この項目 こうもく では、天体 てんたい について説明 せつめい しています。
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月 つき (つき、独 どく : Mond 、仏 ふつ : Lune 、英 えい : Moon 、羅 ら : Luna ルーナ)は、地球 ちきゅう で唯一 ゆいいつ の安定 あんてい 的 てき に存在 そんざい する天然 てんねん の衛星 えいせい である(地球 ちきゅう のその他 た の衛星 えいせい については、「月 つき 以外 いがい の地球 ちきゅう の衛星 えいせい 」を参照 さんしょう )。
太陽系 たいようけい 惑星 わくせい の恒久 こうきゅう 的 てき に存在 そんざい する衛星 えいせい の中 なか で、最 もっと も内側 うちがわ に位置 いち する衛星 えいせい であり、太陽系 たいようけい で5番目 ばんめ に大 おお きい衛星 えいせい でもある。地球 ちきゅう から見 み て太陽 たいよう に次 つ いで明 あか るい[5] 。
古 ふる くは太陽 たいよう に対 たい して太陰 たいいん とも、また日輪 にちりん ( = 太陽 たいよう )に対 たい して月輪 げつりん (げつりん)とも言 い った。
概要 がいよう
太陽系 たいようけい の中 なか で地球 ちきゅう に最 もっと も近 ちか い自然 しぜん の天体 てんたい であり、人類 じんるい が到達 とうたつ したことのある唯一 ゆいいつ の地球 ちきゅう 外 がい 天体 てんたい でもある。
地球 ちきゅう から見 み える天体 てんたい の中 なか では太陽 たいよう の次 つぎ に明 あか るく、白色 はくしょく に光 ひか って見 み えるが、これは自 みずか ら発光 はっこう しているのではなく、太陽光 たいようあきら を反射 はんしゃ したものである。
名称 めいしょう
ドイツ語 ご では Mond (モーント)、フランス語 ふらんすご では Lune (リュヌ)、英語 えいご では Moon (ムーン)、ラテン語 らてんご では Luna (ルーナ)、サンスクリット語 ご では चंद्र (チャンドラ)、ギリシャ語 ご ではΣελήνη (セレーネー)と呼 よ ばれる。古 ふる くは太陽 たいよう に対 たい して太陰 たいいん ともいった。日本語 にほんご では「ツキ」というが、奈良 なら 時代 じだい 以前 いぜん は「ツク」という語形 ごけい だったと推定 すいてい されている。
なお、漢字 かんじ の「月 つき 」は欠 か けた月 つき の形 かたち を描 えが いた象形 しょうけい 文字 もじ である[6] [7] 。
また「月 つき 」は、広義 こうぎ には「ある惑星 わくせい から見 み てその周 まわ りを回 まわ る衛星 えいせい 」を指 さ す。例 たと えば、「フォボス は火星 かせい の月 つき である」などと表現 ひょうげん する[注 ちゅう 1] 。
運行 うんこう
月 つき は天球 てんきゅう 上 うえ の白 はく 道 みち と呼 よ ばれる通 とお り道 みち をほぼ4週間 しゅうかん の周期 しゅうき で運行 うんこう する。白 しろ 道 どう は19年 ねん 周期 しゅうき で揺 ゆ らいでいるが、黄道 こうどう 帯 たい とよばれる黄道 こうどう 周辺 しゅうへん 8度 ど の範囲 はんい に収 おさ まる。月 つき はほぼ2週間 しゅうかん ごとに黄道 こうどう を横切 よこぎ る。
恒星 こうせい が月 つき に隠 かく される現象 げんしょう を掩蔽 えんぺい 、あるいは星 ほし 食 しょく という。惑星 わくせい や小惑星 しょうわくせい が隠 かく されることもある。一等星 いっとうせい や惑星 わくせい の掩蔽 えんぺい はめったに起 お こらない。天球 てんきゅう 上 うえ での月 つき の移動 いどう 速度 そくど は毎時 まいじ 0.5度 ど (月 つき の視 み 直径 ちょっけい )程度 ていど であるから、掩蔽 えんぺい の継続 けいぞく 時間 じかん は長 なが くても1時 じ 間 あいだ 程度 ていど である。
暦 こよみ との関係 かんけい
暦 こよみ と月 つき の関係 かんけい は近代 きんだい に至 いた るまで密接 みっせつ であった。月 つき の《満 み ち欠 か け》を元 もと に決 き めた暦 こよみ は太陰暦 たいいんれき と言 い い、地球 ちきゅう から月 つき を見 み ると月 つき の明 あか るい部分 ぶぶん の形 かたち は毎日 まいにち 変化 へんか し約 やく 29.5日 にち 周期 しゅうき で同 おな じ形 がた となっており、この変化 へんか の周期 しゅうき を元 もと に暦 こよみ を決 き めたものである。
歴史 れきし 的 てき に見 み れば元々 もともと は太陰暦 たいいんれき を採用 さいよう していた地域 ちいき のほうが多 おお かったのであり、現代 げんだい でも太陽暦 たいようれき と太陰暦 たいいんれき を併用 へいよう している文化 ぶんか 圏 けん はある。月 つき を基準 きじゅん に決 き めた暦 こよみ というのは、漁師 りょうし など自然 しぜん を相手 あいて に仕事 しごと をする人々 ひとびと にとっては日付 ひづけ がそのまま有用 ゆうよう な情報 じょうほう をもたらしてくれるものである。
日本 にっぽん でも、明治 めいじ 5年 ねん までは太陽 たいよう 太陰暦 たいいんれき を主 しゅ として使用 しよう していた。明治 めいじ 5年 ねん に公的 こうてき な制度 せいど を変 か えた段階 だんかい でこれを「旧暦 きゅうれき 」と呼 よ ぶようになったが、その後 ご も長 なが らく旧暦 きゅうれき のカレンダー は販売 はんばい され、両方 りょうほう を併用 へいよう する人々 ひとびと は多 おお かった。今 いま でも一般 いっぱん の太陽暦 たいようれき のカレンダーに旧暦 きゅうれき を掲載 けいさい したものは広 ひろ く使 つか われる。
日本語 にほんご では暦 こよみ を読 よ むことを「月 つき を読 よ む」「ツキヨミ(ツクヨミ )」「月読 つきよみ 」と言 い った。暦 こよみ と言 い えば近代 きんだい まで太陽 たいよう 太陰暦 たいいんれき であったため、暦 こよみ を読 よ むとはすなわち月 つき を読 よ むことであった[注 ちゅう 2] 。
物理 ぶつり 的 てき 特徴 とくちょう
性質 せいしつ
主要 しゅよう な太陽系 たいようけい の衛星 えいせい の比較 ひかく 。他 た の衛星 えいせい と比 くら べても月 つき は大 おお きく、月 つき は母 はは 惑星 わくせい 地球 ちきゅう に対 たい し不釣合 ふつりあい いなほど大 おお きな衛星 えいせい であることが分 わ かる。
月 つき の直径 ちょっけい (3,474km) は、木星 もくせい の衛星 えいせい ガニメデ (5,262km)、土星 どせい の衛星 えいせい タイタン (5,150km)、木星 もくせい の衛星 えいせい カリスト (4,800km)、イオ (3,630km) に次 つ ぎ、太陽系 たいようけい の衛星 えいせい の中 なか で5番目 ばんめ に大 おお きい[10] 。また、惑星 わくせい に対 たい する衛星 えいせい の直径 ちょっけい 比率 ひりつ で言 い えば、月 つき は地球 ちきゅう の約 やく 1/4であり、ガニメデが木星 もくせい の約 やく 1/27、タイタンが土星 どせい の約 やく 1/23であるのに比 くら べて桁違 けたちが いに大 おお きい[10] 。かつては、衛星 えいせい が主 しゅ 星 ほし の大 おお きさの50%を超 こ える冥王星 めいおうせい とカロン の組 くみ に次 つ いで2番目 ばんめ だったが、冥王星 めいおうせい が準 じゅん 惑星 わくせい に分類 ぶんるい 変更 へんこう されたので、地球 ちきゅう と月 つき の組 くみ が1番 ばん となった。
月 つき はその規模 きぼ や構造 こうぞう といった物理 ぶつり 的 てき 性質 せいしつ から、星 ほし そのものは地球 ちきゅう 型 がた 惑星 わくせい だと考 かんが えられている[11] 。ただし軌道 きどう の観点 かんてん ではあくまで「衛星 えいせい 」の範疇 はんちゅう であるため、太陽系 たいようけい の8惑星 わくせい を分類 ぶんるい する意味 いみ で「地球 ちきゅう 型 がた 惑星 わくせい 」と言 い った場合 ばあい 、月 つき は含 ふく めないのが普通 ふつう である。
従来 じゅうらい 、地球 ちきゅう に対 たい する月 つき は、衛星 えいせい としては不 ふ 釣合 つりあ いに大 おお きいので、二 に 重 じゅう 惑星 わくせい とみなす意見 いけん もあった。月 つき の直径 ちょっけい は地球 ちきゅう の4分 ぶん の1強 きょう であり、質量 しつりょう でも81分 ぶん の1に及 およ ぶからである。月 つき と太陽 たいよう の見 み た目 め の大 おお きさ(視 み 直径 ちょっけい )はほぼ等 ひと しく、約 やく 0.5度 ど である。したがって、他 た の惑星 わくせい の場合 ばあい とは異 こと なり、太陽 たいよう が完全 かんぜん に月 つき に覆 おお い隠 かく される皆既 かいき 日食 にっしょく や、太陽 たいよう の縁 えん がわずかに隠 かく されずに環状 かんじょう に残 のこ る金環 きんかん 日食 にっしょく が起 お こる。
月 つき の形状 けいじょう はほぼ球形 きゅうけい だが、厳密 げんみつ にはわずかにセイヨウナシ 形 かたち をしている。月面 げつめん の最高 さいこう 点 てん は平均 へいきん 高度 こうど より+10.75km、最低 さいてい 点 てん は-9.06kmで、共 とも に裏側 うらがわ にある。質量 しつりょう はおよそ地球 ちきゅう の0.0123倍 ばい (1/81)。表面積 ひょうめんせき (3793万 まん km2 )は地球 ちきゅう の表面積 ひょうめんせき の7.4%に相当 そうとう し、アフリカ大陸 たいりく とオーストラリア大陸 たいりく を合 あ わせた面積 めんせき よりもわずかに小 ちい さい。
月 つき と地球 ちきゅう の距離 きょり およびそれぞれの直径 ちょっけい 月 つき と地球 ちきゅう の間 あいだ の距離 きょり は38万 まん 4,400km、これに対 たい し地球 ちきゅう の直径 ちょっけい は1万 まん 2,756km、月 つき の直径 ちょっけい は3,474km。
月 つき の秤 ばかり 動 どう (ひょうどう) この画像 がぞう は27日 にち 分 ぶん の月 つき の映像 えいぞう を時間 じかん を縮 ちぢ めて表示 ひょうじ し、月 つき の見 み かけ上 じょう の揺 ゆ れ(秤 ばかり 動 どう )の様子 ようす を示 しめ す。月 つき が楕円 だえん 軌道 きどう を巡 めぐ り地球 ちきゅう との距離 きょり が変 か わるので、見 み かけの大 おお きさも変化 へんか する。
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく のアポロ計画 けいかく やソ連 それん のルナ計画 けいかく で月面 げつめん に設置 せっち された反射 はんしゃ 鏡 きょう に地球 ちきゅう からレーザー 光線 こうせん を照射 しょうしゃ し、光 ひかり が戻 もど ってくるのに要 よう する時間 じかん を計 はか れば月 つき までの距離 きょり を正確 せいかく に測定 そくてい できる。この測定 そくてい は月 つき レーザー測 はか 距 (LLR)と呼 よ ばれ、1969年 ねん にアメリカのマクドナルド天文台 てんもんだい で初 はじ めて行 おこな われた。地球 ちきゅう 中心 ちゅうしん から月 つき の中心 ちゅうしん までの平均 へいきん 距離 きょり は38万 まん 4,403km(約 やく 1.3光 ひかり 秒 びょう )であり、地球 ちきゅう の赤道 あかみち 半径 はんけい の約 やく 60.27倍 ばい である。21世紀 せいき に入 はい ってからも各国 かっこく の天文台 てんもんだい で測定 そくてい が続 つづ けられており、月 つき は平均 へいきん して1年 ねん あたり3.8cmの速 はや さで地球 ちきゅう から遠 とお ざかっていることが明 あき らかになっている[12] [13] 。
月 つき は、太陽系 たいようけい の惑星 わくせい やほとんどの衛星 えいせい と同 おな じく、天 てん の北極 ほっきょく から見 み て反 はん 時計 とけい 周 まわ り(地球 ちきゅう の自転 じてん 、公転 こうてん と同 おな じ)の方向 ほうこう に公転 こうてん している。軌道 きどう は円 えん に近 ちか い楕円 だえん 形 かたち 。自転 じてん 周期 しゅうき は27.32日 にち で、地球 ちきゅう の周 まわ りを回 まわ る公転 こうてん 周期 しゅうき と完全 かんぜん に同期 どうき している(自転 じてん と公転 こうてん の同期 どうき )。つまり地球 ちきゅう 上 じょう から月 つき の裏側 うらがわ を直接 ちょくせつ 観測 かんそく することは永久 えいきゅう にできない。これはそれほど珍 めずら しい現象 げんしょう ではなく、火星 かせい の2衛星 えいせい 、木星 もくせい のガリレオ衛星 えいせい であるイオ、エウロパ 、ガニメデ、カリスト、土星 どせい の最大 さいだい の衛星 えいせい タイタンなどにも見 み られる。ただし、一致 いっち してはいても、月 つき の自転 じてん 軸 じく が傾 かたむ いているうえに軌道 きどう 離 はなれ 心 しん 率 りつ が0ではないので、地球 ちきゅう から見 み た月 つき は秤 ばかり 動 どう と呼 よ ばれるゆっくりとした振動 しんどう 運動 うんどう を行 おこ なっており、月面 げつめん の59%が地上 ちじょう から観測 かんそく 可能 かのう である。逆 ぎゃく に、月面 げつめん からは地球 ちきゅう は天空 てんくう のある狭 せま い範囲 はんい (秤 ばかり 動 どう に応 おう じて東西 とうざい 南北 なんぼく およそ±7°程度 ていど の範囲 はんい [14] )に留 とど まって見 み える(一 いち 点 てん に静止 せいし して見 み えるわけではない)。特 とく に、スミス海 うみ や東 ひがし の海 うみ のように地球 ちきゅう から見 み て月 つき の縁 えん に位置 いち する地点 ちてん では、秤 ばかり 動 どう によって地球 ちきゅう から見 み えたり隠 かく れたりするのに応 おう じて、逆 ぎゃく に地球 ちきゅう が月 つき の地平線 ちへいせん から昇 のぼ ったり沈 しず んだりして見 み える[注 ちゅう 3] (「地球 ちきゅう の出 だし 」の画像 がぞう は月面 げつめん からではなく、月 つき 周回 しゅうかい 軌道 きどう を回 まわ る宇宙船 うちゅうせん や観測 かんそく 機 き から撮 と られた物 もの である)。
2014年 ねん 5月 がつ に発表 はっぴょう された研究 けんきゅう 成果 せいか によれば、月 つき の自転 じてん 軸 じく は40億 おく 年 ねん 前 まえ から現在 げんざい までに数 すう 十 じゅう 度 ど ずれていた事 こと が分 わ かったと発表 はっぴょう された[15] 。
月内 げつない 部 ぶ の構造 こうぞう はアポロ計画 けいかく の際 さい に設置 せっち された月 つき 震 ふるえ 計 けい で明 あき らかになった。中心 ちゅうしん から700 - 800kmの部分 ぶぶん は液体 えきたい の性質 せいしつ を帯 お びており、液体 えきたい と固体 こたい の境界 きょうかい 付近 ふきん などでマグニチュード 1 - 2程度 ていど の深 ふか 発 はつ 月 がつ 震 ふるえ が多発 たはつ している。また、浅 あさ 発 はつ 月 がつ 震 ふるえ と呼 よ ばれる地下 ちか 300km前後 ぜんこう を震源 しんげん とする揺 ゆ れは、マグニチュード3 - 4にもなるが、発生 はっせい 原因 げんいん の特定 とくてい はできていない。表面 ひょうめん から60kmの部分 ぶぶん が地球 ちきゅう の地殻 ちかく に相当 そうとう し、斜 はす 長石 ちょうせき の比率 ひりつ が高 たか い。月 つき の内部 ないぶ は地球 ちきゅう 型 がた 惑星 わくせい と同様 どうよう に岩石 がんせき と金属 きんぞく からなり、深 ふか さによって密度 みつど ごとに成層 せいそう した(分化 ぶんか した)天体 てんたい である。
月 つき はナトリウム やカリウム などからなる大気 たいき を持 も つが、地球 ちきゅう の大気 たいき に比 くら べると1017 分 ぶん の1(10京 きょう 分 ぶん の1)ほどの希薄 きはく さであり、表面 ひょうめん は実質 じっしつ 的 てき に真空 しんくう であるといえる。したがって、気象 きしょう 現象 げんしょう が発生 はっせい しない。月面 げつめん 着陸 ちゃくりく 以前 いぜん の望遠鏡 ぼうえんきょう の観測 かんそく からも月 つき には大気 たいき がないと推定 すいてい されていたが、1980年代 ねんだい にアメリカ航空 こうくう 宇宙 うちゅう 局 きょく (NASA)によって実際 じっさい は希薄 きはく ながらも大気 たいき が存在 そんざい することが確認 かくにん された。
水 みず の存在 そんざい も観測 かんそく では確認 かくにん されていなかったが、2009年 ねん 11月にNASAによって南極 なんきょく に相当 そうとう 量 りょう の水 みず が含 ふく まれることが確認 かくにん された。ただし、水 みず は極地 きょくち に氷 こおり の形 かたち で存在 そんざい するだけであって、熱 ねつ 水 すい (鉱 こう 化 か 溶液 ようえき )による元素 げんそ の濃 こ 集 しゅう は起 お きないとされており、熱 ねつ 水 すい 鉱脈 こうみゃく は存在 そんざい しないと推定 すいてい されている。しかしながら、マグマへの濃 こ 集 しゅう は起 お きていたためチタン などの含有 がんゆう 量 りょう が非常 ひじょう に多 おお い地質 ちしつ 体 たい も存在 そんざい する。
現在 げんざい は月 つき の火山 かざん 活動 かつどう (英語 えいご 版 ばん ) は認 みと められず、マントル 対流 たいりゅう も存在 そんざい しないが、少 すく なくとも25億 おく 年 ねん 前 まえ までは火山 かざん 活動 かつどう があったことが確認 かくにん されている。溶岩 ようがん 流 りゅう によって形成 けいせい された月 つき の溶岩 ようがん 洞 ほら (溶岩 ようがん チューブ)も確認 かくにん できる[16] 。
磁場 じば は地球 ちきゅう の約 やく 1/10,000ときわめて微弱 びじゃく である。月 つき には全 ぜん 球 たま 的 てき に明瞭 めいりょう な固有 こゆう 磁場 じば が存在 そんざい せず、局所 きょくしょ 的 てき に、磁場 じば が異常 いじょう に強 つよ い地域 ちいき と弱 よわ い地域 ちいき が混在 こんざい している[17] 。月 つき はかつて全 ぜん 球 たま 的 てき に磁場 じば を有 ゆう していたが、液体 えきたい の金属 きんぞく 核 かく の凝固 ぎょうこ に伴 ともな って消滅 しょうめつ し、局所 きょくしょ 的 てき な磁場 じば だけが残 のこ ったと考 かんが えられている。2014年 ねん 5月 がつ に発表 はっぴょう された研究 けんきゅう 成果 せいか によれば、現在 げんざい の月 つき には大 だい 規模 きぼ な磁場 じば はないが、約 やく 40億 おく 年 ねん 前 まえ の月 つき 中心 ちゅうしん 部 ぶ では溶 と けた鉄 てつ が活発 かっぱつ に運動 うんどう し磁場 じば を発生 はっせい させていたことがわかった[15] 。
表面 ひょうめん
この節 ふし は検証 けんしょう 可能 かのう な参考 さんこう 文献 ぶんけん や出典 しゅってん が全 まった く示 しめ されていないか、不十分 ふじゅうぶん です。 出典 しゅってん を追加 ついか して記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく ください。(このテンプレートの使 つか い方 かた ) 出典 しゅってん 検索 けんさく ? : "月 がつ " – ニュース · 書籍 しょせき · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2011年 ねん 4月 がつ )
表側 おもてがわ (地球 ちきゅう から見 み える側 がわ )
裏側 うらがわ 黒 くろ っぽく見 み える海 うみ が少 すく ない
月 つき の北極 ほっきょく 周辺 しゅうへん 夏期 かき ルナー・リコネサンス・オービター による写真 しゃしん の合成 ごうせい イメージ
月 つき の南極 なんきょく 周辺 しゅうへん (南緯 なんい 70-90度 ど )クレメンタイン (探査 たんさ 機 き ) による写真 しゃしん の合成 ごうせい イメージ 常 つね に日光 にっこう が当 あ たらない領域 りょういき (永久 えいきゅう 影 かげ )が中心 ちゅうしん のクレーター内 ない に見 み られる。
月 つき の表側 おもてがわ (地球 ちきゅう から観測 かんそく される側 がわ )の北緯 ほくい 60度 ど - 南緯 なんい 30度 ど にわたる領域 りょういき は光 ひかり をあまり反射 はんしゃ せず黒 くろ く見 み えることから、海 うみ と呼 よ ばれている。海 うみ は月表 げっぴょう 面 めん の35パーセントを占 し めるが、月 つき の裏側 うらがわ にはほとんど存在 そんざい せず、高地 こうち と呼 よ ばれる急峻 きゅうしゅん な地形 ちけい からなる。月 つき の海 うみ は、まだ内部 ないぶ が熱 あつ く溶 と け、地表 ちひょう の下 した に溶岩 ようがん がある時代 じだい に隕石 いんせき の衝突 しょうとつ によって生 しょう じたクレーター の底 そこ から玄武岩 げんぶがん 質 しつ の溶岩 ようがん がにじみ出 で てクレーターが埋 う められたものとされている。約 やく 20kmの厚 あつ みがある冷 ひ えて固 かた まった黒 くろ っぽい玄武岩 げんぶがん の層 そう で覆 おお われているために光 ひかり をあまり反射 はんしゃ せず、他 た と比 くら べて暗 くら く見 み える。表側 おもてがわ にのみ海 うみ が存在 そんざい するのは、そちら側 がわ に集中 しゅうちゅう して熱 ねつ を生 う み出 だ す放射 ほうしゃ 性 せい 物質 ぶっしつ が存在 そんざい したためであるとか、また、地球 ちきゅう からの重力 じゅうりょく の影響 えいきょう により、より強 つよ い重力 じゅうりょく の働 はたら く地球 ちきゅう 側 がわ でのみ溶岩 ようがん が噴出 ふんしゅつ したためとする説 せつ も存在 そんざい するが、現在 げんざい のところ定説 ていせつ はない。[要 よう 出典 しゅってん ]
海 うみ 以外 いがい の部分 ぶぶん は、小石 こいし が集 あつ まった角 すみ 礫 つぶて 岩 がん から構成 こうせい されている。これは太陽系 たいようけい 初期 しょき から残 のこ った微 ほろ 惑星 わくせい の衝突 しょうとつ によって生 しょう じたものである。月 つき には大気 たいき がほとんど存在 そんざい しないため、微小 びしょう な隕石 いんせき もそのまま月面 げつめん に衝突 しょうとつ してクレーターをつくる。また水 みず や風 ふう 、動植物 どうしょくぶつ による物理 ぶつり 的 てき な浸食 しんしょく や地殻 ちかく 変動 へんどう の影響 えいきょう を受 う けることもないので、更 さら に他 た の物体 ぶったい 衝突 しょうとつ が無 な い限 かぎ りほとんどのクレーターがそのまま残 のこ る。
大気 たいき が少 すく なく、磁場 じば が弱 よわ いために宇宙 うちゅう 線 せん や太陽 たいよう 風 ふう なども直接 ちょくせつ 月面 げつめん に到達 とうたつ するため、月面 げつめん での生命 せいめい 活動 かつどう に際 さい しては、これらを防 ふせ ぐ必要 ひつよう がある。また、昼夜 ちゅうや の表面 ひょうめん 温度 おんど 変化 へんか も大 おお きく、赤道 あかみち 付近 ふきん で昼 ひる は約 やく 110℃、夜 よる は約 やく -170℃となる。自転 じてん 軸 じく の傾 かたむ きにより多少 たしょう の季 き 節 ぶし はあるが、気象 きしょう 現象 げんしょう は無 な いので表面 ひょうめん 温度 おんど 変化 へんか は月 つき の1日 にち を通 つう じてほぼ一定 いってい の変化 へんか をする[18] 。なお、月 つき の公転 こうてん 周期 しゅうき が約 やく 27.3日 にち であるのに対 たい して、満 み ち欠 か けが約 やく 29.5日 にち となっているのは、月 つき が公転 こうてん する間 あいだ 地球 ちきゅう も太陽 たいよう の周 まわ りを公転 こうてん しており、その分 ぶん 余計 よけい に公転 こうてん しなければならないためである[19] 。
月面 げつめん は砂 すな (レゴリス )によって覆 おお われている。レゴリスは隕石 いんせき などによって細 こま かく砕 くだ かれた石 いし が積 つ もったものであり、月面 げつめん のほぼ全体 ぜんたい を数 すう 十 じゅう cmから数 すう 十 じゅう mの厚 あつ さで覆 おお っている。これはおよそ200kgの体重 たいじゅう と装備 そうび が、重力 じゅうりょく によりおよそ30kg相当 そうとう となった人間 にんげん が残 のこ した足跡 あしあと からも観測 かんそく できる。より新 あたら しいクレーターなどの若 わか い地形 ちけい ほど層 そう が浅 あさ い。その粒子 りゅうし は非常 ひじょう に細 こま かく、宇宙 うちゅう 服 ふく や精密 せいみつ 機械 きかい などに入 はい り込 こ みやすく、問題 もんだい を起 お こす。しかしその一方 いっぽう でレゴリスの約 やく 半分 はんぶん は酸素 さんそ で構成 こうせい されており、酸素 さんそ の供給 きょうきゅう 源 げん や建築 けんちく 材料 ざいりょう としても期待 きたい されている。また太陽 たいよう 風 ふう によって運 はこ ばれた水素 すいそ やヘリウム3 が分布 ぶんぷ 密度 みつど は小 ちい さいものの吸着 きゅうちゃく されており、核 かく 融合 ゆうごう 燃料 ねんりょう になると考 かんが えられている。
両極 りょうきょく 付近 ふきん のクレーター内 ない には「永久 えいきゅう 影 かげ 」と呼 よ ばれる常 つね に日陰 ひかげ となる領域 りょういき があるため、氷 こおり が存在 そんざい している可能 かのう 性 せい が高 たか いと言 い われている。
2009年 ねん 9月 がつ 、無人 むじん 月 がつ 探査 たんさ 機 き チャンドラヤーン1号 ごう (ISRO :インド )および土星 どせい 探査 たんさ 機 き カッシーニ と彗星 すいせい 探査 たんさ 機 き ディープ・インパクト (いずれもNASA :アメリカ )の3探査 たんさ 機 き によって、月 つき に水 みず もしくは水 みず の基 もと となるヒドロキシ基 もと が存在 そんざい していることが確認 かくにん されたと発表 はっぴょう された。存在 そんざい 範囲 はんい は月面 げつめん 全体 ぜんたい に薄 うす く広 ひろ がっている状態 じょうたい で、月 つき において水 みず もしくはヒドロキシ基 もと を約 やく 1リットル集 あつ めるのに、月 つき の土壌 どじょう 約 やく 0.76立方 りっぽう メートルが必要 ひつよう だと試算 しさん されている。確認 かくにん された水 みず もしくはヒドロキシ基 もと は、太陽 たいよう 風 ふう によって運 はこ ばれた水素 すいそ イオン が月面 げつめん にある酸素 さんそ を含 ふく んだ鉱物 こうぶつ やガラス 様 よう 物質 ぶっしつ に衝突 しょうとつ した結果 けっか 生 しょう じたものと考 かんが えられ、将来 しょうらい の月面 げつめん 探査 たんさ ・月面 げつめん 基地 きち 計画 けいかく において、抽出 ちゅうしゅつ して水素 すいそ と結合 けつごう すれば真水 しみず を生成 せいせい 可能 かのう とされている[20] [21] 。
同年 どうねん 10月9日 にち 、NASAの月 つき 探査 たんさ 機 き エルクロス が月 つき の南極 なんきょく 付近 ふきん にあるカベウスクレーターに衝突 しょうとつ した。衝突 しょうとつ による閃光 せんこう や噴出 ふんしゅつ 物 ぶつ を観測 かんそく したところ、上層 じょうそう 部分 ぶぶん からは細 こま かい塵 ちり や水蒸気 すいじょうき が、下層 かそう 部分 ぶぶん の土砂 どしゃ からも水分 すいぶん が確認 かくにん された。合計 ごうけい 水分 すいぶん 量 りょう は約 やく 95リットルだという。
同年 どうねん 10月24日 にち 、日本 にっぽん の宇宙 うちゅう 航空 こうくう 研究 けんきゅう 開発 かいはつ 機構 きこう (JAXA) は、月 つき 探査 たんさ 機 き かぐや が撮影 さつえい した画像 がぞう の解析 かいせき で、月 つき の表側 おもてがわ にある平地 ひらち 「嵐 あらし の大洋 たいよう 」の中央 ちゅうおう 部 ぶ にあるマリウス丘 おか に月面 げつめん 初 はつ となる地下 ちか 溶岩 ようがん トンネル に通 つう じる縦穴 たてあな を発見 はっけん したと発表 はっぴょう した。今回 こんかい 発見 はっけん された縦穴 たてあな は「嵐 あらし の大洋 たいよう 」において火山 かざん 活動 かつどう が活発 かっぱつ だったことが分 わ かっている地点 ちてん に存在 そんざい しており、直径 ちょっけい 約 やく 70m、深 ふか さ約 やく 90mの垂直 すいちょく な穴 あな で、穴 あな 底部 ていぶ 分 ぶん は少 すく なくとも横 よこ 幅 はば 400m、内高 うちだか 20mを超 こ えるトンネル になっているとしている。JAXAは、今回 こんかい の発見 はっけん は将来 しょうらい 的 てき な有人 ゆうじん 探査 たんさ において天然 てんねん の基地 きち としての有力 ゆうりょく 候補 こうほ になったとしている[22] 。
2010年 ねん 9月7日 にち 、NASAによって、月面 げつめん において初 はつ となる「天然 てんねん の橋 はし 」が確認 かくにん された[23] 。NASAのルナー・リコネサンス・オービター (LRO) のカメラ (LROC) が撮影 さつえい に成功 せいこう し、その画像 がぞう が公開 こうかい された。画像 がぞう では、橋 はし の右側 みぎがわ くぼみから橋下 はしもと を通過 つうか した光 ひかり が、左側 ひだりがわ くぼみの底 そこ に三日月 みかづき 形 がた に映 うつ っている姿 すがた をとらえている。地球 ちきゅう 上 じょう においては風 ふう や水 みず による浸食 しんしょく 現象 げんしょう で形成 けいせい される自然 しぜん 橋 きょう だが、月面 げつめん で見 み られるこのような地形 ちけい は、通常 つうじょう 、太古 たいこ の火山 かざん 活動 かつどう によってできた溶岩 ようがん 洞 ほら が崩落 ほうらく した結果 けっか と考 かんが えられている。ただし、今回 こんかい 発見 はっけん されたケースでは、この天然 てんねん の橋 はし は溶岩 ようがん 洞 ほら の崩落 ほうらく によるものではなく、クレーターを形成 けいせい した隕石 いんせき の衝突 しょうとつ 熱 ねつ で岩 いわ が融解 ゆうかい して形成 けいせい されたものと考 かんが えられている[23] 。
2020年 ねん 10月 、アメリカ航空 こうくう 宇宙 うちゅう 局 きょく (NASA)は成層圏 せいそうけん 赤外線 せきがいせん 天文台 てんもんだい (SOFIA)を用 もち いて行 おこな われた観測 かんそく で、南半球 みなみはんきゅう にあるクラヴィウス・クレーター (英語 えいご 版 ばん ) から水 みず が検出 けんしゅつ されたと発表 はっぴょう した。極 ごく 地域 ちいき の永久 えいきゅう 影 かげ 領域 りょういき を除 のぞ いた太陽光 たいようこう に照 て らされることがある地域 ちいき で水 みず が検出 けんしゅつ されたのはこれが初 はじ めてで、極 ごく 地域 ちいき だけではなく、月 つき 全体 ぜんたい に水 みず が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい を示 しめ す観測 かんそく 結果 けっか となった[24] [25] 。
TLP
月面 げつめん に一時 いちじ 的 てき な発光 はっこう 現象 げんしょう が起 お こることがあり、一時 いちじ 的 てき 月面 げつめん 現象 げんしょう (英語 えいご : TLP, Transient Lunar phenomena) と呼 よ ぶ。過去 かこ 数 すう 百 ひゃく 年 ねん の間 あいだ に地球 ちきゅう 上 じょう からおよそ1500件 けん の観測 かんそく 報告 ほうこく がなされているが、錯覚 さっかく によるものや望遠鏡 ぼうえんきょう の鏡 かがみ 筒 とう 内 ない 異物 いぶつ による乱反射 らんはんしゃ であったり、レンズ の色 いろ 収差 しゅうさ など観測 かんそく 者 しゃ 側 がわ に何 なん らかの原因 げんいん があったりする場合 ばあい の誤認 ごにん が多 おお いとされている[26] [27] 。
実際 じっさい に生 しょう じている月面 げつめん での発光 はっこう 現象 げんしょう の原因 げんいん として明 あき らかになっているものが幾 いく つかある。
隕石 いんせき の衝突 しょうとつ [28] - 規模 きぼ や持続 じぞく 時間 じかん の点 てん からTLPは隕石 いんせき 衝突 しょうとつ と区別 くべつ される[29] 。
月 つき 、太陽 たいよう 、地球 ちきゅう の位置 いち 関係 かんけい - 月面 げつめん 斜面 しゃめん に横 よこ から太陽光 たいようこう 線 せん が当 あ たると、地形 ちけい ・高低 こうてい 差 さ によりそれまでは太陽光 たいようこう を反射 はんしゃ していなかった場所 ばしょ で反射 はんしゃ が生 しょう じ発光 はっこう しているように見 み える[26] 。
レゴリス - 太陽 たいよう 風 ふう によって帯電 たいでん したレゴリスが舞 ま い上 あ がる[30] 。
ガス噴出 ふんしゅつ - 月 つき の地殻 ちかく に含有 がんゆう されているウラン (238 U)が核分裂 かくぶんれつ を起 お こし、分裂 ぶんれつ 生成 せいせい 物 ぶつ であるラドン (222 Rn)ガス噴出 ふんしゅつ に伴 ともな う発光 はっこう [27] (第 だい 18族 ぞく 元素 げんそ の特徴 とくちょう 的 てき 性質 せいしつ )。特 とく にアリスタルコス ・クレーター付近 ふきん で顕著 けんちょ な現象 げんしょう 。ガスの噴出 ふんしゅつ は地表 ちひょう 近 ちか くに溜 た まったガスが突発 とっぱつ 的 てき に月面 げつめん の砂 すな を巻 ま き上 あ げるもので、アポロ計画 けいかく で発見 はっけん された月面 げつめん 上 じょう のガスの漏出 ろうしゅつ 地点 ちてん と、TLPが頻発 ひんぱつ に報告 ほうこく される地域 ちいき が一致 いっち するという研究 けんきゅう がある[29] 。
影響 えいきょう
月 つき の重力 じゅうりょく は地球 ちきゅう に影響 えいきょう を及 およ ぼし、潮 しお の満 み ち引 び きを起 お こす(潮汐 ちょうせき 作用 さよう )。なお、月 つき よりも格段 かくだん に大 おお きい質量 しつりょう を持 も つ太陽 たいよう も潮汐 ちょうせき 作用 さよう を起 お こし地球 ちきゅう に潮汐 ちょうせき 力 りょく を及 およ ぼすが、地球 ちきゅう からの距離 きょり が月 つき より遠距離 えんきょり にあるため、その影響 えいきょう 力 りょく は月 つき の力 ちから の半分 はんぶん 程度 ていど である(潮汐 ちょうせき 力 りょく は距離 きょり の3乗 じょう に反比例 はんぴれい する[31] )。
月 つき の潮汐 ちょうせき 作用 さよう により、主 おも に海洋 かいよう と海底 かいてい との摩擦 まさつ (海水 かいすい 同士 どうし 、地殻 ちかく 同士 どうし の摩擦 まさつ などもある)による熱 ねつ 損失 そんしつ から、地球 ちきゅう の自転 じてん 速度 そくど がおよそ10万 まん 年 ねん に1秒 びょう の割合 わりあい で遅 おそ くなっている。また、重力 じゅうりょく による地殻 ちかく の変形 へんけい を介 かい して、地球 ちきゅう -月 つき 系 けい の角 かく 運動 うんどう 量 りょう は月 つき に移動 いどう しており、これにより、月 つき と地球 ちきゅう の距離 きょり は年間 ねんかん 約 やく 3.8cmずつ離 はな れつつある[32] 。この角 かく 運動 うんどう 量 りょう の移動 いどう は、地球 ちきゅう の自転 じてん 周期 しゅうき と月 つき の公転 こうてん 周期 しゅうき が一致 いっち するまで続 つづ くと考 かんが えられるが、そこに至 いた るまでにはおよそ50億 おく 年 ねん を要 よう する[32] 。
逆 ぎゃく に言 い えば、かつて月 つき は現在 げんざい よりも地球 ちきゅう の近 ちか くにあり、より強力 きょうりょく な重力 じゅうりょく ・潮汐 ちょうせき 力 りょく の影響 えいきょう を及 およ ぼしており、また地球 ちきゅう (および月 つき )はより早 はや く回転 かいてん していた。サンゴ の化石 かせき の調査 ちょうさ によれば、そこに刻 きざ まれた日輪 にちりん (年輪 ねんりん の日 にち 版 ばん )により、4億 おく 年 ねん 程 ほど 前 まえ には1日 にち は約 やく 22時 じ 間 あいだ で、1年 とし は400日 にち 程 ほど あったとされる[32] 。
視覚 しかく 的 てき 特徴 とくちょう
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地表 ちひょう 近 ちか くの満月 まんげつ
月 つき の明 あか るさは満月 まんげつ で-12.7など 、半月 はんつき でも-10等 とう 前後 ぜんこう に達 たっ し、夜間 やかん における最 もっと も明 あか るい天然 てんねん 光源 こうげん である。
地球 ちきゅう 上 じょう から月 つき を観察 かんさつ すると、月 つき の大 おお きさが変 か わっているように見 み えることがある。空 そら 高 たか くに位置 いち する場合 ばあい と地平線 ちへいせん または水平 すいへい 線 せん 近 ちか くに位置 いち する場合 ばあい とは、明 あき らかに大 おお きさに変化 へんか があり、前者 ぜんしゃ の場合 ばあい は小 ちい さく見 み え、後者 こうしゃ の場合 ばあい は大 おお きく見 み える。
この現象 げんしょう は人間 にんげん の目 め の錯覚 さっかく によるものである。カメラとは異 こと なり、人間 にんげん の目 め は視界 しかい に入 はい るすべての物体 ぶったい を鮮明 せんめい に見 み るべく、常 つね に焦点 しょうてん 位置 いち を調節 ちょうせつ し、脳 のう で画像 がぞう を合成 ごうせい している。このため近 ちか 場 じょう から遠方 えんぽう に連 つら なる風景 ふうけい の先端 せんたん に月 つき が見 み える場合 ばあい ,ズームレンズを動 うご かしながら見 み るように、人 ひと の認識 にんしき する月 つき が巨大 きょだい 化 か する。逆 ぎゃく に空 そら 高 たか くに位置 いち する場合 ばあい は、比較 ひかく となる対象 たいしょう 物 ぶつ が存在 そんざい しないために、小 ちい さく(実質 じっしつ 的 てき な目視 もくし 上 じょう のサイズとして)見 み えるのである。
実際 じっさい の月 つき の視 み 直径 ちょっけい は、腕 うで を伸 の ばして持 も つ五 ご 円 えん 玉 だま の穴 あな の大 おお きさとほぼ同 おな じである。空 そら 高 たか くに位置 いち する時 とき の小 ちい さな姿 すがた は、五 ご 円 えん 玉 だま の穴 あな にその全 すべ てが収 おさ まってしまいそうに見 み える。地平線 ちへいせん 近 ちか くにある大 おお きな月 つき の場合 ばあい は、五 ご 円 えん 玉 だま の穴 あな に入 はい りそうもなく思 おも えるが、実際 じっさい は小 ちい さな月 つき と同 おな じように五 ご 円 えん 玉 だま の穴 あな に全 すべ てが収 おさ まってしまう。
なお、月 つき の公転 こうてん 軌道 きどう は楕円 だえん 形 がた であり、近 きん 地点 ちてん 約 やく 36万 まん kmに対 たい して遠地点 えんちてん 約 やく 40万 まん kmであるため、見 み かけの大 おお きさは月 つき の軌道 きどう 上 じょう の位置 いち により実際 じっさい に変 か わる。また、赤道 せきどう 上 じょう の地上 ちじょう から見 み ると一 いち 日 にち のうちでも厳密 げんみつ には距離 きょり が変化 へんか する。月 つき を天頂 てんちょう 付近 ふきん に見 み る時 とき が一 いち 日 にち のうちで最 もっと も月 つき に近 ちか く、月 つき を地平線 ちへいせん 付近 ふきん に見 み るときは、それよりもおよそ地球 ちきゅう の半径 はんけい (約 やく 6,000km)離 はな れるので、それだけ僅 わず かに小 ちい さく見 み える。
月 つき は一時 いちじ 間 あいだ あたり、恒星 こうせい に対 たい して東 ひがし へ0.5度 ど 強 きょう だけ動 うご いていき、24時 じ 間 あいだ では13度 ど である。つまり、毎夜 まいよ 、月 つき は前 まえ の夜 よる より13度 ど だけ東 ひがし へ動 うご いていく[33] 。
地球 ちきゅう 照 あきら
地球 ちきゅう 照 あきら の仕組 しく み
太陽光 たいようこう が当 あ たっていない、欠 か けた部分 ぶぶん も肉眼 にくがん でも薄 う っすらと見 み えることがあるが、これは地球 ちきゅう 照 あきら (ちきゅうしょう、earthshine)と呼 よ ばれるもので、地球 ちきゅう で反射 はんしゃ した太陽光 たいようこう が月 つき を照 て らすことによって生 しょう じるものである。月 つき は大気 たいき や雲 くも がなく岩石 がんせき のみであり、満月 まんげつ が明 あか るく見 み えるといっても、月 つき のアルベド (太陽光 たいようこう を反射 はんしゃ する割合 わりあい )は7%程 ほど である。それに対 たい して地球 ちきゅう (満 まん 地球 ちきゅう )は面積 めんせき で約 やく 16倍 ばい 大 おお きく、また、アルベドが20-30%(雲 くも や氷雪 ひょうせつ が良 よ く光 ひかり を反射 はんしゃ する)であり、地球 ちきゅう の方 ほう がずっと強 つよ い光 ひかり を放 はな っている。肉眼 にくがん での確認 かくにん が容易 ようい な期間 きかん は、新月 しんげつ を挟 はさ む月齢 げつれい 27から2(三日月 みかづき )前後 ぜんこう の、月 つき の輪郭 りんかく が小 ちい さな時 とき である。ただし新月 しんげつ の際 さい には目印 めじるし となるものがなく、発見 はっけん が困難 こんなん である。もっとも、皆既 かいき 日食 にっしょく の際 さい には地球 ちきゅう 照 あきら の確認 かくにん が可能 かのう で、写真 しゃしん 撮影 さつえい すれば地球 ちきゅう 照 あきら で地形 ちけい の見 み える月 つき の周囲 しゅうい に太陽 たいよう のコロナ が写 うつ る。また、半月 はんつき くらいになれば肉眼 にくがん で地球 ちきゅう 照 あきら を確認 かくにん することは難 むずか しいが、露出 ろしゅつ 時間 じかん を長 なが くして影 かげ の部分 ぶぶん を写真 しゃしん 撮影 さつえい すれば地球 ちきゅう 照 あきら が写 うつ る。
月 つき の出 で ・月 がつ の入 い りの頃 ころ などに赤 あか い月 つき が観測 かんそく されることがあるが、これは朝焼 あさや けや夕焼 ゆうや け と同様 どうよう の原理 げんり で、月 つき が地平 ちへい 近 ちか くにあることから月 つき からの光 ひかり が大気 たいき の中 なか を長 なが く通 とお り、赤 あか 以外 いがい の光 ひかり が散乱 さんらん してしまうことによる。月食 げっしょく によっても発生 はっせい することがある。
月 つき の公転 こうてん 軌道 きどう は地球 ちきゅう の公転 こうてん 軌道 きどう に対 たい して5度 ど ほど傾 かたむ いている。この傾 かたむ きが周期 しゅうき 的 てき に月食 げっしょく ・日食 にっしょく を引 ひ き起 お こしている[34] 。
起源 きげん
古典 こてん 的 てき 学説 がくせつ
月 つき がどのようにつくられ、地球 ちきゅう を巡 めぐ るようになったかについて古 ふる くは3つの説 せつ が唱 とな えられてきた。
親子 おやこ 説 せつ (分裂 ぶんれつ 説 せつ ・出産 しゅっさん 説 せつ ・娘 むすめ 説 せつ )
自転 じてん による遠心 えんしん 力 りょく で、地球 ちきゅう の一部 いちぶ が飛 と び出 だ して月 つき になったとする説 せつ 。
兄弟 きょうだい 説 せつ (双子 ふたご 集積 しゅうせき 説 せつ [35] ・共 きょう 成長 せいちょう 説 せつ )
月 つき と地球 ちきゅう は同 おな じ材料 ざいりょう 物質 ぶっしつ から、同時 どうじ に作 つく られたとする説 せつ 。
他人 たにん 説 せつ (捕獲 ほかく 説 せつ ・配偶 はいぐう 者 しゃ 説 せつ )
別 べつ の場所 ばしょ で形成 けいせい された月 つき と地球 ちきゅう が偶然 ぐうぜん 接近 せっきん した際 さい 、月 つき が地球 ちきゅう の引力 いんりょく に捕 と らえられたとする説 せつ 。
だが、いずれの説 せつ も現在 げんざい の月 つき の力学 りきがく 的 てき ・物質 ぶっしつ 科学 かがく 的 てき な特徴 とくちょう を矛盾 むじゅん なく説明 せつめい することができなかった。まず、親子 おやこ 説 せつ では地球 ちきゅう -月 つき 系 けい の現在 げんざい の全 ぜん 角 かく 運動 うんどう 量 りょう を原始 げんし 地球 ちきゅう が単独 たんどく で持 も っていたとは考 かんが えにくい。兄弟 きょうだい 説 せつ では月 つき の平均 へいきん 密度 みつど から推定 すいてい される全体 ぜんたい 的 てき な組成 そせい が、地球 ちきゅう と比較 ひかく して金属 きんぞく 鉄 てつ に乏 とぼ しいことを説明 せつめい できない。また、他人 たにん 説 せつ では地球 ちきゅう の重力 じゅうりょく 圏外 けんがい から進入 しんにゅう する月 つき が、地球 ちきゅう からちょうど良 よ い距離 きょり に接近 せっきん して衛星 えいせい 軌道 きどう へ捕 と らえられる可能 かのう 性 せい が低 ひく い。また、アポロ計画 けいかく により採取 さいしゅ された月 つき の石 いし の分析 ぶんせき 結果 けっか から判明 はんめい した地球 ちきゅう のマントル と月 つき の石 いし の化学 かがく 組成 そせい や酸素 さんそ 同位 どうい 体 たい 比 ひ の類似 るいじ 性 せい も、他人 たにん 説 せつ は説明 せつめい できない。一方 いっぽう で、月 つき の石 いし の放射 ほうしゃ 年代 ねんだい 測定 そくてい により月 つき が約 やく 45億 おく 5000万 まん 年 ねん 前 まえ に誕生 たんじょう したこと、月 つき の高地 こうち が斜 はす 長岩 ながいわ からなることから月 つき はその歴史 れきし の初期 しょき に高温 こうおん だったことが明 あき らかとなった。これらの証拠 しょうこ から、有力 ゆうりょく 視 し されるようになったのが巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ である。
巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ
巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ (ジャイアント・インパクト説 せつ )は、地球 ちきゅう と他 た の天体 てんたい との衝突 しょうとつ によって飛散 ひさん した物質 ぶっしつ が地球 ちきゅう 周回 しゅうかい 軌道 きどう 上 じょう で集積 しゅうせき して月 つき ができたとする説 せつ である。この説 せつ の標準 ひょうじゅん 的 てき な設定 せってい では、地球 ちきゅう がほぼ現在 げんざい の大 おお きさになった頃 ころ 、火星 かせい 程 ほど の大 おお きさの天体 てんたい (テイア と名付 なづ けられている) が斜 なな めに地球 ちきゅう へ衝突 しょうとつ し、その衝撃 しょうげき で蒸発 じょうはつ ・飛散 ひさん した両 りょう 天体 てんたい のマントル物質 ぶっしつ の一部 いちぶ が地球 ちきゅう 周回 しゅうかい 軌道 きどう 上 じょう で集積 しゅうせき して月 つき が形成 けいせい されたとする。
この説 せつ を用 もち いると、以下 いか のことが説明 せつめい できる。
月 つき の質量 しつりょう が現在 げんざい 程度 ていど になること。
地球 ちきゅう ・月 がつ 系 けい の全角 ぜんかく 運動 うんどう 量 りょう が現在 げんざい 程度 ていど でも不思議 ふしぎ はないこと。
月 つき の比重 ひじゅう (3.34) が地球 ちきゅう の大陸 たいりく 地殻 ちかく を構成 こうせい する花崗岩 かこうがん (比重 ひじゅう 1.7 - 2.8)よりも大 おお きく、海洋 かいよう 地殻 ちかく を構成 こうせい する玄武岩 げんぶがん (比重 ひじゅう 2.9 - 3.2)に近 ちか いこと[要 よう 出典 しゅってん ] 。
地球 ちきゅう と比 くら べて揮発 きはつ 性 せい 元素 げんそ が欠乏 けつぼう していること。月形 つきがた 成 しげる 環境 かんきょう が高温 こうおん であったことで説明 せつめい できる。
月 つき のコア が小 ちい さいこと。地球 ちきゅう やテイアのマントルを主 おも とする軽 かる い物質 ぶっしつ が集積 しゅうせき したとすれば説明 せつめい できる。
一方 いっぽう で、詳細 しょうさい な計算 けいさん によると月 つき 岩石 がんせき の同位 どうい 体 からだ 比 ひ は巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ で説明 せつめい しづらいことが示 しめ されている。巨 きょ 大 だい 衝突 しょうとつ の数値 すうち 計算 けいさん 結果 けっか から、月 つき 質量 しつりょう を再現 さいげん する標準 ひょうじゅん 的 てき な設定 せってい では、月 つき の成分 せいぶん の5分 ぶん の1は地球 ちきゅう に由来 ゆらい し、残 のこ る5分 ぶん の4は衝突 しょうとつ 天体 てんたい の物質 ぶっしつ が寄与 きよ することが分 わ かっている。しかしながら、実際 じっさい には、地球 ちきゅう と月 つき の岩石 がんせき の酸素 さんそ などの同位 どうい 体 からだ 比 ひ はほぼ同一 どういつ であることが知 し られており、巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ には物質 ぶっしつ 科学 かがく 的 てき な困難 こんなん が存在 そんざい する。
これに対 たい して、衝突 しょうとつ 時 じ の原始 げんし 地球 ちきゅう はマグマの海 うみ に覆 おお われており、その物質 ぶっしつ が効率 こうりつ よく地球 ちきゅう 周回 しゅうかい 軌道 きどう へと飛散 ひさん することで月 つき の主成分 しゅせいぶん となり、同位 どうい 体 からだ 比 ひ の類似 るいじ 性 せい が説明 せつめい できるという仮説 かせつ が提唱 ていしょう されている[36] [37] 。
このほか、次 つぎ の複数 ふくすう 衝突 しょうとつ 説 せつ が提唱 ていしょう されている[38] 。
複数 ふくすう 衝突 しょうとつ 説 せつ
複数 ふくすう 衝突 しょうとつ 説 せつ は、月 つき は巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ が唱 とな えるように1回 かい の大 だい 規模 きぼ 衝突 しょうとつ によって形成 けいせい されたのではなく、微 ほろ 惑星 わくせい の小 ちい さな衝突 しょうとつ が20回 かい 程度 ていど 繰 く り返 かえ されて月形 つきがた 成 しげる がなされたとする説 せつ である。このシナリオでは、衝突 しょうとつ のたびに原始 げんし 地球 ちきゅう の周囲 しゅうい にデブリ 円盤 えんばん が形成 けいせい され、円盤 えんばん 物質 ぶっしつ の集積 しゅうせき で小 しょう 衛星 えいせい が形成 けいせい される。こうした小 しょう 衛星 えいせい の数々 かずかず は最終 さいしゅう 的 てき に合体 がったい し、単一 たんいつ の月 つき が形成 けいせい される[38] [39] 。
複数 ふくすう 衝突 しょうとつ 説 せつ によると、単独 たんどく の衝突 しょうとつ よりも地球 ちきゅう から多 おお くの物質 ぶっしつ がえぐり取 と るような衝突 しょうとつ が考慮 こうりょ できる。これに加 くわ えて、多数 たすう の小 しょう 衛星 えいせい 組成 そせい の平均 へいきん が最終 さいしゅう 的 てき な月 つき 組成 そせい となることから、単一 たんいつ 衝突 しょうとつ シナリオよりも月 つき 組成 そせい を地球 ちきゅう に類似 るいじ させやすいとされる[38] [39] 。また、月 つき 質量 しつりょう 以上 いじょう の周 しゅう 地球 ちきゅう デブリ円盤 えんばん を作 つく る必要 ひつよう がないため、単一 たんいつ の衝突 しょうとつ で月 つき を作 つく るよりも緩 ゆる い条件 じょうけん で月形 つきがた 成 しげる を達成 たっせい できるという利点 りてん もある[39] 。
なお、巨大 きょだい 衝突 しょうとつ 説 せつ や複数 ふくすう 衝突 しょうとつ 説 せつ 以外 いがい の月 つき の形成 けいせい に関 かん する新 あら たな学説 がくせつ として「月 つき は2つあった」とする学説 がくせつ が提示 ていじ されている[40] 。
月齢 げつれい と呼 よ び名 な
中心 ちゅうしん の青 あお い球体 きゅうたい が地球 ちきゅう 、図 ず の右 みぎ 方 かた に太陽 たいよう があり、地球 ちきゅう の周 まわ りに配置 はいち される球体 きゅうたい が1か月 げつ 間 あいだ に公転 こうてん する月 つき の位置 いち を示 しめ す。図 ず の1の球体 きゅうたい が朔 ついたち の月 つき の位置 いち を示 しめ す。地球 ちきゅう から見 み て、月 つき と太陽 たいよう が同 おな じ方向 ほうこう にある。図 ず の3の球体 きゅうたい が上弦 じょうげん 、図 ず の5が望 もち 、図 ず の7が下弦 かげん の月 つき の位置 いち をそれぞれ示 しめ す。
地球 ちきゅう から見 み て、太陽 たいよう と月 つき が同 おな じ方向 ほうこう にある瞬間 しゅんかん を、朔 ついたち (さく)又 また は新月 しんげつ という。日本 にっぽん や中国 ちゅうごく の旧暦 きゅうれき で用 もち いられた太陰暦 たいいんれき ・太陰 たいいん 太陽暦 たいようれき では、朔 ついたち を含 ふく む日 ひ を月 つき 初 はつ (第 だい 1日 にち )とする[注 ちゅう 4] [注 ちゅう 5] 。
朔 ついたち からの経過 けいか 時間 じかん を日 にち 単位 たんい で表 あらわ した数値 すうち を月齢 げつれい という。朔 ついたち の瞬間 しゅんかん を月齢 げつれい 0として、朔 ついたち を含 ふく む日 ひ (朔日 さくじつ )を「1日 にち 」とするため、日本 にっぽん で用 もち いられる旧暦 きゅうれき の日付 ひづけ は、その日 ひ の午前 ごぜん 0時 じ の月齢 げつれい に1を足 た したものとなる[注 ちゅう 6] 。なお、通常 つうじょう 、カレンダーなどで示 しめ される月齢 げつれい は、当日 とうじつ 正午 しょうご 時点 じてん の数値 すうち である。例 たと えば、2009年 ねん 9月 がつ 19日 にち は日本 にっぽん 標準時 ひょうじゅんじ 午前 ごぜん 3時 じ 44分 ふん に朔 ついたち となるため、この時点 じてん が月齢 げつれい 0となり、同日 どうじつ は旧暦 きゅうれき 8月 がつ 1日 にち となる。朔 ついたち から24時 じ 間 あいだ 後 ご の同年 どうねん 9月 がつ 20日 にち 午前 ごぜん 3時 じ 44分 ふん には月齢 げつれい 1となる。カレンダーなどで示 しめ される月齢 げつれい は、それぞれ正午 しょうご 時点 じてん での数値 すうち となるため、2009年 ねん 9月 がつ 19日 にち は月齢 げつれい 0.3、翌 よく 20日 はつか の月齢 げつれい は1.3となる。
月 つき には、月 つき 相 しょう (月 つき の満 み ち欠 か け)に応 おう じて、様々 さまざま な名称 めいしょう がある。まず、天文学 てんもんがく 的 てき に用 もち いられる名称 めいしょう としては、「朔 ついたち 、上弦 じょうげん 、望 もち 、下弦 かげん 」の4つがある。太陽 たいよう と月 つき の黄 き 経 けい 差 さ が、それぞれ0度 ど の状態 じょうたい を朔 ついたち 、90度 ど を上弦 じょうげん 、180度 ど を望 もち 、270度 ど を下弦 かげん と呼 よ ぶ。なお、月 つき 相 しょう は通常 つうじょう 0度 ど から360度 ど までの角度 かくど で示 しめ されるが、月齢 げつれい との比較 ひかく を容易 ようい にするため、0度 ど から360度 ど までの角度 かくど を0から28までの整数 せいすう の値 ね に換算 かんさん して示 しめ すことがある。この場合 ばあい 、朔 ついたち は0、上弦 じょうげん は7、望 もち は14、下弦 かげん は21となる。この月 つき 相 しょう の数値 すうち と月齢 げつれい は必 かなら ずしも一致 いっち しない(詳細 しょうさい は月 つき 相 しょう を参照 さんしょう )。
このほか日本 にっぽん では、旧暦 きゅうれき の日付 ひづけ に対応 たいおう する名称 めいしょう (三日月 みかづき 、十三夜 じゅうさんや の月 つき 、十五夜 じゅうごや の月 つき 、十六夜 いざよい の月 つき など)や月 つき が見 み える時間 じかん 帯 たい に関 かん する名称 めいしょう (立待月 たちまちのつき 、居待月 いまちのつき 、寝待月 ねまちのつき 、夕 ゆう 月 がつ 、有明 ありあけ 月 がつ など)、形状 けいじょう に対応 たいおう する名称 めいしょう (満月 まんげつ 、弦月 げんげつ 、半月 はんつき 、弓張月 ゆみはりづき など)、年中 ねんじゅう 行事 ぎょうじ に関連 かんれん する名称 めいしょう (芋名月 いもめいげつ 、栗名月 くりめいげつ )など、月 つき には多 おお くの名称 めいしょう (月 つき 名 めい 、げつめい)がある。
旧暦 きゅうれき 15日 にち の月 つき (ほぼ満月 まんげつ )は日没 にちぼつ 頃 ごろ に昇 のぼ り、以後 いご 数 すう 日間 にちかん も夜間 やかん に上 のぼ るため月見 つきみ に適 てき しており、特 とく に様々 さまざま な名称 めいしょう が付 ふ された。日没 にちぼつ 後 ご しばらくしてから上 のぼ る旧暦 きゅうれき 16日 にち の月 つき は「いざよい」(ためらう、なかなか進 すす まないの意 い )、以後 いご 、「立待 たちまち 」(立 た って待 ま っていると出 で てくる)、「居 きょ 待 まち 」(座 すわ って待 ま っていると出 で てくる)、「寝 ね 待 まち 」(寝 ね て待 ま っていると出 で てくる)、「更 さら 待 まち 」(ふけまち。夜 よる が更 ふ けてから出 で てくる、あるいは更 さら に待 ま つと出 で てくる)と、月 つき の出 だし が遅 おそ くなるごとにふさわしい名称 めいしょう が付 つ けられている。なお、「夕 ゆう 月 がつ 」は日没 にちぼつ 前後 ぜんこう に見 み える月 つき の総称 そうしょう であり、「有明 ありあけ の月 つき 」は明 あ け方 がた になってもまだ残 のこ っている月 つき の総称 そうしょう である。
月 つき は毎日 まいにち 平均 へいきん 約 やく 50分 ふん ずつ遅 おく れて出 で るため、「月 つき の出 だし 」がない日 ひ や1日 にち に2回 かい 起 お こる日 ひ がある。そのため、月 つき の呼 よ び名 な は、旧暦 きゅうれき の日付 ひづけ ではなく朔日 さくじつ を1とする「月 つき の出 だし 」の回数 かいすう (月 つき の出 だし 数 すう ) によって決 き められる。そうしないと欠番 けつばん が出 で たり、同 おな じ月 がつ でも地域 ちいき により呼 よ び名 な が異 こと なったりするからである。なお、月 つき の出 だし の時刻 じこく が0時 じ 前後 ぜんこう になる旧暦 きゅうれき の24日 にち ごろ以降 いこう は、旧暦 きゅうれき の日付 ひづけ と月 つき の呼 よ び名 な が1日 にち ずれる ので注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。「月 つき の出 だし がない日 ひ 」といっても、その日 ひ に「月 つき の出 だし 」がないだけで月 つき が見 み えないわけではない。その日 ひ が始 はじ まる午前 ごぜん 0時 じ には既 すで に月 つき が出 で ているので、東 ひがし から月 つき が出 で る「月 つき の出 だし 」がないのである。
月 つき 相 しょう
およその月齢 げつれい
月 つき の出 だし 数 すう
主 おも な名称 めいしょう
0・朔 ついたち
0
1
新月 しんげつ
1
1
2
二日月 ふつかづき 、既 すんで 朔 ついたち (きさく)
2
2
3
三日月 みかづき (みかづき)
7・上弦 じょうげん
7.5
7
半月 はんつき 、七日 なのか 月 がつ 、弓張月 ゆみはりづき
12
12
13
十 じゅう 三日月 みかづき 、十三夜 じゅうさんや 月 がつ
13
13
14
十 じゅう 四 よん 日月 じつげつ 、小 しょう 望月 もちづき (こもちづき)、幾 いく 望 もち (きぼう)、待 まち 宵 よい の月 つき (まつよいのつき)
14・望 もち
14
15
十 じゅう 五 ご 日月 じつげつ 、十五夜 じゅうごや 、望月 もちづき (もちづき)、満月 まんげつ [注 ちゅう 7]
15
15
16
十六夜 いざよい (いざよい)、十 じゅう 六 ろく 日月 じつげつ 、既望 きぼう (きぼう)
16
16
17
十 じゅう 七 なな 日月 じつげつ 、立待月 たちまちのつき (たちまちづき)
17
17
18
十 じゅう 八 はち 日月 じつげつ 、居待月 いまちのつき (いまちづき)
18
18
19
十 じゅう 九 きゅう 日月 じつげつ 、寝待月 ねまちのつき (ねまちづき)、臥 が 待 まち 月 がつ (ふしまちづき)
19
19
20
二十日 はつか 月 がつ 、更 さら 待 まち 月 がつ (ふけまちづき)
21・下弦 かげん
22.5
23
半月 はんつき 、二 に 十 じゅう 三日月 みかづき 、弓張月 ゆみはりづき
月 つき の出入 でい り時刻 じこく の例 れい (2009年 ねん 9月 がつ 、時刻 じこく は日本 にっぽん 標準時 ひょうじゅんじ )
日付 ひづけ (旧暦 きゅうれき )
月齢 げつれい [注 ちゅう 8]
東京 とうきょう
京都 きょうと
説明 せつめい
月 つき の出 だし
月 つき の入 はい り
月 つき の出 だし
月 つき の出 だし 数 すう
月 つき の出 だし
月 つき の入 はい り
月 つき の出 だし
月 つき の出 だし 数 すう
9月 がつ 10日 とおか (7月 がつ 22日 にち )
20.7
10:45
20:46
22
10:59
21:04
22
東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、前日 ぜんじつ に出 で た月 つき が午前 ごぜん 10時 じ 台 だい に没 ぼっ し、午後 ごご 9時 じ 頃 ごろ にまた出 で てくる。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は1増 ふ える。
9月11日 にち (7月 がつ 23日 にち )
21.7
11:51
21:37
23
12:05
21:55
23
東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、前日 ぜんじつ に出 で た月 つき が正午 しょうご 頃 ごろ に没 ぼっ し、午後 ごご 9時 じ 台 だい にまた出 で てくる。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は1増 ふ える。
9月12日 にち (7月 がつ 24日 にち )
22.7
12:54
22:36
24
13:08
22:55
24
下弦 かげん 。半月 はんつき 。東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、前日 ぜんじつ に出 で た月 つき が午後 ごご 1時 じ 頃 ごろ に没 ぼっ し、午後 ごご 10時 じ 過 す ぎにまた出 で てくる。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。
9月13日 にち (7月 がつ 25日 にち )
23.7
13:51
23:44
25
14:06
-
東京 とうきょう では、前日 ぜんじつ に出 で た月 つき が午後 ごご 2時 じ 前 まえ に没 ぼっ した後 のち 、当日 とうじつ 中 ちゅう に再 ふたた び出 で てくる。そのため、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。これに対 たい して京都 きょうと では、前日 ぜんじつ に出 で た月 つき が午後 ごご 2時 じ 過 す ぎに没 ぼっ した後 のち 、当日 とうじつ 中 ちゅう には再 ふたた び月 がつ が出 で てこない。そのため、「月 つき の出 だし 数 すう 」は増 ふ えない。
9月14日 にち (7月 がつ 26日 にち )
24.7
14:42
-
0:02
14:56
25
東京 とうきょう では、前日 ぜんじつ に出 で た月 つき が午後 ごご 2時 じ 過 す ぎに没 ぼっ した後 のち 、当日 とうじつ 中 ちゅう には再 ふたた び月 がつ が出 で てこない。そのため、「月 つき の出 だし 数 すう 」は増 ふ えない。これに対 たい して京都 きょうと では、未明 みめい に出 で た月 つき が午後 ごご 3時 じ 前 まえ に没 ぼっ している。そのため、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。
9月15日 にち (7月 がつ 27日 にち )
25.7
0:55
15:25
26
1:14
15:40
26
東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、未明 みめい に出 で た月 つき が午後 ごご 3時 じ 台 だい に没 ぼっ する。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。
9月16日 にち (7月 がつ 28日 にち )
26.7
2:08
16:02
27
2:27
16:18
27
東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、未明 みめい に出 で た月 つき が午後 ごご 4時 じ 台 だい に没 ぼっ する。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。
9月17日 にち (7月 がつ 29日 にち )
27.7
3:21
16:36
28
3:39
16:51
28
東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、未明 みめい に出 で た月 つき が午後 ごご 4時 じ 台 だい に没 ぼっ する。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。
9月18日 にち (7月 がつ 30日 にち )
28.7
4:32
17:07
29
4:49
17:23
29
東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、未明 みめい に出 で た月 つき が午後 ごご 5時 じ 台 だい に没 ぼっ する。「月 つき の出 だし 」は 1回 かい なので、「月 つき の出 だし 数 すう 」は 1増 ふ える。
9月19日 にち (8月 がつ 1日 にち )
0.3
5:42
17:37
1
5:58
17:54
1
朔 ついたち 。新月 しんげつ 。東京 とうきょう ・京都 きょうと とも、日 ひ の出 で 後 ご に出 で た月 つき が午後 ごご 3時 じ 台 だい に没 ぼっ する。朔 ついたち となったので「月 つき の出 だし 数 すう 」は、 1に戻 もど る。
和 わ 暦 れき や中国 ちゅうごく 暦 れき の太陰 たいいん 太陽暦 たいようれき では、月 つき の約 やく 29.5日 にち の周期 しゅうき を大 だい の月 つき (30日間 にちかん )と小 しょう の月 つき (29日間 にちかん )で調整 ちょうせい する。このため、毎年 まいとし 月 がつ ごとの日数 にっすう が異 こと なり、煩雑 はんざつ で記憶 きおく できない。そこで、毎年 まいとし 、暦 こよみ (大小 だいしょう 暦 れき )を作成 さくせい して参照 さんしょう した。日本 にっぽん では、大小 だいしょう 暦 れき に絵 え を描 えが いたものが、後 のち に浮世絵 うきよえ になった。
月 つき の初日 しょにち ( 1日 にち )は「朔日 さくじつ (ついたち、さくじつ)」と呼 よ び、月 つき の最終 さいしゅう 日 び (29日 にち 又 また は30日 にち )は「晦日 みそか (みそか、つごもり)」と呼 よ ぶ。「ついたち」とは「月 つき 立 だ ち(つきたち)」、「つごもり」は「月 つき 隠 こも り(つきこもり)」が音 おと 変化 へんか した語 かたり である。また、一 いち 年 ねん の最終 さいしゅう 月 がつ の最終 さいしゅう 日 び (29日 にち 又 また は30日 にち )は、「大晦日 おおみそか (おおみそか、おおつごもり)」である。
日本 にっぽん の童謡 どうよう の「お月 げっ さん幾 いく つ、十 じゅう 三 さん ななつ」はこれだけでは意味 いみ 不明 ふめい であるが、沖縄 おきなわ 民謡 みんよう の童謡 どうよう 『月 つき ぬ美 うつく しゃ 』に由来 ゆらい するとの見方 みかた がある。そこでは「月 つき ぬかいしゃ、10日 とおか 3日 にち 。みやらびかいしゃ10ななつ」とあり、13日 にち の月 つき 、つまり成熟 せいじゅく 前 まえ が美 うつく しいとの意 い とされ、月齢 げつれい を年齢 ねんれい になぞらえている。
月齢 げつれい と人間 にんげん 的 てき 事象 じしょう の関連 かんれん 性 せい
現代 げんだい においても、詳細 しょうさい なデータなど明確 めいかく な根拠 こんきょ を示 しめ さず、テレビ・雑誌 ざっし などで、月齢 げつれい が、人間 にんげん の生理 せいり 的 てき 、精神 せいしん 的 てき な事象 じしょう (例 たと えば出産 しゅっさん や、自殺 じさつ 、殺人 さつじん 、交通 こうつう 事故 じこ の起 お こりやすさなど)に影響 えいきょう を及 およ ぼしているのではと語 かた られることがある。
月齢 げつれい と暴力 ぼうりょく 行為 こうい の因果 いんが 関係 かんけい については、2007年 ねん 初頭 しょとう にポーランド の科学 かがく 者 しゃ Michal Zimeckiが確認 かくにん したとされるが、その一方 いっぽう でシドニ しどに ー大学 だいがく とニューサウスウェールズ州 しゅう のManly病院 びょういん の研究 けんきゅう 者 しゃ らが、心理 しんり 学 がく 専門 せんもん 誌 し Australian and New Zealand Journal of Psychiatry 誌 し に1998年 ねん に発表 はっぴょう した内容 ないよう では「両者 りょうしゃ 間 あいだ に特別 とくべつ な関連 かんれん 性 せい はみられない 」とされたという。2007年 ねん 6月 がつ 5日 にち 、「満月 まんげつ の日 ひ には犯罪 はんざい が増 ふ える 」とイギリス の英 えい 南部 なんぶ サセックス州 しゅう 警察 けいさつ のある警察 けいさつ 署 しょ が発表 はっぴょう し、満月 まんげつ の日 ひ に警察官 けいさつかん を多 おお めに配置 はいち すべきだとの見解 けんかい を表明 ひょうめい したというが、懐疑 かいぎ 的 てき に見 み る人 ひと が多 おお かったという[41] 。
人間 にんげん との関係 かんけい 史 し
古代 こだい ギリシア
古代 こだい ギリシア の人々 ひとびと は、月食 げっしょく が起 お きるのは満月 まんげつ の時 とき であること、また月食 げっしょく 時 じ に月 つき の表面 ひょうめん に丸 まる い影 かげ が徐々 じょじょ に現 あらわ れることを観察 かんさつ して、それらのことからその影 かげ というのは自分 じぶん たちの住 す む地 ち の影 かげ で、地 ち は球体 きゅうたい であると推定 すいてい したといい、アリストテレース の時代 じだい (紀元前 きげんぜん 4世紀 せいき )には、その知識 ちしき はギリシア世界 せかい では広 ひろ く行 い き渡 わた っていたという。
古代 こだい ギリシアから中世 ちゅうせい にかけての宇宙 うちゅう 論 ろん 。(ペトルス・アピアヌス 画 が 、アントワープ 、1539年 ねん )
アリストテレースも地球 ちきゅう の周 まわ りを月 つき 、太陽 たいよう 、および他 た の惑星 わくせい が回 まわ っているという宇宙 うちゅう 論 ろん を説 と いた(地球 ちきゅう 中心 ちゅうしん 説 せつ )。
ギリシア神話 しんわ の月 つき の女神 めがみ は元々 もともと セレーネー であるが、後 のち にアルテミス やヘカテー と同一 どういつ 視 し され、月 つき が満 み ちて欠 か けるように3つの顔 かお を持 も つ女神 めがみ とされるようになった。ローマ神話 しんわ ではルーナ がセレーネーと、ディアーナ がアルテミスと同一 どういつ 視 し されたので、ここでも月 つき 神 しん は2つの顔 かお を持 も つとされた。これらの神 かみ 々は一般 いっぱん にあまり区別 くべつ されない。ルーナ Luna の名 な はロマンス語 ご ではそのまま月 がつ を表 あらわ す普通 ふつう 名詞 めいし となった。また、英語 えいご などではセレーネーから派生 はせい した selen- , seleno- という月 つき を表 あらわ す語根 ごこん ・接頭 せっとう 辞 じ が存在 そんざい する。元素 げんそ 周期 しゅうき 表 ひょう でテルル (地球 ちきゅう )の真上 まうえ に位置 いち し、あとから発見 はっけん されたセレン はこの語根 ごこん から命名 めいめい された。
ヨーロッパの伝統 でんとう 文化 ぶんか
古来 こらい より月 つき は太陽 たいよう と並 なら んで神秘 しんぴ 的 てき な意味 いみ を付加 ふか されてきた。ヨーロッパ文化 ぶんか 圏 けん では太陽 たいよう が金色 きんいろ ・黄色 おうしょく で表現 ひょうげん されるのに対 たい し、月 つき は銀色 ぎんいろ ・白 しろ で表 あらわ されることが多 おお い。西洋 せいよう では月 つき が人間 にんげん を狂気 きょうき に引 ひ き込 こ むと考 かんが えられ、英語 えいご で "lunatic "(ルナティック )とは気 き が狂 くる っていることを表 あらわ す。また満月 まんげつ の日 ひ に人 ひと 狼 おおかみ は人 ひと から狼 おおかみ に変身 へんしん し、魔女 まじょ たちは黒 くろ ミサ を開 ひら くと考 かんが えられていた。
北 きた ヨーロッパ では呪 のろ われて月 つき に送 おく られた男 おとこ と見立 みた てられており、『マザー・グース 』に収録 しゅうろく されたThe man in the moon は、その伝承 でんしょう を基 もと にしたものである[42] 。安息日 あんそくび を無視 むし して薪 たきぎ を背負 せお っていた、キャベツを盗 ぬす んだなど、男 おとこ が呪 のろ われた理由 りゆう は地域 ちいき によって異 こと なる。
この他 ほか 、月 つき の模様 もよう をカニ の姿 すがた や編 あ み物 もの をする老 ろう 婦人 ふじん とみたものがある。北 きた アメリカ 、東欧 とうおう では白 しろ い部分 ぶぶん を女性 じょせい の横顔 よこがお に見 み たてている。
西洋 せいよう 占星術 せんせいじゅつ
月 つき は七曜 しちよう ・九曜 くよう の1つで、10大 だい 天体 てんたい の1つである。
西洋 せいよう 占星術 せんせいじゅつ では、巨 きょ 蟹 かに 宮 みや の支配 しはい 星 ぼし で、吉 よし 星 ほし である。感受性 かんじゅせい を示 しめ し、母親 ははおや 、妻 つま 、女性 じょせい に当 あ てはまる[43] 。
イスラム文化 ぶんか
赤地 あかじ に白 しろ い三日月 みかづき と五 ご 芒 すすき 星 ぼし をあしらったトルコの国旗 こっき
トルコ共和 きょうわ 国 こく 、パキスタン 、モルディブ 、マレーシア などの国 くに では国旗 こっき に新月 しんげつ (一般 いっぱん 的 てき には三日月 みかづき と認識 にんしき されることが多 おお いが、地球 ちきゅう の北半球 きたはんきゅう から見 み る月 つき の向 む きから考 かんが えると新月 しんげつ 直前 ちょくぜん の27 - 28日 にち 月 がつ である)が描 えが かれている。これらの国 くに ではムスリム が国民 こくみん の圧倒的 あっとうてき 多数 たすう を占 し める、ないしイスラム教 いすらむきょう を国教 こっきょう としているため、新月 しんげつ はイスラム教 いすらむきょう の意匠 いしょう であると思 おも われることが多 おお いが誤解 ごかい である(偶像 ぐうぞう 崇拝 すうはい の禁止 きんし が定 さだ められているため、月 つき の崇拝 すうはい も禁 きん じられる)。コンスタンティノープル においては古 ふる くから新月 しんげつ がシンボルとして用 もち いられており、オスマン帝国 ていこく によってイスラム教 いすらむきょう 共通 きょうつう の意匠 いしょう として広 ひろ めようと試 こころ みられた。今日 きょう 、月 つき を国旗 こっき に採用 さいよう しているイスラム国家 こっか がそれほど多 おお くはないのは、帝国 ていこく の衰退 すいたい とともに独立 どくりつ した諸国 しょこく が、新月 しんげつ を採用 さいよう しなかったためとされる。太陰暦 たいいんれき であるイスラム暦 れき との関連 かんれん 性 せい を指摘 してき する説 せつ もある。
また、赤十字 せきじゅうじ 社 しゃ の十字 じゅうじ の意匠 いしょう は偶像 ぐうぞう 崇拝 すうはい を禁 きん ずるイスラム教 いすらむきょう ではキリスト教 きりすときょう 信徒 しんと のイエス崇拝 すうはい に繋 つな がるという理由 りゆう から長 なが らく忌避 きひ され続 つづ けてきたため、イスラム圏 けん では赤 あか 新月 しんげつ が用 もち いられ、名称 めいしょう も赤 あか 新月 しんげつ 社 しゃ としている。
東洋 とうよう の伝統 でんとう 文化 ぶんか
東洋 とうよう では、月 つき の海 うみ をウサギが餅 もち つき をしている姿 すがた に見立 みた てることがある(月 つき の兎 うさぎ )。月 つき とウサギとの由来 ゆらい はインド仏教 ぶっきょう 説話 せつわ 集 しゅう 『ジャータカ 』からとされる。古代 こだい 中国 ちゅうごく では、月 つき のことを玉 たま 兎 うさぎ (ぎょくと)と呼 よ ぶ。また、玉 たま 兎 うさぎ の他 ほか に仙女 せんにょ (嫦娥 じょうが )や蟾蜍 ひきがえる (ヒキガエル )だというい伝 いつた えもある。
中国 ちゅうごく の伝説 でんせつ では、月 つき には桂 かつら の木 き が生 は えているとされ、呉 ご 剛 つよし という男 おとこ が切 き ろうとしているとも言 い われる。また、夫 おっと の羿 を裏切 うらぎ った嫦娥 じょうが の変 へん じた蝦蟇 がま (ヒキガエル )が住 す んでいるともいわれる。そのほか、中国 ちゅうごく でも月 つき の模様 もよう をウサギの姿 すがた とする見方 みかた がある。また、月 つき の通 とお り道 みち にそって28の星座 せいざ を作 つく り、これを「二十八宿 にじゅうはっしゅく 」と呼 よ び、月 つき は1日 にち にこの星座 せいざ を1つずつ訪 たず ねて天空 てんくう を旅 たび していくと考 かんが えられていた。タイ には、月 つき の町 まち と呼 よ ばれるチャンタブリー県 けん があり、その県 けん 章 あきら には月 つき とウサギが描 えが かれている。
月 つき は陰 かげ の象徴 しょうちょう となり、女性 じょせい と連関 れんかん すると考 かんが えられていた。故 ゆえ に月経 げっけい と呼 よ ばれた[要 よう 出典 しゅってん ] 。
日本 にっぽん
『古事記 こじき 』では黄泉 よみ の国 くに から戻 もど ったイザナギ が禊 みそぎ を行 おこな った時 とき に右目 みぎめ を洗 あら った際 さい に生 う まれたツクヨミ (月読 つきよみ の命 いのち )が月 つき の神格 しんかく であり、夜 よる を治 おさ めるとされている。同時 どうじ に左目 ひだりめ から生 う まれたのがアマテラス で、太陽 たいよう の女神 めがみ である。
『竹 たけ 取 と 物語 ものがたり 』では竹 たけ から生 う まれた絶世 ぜっせい の美女 びじょ かぐや姫 ひめ は、月 つき の出身 しゅっしん と明 あ かし、月 つき に帰 かえ っていった。他 た に、『今昔 こんじゃく 物語 ものがたり 集 しゅう 』の天竺 てんじく 部 ぶ に記 しる されている「三 さん 獣 じゅう 、菩薩 ぼさつ の道 みち を修行 しゅぎょう し、兎 うさぎ が身 み を焼 や く語 かたり (こと)」という説話 せつわ の結末 けつまつ で、帝釈天 たいしゃくてん が火 ひ の中 なか に飛 と び込 こ んだウサギ を月 つき の中 なか に移 うつ したとされており[44] 、日本 にっぽん にも月 つき にはウサギ が住 す んでいるというい伝 いつた えがある。
月見 つきみ
主 おも に秋 あき 、月 つき を愛 め でる行事 ぎょうじ 。代表 だいひょう 的 てき なものとして、中秋 ちゅうしゅう の名月 めいげつ ・十五夜 じゅうごや がある。なお中秋 ちゅうしゅう の名月 めいげつ は満月 まんげつ とは限 かぎ らない。旧暦 きゅうれき 8月(グレゴリオ暦 れき 9月 がつ 頃 ごろ )は乾燥 かんそう して月 つき が鮮 あざ やかに見 み え、また月 つき の昇 のぼ る高 たか さもほどよく、気候 きこう 的 てき にも快適 かいてき なため観月 みづき に良 よ い時節 じせつ とされた。
季語 きご としての月 つき
俳句 はいく の世界 せかい で単 たん に「月 つき 」と言 い った場合 ばあい 、それは秋 あき の月 つき をさし、それ以外 いがい の季 き 節 ぶし の月 つき は「春 はる の月 つき 」「夏 なつ の月 つき 」「梅雨 つゆ の月 つき 」「盆 ぼん の月 つき 」「冬 ふゆ の月 つき 」などと呼 よ び区別 くべつ する。秋 あき の月 つき は、春 はる の花 はな に対 たい して、冬 ふゆ の雪 ゆき とともに雪月花 せつげっか とよばれる「三 さん 大 だい 季語 きご 」の一 ひと つである。「木 こ の間 ま よりもりくる月 つき のかげ見 み れば心 こころ づくしの秋 あき は来 き にけり 」よみ人 じん しらず (『古今 ここん 和歌集 わかしゅう 』)、「月 つき 見 み れば千々 ちじ にものこそかなしけれ我 わ が身 み ひとつの秋 あき にはあらねど 」大江 おおえ 千里 せんり (同 どう )など、秋 あき の月 つき を賞 しょう し、月 つき に物思 ものおも うこころは古 ふる くから和歌 わか に作 つく られている。
傍題 ぼうだい
上弦 じょうげん
下弦 かげん (かげん・げげん)
弓張月 ゆみはりづき (片割月 かたわれづき ・弦月 げんげつ ・半月 はんつき )
月 つき の舟 ふね
月 つき の弓 ゆみ
上 のぼ り月 がつ
下 くだ り月 がつ (降 ふ り月 がつ ・望 もち くだり)
有明 ありあけ (有明 ありあけ 月 がつ )
朝月 あさつき (朝 ちょう 月夜 づきよ (あさづくよ))
パラオ
パラオの国旗 こっき
パラオの国旗 こっき は、明 あか るい青 あお の上 うえ に黄金 おうごん 色 しょく の満月 まんげつ を描 えが いている。シンプルなデザインではあるが、パラオ の人々 ひとびと にとっては特別 とくべつ な意味 いみ を含 ふく んでいる。黄金 おうごん 色 しょく の月 つき は、パラオ人 じん の機 き が熟 じゅく し独立 どくりつ 国 こく となったことを表 あらわ し、また月 つき はパラオの人々 ひとびと にとって収穫 しゅうかく や、自然 しぜん の循環 じゅんかん 、年中 ねんじゅう 行事 ぎょうじ に重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしている。
ネイティブアメリカン
ネイティブアメリカン (インディアン)には、月 つき の模様 もよう を女性 じょせい の顔 かお と見 み る慣習 かんしゅう がある。
月 つき を見 み ることに関 かん する伝承 でんしょう
北欧 ほくおう において「妊娠 にんしん した女性 じょせい は月 つき を見 み てはいけない」、あるいは「イヌイット の娘 むすめ は月 つき を見 み ると妊娠 にんしん するから月 つき を見 み ない」、アイスランド において「子供 こども が精神 せいしん 障害 しょうがい になるから妊 にん 婦 ふ が月 つき に顔 かお を向 む けてはいけない」など、女性 じょせい が月 つき を見 み ることを禁忌 きんき とした伝承 でんしょう はいくつかある。
17世紀 せいき 以降 いこう の月 つき 理学 りがく の発展 はってん
ガリレオ・ガリレイ のスケッチ (1610年 ねん )
「月 つき の研究 けんきゅう は望遠鏡 ぼうえんきょう による観察 かんさつ と、月面 げつめん 図 ず の作成 さくせい という形 かたち で始 はじ まった[要 よう 出典 しゅってん ] 。これを月 つき 理学 りがく と呼 よ ぶ。
最初 さいしょ の月面 げつめん 図 ず を作成 さくせい したのはイギリスのウィリアム・ギルバート だと考 かんが えられている[要 よう 出典 しゅってん ] 。ウィリアム・ギルバート は1603年 ねん に亡 な くなっており、観察 かんさつ 自体 じたい は1600年 ねん 頃 ころ のものだと考 かんが えられている。月面 げつめん 図 ず 自体 じたい が出版 しゅっぱん されたのは1651年 ねん と遅 おそ かった。ギルバートの観察 かんさつ は裸眼 らがん によるものであり、月 つき 理学 りがく のさきがけと言 い える。最初 さいしょ に望遠鏡 ぼうえんきょう で月面 げつめん を観測 かんそく したのは、イギリスのトーマス・ハリオット であった。ハリオットの月面 げつめん 図 ず は1609年 ねん 7月 がつ に作成 さくせい された。ガリレオ・ガリレイ による有名 ゆうめい なスケッチは1610年 ねん に描 えが かれ、同年 どうねん 3月 がつ 13日 にち に出版 しゅっぱん された「星 ほし 界 かい の報告 ほうこく 」で発表 はっぴょう されている。先駆 せんく 者 しゃ の仕事 しごと と比較 ひかく すると、特徴 とくちょう 的 てき な地形 ちけい を精密 せいみつ に描 えが いたこと、「山 やま 」の影 かげ の長 なが さを計測 けいそく し、「標高 ひょうこう 」を推定 すいてい したことにおいて優 すぐ れている。彼 かれ の計測 けいそく により、月面 げつめん の山 やま が地球 ちきゅう 上 かみ の山 やま よりも高 たか いことが分 わ かった。[要 よう 出典 しゅってん ]
月 つき 旅行 りょこう を描 えが いた小説 しょうせつ
ギリシャ時代 じだい に書 か かれたルキアノス の『イカロ・メニッパス』では、翼 つばさ をつけてオリンポス山 さん から飛 と び上 あ がることで月 つき に行 い く様子 ようす が描 えが かれている。
シラノ・ド・ベルジュラック も1656年 ねん に『月世界 げっせかい 旅行 りょこう 記 き 』を書 か いている。ムルタ・マクダーモット は1728年 ねん に『A Trip to the Moon』を出版 しゅっぱん した[45] 。
1865年 ねん 、1870年 ねん にはフランス の作家 さっか ジュール・ヴェルヌ は小説 しょうせつ 『月世界 げっせかい 旅行 りょこう 』を発表 はっぴょう した。これは、南北戦争 なんぼくせんそう 終了 しゅうりょう 後 ご のアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく において、「大砲 たいほう クラブ」なる火器 かき の専門 せんもん 家集 かしゅう 団 だん が巨大 きょだい な大砲 たいほう を製造 せいぞう して、人間 にんげん が入 はい った大 おお きな砲弾 ほうだん に着陸 ちゃくりく ・帰還 きかん 用 よう のロケットエンジンを搭載 とうさい して月 つき に撃 う ち込 こ むことで人 ひと を送 おく り込 こ もうとする、という物語 ものがたり である[注 ちゅう 9] 。
1901年 ねん には『月世界 げっせかい 最初 さいしょ の人間 にんげん 』がハーバート・ジョージ・ウェルズ によって著 あらわ された。
そのほかにも、ジョン・W・キャンベル 『月 つき は地獄 じごく だ!』やロバート・A・ハインライン 『月 つき を売 う った男 おとこ 』のように初 はつ の月面 げつめん 到達 とうたつ を描 えが いた小説 しょうせつ はいくつも書 か かれている。
日本 にっぽん では1882年 ねん 6月 がつ に貫 ぬき 名 めい 駿一 しゅんいち が『星 ほし 世界 せかい 旅行 りょこう 千万無量 せんまんむりょう 』[46] 、1888年 ねん に井口 いぐち 元一 げんいち 郎 ろう が『夢幻 むげん 現象 げんしょう 政 せい 海 うみ 之 の 破裂 はれつ 』[47] 、1906年 ねん に羽化 うか 仙 せん 史 し が『月世界 げっせかい 探検 たんけん 』[48] 、1915年 ねん には石松 ひかげのかずら 夢 ゆめ 人 じん が『怪 かい 飛行 ひこう 艇 てい 月世界 げっせかい 旅行 りょこう 』を著 あらわ した[49] 。
冷戦 れいせん 時代 じだい の無人 むじん 探査 たんさ と有人 ゆうじん 探査 たんさ
冷戦 れいせん の影響 えいきょう 下 か で、有人 ゆうじん 探査 たんさ にむけてアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく とソビエト連邦 れんぽう の間 あいだ で熾烈 しれつ な競争 きょうそう (宇宙 うちゅう 開発 かいはつ 競争 きょうそう 、スペース・レース)が行 おこな われた。当初 とうしょ 宇宙 うちゅう 開発 かいはつ 競争 きょうそう はソ連 それん が先行 せんこう しており、人類 じんるい 初 はつ の有人 ゆうじん 宇宙 うちゅう 飛行 ひこう は1961年 ねん 4月 がつ 12日 にち 、ソ連 それん のボストーク1号 ごう に乗 の るユーリ・ガガーリン により行 おこな われ、初 はじ めて地球 ちきゅう 周回 しゅうかい 軌道 きどう に入 はい った。これに対抗 たいこう してアメリカも宇宙 うちゅう 開発 かいはつ を進 すす めており、有人 ゆうじん 宇宙 うちゅう 飛行 ひこう 計画 けいかく としてマーキュリー計画 けいかく が進 すす められていた。
月 つき に接近 せっきん した最初 さいしょ の人工 じんこう 物体 ぶったい は、ソビエト連邦 れんぽう のルナ計画 けいかく によって打 う ち上 あ げられた無人 むじん 探査 たんさ 機 き ルナ1号 ごう で、1959年 ねん 1月 がつ に月 つき 近傍 きんぼう 5,995 kmを通過 つうか した。ソビエト連邦 れんぽう は引 ひ き続 つづ き無人 むじん 探査 たんさ 機 き ルナ2号 ごう で月面 げつめん 到達 とうたつ に成功 せいこう した。ルナ2号 ごう は1959年 ねん 9月13日 にち に月面 げつめん へ着陸 ちゃくりく ・衝突 しょうとつ している。月 つき の裏側 うらがわ を初 はじ めて観測 かんそく したのは1959年 ねん 10月7日 にち に裏側 うらがわ の写真 しゃしん を撮影 さつえい したルナ3号 ごう 。初 はじ めて軟着陸 なんちゃくりく に成功 せいこう したのはルナ9号 ごう で、1966年 ねん 2月 がつ 3日 にち に着陸 ちゃくりく し月面 げつめん からの写真 しゃしん を送信 そうしん してきた。1966年 ねん 3月31日 にち に打 う ち上 あ げられたルナ10号 ごう は初 はじ めて月 つき の周回 しゅうかい 軌道 きどう に乗 の った。
月面 げつめん を歩 ある くバズ・オルドリン 1969年 ねん 7月 がつ 20日 はつか
しかし、人間 にんげん を月 つき に送 おく ることに成功 せいこう したのはアメリカである。アメリカは1959年 ねん 3月3日 にち に打 う ち上 あ げられたパイオニア4号 ごう で初 はじ めて月 つき の無人 むじん 探査 たんさ に成功 せいこう し、1961年 ねん 5月 がつ 25日 にち に行 おこ なわれた「アメリカは10年 ねん 以内 いない にアメリカ人 じん を月 つき に送 おく り、無事 ぶじ 地球 ちきゅう に帰還 きかん させることを約束 やくそく すべきだと信 しん じます。」というケネディ 大統領 だいとうりょう の声明 せいめい もあって、ジェミニ計画 けいかく を経 へ てアポロ計画 けいかく が行 おこな われることとなった。レインジャー計画 けいかく (衝突 しょうとつ )、サーベイヤー計画 けいかく (軟着陸 なんちゃくりく )、ルナ・オービター計画 けいかく (周回 しゅうかい )などにより有人 ゆうじん 機 き の着陸 ちゃくりく に適 てき した場所 ばしょ が選 えら ばれ、1969年 ねん 7月 がつ 20日 はつか 、アポロ11号 ごう が静 しず かの海 うみ に着陸 ちゃくりく しニール・アームストロング 船長 せんちょう が人類 じんるい で初 はじ めて月面 げつめん に降 お り立 た った。このアポロ計画 けいかく は1972年 ねん のアポロ17号 ごう まで続 つづ けられた。なお、アポロ13号 ごう は事故 じこ (液化 えきか 酸素 さんそ タンクの爆発 ばくはつ )により、月面 げつめん に着陸 ちゃくりく せずに、月 つき 軌道 きどう を周回 しゅうかい して不要 ふよう になったロケットパーツを月 つき に落下 らっか させて人工 じんこう 地震 じしん を起 お こさせただけで、地球 ちきゅう に帰還 きかん した(帰還 きかん のミッション は非常 ひじょう に困難 こんなん なものであった)。
しかしこのような探査 たんさ には高度 こうど な技術 ぎじゅつ と莫大 ばくだい な費用 ひよう が必要 ひつよう であり、アメリカではアポロ20号 ごう まで予定 よてい されていたが、予算 よさん の削減 さくげん で17号 ごう で終 お わった。ソ連 それん は1970年 ねん から1974年 ねん にかけて、ルナ16号 ごう 、20号 ごう 、24号 ごう で月 つき の土壌 どじょう を採取 さいしゅ し地球 ちきゅう へ持 も ち帰 かえ ること に成功 せいこう 、ルナ17号 ごう 、21号 ごう で無人 むじん 月面 げつめん 車 しゃ を送 おく り込 こ んだが、有人 ゆうじん 月面 げつめん 探査 たんさ 計画 けいかく であるソユーズL3計画 けいかく は1974年 ねん 6月 がつ 23日 にち 、正式 せいしき に中止 ちゅうし が決定 けってい した。
アポロ計画 けいかく 終了 しゅうりょう 以後 いご
アポロ計画 けいかく 終了 しゅうりょう 以後 いご 人類 じんるい は月面 げつめん を歩 ある いていないが、各国 かっこく による無人 むじん 探査 たんさ が行 おこな われている。2004年 ねん 2月 がつ 、アメリカ大統領 だいとうりょう ジョージ・W・ブッシュ は2020年 ねん までに再 ふたた び月 がつ に人類 じんるい を送 おく り込 こ む計画 けいかく を発表 はっぴょう し、NASAによりコンステレーション計画 けいかく が発表 はっぴょう されたが、後 のち に予算 よさん の圧迫 あっぱく などを理由 りゆう に中止 ちゅうし されている。その他 た には、欧州 おうしゅう 宇宙 うちゅう 機関 きかん (ESA)、中国 ちゅうごく 国家 こっか 航 こう 天 てん 局 きょく (CNSA)、日本 にっぽん の宇宙 うちゅう 航空 こうくう 研究 けんきゅう 開発 かいはつ 機構 きこう (JAXA)、インド宇宙 うちゅう 研究 けんきゅう 機関 きかん (ISRO) でも月 つき 探査 たんさ 計画 けいかく がある。
中国 ちゅうごく は月面 げつめん 探査 たんさ に積極 せっきょく 的 てき な姿勢 しせい をとっており、特 とく に月面 げつめん でヘリウム の同位 どうい 体 たい であるヘリウム3 の発掘 はっくつ を行 おこな い地球 ちきゅう でエネルギー資源 しげん として用 もち いることを狙 ねら っていると言 い われる。2019年 ねん には探査 たんさ 機 き 嫦娥 じょうが 4号 ごう が月 つき の裏側 うらがわ に着陸 ちゃくりく した。
日本 にっぽん ではLUNAR-A とSELENE(かぐや) の2つの計画 けいかく があり、月 つき 探査 たんさ 計画 けいかく LUNAR-Aではペネトレータと呼 よ ばれる槍 やり 状 じょう の探査 たんさ 機器 きき を月面 げつめん に打 う ち込 こ み、月 つき の内部 ないぶ 構造 こうぞう を探 さぐ る計画 けいかく だったが、2007年 ねん に計画 けいかく 中止 ちゅうし が決 き まった。月 つき 探査 たんさ 周回 しゅうかい 衛星 えいせい 計画 けいかく SELENEは月 つき の起源 きげん と進化 しんか の解明 かいめい のためのデータを取得 しゅとく することと、将来 しょうらい の月 つき 探査 たんさ に向 む けての技術 ぎじゅつ の取得 しゅとく を目的 もくてき としている。2007年 ねん 9月14日 にち に打 う ち上 あ げられ、2009年 ねん 6月11日 にち まで月 つき を周回 しゅうかい してデータを集 あつ めた。
なお2006年 ねん には、それまで解析 かいせき されずに放置 ほうち されていたアポロ観測 かんそく データが発掘 はっくつ された[50] 。この観測 かんそく データの解析 かいせき の結果 けっか 、従来 じゅうらい の知見 ちけん を覆 くつがえ すような結果 けっか が得 え られ始 はじ めている。このアポロ観測 かんそく データと日本 にっぽん のかぐやなど、世界 せかい の月 つき 周回 しゅうかい 探査 たんさ 衛星 えいせい による観測 かんそく データを合 あ わせた解析 かいせき によって、より月 つき の起源 きげん について理解 りかい が深 ふか まることが期待 きたい される。
また、より長期 ちょうき の計画 けいかく として月面 げつめん 基地 きち 建設 けんせつ の構想 こうそう もある。NASAは2006年 ねん 12月、上記 じょうき のコンステレーション計画 けいかく の一 ひと つとして2020年 ねん までに月面 げつめん 基地 きち の建設 けんせつ を開始 かいし し、2024年 ねん 頃 ころ には長期 ちょうき 滞在 たいざい を可能 かのう とする計画 けいかく を発表 はっぴょう したが、こちらも中止 ちゅうし されている。またロシア連邦 れんぽう 宇宙 うちゅう 局 きょく は2007年 ねん 8月 がつ 、2025年 ねん までの有人 ゆうじん 月面 げつめん 着陸 ちゃくりく と、2028年 ねん - 2032年 ねん の月面 げつめん 基地 きち 建設 けんせつ を柱 はしら とした長期 ちょうき 計画 けいかく を発表 はっぴょう した。JAXAの長期 ちょうき 計画 けいかく にも有人 ゆうじん の月面 げつめん 基地 きち が含 ふく まれる。
各国 かっこく が月 つき での開発 かいはつ を行 おこな うにあたり、安全 あんぜん に首尾 しゅび よく探査 たんさ するため、そして、政治 せいじ 的 てき 緊張 きんちょう を緩和 かんわ し、事故 じこ を防止 ぼうし するため、過去 かこ 現在 げんざい 将来 しょうらい に渡 わた る「月 つき 活動 かつどう 登録 とうろく 簿 ぼ 」を作成 さくせい することをオープン・ルナー・ファウンデーション[51] が提案 ていあん している[52] 。
1990年代 ねんだい 以降 いこう の月 つき 探査 たんさ 機 き 一覧 いちらん
地名 ちめい
クレーター
山 やま ・山脈 さんみゃく
海 うみ ・大洋 たいよう
その他 た
物理 ぶつり 学 がく の未 み 解決 かいけつ 問題 もんだい
月 つき の離 はなれ 心 しん 率 りつ の増大 ぞうだい : 月 つき は潮汐 ちょうせき 摩擦 まさつ によってゆっくり遠 とお ざかっているが、同時 どうじ に軌道 きどう が少 すこ しずつひしゃげていることがレーザー観測 かんそく から判明 はんめい している。力学 りきがく 的 てき モデルとは一致 いっち しないこの離 はなれ 心 しん 率 りつ のわずかな拡大 かくだい の原因 げんいん は何 なに か?という未 み 解決 かいけつ 問題 もんだい があり、天文学 てんもんがく の研究 けんきゅう 者 しゃ および物理 ぶつり 学者 がくしゃ による議論 ぎろん があるものの解決 かいけつ には至 いた っていない。
脚注 きゃくちゅう
注釈 ちゅうしゃく
^ 「月 つき 」は「他 た の惑星 わくせい の衛星 えいせい 」という意味 いみ がある[8] 。
^ 「コヨミ」は「カヨミ(日 ひ を読 よ むこと)」が転 てん じた語彙 ごい という説 せつ が有力 ゆうりょく である[9] 。
^ 地球 ちきゅう から見 み て月 つき が±7°程度 ていど 秤 ばかり 動 どう して見 み える以上 いじょう 、月 つき から見 み ればその角度 かくど だけ地球 ちきゅう の視 み 位置 いち が変化 へんか していることであり、「月 つき から見 み て地球 ちきゅう は天空 てんくう の一 いち 点 てん に静止 せいし して見 み える」というのは誤 あやま りである。特 とく に、秤 ばかり 動 どう により地球 ちきゅう から月面 げつめん の59%が観測 かんそく できるということは、地球 ちきゅう が見 み えたり沈 しず んだりする月面 げつめん 上 じょう の場所 ばしょ も存在 そんざい することを意味 いみ する。月 つき 周回 しゅうかい 軌道 きどう の宇宙船 うちゅうせん や観測 かんそく 機 き でなくとも、月面 げつめん 上 じょう で地球 ちきゅう の出 だし ・地球 ちきゅう の入 い りは観測 かんそく できる。ただし、地球 ちきゅう で見 み える日出 にっしゅつ ・日没 にちぼつ や月出 つきで ・月 がつ 没 ぼつ と違 ちが い、地球 ちきゅう の出 だし と地球 ちきゅう の入 い りはほぼ同 おな じ方位 ほうい となる。
^ 太陰暦 たいいんれき をもとにしたローマ暦 れき では、月 つき 初 はつ を「カレンダエ (Kalendae)」、月 つき の第 だい 13日 にち 又 また は第 だい 15日 にち を「イードゥース (Īdūs)」、その9日 にち 前 まえ の第 だい 5日 にち 又 また は第 だい 7日 にち を「ノーナエ (Nōnae)」と呼 よ び、この3日 にち を特別 とくべつ 視 し した。ただし、ローマ暦 れき における月 つき の第 だい 1日 にち は、必 かなら ずしも新月 しんげつ とは一致 いっち しない(参照 さんしょう :ローマ暦 れき #ローマ暦 れき の日付 ひづけ の数 かぞ え方 かた )。
^ 太陰 たいいん 太陽暦 たいようれき をもとにしたユダヤ暦 れき では、月 つき の第 だい 1日 にち を「ローシュ・ホーデッシュ Rōš Hōdheš 」と呼 よ んだ。
^ ただし、朔日 さくじつ を除 のぞ く。朔日 さくじつ の午前 ごぜん 0時 じ 時点 じてん では朔 ついたち を迎 むか えていないため、いまだ月齢 げつれい 0となっていないからである。
^ 必 かなら ず十五夜 じゅうごや に満月 まんげつ (望 もち )になるわけではない。太陰 たいいん 太陽暦 たいようれき では、15日 にち と16日 にち とが半々 はんはん くらいである。たまに、17日 にち の未明 みめい が満月 まんげつ になることがある(例 たと えば、2015年 ねん 6月 がつ 3日 にち )。
^ 日本 にっぽん 標準時 ひょうじゅんじ 正午 しょうご 時点 じてん の月齢 げつれい 。
^ 大砲 たいほう を使用 しよう して宇宙 うちゅう へ行 い くという概念 がいねん はヴェルヌよりも137年 ねん 早 はや くムルタ・マクダーモット が自身 じしん の著作 ちょさく に記 しる していた。また、当時 とうじ 、既 すで に兵器 へいき としてではあったものの、ロケット は存在 そんざい しており、宇宙 うちゅう 旅行 りょこう の道具 どうぐ としてシラノ・ド・ベルジュラック やアシール・エアーオード の作品 さくひん でも移動 いどう 手段 しゅだん としてロケットが扱 あつか われていた。
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参考 さんこう 文献 ぶんけん
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