ウクライナ

ウクライナ

Україна


（国旗こっき）	（国くに章あきら）

国くにの標語ひょうご：Воля, злагода, добро
（ウクライナ語ご: 自由じゆう、調和ちょうわ、善良ぜんりょう）

国歌こっか：Ще не вмерла Україна（ウクライナ語ご）
ウクライナは滅ほろびず

ファイル:Anthem-of-Ukraine Chorus Veryovka.ogg

公用こうよう語ご

ウクライナ語ご

首都しゅと

キエフ（キーウ）

最大さいだいの都市とし

キエフ

政府せいふ

大統領だいとうりょう	ウォロディミル・ゼレンスキー
首相しゅしょう	オレクシー・ホンチャルク

面積めんせき

総計そうけい	603,700 [1]km²（45位い）
水面すいめん積せき率りつ	7%

人口じんこう

総計そうけい（2012年ねん）	45,430,000人ひと（27位い）
人口じんこう密度みつど	79人にん/km²

GDP（自国じこく通貨つうか表示ひょうじ）

合計ごうけい（2013年ねん）	1兆ちょう4,549億おく^[2]フリヴニャ

GDP（MER）

合計ごうけい（2013年ねん）	1,783億おく^[2]ドル（56位い）
1人ひとりあたり	xxxドル

GDP（PPP）

合計ごうけい（2013年ねん）	3,925億おく^[2]ドル（44位い）
1人ひとりあたり	8,650^[2]ドル

独立どくりつ
- 日付ひづけ

ソビエト連邦れんぽうより
1991年ねん 8月がつ24日にち

フリヴニャ（UAH）

UTC+2 (DST:+3)

UA / UKR

.ua

380

ウクライナ（ウクライナ語ご: Україна、[ukrɑˈjinɑ]）は、東ひがしヨーロッパに位置いちする共和きょうわ制せい国家こっか。首都しゅとはキエフ。

東ひがしにロシア連邦れんぽう、西にしにハンガリーやポーランド、スロバキア、ルーマニア、モルドバ、北きたにベラルーシ、南みなみに黒海こっかいを挟はさみトルコが位置いちしている。

概要がいよう

16世紀せいき以来いらい「ヨーロッパの穀倉こくそう」地帯ちたいとして知しられ、19世紀せいき以後いご産業さんぎょうの中心ちゅうしん地帯ちたいとして大おおきく発展はってんしている。天然てんねん資源しげんに恵めぐまれ、鉄鉱てっこう石せきや石炭せきたんなど資源しげん立地りっち指向しこうの鉄鋼てっこう業ぎょうを中心ちゅうしんとして重化学じゅうかがく工業こうぎょうが発達はったつしている。

キエフ大公たいこう国こくが13世紀せいきにモンゴル帝国ていこくに滅ほろぼされたあとは独自どくじの国家こっかを持もたず、諸侯しょこうはリトアニア大公たいこう国こくやポーランド王国おうこくに属ぞくしていた。17世紀せいきから18世紀せいきの間あいだにはウクライナ・コサックの国家こっかが興亡こうぼうし、その後ごロシア帝国ていこくの支配しはい下かに入はいった。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後のちに独立どくりつを宣言せんげんするも、ロシア内戦ないせんを赤軍せきぐんが制せいしたことでソビエト連邦れんぽう内うちの構成こうせい国こくとなった。1991年ねんソ連それん崩壊ほうかいに伴ともない独立どくりつした。

本来ほんらいの「ルーシ」「ロシア」とは、現在げんざいのロシア連邦れんぽうよりもウクライナを指さした。歴史れきし的てき・文化ぶんか的てきには中ちゅう欧おう・東欧とうおう諸国しょこくとの関係かんけいも深ふかい。

国名こくめい

詳細しょうさいは「ウクライナの国名こくめい（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

ウクライナの最高さいこう法規ほうきたるウクライナ憲法けんぽうによると、当とう国くにの正式せいしき国号こくごうは「Україна」（[ukrɑˈjinɑ]）である^[3]。日本語にほんごの表記ひょうきは「ウクライナ」となっている^[4]^{[注釈ちゅうしゃく 1]}が、在日ざいにちウクライナ大使館たいしかんはウクライナ語ごを基もとにして「ウクライーナ」と表記ひょうきすべきであるとの意見いけんを表明ひょうめいしたが^[5]、その後ごの2019年ねん9月がつ、同どう大使館たいしかんや日本にっぽん外務省がいむしょうの代表だいひょう者しゃや国会こっかい議員ぎいん、ウクライナ語ご専門せんもん家かの参加さんかを得えて開催かいさいされたウクライナ研究けんきゅう会かい主催しゅさいの「ウクライナの地名ちめいのカタカナ表記ひょうきに関かんする有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ」にて「国号こくごうについて、ウクライナの変更へんこうはしない」との結論けつろんが出だされ、同どう大使館たいしかん案あんは採用さいようされなかった^[6]。漢字かんじ表記ひょうきは現在げんざいの日本にっぽんでは滅多めったにされないが、「宇克蘭らん」^[7]、または「烏がらす克かつ蘭らん」^[8]。公式こうしきの英語えいご表記ひょうきは「Ukraine」（ユークレイン）である。

「ウクライナ」というスラヴ語ごの地名ちめいの初出しょしゅつは、「ウクライナ」（Ѹкраина）^{[注釈ちゅうしゃく 2]}という形かたちで『原初げんしょ年代ねんだい記き』イパチー写本しゃほんの『キエフ年代ねんだい記き』、1187年ねんの条じょうである^[9]。この地名ちめいは、キエフ公国こうこく・チェルニーヒウ公国こうこくと並ならんでルーシ大公たいこう国こくの歴史れきし的てき中枢ちゅうすう地ちに含ふくまれるペレヤースラウ公国こうこくの範囲はんいを示しめしている。また、この地名ちめいはほかのルーシ年代ねんだい記きに1189年ねんの条じょう^[10]、1213年ねんの条じょう^[11]、1280年ねんの条じょう^[12]にも「ウクライナ」あるいは「ヴクライナ」（Вкраина）という形かたちで登場とうじょうし、ガリツィア地方ちほう、ヴォルィーニ地方ちほう、ポリーシャ地方ちほうを指さす用語ようごとして用もちいられている。

13世紀せいきにルーシ大公たいこう国こくが滅ほろび、その中部ちゅうぶ・南部なんぶの地域ちいきがリトアニア大公たいこう国こくとポーランド王国おうこくに併合へいごうされると、「ウクライナ」は併合へいごう地ちの領域りょういきを表あらわす地名ちめいとしてリトアニア・ポーランドの年代ねんだい記きや公式こうしき文書ぶんしょなどに使用しようされるようになる。14世紀せいきから17世紀せいきにかけて広義こうぎの「ウクライナ」はルーシ人じんが居住きょじゅうするガリツィア地方ちほう、ヴォルィーニ地方ちほう、ポジーリャ地方ちほう、ブラーツラウ地方ちほうとキエフ地方ちほうの範囲はんいを示しめし、狭義きょうぎの「ウクライナ」はキエフを中心ちゅうしんとしたドニプロ川がわの中なか流域りゅういきを示しめしている^[13]。

「ウクライナ」の地名ちめいの両義りょうぎ性せいは、ウクライナ・コサックのヘーチマン国家こっかが誕生たんじょうする17世紀せいき半なかば以後いごにも東欧とうおうの古文書こもんじょにもみられる。狭義きょうぎの「ウクライナ」は当とう国家こっかの支配しはい圏けんを指さしているが、広義こうぎの「ウクライナ」は当とう国家こっかの支配しはい圏外けんがいのルーシ人じんの居住きょじゅう地ちを意味いみしている^[14]。しかし、ヘーチマン国家こっかがロシアの保護ほご国こくになることにより、「ウクライナ」はドニプロ川がわの中なか流域りゅういきだけを意味いみするようになり、17世紀せいき以降いこうはルーシの本土ほんどを意味いみする小しょうルーシという地名ちめいの同義語どうぎごとなった。

19世紀せいき後半こうはんから20世紀せいき初頭しょとうにかけて、ルーシ系けいの知識ちしき人じんによる民族みんぞく運動うんどうが発展はってんしていくにつれて、「ウクライナ」はルーシ人じんが居住きょじゅうする民族みんぞく領域りょういきを意味いみする名称めいしょうとなり、「ルーシ人じん」は「ウクライナ人じん」という民族みんぞく名めいに取とって代かわられた^[15]。1917年ねんに成立せいりつしたウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくにおいて初はじめて、「ウクライナ」という名称めいしょうが正式せいしきな国号こくごうの中なかで用もちいられることとなる。

語源ごげん

「ウクライナ」の語源ごげんについては、「国くに」といった意味いみであるという説せつと、「辺境へんきょう」といった意味いみであるという説せつがある。前者ぜんしゃは「内地ないち」を意味いみする中世ちゅうせいルーシ語ごの「ウクライナ」（ѹкраина）・「ヴクライナ」（вкраина）という単語たんごに基もとづいており、後者こうしゃは「僻地へきち」を意味いみする近世きんせいのポーランド語ごの「オクライナ」（Okrajna）やロシア語ごの「オクライナ」（окраина）という単語たんごに基もとづいている^[16]。

「ウクライナ」/「ヴクライナ」に関連かんれんする単語たんごの中なかで、もっとも基本きほん的てきで、現在げんざいでも使用しようされている一いち音節おんせつの「クラーイ」（край）という単語たんごには「地域ちいき」「隅すみ」「境さかい」「端はし」などの複数ふくすうの意味いみがある^[17]。これから派生はせいしたウクライナ語ごの「クライーナ」（країна）という名詞めいしは「国くに」を意味いみする^[18]。ウクライナ語ごでは「ウ〜」（у）^[19]と「ヴ〜」（в）^[20]は「内うち〜」「〜の中なかで」を意味いみする前ぜん置おけ格かくを支配しはいする前置詞ぜんちしであることから、「ウクライナ」や「ヴクライナ」は「境界きょうかいの内側うちがわ」「内地ないち」を意味いみする。一方いっぽう、ロシア語ごでは「クラーイ」から派生はせいした「オクライナ」（окраина）という単語たんごが「場末ばすえ」「辺境へんきょう」「はずれ」という意味いみをもっている。ロシア語ごでは「オ〜」（о）^[21]と「ウ〜」（у）^[22]は「〜の側がわに」「〜の端はしに」を意味いみする前置詞ぜんちしであるために、ロシア語ご話者わしゃは「ウクライナ」を「辺境へんきょう地ち」と解釈かいしゃくしがちである。

地理ちり

詳細しょうさいは「ウクライナの地理ちり」を参照さんしょう

ウクライナの国土こくどのほとんどは、肥沃ひよくな平原へいげん、ステップ（草原そうげん）、高原こうげんで占しめられている。ドニエプル川がわ、ドネツ川がわ、ドニエステル川がわが横切よこぎっており、南みなみのブーフ川がわとともに、黒海こっかい、アゾフ海うみに注つぎ込こんでいる。黒海こっかい北岸ほくがんにはクリミア半島くりみあはんとうが突つき出だしており、ペレコープ地峡ちきょうでウクライナ本土ほんどとつながっている。

南西なんせい部ぶにあるドナウ・デルタはルーマニアとの国境こっきょうになっている。

山岳さんがく地帯ちたいは、ウクライナの最南端さいなんたんのクリミア山脈さんみゃくと西部せいぶのカルパティア山脈さんみゃくにしかない。最高峰さいこうほうはカルパト山脈さんみゃくにあるホヴェールラ山さん（Говерла, Hoverla）で、標高ひょうこう2,061メートル。なお、これ以外いがいの地域ちいきも平坦へいたんというわけではなく、東ひがしヨーロッパの中なかでは比較的ひかくてき起伏きふくの多おおい地形ちけいをしている。

気候きこうは温暖おんだんな大陸たいりく性せい気候きこうであるが、クリミア半島くりみあはんとうの南岸なんがんは地中海ちちゅうかい性せい気候きこうにより近ちかい。降雨こうう量りょうは局所きょくしょ的てきに偏かたよっており、北部ほくぶや西部せいぶは多おおく、南部なんぶや東部とうぶは少すくない。冬ふゆは黒海こっかい沿岸えんがんは涼すずしいが、内陸ないりくに行いくにしたがって寒さむくなる。夏なつはほとんどの地域ちいきで暖あたたかいが、当然とうぜん南みなみに行いくほど暑あつい。

ベラルーシ

ポーランド

ロシア

クバーニ

ルーマニア

ブルガリア

モルドバ

交通こうつう

詳細しょうさいは「ウクライナの交通こうつう（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

ウクライナの交通こうつうは、鉄道てつどう、バス、船舶せんぱく、航空機こうくうき、自動車じどうしゃなどによっている。鉄道てつどうは、ウクライナ鉄道てつどうによって一元化いちげんかされている。一方いっぽう、ウクライナの航空こうくう会社かいしゃはソ連それん時代じだいのアエロフロート一括いっかつ管理かんり型がたから多おおくの中小ちゅうしょうの航空こうくう会社かいしゃが競合きょうごうする状態じょうたいになっている。

地方ちほう行政ぎょうせい区分くぶんと都市とし

詳細しょうさいは「ウクライナの地方ちほう行政ぎょうせい区画くかく」および「ウクライナの都市としの一覧いちらん」を参照さんしょう

ウクライナは、24の州しゅうと、クリミアにある1つの自治じち共和きょうわ国こく、そして2つの特別とくべつ市しから構成こうせいされる。ただし、クリミア自治じち共和きょうわ国こくとセヴァストポリはロシア連邦れんぽうの実効じっこう支配しはい下かにある。また、親しんロシア分離ぶんり独立どくりつ派はが支配しはいするドネツィク州しゅう（ドネツク人民じんみん共和きょうわ国こく）とルハンスク州しゅう（ルガンスク人民じんみん共和きょうわ国こく）のドンバス地域ちいきの一部いちぶ、およそ推定すいてい人口じんこう300万まん人にん程度ていどの地域ちいきに対たいする管轄かんかつも及およんでいない（「クリミア危機きき・ウクライナ東部とうぶ紛争ふんそう」を参照さんしょう）。

No.	州しゅう	州しゅう庁ちょう所在地しょざいち	No.	州しゅう	州しゅう庁ちょう所在地しょざいち
1	イヴァーノ＝フランキーウシク州しゅう	イヴァーノ＝フランキーウシク	13	チェルニウツィー州しゅう	チェルニウツィー
2	ヴィーンヌィツャ州しゅう	ヴィーンヌィツャ	14	テルノーピリ州しゅう	テルノーピリ
3	ヴォルィーニ州しゅう	ルーツィク	15	ドニプロペトロウシク州しゅう	ドニプロ
4	オデッサ州しゅう	オデッサ	16	ドネツィク州しゅう	ドネツィク
5	キエフ州しゅう	キエフ	17	ハルキウ州しゅう	ハルキウ
6	キロヴォフラード州しゅう	クロプィウヌィーツィクィイ	18	フメリニツキー州しゅう	フメリニツキー
7	ザカルパッチャ州しゅう	ウージュホロド	19	ヘルソン州しゅう	ヘルソン
8	ザポリージャ州しゅう	ザポリージャ	20	ポルタヴァ州しゅう	ポルタヴァ
9	ジトーミル州しゅう	ジトーミル	21	ムィコラーイウ州しゅう	ムィコラーイウ
10	スームィ州しゅう	スームィ	22	リヴィウ州しゅう	リヴィウ
11	チェルカースィ州しゅう	チェルカースィ	23	リウネ州しゅう	リウネ
12	チェルニーヒウ州しゅう	チェルニーヒウ	24	ルハーンシク州しゅう	ルハーンシク
-	特別とくべつ市し		No.	自治じち共和きょうわ国こく	自治じち共和きょうわ国こくの首都しゅと
-	キエフ（首都しゅと）	セヴァストポリ	25	クリミア自治じち共和きょうわ国こく	シンフェロポリ

ウクライナの都市とし（2021年ねん^[23]）
位くらい	都市とし	行政ぎょうせい区分くぶん	人口じんこう	位くらい	都市とし	行政ぎょうせい区分くぶん	人口じんこう	表示ひょうじノート編集へんしゅう履歴りれきキーウハルキウ
1	キーウ（キエフ）	キーウ	2,962,180人にん	11	ルハーンシク	ルハーンシク州しゅう	399,559人にん
2	ハルキウ	ハルキウ州しゅう	1,433,886人にん	12	ヴィーンヌィツャ	ヴィーンヌィツャ州しゅう	370,601人にん
3	オデッサ	オデッサ州しゅう	1,015,826人にん	13	マキイフカ	ドネツィク州しゅう	340,337人にん
4	ドニプロ	ドニプロペトロウシク州しゅう	980,948人にん	14	セヴァストポリ	セヴァストポリ	340,297人にん
5	ドネツィク	ドネツィク州しゅう	905,364人にん	15	シンフェロポリ	クリミア自治じち共和きょうわ国こく	336,330人にん
6	ザポリージャ	ザポリージャ州しゅう	722,713人にん	16	チェルニーヒウ	チェルニーヒウ州しゅう	285,234人にん
7	リヴィウ	リヴィウ州しゅう	721,510人にん	17	ヘルソン	ヘルソン州しゅう	283,649人にん
8	クルィヴィーイ・リーフ	ドニプロペトロウシク州しゅう	668,980人にん	18	ポルタヴァ	ポルタヴァ州しゅう	283,402人にん
9	ムィコラーイウ	ムィコラーイウ州しゅう	476,101人にん	19	フメリニツキー	フメリニツキー州しゅう	274,582人にん
10	マリウポリ	ドネツィク州しゅう	431,859人にん	20	チェルカースィ	チェルカースィ州しゅう	272,651人にん

住民じゅうみん

詳細しょうさいは「ウクライナの人口じんこう」および「2001年ねんウクライナ国勢調査こくせいちょうさ」を参照さんしょう

人口じんこう変動へんどう（1989年ねん‐2012年ねん）
人口じんこう密度みつど（2013年ねん）
都市とし人口じんこう（2010年ねん）
都市とし人口じんこう動態どうたい（1989年ねん‐2010年ねん）
出産しゅっさん率りつ（2010年ねん）
死亡しぼう率りつ（2010年ねん）
年齢ねんれい構成こうせい（2010年ねん）

民族みんぞく

民族みんぞく（ウクライナ） 2001

ウクライナ人じん			77.8%
ロシア人じん			17.3%
その他た			4.6%

ウクライナにおけるウクライナ人じんの人口じんこう（2001年ねん度ど全ぜんウクライナ国勢調査こくせいちょうさより）

詳細しょうさいは「ウクライナ人じん」を参照さんしょう

主要しゅよう民族みんぞくはウクライナ人じんで、全ぜん人口じんこうの約やく8割わりを占しめる。ロシア人じんは約やく2割わりを占しめる。ほかに少数しょうすう民族みんぞくとしてクリミア・タタール人じん、モルドヴァ人じん、ブルガリア人じん、ハンガリー人じん、ルーマニア人じん、ユダヤ人じんがいる。高こう麗人れいじんも約やく1万まん人にんほどいる^[24]。

国内こくない最大さいだいの少数しょうすう民族みんぞくであるロシア人じんの割合わりあいが高たかい州しゅうは、ロシアが実効じっこう支配しはいしているクリミア自治じち共和きょうわ国こくとセヴァストポリを除のぞくとルハーンシク州しゅう（39.2%）、ドネツィク州しゅう（38.2%）、ハルキウ州しゅう（25.6%）、ザポリージャ州しゅう（24.7%）、オデッサ州しゅう（20.7%）、ドニプロペトロウシク州しゅう（17.6%）の順じゅんとなっており、東部とうぶ以外いがいではキエフ市し（13.1%）が高たかくなっている。また、西部せいぶのザカルパッチャ州しゅうではハンガリー人じんが12.1%を、チェルニウツィー州しゅうではルーマニア人じんが12.5%を占しめている。このように多た民族みんぞく国家こっかとなっている。

キエフ、ドネツィク州しゅう、ハルキウ州しゅう、リヴィウ州しゅう、ドニプロペトロウシク州しゅうはもっとも人口じんこうが集中しゅうちゅうしており、全ぜん人口じんこうの69%が都市とし部ぶに住すんでいる。

人口じんこう密度みつどの高たかい州しゅうはドネツィク州しゅう、リヴィウ州しゅう、チェルニウツィー州しゅう、ドニプロペトロウシク州しゅうである^[25]。

諸しょ民族みんぞくの割合わりあい（2001年ねん）黄色おうしょくはウクライナ系けい
非ひウクライナ系けい人口じんこう（2001年ねん）
多数たすう民族みんぞく（2001年ねん）肌色はだいろはウクライナ系けい、青色あおいろはロシア系けい

言語げんご

詳細しょうさいは「ウクライナ語ご」、「ウクライナにおけるロシア語ご」、および「ロシア化か」を参照さんしょう

ウクライナにおける母語ぼご統計とうけい（2001年ねん）

ウクライナ語ご			67.5%
ロシア語ご			29.6%

ウクライナの家庭かていで話はなされる言語げんごの使用しよう率りつ統計とうけい（2006年ねん）^[26]

ウクライナ語ご			38.2%
ロシア語ご			40.5%
上記じょうき言語げんごの両方りょうほう			16.2%

ウクライナの国家こっか語ごは憲法けんぽう第だい10条じょうにより定さだめられたウクライナ語ごのみであるが、憲法けんぽう第だい10条じょうにはロシア語ごを含ふくむ多た言語げんご使用しよう・発展はってんも保証ほしょうすると記載きさいされている。実態じったいとしてはウクライナ社会しゃかいはウクライナ語ごとロシア語ごの二に言語げんご社会しゃかいと呼よびうる。

2001年ねんの国勢調査こくせいちょうさによれば、全体ぜんたいの67.5％がウクライナ語ごを母語ぼごとし、ロシア語ごは29.6％となっていた。東部とうぶ、南部なんぶと首都しゅとキエフ市しではロシア語ごの割合わりあいが比較的ひかくてき高たかい^[27]。他方たほう、2006年ねんに行おこなわれた民間みんかん調査ちょうさ統計とうけいによれば、ウクライナ語ごを母語ぼごとする国民こくみんは5割わり強きょうとなっている^[28]など、統計とうけいによるばらつきがみられる。同おなじ調査ちょうさ統計とうけいの結果けっかで、母語ぼごではなく日常にちじょう的てきに使用しようする言語げんごを問とう設問せつもんでは、家庭かてい内ないでウクライナ語ごのみを使用しようするのは全ぜん国民こくみんの38.2%、ロシア語ごのみが40.5%、両りょう言語げんごが16.2%となっており^[29]、ウクライナはウクライナ語ごとロシア語ごの2言語げんご国家こっかであることがよく示しめされている。

ウクライナはロシア帝国ていこく、ソ連それん時代じだいにロシア語ご化かが進すすみ、西にしウクライナを除のぞいて共通きょうつう語ごとしてロシア語ごが広ひろく普及ふきゅうし、圧倒的あっとうてきに優勢ゆうせいとなった。また、当時とうじはウクライナ語ごはロシア語ごの方言ほうげんや農村のうそん部ぶの方言ほうげんに過すぎないという認識にんしきさえあり、使用しようは衰退すいたいしていった。特とくに都市とし部ぶに住すむインテリ層そうの間あいだではロシア語ごの使用しようが広ひろまり、農村のうそん部ぶではウクライナ語ご、都市とし部ぶではロシア語ごという色分いろわけができていた。しかしながら、ソ連それんからの独立どくりつ時じにウクライナ語ごを唯一ゆいいつの公用こうよう語ごとして指定していし、国民こくみん統一とういつの象徴しょうちょうの言語げんごとして広ひろく普及ふきゅうさせ、復活ふっかつさせる国策こくさくを採とった。一方いっぽう、ロシア語ごは公用こうよう語ごに制定せいていせず、ウクライナ語ごの復権ふっけんを重要じゅうよう課題かだいに掲かかげて重視じゅうしした。これは、同おなじくロシア語ごが最もっとも使つかわれてきた隣国りんごくベラルーシが独立どくりつ後ごもロシア語ごを引ひき続つづき最さい重要じゅうよう視しする政策せいさくとは対照たいしょう的てきな路線ろせんをとった。

ウクライナでは政府せいふ機関きかんではウクライナ語ごのみが使つかわれ、憲法けんぽう・法律ほうりつをはじめ、公的こうてき文書ぶんしょはすべてウクライナ語ごで記述きじゅつされ、学校がっこう教育きょういくは大半たいはんがウクライナ語ごで行おこなわれる。また、街まち中ちゅうの広告こうこくもウクライナ語ごに限定げんていされ、地下鉄ちかてつのアナウンスや街まち中ちゅうの案内あんない表記ひょうきもウクライナ語ごとされるが、ロシア語ごも言語げんご法ほうの手続てつづきを通つうじた地方ちほう公用こうよう語ごとして認定にんていされている場合ばあいには地方ちほうレベルで使用しよう可能かのうである。この背景はいけいには、国家こっかとしてウクライナ語ごの普及ふきゅうを進すすめる一方いっぽうで、西にしウクライナを除のぞく地域ちいきの都市とし部ぶ住民じゅうみんの中なかには民族みんぞく的てきにウクライナ人じんであっても日常にちじょう生活せいかつではロシア語ごをおもに使用しようしている人ひとが少すくなくなく、ウクライナ語ごを運用うんようすることはできるが、ビジネスや娯楽ごらく、家庭かていでの言語げんごはロシア語ごが優勢ゆうせいとなっている。さらに、東部とうぶや南部なんぶでは、ウクライナ語ごが不得手ふえてとする人ひとも少すくなくない。このように、独立どくりつ以降いこうウクライナ語ごのみを国家こっか語ごにしてきたウクライナであるが、生活せいかつの現場げんばでのロシア語ごの使用しよう頻度ひんどは低下ていかしておらず、西部せいぶを除のぞいた地域ちいきにおいてはロシア語ごは引ひき続つづき重要じゅうような言語げんごとなっている。

特徴とくちょう的てきな点てんとして、ウクライナ西部せいぶにあるリヴィウ州しゅう、ヴォルィーニ州しゅう、テルノーピリ州しゅう、イヴァーノ＝フランキーウシク州しゅうのガリツィア地域ちいきはソ連それん時代じだいを通つうじてもロシア語ご化かが進すすまなかったことからウクライナ語ごが圧倒的あっとうてきに優勢ゆうせいで、日常にちじょう的てきにロシア語ごが使つかわれることは一般いっぱん的てきでない。この3州しゅうではロシア語ごの第だい2国家こっか語ご化かへの反対はんたい者しゃが多おおい。一方いっぽう、東部とうぶの住民じゅうみんにはロシア語ごの公的こうてき地位ちい向上こうじょうを求もとめる世論せろんもあり、しばしば政治せいじの場ばにおける敏感びんかんな論点ろんてんとなる。しかし、ウクライナ語ごが不得手ふえてな東部とうぶ出身しゅっしんのウクライナ民族みんぞく主義しゅぎ者しゃも珍めずらしくなく、使用しよう母語ぼごと親おや露ろ・反はん露ろ感情かんじょうは必かならずしも一致いっちしない点てんは留意りゅういを要ようする。2014年ねんの政変せいへん以降いこうもOSCEなどの国際こくさい機関きかんは、社会しゃかいにおいてロシア語ご話者わしゃが差別さべつを受うけている事実じじつを報告ほうこくしていない。

その他たの言語げんごとして、クリミア・タタール語ご（クリミア自治じち共和きょうわ国こく）、ハンガリー語ご（ザカルパッチャ州しゅう）、ルーマニア語ご（チェルニウツィー州しゅう）なども使つかわれている。

ウクライナ語ご使用しよう地域ちいき
ロシア語ご使用しよう地域ちいき
クリミア・タタール語ご使用しよう地域ちいき

宗教しゅうきょう

詳細しょうさいは「ウクライナの宗教しゅうきょう」を参照さんしょう

現在げんざいウクライナの国民こくみんは多おおくキリスト教徒きりすときょうとのアイデンティティを持もっているが、大半たいはんは特定とくていの宗教しゅうきょう団体だんたいに属ぞくしていない^[30]。伝統でんとう的てきな宗教しゅうきょうは、正教会せいきょうかいの一員いちいんであるウクライナ正教会せいきょうかいである。ルーシの洗礼せんれい以来いらい、ウクライナの正教会せいきょうかいはコンスタンディヌーポリ総そう主教しゅきょう庁ちょうに属ぞくしていたが、1686年ねんにモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうに移うつされ、20世紀せいき末まつまでモスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうに属ぞくしていた。この移管いかんは教会きょうかい法ほうに違反いはんしていたと指摘してきされるが^[31]、モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう側がわはこの移管いかんを「教会きょうかい法ほう違反いはん」とは捉とらえていない。1990年ねんには、ウクライナの独立どくりつ運動うんどうの興隆こうりゅうに呼応こおうして、モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうから分離ぶんり独立どくりつしたキエフ総そう主教しゅきょう庁ちょうが設立せつりつされた。

キエフ総そう主教しゅきょう庁ちょう・ウクライナ正教会せいきょうかいの教会きょうかい法ほう上じょうの合法ごうほう性せいを認みとめている他国たこくの正教会せいきょうかいは長ながらく存在そんざいしていなかったが、キエフ総そう主教しゅきょう庁ちょうは教会きょうかい法ほう解釈かいしゃく・歴史れきし認識にんしきにつき主張しゅちょうをしつつ、自みずからの合法ごうほう性せいの承認しょうにんを得えるべくさまざまな活動かつどうを行おこなっており、信徒しんと数すうの上じょうでもウクライナにおける最大さいだいの教会きょうかいとなっている。なお、懸案けんあんだったロシア正教会せいきょうかいからの独立どくりつ問題もんだいについては、2014年ねんにロシアがクリミア半島くりみあはんとうを併合へいごうしたことによる反はんロ感情かんじょうの高たかまりを受うけ^[32]、2018年ねん10月がつ11日にちにコンスタンティノープル総そう主教しゅきょう庁ちょうから独立どくりつの承認しょうにんを得えることに成功せいこうした^[32]。

この承認しょうにんに基もとづいて、2018年ねん12月15日にちに聖せいソフィア大だい聖堂せいどう (キエフ)で開ひらかれた統一とういつ宗教しゅうきょう会議かいぎで、ロシア正教会せいきょうかいから独立どくりつしたウクライナ正教会せいきょうかい (2018年ねん設立せつりつ)の創設そうせつが宣言せんげんされた。オブザーバーとして出席しゅっせきしたポロシェンコ大統領だいとうりょうは「ロシアからの最終さいしゅう的てきな独立どくりつの日ひだ」と群衆ぐんしゅうに述のべた^[33]。

これに次つぐ正教会せいきょうかいとして、モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょうの下したに留とまりつつ事実じじつ上じょうの自治じちを行おこなっているウクライナ正教会せいきょうかい（モスクワ総そう主教しゅきょう庁ちょう系けい）があり、こちらは他国たこくの正教会せいきょうかいからも教会きょうかい法ほう上じょうの合法ごうほう性せいを認みとめられているが、ウクライナ国内こくないでの信者しんじゃ数すうは減少げんしょうしている。ほかにもウクライナ独立どくりつ正教会せいきょうかいと独立どくりつ合法ごうほうウクライナ正教会せいきょうかいの教会きょうかい組織そしきが存在そんざいする。また、ロシア正教せいきょう古こ儀式ぎしき派は教会きょうかいの教区きょうくやポモーリエ派はの会衆かいしゅうなど、正教せいきょう古こ儀式ぎしき派はの信徒しんとも伝統でんとう的てきに存在そんざいしている。

東方とうほう典礼てんれいカトリック教会きょうかいたるウクライナ東方とうほうカトリック教会きょうかいが正教せいきょうに次ついで勢力せいりょくを有ゆうする。西方にしかた典礼てんれいのカトリック教会きょうかいおよびプロテスタント、さらにイスラム教徒きょうと、ユダヤ教徒きょうと、仏教徒ぶっきょうとも少数しょうすう存在そんざいする。

ザ・ワールド・ファクトブックによる2006年度ねんどのデータ:^[34]

婚姻こんいん

婚姻こんいん時じには改姓かいせいせず夫婦ふうふ別姓べっせいとすることも、いずれかの姓せいに統一とういつし同姓どうせいとすることも、複ふく合あい姓せいとすることも、いずれも選択せんたく可能かのうである^[35]。

歴史れきし

詳細しょうさいは「ウクライナの歴史れきし」を参照さんしょう

古代こだい

詳細しょうさいは「スキタイ」および「サルマティア人じん」を参照さんしょう

紀元前きげんぜん10世紀せいきごろより現在げんざいのウクライナの地ちにはさまざまな遊牧ゆうぼく民族みんぞくが到来とうらいした。紀元前きげんぜん8世紀せいきごろ、黒海こっかい北岸ほくがんに至いたった騎馬きば民族みんぞくのスキタイ人ひとは、紀元前きげんぜん6世紀せいきごろにキンメル人じんを追おい払はらって自みずからの国家こっかを立たて、紀元前きげんぜん4世紀せいきにかけて繁栄はんえいした。黒海こっかい沿岸えんがんには古代こだいギリシアの植民しょくみん都市としが建設けんせつされ、地中海ちちゅうかいやメソポタミア方面ほうめんとの交易こうえきを通つうじてペルシャ、古代こだいギリシア、ロろーマ帝国まていこくの文化ぶんか的てき影響えいきょうを受うけた。紀元前きげんぜん3世紀せいきごろ、中央ちゅうおうアジアより来きたサルマティア人じんの圧力あつりょくを受うけてスキタイは衰退すいたいした。2世紀せいきごろに東ひがしゴート族ぞくが王国おうこくを建たて、3世紀せいき中なかごろクリミア半島くりみあはんとうに存続そんぞくしていたスキタイ人じんの国家こっかを滅ほろぼした。これらの民族みんぞくは交易こうえきや植民しょくみんを盛さかんに行おこない、彼かれらが建設けんせつした多おおくの交易こうえき拠点きょてんはのちに都市とし国家こっかへと発展はってんした。4世紀せいきから5世紀せいきにかけて民族みんぞく大だい移動いどうの発端ほったんとなるフン族ぞくがこの地ちを通とおり抜ぬけた。6世紀せいきにはアヴァール族ぞくが侵入しんにゅうし、同おなじころ移住いじゅうしてきたと考かんがえられている東ひがしスラヴ人じんを支配しはいした。スラヴ民族みんぞくはウクライナ中央ちゅうおう部ぶと東部とうぶに居住きょじゅうし、キエフの建設けんせつと発展はってんに重要じゅうような役割やくわりを担になった。7世紀せいきから8世紀せいきにかけてはハザール可か汗あせ国こくの支配しはい下かにあった。

中世ちゅうせい

詳細しょうさいは「キエフ大公たいこう国こく」および「ハールィチ・ヴォルィーニ大公たいこう国こく」を参照さんしょう

8世紀せいきごろ、ウクライナではルーシという国くにが誕生たんじょうし、東ひがしスラヴ人じんのポリャーネ族ぞくの町まちキエフはその首都しゅととなった^[36]。882年ねんにオレグ公おおやけ（882年ねん - 912年ねん）が率ひきいる北欧ほくおうのヴァイキングがキエフを陥落かんらくさせると、ルーシはヴァイキング系けいのリューリク大公たいこう朝あさのものとなった^[36]。研究けんきゅう史上しじょうでは、朝廷ちょうていの中心ちゅうしんがキエフに置おかれていたことから、当時とうじのルーシをキエフ・ルーシ、あるいはキエフ大公たいこう国こくと呼よぶ^[36]。オリハ大公たいこう女おんな（945年ねん - 965年ねん）、その子息しそくスヴャトスラウ大公たいこう（965年ねん - 972年ねん）、孫まごヴォロディーミル大公たいこう（980年ねん - 1015年ねん）、および曾孫そうそんヤロスラウ大公たいこう（1019年ねん - 1054年ねん）の治世ちせいはルーシの全盛期ぜんせいきとなった^[36]。キエフの大公たいこう朝あさは、周辺しゅうへんの東ひがしスラヴ人じんをはじめ、北西ほくせいのバルト人じんと、北東ほくとうのフィン・ウゴル人じんを征服せいふくし、支配しはい領域りょういきを拡大かくだいさせた。その結果けっか、11世紀せいきにおけるルーシは約やく150万まん平方へいほうキロメートルの面積めんせきを誇ほこる、欧州おうしゅうの最大さいだいの国家こっかとなった^[36]。ルーシは、北方ほっぽうのバルト海ばるとかいとフィンランド湾わんから南方なんぽうのウクライナ草原そうげんまで、そして西方せいほうのカルパティア山脈さんみゃくから東方とうほうのヴォルガ川がわまで広ひろがっていた^[36]。周辺しゅうへんの諸しょ政権せいけんが滅ほろぼされ、すべての国土こくどはリューリク朝あさの諸侯しょこうの間あいだに分わけられた。988年ねんにヴォロディーミル大公たいこうのころ、ルーシ人じんは東ひがしロろーマ帝国まていこくからキリスト教きりすときょう（のちの正教せいきょう）を受うけて国教こっきょうとした^[36]。この出来事できごとはウクライナの運命うんめいを決けっし、ウクライナはキリスト教きりすときょう文化ぶんか圏けんに属ぞくすることとなった。12世紀せいきにルーシは領土りょうどをめぐる諸侯しょこうの争あらそいによりいくつかのリューリク系けいの諸しょ公国こうこくに分裂ぶんれつし、キエフ大公たいこうの権威けんいが衰退すいたいした。名目めいもく上じょうでキエフはルーシの首都しゅとの役割やくわりを果はたしていたが、諸しょ公国こうこくは事実じじつ上じょうの独立どくりつ国こくとなった。13世紀せいきにルーシの国体こくたいは完全かんぜんに退勢たいせいし、1240年代ねんだいにモンゴル帝国ていこくの軍ぐんによる侵攻しんこう（モンゴルのルーシ侵攻しんこう）で滅ほろぼされた^[36]。

キエフの衰退すいたい後ご、ルーシの政治せいじ・経済けいざい・文化ぶんかの中心ちゅうしんは、西にしウクライナにあったハーリチ・ヴォルィーニ大公たいこう国こくへ移うつされた。当とう国くにには、ヴォルィーニ地方ちほう、ハーリチ地方ちほう、ホールム地方ちほう、ベルズ地方ちほう、ザカルパッチャ地方ちほう、ポリーシャ地方ちほう、キエフ地方ちほうからなっていた^[37]。大公たいこう国こくの基礎きそは、1199年ねんにリューリク朝あさの嫡流ちゃくりゅうの血ちを引ひくロマン大公たいこうによって築きずかれた^[38]。1245年ねんにロマンの子息しそくダヌィーロ大公たいこうは、モンゴル帝国ていこくのジョチ・ウルスに朝貢ちょうこうして従属じゅうぞくしたが、カトリックのヨーロッパの支援しえんを期待きたいしてポーランド、マゾヴィア、ハンガリー、ドイツ騎士きし団だんと密約みつやくを交かわし、独立どくりつ戦争せんそうを計画けいかくした。1253年ねんにローマ教皇きょうこうインノケンティウス4世せいから王冠おうかんを受うけてルーシの初はつ王おう（ルーシ王おう）となり、ジョチ・ウルスとの戦たたかいに挑いどんだ^[39]。1256年ねんごろ、モンゴルのクレムサ軍ぐんに勝利しょうりしたダヌィーロ王おうは、20年ねん後ごにルーシの首都しゅととなるリヴィウを創建そうけんした。しかし、1259年ねんに欧州おうしゅうが約束やくそくした援軍えんぐんがなかったため、ダヌィーロは再ふたたびジョチ・ウルスに服属ふくぞくせざるを得えなかった。その後ご、ダヌィーロの息子むすこレーヴ1世せいはモンゴル軍ぐんに従したがってポーランドとリトアニアへの遠征えんせいに参加さんかした。1308年ねんにダヌィーロの曾孫そうそんアンドリーとレーヴ2世せいはマゾヴィアとドイツ騎士きし団だんと手てを組くんで独立どくりつ戦争せんそうを再開さいかいしたが、彼かれらの後継こうけい者しゃユーリー2世せいは無益むえきな戦争せんそうをやめてジョチ・ウルスに従属じゅうぞくした。1340年ねんにユーリー2世せいの暗殺あんさつにより王朝おうちょうが断絶だんぜつすると、隣国りんごくのポーランド王国おうこくとリトアニア大公たいこう国こくが王国おうこくの相続そうぞく権けんを主張しゅちょうし、ハールィチ・ヴォルィーニの領土りょうど継承けいしょうをめぐる戦争せんそうを開始かいしした。1392年ねんにポーランドはハーリチ地方ちほう、ホールム地方ちほう、ベルズ地方ちほうを併合へいごうし、そのほかの領土りょうどはリトアニア大公たいこう国こくのものとなった^[40]。リトアニアはルーシ語ごを公用こうよう語ごとし、正教せいきょうを国教こっきょうにするなど、ルーシ人じんに対たいして宥和ゆうわ政策せいさくをとって次第しだいにルーシ化かしたが、ポーランドは新あらたな領土りょうどのポーランド化かを進すすめた。

14世紀せいき末まつにおけるウクライナの地域ちいきは他国たこくの支配しはいを受うけるようになった。リトアニアはキエフ地方ちほう、チェルニーヒウ地方ちほう、ヴォルィーニ地方ちほうを中心ちゅうしんとする北部ほくぶ・中部ちゅうぶを確保かくほした。ポーランドはハーリチ地方ちほうとポジーリャ地方ちほうからなる西部せいぶを統治とうちした。南部なんぶは、1447年ねんにジョチ・ウルスから独立どくりつしたクリミア汗あせ国こくが支配しはいするようになった。無人むじんだった東部とうぶは次第しだいにモスクワ大公たいこう国こく（のちのロシア）の領域りょういきに入はいった。1569年ねんにポーランドとリトアニアがポーランド・リトアニア共和きょうわ国こくという連合れんごう国家こっかを形成けいせいしたことにより、ウクライナの北部ほくぶと中部ちゅうぶはポーランド領りょうとなった。ウクライナではルーシ県けん、ポジーリャ県けん、ヴォルィーニ県けん、ブラーツラウ県けん、ベールズ県けん、キエフ県けんというポーランドの行政ぎょうせい単位たんいに設置せっちされ、1598年ねんにブレスト合同ごうどうにより正教会せいきょうかいは禁きんじられた。

キエフのソフィア大だい聖堂せいどう
ヴォロディーミルの紋もん
ルーシ王国おうこくの国くに章あきら
16世紀せいきのルーシ系けい貴族きぞく

近世きんせい

コサック時代じだい

詳細しょうさいは「コサック」および「コサック国家こっか」を参照さんしょう

15世紀せいき後半こうはん、リトアニア・ロシア・クリミアが接せっする地域ちいき、「荒野あらの」と呼よばれるウクライナの草原そうげんにおいて、コサックという武人ぶじんの共同きょうどう体たいが成立せいりつした。16世紀せいきにコサックは、ザポロージャのシーチという要塞ようさいを築きずき、それを根拠地こんきょちとし、共同きょうどう体たいを「サポロージャ・コサック軍ぐん」と称しょうした^[41]。16世紀せいきから17世紀せいき前半ぜんはんにかけてのコサックは、ポーランド・リトアニアの国王こくおうの臣下しんかであったが、国王こくおうの支配しはいが及およばない地域ちいきに住すみ、軍人ぐんじんの特権とっけんと自治じち制せいを有ゆうした。コサックは、ポーランド・リトアニアの援軍えんぐんとして働はたらき、リヴォニア戦争せんそう（1558年ねん ‐ 1583年ねん）、ロシア・ポーランド戦争せんそう（1605年ねん ‐ 1618年ねん）、ポーランド・オスマン戦争せんそう（英語えいご版ばん）（1620年ねん ‐ 1621年ねん）、スモレンスク戦争せんそう（1632年ねん ‐ 1634年ねん）などに参加さんかした。それと同時どうじに、彼かれらは独断どくだんで隣国りんごくのモルドヴァ、クリミア、ロシアなどへ遠征えんせいしたり、水軍すいぐんとしてオスマン帝国ていこくが支配しはいする黒海こっかい沿岸えんがん部ぶを攻撃こうげきしたりした。さらに、コサックの一部いちぶは傭兵ようへいとして全ちょんヨーロッパで活躍かつやくしたこともあり、三さん十じゅう年ねん戦争せんそうにカトリック側がわのために戦たたかった。軍人ぐんじんでありながら、貴族きぞく権けんを持もたないコサックは、貴族きぞくの国家こっかであるポーランド・リトアニアにおいて社会しゃかい・宗教しゅうきょう・民族みんぞく的てき迫害はくがいを受うけ、しばしば反乱はんらんを起おこした。その反乱はんらんの中なかで特とくに大おおきかったのは、コスィーンシキーの乱らん（1591年ねん ‐ 1593年ねん）、ナルィヴァーイコの乱らん（1594年ねん - 1596年ねん）、ジュマイロの乱らん（1625年ねん）、フェドロヴィチの乱らん（1630年ねん）、スリーマの乱らん（1635年ねん）、パウリュークの乱らん（1637年ねん）とオストリャニンの乱らん（1638年ねん）であった^[42]^[43]。

1648年ねん、ボフダン・フメリニツキー将軍しょうぐんが率ひきいるコサック軍ぐんは、ポーランド・リトアニアにおいてフメリニツキーの乱らんを起おこした。反乱はんらんは次第しだいにポーランドからウクライナの独立どくりつ戦争せんそうに変容へんようし、ウクライナの中部ちゅうぶにコサック国家こっかが誕生たんじょうした^[44]^[42]。1654年ねんに、ポーランドと戦たたかい続つづけるために、コサックのウクライナはペラヤースラウ会議かいぎ (1654年ねん)でロシアのツァーリの保護ほごを受うけたが、1656年ねんにロシア人じんがポーランド人じんとヴィリニュス条約じょうやくを結むすび単独たんどく和議わぎしたため、スウェーデン、トランシルヴァニアと同盟どうめいを締結ていけつした^[45]。1657年ねん、コサックの将軍しょうぐんにイヴァン・ヴィホウシキーが選えらばれると、ウクライナ国内こくないで反はん頭領とうりょうの反乱はんらんが勃発ぼっぱつしてウクライナ・ロシア戦争せんそうへ展開てんかいした。ヴィホウシキーは、1659年ねんにコノトプの戦たたかいで勝利しょうりを収おさめたが、ポーランドとの連合れんごう条約じょうやく（ハヂャチ条約じょうやく）を結むすんだためにコサック長老ちょうろうの支持しじを失うしなった^[42]。荒廃こうはい時代じだいと呼よばれるウクライナ内戦ないせんが始はじまり、その結果けっか、コサック国家こっかがドニプロ川がわを軸じくにして右岸うがんウクライナ、左岸さがんウクライナ、ザポロージャという地域ちいきに分わかれた。右岸うがんウクライナのコサックはポーランド・リトアニアの支配しはい下かに置おかれ、左岸さがんウクライナとザポロージャはロシアの保護ほご下かに置おかれた。1667年ねんにこのような分割ぶんかつはアンドルソヴォ条約じょうやくによって公認こうにんされた。1672年ねんに新あらたな将軍しょうぐんペトロ・ドロシェンコは、オスマン帝国ていこくの援助えんじょを受うけてウクライナの統一とういつを実行じっこうしようとした（トルコ・ポーランド戦争せんそう(1672-1676)、露ろ土ど戦争せんそう (1676年ねん-1681年ねん)）が失敗しっぱいし、バフチサライ条約じょうやく (1681年ねん)がロシアとオスマン帝国ていこくの間あいだで結むすばれた^[46]。1689年ねんにロシアとポーランド・リトアニアは永遠えいえん和平わへい条約じょうやくにより最終さいしゅう的てきにウクライナを分割ぶんかつした。17世紀せいき後半こうはんにポーランド人じんは右岸うがんウクライナにおいてコサックの自治じち制せいを廃止はいししたが、ロシア人じんは左岸さがんウクライナにおいてコサック国家こっかを保護ほご国こくとして存続そんぞくさせた。1709年ねんに、大だい北方ほっぽう戦争せんそうの際さい、イヴァン・マゼーパ将軍しょうぐんが引率いんそつしたコサックはスウェーデンと同盟どうめいを結むすび、ロシアの支配しはいから離脱りだつしようと図はかったが、ポルタヴァの戦たたかいに惨敗ざんぱいした^[47]。マゼーパの蜂起ほうきはロシアに口実こうじつを与あたえ、ロシア政府せいふはウクライナにおけるコサックの自治じち制せいを廃止はいしする政策せいさくに乗のり出だした。1754年ねんにロシアはロシア・ウクライナの関税かんぜい国境こっきょうを廃止はいしし、1764年ねんにコサック将軍しょうぐんの位くらい（ヘーチマン）を廃止はいしした。廃位はいいさせられた最後さいごの将軍しょうぐんキリロ・ロズモウシキーはロシアの元帥げんすいに任にんじられた。1775年ねんにロシア軍ぐんはザポロージャのシーチを破壊はかいし、1781年ねんにウクライナにおけるコサック自治じち制せいは廃止はいしされた。1783年ねん、ロシア国内こくないにならってウクライナで農奴のうど制せいが敷しかれた^[42]^[48]。また、1783年ねんには、ロシアは15世紀せいきから続つづいていたクリミア・タタール人じんを中心ちゅうしんとするイスラム国家こっかクリミア汗あせ国こくを滅ほろぼし、クリミア半島くりみあはんとうを併合へいごうした。

コサックの結婚式けっこんしき
コサック国こくの国くに章あきら
タタールとの小競こぜり合あい
マゼーパ将軍しょうぐん

近代きんだい

18世紀せいきから19世紀せいきにかけて、ロシア帝国ていこくとオーストリア帝国ていこくによるウクライナの抑圧よくあつ政策せいさくと全ぜんヨーロッパで流行りゅうこうしたロマン主義しゅぎ・民族みんぞく主義しゅぎの高たかまりにより、ウクライナ人じんの民族みんぞく運動うんどうも盛さかんになった。1798年ねんに、イヴァン・コトリャレーウシキーによるコサック国家こっかの再建さいけんを謳うたう叙事詩じょじし『エネイーダ』が出版しゅっぱんされた。この作品さくひんは、現代げんだいウクライナ語ごの口語こうごで書かかれた初はじめての作品さくひんであった一方いっぽう、ウクライナの民族みんぞく的てきルネサンスの序幕じょまくでもあった^[49]。1806年ねんにハルキウ大学だいがくが設立せつりつされると、ウクライナの知識ちしき人じんによるウクライナの歴史れきし・文化ぶんか・民俗みんぞくに関かんする研究けんきゅうが活発かっぱつ的てきに行おこなわれるようになった^[50]。1825年ねんごろ、近世きんせいのコサック軍記ぐんきの編集へんしゅう物ぶつとして『ルーシ人じんの歴史れきし』が著あらわされ、ウクライナの文化ぶんか人じん、歴史れきし学者がくしゃ、作家さっかなどに大おおきな影響えいきょうを与あたえた^[50]。ウクライナ語ごの完成かんせいが急いそがれたのもこの時期じきで、ロシア語ご正書法せいしょほう、ポーランド語ご正書法せいしょほう、そして独自どくじの正書法せいしょほうなどさまざまなものが生うみ出だされたが、最終さいしゅう的てきにはタラス・シェウチェンコのまとめたウクライナ語ご文法ぶんぽうが現代げんだいウクライナ語ごの基礎きそとなった^[51]。

ロシア帝国ていこくは常つねにウクライナにおけるロシア化か政策せいさくを実行じっこうしており、なお、ウクライナ語ごは当時とうじはロシア語ごの一方いっぽう言げん「小しょうロシア語ご」として扱あつかわれ、独自どくじの言語げんごとしては公認こうにんされていなかった。1863年ねんに文学ぶんがく作品さくひんを除のぞきウクライナ語ごの書物しょもつの出版しゅっぱん・流通りゅうつうを禁止きんしするヴァルーエフ指令しれいが出だされ、1873年ねんにウクライナ語ごの書物しょもつの出版しゅっぱん・流通りゅうつう・輸入ゆにゅうを禁止きんしするエムス法ほうが定さだめられた^[52]。

大だい不況ふきょう期きのウクライナ経済けいざいは露ろ仏ふつ同盟どうめいの素地そじとなった。地元じもとの石油せきゆ王おう（Ephrussi family）がロスチャイルドパリ家かと家族かぞくになって、ウクライナにベルギー国立こくりつ銀行ぎんこうのコッカリル（Cockerill）とソジェンが進出しんしゅつしてきたのである。

現代げんだい

ウクライナ独立どくりつ戦争せんそう

詳細しょうさいは「ウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こく」、「ウクライナ国こく」、「西にしウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こく」、「ウクライナ・ソビエト戦争せんそう」、および「ウクライナ・ポーランド戦争せんそう (1918年ねん‐1919年ねん)」を参照さんしょう

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんが勃発ぼっぱつすると、ウクライナ西部せいぶを巻まき込こんで東部とうぶ戦線せんせんが形成けいせいされた。

1917年ねんに2月がつ革命かくめいによりロシア帝政ていせいが崩壊ほうかいし、ペトログラドでロシア臨時りんじ政府せいふが成立せいりつした。それに伴ともない、同年どうねん3月14日にちにキエフでウクライナ政府せいふとしてフルシェーウシキー教授きょうじゅが指導しどうするウクライナ中央ちゅうおう議会ぎかいが成立せいりつした。10月がつ革命かくめいによってロシアの臨時りんじ政府せいふが倒たおされ、共産党きょうさんとうのソビエト政権せいけんが誕生たんじょうすると、11月7日にちに中央ちゅうおう議会ぎかいはキエフを首都しゅととするウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの樹立じゅりつを宣言せんげんしたが、ウクライナ・ソビエト戦争せんそうが勃発ぼっぱつしたあと、1918年ねん 1月がつ9日にちにウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの独立どくりつを宣言せんげんした^[53]。同年どうねん2月がつ8日にちにロシアの赤軍せきぐんはキエフを占領せんりょうしたが、2月がつ9日にちにブレストでウクライナとドイツ、オーストリアの同盟どうめいが完結かんけつし、中央ちゅうおう議会ぎかいは同盟どうめい国こくの軍事ぐんじ力りょくを借かりてウクライナを解放かいほうし、3月に首都しゅとを奪うばい返かえした^[54]。4月がつ29日にちにウクライナの保守ほしゅ階級かいきゅうによるクーデターの結果けっか、中央ちゅうおう議会ぎかいに代かわってスコロパードシキー大将たいしょうの政権せいけんが成立せいりつした。国号こくごうはウクライナ国こくに改あらためられ、元首げんしゅはヘーチマンとなった。当とう国くには安定あんていした発展はってんを見みせたが、ドイツの連合れんごう国こくへの降伏ごうぶくにより事態じたいは一転いってんし、1918年ねん12月19日にちにスコロパードシキー政権せいけんが倒たおされ、新あらたな執政しっせい内ない閣かくの政権せいけんが成立せいりつした^[55]。国号こくごうは再ふたたびウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくとなった。しかし、ドイツ軍ぐんの撤退てったいによりウクライナ・ソビエト戦争せんそうが再開さいかいした。1919年ねん 1月がつ6日にち、ソビエトのロシアは傀儡かいらい政権せいけんとして首都しゅとをハルキウとするウクライナ社会しゃかい主義しゅぎソビエト共和きょうわ国こくを樹立じゅりつした。同年どうねん2月がつ5日にちにソビエト軍ぐんはキエフを占領せんりょうし、ウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの政府せいふを亡命ぼうめいさせた。1919年ねんから1920年ねんにかけて、ウクライナの支配しはいをめぐりウクライナ人民じんみん共和きょうわ国軍こくぐん、ソビエトの赤軍せきぐん、ロシア帝政ていせい派はの白しろ軍ぐん、白しろ軍ぐんを支援しえんするフランス軍ぐん・イギリス軍ぐん・ポーランド軍ぐん、ネストル・マフノ率ひきいる無む政府せいふ主義しゅぎ者ものの黒くろ軍ぐん、ウクライナのゲリラを中心ちゅうしんとする緑みどり軍ぐんなどが争あらそった。1920年ねん冬ふゆに戦争せんそうがソビエトの赤軍せきぐんの勝利しょうりで終結しゅうけつし、ウクライナ社会しゃかい主義しゅぎソビエト共和きょうわ国こくは西にしウクライナを除のぞきウクライナ全域ぜんいきを確保かくほした^[56]。

一方いっぽう、オーストリア・ハンガリー帝国ていこくの解体かいたいに伴ともない、1918年ねん 10月19日にちに西にしウクライナのガリツィア・ブコビナ地方ちほうに住すんでいたウクライナ人じんはリヴィウを首都しゅととする西にしウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの独立どくりつを宣言せんげんした。しかし、11月1日にちにポーランドが当とう共和きょうわ国こくへ侵入しんにゅうし、ウクライナ・ポーランド戦争せんそうが始はじまった。ポーランド側がわはフランス、イギリス、ルーマニア、ハンガリーなどによって後援こうえんされたが、西にしウクライナ側がわは国際こくさい的てきに孤立こりつしていた。1919年ねん1月がつ22日にちに西にしウクライナはウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくに援助えんじょを求もとめ、キエフでウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくと合同ごうどうしたが、ウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの政府せいふはソビエトの赤軍せきぐんと戦たたかったため、援軍えんぐんを派遣はけんすることができなかった。こうした中なかで、右岸うがんウクライナの併合へいごうを目論もくろむポーランドが7月がつ18日にちに西にしウクライナ全ぜん地域ちいきを占領せんりょうし、西にしウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくは滅亡めつぼうした。その後ご、1920年ねん4月がつに西にしウクライナをめぐってポーランド・ソビエト戦争せんそうが勃発ぼっぱつしたが、1921年ねん 3月18日にちのリガ条約じょうやくによって西にしウクライナのポーランド支配しはいが確定かくていした^[57]。

またクリミアにおいては、1917年ねん、クリミア・タタール人じんを中心ちゅうしんとし、ノーマン・チェレビジハンを初代しょだい大統領だいとうりょうとする多た民族みんぞく・世俗せぞく国家こっかクリミア人民じんみん共和きょうわ国こくの建国けんこくが宣言せんげんされたが、1918年ねんにモスクワのソビエト政府せいふにより占領せんりょうされ、滅亡めつぼうした。

中央ちゅうおう議会ぎかいの議会ぎかい堂どう
ウクライナ国こくの国くに章あきら
ヘトマン・スコロパードシキー
西にしウクライナの国くに章あきら

社会しゃかい主義しゅぎ時代じだい

詳細しょうさいは「ウクライナ・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく」、「ホロドモール」、「カルパト・ウクライナ」、「ウクライナ民族みんぞく主義しゅぎ者しゃ組織そしき」、および「ウクライナ蜂起ほうき軍ぐん」を参照さんしょう

ファイル:Kiev-MonumentVictimsHolodomor1932-33 01.jpg

キエフにあるホロドモールの慰霊いれい碑ひ。ウクライナ人じんは、1917年ねんから1922年ねんにかけて共産きょうさん主義しゅぎのロシアに対たいして強つよく抵抗ていこうしたため、ソ連それんの政権せいけんが「ウクライナ人じんの問題もんだい」を解決かいけつするために、ウクライナ人じんが住すむ地域ちいきにおいて人工じんこう的てきな大だい飢饉ききんを促うながした。1933年ねんに「ヨーロッパの穀倉こくそう」といわれたウクライナでは数すう百ひゃく万まん人にんが餓死がしした

1922年ねん 12月30日にちにウクライナ社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくは、ロシア、ベラルーシ、ザカフカースとともに同盟どうめい条約じょうやくによってソビエト連邦れんぽうを結成けっせいした^[58]。諸しょ共和きょうわ国こくは平等びょうどうの立場たちばで新あたらしい国家こっか連合れんごうを形成けいせいしたが、その国家こっか連合れんごうはソ連それん憲法けんぽう制定せいていによってロシアを中心ちゅうしんとする中央ちゅうおう集権しゅうけん的てきなシステムに変遷へんせんし、その他たの独立どくりつ共和きょうわ国こくはロシアの自治じち共和きょうわ国こくとなった^[59]。

1923年ねんから1933年ねんにかけて、ウクライナでのソビエト政権せいけんを磐石ばんじゃくなものにするために、ソ連それん政府せいふ・共産党きょうさんとうはウクライナ化か政策せいさくを実行じっこうした。ウクライナ語ご教育きょういくの普及ふきゅうや政府せいふ諸しょ機関きかんへのウクライナ人じんの採用さいようなどにより、政権せいけんとウクライナ人じんの間あいだに存在そんざいした敵意てきいをなくそうという試こころみであった^[60]。しか、1930年ねん以降いこう、党内とうないからこの政策せいさくを厳きびしく批判ひはんする声こえが上あがり、1933年ねんにウクライナ化かは「ウクライナ民族みんぞく主義しゅぎ的てき偏向へんこう」として中止ちゅうしされた。ウクライナ化かを指導しどうした政治せいじ家か、知識ちしき人じん、文化ぶんか人じんは逮捕たいほ・粛清しゅくせいされ、ロシア化かの時代じだいが再開さいかいした^[61]。

ソビエト連邦れんぽう下かのウクライナは拙速せっそくな農業のうぎょうの集団しゅうだん化か政策せいさくなどにより2度どの大だい飢饉ききん（1921年ねん - 1922年ねん、1932年ねん - 1933年ねん、後者こうしゃはホロドモールと呼よばれ2006年ねんにウクライナ政府せいふによってウクライナ人じんに対たいするジェノサイドと認定にんていされた。アメリカ、カナダ、イタリアなどの欧米おうべい諸国しょこくでは正式せいしきにジェノサイドであると認定にんていされている^[62]が、国際こくさい連合れんごうや欧州おうしゅう議会ぎかいでは人道じんどうに対たいする罪つみとして認定にんていしている）に見舞みまわれ、推定すいていで400万まんから1000万まん人にんが命いのちを落おとした。この「拙速せっそくな集団しゅうだん化か政策せいさく」は意図いとしてなされたものであるという説せつも有力ゆうりょくである。

この背景はいけいには、レーニンやスターリンらによる農民のうみんへの敵視てきし政策せいさくがあった。共産党きょうさんとう政府せいふのとった土地とちの共有きょうゆう化かを農民のうみんは拒こばむため、多おおくの住民じゅうみんが農民のうみんであったウクライナの統治とうちは共産党きょうさんとう政府せいふにとって大おおきな障壁しょうへきとなっていた。そのため、一説いっせつによるとレーニン、スターリンらにとってはウクライナの農民のうみんの根絶こんぜつが理想りそうであったともされている。スターリンは、農民のうみん問題もんだいの解決かいけつは至急しきゅうの課題かだいであると明言めいげんしている。また、この時期じきに前後ぜんごし、ウクライナでは農民のうみん、すなわちウクライナ人じんへの懐柔かいじゅう政策せいさくと弾圧だんあつ政策せいさくが交互こうごにとられ、結果けっかウクライナ共産党きょうさんとう幹部かんぶ全員ぜんいんをはじめ多おおくの人間にんげんが粛清しゅくせいされた。最終さいしゅう的てきには、ウクライナ語ご使用しようの制限せいげんなど弾圧だんあつ政策せいさくが長ながくとられることになった^[63]。

大だい粛清しゅくせいはウクライナから始はじめられ、1937年ねんには首相しゅしょうのパナース・リューブチェンコが自殺じさつした。この年とし、ウクライナ社会しゃかい主義しゅぎソビエト共和きょうわ国こくは国号こくごうを「ウクライナ・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく」へと変更へんこうした。

一方いっぽう、西にしウクライナはポーランド、ルーマニア、チェコスロバキアによって分割ぶんかつされた。1921年ねんから1939年ねんにかけてポーランドはヴォルィーニ・ハルィチナー地方ちほう、ルーマニアはブコビナ地方ちほう、チェコスロバキアはザカルパッチャを支配しはいした。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん

詳細しょうさいは「第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん」、「独どくソ戦せん」、および「ウクライナ蜂起ほうき軍ぐん」を参照さんしょう

1939年ねん 8月がつ24日にちにソ連それんとドイツは不可侵ふかしん条約じょうやくを締結ていけつし、東欧とうおうにおける独どくソの勢力せいりょく範囲はんいを定さだめた。同年どうねん9月1日にちにドイツが、続つづいて9月17日にちにソ連それんがポーランドを侵略しんりゃくした。その結果けっかポーランドは分割ぶんかつされ、ウクライナ人じんが多数たすう派はだった西にしヴォルィーニ地方ちほうとガリツィア地方ちほうはウクライナ・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくに併合へいごうされた^[64]。ドイツがフランスを占領せんりょうしたあと、1940年ねん 6月28日にちにソ連それんはルーマニアにベッサラビアと北きたブゴヴィナの割譲かつじょうを要求ようきゅうした。ルーマニアはこの要求ようきゅうを呑のみ、北きたブゴヴィナとベッサラビアはウクライナSSRに併合へいごうされた。その後ご、北きたブゴヴィナと南みなみベッサラビアを除のぞく地域ちいきにはモルドバSSRが設置せっちされた。1940年ねん 7月がつ14日にちにソ連それん軍ぐんはバルト三さん国こくを占領せんりょうし、1941年ねん 6月1日にちにドイツ軍ぐんはバルカン半島ばるかんはんとうを支配しはい下かに置おいた。独どくソ両国りょうこくは共通きょうつうの国境こっきょうと、征服せいふくされた地域ちいきを「解放かいほう」するために互たがいに攻せめ入はいる口実こうじつを得えた。

1940年ねん12月18日にち、ドイツはバルバロッサ作戦さくせんを秘密裏ひみつりに決定けっていし、1941年ねん6月22日にちにソ連それんへ侵略しんりゃくした。それに呼応こおうしてイタリア、ルーマニア、ハンガリーなどはドイツ側がわに与くみして派兵はへいなど軍事ぐんじ的てき支援しえんを行おこなった。独どくソ戦せんは約やく4年間ねんかん続つづき、ウクライナを中心ちゅうしんとした地域ちいきに行おこなわれた。当初とうしょ、ウクライナ人じんは共産党きょうさんとうの支配しはいからウクライナを解放かいほうしてくれたドイツを支援しえんしたが、ドイツはウクライナの独立どくりつを承認しょうにんせず、ソ連それんと同様どうようの支配しはい体制たいせいを敷しいたため、ウクライナ人じんの反感はんかんを買かった。1941年ねん9月19日にちにドイツ軍ぐんはキエフと右岸うがんウクライナを占領せんりょうし、10月24日にちにハルキウと左岸さがんウクライナを奪うばい取とり、1942年ねん7月がつまでにクリミア半島くりみあはんとうとクバーニ地方ちほうを支配しはい下かに置おいた。1943年ねん2月がつ、ソ連それん軍ぐんはスターリングラード攻防こうぼう戦せんにおいてドイツ軍ぐんの侵攻しんこうを食くい止とめ、同年どうねん8月がつにクルスクの戦たたかいでドイツ軍ぐんから独どくソ戦せんの主導しゅどう権けんを奪うばった。1943年ねん 11月6日にちにソ連それんはキエフを奪還だっかんし、1944年ねん5月がつにかけて右岸うがんウクライナとクリミアを奪還だっかんした。同年どうねん8月がつにソ連それん軍ぐんは西にしウクライナを完全かんぜんに支配しはい下かに置おき、ドイツが占領せんりょうするか、枢軸すうじく国こくに参加さんかしていた東欧とうおう・中ちゅう欧おう諸国しょこくへの侵攻しんこうを開始かいしした。1945年ねん 5月2日にちにソ連それんはドイツの首都しゅとベルリンを陥落かんらくさせ、5月8日にちにドイツ側がわの無条件むじょうけん降伏ごうぶくにより独どくソ戦せんが終結しゅうけつした。ソ連それん側がわの勝利しょうりによってウクライナにおける共産党きょうさんとうの支配しはいが強化きょうかされ、国際こくさい社会しゃかいにおけるソ連それんの役割やくわりが大おおきくなった。ソ連それん軍ぐんが占領せんりょうした東中ひがしなか欧おう諸国しょこくではソ連それんの衛星えいせい国こくが樹立じゅりつされた。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんにおいてウクライナはハリコフ攻防こうぼう戦せんなど激戦げきせん地ちとなり、莫大ばくだいな損害そんがいを蒙こうむった。戦争せんそうの犠牲ぎせい者しゃは800万まん人にんから1,400万まん人にんとされている^[65]。ウクライナ人じんの間あいだでは5人にんに1人ひとりが戦死せんしした^[65]。バビ・ヤール大だい虐殺ぎゃくさつなどナチス・ドイツによるホロコーストも行おこなわれ、ウクライナ系けいのユダヤ人じんやロマ人じんなどの共同きょうどう体たいは完全かんぜんに破壊はかいされた^[65]。ソ連それん政府せいふはウクライナ在住ざいじゅうのドイツ人じんやクリミア・タタール人じんなどの追放ついほうを行おこなった。独どくソ両りょう軍ぐんの進退しんたいによってウクライナの地ちは荒あれ果はてた。700の市町しちょうと、約やく2万まん800の村むらが全滅ぜんめつした^[65]。独どくソ戦中せんちゅうにウクライナ人じんはソ連それん側がわの赤軍せきぐんにも、ドイツ側がわの親衛隊しんえいたいにも加くわわった。また、ウクライナ人じんの一部いちぶは反はんソ反はん独どくのウクライナ蜂起ほうき軍ぐんに入隊にゅうたいし、独立どくりつしたウクライナのために戦たたかった^[66]。

戦後せんご

白はくロシア共和きょうわ国こく（現げん・ベラルーシ）とともに、ソ連それんとは別べつに国際こくさい連合れんごう加盟かめい国こくとして国連こくれん総会そうかいに議席ぎせきを持もった。1948年ねんから2年間ねんかんと1984年ねんから2年間ねんかんは非ひ常任じょうにん理事りじ国こくも務つとめている。しかし現実げんじつは、ウクライナは相変あいかわらず「ソ連それんの一部いちぶ」止とまりであり、「ロシア化か」が進すすめられた。1956年ねんのハンガリー動乱どうらんや1968年ねんのプラハの春はるの際さいは、ウクライナで威嚇いかくのための大だい軍事ぐんじ演習えんしゅうが行おこなわれたり、ウクライナを経由けいゆして東欧とうおうの衛星えいせい国こくへ戦車せんしゃが出撃しゅつげきしたりしている。1953年ねんのスターリンの死後しご、大だい粛清しゅくせいの犠牲ぎせいになった多おおくのウクライナ人じんの名誉めいよ回復かいふくがなされ、また徐々じょじょにウクライナ文化ぶんかの再興さいこうが水面すいめん下かで活発かっぱつ化かした。

1954年ねん、ニキータ・フルシチョフ政権せいけんにより、クリミア半島くりみあはんとう（クリム半島はんとう）がロシアからウクライナに移管いかんされた。これは、ポーランド・リトアニア共和きょうわ国こくに対抗たいこうするためにロシアとウクライナ・コサックの間あいだで結むすばれたペレヤスラフ条約じょうやく締結ていけつ300周年しゅうねん記念きねんを祝いわうためであった。

1960年代ねんだいには体制たいせいに批判ひはん的てきな、または「ウクライナ的てきな」文学ぶんがくも登場とうじょうした。フルシチョフの非ひスターリン化かの時代じだいには、ウクライナ・ソビエト政府せいふもこのような動うごきを少すくなからず容認ようにんした。しかしレオニード・ブレジネフ政権せいけんの「停滞ていたいの時代じだい」になると、1972年ねんにウクライナ人じん知識ちしき階級かいきゅうが大量たいりょうに逮捕たいほされるという事件じけんが起おこる。冷戦れいせんで対立たいりつしていた東西とうざいヨーロッパ諸国しょこくが人権じんけん尊重そんちょうなどを謳うたったヘルシンキ宣言せんげん（1975年ねん）を受うけて、1976年ねんには人権じんけん擁護ようご団体だんたい「ウクライナ・ヘルシンキ・グループ」が結成けっせいされるが、それも弾圧だんあつされた。

ソ連それん支配しはい下かのウクライナにおいて大だい部分ぶぶんのウクライナ農民のうみんは、1970年代ねんだいまで国家こっかの社会しゃかい保障ほしょうを受うけることもできないでいた。収穫しゅうかくの大だい部分ぶぶんは相変あいかわらず国家こっかによって搾取さくしゅされ、スターリンの大だい粛清しゅくせいの恐怖きょうふがなくなった今いま、共産党きょうさんとうの幹部かんぶたちは自みずからの特権とっけん階級かいきゅう（ノーメンクラトゥーラ）としての地位ちいを不動ふどうのものとする。非ひ効率こうりつな計画けいかく経済けいざい、冷戦れいせん下かにおける膨大ぼうだいな軍事ぐんじ費ひ・科学かがく技術ぎじゅつ費ひは、ウクライナの近代きんだい化かを進すすめたとはいえ、人々ひとびとの生活せいかつは一向いっこうに改善かいぜんする気配けはいがなかった。政治せいじの腐敗ふはい、経済けいざい的てき矛盾むじゅんは深刻しんこく化かしていったにもかかわらず、隠蔽いんぺいされ続つづけた。

1986年ねん 4月がつ26日にち、チェルノブイリ原発げんぱつ事故じこが発生はっせいし、国内外こくないがいに大おおきな被害ひがいが及およんだ。ウクライナ国内こくないにあたる地域ちいきには220万まん人にんほどが住すんでいた^[67]。事故じこ後ご、汚染おせん地域ちいきの外そとにスラブチッチという街まちが作つくられ、かつて原発げんぱつで働はたらいていた者ものたちなどを住すまわせた。国際こくさい原子力げんしりょく機関きかん（IAEA）と世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）によって行おこなわれた調査ちょうさによって明あきらかにされたことによると、この事故じこにより直接的ちょくせつてきに56名めいが死しんでおり、それ以外いがいにもこの事故じこを原因げんいんとする癌がんによって4,000名めいほどが死しんだといわれる^[68]。

「チェルノブイリ原発げんぱつ事故じこ」および「チェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょ」も参照さんしょう

1990年ねんに一いち度ど原発げんぱつを全廃ぜんぱいしたが、1993年ねんより原発げんぱつを再ふたたび稼働かどうさせた^[69]。

ソ連それんはミハイル・ゴルバチョフ政権せいけん下かで「ペレストロイカ」の時代じだいを迎むかえており、ウクライナでは「ペレブドーヴァ」と呼よばれる改革かいかく・開放かいほうを求もとめる運動うんどうが起おきた。1960年代ねんだいごろから民族みんぞく文化ぶんか運動うんどうを続つづけてきたウクライナ人文じんぶん学者がくしゃたちは、ウクライナ語ごの解放かいほう・普及ふきゅうを訴うったえた。ソビエト政府せいふによってその存在そんざいを否定ひていされ、弾圧だんあつされ続つづけてきたウクライナ・カトリックは水面すいめん下かで根強ねづよく活動かつどうを続つづけ、ローマ教皇きょうこうヨハネ・パウロ2世せいの強つよい励はげましを受うけた。そしてついに1989年ねん、ウクライナ語ごの公用こうよう化か（10月がつ^[70]）、ユニエイトの公認こうにん化かが実現じつげんした。東欧とうおうにおける民主みんしゅ革命かくめいの成功せいこうも受うけて、ウクライナ民族みんぞく運動うんどうは最高潮さいこうちょうに達たっしていく。

1989年ねん9月がつ、作家さっか連盟れんめいなどを中心ちゅうしんに民族みんぞく主義しゅぎ大衆たいしゅう組織そしき「ペレストロイカのための人民じんみん運動うんどう」（通称つうしょう「ルフ」）が結成けっせいされる。1990年ねん1月がつ22日にち（1918年ねんの中央ちゅうおう議会ぎかいによるウクライナ独立どくりつ宣言せんげんの日ひ）にルフの呼よびかけで、大勢おおぜいのウクライナ人じんは手てと手てをつないで長ながい「人間にんげんの鎖くさり」を作つくり上あげた。3月にはウクライナにおいて民主みんしゅ的てきな最高さいこう会議かいぎ（国会こっかい）議員ぎいん選挙せんきょが実現じつげんし、ルフを中心ちゅうしんとする民主みんしゅ勢力せいりょくが大おおきな勢力せいりょくを占しめた。7月、最高さいこう会議かいぎは「主権しゅけん宣言せんげん」を採択さいたく。さまざまな国家こっかの権利けんりをソ連それんから取とり戻もどすことを宣言せんげんし、非核ひかく三さん原則げんそくも採択さいたくした。学生がくせいや炭鉱たんこう労働ろうどう者しゃによるストライキやデモは、民主みんしゅ勢力せいりょくをさらに後押あとおしする。ウクライナ共産党きょうさんとうは分裂ぶんれつ・衰退すいたいし、民主みんしゅ勢力せいりょくへ走はしる者ものも出でた。

崩くずれ行いくソ連それんを完全かんぜんに見限みかぎり、8月がつ24日にちに最高さいこう会議かいぎはウクライナの独立どくりつを宣言せんげん、国名こくめいから「ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく」を削除さくじょした。12月の国民こくみん投票とうひょうによっても、圧倒的あっとうてきに独立どくりつが支持しじされ（ウクライナ国内こくないの多おおくのロシア人じんも支持しじした）、レオニード・クラフチュクがウクライナ初代しょだい大統領だいとうりょうに選えらばれた。1917年ねんの独立どくりつ革命かくめいの挫折ざせつ以来いらい、幾多いくたの試練しれんを乗のり越こえて、ついにウクライナの独立どくりつは達成たっせいされたのである。

独立どくりつ

民族みんぞく別べつ等とうのウクライナ独立どくりつ賛成さんせい者しゃの割合わりあい^[71]
		賛成さんせい	棄権きけん	反対はんたい
民族みんぞく別べつ	ウクライナ人じん	68%	26%	6%
	ロシア人じん	55%	28%	17%
	その他た	46%	40%	14%
母語ぼご別べつ	ウクライナ語ご	68%	26%	5%
	ロシア語ご	57%	28%	15%
	その他た	40%	44%	16%
ウクライナ語ご使用しよう能力のうりょく別べつ	あり	67%	26%	7%
ウクライナ語ご使用しよう能力のうりょく別べつ	なし	48%	33%	19%
出生しゅっしょう地ち別べつ	ウクライナ	66%	27%	7%
	ロシア	52%	30%	18%
	その他た	65%	27%	8%

1991年ねん、ソ連それん崩壊ほうかいに伴ともないソビエト最高さいこう会議かいぎの元もとから独立どくりつして新あらたな国家こっかウクライナとなり、独立どくりつ国家こっか共同きょうどう体たい（ウクライナ語ご СНД ；CIS）の創立そうりつメンバーの一員いちいんとなった。独立どくりつウクライナは旧きゅうウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの中枢ちゅうすう機関きかんであったウクライナ中央ちゅうおう議会ぎかいの正当せいとうな後継こうけい者しゃであることを意識いしきし、国旗こっきや国くに章しょうの「トルィズーブ」（三叉みつまたの鉾ほこ）などは同どう共和きょうわ国こく時代じだいのものが採用さいようされた。この独立どくりつをもって、ウクライナはキエフ・ルーシ崩壊ほうかい以降いこうウクライナ史上しじょう最大さいだいの領土りょうどを手てに入いれた。

2004年ねん、大統領だいとうりょう選挙せんきょの混乱こんらんからオレンジ革命かくめいが起おき、第だい3回かい投票とうひょうで勝利しょうりしたユシチェンコが2005年ねん1月がつ、大統領だいとうりょうに就任しゅうにんした。

2005年ねん3月、ロシア側がわより天然てんねんガスの料金りょうきんを国際こくさい的てきな市場いちば価格かかくに合あわせてそれまでの優遇ゆうぐう価格かかくより倍ばい以上いじょうに引ひき上あげる要求ようきゅうがあり両国りょうこくが対立たいりつ、2006年ねんにかけて欧州おうしゅう各国かっこくを巻まき込こんだ騒動そうどうとなった（ロシア・ウクライナガス紛争ふんそう参照さんしょうのこと）。その後ご、野党やとう勢力せいりょくにより内閣ないかく不信任ふしんにん案あんが可決かけつされる。

2006年ねん 6月22日にち、ウクライナ最高さいこう議会ぎかい選せんにおいてユシチェンコ大統領だいとうりょう派はの与党よとう「われらのウクライナ」が惨敗ざんぱい。これを受うけてティモシェンコ率ひきいる「ティモシェンコ連合れんごう」と「われらのウクライナ」およびウクライナ社会党しゃかいとうの3政党せいとうは議会ぎかい多数たすう派はを組くむ合意ごういが成立せいりつした。しかし、その後ごは人事じんじをめぐり議論ぎろんは紛糾ふんきゅう、3政党せいとう間あいだの亀裂きれつは深ふかまっていた。議会ぎかい選挙せんきょで最大さいだい勢力せいりょくとなった地域ちいき党とうが議場ぎじょうを封鎖ふうさする間あいだに社会党しゃかいとうは連合れんごうを離脱りだつした。地域ちいき党とう、ウクライナ共産党きょうさんとうの支持しじを受うけ、社会党しゃかいとう党首とうしゅモロスが最高さいこう会議かいぎ議長ぎちょうに就任しゅうにんした。その後ご、この3党とうは議会ぎかい多数たすう派はの合意ごうい書しょに調印ちょういんし、大統領だいとうりょうに対たいし、地域ちいき党とう党首とうしゅヤヌコーヴィチの首相しゅしょう指名しめいを提案ていあん。結果けっか、8月がつにヤヌコーヴィチ内ない閣かくが成立せいりつした。しかし、大統領だいとうりょうとの権限けんげん争あらそいで議会ぎかいも分裂ぶんれつし、両派りょうはの妥協だきょうの産物さんぶつとして最高さいこう会議かいぎは解散かいさんし、2007年ねん9月30日にちに臨時りんじ最高さいこう会議かいぎ選挙せんきょが行おこなわれた。12月、ティモシェンコ連合れんごうとわれらのウクライナが連合れんごうする形かたちでティモシェンコ内ない閣かくが発足ほっそくした。

2010年ねん、大統領だいとうりょう選挙せんきょにてヤヌコーヴィチとティモシェンコが激突げきとつ。決選けっせん投票とうひょうの結果けっか、ヤヌコーヴィチが勝利しょうりし、ウクライナは再ふたたび親おや露ろ派はに率ひきいられることとなった。

クリミア・東部とうぶ紛争ふんそう

「クリミア危機きき・ウクライナ東部とうぶ紛争ふんそう」も参照さんしょう

2014年ねんウクライナ騒乱そうらんとロシアによるクリミア自治じち共和きょうわ国こくの併合へいごう

2013年ねん11月にヤヌコーヴィチ政権せいけんが欧州おうしゅう連合れんごうとの政治せいじ・貿易ぼうえき協定きょうていの調印ちょういんを見送みおくったことで、親おや欧米おうべい派はや民族みんぞく主義しゅぎ政党せいとう全ぜんウクライナ連合れんごう「自由じゆう」などの野党やとう勢力せいりょくなどによる反はん政府せいふ運動うんどうが勃発ぼっぱつした。2014年ねん1月がつ後半こうはんより、抗議こうぎ者しゃの中なかに右派うはセクターなどの武力ぶりょく抵抗ていこうを辞じさないとする立場たちばのグループが現あらわれ、これを制圧せいあつしようとする治安ちあん部隊ぶたいとの衝突しょうとつが発生はっせい、双方そうほうに死者ししゃが発生はっせいした。2月22日にちにヤヌコーヴィチ大統領だいとうりょうが行方ゆくえをくらませたことを受うけ、ヴェルホーヴナ・ラーダ（最高さいこう議会ぎかい）にて、親しん露ろ派は政党せいとうの地域ちいき党とうと共産党きょうさんとうを含ふくむ議会ぎかい内ない全ぜん会派かいはがヤヌコーヴィチの大統領だいとうりょう解任かいにん（賛成さんせい328票ひょう中ちゅう地域ちいき党とう36票ひょう、共産党きょうさんとう30票ひょう）^[72]と大統領だいとうりょう選挙せんきょの繰くり上あげ実施じっしを決議けつぎし、オレクサンドル・トゥルチノフ大統領だいとうりょう代行だいこうとアルセニー・ヤツェニュク首相しゅしょうがヴェルホーヴナ・ラーダにおいて承認しょうにんされ、新しん政権せいけんが発足ほっそくした（2014年ねんウクライナ騒乱そうらん）^[73]^[74]。

親しん露ろ派はのヤヌコーヴィッチ政権せいけんが崩壊ほうかいしたことを理由りゆうとし、3月1日にちにロシア上院じょういんがクリミアへの軍事ぐんじ介入かいにゅうを承認しょうにん。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だいとうりょうは、ウクライナの極右きょくう民族みんぞく主義しゅぎ勢力せいりょくからクリミア半島くりみあはんとう内うちのロシア語ご話者わしゃおよびロシア系けい住民じゅうみんを保護ほごするとの名目めいもくで本格ほんかく的てきに軍事ぐんじ介入かいにゅうを開始かいしした。ロシアは当初とうしょ否定ひていしていたが、2月がつ後半こうはんの時点じてんから「現地げんちクリミア住民じゅうみんによる自警じけい団だん」に偽装ぎそうさせたロシア軍ぐん部隊ぶたいをクリミア全土ぜんどに進軍しんぐんさせており、西側にしがわメディアは国くに章しょうをつけていない軍服ぐんぷくを着きてバラクラバで覆面ふくめんした兵士へいしたちを「ロシア軍ぐん部隊ぶたいとみられる謎なぞの武装ぶそう集団しゅうだん」として報道ほうどうしていた（ロシアのクリミア侵攻しんこう）^[75]。このロシアの侵攻しんこうに対たいして、ウクライナ新しん政権せいけんと親おや欧米おうべい派はの住民じゅうみんは侵略しんりゃくであるとして強つよく反発はんぱつした一方いっぽう、クリミア自治じち共和きょうわ国こくおよびセヴァストポリ特別とくべつ市しのロシア系けい住民じゅうみんの中なかにはこれを歓迎かんげいするものも少すくなくなく、ウクライナ国内こくない法ほうを無視むしする形かたちで、クリミア自治じち共和きょうわ国こく最高さいこう会議かいぎ（議会ぎかい）とセヴァストポリ市議会しぎかいは3月がつ11日にちにクリミア独立どくりつ宣言せんげんを採択さいたくし、3月16日にちにウクライナからの独立どくりつとロシアへの編入へんにゅうを問とう住民じゅうみん投票とうひょうをウクライナ国内こくない法ほうに違反いはんする形かたちで実施じっしした。そもそも他た国軍こくぐんが展開てんかいする中なかという状況じょうきょう下かに加くわえ、さまざまな違法いほう行為こうい、投票とうひょう率りつと投票とうひょう結果けっかへの改竄かいざんが指摘してきされるも^[76]^[77]、同どう結果けっかを根拠こんきょに、翌よく17日にちにウクライナからの「クリミア共和きょうわ国こく」の独立どくりつとロシアへの編入へんにゅうを求もとめる決議けつぎを採択さいたくした。ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは同日どうじつ中ちゅうにクリミア共和きょうわ国こくの主権しゅけんを承認しょうにんしたうえで、翌よく18日にち中ちゅうにクリミアのロシアへの編入へんにゅう要請ようせい受諾じゅだくを表明ひょうめいし、クリミアのアクショーノフ首相しゅしょうとともに編入へんにゅうに関かんする国家こっか間あいだ条約じょうやくに署名しょめいした（ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入へんにゅう）。5月12日にちにはドネツィク州しゅう、ルガンスク州しゅうにおいて、同地どうちの独立どくりつを宣言せんげんする勢力せいりょくが現あらわれた。

欧米おうべい諸国しょこくや日本にっぽんはこれらロシアの動うごきが国際こくさい法ほう違反いはんの侵略しんりゃくで、ウクライナからのクリミアの独立どくりつとロシアへの編入へんにゅうは無効むこうであるとして、ロシアへの制裁せいさいを実施じっしした（2014年ねんクリミア危機きき）。

その後ご、2014年ねん3月がつ以降いこう、ウクライナ東部とうぶ・南部なんぶ、特とくにドネツィク州しゅう、ハルキウ州しゅう、ルハーンシク州しゅう、オデッサ州しゅうにおいて、反はん政府せいふ派はと政府せいふ側がわとの間あいだで衝突しょうとつが発生はっせいし、親しん露ろ的てきな分離ぶんり独立どくりつ派はの武装ぶそう勢力せいりょくが州しゅう庁舎ちょうしゃや警察けいさつ機関きかんなどを占領せんりょうした。またその際さい、ギルキンなどロシアの特殊とくしゅ部隊ぶたいの兵へいの参加さんかが複数ふくすう確認かくにんされていることから、これらの衝突しょうとつは一般いっぱんのウクライナ国民こくみんによる自発じはつ的てき反乱はんらんとみなすのは難むずかしく、実際じっさいに2014年ねん4月がつ以降いこう、政府せいふ側がわがこのようなロシアの支援しえんを受うける武装ぶそう勢力せいりょくをテロリストと見みなし、軍事ぐんじ行動こうどうを伴ともなう「反はんテロ作戦さくせん」を開始かいしすることとなった。以降いこう、分離ぶんり武装ぶそう勢力せいりょくもロシアから流入りゅうにゅうしたと見みなされている兵器へいきを用もちいて、政府せいふ側がわ軍用ぐんよう機きを撃墜げきついするなど事実じじつ上じょうの戦争せんそう状態じょうたいが続つづいている。なお、日本にっぽんを含ふくむ^[78]欧米おうべい諸国しょこくおよびウクライナは、衛星えいせい写真しゃしん^[79]や各かく報道ほうどうなどを根拠こんきょに武装ぶそう勢力せいりょくにロシアからの兵へいの投入とうにゅう、戦闘せんとう員いんと兵器へいき等とう武器ぶき供与きょうよの支援しえんがあるとして非難ひなんを続つづけているが、一方いっぽうでロシアは、自じ国民こくみんがあくまで自発じはつ的てきに戦闘せんとうに参加さんかしているだけであり、ロシア軍ぐんの直接ちょくせつ侵攻しんこうは否定ひていし続つづけており、両者りょうしゃ間あいだの意見いけんの対立たいりつが続つづいている。

ポロシェンコ政権せいけん・ミンスク合意ごうい

2014年ねん6月がつに大統領だいとうりょう選挙せんきょによって選えらばれたペトロ・ポロシェンコが大統領だいとうりょうに就任しゅうにん。以降いこうも、引ひき続つづき、東ひがしウクライナでは親おや欧米おうべいの政権せいけん側がわと親おや露ろの分離ぶんり独立どくりつ派は（ノヴォロシア人民じんみん共和きょうわ国こく連邦れんぽう）による戦闘せんとう^[80]（東部とうぶウクライナ紛争ふんそう）が続つづいており、一時いちじ的てきにウクライナ政権せいけん側がわと分離ぶんり独立どくりつ派は、ロシア、ドイツ、フランスによる一時いちじ停戦ていせん案あんが結むすばれるも、すぐに政府せいふ軍ぐんによる反はんテロ作戦さくせんが再開さいかい^[81]され、各地かくちで市街しがい戦せんを含ふくむ戦闘せんとうが行おこなわれ、多数たすうの民間みんかん人じんが犠牲ぎせいとなっている。9月5日にちにはベラルーシのミンスクで、ロシア、ウクライナ、OSCE、分離ぶんり独立どくりつ派はの代表だいひょう者しゃによって、停戦ていせんと政治せいじ解決かいけつを目指めざすミンスク・プロトコルに調印ちょういんされ（ミンスク合意ごうい（英語えいご: Minsk_Protocol））、追おって9月がつ19日にちには治安ちあん面めん解決かいけつの詳細しょうさいを記しるしたミンスク・メモランダムが調印ちょういんされた。以降いこう、欧州おうしゅう安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょく機構きこうのウクライナ特別とくべつ監視かんしミッションが、2014年ねん9月がつのミンスク合意ごういの執行しっこうを監督かんとくすることとなった。2014年ねん10月がつ26日にちのウクライナ最高さいこう議会ぎかい選挙せんきょでは、事実じじつ上じょう、親おや欧米おうべい派はが勝利しょうりしたが^[82]、ミンスク合意ごういのあとも戦闘せんとうは続つづき、結果けっかとして一般いっぱん市民しみんを含ふくむ死者ししゃ数すうが2014年ねん7月がつ17日にちに発生はっせいしたマレーシア航空こうくう17便びん撃墜げきつい事件じけん（クラボボ村むら）なども含ふくめれば5,000人にん以上いじょうに上のぼるなど^[83]、欧州おうしゅうでは旧きゅうユーゴ内戦ないせん以来いらいの死者ししゃ数すうを出だした。

2015年ねん2月がつ11日にち、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツは再ふたたびミンスクでサミットを開催かいさいし、ウクライナ東部とうぶの紛争ふんそう終結しゅうけつに向むけた体制たいせいの枠組わくぐみについて再度さいどの合意ごういが行おこなわれた（ミンスク合意ごうい2（英語えいご: Minsk_II））。

政治せいじ

詳細しょうさいは「ウクライナの政治せいじ」を参照さんしょう

ウクライナの政体せいたいは、司法しほう・立法りっぽう・行政ぎょうせいの三権さんけんが分立ぶんりつする議会ぎかい制せい民主みんしゅ主義しゅぎ（共和きょうわ制せい）であり、大統領だいとうりょう制せいと議院ぎいん内ない閣かく制せいをミックスした半はん大統領だいとうりょう制せいを採用さいようしている。大統領だいとうりょうは、5年ねん任期にんきで国民こくみん投票とうひょうによって選えらばれ、首相しゅしょうや政府せいふの閣僚かくりょうを任命にんめいする権限けんげんを持もつが、それには議会ぎかいの承認しょうにんを得えなければならない。

議会ぎかい

ウクライナの国会こっかいは、最高さいこう議会ぎかいであり、一院制いちいんせいで450議席ぎせき。全ぜん議席ぎせきは全国ぜんこく区くの比例ひれい代表だいひょう制せいによって選出せんしゅつされるが、政党せいとうもしくは選挙せんきょブロックは全ぜん投票とうひょうの3%以上いじょうを獲得かくとくしなければ議席ぎせきを得えることができない。議員ぎいんの任期にんきは5年ねん。議会ぎかいは立法りっぽう、国際こくさい協定きょうていの批准ひじゅん、予算よさんの裁可さいかおよび首相しゅしょうの承認しょうにん・罷免ひめん、閣僚かくりょうの承認しょうにん・罷免ひめんを行おこなう。

2012年ねんの選挙せんきょで議席ぎせきを獲得かくとくした政党せいとうは5党とう。それは、親しん露ろ派はで東部とうぶ・南部なんぶを地盤じばんとする地域ちいき党とうおよび社会しゃかい主義しゅぎ派はのウクライナ共産党きょうさんとう（与党よとう）、ならびに親おや欧米おうべい派はで中部ちゅうぶや西部せいぶを地盤じばんとする全ぜんウクライナ連合れんごう「祖国そこく」、ウダール、さらに、西部せいぶのガリツィア地方ちほうを地盤じばんとする民族みんぞく主義しゅぎ派はの全ぜんウクライナ連合れんごう「自由じゆう」（野党やとう）である^[84]。

2004年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょ

詳細しょうさいは「2004年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょ」を参照さんしょう

2004年ねん、クチマ大統領だいとうりょうの任期にんき満了まんりょうに伴ともない大統領だいとうりょう選挙せんきょが行おこなわれた。

クチマ大統領だいとうりょうの後継こうけいヤヌコーヴィチ首相しゅしょうと、野党やとう指導しどう者しゃ・ユシチェンコ元もと首相しゅしょうの一いち騎き討うちという形かたちになった。10月31日にちの第だい1回かい投票とうひょうではユシチェンコが首位しゅいに立たつが、わずか15万まん票ひょう差さであった。

11月21日にちの決選けっせん投票とうひょうの開票かいひょうの結果けっか、ヤヌコーヴィチの当選とうせんが発表はっぴょうされる。しかし、ユシチェンコ陣営じんえいは11月22日にち夜よる、決選けっせん投票とうひょうにおいて全国ぜんこくで1万まん1,000件けんの不正ふせいが行おこなわれ、第だい一いち回かい投票とうひょうの5倍ばいに膨ふくらんだと、政権せいけん側がわの選挙せんきょ違反いはんを糾弾きゅうだんした。これにより首都しゅとキエフを中心ちゅうしんに、ストライキなどの大だい規模きぼな政治せいじ運動うんどうが起おこった（オレンジ革命かくめい）。

欧米おうべい諸国しょこくの圧力あつりょくもあって再さい選挙せんきょが行おこなわれることとなり、12月26日にちに実施じっしされた再さい決選けっせん投票とうひょうの結果けっか、ユシチェンコが52.12%、ヤヌコーヴィチが44.09%の得票とくひょうとなり、ユシチェンコ元もと首相しゅしょうの当選とうせんが確実かくじつになった。ヤヌコーヴィチ陣営じんえいはユシチェンコ陣営じんえいに不正ふせいがあったとして最高裁さいこうさいに提訴ていそしたが野党やとうによる政府せいふ施設しせつの封鎖ふうさが起おこり、30日にちには提訴ていそが却下きゃっかされた。翌よく2005年ねん 1月がつ23日にちにユシチェンコ元もと首相しゅしょうは正式せいしきに大統領だいとうりょうに就任しゅうにんし、この争あらそいは一応いちおうの決着けっちゃくを見みた。

なお、この選挙せんきょ期間きかん中ちゅう、欧米おうべいのマスメディアはロシア人じんとウクライナ人じんの間あいだで民族みんぞく的てき対立たいりつが激化げきかしてウクライナ国民こくみんに分裂ぶんれつが生しょうじているように報ほうじた。この選挙せんきょではアメリカのウクライナ系けい政治せいじ団体だんたいの資金しきん援助えんじょやオープン・ソサエティ財団ざいだんの公然こうぜんの介入かいにゅうが行おこなわれており、ウクライナ自身じしんの革命かくめいというよりは外国がいこく勢力せいりょくの干渉かんしょうの結果けっかだったという分析ぶんせきもある。一方いっぽう、干渉かんしょうがあったとはいえ、それだけでなし得えたものではなく実際じっさいに国民こくみんの間あいだに従来じゅうらいの政権せいけんに対たいする不満ふまんがあったことは大おおきな要素ようそのひとつであった。また、アメリカが反はんロシア派はを支援しえんした背景はいけいには、ロシア帝国ていこく時代じだいやソ連それん時代じだいにロシア勢力せいりょくから弾圧だんあつを受うけた非常ひじょうに多おおくのウクライナ人じんがアメリカに亡命ぼうめいを余儀よぎなくされたという歴史れきし上じょうの経緯けいいも関係かんけいしているという分析ぶんせきもある。

つまり、アメリカに亡命ぼうめいしたウクライナ人じんの作つくった組織そしきがアメリカ政府せいふや関係かんけい者しゃに働はたらきかけ、反はんロシア的てきな勢力せいりょくを支援しえんさせるということは不自然ふしぜんではないというのである。しかし、このようなロビー活動かつどうが表沙汰おもてざたになることは少すくなく、こうしたもっともらしい分析ぶんせきもこれまでの経緯けいいから類推るいすいした憶測おくそくの域いきを出でない。いずれにせよ「アメリカ側がわの都合つごうだけで革命かくめいが推進すいしんされた」「オレンジ革命かくめいは悪あしき旧きゅう共産きょうさん主義しゅぎ的てきな独裁どくさい体制たいせいからの民主みんしゅ化かを達成たっせいした」というように単純たんじゅん化かできる問題もんだいではない。その後ご、ウクライナではしばしば「革命かくめい」が叫さけばれることが習慣しゅうかん化かしており、2007年ねんにも反はんユシチェンコ派はの議員ぎいんが「革命かくめい」を実行じっこうしている。

2010年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょ

詳細しょうさいは「2010年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょ」を参照さんしょう

大統領だいとうりょう選挙せんきょが2010年ねん1月がつから2月がつにかけて行おこなわれ、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチが大統領だいとうりょうに当選とうせんした。

2014年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょ

詳細しょうさいは「2014年ねんウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょ」を参照さんしょう

大統領だいとうりょう選挙せんきょが2014年ねん5月がつ25日にちに行おこなわれ、ペトロ・ポロシェンコが大統領だいとうりょうに当選とうせんした。

ポロシェンコ-ヤツェニュク政権せいけんは総そう選挙せんきょ後ごの内閣ないかく組閣そかくにおいて、財務ざいむ相しょうに在ざいウクライナ米国べいこく大使館たいしかんでの勤務きんむ経験けいけんがあり、未み公開こうかい株かぶ投資とうしファンドの代表だいひょうを務つとめるアメリカ人じんのナタリヤ・ヤレスコ、経済けいざい発展はってん・貿易ぼうえき相しょうに投資とうし銀行ぎんこうに勤務きんむするリトアニア人じんのアイバラス・アブロマビチュス、保健ほけん相しょうにグルジア人じんのサーカシビリ政権せいけんの元もと閣僚かくりょうで米こめニューヨークを拠点きょてんとしているアレクサンダー・クヴィタシュヴィリの3人にんの外国がいこく人じんも入閣にゅうかくした^[85]。いずれも、任命にんめいの数日すうじつ前まえにウクライナ国籍こくせきを取得しゅとくしている。顧問こもんにはジョージアの前ぜん大統領だいとうりょうで強権きょうけん的てきな独裁どくさい者しゃとしての振ふる舞まいからグルジアでの地位ちいを失うしなったミハエル・サーカシビリが就任しゅうにんした^[86]。その他た、エカ・ズグラゼやアデイシヴィリなど、サーカシビリの盟友めいゆうが多おおく要職ようしょくについていた。しかし、その後ごポロシェンコ大統領だいとうりょうとの確執かくしつから相次あいついで辞任じにんし、サーカシビリ自身じしんもウクライナ国籍こくせきを剥奪はくだつされて国外こくがい追放ついほうされた。

軍事ぐんじ・安全あんぜん保障ほしょう

軍事ぐんじ

ウクライナ軍ぐんは、陸軍りくぐん、海軍かいぐん、空軍くうぐんの3軍ぐん種しゅからなる。2005年ねん末すえの時点じてんで、総員そういん24万まん5,000人にん（うち、軍人ぐんじん18万まん人にん）。

ウクライナ軍ぐん
- ウクライナ陸軍りくぐん
  - ウクライナ陸軍りくぐん航空こうくう隊たい
- ウクライナ海軍かいぐん
  - ウクライナ海軍かいぐん航空こうくう隊たい
- ウクライナ空軍くうぐん（ウクライナ語ご:Повітряні Сили України）
  - 2004年ねんにウクライナ防空ぼうくう軍ぐんと従来じゅうらいのウクライナ空軍くうぐん（Військово-Повітряні Сили України）が合併がっぺいして誕生たんじょうした。

準じゅん軍事ぐんじ組織そしき

ウクライナには、ウクライナ軍ぐん以外いがいに、以下いかの準じゅん軍事ぐんじ組織そしきが存在そんざいする。

ウクライナ内務省ないむしょう
- ウクライナ国家こっか親衛隊しんえいたい（旧きゅうウクライナ国内こくない軍ぐん＋ユーロマイダンの活動かつどう家かからなる部隊ぶたい）
ウクライナ国家こっか国境こっきょう庁ちょう
- ウクライナ国家こっか国境こっきょう庁ちょう海上かいじょう警備けいび隊たい
ほかに野党やとう臨時りんじ政府せいふ（臨時りんじ革命かくめい政府せいふ・救国きゅうこく委員いいん会かい）という組織そしきが創設そうせつした「人民じんみん自衛隊じえいたい」という準じゅん軍事ぐんじ組織そしきがある。

情報じょうほう・治安ちあん機関きかん

ウクライナ国家こっか保安庁ほあんちょうが、サイバー攻撃こうげきへの防衛ぼうえいなど防諜ぼうちょう・情報じょうほう機関きかんや治安ちあん組織そしきとしての活動かつどうを行おこなっている^[87]。

軍ぐんの軍旗ぐんき
陸軍りくぐんの軍旗ぐんき
海軍かいぐんの軍艦ぐんかん旗はた
空軍くうぐんの軍旗ぐんき
海上かいじょう警備けいび隊たいの軍艦ぐんかん旗はた

経済けいざい

詳細しょうさいは「ウクライナの経済けいざい（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

IMFの統計とうけいによると、2013年ねんのウクライナのGDPは1,783億おくドルである^[2]。1人ひとりあたりGDP（為替かわせレート）は3,930ドルであり^[2]、西にし隣となりにあるポーランド（1万まん3,393ドル）の約やく30%、北きた隣となりにあるベラルーシ（7,577ドル）の約やく半分はんぶん、世界せかい平均へいきんの約やく40%程度ていどの水準すいじゅんしかなく、グルジア（3,604ドル）、アルメニア（3,208ドル）、モルドバ（2,229ドル）と並ならぶ欧州おうしゅう最貧さいひん国こくのひとつである。最新さいしんの2015年ねんの推計すいけいによると、1人ひとりあたりGDP（為替かわせレート）は2,001ドルまでに低下ていかし^[88]、旧きゅうソ連それんの最貧さいひん国こくレベルとなっている。タタール人じんのリナト・アフメトフ、イスラエル国籍こくせきも持もつユダヤ人じんのイホル・コロモイスキーなどの一部いちぶのオリガルヒによる寡頭制せい資本しほん主義しゅぎ体制たいせいが続つづいている。

ソ連それん時代じだいは、連邦れんぽう内ないの重要じゅうような農業のうぎょうおよび産業さんぎょう地帯ちたいであったが、現在げんざいは天然てんねんガスを中心ちゅうしんとするエネルギー供給きょうきゅうのほとんどをロシアに依存いぞんしており、経済けいざいの構造こうぞう改革かいかくの遅おくれと相あいまって、他国たこくの影響えいきょうを受うけやすいものになっている。しかしその一方いっぽうで国家こっか腐敗ふはいが進行しんこうしている為ため、事態じたいは深刻しんこくさを極きわめるものとなっている^[89]。

1991年ねん、政府せいふはほとんどの物資ぶっしの価格かかくを自由じゆう化かし、国有こくゆう企業きぎょうを民営みんえい化かするための法ほう制度せいどを整備せいびした。しかし、政府せいふや議会ぎかい内ないの強つよい抵抗ていこうにより改革かいかくは停止ていしされ、多おおくの国有こくゆう企業きぎょうが民営みんえい化かプロセスから除外じょがいされた。1993年ねんの末すえごろには、通貨つうか政策せいさくの失敗しっぱいによりハイパーインフレーションにまで至いたった。

1994年ねんに大統領だいとうりょうに就任しゅうにんしたレオニード・クチマは、IMFの支援しえんを受うけながら経済けいざい改革かいかくを推進すいしんし、1996年ねん8月がつには10万まん分ぶんの1のデノミを実施じっしし、新しん通貨つうかフリヴニャを導入どうにゅうした^[90]。現在げんざいの政府せいふは、経済けいざいへの介入かいにゅうを極力きょくりょく減へらし、調整ちょうせい方法ほうほうを合理ごうり化かすることに努つとめるとともに、企業きぎょう家かを支援しえんする法ほう環境かんきょうを整備せいびし、包括ほうかつ的てきな税制ぜいせいの改革かいかくを行おこなった。ただし構造こうぞう改革かいかくの政治せいじ的てきな問題もんだいに関かかわる分野ぶんやや農地のうちの民営みんえい化かに関かんする改革かいかくは遅おくれている。

1999年ねんの生産せいさん高だかは、1991年ねんの40%にまで落おち込こんだ^[91]。しかし、同年どうねんには貿易ぼうえき収支しゅうしが初はじめて黒字くろじを記録きろく^[92]。その後ごもフリヴニャ安やすや鉄鋼てっこう業ぎょうを中心ちゅうしんとした重工業じゅうこうぎょうにより、2000年ねんの国内こくない総そう生産せいさんは、輸出ゆしゅつの伸のびに支ささえられて6%という成長せいちょうをみせ、工業こうぎょう生産せいさん高だかの成長せいちょうも12.9%だった。これは独立どくりつ以来いらい初はじめての上方かみがた成長せいちょうであった。2001年ねんから2004年ねんまでの間あいだも、中国ちゅうごくへの鉄鋼てっこう輸出ゆしゅつの急増きゅうぞうなどに起因きいんして高度こうど成長せいちょうが続つづいた。

ところが2005年ねん、ユシチェンコ政権せいけんの成立せいりつ後ご暗転あんてんし始はじめる。それまでの好調こうちょうなウクライナ経済けいざいは、ロシアからの安価あんかなエネルギー資源しげんおよび原料げんりょうの供給きょうきゅう、経済けいざい発展はってんを続つづけるロシアや中国ちゅうごくへの輸出ゆしゅつなどによって支ささえられていた。しかしユシチェンコ大統領だいとうりょうは就任しゅうにん直後ちょくご、ロシアとは距離きょりを置おき、EUやアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどとの関係かんけいを強化きょうかする姿勢しせいを示しめした。大統領だいとうりょうはアメリカなど西欧せいおう諸国しょこくからの投資とうし拡大かくだいを見込みこんでいたが、実際じっさいにはそれほど投資とうしは増ふえず、逆ぎゃくにロシアからの安価あんかなエネルギー資源しげん供給きょうきゅうが受うけられなくなった（ロシア・ウクライナガス紛争ふんそうを参照さんしょう）。またロシアに並ならぶ輸出ゆしゅつ相手あいて国こくであった中国ちゅうごくの需要じゅようが減少げんしょうするなど経済けいざい環境かんきょうが悪化あっか。

2008年ねん以降いこうは世界せかい金融きんゆう危機ききの影響えいきょうを受うけてウクライナ経済けいざいは再ふたたび落おち込こみ、債務さいむ不履行ふりこうの瀬戸際せとぎわまで追おい込こまれた。経済けいざい安定あんてい化かのため2008年ねん10月がつにはIMFより総額そうがく165億おくドルに及およぶ緊急きんきゅう融資ゆうしを受うけた^[93]。2010年ねん7月がつにはIMFより新あらたに152億おくドルの融資ゆうしを受うけることで合意ごういした^[94]。

2014年ねんクリミア危機ききとその後ご現在げんざいまで継続けいぞくしているウクライナ東部とうぶでの戦闘せんとうにより、ロシアとの関係かんけいが極度きょくどに悪化あっかした。それにより深刻しんこくな経済けいざい危機ききに陥おちいり、2015年ねんの経済けいざい成長せいちょう率りつは-11.6% となっている。1人ひとりあたりGDPも2,109ドルにまで落おち込こむなど欧州おうしゅう最貧さいひん国こくとなっている。

2015年ねん12月31日にち、ロシアに対たいする30億おくドルの債務さいむを返済へんさいしなかったことを根拠こんきょに、ロシア財務省ざいむしょうはウクライナはデフォルト状態じょうたいであると指摘してきした^[95]。

2016年ねん5月がつ時点じてんのIMFの統計とうけいによると1人ひとりあたりのGDPはさらに低下ていかし^[96]、1,854ドルと現在げんざい欧州おうしゅう最貧さいひん国こくのモルドバ（1,712ドル）とほとんど変かわらず、現在げんざいの経済けいざい成長せいちょう率りつを反映はんえいすると来年らいねんにはモルドバに抜ぬかされ、名目めいもくGDPも欧州おうしゅう最貧さいひん国こくになるのは確実かくじつと思おもわれる。

外交がいこう

詳細しょうさいは「ウクライナの国際こくさい関係かんけい（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

ロシアとの関係かんけい

詳細しょうさいは「宇露関係かんけい」を参照さんしょう

ウクライナとロシアは歴史れきし上じょう複雑ふくざつな関係かんけいを持もつが、ソ連それん崩壊ほうかい後ご現在げんざいに至いたるまで緊張きんちょうが続つづいている。

ユシチェンコ大統領だいとうりょうの就任しゅうにん当初とうしょは、ロシアよりもEU（欧州おうしゅう連合れんごう）諸国しょこくとの関係かんけいを強化きょうかすることを目指めざしていた。同様どうようの立場たちばを取とるグルジア、アゼルバイジャン、モルドバとともにGUAM（4か国こくの頭文字かしらもじ）と呼よばれる連合れんごうを結成けっせい。同国どうこく自身じしんが将来しょうらいのEU加盟かめいを希望きぼうし、2017年ねん時点じてんでもそのための外交がいこう努力どりょくを続つづけている（後述こうじゅつの「欧米おうべいとの関係かんけい」を参照さんしょう）。

一方いっぽうで、ウクライナ経済けいざいはロシアとの関係かんけいを悪化あっかさせたことなどを理由りゆうに急速きゅうそくに悪化あっかした。大統領だいとうりょうはロシアとの関係かんけいに対たいする見解けんかいの相違そういなどからティモシェンコ首相しゅしょうを解任かいにん。その後ごは頻繁ひんぱんにロシアを訪問ほうもんし、ロシアとの政治せいじ的てき・経済けいざい的てき関係かんけいを強化きょうかさせようとするなど、ロシアとの関係かんけい修復しゅうふくも模索もさくしてきた。2010年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょで当選とうせんしたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領だいとうりょうの誕生たんじょうにより、ロシアとの関係かんけい改善かいぜんがより一層いっそう進すすむものと見みられていた。

ヤヌコーヴィチ政権せいけん時じ、ウクライナは北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう（NATO）やロシア主導しゅどうのCSTOのような軍事ぐんじ同盟どうめい加盟かめいを目指めざさない中立ちゅうりつ主義しゅぎを法律ほうりつで定さだめた。

しかし、2013年ねん末まつから生しょうじたウクライナ騒乱そうらんに続つづき、ロシアによるクリミア併合へいごう・東部とうぶ不安定ふあんてい化か以降いこう、ロシアとの関係かんけいは再ふたたび悪化あっかした。新しん政権せいけんは、一方いっぽうでアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくやEUを中心ちゅうしんとした欧米おうべい諸国しょこくとの関係かんけいを重視じゅうししている。ポロシェンコ-ヤツェニュク政権せいけんは、在ざいウクライナ米国べいこく大使館たいしかん勤務きんむ経験けいけんのあるアメリカ人じんやグルジアのサーカシビリ政権せいけんの側近そっきんらを要職ようしょくに就つかせるなど、親おや欧米おうべい・反はん露ろ路線ろせんを鮮明せんめいにしている。

なお、2016年ねん時点じてんでウクライナはロシアに対たいし30億おくドルの負債ふさいを負おっており^[97]、今後こんご国際こくさい裁判所さいばんしょで争あらそわれることとなっている。

また、司法しほう分野ぶんやにおいては、ロシアに対たいし、2014年ねん6月がつごろルハーンシク州しゅう内ないの戦闘せんとう中ちゅうに拘束こうそくされ、ロシアに連つれ出だされ勾留こうりゅうされたウクライナ人じん女性じょせいのナジーヤ・サウチェンコ（英語えいご版ばん）の即時そくじ釈放しゃくほうを訴うったえている。ロシア当局とうきょくは、同どう女性じょせいがウクライナ西部せいぶにおいてロシア人じんジャーナリスト2名めいを殺害さつがいした嫌疑けんぎがあると主張しゅちょうしていたが、ウクライナをはじめアメリカ、ドイツ、フランスなどの各国かっこく政府せいふ、欧州おうしゅう議会ぎかいなどがロシアによるサウチェンコの拘束こうそくには根拠こんきょがないとして、ミンスク合意ごういに従したがってロシアはサウチェンコを解放かいほうすべきとした^[98]。

ウクライナとロシアの旅客りょかく流動りゅうどうは最大さいだいであったが、2015年ねん10月がつ以降いこう、ウクライナとロシアを結むすぶ航空こうくう旅客りょかく便びんは全便ぜんびんの運行うんこうが停止ていししている^[99]。

また、2017年ねんにはポロシェンコ大統領だいとうりょうの大統領だいとうりょう令れいを通つうじて、対たい露ろ制裁せいさいの一環いっかんで、VKontakte、Odnoklassnikiなどのロシア系けいSMSサービス、Yandex、Mail.ruなどのロシア系けいのウェブサイトへのアクセスを禁止きんしした^[100]。

ウクライナ政府せいふはロシアからの天然てんねんガス輸入ゆにゅうを2016年ねんは打うち切きり、2017年ねんも再開さいかいしない見通みとおしであると表明ひょうめいしている^[101]。

さらに2018年ねん9月がつ、1997年ねんにロシアと締結ていけつした友好ゆうこう協力きょうりょく条約じょうやくを延長えんちょうしないとロシア政府せいふに通告つうこくした^[102]。

欧米おうべいとの関係かんけい

ポロシェンコ政権せいけんはEU加盟かめいを希望きぼうしている。具体ぐたい的てきな加盟かめい交渉こうしょうに至いたってはいないが、東欧とうおう諸国しょこくを対象たいしょうとするEU安定あんてい化か・連合れんごうプロセスの要ようとなる連合れんごう協定きょうていについて、EU加盟かめい国こくで唯ただ一未かずみ批准ひじゅんだったオランダの上院じょういんが2017年ねん5月がつに批准ひじゅんを承認しょうにんした。同年どうねん6月がつ11日にちからは、イギリスとアイルランドを除のぞくEU加盟かめい国こくへウクライナ国民こくみんが90日にちの査証さしょう（ビザ）なし渡航とこうが可能かのうになった。

ロシアによるクリミア編入へんにゅう宣言せんげんや東部とうぶウクライナ紛争ふんそうへの関与かんよ疑惑ぎわくに対たいして、欧米おうべい諸国しょこくは対たい露ろ制裁せいさいでウクライナを支援しえんしている。米べい軍ぐんはウクライナ軍ぐんへ兵器へいき供給きょうきゅうと訓練くんれんを実施じっししている^[101]。

日本にっぽんとの関係かんけい

詳細しょうさいは「日宇ひう関係かんけい」を参照さんしょう

日本にっぽんはユシチェンコ大統領だいとうりょう期きの2005年ねん3月がつに同国どうこくとのODA円えん借款しゃっかん契約けいやくを初はじめて締結ていけつしているが（190億おく9,200万まん円えん、償還しょうかん期間きかん30年ねん）、ヤヌコーヴィチ大統領だいとうりょうおよびティモシェンコ首相しゅしょうの時期じきは契約けいやくを行おこなっておらず、2014年ねん6月がつ7日にちにポロシェンコが大統領だいとうりょうとなり9年ねんぶりに契約けいやくの締結ていけつを再開さいかいした。2014年ねん7月がつには100億おく円えん（償還しょうかん期間きかん20年間ねんかん）、2015年ねん6月がつに1,081億おく9,300万まん円えん（同どう40年間ねんかん）、12月に369億おく6,900万まん円えん（同どう20年間ねんかん）と、巨額きょがくの資金しきん貸付かしつけが行おこなわれた^[103]。

2005年ねん8月がつ1日にちより日本にっぽん国民こくみんがウクライナに入国にゅうこくする際さいのビザ（査証さしょう）を短期たんき90日にちまでの滞在たいざい（ただし、就労しゅうろうを伴ともなわない活動かつどうに限かぎる）に限かぎって、その取得しゅとくを必要ひつようとしない制度せいどが開始かいしされた。しかしながら、2014年ねん7月がつ時点じてん、ウクライナ国民こくみんの日本にっぽんへの入国にゅうこくには依然いぜんとしてビザが必要ひつようである。

教育きょういく・科学かがく

詳細しょうさいは「ウクライナの教育きょういく（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

1995年ねんから6歳さいから17歳さいまでの11年間ねんかんが義務ぎむ教育きょういくである。小学校しょうがっこう・中学校ちゅうがっこうに相当そうとうする9年間ねんかんは同おなじ学校がっこうに通かよい、10年ねん目め以降いこうは普通ふつう学校がっこうと専門せんもん学校がっこうのいずれかを選択せんたくすることになる。このため11年間ねんかん同おなじ学校がっこうに通かよう生徒せいとも存在そんざいする。

必須ひっす科目かもくはウクライナ語ごのほか、情報じょうほう学がく、経済けいざい学がくなどで、英語えいごは1年生ねんせいからの必須ひっす科目かもくである。2000年ねんから2001年ねんの調査ちょうさによると全体ぜんたいの7割わりがウクライナ語ごで教育きょういくを受うけ、残のこりの3割わり弱じゃくがロシア語ごとなっている。そのほか、クリミア・タタール語ご、ハンガリー語ご、ルーマニア語ごでも教育きょういくが行おこなわれている。

ウクライナの学校がっこうは、3月がつ末まつに1週間しゅうかんの春休はるやすみ、6 - 8月がつに3か月げつ間あいだの夏休なつやすみ、12月末まつ - 1月がつに約やく2週間しゅうかんの冬休ふゆやすみがある。

高等こうとう教育きょういく機関きかん

研究所けんきゅうじょ

ウクライナ国立こくりつ学士がくし院いん

マスコミ

ウクライナ国営こくえい通信つうしん社しゃウクルインフォルム：ウクライナの国営こくえい通信つうしん社しゃ。
ウクライナ独立どくりつ通信つうしん社しゃ：ウクライナ最大さいだいの民営みんえい通信つうしん社しゃ。
ウクラインシカ・プラウダ通信つうしん
デーニ通信つうしん
オストロフ通信つうしん：ドンバス地域ちいき発はつのロシア語ごニュースを発信はっしんする民営みんえい通信つうしん社しゃ。
UNN通信つうしん
ゼールカロ・ティージニャ（週しゅうの鏡かがみ）
グラフコム通信つうしん
キーウ・ポスト：英字えいじニュースを発信はっしんする通信つうしん社しゃ。

文化ぶんか

詳細しょうさいは「ウクライナの文化ぶんか（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

料理りょうり

詳細しょうさいは「ウクライナ料理りょうり」を参照さんしょう

ウクライナ料理りょうりは、東欧とうおうを代表だいひょうするウクライナ人じんの伝統でんとう的てきな食しょく文化ぶんかである。その歴史れきしはキエフ大公たいこう国こく時代じだいにさかのぼる。ウクライナ料理りょうりは、ポーランド・リトアニア・ルーマニア・ロシア・ユダヤなどの食しょく文化ぶんかにも大おおきな影響えいきょうを与あたえた。一方いっぽう、他国たこくの料理りょうりの影響えいきょうが見みられる^[104]。

主食しゅしょくはパンであり、パンに類るいする食品しょくひんも多おおい。その中なかで、ヴァレーヌィク（ウクライナ風ふう餃子ぎょうざ）、ハムーシュカ、フレチャーヌィク（団子だんご）、コールジュ、コロヴァーイ（ケーキの一種いっしゅ）、パスカ（復活ふっかつ祭さいのパン）、クチャー（小麦こむぎか米べいの甘あまいお粥かゆ）などがある。魚さかな・肉にくの料理りょうりが比較的ひかくてき少すくなく、スープや野菜やさいの煮物にものなどの料理りょうりが圧倒的あっとうてきに多おおい。世界せかい的てきにも有名ゆうめいなウクライナ料理りょうりボルシチは、大おおまかに50種類しゅるい以上いじょうのレシピがある。肉にく料理りょうりは豚ぶた肉にく料理りょうり、魚さかな料理りょうりは鯉こい類るい料理りょうりが一般いっぱん的てきである。さらに、肉にく料理りょうりとしてサーロ（豚ぶたの脂身あぶらみの塩漬しおづけ）が頻繁ひんぱんに利用りようされる。飲のみ物ものは甘あまい、もしくは甘辛あまからいものが多おおい。メドウーハ（蜂蜜はちみつ酒しゅ）、ホリールカ（唐辛子とうがらし入いりのお酒さけ）、ナスチーイカ（果実かじつ酒しゅ）、クヴァース（液体えきたいのパン）などがある^[104]。

おもな調理ちょうり法ほうは軽かるく炒いためて茹ゆでること、また軽かるく炒いためて煮にることである。揚あげ物ものなどは少すくない。調味ちょうみ料りょうとしては、サーロ、向日葵ひまわり油ゆ、スメターナ、酢す、塩しお、蜂蜜はちみつなどが用もちいられる^[104]。

ウクライナでは、ウクライナ料理りょうりのほかに、クリミア・タタール料理りょうりが存在そんざいする。

ヴァレーヌィク
ソリャンカ
サーロの巻まき寿司ずし
コサック風ふうシチュー

スポーツ

詳細しょうさいは「ウクライナのスポーツ（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

ほかのヨーロッパ諸国しょこく同様どうよう、サッカー、テニス、バスケットボール、バレーボールなどの球技きゅうぎに人気にんきがある。2012年ねんにはポーランドと共催きょうさいでサッカー欧州おうしゅう選手権せんしゅけん2012が開催かいさいされた。

文学ぶんがく

「ウクライナの文学ぶんがく」を参照さんしょう

美術びじゅつ

詳細しょうさいは「ウクライナの美術びじゅつ」を参照さんしょう

建築けんちく

世界せかい遺産いさん

ウクライナ国内こくないには、ユネスコの世界せかい遺産いさんリストに登録とうろくされた文化ぶんか遺産いさんが6件けん、自然しぜん遺産いさんが1件けん存在そんざいする。詳細しょうさいは、ウクライナの世界せかい遺産いさんを参照さんしょう。

キエフの聖せいソフィア大だい聖堂せいどうと関連かんれんする修道院しゅうどういん群ぐん及およびキエフ・ペチェールシク大だい修道院しゅうどういん（1990年ねん、文化ぶんか遺産いさん）
リヴィウ歴史れきし地区ちく（1998年ねん、文化ぶんか遺産いさん）
シュトルーヴェの測地そくち弧こ（2005年ねん、文化ぶんか遺産いさん）
ブコビナ・ダルマチア府ふ主教しゅきょうの邸宅ていたく2011年ねん、文化ぶんか遺産いさん）
カルパティア山脈さんみゃくのブナ原生げんせい林りんとドイツのブナ古林ふるばやし群ぐん（2007年ねん、自然しぜん遺産いさん）

音楽おんがく・舞踊ぶよう

詳細しょうさいは「ウクライナの音楽おんがく（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

ホパーク（コサック・ダンス）
バンドゥーラ（弦楽器げんがっき）

神話しんわ・昔話むかしばなし

コティホローシュコ

祝祭日しゅくさいじつ

詳細しょうさいは「ウクライナの祝祭日しゅくさいじつ（英語えいご版ばん）」を参照さんしょう

祝祭日しゅくさいじつ
日付ひづけ	日本語にほんご表記ひょうき	ウクライナ語ご表記ひょうき	備考びこう
1月がつ1日にち	元日がんじつ	Новий рік
1月がつ7日にち	クリスマス	Різдво
3月8日にち	国際こくさい女性じょせいデー	Міжнародний жіночий День
5月1日にち	労働ろうどうの日ひ	День міжнародної солідарності трудящих
移動いどう祝日しゅくじつ	復活ふっかつ祭さい	Великдень
5月9日にち	勝利しょうり記念きねん日び	День Перемоги
復活ふっかつ祭さいの第だい8日曜日にちようび	三位一体さんみいったいの日ひ	Трійця
6月28日にち	憲法記念日けんぽうきねんび	День Конституції
8月がつ24日にち	独立記念日どくりつきねんび	День Незалежності