感想かんそう戦せん

感想かんそう戦せん（かんそうせん）とは、囲碁いご、将棋しょうぎ、チェス、麻雀まーじゃんなどのゲームにおいて、対局たいきょく終了しゅうりょう後ごに、開始かいしから終局しゅうきょくまで、またはその一部いちぶを再現さいげんし、対局たいきょく中ちゅうの着手ちゃくしゅの善悪ぜんあくや、その局面きょくめんにおける最善さいぜん手しゅなどを検討けんとうすることである。なお、「感想かんそう戦せん」は本来ほんらい将棋しょうぎ用語ようごであり、囲碁いごでは通常つうじょう「局きょく後ごの検討けんとう」という言葉ことばが使用しようされることが多おおい（NHK杯はいの司会しかい者しゃもそのようない方いかたをしている）。

概要がいよう

感想かんそう戦せんは双方そうほうの対局たいきょく者しゃの間あいだで行おこなわれるが、対局たいきょく者しゃ以外いがいの観戦かんせん者しゃも参加さんかすることが多おおい。対局たいきょくの再現さいげんが必要ひつようとなるため、棋譜きふを記録きろくするか、記憶きおくしておく必要ひつようがある。プロの囲碁いご・将棋しょうぎの棋士きしは、大抵たいていはその対局たいきょくの棋譜きふをすべて記憶きおくしている。

囲碁いご・将棋しょうぎにおいては、プロの公式こうしき戦せんでは感想かんそう戦せんはほとんどの場合ばあいに行おこなわれ、アマチュアでも高段こうだん者しゃ、上級じょうきゅう者しゃの対局たいきょくでは感想かんそう戦せんが行おこなわれることが多おおい。感想かんそう戦せんを行おこなうことによって、一いち局きょくを客観きゃっかん的てきに見直みなおすことができ、棋力きりょくの向上こうじょうにつながるためである。

チェスで感想かんそう戦せんに当あたる行為こういはpost mortemといい、コントラクトブリッジの試合しあいでもこの語かたりが使用しようされる。大だい規模きぼな競技きょうぎ会かいでは、対局たいきょくを続つづけている人ひとの邪魔じゃまにならないように、検討けんとう用ようの大部屋おおべやが別途べっと用意よういされていることもある。

囲碁いごでは対局たいきょく後ごに行おこなわずに帰かえっても問題もんだいとされることはない。チェスでは重要じゅうような大会たいかいでは行おこなわれるが、時間じかん的てきな余裕よゆうがない場合ばあいは省略しょうりゃくしてもよく、大会たいかいによって異ことなる。

将棋しょうぎではルール上じょう明文化めいぶんかされているわけではないので、感想かんそう戦せんを拒否きょひして帰かえっても特とくにペナルティはない。実際じっさい、プロの公式こうしき戦せんでも体調たいちょう不良ふりょう等とうを理由りゆうに感想かんそう戦せんを拒否きょひしたり、手短てみじかに済すませるケースがある。しかし観戦かんせん記者きしゃがいる対局たいきょくにおける感想かんそう戦せんは記者きしゃに対たいするサービスという側面そくめんもあるため、行おこなわれないのは異例いれいとされる。以下いか、感想かんそう戦せんを辞退じたいした著名ちょめいなプロ公式こうしき戦せんの例れいをいくつか挙あげる。

• 1989年ねん11月27日にちの第だい55期き棋聖きせい戦せん挑戦ちょうせん者しゃ決定けってい戦せんで屋敷やしき伸之のぶゆきに敗やぶれて最年少さいねんしょうタイトル挑戦ちょうせんを許ゆるした高橋たかはし道雄みちおが「まずい将棋しょうぎを指さして、申もうし訳わけありません」と言いっただけで感想かんそう戦せんを行おこなわなかった。
• 2017年ねん6月がつ20日はつかの第だい30期き竜王りゅうおう戦せん6組くみ昇級しょうきゅう者しゃ決定けってい戦せんトーナメントで高野たかの智史さとしに敗やぶれて引退いんたい対局たいきょくとなった加藤かとう一二三ひふみが、投了とうりょう直前ちょくぜんに「今日きょうは感想かんそう戦せんはなしで」と言いって感想かんそう戦せんを行おこなわなかった。加藤かとうはこのことについて、早々そうそうに家族かぞくに報告ほうこくしたかったためとしている。
• 2020年ねん7月がつ6日にちの第だい79期きB級きゅう2組くみ順位じゅんい戦せん2回戦かいせんで藤井ふじい聡さとし太ふとしに敗やぶれた橋本はしもと崇たかし載のが、「藤井ふじい君くんもハードスケジュールでしょうから。もうお開びらきにしたいと思おもいます」と言いって感想かんそう戦せんは行おこなわれなかった。藤井ふじい聡さとし太ふとしは史上しじょう最年少さいねんしょうタイトル獲得かくとくがかかる第だい61期き王位おうい戦せん七なな番ばん勝負しょうぶおよび第だい91期きヒューリック杯はい棋聖きせい戦せん五ご番ばん勝負しょうぶの最中さいちゅうであった。多忙たぼうな対局たいきょくスケジュールをこなす後輩こうはい棋士きしへの橋本はしもとの配慮はいりょであった。