いでんし)を、じゅん方向ほうこうかえ配列はいれつあいだ特異とくいてきしょうどうくみえによってループアウトさせて除去じょきょして遺伝子いでんし拡散かくさんふせけいである。

花粉かふん特異とくいてき発現はつげんする遺伝子いでんしとしてBGP1(配列はいれつ)とLAT52(配列はいれつ)が、花粉かふん種子しゅし特異とくいてき発現はつげんをする遺伝子いでんしとしてPAB5(配列はいれつ)が同定どうていされ、それらのプロモーターがたんはなされた。loxPと2-μみゅーm DNAの標的ひょうてき配列はいれつ連結れんけつした配列はいれつじゅん方向ほうこうかえ配列はいれつとして利用りようし、それらのプロモーターでCreと2-μみゅーm DNAの配列はいれつ特異とくいてきぐみ酵素こうそをそれぞれ単独たんどく生産せいさんさせた場合ばあい導入どうにゅうされた遺伝子いでんしられた種子しゅしからほぼ100%除去じょきょすることができた[146]

そのアシネトバクター(Acinetobacter)由来ゆらいのセリン・リゾルベースCinHぐみ酵素こうそ(serine resolvase CinH recombinase)(CinH:アミノ酸あみのさん配列はいれつ)とその認識にんしき配列はいれつRS2[147]もちいて、花粉かふん特異とくいてき発現はつげんする遺伝子いでんしLAT52のプロモーターをもちいてCinHを生産せいさんさせて、じゅん方向ほうこうかえ配列はいれつとしたふたつのRS2はさまれた領域りょういき(導入どうにゅう遺伝子いでんし)を除去じょきょするけい開発かいはつされている[148]RS2は、119 bpとながいため特異とくいせいたかくなるので、CinHとRS2もちいたけいではゲノムにもともと存在そんざいする類似るいじ配列はいれつくみえる可能かのうせいはほとんどない。

なお、上記じょうき以外いがいにもストレプトマイセス(Streptomyces)由来ゆらいファージphiC31のインテグラーゼ(integrase)と標的ひょうてき配列はいれつであるattBattPもちいてくみコムギでの導入どうにゅう遺伝子いでんし除去じょきょにも成功せいこうしている[149]。phiC31を生産せいさんするくみえコムギと除去じょきょされる標的ひょうてき配列はいれつくみえコムギをわせてられた後代こうだいから目的もくてきとした導入どうにゅう遺伝子いでんし除去じょきょされていることが確認かくにんされている。

エピジェネティック効果こうかもちいた形質けいしつ改変かいへん植物しょくぶつ育種いくしゅ

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エピジェネティック効果こうかとは「DNAの塩基えんき配列はいれつ変化へんかともなわずにおきるゲノム機能きのう変化へんか」である。細胞さいぼうレベルでのエピジェネティック効果こうか以下いかのメカニズムにもとづく。

これらのエピジェネティック効果こうかをもたらす操作そうさ一過いっかてきっても、それにともな変化へんかしたクロマチン状態じょうたいゆういと分裂ぶんれつても安定あんていてき伝達でんたつされ、生物せいぶつ表現ひょうげんがた影響えいきょうあたつづけることがある。つまり、はじめに導入どうにゅう遺伝子いでんしによってエピジェネティック効果こうかをもたらし、そのだいからエピジェネティック効果こうか保持ほじしつつ、かつ、導入どうにゅうされた遺伝子いでんし配列はいれつ保持ほじしない系統けいとう選抜せんばつすることで、植物しょくぶつのゲノム配列はいれつ変化へんかさせずに植物しょくぶつ形質けいしつ安定あんてい変化へんかさせられる。

たとえば、「non-coding short RNA (miRNA、siRNA、shRNA とう)による遺伝子いでんし制御せいぎょ」にかんするRdDM (RNA-directed DNA methylation)を簡単かんたん説明せつめいする。これは基本きほんてきRNAiのgene silencing (GS)と同様どうよう手法しゅほうであり、「植物しょくぶつ発現はつげん抑制よくせいしたい遺伝子いでんし配列はいれつあい同性どうせいつコンストラクト(RdDM誘導ゆうどうコンストラクト)を植物しょくぶつたい導入どうにゅうして、たんくさりほんくさりRNA (dsRNA)を細胞さいぼうちゅうつくらせ、これによりあいどう配列はいれつ部分ぶぶんのDNAのメチル誘発ゆうはつし、標的ひょうてき遺伝子いでんし転写てんしゃ抑制よくせいする」ものである。RdDMの植物しょくぶつ育種いくしゅじょう重要じゅうようせいは、植物しょくぶつたい特定とくてい遺伝子いでんしを、遺伝子いでんし配列はいれつ変異へんいしょうじさせることなく、発現はつげん抑制よくせいできることにある。このDNAのメチル状態じょうたい世代せだいつうじて、維持いじされる場合ばあいがある。そこで、後代こうだいにおいて、目的もくてき形質けいしつ保持ほじし、かつ、導入どうにゅうされたRdDM誘導ゆうどうコンストラクトを保持ほじしない系統けいとう選抜せんばつする。この手法しゅほう応用おうようにより、すで様々さまざま形質けいしつ植物しょくぶつたいつくされている。

この手法しゅほうにはあきらかな利点りてん存在そんざいする。DNAのメチル自体じたいはごく一般いっぱんてき自然しぜん現象げんしょうであり、かく細胞さいぼうひろ発生はっせいしている。RdDMによりメチルされたDNAと自然しぜんにメチルされたDNAを区別くべつすることは困難こんなんであり、RdDM誘導ゆうどうコンストラクトが除去じょきょされた系統けいとう従来じゅうらい手法しゅほう育種いくしゅされた作物さくもつとを区別くべつできない。導入どうにゅうされた遺伝子いでんし存在そんざいしないために、この手法しゅほうにより育種いくしゅされた作物さくもつはそもそも遺伝子いでんしぐみ作物さくもつであるのかどうかという、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ定義ていぎにもかかわる根本こんぽんてき議論ぎろんこしている。

安全あんぜんせい審査しんさ

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くみ作物さくもつたいする安全あんぜんせい審査しんさは、生物せいぶつ多様たようせい確保かくほかんするカルタヘナほうもとづく「食品しょくひんとしての安全あんぜんせい評価ひょうか」と「環境かんきょうあたえる影響えいきょう評価ひょうか」にけられる。

食品しょくひんとしての安全あんぜんせい評価ひょうか

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日本にっぽんにおいては、遺伝子いでんしぐみ食用しょくよう作物さくもつ(遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん)の商業しょうぎょうてき栽培さいばいおこなわれていないが、多量たりょうくみ食品しょくひん輸入ゆにゅうされている。それらの安全あんぜんせい確保かくほするため、厚生省こうせいしょうは1991ねん平成へいせい3ねん)から「安全あんぜんせい評価ひょうか指針ししん」にもとづいて個別こべつ安全あんぜんせい審査しんさおこなってきたが、任意にんい仕組しくみであった。安全あんぜんせい審査しんさ法的ほうてき義務ぎむすることとし、2001ねん平成へいせい13ねん)4がつ1にちから、安全あんぜんせい審査しんさけていない遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん輸入ゆにゅう販売はんばいとう禁止きんしされた。

また、2003ねん平成へいせい15ねん)7がつ1にち食品しょくひん安全あんぜん基本きほんほう施行しこうされ、内閣ないかく食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかい発足ほっそくしたことにともない、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん安全あんぜんせい審査しんさ食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかい意見いけんいておこなうこととなった。厚生こうせい労働省ろうどうしょう遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん安全あんぜんせい審査しんさについて」関連かんれん規則きそく安全あんぜんせい評価ひょうか基準きじゅんについてのリンクがある。詳細しょうさいはリンクさき参照さんしょう。2019ねんがつ時点じてんで、日本にっぽん食品しょくひんとして安全あんぜんせい確認かくにんされ使用しよう許可きょかがあるGM作物さくもつは、8種類しゅるい320品種ひんしゅである[150]食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかいの「遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん(種子しゅし植物しょくぶつ)の安全あんぜんせい評価ひょうか基準きじゅん[151]によると、食品しょくひんとしての安全あんぜんせい審査しんさにおける基本きほんてき検討けんとう事項じこうは、

  • まえ作物さくもつ既存きそん食品しょくひん)、遺伝子いでんしベクターなどはよく解明かいめいされたものか?
  • しょく経験けいけんはあるか?
  • まれた遺伝子いでんしはどのようにはたらくか?
  • くみえることであたらしくできたタンパク質たんぱくしつはヒトに有害ゆうがいでないか?
  • アレルギーこさないか?
  • くみえによって意図いとしない変化へんかきないか?
  • 食品しょくひんちゅう栄養素えいようそなどがおおきくわらないか?

である。 上記じょうきのアレルギーの検定けんていについては、アレルギーもととなるアレルゲン評価ひょうかとして、

  • 挿入そうにゅう遺伝子いでんし供与きょうよたい(生物せいぶつ)が、アレルギー(グルテン過敏かびんせいちょうえん誘発ゆうはつせいふくむ。以下いかおなじ。)をこすことがられているか。
  • 挿入そうにゅう遺伝子いでんし産物さんぶつ(タンパク質たんぱくしつ)が、アレルギーをこすことがられているか。
  • 挿入そうにゅう遺伝子いでんし産物さんぶつ(タンパク質たんぱくしつ)が、加熱かねつタンパク質たんぱくしつ分解ぶんかい酵素こうそ処理しょり(人工じんこう胃液いえき人工じんこうちょうえき)にたいして、安定あんていであるか。
  • 挿入そうにゅう遺伝子いでんし産物さんぶつ(タンパク質たんぱくしつ)に、既知きちアレルゲン共通きょうつうするアミノ酸あみのさん配列はいれつがあるか。

が、はじめに調査ちょうさされる。上記じょうき4項目こうもく安全あんぜんせい判断はんだんできないときには、

  • アレルギー患者かんじゃ血清けっせいふくまれているIgE抗体こうたいとの反応はんのうせいがないことを確認かくにんする。
  • アレルギー患者かんじゃ血清けっせいもちいる試験しけんで、安全あんぜんせい判断はんだんできないときには、ヒトでの皮膚ひふプリックテストや経口けいこう負荷ふか試験しけんなどの臨床りんしょう試験しけんおこなう。

ことにより、評価ひょうかされている。

飼料しりょうとしての安全あんぜんせい審査しんさは、「飼料しりょう安全あんぜんせい確保かくほおよ品質ひんしつ改善かいぜんかんする法律ほうりつ飼料しりょう安全あんぜんほう)」によって規定きていされ、その基準きじゅんは「遺伝子いでんしぐみ飼料しりょうおよ飼料しりょう添加てんかぶつ安全あんぜんせい評価ひょうかかんがかた[152]もとづいている。

環境かんきょうあたえる影響えいきょう評価ひょうか

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遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ一般いっぱん圃場ほじょう栽培さいばいするまえ環境かんきょうへの影響えいきょうは、カルタヘナほうもとづき、競合きょうごうにおける優位ゆういせいがあるか有害ゆうがい物質ぶっしつさんせいしないか、交雑こうざつせいおもに3てんから科学かがくてき評価ひょうかされている。

競合きょうごうにおける優位ゆういせい
野生やせい生物せいぶつ栄養分えいようぶん日照ひでり生育せいいく場所ばしょとう資源しげんめぐって競合きょうごうしそれらの生育せいいく支障ししょうおよぼす性質せいしつ
有害ゆうがい物質ぶっしつさんせいせい
野生やせい動植物どうしょくぶつまた微生物びせいぶつ生息せいそくまた生育せいいく支障ししょうおよぼす物質ぶっしつさんせいする性質せいしつ
交雑こうざつせい
きんえん野生やせい植物しょくぶつ交雑こうざつし、ほう対象たいしょうとする技術ぎじゅつにより移入いにゅうされた核酸かくさんをそれらに伝達でんたつする性質せいしつ

それぞれ、「競合きょうごうにおける優位ゆういせいによる生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょうしょうずるおそれがい」、「有害ゆうがい物質ぶっしつさんせいせいによる生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょうしょうずるおそれがい」、「交雑こうざつせいによる生物せいぶつ多様たようせい影響えいきょうしょうずるおそれがい」と評価ひょうかされてから、農林のうりん水産すいさん大臣だいじんおよ環境かんきょう大臣だいじんより一般いっぱん圃場ほじょうでの栽培さいばい承認しょうにんだい1しゅ使用しよう)される。

なお、花卉かきなどの食用しょくよう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつかんしては、カルタヘナほうもとづくだい1しゅ使用しよう承認しょうにんだけが要求ようきゅうされており、食品しょくひんとしての安全あんぜんせい審査しんさ必要ひつようとされない。

世界せかい各国かっこくでの栽培さいばい輸出入ゆしゅつにゅう現状げんじょう

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概説がいせつ

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1994ねんFlavr Savr発売はつばいされたのちに、GM作物さくもつは、1996ねんにアメリカで大豆だいず栽培さいばいはじめられて以降いこう着々ちゃくちゃく普及ふきゅうしてきた。

2015ねん現在げんざいぜん世界せかい大豆だいず作付さくづ面積めんせきの83%、トウモロコシで29%、綿めんで75%、カノーラで24%がGM作物さくもつである(ISAAA調査ちょうさ)。とく食生活しょくせいかつ変化へんかによる肉類にくるい消費しょうひ増加ぞうか背景はいけいとした飼料しりょうよう穀物こくもつ需要じゅよう増加ぞうかは、害虫がいちゅう除草じょそうざいへのたいせいたかく、生産せいさんせいたかいGM作物さくもつ需要じゅよう増加ぞうかつながっている[153][27]

ダイズの栽培さいばい面積めんせき拡大かくだいかんしては、BSE問題もんだい関連かんれんがあるとされている。BSEによって家畜かちく飼料しりょうとしてにく骨粉こっぷん使用しよう敬遠けいえんされ、それにわるタンパク質たんぱくしつげんとして、ダイズが使用しようされているからである[154]。その結果けっかくみ品種ひんしゅ割合わりあいたかいダイズの栽培さいばい面積めんせきが、くみ作物さくもつ栽培さいばい面積めんせき増加ぞうかとなった。

その、トウモロコシの栽培さいばい増加ぞうかには、バイオエタノール増産ぞうさん関係かんけいがあるとされている。アメリカをはじめ、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくインドブラジルアルゼンチンカナダなど各国かっこく普及ふきゅうしており、2006ねん時点じてんで22カ国かこくやく1おく200まん ha栽培さいばいされ[155]さらに2007ねんには23カ国かこくやく1おく1430まん ha、2008ねんには25カ国かこくやく1おく2500まん ha、2009ねんにはやく1おく3400まん ha、2010ねんには1おく4800まん ha、2011ねんには1おく6000まん ha、2012ねんには日本にっぽんのぞく28カ国かこくにおいて1おく7030まん haで、2013ねんには27カ国かこくにおいて1おく7520まん haで、2014ねんには28カ国かこくにおいて1おく8150まん haで、2015ねんには28カ国かこくにおいて1おく7970まん haで栽培さいばいされた(ISAAA調査ちょうさ)。

2015ねんにおいて、はじめてその栽培さいばい面積めんせき減少げんしょうしたおも理由りゆうは、2015ねん農産物のうさんぶつ価格かかく低下ていかかんがえられた(ISAAA調査ちょうさ)。ちなみに農林水産省のうりんすいさんしょう大臣だいじん官房かんぼう統計とうけいによると、2009ねん日本にっぽんぜん耕地こうち面積めんせきやく460まん haである[156]。また、国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん(Food and Agriculture Organization: FAO)によると、2006ねんぜん世界せかい栽培さいばい面積めんせき耕地こうち面積めんせきやく14おく1171.7まん haと永年えいねんせい作物さくもつ栽培さいばい面積めんせきの1おく4197.6まん haのけい15おく5369.3まん haであった[29]

つまり、2012ねんにはぜん世界せかい耕地こうち面積めんせきやく12%、耕地こうち面積めんせき永年えいねんせい作物さくもつ栽培さいばい面積めんせきやく11%において遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ栽培さいばいされていたことになる。

2015ねん遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ生産せいさんこくは、

北米ほくべい
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくカナダ
中南米ちゅうなんべい
メキシコホンジュラスコロンビアチリアルゼンチンウルグアイパラグアイブラジルボリビアコスタリカ
アジア、オセアニア
中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくインドパキスタンミャンマーフィリピンベトナムバングラデシュオーストラリア
アフリカ
みなみアフリカブルキナファソスーダン
ヨーロッパ
ポルトガルスペインチェコスロバキアルーマニア

である。なお日本にっぽんにおいては、遺伝子いでんしぐみバラ商業しょうぎょう栽培さいばいされている。

近年きんねん特徴とくちょうとして、複数ふくすう形質けいしつ(stacked traits)が導入どうにゅうされた品種ひんしゅ栽培さいばい面積めんせきえてきている(ISAAA調査ちょうさUSDA調査ちょうさ[157])。複数ふくすう形質けいしつとは、複数ふくすう除草じょそうざいたいする抵抗ていこうせいや、除草じょそうざいたいせい害虫がいちゅう抵抗ていこうせいなどをあわつものである。おおくの場合ばあいことなった遺伝子いでんし導入どうにゅうされた複数ふくすうくみ作物さくもつ交配こうはいしてつくられている。

日本にっぽん大量たいりょう穀類こくるい輸入ゆにゅうしており、その相当そうとうりょうすで遺伝子いでんしぐみ品種ひんしゅであると推定すいていされている。

遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ主要しゅよう栽培さいばいこく日本にっぽんでの栽培さいばい現状げんじょう

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アメリカ
最初さいしょ栽培さいばいはじまったアメリカは遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ生産せいさんもっとさかんなくにひとつである。2007ねん報道ほうどうされたところによると米国べいこくさん作物さくもつ半分はんぶん以上いじょう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつであり、大豆だいずはほぼ100%、トウモロコシはやく70%をめる[153]。また、加工かこう食品しょくひんおおくにもGM作物さくもつ使用しようされている[153]アメリカ食品しょくひん薬局やっきょくによると、遺伝子いでんしえトウモロコシのほとんどは、うしなどの家畜かちく鶏肉とりにくなどの飼料しりょうとして使用しようされている[158]。なお、米国べいこく農務のうむしょうのNASS(National Agricultural Statistics Service)によると2008ねんくみ作物さくもつ作付さくづけの割合わりあいは、ダイズで92%(やく2770まん ha[159])、トウモロコシで80%(やく2820まん ha[160])、ワタで86%(やく320まん ha[161])であった[162]。また、2009ねんくみ作物さくもつ作付さくづけの割合わりあいは、ダイズで91%(やく2860まん ha[159])、トウモロコシで85%(やく2990まん ha[160])、ワタで88%(やく320まん ha[161])であった[163]。2010ねんでは、ダイズで93%、トウモロコシで86%、ワタで93%であり[164]、2011ねんでは、ダイズで94%、トウモロコシで88%、ワタで90%であり[165]、2012ねんでは、ダイズで93%、トウモロコシで88%、ワタで94%[166]であり、2013ねんでは、ダイズで93%、トウモロコシで90%、ワタで90%であった[167]。なお、2014ねんくみ品種ひんしゅ栽培さいばい比率ひりつは、ダイズで94%、トウモロコシで93%、ワタで96%である[168]
カナダ
2007ねんのダイズの栽培さいばい面積めんせきの62.5%(やく68.8まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[159]。2007ねんのトウモロコシの栽培さいばい面積めんせきの84%(やく117まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[160]カノーラの2007ねん栽培さいばい面積めんせきの87%(やく510まん ha[169])はくみ品種ひんしゅであった。
ブラジル
当所とうしょ、ブラジル政府せいふはGM作物さくもつたいして態度たいど明確めいかくにしていなかった。そのため、隣国りんごくであるアメリカでGM作物さくもつ問題もんだいとなっていたことを利用りようして、2002ねん大統領だいとうりょうせんでは候補者こうほしゃが「ブラジルではGM作物さくもつつくらない」と宣言せんげんして自国じこく農作物のうさくもつをアピールするうごきもられた。ところが、そのときにはすでに密輸みつゆされたGM作物さくもつ国内こくない流通りゅうつうしており、2005ねんにブラジル政府せいふはGM作物さくもつみとめることになる[153][170]。2007ねんと2009ねんのダイズの栽培さいばい面積めんせきの64%(やく1450まん ha)と71%(やく1620まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[159]。2009ねんのトウモロコシの栽培さいばい面積めんせきの36%(やく500まん ha)はくみ品種ひんしゅであり[160]、ワタの栽培さいばい面積めんせきの18%(やく14.5まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[161]
アルゼンチン
くみえダイズの栽培さいばいさかんであり、2008ねんと2009ねんのダイズ栽培さいばい面積めんせきの99%(やく1620まん ha)と99%(やく1740まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[159]。2009ねんのトウモロコシの栽培さいばい面積めんせきの85%(やく210まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[160]。また、2008ねんのワタの栽培さいばい面積めんせきの95%(やく38まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[161]
ウルグアイ
2007ねんのダイズの栽培さいばい面積めんせきの100%(やく47まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[159]
パラグアイ
2007ねんと2009ねんのダイズの栽培さいばい面積めんせきの93%(やく260まん ha)と85%(やく220まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[159]
インド
くみえワタの栽培さいばいさかんであり、ナスなどのくみ品種ひんしゅ育種いくしゅすすんでいる。2008ねんのワタの栽培さいばい面積めんせきの76%(やく695まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[161]。なお、上記じょうきのデータと多少たしょう誤差ごさがあるがISAAAの調査ちょうさによると[171][172][173]、インドのかく地方ちほうてきした様々さまざま品種ひんしゅ開発かいはつされ2008ねんには綿花めんか栽培さいばい面積めんせきの80%が、2009ねんには87%(やく840まんha)がBtワタになっており、2009ねんには560まんにん小農しょうのうがBtワタを栽培さいばいした。さらに、2010ねんには86%(やく940まんha)がBtワタになっており、630まんにん小農しょうのうがBtワタを栽培さいばいした。このように遺伝子いでんしぐみえワタの栽培さいばい急激きゅうげきえている。遺伝子いでんしぐみえワタを導入どうにゅうする以前いぜん比較ひかくすると綿花めんか栽培さいばい使用しようされる農薬のうやく使用しようりょう大幅おおはば減少げんしょう単位たんい面積めんせきたりの収量しゅうりょう大幅おおはば増加ぞうか(2001-2002ねんでは308 kg/ha、2009-2010ねんでは568 kg/ha)によって、インドの農民のうみんひろれられている。インドにおける遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ現状げんじょうについては、ISAAAのIndia Biotech Information Centreによってくわしく解説かいせつされている。また、インドにおいて2002-2008ねん期間きかんのワタ栽培さいばい農家のうかたいして経済けいざいがくてき解析かいせきおこなった結果けっかによると、害虫がいちゅう被害ひがい減少げんしょうによってBtワタは伝統でんとうてきワタ品種ひんしゅより24%収量しゅうりょうおおく、Btワタ栽培さいばいからの収入しゅうにゅうの50%増加ぞうかにつながり、その結果けっか、Btワタを採用さいようした農家のうか支出ししゅつは2006-2008ねんあいだに18%増加ぞうかするほど生活せいかつ水準すいじゅんがっていた。このことから、Btワタ品種ひんしゅ栽培さいばいはインドの経済けいざいてき社会しゃかいてき発展はってん貢献こうけんしていると結論けつろんづけている[174][175]
中国ちゅうごく
GM作物さくもつ積極せっきょくてきれるうごきがある。中国ちゅうごく政府せいふ積極せっきょくてきんでおり、研究けんきゅうは1986ねんからおこなわれている[155]。2006ねん時点じてんでは、GM作物さくもつのほとんどは綿花めんかとタバコだが、基礎きそ食品しょくひんであるべい開発かいはつちかられており、商業しょうぎょう栽培さいばい間近まぢか状況じょうきょうとなっている[155]。2007ねんのワタの栽培さいばい面積めんせきの68%(380まん ha)はくみ品種ひんしゅであった[161]
日本にっぽん
一部いちぶ自治体じちたい環境かんきょう消費しょうひしゃ団体だんたいなどへの影響えいきょうへの懸念けねんから遺伝子いでんし作物さくもつ規制きせい条例じょうれい栽培さいばい規制きせいしている。北海道ほっかいどう新潟にいがたけんなど10都道府県とどうふけんでは実質じっしつてき栽培さいばい禁止きんしされている[176]。また、購入こうにゅうした種子しゅしいたところ混入こんにゅうしていたくみ作物さくもつ種子しゅし由来ゆらいするくみ作物さくもつ栽培さいばいしてしまった事例じれいがあるが、この場合ばあい意図いとして栽培さいばいしているわけではないので処罰しょばつはされない[注釈ちゅうしゃく 73]。このように、現実げんじつには意図いとせず日本にっぽんにおいてもくみ作物さくもつ商業しょうぎょう栽培さいばいしている可能かのうせいがある。そのほか、スギ花粉かふんしょう緩和かんわまいなどは医薬品いやくひんとしての規制きせいける。厚生こうせい労働省ろうどうしょう医薬いやく食品しょくひんきょく食品しょくひん安全あんぜん安全あんぜんせい審査しんさえたくみ作物さくもつ公表こうひょうしている[3]あおいバラ (サントリーフラワーズ)国内こくない商業しょうぎょう栽培さいばいされているため、2009ねんには日本にっぽん遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ商業しょうぎょう栽培さいばいこくとなった。

日本にっぽん遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ輸入ゆにゅうりょう

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農林のうりん水産物すいさんぶつ輸出入ゆしゅつにゅう概況がいきょう2008ねん平成へいせい20ねんかく定値ていち[177]による主要しゅよう穀類こくるい日本にっぽん輸入ゆにゅうりょうとその輸入ゆにゅう相手あいてこく以下いかとおりである。

  • トウモロコシ:16,460,160トン(うち 飼料しりょうよう 11,877,772トン) 主要しゅよう輸入ゆにゅう相手あいてこく(重量じゅうりょう) アメリカ 16,277,542トン(うち 飼料しりょうよう 11,726,815トン)(98.9%)、アルゼンチン 86,724トン(うち 飼料しりょうよう 85,991トン)(0.5%)、インド 72,578トン(うち 飼料しりょうよう 57,868トン)(0.4%)
  • ダイズ:3,711,043トン 主要しゅよう輸入ゆにゅう相手あいてこく(重量じゅうりょう) アメリカ 176,882,857トン(73.5%)、ブラジル 568,024トン(15.3%)、カナダ 325,010トン(8.8%)、中国ちゅうごく 86せんトン(2.3%)
  • 菜種なたね(採油さいゆよう):2,312,536トン 主要しゅよう輸入ゆにゅう相手あいてこく(重量じゅうりょう) カナダ 2,208,754トン(95.5%)、オーストラリア 103,450トン(4.5%)

これらの作物さくもつ主要しゅよう輸入ゆにゅう相手あいてこくは、上記じょうきのようにそれらの作物さくもつ遺伝子いでんしぐみ品種ひんしゅ栽培さいばいさかんなくにである。よって、日本にっぽん遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ大量たいりょう輸入ゆにゅうしていると推定すいていされている。その推定すいていなかには日本にっぽん輸入ゆにゅう穀類こくるい半量はんりょうすで遺伝子いでんしぐみ作物さくもつであるというものもある[178][注釈ちゅうしゃく 74][179]日本にっぽんにおける自給じきゅうりつは、トウモロコシ、ワタおよびナタネでは0%、ダイズでは7%で、国内こくない需要じゅよう海外かいがいからの輸入ゆにゅうたよっている。日本にっぽんへの主要しゅよう輸出ゆしゅつこくでは、これらの作物さくもつにGM品種ひんしゅたか割合わりあい使用しようされており、日本にっぽん輸入ゆにゅうされるこれらの農産物のうさんぶつの9わり程度ていどがGM品種ひんしゅであると推測すいそくされている。GM作物さくもつ安全あんぜんせい必要ひつようせいについて、日本にっぽん国内こくないにおいてひろ普及ふきゅうしていないとみられるが、経済けいざいてき貢献こうけんおおきく、年間ねんかん1ちょう8000~4000おくえんのGDPをしている[180][181]

遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん含有がんゆう表示ひょうじ

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概説がいせつ

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遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん流通りゅうつうしている各国かっこく地域ちいきにおいて、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん含有がんゆうかんして表示ひょうじする義務ぎむ有無うむ規則きそくことなっている。そのなかには、「遺伝子いでんしぐみえ」、「遺伝子いでんしぐみ使用しようとう相当そうとうする表示ひょうじ自体じたいきびしく規制きせいされている、アメリカやEUないのいくつかの国々くにぐにもある。そのため、輸出ゆしゅつさいしては輸入ゆにゅうこく法律ほうりつ規則きそくしたが必要ひつようがある。「遺伝子いでんしぐみえ」とう表示ひょうじがある場合ばあい表示ひょうじ場合ばあいでも、意図いとせざる混入こんにゅうにより少量しょうりょう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ混入こんにゅうしていることがあり、その場合ばあいゆるされる混入こんにゅうりつ各国かっこく地域ちいきことなっている。

日本にっぽんにおける表示ひょうじ

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表示ひょうじ法的ほうてき根拠こんきょ

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日本にっぽん農林のうりん規格きかくとうかんする法律ほうりつ(JASほう)[182](遺伝子いでんしぐみ食品しょくひんかんする表示ひょうじかか加工かこう食品しょくひん品質ひんしつ表示ひょうじ基準きじゅんだい7じょうだい1こうおよ生鮮せいせん食品しょくひん品質ひんしつ表示ひょうじ基準きじゅんだい7じょうだい1こう規定きていもとづく農林のうりん水産すいさん大臣だいじんさだめる基準きじゅん[183])(以下いか、「基準きじゅん」)およ食品しょくひん衛生えいせいほう[184](食品しょくひん衛生えいせいほう施行しこう規則きそく)、現在げんざい食品しょくひん表示法ひょうじほうもとづき、遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつとその加工かこう食品しょくひんについて表示ひょうじルールがさだめられ、平成へいせい13ねん4がつから義務ぎむされている[185]。なお、酒類しゅるいかんしての表示ひょうじ法的ほうてき根拠こんきょは、酒税しゅぜい保全ほぜんおよ酒類しゅるいぎょう組合くみあいとうかんする法律ほうりつ(昭和しょうわ28ねん法律ほうりつだい7ごう以下いかほう」という。)だい86じょうの6だい1こう規定きていもとづく国税庁こくぜいちょう告示こくじによる「酒類しゅるいにおける有機ゆうきとう表示ひょうじ基準きじゅんさだめるけん[186]」である[185]。それによると、「農林のうりん水産すいさん大臣だいじんさだめる基準きじゅん」の加工かこう食品しょくひん規定きてい準用じゅんようして、当該とうがい酒類しゅるい容器ようきまた包装ほうそう遺伝子いでんしぐみえにかんする表示ひょうじをしなければならないことになっている。

表示ひょうじ義務ぎむ対象たいしょう

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表示ひょうじ義務ぎむ対象たいしょうとなるのは、大豆だいずとうもろこし、ばれいしょ(ジャガイモ)、菜種なたね綿めんアルファルファ、てんさいテンサイおよパパイヤの8種類しゅるい農産物のうさんぶつと、これを原材料げんざいりょうとし、加工かこう工程こうていくみえられたDNAまたはこれによってしょうじたタンパク質たんぱくしつ検出けんしゅつできる加工かこう食品しょくひん33食品しょくひんぐんおよこうオレインさん遺伝子いでんしぐみ大豆だいずこうリシンとうもろこしおよびこれをおも原材料げんざいりょうとして使用しようした加工かこう食品しょくひん(だい豆油とう)とう規定きていされている[185]。なお、パパイヤにかんしては、2011ねん平成へいせい23ねん)12月1にちより施行しこうされた[187]

表示ひょうじ禁止きんし対象たいしょう

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安全あんぜんせい審査しんさ手続てつづきを上記じょうきの8つの遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ以外いがい農産物のうさんぶつ(たとえば、べい小麦こむぎなど)およびその加工かこう食品しょくひんについては、「遺伝子いでんしぐみえでない」「遺伝子いでんしぐみえ」などの表示ひょうじはできない[185][188]上記じょうきの7つの遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ以外いがい農産物のうさんぶつはもともと遺伝子いでんしぐみえであるため、表示ひょうじすることによってそれがあたかも特別とくべつ遺伝子いでんしぐみえであるかのような誤解ごかいまねかないように表示ひょうじ禁止きんしされている(食品しょくひん衛生えいせいほう施行しこう規則きそく だいじゅういちじょう だいこう)。ただし、その農産物のうさんぶつについて、「現在げんざい時点じてんで、小麦こむぎやピーナッツの遺伝子いでんしぐみえのものは流通りゅうつうしていません。」などのように遺伝子いでんしぐみえのものが存在そんざいしていないことを一般いっぱんろんとして表示ひょうじすることは可能かのうである[185]

加工かこう食品しょくひんにおけるおも原材料げんざいりょうとは

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遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつおも原材料げんざいりょう原材料げんざいりょう上位じょうい3以内いないで、かつ、ぜん重量じゅうりょうの5%以上いじょうめる)でない場合ばあい表示ひょうじ義務ぎむはない[185]。また、加工かこうさいくわえるみずについては計算けいさんから除外じょがいすることとなっている。ただし、原材料げんざいりょう上位じょうい4以下いかのものやぜん重量じゅうりょうの5%未満みまんであるものにかんしても、分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんり(IPハンドリング:Identity Preserved Handling)がおこなわれていなければ、「遺伝子いでんしぐみえでない」むね使用しよう表示ひょうじをできない。分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんりかかわる流通りゅうつうマニュアルは農林水産省のうりんすいさんしょうや「財団ざいだん法人ほうじん 食品しょくひん産業さんぎょうセンター」などから公表こうひょうされている[189][190]

義務ぎむ表示ひょうじ

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従来じゅうらいのものと組成そせい栄養えいようとう同等どうとうである遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつおよびこれを原材料げんざいりょうとする加工かこう食品しょくひんであって、加工かこう工程こうていくみえられたDNAまたはこれに由来ゆらいするタンパク質たんぱくしつを、ひろくみとめられた最新さいしん検出けんしゅつ技術ぎじゅつによって5%以上いじょう検出けんしゅつ可能かのうであるものについては、「遺伝子いでんしぐみえである」むねまたは「遺伝子いでんしぐみ分別ふんべつである」むね表示ひょうじ義務付ぎむづけられている(「基準きじゅんだい3じょうだい1こうおよだい2こう)。

任意にんい表示ひょうじ

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あぶら醤油じょうゆなどの加工かこう食品しょくひんかんしては、くみえられたDNAおよびこれに由来ゆらいするタンパク質たんぱくしつ加工かこう工程こうてい除去じょきょ分解ぶんかいされ、ひろくみとめられた最新さいしん検出けんしゅつ技術ぎじゅつによっても検出けんしゅつ不可能ふかのうとされている加工かこう食品しょくひんについては、遺伝子いでんしぐみえにかんする表示ひょうじ義務ぎむはない。ただし、任意にんい遺伝子いでんしぐみえである」むね、「遺伝子いでんしぐみ分別ふんべつである」むね、または「遺伝子いでんしぐみえでない」むね表示ひょうじすることは可能かのうである[185]。ただし、表示ひょうじする場合ばあいは、「基準きじゅんおよび「食品しょくひん衛生えいせいほう施行しこう規則きそく」にしたが義務ぎむしょうじる。

遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつおよびこれを原材料げんざいりょうとする加工かこう食品しょくひん

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上記じょうきの8つの遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつにおいては、分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんりおこなわれた遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつおよびこれを原材料げんざいりょうとする加工かこう食品しょくひんであれば、遺伝子いでんしぐみえにかんする表示ひょうじ義務ぎむはない。ただし、任意にんい遺伝子いでんしぐみえでない」むね使用しよう表示ひょうじをすることができる[185]。ただし、「遺伝子いでんしぐみえでない」むね使用しよう表示ひょうじ場合ばあいは、「基準きじゅんおよび「食品しょくひん衛生えいせいほう施行しこう規則きそく」にしたが義務ぎむしょうじる。使用しよう表示ひょうじ場合ばあい生産せいさんから食品しょくひん製造せいぞうまでのぜん段階だんかいで、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ混入こんにゅうしないよう施設しせつ洗浄せんじょう機器きき専用せんようなど分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんり適切てきせつっていれば、5%以下いか遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ意図いとせざる混入こんにゅうゆるされている[185]

分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんり意図いとせざる混入こんにゅう

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分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんり(IPハンドリング)とは、遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ農場のうじょうから食品しょくひん製造せいぞう業者ぎょうしゃまで生産せいさん流通りゅうつうおよ加工かこうかく段階だんかい混入こんにゅうこらないよう管理かんりし、そのことが書類しょるいとうにより証明しょうめいされていることをいう[185]農産物のうさんぶつおよ加工かこう食品しょくひん取引とりひき実態じったいとして、分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんり適切てきせつおこなうことにより、最大限さいだいげん努力どりょくをもって遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ分別ふんべつしようとした場合ばあいでも、生産せいさん流通りゅうつうのそれぞれの段階だんかい遺伝子いでんしぐみ原料げんりょう専用せんよう機械きかい施設しせつ設置せっちすることは現実げんじつてき不可能ふかのうであることから、その完全かんぜん分別ふんべつ困難こんなんである。そこで、分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんり適切てきせつおこなわれていれば、このような一定いってい以下いかの「意図いとせざる混入こんにゅう」がある場合ばあいでも、「遺伝子いでんしぐみえでない」むね表示ひょうじみとめられている[185]。つまり、分別ふんべつ生産せいさん流通りゅうつう管理かんりおこなわれなかった場合ばあい意図いとてきくみ農産物のうさんぶつくわえた場合ばあいは、たとえ5%未満みまん混入こんにゅうであっても使用しよう表示ひょうじはできない。

パパイヤにかんしてはハワイでの出荷しゅっか段階だんかい個々ここ果実かじつ表示ひょうじシールがられる予定よていである。国内こくないでの加工かこうがある場合ばあいには表示ひょうじ義務ぎむおうじた表示ひょうじがなされる。

こうオレインさん遺伝子いでんしぐみ大豆だいずとう表示ひょうじ

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従来じゅうらいのものと組成そせい栄養えいようとういちじるしくことなる遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ(こうオレインさん遺伝子いでんしぐみ大豆だいずこうリシンとうもろこしとう)およびこれを原材料げんざいりょうとする加工かこう食品しょくひんについては、JASほうもとづき、くみえられたDNAやタンパク質たんぱくしつ検出けんしゅつ不可能ふかのうであっても、「こうオレインさん遺伝子いでんしぐみえ」であるむねまたは「こうオレインさん遺伝子いでんしぐみえのものを混合こんごう」したものであるむね表示ひょうじ義務付ぎむづけられている[185]

使用しよう表示ひょうじ食品しょくひんにおける遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん検出けんしゅつ

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PCRなどの検出けんしゅつ感度かんどたか検査けんさほうでは、混入こんにゅうりつ0.01%程度ていどでも陽性ようせい反応はんのうる。そのため、現在げんざいまでにおこなわれた多数たすう調査ちょうさでは、おおくの「遺伝子いでんしぐみ使用しよう表示ひょうじ食品しょくひんからも遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん混入こんにゅう検出けんしゅつされているが、5%をえる混入こんにゅうはなかった[191]。その混入こんにゅうりつは、おおむね0.1%未満みまん-1.2%程度ていどであった[188]

各国かっこく地域ちいきにおける表示ひょうじ基準きじゅん

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バイテク情報じょうほう普及ふきゅうかいによると諸国しょこく表示ひょうじ規則きそくつぎのようになる[30]

アメリカ
従来じゅうらいのものと同等どうとうであるという観点かんてんから、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひんかんする表示ひょうじ義務付ぎむづけられていない。さらに、「遺伝子いでんしぐみ作物さくもつふくまれていない」、「遺伝子いでんしぐみ使用しよう」などに相当そうとうする表示ひょうじきびしい条件じょうけんしたでしかできず、実質じっしつてきには困難こんなんである。しかし、こうオレインさん含有がんゆう大豆だいずよう従来じゅうらいのものといちじるしく組成そせい栄養えいよう変化へんかがある場合ばあいには、その成分せいぶん表示ひょうじすることとなっている。
カナダ
アメリカと同様どうよう栄養えいよう組成そせい従来じゅうらいのものとことなる場合ばあいにだけ表示ひょうじ義務付ぎむづけられていた。しかし、2004ねん4がつ15にち、カナダ政府せいふ遺伝子いでんしぐみ原料げんりょう使用しよう有無うむ食品しょくひん表示ひょうじおよび広告こうこく自主じしゅてきおこなうことにかんする基準きじゅんを、カナダの国家こっか規格きかくとしてカナダ規格きかく審査しんさかい公式こうしき採用さいようしたことを発表はっぴょうした。
EU
遺伝子いでんしぐみえにかんする表示ひょうじは、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ由来ゆらいするDNAやそのDNAに由来ゆらいするタンパク質たんぱくしつ最終さいしゅう製品せいひんちゅうでの有無うむにかかわらず、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつから生成せいせいされたすべての食品しょくひん義務付ぎむづけられている[192][193][31]。つまり、あぶらのような加工かこう食品しょくひん食品しょくひん添加てんかぶつ、その飼料しりょうなどについても表示ひょうじ義務付ぎむづけられている[32]。ただし、くみ飼料しりょう飼育しいくされた家畜かちく由来ゆらいにく製品せいひんたまご蜂蜜はちみつなどの例外れいがい規定きてい存在そんざいする[33]表示ひょうじ方法ほうほうとしては、「この製品せいひんは、遺伝子いでんしぐみたいふくむ("genetically modified...")」または「…遺伝子いでんしぐみえ(作物さくもつめい)から製造せいぞう("produced from genetically modified...")」に相当そうとうすることをしるすこととなった。ただし、「遺伝子いでんしぐみ作物さくもつふくまれていない」、「遺伝子いでんしぐみ使用しよう」などに相当そうとうする表示ひょうじ("Without Genetic Engineering"、"without GMOs")が見受みうけられるが、EUの制度せいどとしてみとめられているものではなく、このような表記ひょうきをEUのいくつかのくにではアメリカと同様どうよう国内こくないてき規制きせいしている[34]。なお、表示ひょうじ規制きせいは、最終さいしゅう消費しょうひしゃけのものだけでなく外食がいしょく事業じぎょうしゃけのものについても適用てきようされる。しかし、外食がいしょく事業じぎょうしゃ調理ちょうり加工かこうして顧客こきゃく場合ばあいには義務ぎむ表示ひょうじ規制きせい適用てきようされず、そのまま場合ばあいにだけ適用てきようされる。たとえば遺伝子いでんしぐみえパパイヤをそのまま場合ばあいは、メニューとうに「遺伝子いでんしぐみえパパイヤ」と表示ひょうじしなければならないが、それを使つかってフルーツケーキをつくって場合ばあい表示ひょうじ不要ふようとなる[194]。また、承認しょうにんされている遺伝子いでんしぐみ作物さくもつについては、意図いとせざる混入こんにゅうであれば0.9%までは「遺伝子いでんしぐみ作物さくもつふくむ」むね表示ひょうじしなくてもい。また、EUでは承認しょうにんされていない遺伝子いでんしぐみ作物さくもつであっても、EUの科学かがくてきリスク評価ひょうか肯定こうていてき決定けっていされている作物さくもつであれば、意図いとてきでなければ0.5%までの混入こんにゅうみとめている[35]
オーストラリア・ニュージーランド
2001ねん12月から、遺伝子いでんしぐみたい由来ゆらい作物さくもつおよび加工かこう食品しょくひんについて表示ひょうじ義務付ぎむづけられた。そのうち、まれたDNAや、それに由来ゆらいするタンパク質たんぱくしつ製品せいひんちゅうのこらないあぶら砂糖さとうなどの加工かこう食品しょくひんには表示ひょうじする必要ひつようはない。ただし、こうオレインさん含有がんゆう大豆だいずようくみえによって成分せいぶん特性とくせい変化へんかられる場合ばあい表示ひょうじ義務ぎむづけられている。なお、分別ふんべつされたくみ原材料げんざいりょう使用しようしている場合ばあいでも、「遺伝子いでんしぐみ使用しよう」「ぐみえ」「GMフリー」「Non-GM」とう相当そうとうする表示ひょうじは、検出けんしゅつされる可能かのうせいがまったくない場合ばあい以外いがいはできない。つまり、分別ふんべつされていても、意図いとせざる混入こんにゅうがあるため、実質じっしつてきに「ぐみえ」とう表示ひょうじゆるされていないということを意味いみしている。
韓国かんこく
対象たいしょう品目ひんもくにおいて、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ使つかっている場合ばあいは「遺伝子いでんしぐみえ」または「遺伝子いでんしぐみえ○○をふくむ」に相当そうとうすることを表示ひょうじしなければならない。なお、意図いとせざる混入こんにゅう場合ばあい最大さいだい3%まではみとめられており、今後こんご検査けんさ技術ぎじゅつ精度せいど国際こくさい動向どうこうなどを考慮こうりょし、順次じゅんじ1%水準すいじゅんにまでげるとしている。また、「遺伝子いでんしぐみ使用しよう」に相当そうとうすることを表示ひょうじできるのは、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ混入こんにゅう検出けんしゅつ限界げんかい以下いか場合ばあいだけである。

遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ有機ゆうき栽培さいばい

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概説がいせつ

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くみ作物さくもつ由来ゆらいする資材しざい有機ゆうき栽培さいばい利用りようすることは本来ほんらいJAS規格きかく禁止きんしされている。しかし、飼料しりょうおおくをくみ作物さくもつ依存いぞんしている現実げんじつ無視むしできず、また産業さんぎょう廃棄はいきぶつ有効ゆうこう利用りようというめん重視じゅうしして現状げんじょうでは許可きょかされている。その現在げんざいくみ作物さくもつ栽培さいばい慣行かんこう農法のうほう有機ゆうき栽培さいばい共存きょうぞん(co-existence)させるためのルールづくりがEU中心ちゅうしんすすめられている。

くみ作物さくもつ由来ゆらい堆肥たいひ有機ゆうき栽培さいばい

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上記じょうきふしのように日本にっぽん大量たいりょう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ輸入ゆにゅうしている。その結果けっか遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ由来ゆらいする家畜かちく糞尿ふんにょうなどの大量たいりょう畜産ちくさん廃棄はいきぶつ発生はっせいしている。畜産ちくさん廃棄はいきぶつ油粕あぶらかすなどの産業さんぎょう廃棄はいきぶつ有機ゆうきしつ肥料ひりょう原料げんりょうとしてもちいられることもある。「有機ゆうき農産物のうさんぶつ日本にっぽん農林のうりん規格きかく[195]によれば、本来ほんらい種苗しゅびょう防除ぼうじょ資材しざい肥料ひりょうなどにくみえDNA技術ぎじゅつもちいたものを利用りようできない。しかし、特例とくれいとして遺伝子いでんしぐみ作物さくもつからあぶらしぼった油粕あぶらかすや、飼料しりょうとしてもちいた結果けっかしょうじた糞尿ふんにょうをもとにつくった有機ゆうきしつ肥料ひりょうである堆肥たいひ有機ゆうき栽培さいばいもちいることは、現状げんじょうでは許可きょかされている。堆肥たいひかんしては、くみえDNA技術ぎじゅつもちいていないものの入手にゅうしゅやその確認かくにん困難こんなんであることを理由りゆうに、「有機ゆうき農産物のうさんぶつ日本にっぽん農林のうりん規格きかく」の「附則ふそく平成へいせい18ねん10がつ27にち農林水産省のうりんすいさんしょう告示こくじだい1463ごうしょう」において、

経過けいか措置そち) 2 この告示こくじによる改正かいせい有機ゆうき農産物のうさんぶつ日本にっぽん農林のうりん規格きかく以下いかしん有機ゆうき農産物のうさんぶつ規格きかく」という。)別表べっぴょう1にかかげる肥料ひりょうおよ土壌どじょう改良かいりょう資材しざいのうち、植物しょくぶつおよびそののこ由来ゆらい資材しざい発酵はっこう乾燥かんそうまた焼成しょうせいしたはいせつぶつ由来ゆらい資材しざい食品しょくひん工場こうじょうおよ繊維せんい工場こうじょうからののう水産物すいさんぶつ由来ゆらい資材しざいならびに発酵はっこうした食品しょくひん廃棄はいきぶつ由来ゆらい資材しざいについては、しん有機ゆうき農産物のうさんぶつ規格きかくだい4じょうおもてじょうにおける肥培ひばい管理かんりこう基準きじゅんらん1に規定きていするその原材料げんざいりょう生産せいさん段階だんかいにおいてくみえDNA技術ぎじゅつもちいられていない資材しざい該当がいとうするものの入手にゅうしゅ困難こんなんである場合ばあいには、当分とうぶんあいだどうこう規定きていにかかわらず、これらの資材しざい該当がいとうする資材しざい以外いがいのものを使用しようすることができる。

明記めいきされている。

また、「有機ゆうき農産物のうさんぶつおよ有機ゆうき加工かこう食品しょくひんのJAS規格きかくのQ&A」[196]の「(とい15-4) 遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ由来ゆらいする堆肥たいひ使用しようみとめられますか。」の回答かいとうとしても、

平成へいせい18年度ねんど改正かいせいにおいて「肥料ひりょうとう原材料げんざいりょう生産せいさん段階だんかいにおいてくみえDNA技術ぎじゅつもちいられていないものにかぎる。」と規定きていされ、堆肥たいひについてもくみえDNA技術ぎじゅつ使用しよう明確めいかく排除はいじょされることとなりました。 しかしながら、現状げんじょうでは植物しょくぶつおよびそののこ由来ゆらい資材しざい発酵はっこう乾燥かんそうまた焼成しょうせいしたはいせつぶつ由来ゆらい資材しざい食品しょくひんおよ繊維せんい産業さんぎょうからののう水産物すいさんぶつ由来ゆらい資材しざい発酵はっこうした食品しょくひん廃棄はいきぶつ由来ゆらい資材しざいのそれぞれについて、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ由来ゆらいしていないことを確認かくにんすることが現実げんじつてきにはむずかしい状況じょうきょうにあります。このため、これらの資材しざい活用かつよう困難こんなんとなることを考慮こうりょし、附則ふそくにおいて、当分とうぶんあいだ使用しようすることができるとされています。

解説かいせつされている。

くみ作物さくもつ慣行かんこう農法のうほう有機ゆうき栽培さいばいとの共存きょうぞん

[編集へんしゅう]

くみ作物さくもつ栽培さいばい各国かっこく年々ねんねん拡大かくだいしている。そこで、消費しょうひしゃ農家のうかの「選択せんたく自由じゆう(Freedom of Choice)」を保障ほしょうするために、くみ作物さくもつ栽培さいばい慣行かんこう農法のうほう有機ゆうき栽培さいばいとの共存きょうぞんのための規制きせいづくりがEUを中心ちゅうしん各国かっこくすすめられている[197][198]。EUにおける規制きせい指針ししん[199]作成さくせいされたが、その規制きせい実施じっし方法ほうほうかんしては各国かっこく対応たいおうことなっている[200][201][202][203]

論争ろんそう

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遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ(GM作物さくもつ)については、つよ推進すいしんするもの[注釈ちゅうしゃく 75]がいる一方いっぽう健康けんこう環境かんきょう悪影響あくえいきょうがあるのではと不安ふあんいだものおおく、イギリスなどの一部いちぶくにでは、商業しょうぎょう目的もくてきでのGM作物さくもつ栽培さいばいおこなわれていない。GM作物さくもつ否定ひていするもの肯定こうていするものあいだで、その影響えいきょうについて論争ろんそうきている。

生態せいたいけいなどへの影響えいきょう

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概説がいせつ

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遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ生態せいたいけいへの影響えいきょうふくめた評価ひょうかをするじょう重要じゅうようなことは、なに比較ひかくするのかということを明確めいかくにすることである。細胞さいぼう融合ゆうごうたねあいだ交雑こうざつ変異へんいたい育種いくしゅ古典こてんてき交配こうはいふくめた従来じゅうらい手法しゅほうによって育種いくしゅされた品種ひんしゅや、慣行かんこう農法のうほう(慣行かんこう栽培さいばい)や有機ゆうき栽培さいばい自然しぜん農法のうほうとの比較ひかくおこない、様々さまざま観点かんてんからの評価ひょうか遺伝子いでんしぐみ作物さくもつたいして総合そうごうてきおこな必要ひつようがある。日本にっぽんにおいてはセイヨウアブラナであるカノーラのこぼれだね発芽はつがアブラナぞく植物しょくぶつとの交雑こうざつダイズかんしては自生じせいしている野生やせいしゅ(原種げんしゅ)であるツルマメとの交雑こうざつ可能かのうせい指摘してきされ、様々さまざま調査ちょうさがなされている。なお、日本にっぽんには、トウモロコシと交雑こうざつ可能かのう野生やせい植物しょくぶつ存在そんざいしないため、くみえトウモロコシを日本にっぽん栽培さいばいした場合ばあいくみえトウモロコシによる野生やせいしゅへの遺伝子いでんし汚染おせん問題もんだいはない。そこで、カノーラとダイズの交雑こうざつ問題もんだいについて記述きじゅつした。

外来がいらい遺伝子いでんしによる遺伝子いでんし汚染おせんとその防除ぼうじょほう

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本来ほんらいくみ作物さくもつっていて野生やせい植物しょくぶつっていない形質けいしつが、くみ作物さくもつ花粉かふん飛散ひさんとうによってきんえん植物しょくぶつとのあいだ交雑こうざつして、拡散かくさんしてしまう可能かのうせいがある(遺伝子いでんし汚染おせん)。そのため、くみ作物さくもつにおいても生態せいたいけいへの影響えいきょうとして、くみ品種ひんしゅ在来ざいらいしゅ野生やせいしゅとの交雑こうざつ危険きけんせいがあげられることがある。ただし、在来ざいらいしゅ野生やせいしゅとの交雑こうざつかんしては、くみ品種ひんしゅのみではなく伝統でんとうてき手法しゅほう育種いくしゅされた品種ひんしゅでも同様どうよう問題もんだいふくんでおり、くみ品種ひんしゅにのみ限定げんていされた問題もんだいではない。

くみ作物さくもつ在来ざいらいしゅ野生やせいしゅとの交雑こうざつふせ手法しゅほうひとつとして、花粉かふんつくらないゆうせいみのる形質けいしつもとめられている。その解決かいけつほうとして、みどりたいなどのプラスチド(plastid)やミトコンドリアゲノム基本きほんてき母系ぼけい遺伝いでんのため、花粉かふんとおして拡散かくさんしないという性質せいしつ利用りようすることもある。すべての植物しょくぶつ形質けいしつ転換てんかん利用りようできるわけではないが、プラスチドのDNAに目的もくてき外来がいらいDNAをあいどうくみえによって導入どうにゅうしてプラスチドない発現はつげんさせるわけである。これをプラスチド形質けいしつ転換てんかんという。このようなプラスチド形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ外来がいらいDNAは形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ自身じしん結実けつじつした種子しゅしとおしてのみ後代こうだい伝達でんたつされるため、花粉かふんかいした遺伝子いでんし拡散かくさん回避かいひできる。その自家じか受粉じゅふんするイネダイズなどの作物さくもつにおいては、閉花受粉じゅふんせい利用りようするこころみがすすんでいる。閉花受粉じゅふんせいとは、開花かいかせずに同一どういつはな雄蕊おしべ花粉かふんによって雌蕊めしべ受粉じゅふんする性質せいしつである。この性質せいしつ利用りようできれば、花粉かふんかいした遺伝子いでんし拡散かくさん可能かのうせい低減ていげんできる。現在げんざいでは利用りようされてはいないが、いわゆる「ターミネーター技術ぎじゅつ」を利用りようすれば遺伝子いでんし拡散かくさんふせぐことができる。そのにも種子しゅし花粉かふん特異とくいてき発現はつげんする遺伝子いでんしプロモーターによって配列はいれつ特異とくいてきくみ酵素こうそとその標的ひょうてき配列はいれつ利用りようして導入どうにゅう遺伝子いでんし花粉かふん種子しゅしから除去じょきょする遺伝いでんてき改変かいへん遺伝子いでんし除去じょきょ技術ぎじゅつ(genetically modified gene deletor)などの利用りようかんがえられる。

遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ遺伝いでんてき多様たようせい

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さらに、くみ品種ひんしゅ大量たいりょう栽培さいばいすると遺伝いでんてき多様たようせいうしなわれるのではないかという懸念けねんも、くみ品種ひんしゅ特有とくゆう問題もんだいではなく、在来ざいらい品種ひんしゅにおいても少数しょうすう品種ひんしゅだい規模きぼ栽培さいばいともな問題もんだいである。農業のうぎょう産業さんぎょうである以上いじょう経営けいえいじょう有利ゆうりであるこう品質ひんしつていコストなどの競争きょうそうりょくたか品種ひんしゅあらわれれば、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつかぎらず栽培さいばいひろがる。その過程かてい競争きょうそうやぶれた品種ひんしゅ淘汰とうたされる。しかし、野生やせいしゅ競争きょうそうりょくひく旧来きゅうらい品種ひんしゅにも重要じゅうよう遺伝子いでんしやゲノム構造こうぞう存在そんざいしているため、その維持いじ保存ほぞん重要じゅうようである。

一方いっぽう遺伝いでんてき多様たようせい維持いじしていくうえで、遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつおおいに役立やくだつという意見いけんもある。その意見いけんは、

  • 従来じゅうらい育種いくしゅほうにおいて、おおくの品種ひんしゅ育種いくしゅ材料ざいりょうとしてもちいてそれらにあらたな形質けいしつ導入どうにゅうすることは、きわめて多数たすう試料しりょうあつかうことになり困難こんなんである。そのため、比較的ひかくてき少数しょうすう品種ひんしゅとうしか育種いくしゅ材料ざいりょうになれず、育種いくしゅ材料ざいりょうとしてえらばれなかったものの遺伝子いでんしゲノム構造こうぞう消失しょうしつする可能かのうせいたかくなる。
  • 一方いっぽう遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつ利用りようした場合ばあいでは、あらたな形質けいしつ発現はつげんさせるための遺伝子いでんし発現はつげんカセットを多数たすう品種ひんしゅ導入どうにゅうすることは比較的ひかくてき容易よういである。よって、多数たすう品種ひんしゅ維持いじ保存ほぞんするじょう有利ゆうりである。

というかんがえにもとづいている。つまり、在来ざいらい品種ひんしゅ遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつによって有用ゆうよう遺伝子いでんし導入どうにゅう競争きょうそうりょくたかめることにより、在来ざいらい品種ひんしゅのゲノム構造こうぞうのこりやすくなるという意味いみである。

くみえカノーラもしくはそのだい自生じせい

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カノーラの輸入ゆにゅうこう近辺きんぺん菜種油なたねあぶら工場こうじょう近辺きんぺんさらにそこにいた沿道えんどうでは遺伝子いでんしぐみえカノーラの自生じせい確認かくにんされている[204]。2015年度ねんど平成へいせい27年度ねんど)の調査ちょうさでは、ナタネるい日本にっぽん輸入ゆにゅうこう18こうのうち、10こう周辺しゅうへんくみ遺伝子いでんしつものが、ナタネるい1215個体こたいちゅうから130個体こたいつかった[205]。その調査ちょうさにおいては、カラシナまた在来ざいらいナタネと遺伝子いでんしぐみえカノーラとの交雑こうざつたい発見はっけんされなかった。

そのアブラナぞく作物さくもつとの交配こうはいかんしては、栽培さいばいされている作物さくもつ雑種ざっしゅだいいちだいであり、その品種ひんしゅ純粋じゅんすいせいたもつために、種子しゅし栽培さいばい農家のうか毎年まいとし購入こうにゅうしているので、アブラナぞく作物さくもつ遺伝子いでんしぐみ品種ひんしゅ形質けいしつ導入どうにゅうされる可能かのうせいひくい。なお、現在げんざい輸入ゆにゅうされているカノーラたねBrassica napus(セイヨウアブラナ)であり、ふくばいたいたねであるためそのゲノム構成こうせいはAACC (2n = 38)である。日本にっぽん栽培さいばいされているおおくのアブラナぞく作物さくもつBrassica rapa(ゲノム構成こうせい: AA, 2n = 20)かB. oleracea(ゲノム構成こうせい: CC, 2n = 18)かB. juncea(ゲノム構成こうせい: AABB, 2n = 4x = 36)であり、カノーラとの交雑こうざつ報告ほうこくされているが、同種どうしゅあいだくら交雑こうざつ発芽はつが可能かのうせいひくく、また交雑こうざつしたもののみのりせいひくい。しかし、野生やせいしているB. rapa遺伝子いでんしぐみえカノーラとの交雑こうざつした植物しょくぶつたい(ゲノム構成こうせい: AAC, 2n = 3x = 29)の自生じせい確認かくにんされている[204]。なお、日本にっぽん栽培さいばいされているB. napusはセイヨウアブラナ、しん摘菜つまみな、かぶれさいのらぼうさいさんじゅうなばな、などである。

くみえダイズとツルマメの交雑こうざつ頻度ひんど

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ダイズ(Glycine max)の原種げんしゅであるツルマメ(G. soja)は、日本にっぽんふくひがしアジアやシベリアで自生じせいしている。ツルマメもダイズも閉花受粉じゅふんによる自家じか受粉じゅふんせいつよ植物しょくぶつであるが、ツルマメとダイズは交雑こうざつ可能かのうである。そのため、くみえダイズをひがしアジアで栽培さいばいすると導入どうにゅう遺伝子いでんしがツルマメに拡散かくさんする可能かのうせい指摘してきされた。そこで、どの程度ていど交雑こうざつ頻度ひんどであるのかを調しらべる定量ていりょう分析ぶんせきおこなわれた。ダイズとツルマメがからみつくくらいにこんうえしたこんうえと2 m, 4 m, 6 m, 8 m, 10 mはなしてえた距離きょり設定せっていきょうためされた。また、花期かきことなるくみえダイズ品種ひんしゅ複数ふくすう種類しゅるいもちいるとともに、播種はしゅ時期じきをずらして、できるだけツルマメとくみえダイズの花期かきわせるようにした。そしてツルマメに結実けつじつした種子しゅしのみを回収かいしゅうして解析かいせきした。その結果けっかこんうえでは、25,741個体こたいちゅう交雑こうざつ個体こたいは35個体こたいであり、また、距離きょり(66,671個体こたい)においても、遺伝子いでんしぐみえダイズから2 m、4 m、6 mの距離きょりでの交雑こうざつ個体こたいはそれぞれ1個体こたい、8 m、10 mの距離きょりでは交雑こうざつ個体こたいみとめられないという結果けっかになった。このことから、意図いとてき交雑こうざつ頻度ひんどげるような操作そうさおこなっても、くみえダイズとツルマメの交雑こうざつきわめててい頻度ひんどであることがわかり、通常つうじょう栽培さいばい条件じょうけんではさらてい頻度ひんどになることが予想よそうされた[36][206][207]

Btトウモロコシ花粉かふん生態せいたいけいあたえる影響えいきょう

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生態せいたいけいあたえるほか影響えいきょうとして、Btトウモロコシの花粉かふんがトウモロコシはたけ近傍きんぼう有毒ゆうどく雑草ざっそうであるトウワタにかかり、それをしょくそうとするちょうオオカバマダラ幼虫ようちゅう生育せいいく阻害そがいして生存せいぞんりつげたという報告ほうこく有名ゆうめいである[208]。この論文ろんぶんは、実験じっけんしつないでトウワタのにBtトウモロコシ、トウモロコシ栽培さいばい品種ひんしゅ花粉かふんをかけたものとかけなかったものをえさとしてオオカバマダラの幼虫ようちゅう飼育しいくして経時きょうじてき体重たいじゅう生存せいぞんりつ測定そくていしたものである。そのさいに、トウワタに散布さんぷした花粉かふん密度みつどが、"Pollen density was set to visually match densities on milkweed leaves collected from corn fields."と定量ていりょうてきであるにもかかわらず、体重たいじゅう変化へんか生存せいぞんりつ定量ていりょうてきしめしたという問題もんだいてんふくんでいる。著者ちょしゃらが、"it is imperative that we gather the data necessary to evaluate the risks associated with this new agrotechnology and to compare these risks with those posed by pesticides and other pest-control tactics."とべているように、Btトウモロコシの栽培さいばい慣行かんこう栽培さいばいによるリスク評価ひょうか比較ひかくおこなうことは重要じゅうようである。すなわち、殺虫さっちゅうざい散布さんぷともな生態せいたいけいへの影響えいきょう残留ざんりゅう農薬のうやく食害しょくがいともな微生物びせいぶつ汚染おせんなどのリスクとBtトウモロコシのリスクを比較ひかくする必要ひつようがある。たとえば、慣行かんこう農法のうほうによって殺虫さっちゅうざいをまくことによって害虫がいちゅう以外いがいへの影響えいきょうとBtトウモロコシの栽培さいばいによる影響えいきょう相互そうご比較ひかくした場合ばあい、どちらが生態せいたいけいへの影響えいきょうおおきいかを検定けんていすることなどである。なお、Bt toxinを生産せいさんさせるための発現はつげんカセットのプロモーターを花粉かふん発現はつげんしないものにすることにより、花粉かふんふくまれるBt toxinのりょう激減げきげんさせることができる。MON80100[37]やMon809[38]などのように、Btタンパク質たんぱくしつ花粉かふんちゅうにはほとんどふくまれないが組織そしきにはふくまれるトウモロコシぐみ品種ひんしゅなどがそのれいである。なお、すべての組織そしきつよ発現はつげんするとされるCaMV 35sプロモーターやその改変かいへんしたもの、のウイルスのプロモーター、ユビキチンねつショックタンパクしつ類似るいじタンパク質たんぱくしつ遺伝子いでんしのプロモーターなどがBt toxin生産せいさん使用しようされているくみ品種ひんしゅでも、花粉かふんちゅうにはBt toxinはほとんどふくまれていない。また、ぜん組織そしきつよ発現はつげんするとされるプロモーターをもちいた場合ばあいでも、られた形質けいしつ転換てんかん植物しょくぶつ系統けいとうなかからBt toxinを花粉かふんでは生産せいさんしない系統けいとう選択せんたくすることでもけられる。

なお、国内外こくないがい大学だいがく生物せいぶつがく教科書きょうかしょとしてひろ利用りようされている「キャンベル生物せいぶつがく」において、この論文ろんぶん論争ろんそうについては以下いかのように記載きさいされている[209]

One laboratory study indicated that the larvae (caterpillars) of monarch butterflies responded adversely and even died after eating milkweed leaves (their preffered food) heavily dusted with pollen from transgenic Bt maize. (オオカバマダラというチョウの幼虫ようちゅう芋虫いもむし)は、(このちょうこの食物しょくもつである)トウワタの形質けいしつ転換てんかんBtトウモロコシの花粉かふん大量たいりょうりかけられたのちべると、有害ゆうがい反応はんのうしめぬことさえあったということを、ある研究けんきゅうしつ研究けんきゅうしめした。) This study has since been discredited and affords a good example of the self-correcting nature of science. (この研究けんきゅうは、もとより信用しんようされず、科学かがく自己じこあやまちを修正しゅうせいする特性とくせいのよいれい提供ていきょうしている。) As it turns out, when the original reserchers shook the male maize inflorescences onto the milkweed leaves in the laboratory, the filaments of stamens, opend microsporangia, and other floral parts also rained onto the leaves. (結局けっきょくのところ、もともとの(論文ろんぶんの)研究けんきゅうしゃがトウモロコシの雄花おばなをトウワタの実験じっけんしつでふりかけたとき、雄蕊おしべはないとやはじけた花粉かふん嚢とはな部分ぶぶんそそいでいた。) Subsequent research found that it was these other floral parts, not the pollen, that contained Bt toxin in high consentrations. (つづおこなわれた研究けんきゅうは、Bt毒素どくそこう濃度のうどふくんでいたのは、花粉かふんではなく、これらのほかはな部分ぶぶんであることをあきらかにした。) Unlike pollen, these floral parts would not be carried by the wind to neighboring milkweed plants when shed under natural field conditions. (花粉かふんとはことなり、これらのはな部分ぶぶん自然しぜん圃場ほじょう環境かんきょう落下らっかした場合ばあいふうにより隣接りんせつするトウワタの植物しょくぶつたいはこばれない。)

このようにこの論文ろんぶん評価ひょうかはほぼさだまっている。

除草じょそうざいたいせい雑草ざっそう増加ぞうかによる環境かんきょう負荷ふか

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除草じょそうざいたいせいった遺伝子いでんし作物さくもつ幅広はばひろ普及ふきゅうした要因よういんひとつには、単一たんいつ薬剤やくざい一度いちど使用しようするだけで雑草ざっそう一挙いっきょけることから手間てまもコストも環境かんきょう負荷ふか従来じゅうらいより低減ていげんするという利点りてんがあるとかんがえられている。しかし、複数ふくすう除草じょそうざい使つかけていた従来じゅうらい手法しゅほうちがい、単一たんいつ除草じょそうざいだけにたよったこと雑草ざっそうがわ容易ようい除草じょそうざいへのたいせい獲得かくとくしてしまい、除草じょそうざい効果こうか発揮はっきしづらくなる事例じれい増加ぞうかしている[210]

雑草ざっそうたいせい獲得かくとくふせためには、遺伝子いでんし作物さくもつとそれに対応たいおうした単一たんいつ除草じょそうざいばかりを使用しようせずに、輪作りんさく耕作こうさくこうおこり複数ふくすう除草じょそうざい使用しようといった、従来じゅうらい手法しゅほうわせる必要ひつようがあるが、そのような従来じゅうらい手法しゅほう回帰かいきすればするほど、手間てま費用ひよう環境かんきょう負荷ふかといった、遺伝子いでんし技術ぎじゅつ利点りてんうしなわれると指摘してきされている[211][212]。(→ラウンドアップたいせい雑草ざっそう世界せかいてき問題もんだい)

経済けいざい問題もんだい

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概説がいせつ

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くみ品種ひんしゅ開発かいはつした企業きぎょうが、種子しゅし支配しはいつうじて食料しょくりょう生産せいさんをコントロールすることにつながるのではないか、という懸念けねんされている。おおくの場合ばあいくみ種子しゅし販売はんばい会社かいしゃ生産せいさん農家のうかは、収穫しゅうかくした種子しゅし次回じかいさくへの利用りよう禁止きんしする契約けいやくむすんでいる。さらに、くみ種子しゅしまいさくごと農家のうか購入こうにゅうさせるための手法しゅほうとして、一時期いちじき結実けつじつはできるがられた種子しゅしから発芽はつができないようにする、いわゆる「ターミネーター技術ぎじゅつ」が導入どうにゅうされたくみ品種ひんしゅ開発かいはつおこなわれたが、批判ひはんおおく、現在げんざい販売はんばいされているもののなかにはない。

F1品種ひんしゅおおいトウモロコシなどをのぞき、カノーラやダイズのくみ品種ひんしゅかんしては農家のうかによる自家じか採種さいしゅによって違法いほう増殖ぞうしょくされ紛争ふんそうになることがある。上記じょうきラウンドアップたいせい作物さくもつ開発かいはつ販売はんばいしているモンサントしゃ農家のうか農家のうか自家じか採種さいしゅたいして「特許とっきょ侵害しんがい」としてすうおおくの訴訟そしょうこしており、これに反発はんぱつする農家のうか存在そんざいする[213]

その農家のうかによる自家じか採種さいしゅには、経済けいざいてき側面そくめん以外いがいにも、Bt toxin生産せいさん作物さくもつなどの害虫がいちゅう抵抗ていこうせい品種ひんしゅかんしてはBt toxin抵抗ていこうせい害虫がいちゅう出現しゅつげん助長じょちょうするという重大じゅうだい問題もんだいふくんでいる[27]

その経済けいざい問題もんだいとして、くみ作物さくもつほう収量しゅうりょうひくいという指摘してきがある(Benbrook reports[214]など)一方いっぽうぎゃくくみ作物さくもつほう収量しゅうりょうたか経済けいざいてきにも有利ゆうりであるという報告ほうこくもある。

くみ作物さくもつ栽培さいばいによる農民のうみん経済けいざいてき利益りえき

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1995ねんから2014ねん3がつまでのくみ作物さくもつ経済けいざい問題もんだいかんする147ほう研究けんきゅう報告ほうこくもとくみ作物さくもつ経済けいざい問題もんだいたいする包括ほうかつてきなレビューが報告ほうこくされた[215]。それによると様々さまざま形質けいしつくみ作物さくもつ(おも害虫がいちゅう抵抗ていこうせいトウモロコシとワタ、除草じょそうざいたいせいダイズとトウモロコシとワタ)の結果けっかまとめた結果けっかとして、収量しゅうりょうは21.6%増加ぞうか農薬のうやく使用しようりょうは36.9%減少げんしょう農薬のうやく費用ひようは39.2%減少げんしょうぜん生産せいさん費用ひようは3.3%増加ぞうか農民のうみん利益りえきは68.2%増加ぞうかすることが判明はんめいした。さら害虫がいちゅう抵抗ていこうせい除草じょそうざい抵抗ていこうせい作物さくもつけて解析かいせきすると、害虫がいちゅう抵抗ていこうせい作物さくもつ収量しゅうりょうは21.98%増加ぞうか農薬のうやく使用しようりょうは38.97%減少げんしょう農薬のうやく費用ひようは39.45%減少げんしょうぜん生産せいさん費用ひようは3.94%増加ぞうか農民のうみん利益りえきは60.01%増加ぞうかすることが、除草じょそうざい抵抗ていこうせい作物さくもつ収量しゅうりょうは21.98%増加ぞうか農薬のうやく使用しようりょうは6.02%減少げんしょう農薬のうやく費用ひようは36.21%減少げんしょうぜん生産せいさん費用ひようは5.51%減少げんしょう農民のうみん利益りえきは56.48%増加ぞうかすることがあきらかになった[216]

種子しゅし支配しはい種苗しゅびょう会社かいしゃ寡占かせん

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まいさくごと種子しゅし購入こうにゅうする必要ひつようせいつうじて、開発かいはつした種苗しゅびょう会社かいしゃによる種子しゅし支配しはい強化きょうかされるという批判ひはんがある。これは、農民のうみんには収穫しゅうかくした種子しゅし一部いちぶ次回じかいさく利用りようする権利けんりがあり、それを侵害しんがいすることになるという意見いけんである。しかし、これは、くみ品種ひんしゅ限定げんていされた問題もんだいではない。

現代げんだい農業のうぎょうでは、交雑こうざつによる雑種ざっしゅだいいちだい栽培さいばいされている。F1品種ひんしゅみのった種子しゅしはF2世代せだいであり、F2世代せだい遺伝いでんてき均一きんいつであるため、F2世代せだい栽培さいばい可能かのうではあるが、F2世代せだい栽培さいばいすると様々さまざま表現ひょうげんがた植物しょくぶつ雑多ざった集団しゅうだんとなってしまう。そのため、栽培さいばい管理かんりじょういちじるしく不利ふりになってしまう。

そこで、F1品種ひんしゅ栽培さいばいする場合ばあい安定あんていしてどういち形質けいしつ作物さくもつるためには、まいさくごと種子しゅし購入こうにゅうしなくてはならない。さらに、F1品種ひんしゅでなくても自家じか採種さいしゅした種子しゅしは、遺伝いでんてき純粋じゅんすいせい問題もんだい病原菌びょうげんきん汚染おせん種子しゅし品質ひんしつ問題もんだい、その品種ひんしゅめい名乗なのって販売はんばいする場合ばあい種苗しゅびょうほう問題もんだいがあり、おおくの農家のうか種子しゅし種苗しゅびょう会社かいしゃから購入こうにゅうしている現状げんじょうがある。つまり、特定とくてい企業きぎょうによる種子しゅし支配しはい問題もんだいは、遺伝子いでんしぐみ品種ひんしゅ特有とくゆう問題もんだいではない。

一方いっぽう、この意見いけんたいする反論はんろんもある。従来じゅうらい交配こうはい突然変異とつぜんへんいによる育種いくしゅにおいて優良ゆうりょう品種ひんしゅ開発かいはつするためには、あつか材料ざいりょう膨大ぼうだいで、人員じんいん時間じかん大量たいりょう必要ひつよう費用ひようがかかる一方いっぽう優良ゆうりょう品種ひんしゅられるかくりつひくかった。それにたいして、遺伝子いでんしぐみ育種いくしゅでは、アイデアさえよければ比較的ひかくてき短期間たんきかんていコストで優良ゆうりょう品種ひんしゅ育種いくしゅできるかくりつたかいために、しょう資本しほんベンチャー企業きぎょう小規模しょうきぼ研究けんきゅう機関きかんでもくみ品種ひんしゅ開発かいはつ参入さんにゅうできた。

ただし、くみ品種ひんしゅ開発かいはつすること自体じたい比較的ひかくてき容易よういであっても、それを商品しょうひんして上市かみいちするためには安全あんぜんせい審査しんさ合格ごうかくする必要ひつようがある。安全あんぜんせい審査しんさには多額たがく費用ひよう時間じかんがかかるために、しょう資本しほんのベンチャー企業きぎょう中小ちゅうしょう資本しほん種苗しゅびょう会社かいしゃ中小ちゅうしょう研究けんきゅう機関きかんにはその余裕よゆうがなく、それにえられるだい資本しほん種苗しゅびょう会社かいしゃ企業きぎょうごと買収ばいしゅうされたり、特許とっきょ売却ばいきゃくしたりすることにつながった。つまり、遺伝子いでんしぐみ品種ひんしゅたいする規制きせい強化きょうか結果けっかとして、だい資本しほん種苗しゅびょう会社かいしゃによる寡占かせんすすんだという解釈かいしゃく[217]

そのくみ品種ひんしゅおおいトウモロコシ、ダイズ、ワタ以外いがい果樹かじゅ野菜やさいやバイオ燃料ねんりょうよう作物さくもつにおいても、様々さまざま形質けいしつくみ品種ひんしゅ開発かいはつされているが、それらのおおくは商業しょうぎょうされていない。その理由りゆうとしても、同様どうようのことが指摘してきされている[218]

さらに、べつ問題もんだいによって寡占かせんすすんでいるという指摘してきもある。日本にっぽんくみ食品しょくひん安全あんぜんせい審査しんさ多数たすう申請しんせい業務ぎょうむ経験けいけんしているのはすうしゃ大手おおて企業きぎょうだけであり、それらの会社かいしゃでは申請しんせいのノウハウが蓄積ちくせきされ、提出ていしゅつ文書ぶんしょ改善かいぜんされている。

しかし、たとえば、ウイルス抵抗ていこうせいパパイヤの安全あんぜんせい審査しんさ申請しんせいおこなったハワイパパイヤ産業さんぎょう協会きょうかいなどのように、食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかいくみ作物さくもつ食品しょくひん商業しょうぎょう利用りよう申請しんせいすことが今後こんごすくないであろうしょう企業きぎょう大学だいがくなどは、食品しょくひん環境かんきょうへの安全あんぜんせい審査しんさ多大ただい時間じかん経費けいひようし、そこでたノウハウをさらに活用かつようする機会きかいすくなければ、商業しょうぎょうへの意欲いよく低下ていかし、ひいては研究けんきゅう開発かいはつ活動かつどう自体じたい停滞ていたい縮小しゅくしょうしていくともかんがえられる[219]

国籍こくせきぐみ作物さくもつ開発かいはつ種苗しゅびょう会社かいしゃ国際こくさいてき知的ちてき財産ざいさんけん

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農作物のうさくもつ生育せいいくには、地域ちいき気候きこう土壌どじょうとの適合てきごうせい重要じゅうようである。このため、国籍こくせき種苗しゅびょう会社かいしゃといえどもすでに実績じっせきのある種苗しゅびょう輸出ゆしゅつするためには、その種苗しゅびょうてきした類似るいじ気候きこう土壌どじょう地域ちいきかぎられる。既存きそん品種ひんしゅてきさない気候きこうたい土壌どじょう特性とくせい地域ちいき輸出ゆしゅつした場合ばあい期待きたいどおりの収穫しゅうかくられない。そこで、現地げんちあらたな品種ひんしゅ育種いくしゅしなければならない。

ところが、進出しんしゅつするにたり問題もんだいになるものは知的ちてき財産ざいさんほう制度せいどである。知的ちてき財産ざいさんほう制度せいど各国かっこく固有こゆうのものであるために、種苗しゅびょうたいする知的ちてき財産ざいさんけん保護ほご制度せいどやその実効じっこうせいくに地域ちいきによってことなる。たとえば、米国べいこくでは特許とっきょている種苗しゅびょうなどの知的ちてき財産ざいさんであったとしても、かり外国がいこく保護ほご対象たいしょうとされていなければその国内こくないでの増殖ぞうしょく違法いほうではないし、特許とっきょけんではなく種苗しゅびょう育成いくせいしゃけんでしか保護ほごされていなければ、その種苗しゅびょうもちいたしん品種ひんしゅ育種いくしゅ違法いほうではない[220]

そのため、知的ちてき財産ざいさんほう制度せいどやその実効じっこうせいとぼしいくに地域ちいきに、国籍こくせき種苗しゅびょう会社かいしゃ進出しんしゅつしにくくなるともかんがえられる。しかし、知的ちてき財産ざいさんほう制度せいど整備せいびよりも、実際じっさいには"進出しんしゅつ企業きぎょうすうこう面積めんせき公的こうてき種苗しゅびょう販売はんばいしゃすうせい相関そうかんつという結果けっかは,利潤りじゅん敏感びんかん国籍こくせき種苗しゅびょう企業きぎょう行動こうどう端的たんてきしめすものであろう。"という解析かいせきている[220]

さらに、作物さくもつ品種ひんしゅによって種苗しゅびょう会社かいしゃ知的ちてき財産ざいさんけん保護ほご実効じっこうせいことなる。トウモロコシの雑種ざっしゅだいいちだいのように、まいさくごとにF1種子しゅし購入こうにゅうしなくてはならない品種ひんしゅ場合ばあいは、種苗しゅびょう会社かいしゃ知的ちてき財産ざいさんけん比較的ひかくてきまもられることになる。一方いっぽう、コメやコムギやダイズのように、優先ゆうせんてき自家じか受粉じゅふんするため遺伝子いでんしホモ接合せつごうせいたか作物さくもつ固定こていされた品種ひんしゅでは、みのった種子しゅしおやおな遺伝いでん形質けいしつつので、ジャガイモやイチゴのように、栄養えいよう繁殖はんしょくするものと同様どうよう違法いほう増殖ぞうしょくふせ実効じっこうせいとぼしくなる。

事実じじつ、アルゼンチンで栽培さいばいされていたモンサント育種いくしゅした遺伝子いでんしぐみえダイズ(ラウンドアップレディー・ダイズ)のほとんどが、違法いほう増殖ぞうしょくされていたものであること("モンサント・アルゼンチンしゃ広報こうほう担当たんとうしゃによると,同国どうこく撒布さんぷされた大豆だいずしゅの18%しか合法ごうほうしゅでないという(La Nacion, 2004ねん1がつ20日はつか)。", p.72-73[220])が報告ほうこくされている。

このことは、種苗しゅびょう会社かいしゃ知的ちてき財産ざいさんけんまもられやすいF1作物さくもつやそのくみ品種ひんしゅこのんで育種いくしゅするというように、種苗しゅびょう会社かいしゃがどのような作物さくもつ選択せんたくして育種いくしゅするのかということにも関係かんけいしてくるとかんがえられる[220]。また、違法いほう増殖ぞうしょくがあった場合ばあいには、国籍こくせき種苗しゅびょう会社かいしゃ種子しゅし販売はんばい停止ていしする場合ばあいがある。

たとえば、前述ぜんじゅつ違法いほうくみえダイズを大量たいりょう栽培さいばいしていたアルゼンチンにたいして、

モンサントのアルゼンチン法人ほうじんは、大豆だいず生産せいさんだいさんこくのアルゼンチンにおける大豆だいずしゅ販売はんばいを2003ねん12月に停止ていしし、2004ねん1がつ18にちにはGM トウモロコシ,GM モロコシ,しん品種ひんしゅのひまわりなど、交雑こうざつ作物さくもつ販売はんばい重点じゅうてんうつすことを発表はっぴょうした(Reuters, 2004ねん1がつ18にち)。翌日よくじつ,モンサントは状況じょうきょう好転こうてんしたら、大豆だいずしゅ販売はんばい再開さいかいするとも発表はっぴょうしている。2004ねん2がつ違法いほう行為こうい放置ほうちつづけてきたアルゼンチン政府せいふも、ロイヤルティ支払しはらいのために基金ききん設立せつりつすることをあきらかにし、モンサントしゃの“おどし”にこたえている(St. Louis Business Journal, 2004ねん2がつ20日はつか)。

報道ほうどう(p. 52, みぎ 5-14ぎょう[220])された。

このような行為こういを「企業きぎょうによる種子しゅし支配しはい」ととらえるか、侵害しんがいされた知的ちてき財産ざいさんけん回復かいふくするための「正当せいとう行為こうい」ととらえるか、意見いけんかれる。なお、ラウンドアップレディー・ダイズにたいする特許とっきょりょう支払しはらいにかんしては、アルゼンチン政府せいふとモンサントだけではなく、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふんで、2005ねん以降いこう交渉こうしょうがもめており[221][222]知的ちてき財産ざいさんけん国際こくさいてき紛争ふんそう解決かいけつ困難こんなんさをしめしている。

シュマイザー事件じけん

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1998ねん、カナダモンサントしゃはカナダ、サスカチェワン(Saskatchewan)しゅう農民のうみん、パーシー・シュマイザー(Percy Schmeiser)の農場のうじょうでラウンドアップたいせいナタネ(カノーラ: canola)が許可きょか栽培さいばいされていることにたい特許とっきょけん侵害しんがい訴訟そしょうこした。シュマイザーは種子しゅし特許とっきょ存在そんざいしないこと、農場のうじょうのナタネの9わり以上いじょうがラウンドアップたいせいナタネになっていたのは意図いとてき栽培さいばいしたのではなく周辺しゅうへん栽培さいばいされているラウンドアップたいせいナタネによる「遺伝子いでんし汚染おせん」の結果けっかであると主張しゅちょうした。しかし、交雑こうざつとう可能かのうせいがあってもやく400 haにえられたナタネの95-98%のナタネがラウンドアップたいせいナタネになることは現実げんじつにはありないとしてカナダ最高裁さいこうさいはモンサントしゃたいする特許とっきょ侵害しんがいみとめた。下級かきゅうしん判決はんけつ妥当だとうとしシュマイザーは敗訴はいそした。

まず、カナダ連邦れんぽう裁判所さいばんしょが2001ねん3がつ29にちくだした判決はんけつ[223]では、シュマイザーがラウンドアップを噴霧ふんむみずか噴霧ふんむしてラウンドアップたいせいナタネを意図いとてき選択せんたくして増殖ぞうしょくし、栽培さいばいしたことを認定にんていした。

また、2002ねん9がつ4にちのカナダ連邦れんぽう控訴こうそ裁判所さいばんしょ判決はんけつ[224]においても、シュマイザーの控訴こうそ事由じゆうさんにん判事はんじ全員ぜんいん一致いっちすべ退しりぞけた。2004ねん5がつ21にちにカナダ最高裁判所さいこうさいばんしょによってくだされた判決はんけつ[225]においても、シュマイザーは敗訴はいそした。

種子しゅしたいする特許とっきょみとめられたことにたいしカナダの市民しみん団体だんたい生産せいさんしゃ団体だんたいつよ反発はんぱつしている。

シュマイザーはみずからを遺伝子いでんし汚染おせん被害ひがいしゃとして、遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ反対はんたいとも日本にっぽん国内こくないでもたびたび反対はんたい活動かつどうおこなっている。

インドにおけるBtワタ栽培さいばい農民のうみん自殺じさつ関係かんけい有無うむ

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イ ンドでは2002ねんから遺伝子いでんしぐみえBtワタが導入どうにゅうされ、その栽培さいばい面積めんせき急激きゅうげきひろがっている。みどり革命かくめいたいする批判ひはんしゃとしても、遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいとしても国際こくさいてき著名ちょめいインド環境かんきょう活動かつどうであるヴァンダナ・シヴァ(Vandana Shiva)らは、「インドにおいて遺伝子いでんしぐみかわ えBtワタの種子しゅし導入どうにゅうはコストを80ばいにし、農民のうみん借金しゃっきんけにして自殺じさつんだ。27まんにん以上いじょうのインドの農民のうみん高価こうか種子しゅし農薬のうやくによる借金しゃっきんのために 自殺じさつした。そしてだい部分ぶぶん自殺じさつはワタ栽培さいばい地帯ちたい集中しゅうちゅうしている。」[226]主張しゅちょうしている。しかし、べつ調査ちょうさによれば、遺伝子いでんしぐみえBtワタがインドに導入どうにゅうされる以前いぜんの1997ねんから大幅おおはば栽培さいばい面積めんせき増加ぞうかしていった2007ねんにかけて10年間ねんかんのインドの農民のうみん自殺じさつすうにほとんど変化へんかみとめられず、自殺じさつすう遺伝子いでんしぐみえBtワタの栽培さいばい面積めんせきあいだ相関そうかんいだせなかった(インドの農民のうみん年間ねんかん自殺じさつすうとBtワタ栽培さいばい面積めんせき変化へんかのグラフ)。このことから「ネイチャー」は2013ねんの5がつ2にちごうで、シヴァらの主張しゅちょうあやまりであるとした[227]

倫理りんりめん

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宗教しゅうきょうじょうやその信念しんねんにより遺伝子いでんし操作そうさ自体じたいきらひと存在そんざいし、反対はんたい活動かつどうおこなっている。一方いっぽう、ゴールデンライスのように人道的じんどうてきなものにまで反対はんたいすることにたいしては反発はんぱつもある。

ゴールデンライスと遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたい運動うんどう

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ビタミンA欠乏症けつぼうしょう[228]解消かいしょうすることは世界せかい保健ほけん機構きこう(WHO)や国際こくさい連合れんごう児童じどう基金ききん(UNICEF)においても主要しゅよう目標もくひょうである(A Strategy for Acceleration of Progress in CombatingVitamin A Deficiency)。WHOによると、 推定すいてい2おく 5せんまんにん就学しゅうがくがビタミンA欠乏症けつぼうしょうであり、ビタミンA欠乏けつぼう地域ちいきでは多数たすうにんもビタミンA欠乏症けつぼうしょうである[229][230]。そして、推定すいてい25まんにんから50まんにん子供こどもたちが毎年まいとし、ビタミンA欠乏症けつぼうしょう失明しつめいし、その半数はんすういちねん以内いない死亡しぼうしている。そのような子供こどもたちはみなみアジア東南とうなんアジア都市としスラム貧困ひんこん家庭かていおおい。ビタミンA欠乏症けつぼうしょう解消かいしょうするために、主食しゅしょくであるコメビタミンA前駆ぜんくたいであるβべーた-カロテンふくむようにしてビタミンA欠乏症けつぼうしょう緩和かんわしようと育種いくしゅされたものがゴールデンライスである[231]

このゴールデンライスにたいしても反対はんたいする遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん反対はんたいはいる。前述ぜんじゅつのヴァンダナ・シヴァの主張しゅちょうは、

ビタミン含有がんゆうりつたか遺伝子いでんしえのゴールデンライスの開発かいはつたいして、イギリス[注釈ちゅうしゃく 76]のビタミン不足ふそくどもたちのために開発かいはつしているのになぜ反対はんたいかと、ヴァンダナ・シヴァさんがめられた。こたえは、「そんなものはいらない。リンゴひとつべればビタミンはおぎなえるもの」。バランスべれば、そんなものはつくる必要ひつようがないし、ほんとうに栄養えいよう不足ふそくどもたちのやくにたつわけでもない。そして、ゴールデンライスみたいな画一かくいつてき圃場ほじょう(ほじょう)をつくるためになぎたおされた、たくさんの薬草やくそうでビタミンを補給ほきゅうしていたインドのどもたちが、年間ねんかん4000にん[注釈ちゅうしゃく 77][注釈ちゅうしゃく 78]失明しつめいしていると反論はんろんしていました。

紹介しょうかいされている[232]。この主張しゅちょうたいしては、リンゴビタミンA供給きょうきゅうげんとしては不適切ふてきせつである[233]という栄養えいようがくてき反論はんろんと、貧困ひんこん家庭かてい人々ひとびとがバランスが食事しょくじがとれないためにビタミンA欠乏症けつぼうしょうおちいっている[234][39][40]という現実げんじつ無視むししているという反論はんろん[よう出典しゅってん]がなりたつ。

また、ヴァンダナ・シヴァの主張しゅちょうなかには、色素しきそまい[注釈ちゅうしゃく 79]ちゃまい[注釈ちゅうしゃく 80]には多量たりょうのビタミンA前駆ぜんくたいふくまれているのでゴールデンライスを開発かいはつする必要ひつようがないというものがある[235]。しかし、玄米げんまいにはごくわずかのβべーた-カロテンがふくまれるために痕跡こんせきりょうレチノールとうりょうのビタミンA活性かっせいがあるがビタミンAの供給きょうきゅうげんとしては不適切ふてきせつであり、精米せいまいされた白米はくまいにはないといって[236]あかまい色素しきそタンニンけいであり[237]黒米くろごめ色素しきそアントシアニンけいである[238]。つまり、ビタミンAに変換へんかんされるカロテノイドけい色素しきそではないため、あかまい黒米くろごめはたとえ玄米げんまいであったとしてもビタミンAの供給きょうきゅうげんにはならない。

このようなゴールデンライスにたいする反対はんたいたいして、ゴールデンライスの開発かいはつしゃ(Ingo Potrykusら)や推進すいしんなかには、人道じんどうはんすると反発はんぱつするかんがえもある[239][240][241]。また、ゴールデンライス導入どうにゅうおくれにともなうビタミンA欠乏症けつぼうしょう関係かんけいする健康けんこう被害ひがいにゴールデンライスの反対はんたい責任せきにんをとるべきである、という意見いけんもある[242]

食品しょくひんとしての安全あんぜんせい

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概説がいせつ

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  • 従来じゅうらいかんがえられないほどのみじか期間きかんしん品種ひんしゅ開発かいはつおこなわれる。
  • 従来じゅうらいはありえなかった「たねかべえた」品種ひんしゅ開発かいはつ可能かのうである。

などを根拠こんきょ安全あんぜんせい保障ほしょうする実績じっせきがないとして忌避きひする意見いけん根強ねづよい。しかし、従来じゅうらいGM作物さくもつであっても100%の安全あんぜんせい証明しょうめいがなされているわけではなく、暗黙あんもくのうちに「危険きけんせい」が許容きょようされている。また、「たねかべ」は一般いっぱんしんじられているほど強固きょうこなものではなく、遺伝子いでんし水平すいへい伝播でんぱ雑種ざっしゅ形成けいせいられていることなどをかんがえるべきで、一般いっぱんてきおこなわれている品種ひんしゅ改良かいりょう無視むしして、GM作物さくもつだけを問題もんだいするのは公正こうせいとはいえない。GM作物さくもつ安全あんぜんせいについては「実質じっしつてき同等どうとうせい」の概念がいねんもとづいた議論ぎろん重要じゅうようである。ヒトのタンパク質たんぱくしつ消化しょうかにおいてだい部分ぶぶんアミノ酸あみのさんにまで分解ぶんかいされてから吸収きゅうしゅうされるため、よほどでないかぎ遺伝子いでんしぐみ作物さくもつによって変化へんかしたアミノ酸あみのさん配列はいれつわずかなちがいが消化しょうか吸収きゅうしゅうおおきな影響えいきょうあたえるとはかんがえにくい。

事実じじつ様々さまざまくみ作物さくもつぐみ作物さくもつ飼料しりょうとしておおくの家畜かちく投与とうよし、様々さまざま生化学せいかがくてき生理学せいりがくてき組織そしきがくてき差異さい調しらべるだい規模きぼ研究けんきゅうおこなったが、如何いかなる有意ゆうい差異さいいだせなかったという包括ほうかつてきなレビューを欧州おうしゅう食品しょくひん安全あんぜん機関きかん(European Food Safety Authority: EFSA)が発表はっぴょうしている[243]

また、くみ食品しょくひん解放かいほうけいでの栽培さいばい上市かみいちされるまでにさまざまな安全あんぜんせい審査しんさけて、それに合格ごうかくしたものである。一方いっぽうくみ作物さくもつ比較ひかく対象たいしょうとなる在来ざいらい品種ひんしゅは、くみ作物さくもつけるような安全あんぜんせい審査しんさたものはほとんどなく、その安全あんぜんせいくみ作物さくもつくら未知数みちすうであるという解釈かいしゃくつ。

以下いかふしでいくつかの特記とっきすべき事例じれいについてろんじる。

害虫がいちゅう抵抗ていこうせいトウモロコシにおけるカビどく含有がんゆうりょう低下ていか

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あるしゅくみ作物さくもつほう食品しょくひんとしての安全あんぜんせいたかいという報告ほうこくがある。これはBt toxinを発現はつげんしているトウモロコシYieldGardのほう野生やせいがた栽培さいばいしゅくら含有がんゆうしているカビどく(mycotoxin)りょうすうばいから20ばい程度ていどすくないというものである[244]昆虫こんちゅうなどによって摂食せっしょくされた傷口きずぐちからカビが侵入しんにゅう繁殖はんしょくするため、Bt toxinを発現はつげんしていると摂食せっしょくされにくくなるためカビどく大幅おおはば減少げんしょうしたとかんがえられている。カビどくにははつガンせい女性じょせいホルモン活性かっせいなどをゆうし、様々さまざま疾患しっかんこすものがあることがられている。このように現在げんざい判明はんめいしている食品しょくひんとしての安全あんぜんせい検査けんさではあるしゅくみ作物さくもつほうがむしろ有利ゆうりであるとの解釈かいしゃくつ。

ブラジルナッツ 2S アルブミン蓄積ちくせきダイズ

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ダイズ種子しゅし貯蔵ちょぞうタンパク質たんぱくしつアミノ酸あみのさん組成そせいでは、含硫アミノ酸あみのさんであるメチオニンシステインすくない。そのため、ダイズ・タンパク質たんぱくしつ有効ゆうこう利用りようりつあらわプロテインスコアアミノ酸あみのさんスコアひくい。そこで、ダイズ種子しゅしメチオニンシステイン含量のたかタンパク質たんぱくしつ蓄積ちくせきさせてタンパク質たんぱくしつ有効ゆうこう利用りようりつ向上こうじょうさせようという研究けんきゅうおこなわれた。メチオニンざんもとが18%、システインざんもとが8%とこう含量でふくまれているため、蓄積ちくせきさせるタンパク質たんぱくしつとしてブラジルナッツ(Bertholletia excelsa)の2S アルブミン(S: 沈降ちんこう定数ていすう、Svedberg単位たんい)がえらばれた。ただし、すでにブラジルナッツなどのナッツるいたいするアレルギーられていた。主要しゅようなアレルゲンとして分子ぶんしりょう9 kDaの2S アルブミンと42 kDa タンパク質たんぱくしつ、その複数ふくすうのアレルゲンとなるタンパク質たんぱくしつがあることが判明はんめいしている。遺伝子いでんしぐみ作物さくもつは、上市かみいちされるまえ安全あんぜんせい審査しんさなければならず、そのなかにはアレルギー試験しけんふくまれている。その審査しんさ過程かていで、ブラジルナッツ 2S アルブミン蓄積ちくせきダイズは、一部いちぶのブラジルナッツ・アレルギー患者かんじゃにアレルギーを誘発ゆうはつする可能かのうせいがあることがわかった[245]一部いちぶのブラジルナッツ・アレルギー患者かんじゃ由来ゆらい血清けっせいちゅう免疫めんえき抗体こうたいIgEは、形質けいしつ転換てんかんダイズちゅうの9 kDaのブラジルナッツ 2S アルブミンやその前駆ぜんくたい抗原こうげん抗体こうたい反応はんのうこすことが判明はんめいした。また、ブラジルナッツ・アレルギー患者かんじゃたいするアレルギー試験しけん一種いっしゅである皮膚ひふプリックテストにおいても同様どうよう結果けっかられた。この結果けっかけて、この形質けいしつ転換てんかんダイズの上市かみいち中止ちゅうしされた。植物しょくぶつ遺伝子いでんし導入どうにゅうする以前いぜん遺伝子いでんし産物さんぶつたいするアレルギーの確認かくにん可能かのうであったにもかかわらず、商品しょうひん過程かてい安全あんぜんせい審査しんさ判明はんめいしたことに問題もんだいがある。このけんは、導入どうにゅうされる遺伝子いでんし産物さんぶつたいする事前じぜん細心さいしん注意ちゅうい必要ひつようであることと、安全あんぜんせい審査しんさ有効ゆうこう機能きのうしたことをしめしている。

スターリンク事件じけん

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2000ねん9がつ以降いこう、アメリカにおいて食品しょくひんとしては認可にんかであるが飼料しりょうとしてのみ認可にんかされたくみえトウモロコシであるスターリンク(Starlink)(系統けいとうめい: CBH351)が食品しょくひんからも検出けんしゅつされた事件じけんである。食品しょくひんとしても飼料しりょうとしても認可にんかであった日本にっぽんにおいても食品しょくひんから検出けんしゅつされた。そのため、だい規模きぼ回収かいしゅう騒動そうどうしょうじた。スターリンクはアグレボしゃ(事件じけん当時とうじアベンティス(Aventis)しゃ現在げんざいのバイエルクロップサイエンスしゃ)が開発かいはつしたものであり、除草じょそうざいであるビアラホスにたいせい付与ふよされるとともにBt toxinとしてCry9C(アミノ酸あみのさん配列はいれつ)を生産せいさんしている。Bt toxinには様々さまざま種類しゅるいがあり、そのアミノ酸あみのさん配列はいれつ殺虫さっちゅうスペクトルはことなっている。Bt toxinを生産せいさんするくみ作物さくもつ様々さまざまあるがCry9Cを生産せいさんするものが飼料しりょうとしてのみ認可にんかされた理由りゆうは、アレルゲンとなる可能かのうせい考慮こうりょされたからである[41]。Cry9Cはペプシントリプシンたいして安定あんていであり、90℃で10分間ふんかん安定あんていであった。そこで、調理ちょうり消化しょうか安定あんていであるとかんがえられ、免疫めんえきけい反応はんのうする可能かのうせい指摘してきされた。一方いっぽう既知きちのアレルゲンとはアミノ酸あみのさん配列はいれつ配列はいれつ類似るいじせいひくかった。タンパク質たんぱくしつとしての安定あんていせい重視じゅうしした結果けっか飼料しりょうとしてのみスターリンクは認可にんかされた。スターリンクのBt toxinのアレルゲンせいひくいことがのちに判明はんめいした[246]

この事件じけん教訓きょうくんとして、隔離かくり栽培さいばい厳守げんしゅとモニタリングの必要ひつようせい飼料しりょうとしても食料しょくりょうとしても利用りようされる作物さくもつ厳密げんみつ管理かんりされていてもある程度ていど混入こんにゅう不可避ふかひであるため飼料しりょうとしてのみではなく食品しょくひんとしても認可にんかされたものを上市かみいちする必要ひつようせい、がある[247]

ニューリーフ・ポテト

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モンサントしゃのニューリーフ・ポテトはアメリカの環境かんきょう保護ほごきょく(U.S. Environmental Protection Agency: EPA)に農薬のうやくとして登録とうろくされた。しかし、日本にっぽんでは農薬のうやくとしては登録とうろくされていない。ニューリーフ・ポテトBT-6系統けいとう[42]やSPBT02-05系統けいとう[43]とはBacillus thuringiensis結晶けっしょうせい殺虫さっちゅうタンパク質たんぱくしつ(Bt toxin)のたねである一種いっしゅであるCry3Aを生産せいさんしてコロラドハムシ(Colorado potato beetle, Leptinotarsa decemlineata)というジャガイモの害虫がいちゅう抵抗ていこうせいたせたジャガイモのことである。くわえて、さらにあるしゅ植物しょくぶつウイルスに抵抗ていこうせいたせたニューリーフ・プラス・ポテト[44]やニューリーフY・ポテト[45]系統けいとう存在そんざいする。ニューリーフ・ポテトにおいて生産せいさんされているBt toxinであるCry3Aは哺乳類ほにゅうるいたいする安全あんぜんせい確認かくにんされたタンパク質たんぱくしつであり、ニューリーフ・ポテトにかんする安全あんぜんせい様々さまざま安全あんぜんせい試験しけんによって確認かくにんされている。農薬のうやく使つか害虫がいちゅう駆除くじょをするようなこととはちがい、ポテト自体じたい害虫がいちゅうころ作用さようがあるという理由りゆうで、ポテト自体じたい通常つうじょう農薬のうやくとしてEPAに登録とうろくされた。なお、ニューリーフ・ポテトと同様どうようにBt toxinを生産せいさんしているトウモロコシやワタの複数ふくすう系統けいとうくみ作物さくもつとして認可にんかされており、これらにもニューリーフ・ポテトと同様どうよう作物さくもつ自体じたい害虫がいちゅうころ作用さようがあるが、これらは農薬のうやくとして登録とうろくされたことはない。なお、害虫がいちゅう抵抗ていこうせい植物しょくぶつふくまれる殺虫さっちゅう活性かっせい物質ぶっしつとその生産せいさん必要ひつよう遺伝いでん物質ぶっしつ(PIPs: Plant-Incorporated Protectants)にたいする現在げんざいのEPAの方針ほうしんは、

Plant-incorporated protectants are pesticidal substances produced by plants and the genetic material necessary for the plant to produce the substance. For example, scientists can take the gene for a specific Bt pesticidal protein, and introduce the gene into the plant's genetic material. Then the plant manufactures the pesticidal protein that controls the pest when it feeds on the plant. Both the protein and its genetic material are regulated by EPA; the plant itself is not regulated.

公表こうひょうされている[46]ように、EPAは植物しょくぶつ生産せいさんする殺虫さっちゅうタンパク質たんぱくしつ遺伝いでん物質ぶっしつ規制きせいしているが、それを生産せいさんする植物しょくぶつ自体じたい規制きせいしてはいない。

ラウンドアップレディー・ダイズを給餌きゅうじした世代せだい飼育しいく試験しけん

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遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん安全あんぜんせい審査しんさにおいては、急性きゅうせいおよび急性きゅうせい毒性どくせい審査しんさしかしていない、世代せだいにわたって給餌きゅうじしたさい安全あんぜんせい調しらべていない、という批判ひはんがある。そこで、ラウンドアップレディー・ダイズの安全あんぜんせいかんしては、世代せだい動物どうぶつ飼育しいくにおける給餌きゅうじ実験じっけんによって試験しけんされた。たとえば、サウスダコタ大学だいがくのグループは4世代せだいにわたってマウスにラウンドアップレディー・ダイズを給餌きゅうじしても、なん悪影響あくえいきょういだすことができなかった、と報告ほうこくした[248]。また、東京とうきょう健康けんこう安全あんぜん研究けんきゅうセンターも2世代せだいにわたるラットへの給餌きゅうじ試験しけんおこなったがなん有意ゆういいだせなかった[249][250]同様どうよう研究けんきゅう多数たすうおこなわれている。2-4世代せだいにわたる世代せだい飼育しいく実験じっけん世代せだいすう十分じゅうぶんかどうかについては異論いろんがあるかもしれないが、これらの実験じっけんにおいてはすくなくともこの世代せだいすうでは有意ゆうい危険きけんせい検出けんしゅつできなかったといえる。

パズタイ事件じけん

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一方いっぽう健康けんこうへの影響えいきょうれいとしてよくげられるものに「遺伝子いでんしぐみえジャガイモを実験じっけんようのラットにべさせたところ免疫めんえきりょく低下ていかした。」と世間せけんおおきな衝撃しょうげきあたえたレポート(パズタイ(Pusztai)[注釈ちゅうしゃく 81]事件じけん)がある。1998ねん8がつ10日とおか、スコットランドのアバディーン(Aberdeen)のロウェット研究所けんきゅうじょ(Rowett Research Institute)のパズタイ(Arpad Pusztai)が、英国えいこくのテレビ番組ばんぐみで、くみえジャガイモにより、ラットに免疫めんえき低下ていかなどがみられたと公表こうひょうした。論文ろんぶんは1999ねんLancetの10がつ16にちごうまで公表こうひょうされず、主張しゅちょう妥当だとうせい検証けんしょうできない状態じょうたいであったにもかかわらず、一部いちぶあいだではさも真実しんじつであるかのようにられ大騒おおさわぎになった。しかし、公表こうひょうされた論文ろんぶんからは実験じっけんそのものがずさんであり、パズタイの主張しゅちょうには無理むりがあることが判明はんめいした。使用しようした遺伝子いでんしぐみえジャガイモが安全あんぜんせい確認かくにんされ商品しょうひんされているジャガイモとはまったべつレクチンという哺乳ほにゅう動物どうぶつたい有害ゆうがい作用さようタンパク質たんぱくしつつく遺伝子いでんしんだ実験じっけんようジャガイモであり、有害ゆうがい遺伝子いでんしんだ遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ有害ゆうがいだったとたりまえ結果けっかたにぎない。この実験じっけんは、マツユキソウ殺虫さっちゅう活性かっせいのあるレクチン(GNA)を生産せいさんするくみえジャガイモ、親株おやかぶのジャガイモにレクチンを注入ちゅうにゅうしたもの、親株おやかぶ(ははほん)のジャガイモ、をなまのままものとでたものにけ、6とうずつのラットに10日間にちかんあたえて消化しょうかかん調しらべたところ、炎症えんしょう免疫めんえき低下ていかくみえジャガイモを飼料しりょうとしたものにみとめられたというものである[251]。なお、レクチン(GNA)を注入ちゅうにゅうされたジャガイモは、遺伝子いでんしぐみえジャガイモの親株おやかぶ(ははほん)とは、かなり組成そせいことなるものであったという報告ほうこくもある[252]

この実験じっけんには栄養えいようがくてき問題もんだい検定けんていすうすくないという問題もんだい以前いぜん実験じっけん設計せっけい段階だんかいでの欠陥けっかんとして、

  • レクチンの遺伝子いでんしふくまないそらのベクターをもちいて形質けいしつ転換てんかんした、つまりレクチンを生産せいさんしないくみえジャガイモと、さらにそれにレクチンを注入ちゅうにゅうした2種類しゅるい対照たいしょう(コントロール)がない。
  • 注入ちゅうにゅうしたレクチンが複数ふくすうのレクチンの混合こんごうぶつでないことを証明しょうめいしていない(くみたい単一たんいつ遺伝子いでんし由来ゆらいするレクチンを生産せいさんしているが、実験じっけんもちいられたレクチンは単一たんいつ遺伝子いでんし産物さんぶつであるという証明しょうめいがなされていない)。
  • 遺伝子いでんしぐみえと関係かんけいがない、組織そしき培養ばいようともなからだ細胞さいぼう変異へんい考慮こうりょしていない。(組織そしき培養ばいようともなトランスポゾン活性かっせいによる変異へんい以外いがいにも、ジャガイモのような栄養えいよう繁殖はんしょく植物しょくぶつ場合ばあい植物しょくぶつたい変異へんい蓄積ちくせきした細胞さいぼうのキメラ集団しゅうだんとして存在そんざいしていることがおおい。そのため、なん変異へんい処理しょりをしなくても単細胞たんさいぼうとなるプロトプラストにして植物しょくぶつたい再生さいせいさせると様々さまざま表現ひょうげんがた変異へんいかぶられることがある。)

というてんげられる。実験じっけん設計せっけい不備ふびのため、この実験じっけんによって遺伝子いでんしぐみ自体じたいによって危険きけんせいすという結論けつろんみちびすことはできない。この論文ろんぶんかんしても、社会しゃかいてき問題もんだいおおきいから論文ろんぶん内容ないようにかかわらず掲載けいさいすることにしたという異例いれい編集へんしゅうしゃ意見いけん明記めいきされて掲載けいさいされた経緯けいいがある[253]。それには以下いかのようにしるされている。

While criticising the researchers' “sweeping conclusions about the unpredictability and safety of GM foods”, he pointed to the frustration that had dogged this entire debate: “Pusztai's work has never been submitted for peer review, much less published, and so the usual evaluation of confusing claim and counter-claim effectively cannot be made”. This problem was underlined by our reviewers, one of whom, while arguing that the data were “flawed”, also noted that, “I would like to see [this work] published in the public domain so that fellow scientists can judge for themselves… if the paper is not published, it will be claimed there is a conspiracy to suppress information”.

この論文ろんぶんかんしてはさら著者ちょしゃらとの異例いれい誌上しじょう討論とうろんおこなわれた[254]。そこではそらのベクターをもちいていないという指摘してきたいして、著者ちょしゃらは、

If our experiments are so poor why have they not been repeated in the past 16 months? It was not we who stopped the work on testing GM potatoes expressing GNA or other lectins or even potatoes transformed with the empty vector, which are now available.

と、実験じっけんにおいてそらのベクターをもちいていなかったことを明確めいかくみとめている。

背景はいけい

[編集へんしゅう]

上記じょうきのような一般いっぱん消費しょうひしゃ不安ふあん背景はいけいとして以下いかのようなことも指摘してき主張しゅちょうされている。

  • GM作物さくもつ推進すいしんするがわ研究けんきゅう行政ぎょうせいサイドから市民しみんへのGM作物さくもつかんする広報こうほう活動かつどうはこれまで充分じゅうぶんであったとはいがたく、反対はんたい先行せんこうゆるしてしまったことが今日きょう混乱こんらんんだめんがある。
  • 一般人いっぱんじん科学かがく知識ちしき欠如けつじょにより正確せいかくにGM作物さくもつ理解りかいされていない。

以上いじょう2てんは、研究けんきゅう開発かいはつかかわるがわからよくなされる指摘してきであるが、反対はんたいからはみずからの視点してん絶対ぜったいただしいとけているとの批判ひはんもある。

  • 遺伝子いでんしぐみ食品しょくひんたいして、一般いっぱん消費しょうひしゃのバージンバイアスがかかっている。経験けいけん豊富ほうふ事柄ことがらたいしてはリスクを過小かしょう評価ひょうかするベテランバイアスがかかり、はじめてのものにたいしてはリスクを過大かだい評価ひょうかするバージンバイアスがかかる傾向けいこうがある。
  • 遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ人体じんたい危険きけんなものと消費しょうひしゃうったえ、自社じしゃ商品しょうひんげをばそうとする遺伝子いでんしぐみ食品しょくひん商法しょうほうはし業者ぎょうしゃとう[47]ネガティブキャンペーンがある。
  • 政府せいふたいする信用しんようひくい。イギリス政府せいふBSE問題もんだい収拾しゅうしゅう失敗しっぱいし、日本にっぽんでは薬害やくがいなど厚生こうせい労働省ろうどうしょう失態しったい国内こくないでのBSE発生はっせい農林水産省のうりんすいさんしょう)がほうじられ国民こくみん信用しんよう低下ていかしていた。どちらのくに遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ規制きせいきびしい。しかし、各国かっこく政府せいふたいする信用しんよう各国かっこく遺伝子いでんしぐみ作物さくもつたいする政策せいさくたいする相関そうかんせい報告ほうこくされていない。なお、一般いっぱん日本人にっぽんじん遺伝子いでんしぐみ作物さくもつたいする見方みかたは『平成へいせい22年度ねんど遺伝子いでんしぐみ農作物のうさくもつとうかんする意識いしき調査ちょうさ報告ほうこくしょ[255]において、一般いっぱんのイギリスじん遺伝子いでんしぐみ作物さくもつたいする態度たいどは"Exploring attitudes to GM food Final Report"[256]においてくわしく研究けんきゅうされまとめられている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ Ignite/Basta、 Glufosinate (グルホシネート)、Herbiaceとう名称めいしょう販売はんばいされている。
  2. ^ グルタミン合成ごうせい酵素こうそ阻害そがいざいとして実際じっさい作用さようするのは、ビアラホスから2分子ぶんしアラニンざんもと加水かすい分解ぶんかいにより遊離ゆうりしたホスフィノスリシン英語えいごばんである。
  3. ^ phosphinothricin N-acetyltransferase: PAT, EC 2.3.1.183, 反応はんのう
  4. ^ bromoxynil: 3,5-dibromo 4-hydroxybenzonitrile, BXN, CAS No. 1689-84-5
  5. ^ ioxynil: 3,5-diiodo 4-hydroxybenzonitrile
  6. ^ bromoxynil nitrilase, EC 3.5.5.6, 反応はんのう
  7. ^ EC 2.2.1.6, ALS: acetolactate synthase(アセト乳酸にゅうさん合成ごうせい酵素こうそ), 反応はんのう; AHAS: acetohydroxy acid synthase(アセトヒドロキシさん合成ごうせい酵素こうそ)のりょう活性かっせい
  8. ^ branched-chain amino acids: BCAA, バリン(L-valine)、イソロイシン(L-isoleucine)、ロイシン(L-leucine)のさんアミノ酸あみのさん総称そうしょう
  9. ^ chlorsulfuron
  10. ^ 2,4-dichlorophenoxyacetate2,4-ジクロロフェノキシ酢酸さくさん
  11. ^ 2,4-dichlorophenol
  12. ^ 2,4-D monooxygenase, 2,4-D モノオキシゲナーゼ, EC 1.14.11.-, 反応はんのう
  13. ^ 申請しんせいしょにおいてアリルオキシアルカノエートけい除草じょそうなっているが、アリルではなくアリールがただしい。フェニルもとアリールもと一部いちぶであり、2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸さくさん)のフェノキシもとはアリールオキシ(またはアローキシ)もと表記ひょうきされるべきである。アリルとするとべつ官能かんのうもとであるアリルもと誤解ごかいされかねない。
  14. ^ dicamba monooxygenase: ジカンバ モノオキシゲナーゼ, DMO
  15. ^ 4-hydroxyphenylpyruvate dioxygenase: HPPD, EC 1.13.11.27, 反応はんのう
  16. ^ 4-hydroxyphenylpyruvate
  17. ^ homogentisate
  18. ^ plastoquinone
  19. ^ 2-methyl-6-phytylquinol
  20. ^ 2-cyano-3-cyclopropyl-1-(2-methylsulfonyl-4-trifluoromethylphenyl)propane-1,3-dione: DKN
  21. ^ mesotrione, 2-(4-メシル-2-ニトロベンゾイル)シクロヘキサン-1,3-ジオン: 2-(4-mesyl-2-nitrobenzoyl)cyclohexane-1,3-dione
  22. ^ Bt11スイートコーン(官報かんぽう掲載けいさい2001.3.30), MON89034(官報かんぽう掲載けいさい2007.11.6)
  23. ^ βべーた-lactamase, EC 3.5.2.6, 反応はんのう
  24. ^ polygalacturonase, EC 3.2.1.15, 反応はんのう
  25. ^ ACC synthase, EC 4.4.1.14, 反応はんのう
  26. ^ ACC oxidase, EC 1.14.17.4, 反応はんのう
  27. ^ ACC deaminase, EC 3.5.99.7,反応はんのう
  28. ^ S-adenosyl-L-methionine hydrolase, EC 3.3.1.2, 反応はんのう
  29. ^ 家庭かていにおいてもキウイフルーツついじゅくさせたい場合ばあい、エチレンをよく発生はっせいするリンゴおなビニールふくろれて保存ほぞんするのもおな原理げんりである。
  30. ^ DNA adenine methylase、EC 2.1.1.72、反応はんのう
  31. ^ choline
  32. ^ choline monooxygenase, EC 1.14.15.7, 反応はんのう
  33. ^ betaine aldehyde dehydrogenase, EC 1.2.1.8, 反応はんのう
  34. ^ choline oxidase, EC 1.1.3.17, 反応はんのう
  35. ^ proline dehydrogenase, EC 1.5.99.8, 反応はんのう
  36. ^ trehalose 6-phosphate synthase, EC 2.4.1.15, 反応はんのう
  37. ^ trehalose 6-phosphate phosphatase, EC 3.1.3.12, 反応はんのう
  38. ^ ascorbate peroxidase, EC 1.11.1.11, 反応はんのう
  39. ^ glutathione peroxidase, EC 1.11.1.9, 反応はんのう
  40. ^ catalase, EC 1.11.1.6, 反応はんのう
  41. ^ superoxide dismutase, EC 1.15.1.1, 反応はんのう
  42. ^ a b nicotianamine synthase, EC 2.5.1.43, 反応はんのう
  43. ^ nicotianamine aminotransferase, EC 2.6.1.80, 反応はんのう
  44. ^ 3"-deamino-3"-oxonicotianamine reductase, EC 1.1.1.285, 反応はんのう
  45. ^ 2'-deoxymugineic acid-2'-dioxygenase: IDS3, EC 1.14.11.24, 反応はんのう
  46. ^ EC 1.14.19.1, 反応はんのう
  47. ^ EC 3.1.2.14反応はんのう
  48. ^ 反応はんのう
  49. ^ デサチュラーゼ: カルボキシルもと反対はんたいがわからかぞえて12番目ばんめと13番目ばんめ炭素たんそあいだじゅう結合けつごうΔでるた6-desaturaseともいう, EC 1.14.19.3, 反応はんのう
  50. ^ 反応はんのう
  51. ^ 反応はんのう
  52. ^ おおくの場合ばあい、リシン生産せいさんきんとしてコリネバクテリウムぞく細菌さいきんCorynebacterium glutamicumもちいられている。
  53. ^ dihydrodipicolinate synthase: EC 4.2.1.52, 反応はんのう
  54. ^ phytoene synthase, EC 2.5.1.32, 反応はんのう
  55. ^ フィトエン・デサチュラーゼ: phytoene desaturase: CrtI, EC 1.3.99.31, 反応はんのう
  56. ^ lycopene βべーた-cyclase, EC 5.5.1.19, 反応はんのう
  57. ^ lycopene εいぷしろん-cyclase, EC 5.5.1.18, 反応はんのう
  58. ^ βべーた-carotene 3-hydroxylase, EC 1.14.13.129, 反応はんのう
  59. ^ γがんま-tocopherol methyltransferase, EC 2.1.1.95, 反応はんのう
  60. ^ phytate
  61. ^ phytase, EC 3.1.3.8, 反応はんのう, EC 3.1.3.26, 反応はんのう
  62. ^ ADP-glucose
  63. ^ starch synthase, EC 2.4.1.21, 反応はんのう
  64. ^ branching enzyme, EC 2.4.1.18, 反応はんのう
  65. ^ lotaustralin
  66. ^ acetone cyanohydrin: CAS 75-86-5
  67. ^ hydroxynitrile lyase, EC 4.1.2.46, 反応はんのう
  68. ^ gossypol
  69. ^ δでるた-cadinine
  70. ^ farnesyl pyrophosphate
  71. ^ (+)-δでるた-cadinene synthase, EC 4.2.3.13, 反応はんのう
  72. ^ L-asparagine synthetase, EC 6.3.1.1, 反応はんのう
  73. ^ "「北海道ほっかいどう遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ栽培さいばいとうによる交雑こうざつとう防止ぼうしかんする条例じょうれい」は、GM作物さくもつ栽培さいばいする場合ばあい規制きせいであり、今回こんかいのような場合ばあい対象たいしょうがい", 遺伝子いでんしぐみ作物さくもつ栽培さいばいとうによる交雑こうざつとう防止ぼうしかんする条例じょうれい」をめぐる状況じょうきょう
  74. ^ 日本にっぽん家畜かちく飼料しりょうは、ほぼその輸入ゆにゅうたよっている。三石みついし誠司せいじ宮城みやぎだい教授きょうじゅ経営けいえいがく)の試算しさんでは、日本にっぽん輸入ゆにゅうされるぜん穀物こくもつ年間ねんかんやく3200まんトンで、半分はんぶん以上いじょうやく1700まんトンがGMという。」 食卓しょくたくどこへ:遺伝子いでんしえ/1 生協せいきょう使用しよう」から転換てんかん (小島こじま正美まさみ遠藤えんどう和行かずゆき) 毎日新聞まいにちしんぶん 2009ねん11月2にち 東京とうきょう朝刊ちょうかん
  75. ^ 『フィリピンの国際こくさいイネ研究所けんきゅうじょ(IRRI)のロバート・ザイグラー所長しょちょうは「いまこそ遺伝子いでんし革命かくめい必要ひつようだ」と力説りきせつする。「世界せかいすくえる技術ぎじゅつがあるのに規制きせいして使つかわないのは犯罪はんざいちかい」とまでいいはなった。』, "遺伝子いでんしえにかぜ 食糧しょくりょう高騰こうとう温暖おんだん均衡きんこうやぶる", (庄司しょうじ直樹なおき), 2008ねん7がつ20にち 朝日新聞あさひしんぶん
  76. ^ イギリスではビタミンA不足ふそく深刻しんこく問題もんだいとなってはおらず、文脈ぶんみゃくてきにもインドとかんがえられるので、in Indiaをin Englandと、またはIndianをEnglandと間違まちがえたのであろう。なお、紹介しょうかいしゃ島村しまむらさいどういち内容ないよう紹介しょうかいしたべつ著作ちょさくにおいても"ビタミン不足ふそく英国えいこくどもたち"と記載きさいされている。「にもマヌケなスローフードへのたび だい19かい インドへん 無知むち経済けいざい学者がくしゃ政治せいじ農民のうみんたちをくるしめる!」, ECO JAPAN, 日経にっけいBP, 2008ねん05がつ20日はつか
  77. ^ ヴァンダナ・シヴァ自身じしんは「よんまんにん」と著書ちょしょなかべている。"インドの子供こどもたちは毎年まいとしビタミンA不足ふそくで、よんまんにん視力しりょくうしなっているが、ビタミンAが豊富ほうふでどこにでもえている植物しょくぶつ除草じょそうざいころしてしまったことが、この悲劇ひげきまねいている。", p. 214, ひだりから3-1ぎょう, 「みどり革命かくめいとその暴力ぼうりょく」, ヴァンダナ・シヴァ ちょ, 浜谷はまや喜美子きみこ やく, 発行はっこうしょ 株式会社かぶしきがいしゃ 日本にっぽん経済けいざい評論ひょうろんしゃ, 1997ねん8がつ5にち だい1さつ発行はっこう, きゅうISBN 4-8188-0939-X, げんISBN 978-4-8188-0939-0
  78. ^ 紹介しょうかいしゃ島村しまむらさいは、同様どうよう内容ないよう紹介しょうかいしたべつ著作ちょさくでは「4まんにんちかい」と記述きじゅつしている。"「これからは、すうねん単位たんいではなくて、もっとながいスパンでかんがえて、地域ちいきゆたかにしていく視点してん大切たいせつなの。それに、単一たんいつ品種ひんしゅ効率こうりつよくそだてれば、薬草やくそうやビタミンをたくさんふく野草やそうは、雑草ざっそうとして排除はいじょされる。小麦こむぎとともにそだつバツアという薬草やくそうは、ビタミンAが豊富ほうふなのに、そうしたものが一気いっきになぎたおされる。毎年まいとし、4まんにんちかどもたちがビタミンA不足ふそく失明しつめいしているこのくにで、ですよ」", "かつて、イギリスの学者がくしゃが、ビタミンAの豊富ほうふなGMまい「ゴールデンライス」を開発かいはつしたとき、学者がくしゃは「なぜビタミン不足ふそく英国えいこくどもたちをすく研究けんきゅう楯突たてつくのか」とシヴァを批判ひはんした。", "このときも、彼女かのじょは「そんなべいなど必要ひつようない。それより、リンゴを1つかじろうとおしえればいい。ビタミン不足ふそく失明しつめいしている産地さんちにもなってほしい」とみついた。", 「にもマヌケなスローフードへのたび だい19かい インドへん 無知むち経済けいざい学者がくしゃ政治せいじ農民のうみんたちをくるしめる!」, ECO JAPAN, 日経にっけいBP, 2008ねん05がつ20日はつか
  79. ^ あかまい黒米くろごめ玄米げんまい状態じょうたいだと色素しきそふくんでいるが、精米せいまいすると白米はくまいになる
  80. ^ 字義じぎどお茶色ちゃいろべいか、玄米げんまい(brown rice)の誤訳ごやくかは不明ふめいである。なお、農学のうがく分野ぶんやおいて「ちゃまい」とは、病害びょうがい生理せいり障害しょうがいなどをけて褐色かっしょくていする被害ひがいつぶやエクアドルちゃまいきんえたこめす。
  81. ^ プシュタイまたはプッタイとも表記ひょうきされる

出典しゅってん

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  6. ^ 概要がいようは「ていリグニンアルファルファ (CCOMT, Medicago sativa L.) (KK179, OECD UI: MON-ØØ179-5) 申請しんせいしょとう概要がいよう」などによって公開こうかいされている
  7. ^ チョウおよびコウチュウ害虫がいちゅう抵抗ていこうせいならびに除草じょそうざいグルホシネートおよびグリホサートたいせいトウモロコシ (cry1A.105, 改変かいへんcry2Ab2, cry1F, pat, 改変かいへんcp4 epsps, 改変かいへんcry3Bb1, cry34Ab1, cry35Ab1, Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)(MON89034×B.t. Cry1F maize line 1507×MON88017×B.t. Cry34/35Ab1 Event DAS-59122-7, OECD UI: MON-89Ø34-3×DAS-Ø15Ø7-1×MON-88Ø17-3×DAS-59122-7) ( MON89034, B.t. Cry1F maize line 1507, MON88017 およB.t. Cry34/35Ab1 Event DAS-59122-7 それぞれへの導入どうにゅう遺伝子いでんし組合くみあわせをゆうするものであって当該とうがいトウモロコシから分離ぶんりした後代こうだい系統けいとうのもの(すでだい一種いっしゅ使用しよう規程きてい承認しょうにんけたものをのぞく。)をふくむ。)申請しんせいしょとう概要がいよう
  8. ^ 除草じょそうざいグリホサート誘発ゆうはつせいゆうせいみのり、チョウおよびコウチュウ害虫がいちゅう抵抗ていこうせいならびに除草じょそうざいアリルオキシアルカノエートけい、グルホシネートおよびグリホサートたいせいトウモロコシ(cry1A.105, 改変かいへんcry2Ab2, 改変かいへんcry1F, pat, DvSnf7, 改変かいへんcry3Bb1, 改変かいへんcp4 epsps, cry34Ab1, cry35Ab1, 改変かいへんaad-1, Zea mays subsp. mays (L.) Iltis)(MON87427×MON89034×B.t. Cry1F maize line 1507× MON87411×B.t. Cry34/35Ab1 Event DAS-59122-7×DAS40278、OECD UI: MON-87427-7× MON-89Ø34-3×DAS-Ø15Ø7-1×MON-87411-9×DAS-59122-7 ×DAS-4Ø278-9)ならびに当該とうがいトウモロコシの分離ぶんり系統けいとう包含ほうがんされる組合くみあわせ(すでだい一種いっしゅ使用しよう規程きてい承認しょうにんけたものをのぞく。)の申請しんせいしょとう概要がいよう
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  16. ^ アリルオキシアルカノエートけい除草じょそうざいたいせいトウモロコシ (改変かいへんaad-1, Zea mays subsp. mays (L.)Iltis.) (DAS40278, OECD UI:DAS-4Ø278-9) 申請しんせいしょとう概要がいよう
  17. ^ 除草じょそうざいジカンバたいせいダイズ (改変かいへんdmo, Glycine max (L.) Merr.)(MON87708, OECD UI : MON-877Ø8-9)申請しんせいしょとう概要がいよう
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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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