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総務(そうむ)とは組織全体に関する事務を扱う業務、あるいは、職務のこと。
企業の総務部門では、およそ以下のようなことを行うとされる。
企業の総務部門は、「総務部」を始め、企業ごとに様々な名称で呼ばれる。中小企業では、総務部において法務、人事、労務を兼ねる場合も多い。総務と人事労務は混同される事もあるが、狭義の総務には人事労務は含まず、人事労務は総務部の下の課(人事労務課)に配置される事もある。日本企業の特徴の一つとして、「総務」部門が発達している事が指摘される。
企業において一般事務に関する事務を担当する人の職種も、一般に「総務」と呼ばれる。企業内における総務担当者の養成状況としては、約半数が法務専門職でないジェネラリストとして要請され総務部に配属される、残りの半分弱が法務のスペシャリストとして法務部などに配置される。
ジェネラル・スタッフ、ファシリティマネージャー、バックオフィスなどとも呼ばれる。
総務は、日本企業では一般職である扱いをされる事も多いが、グローバル企業では総務は「専門職」と認識される。総務を専門職とみなすように変化したのは、世界企業の30年前の流れによる。ファシリティマネジャーや総務の扱う予算は大きく、総務は役員室で発言できる人材、つまり、経営会議で利益やバランスシートについての知識が要求され得る、経営会議の議論に参加できる経営人材としての「専門職」になっていく必要がある、という風潮が生まれた。そうした流れから、昨今の、グローバル企業で総務は専門職であり、コア業務として認識される[1]。
定款、株主総会、取締役会、経営会議等、組織全体に関わる事務であれば「総務」(「総務部」)の仕事に分類される。定款案や株主総会議案の起案、想定問答集作成等の事務局業務は、用字・用語やい回しや体裁についての細かい決まりごとに注意を払う必要があり法制執務に類似した作業が伴う為、総務という専門部署が必要とされる。また、経営者や、大株主、少数株主、従業員(社員)等のステークホルダーの意見を反映させる必要性から経営参謀たる総務が適任とされる。また株主総会の決議は法律が争点にならず、株主の多数決、即ち株主の政治経営判断が争点になるからとも説明されている。株主総会などの組織(部分社会)の判断は、基本的に法律に優先する。日本国内の裁判・判例でも、団体内部の規律問題については司法審査が及ばない、とする法理「部分社会論(部分社会の法理)」等の理論が存在する。
総務の株主総会での一般的な役割とは、総会をつつがなく執り行い、総会での議案を粛々と成立させ、総会を成功に導くことである。
従業員参加型経営と総務
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昨今、従業員参加型の経営手法が注目されているが、総務の役割として、社内従業員の意見をアンケート等の手法で集めるボトムアップ手法や、従業員の士気向上を図る等、従来からその役割がある事が指摘される。人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない知的資産を経営上の財産と考える「知的資産経営」などもその手法の一つであり、総務には企業組織に影響を与え、従業員の「士気(モチベーション)」や「組織力」や「ブランド力」などを高める役割も在ると考えられている[2]。
不動産管理(ファシリティマネジメント)、備品管理、車両管理と総務
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総務の伝統的な業務には、不動産(賃貸・所有)の管理、什器備品等の管理、車両(リース・所有)の管理などもある。特に昨今注目されているのは、ファシリティマネジメントである。
業法、行政法規のコンプライアンス業務
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各業界を取り締まっている業法や行政法規の法令遵守(企業コンプライアンス)の推進の為の業務は総務の業務の中で大きな範囲を占める。業界の監督を行っている監督官庁(官公署)への許認可申請等の行政手続き、渉外は総務の仕事とする企業が多い。
例としては、
総務は、企業のPR活動(パブリック・リレーションズ活動)を仕事にしている事が多い。
松岡紀雄(元神奈川大学名誉教授)は対米PR論の講義で、日本社会とアメリカ社会の違い、そして、企業の広報(パブリック・リレーションズ)活動について論じている。
最高知識責任者 (chief knowledge officer) 等の役職を設ける企業もある。
最高知識責任者《Chief Knowledge Officer》CKO. は知識の保存によって企業価値が最大限になるよう保障する責任がある役員。 ナレッジ・マネジメントを実施する組織において、全社的なナレッジ管理に責任を持つ役職。
米国の法人や英連邦諸国や香港の会社には、日本で一般に法人の総務部が管掌するとされる、法人の登記に関する事務、法人の社員名簿又は株主名簿の管理、法人の社員総会又は株主総会並びに理事会又は取締役会の手続きの議事録への記録および保管、招集に関する事務、議案や資料の交付等の事務、法人の公式文書の保管および管理、法人印(シール)の保管などについて責任を負う、法人の書記役 (secretary) や最高総務責任者 (chief administrative officer) 等の役員および役員を補佐する部署が設置されるので、この部署が総務部にあたる職務を行う。
総務に必要とされるスキルは様々ある。概ね、事務処理能力、財務諸表を理解する簿記会計の知識、情報通信の知識、役所(行政)の手続き(許認可申請等)の知識・経験、会社法の知識、株主総会の事務の知識、各部署との調整能力、コミュニケーション能力などと言われている。
日本国内の資格制度では、総務省所管の資格として行政書士(総務省自治行政局所管)がある。行政書士の試験には、政治、経済、社会、情報通信、会社法、行政法、個人情報保護法等の総務に必要な分野からの出題があることから、総務に適した資格と言われている。行政書士の業務範囲は総務の業務範囲と重複する部分が多く、例えば行政手続(許認可申請等)、定款、株主総会議事録等の書類の作成は行政書士の独占業務である(行政書士法第1条の2)。従って行政書士の業務は企業の総務部門からの外部委託(アウトソーシング)である事が多い。また、数年前から行政書士業界では中小企業等を対象に組織力や士気など目に見えない企業特有の知的資産を評価する知的資産経営を普及させる為のシンポジウム、相談会などを開催している[3]。
その他総務省所管の資格としては、無線従事者、総合無線通信士、陸上無線技術士、陸上特殊無線技士、アマチュア無線技士
電気通信主任技術者、工事担任者、危険物取扱者、消防設備士、消防設備点検資格者、防火管理者、防火対象物点検資格者、防災管理者、 防災管理点検資格者なども総務に望ましい資格になる。
情報通信関連の資格としては、基本情報技術者等、簿記会計の資格としては簿記検定等がある。その他、登記に専門特化した資格である司法書士(法務省所管)、人事労務の専門としての社会保険労務士(厚生労働省所管)、特許の専門として弁理士(特許庁所管)が存在する。
- ^ 経営戦略×総務」(2016年9月10日クレイグ・カックス氏-日本企業の経営者は「総務のプロ」を育てよ―総務のプロが語るグローバル基準の総務の姿/ダイヤモンド・オンライン編集部)より
- ^ 月刊総務」編集長メッセージ「総務が変われば会社が変わります。なぜなら、総務の仕事は全社に影響を与えるからです。」「組織は“人”。組織の最小単位である人が輝かなければ、組織、企業は輝きません。人が輝くには、組織内のコミュニケーションが活発にされることが大切。」より
- ^ 東京都行政書士会・知的資産経営WEEK2015シンポジウムIN東京
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