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モンゴロイド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
黄色おうしょく人種じんしゅから転送てんそう
ハクスリーによる人種じんしゅ区分くぶん (1870ねん)
ネグロイド人種じんしゅコーカソイド人種じんしゅ オーストラロイド人種じんしゅモンゴロイド人種じんしゅ

モンゴロイドえい: Mongoloid)とは、人類じんるいがく創始そうし形態けいたい人類じんるいがくにおける人種じんしゅ分類ぶんるい概念がいねんひとつである。日本語にほんごでは一般いっぱん黄色おうしょく人種じんしゅこうむふる人種じんしゅともやくされる。18世紀せいきドイツじん人類じんるい学者がくしゃヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハによって分類ぶんるいされた五大ごだい人種じんしゅもとづく。

概要がいよう

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モンゴロイドは、ひがしアジアきたアジアおよチベット高原こうげんふくむ)・東南とうなんアジア中心ちゅうしんに、中央ちゅうおうアジア南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく太平洋たいへいよう諸島しょとうおよびアフリカ近辺きんぺんマダガスカルとう分布ぶんぷする。狭義きょうぎではポリネシアじんアメリカ先住民せんじゅうみんふくめない用法ようほうもある。

黄色おうしょく人種じんしゅ白人はくじん比較ひかくしたさいのモンゴロイドのはだいろ由来ゆらいするが、実際じっさいのモンゴロイドのはだいろは、白色はくしょくから褐色かっしょくまではばがある。ひがしアジア・きたアジアでは黄白こうはくしょく東南とうなんアジアでは褐色かっしょく傾向けいこうがある。みなみアジアみなみアメリカなどでは褐色かっしょくだが、ネグロイドのようなくろはだはみられない。

近年きんねん人類じんるい集団しゅうだん分類ぶんるいする学説がくせつでは、かく人種じんしゅ原初げんしょ居住きょじゅう分類ぶんるい名称めいしょうとすることがおおくなっており、その場合ばあいひがしアジアならびに東南とうなんアジア居住きょじゅうするモンゴロイドをひがしユーラシアじんとし、アメリカ大陸あめりかたいりく分化ぶんかしたモンゴロイドを南北なんぼくアメリカじんとする。またオーストラロイドとされたサフールじんふくめた旧来きゅうらい広義こうぎのモンゴロイドをすべ網羅もうらする定義ていぎとしては、「環太平洋かんたいへいようじん」とする場合ばあいがある[1]。アジアに人々ひとびとアジアけい民族みんぞくぶのが一般いっぱんてきであるが、アジアじんにはコーカソイドぞくするインド・アーリアじんふくむ。

概念がいねん変遷へんせん

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「モンゴリアン」概念がいねん1785ねんドイツゲッティンゲン大学だいがく学者がくしゃであるクリストフ・マイナースによってはじめて導入どうにゅうされた。マイナースは人類じんるいを「タルタルコーカサスひと」と「モンゴリアン」の2つの人種じんしゅけ、前者ぜんしゃうつくしく、後者こうしゃは「身体しんたい精神せいしんよわく、悪徳あくとく美徳びとくけている」としんじていた[2]

その、ブルーメンバッハがDe Generis Humanis varietate Nativa (ヒトの自然しぜんてき変種へんしゅ)1795ねん改訂かいていばんで、人類じんるい大人おとなしゅ(コーカシア/しろ人種じんしゅ、モンゴリカ/黄色おうしょく人種じんしゅ、エチオピカ/黒人こくじんしゅ、アメリカナ/赤色あかいろ人種じんしゅ、マライカ/茶色ちゃいろ人種じんしゅ)にけたことでひろまった[3]

過去かこにはつぎのようなせつもあったが、DNA分析ぶんせき結果けっかなどから現在げんざい否定ひていされている。

なお、「モンゴロイド」という概念がいねんは、かず世紀せいきまえ人種じんしゅ差別さべつもとづくふる分類ぶんるいであり、最新さいしん科学かがくてき根拠こんきょもとづいていない分類ぶんるいである、とする見方みかたもある。

「モンゴロイド」の出現しゅつげん分化ぶんか

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アジアじん種類しゅるい (1924ねん)

ひがしアジア方面ほうめん進出しんしゅつした人々ひとびとは、天然てんねん要害ようがいであるヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく・アラカン山脈さんみゃく障害しょうがいとなり、中東ちゅうとう・インド大陸たいりく人々ひとびととの交流こうりゅうたれ、独自どくじ遺伝いでんてき変異へんい環境かんきょう適応てきおうげることとなる。こうしてモンゴロイドが形成けいせいされた[4]

モンゴロイドはその、1まん4000-1まん2000ねんまえベーリング地峡ちきょう(のちのリング海りんぐかいかい)をわたアメリカ大陸あめりかたいりく進出しんしゅつ。また3000-2000ねんまえには太平洋たいへいよう島々しまじまにも移住いじゅうした。

しんモンゴロイド

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カルムイクじん頭骨とうこつトマス・ヘンリー・ハクスリー著作ちょさくより(1901ねん[5]
マプチェぞく頭骨とうこつサミュエル・ジョージ・モートンによる(1839ねん)。

ひがしユーラシア北部ほくぶ寒冷かんれい地域ちいき独自どくじ寒冷かんれい適応てきおうげた集団しゅうだんが、かつての形質けいしつ人類じんるいがくしんモンゴロイドとされた人々ひとびとである。

日本にっぽん列島れっとう到達とうたつしたしんモンゴロイドが渡来とらいけい弥生やよいじんで、日本にっぽん列島れっとう全体ぜんたいにおいては、渡来とらいけい弥生やよいじん縄文じょうもんけい弥生やよいじん遺伝子いでんしざりその大和やまと民族みんぞく和人わじん形成けいせいされたとするせつがある。遺伝子いでんし分析ぶんせき結果けっか縄文じょうもんじん遺伝子いでんし日本人にっぽんじんなかでもアイヌにつよがれており、大和やまと民族みんぞくにはアイヌとくらべてその影響えいきょうすくないものの、日本人にっぽんじん(アイヌじん琉球りゅうきゅうじん大和やまと民族みんぞく)はみな縄文じょうもんじんいでいる。朝鮮半島ちょうせんはんとうちか九州きゅうしゅう北部ほくぶよりも、四国しこく近畿きんき渡来とらいじん由来ゆらいられる遺伝子いでんしおお[6][7]

しんモンゴロイドは、寒冷かんれい地域ちいき適合てきごうした体質たいしつとして、比較的ひかくてき体格たいかくおおきく、凹凸おうとつすくない顔立かおだち、こうむひだ(もうこひだ、目頭めがしらひだ)、体毛たいもうすくないこと(とく男性だんせいひげすくなさ)などの特徴とくちょうっている。さらに、みみあか湿しめったあめじょうではなく乾燥かんそうしたこなじょうとなり、みみあか特徴とくちょうおな遺伝子いでんしによるわきが原因げんいんとなるアポクリン汗腺かんせんすくなく、頭髪とうはつちょくであること、あたまがた前後ぜんごみじかよこひろたんあたま一般いっぱんてきのう容積ようせきおおきいといった特徴とくちょうがある。新生児しんせいじ蒙古斑もうこはんられるのも特徴とくちょうである。

モンゴロイドけいとされた人々ひとびと

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南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりくでは、「モンゴロイド」の定着ていちゃく以前いぜん人類じんるいまった存在そんざいしていなかったとのせつ有力ゆうりょくである。

モンゴロイドの一部いちぶは、フィリピン群島ぐんとう東南とうなんアジアから太平洋たいへいようし、イースターとうニュージーランドにまで到達とうたつしている(今日きょうのポリネシアじん、ミクロネシアじん)。さらに一部いちぶのモンゴロイドは、古代こだい稲作いなさく文化ぶんかたずさえてアフリカマダガスカル東部とうぶ地域ちいきにも居住きょじゅう地域ちいき拡大かくだいしたとされる。途中とちゅうインド洋いんどよう島嶼とうしょおおくは無人島むじんとうで、アフリカ東部とうぶ中近東ちゅうきんとう陸地りくちづたいにはかれらによる移動いどう痕跡こんせきがみられないため、反対はんたい方向ほうこうかったラピタじんやポリネシアじんおなじく、相当そうとう高度こうど航海こうかい技術ぎじゅつによって海上かいじょうルートをすすんだとおもわれる。

ユーラシア大陸たいりくのモンゴロイドは、当初とうしょヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく以東いとう太平洋たいへいよう沿岸えんがんおよびその周辺しゅうへん居住きょじゅう地域ちいきとしていた。とくに、モンゴル高原こうげん中心ちゅうしんとする中央ちゅうおうアジア乾燥かんそうたい居住きょじゅうした遊牧民ゆうぼくみんたちまれながらの騎兵きへいであり、古代こだいから中世ちゅうせい世界せかいにおいては強大きょうだい軍事ぐんじりょくほこった。かれらはこの軍事ぐんじりょく武器ぶきに、古代こだいコーカソイド居住きょじゅう地域ちいきであった中央ちゅうおうアジア西域せいいき進出しんしゅつ、その一時いちじてきにヨーロッパきた東部とうぶおよ中東ちゅうとうみなみアジア(インド大陸たいりく)にも進出しんしゅつした。とくモンゴル帝国ていこくはユーラシア大陸たいりく東西とうざいおよ巨大きょだい勢力せいりょくけんきずくにいたった。

モンゴロイドの区分くぶん

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ユーラシア大陸たいりく東部とうぶのモンゴロイドは、寒冷かんれい適応てきおう程度ていど軽重けいちょうによっておおきくモンゴロイドしんモンゴロイド区分くぶんされたが、遺伝いでんてきると集団しゅうだんあいだ差異さいくらべておおきなへだたりは存在そんざいしない。モンゴル地域ちいき中国ちゅうごく東北とうほく朝鮮半島ちょうせんはんとうにはしんモンゴロイド比重ひじゅうとして圧倒的あっとうてきおおいのにたいし、大陸たいりく南部なんぶ島嶼とうしょほどきゅうモンゴロイド比重ひじゅうたかまっているとされる。

現在げんざい人類じんるいがくでは形質けいしつ研究けんきゅうよりも遺伝子いでんし研究けんきゅう重視じゅうしされている。遺伝子いでんしてきには南方なんぽうけいモンゴロイドと北方ほっぽうけいモンゴロイドと区分くぶんする場合ばあいもある。

遺伝いでんてききんえん関係かんけいから人類じんるい集団しゅうだん分類ぶんるいする近年きんねん学説がくせつでは、先述せんじゅつとおり、アジアに居住きょじゅうつづけてのちに一部いちぶ太平洋たいへいよう諸島しょとう・マダガスカルとう移住いじゅうしたひがしユーラシアじんと、南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく分化ぶんかした南北なんぼくアメリカじんに、旧来きゅうらい狭義きょうぎの「モンゴロイド」が二分にぶんされるとする。

区分くぶん

遺伝子いでんし

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Y染色せんしょくたい

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Y染色せんしょくたいハプログループの拡散かくさん人種じんしゅ

モンゴロイドはアフリカのちイラン付近ふきんからアルタイ山脈さんみゃく付近ふきんいたひがしアジア拡散かくさんした、「きたルート」をとった集団しゅうだんである。モンゴロイド人種じんしゅ特徴とくちょうづけるY染色せんしょくたいハプログループとしてC2DNOQげられる[8]

なお、チベットじんられるD1a1系統けいとう日本にっぽん固有こゆうとアンダマン諸島しょとう固有こゆうがたであるD1a2系統けいとうはおたがいにもっときんえん兄弟きょうだいぐんではあるものの、5まん3せんねん以上いじょうまえ分岐ぶんきしており、のハプログループとくらべるとサブグループあいだでもおやグループあいだなみ時間じかんてき距離きょりはなれている。
  • ハプログループNサモエードけいヤクートじんったシベリア北部ほくぶフィンランドエストニアなどの北欧ほくおうバルトさんこくこう頻度ひんどられ、ウラル語族ごぞくになであるとかんがえられる。ユーラシア大陸たいりく北部ほくぶひろ分布ぶんぷしている。ひがしアジア周辺しゅうへん発祥はっしょうしたとわれており、中国ちゅうごくりょうかわ文明ぶんめい時代じだい人骨じんこつからもこう頻度ひんどつかっているため、かつては中国ちゅうごく大陸たいりく北部ほくぶなどで支配しはいてきであったとかんがえられるが、現代げんだいひがしアジアにおいては北部ほくぶまんしゅう、モンゴル)でもおおむね10%前後ぜんご頻度ひんどとなっており、中国ちゅうごく全国ぜんこく朝鮮半島ちょうせんはんとうでは5%程度ていどで、日本にっぽんではそれを下回したまわてい頻度ひんどとなっている。
  • ハプログループOひがしアジアから東南とうなんアジアにかけて最多さいためるグループである。おや系統けいとうべつると、コーカソイドけいハプログループRならんで現代げんだい人類じんるいにおいてもっと帰属きぞく人口じんこうおお系統けいとうである。その人口じんこうおおさから、多岐たきわたるサブグループをしている。日本にっぽんにおいてもO1b2が30%以上いじょうO2がおおよそ20%られ、おや系統けいとうべつるとやはりO系統けいとう最多さいたである。
  • ハプログループQ南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく先住民せんじゅうみんはほとんどがQ系統けいとうであり、かつてのアメリカ大陸あめりかたいりくにおいては非常ひじょうこう頻度ひんどられた。一方いっぽうユーラシア大陸たいりくにおいてはエニセイけいケットじんで90%以上いじょうパシュトゥーンじんに16%、ひがしアジア地域ちいきで5%未満みまん道中どうちゅう足跡あしあとのこしてはいるが、ユーラシア大陸たいりくではそうじててい頻度ひんどである。
  • ただし、人種じんしゅ反映はんえいする形態けいたい形質けいしつは、父系ふけいのY染色せんしょくたいハプログループのみでなく、母系ぼけいのミトコンドリアDNAハプログループとも相関そうかんせいがあること(モンゴロイドに特徴とくちょうてき母系ぼけいのハプログループとしては、ハプログループM7aなどがある)、さらにおおくのY染色せんしょくたいハプログループの系統けいとうどういち集団しゅうだんとしておな人種じんしゅ形成けいせいした(遺伝子いでんし系統けいとう集団しゅうだん系統けいとう一致いっちしない)ため、形質けいしつとY染色せんしょくたいハプログループの系統けいとう一致いっちしない場合ばあいおおい。
ハプログループD (Y染色せんしょくたい) ハプログループC2 (Y染色せんしょくたい) ハプログループN (Y染色せんしょくたい) ハプログループO (Y染色せんしょくたい) ハプログループQ (Y染色せんしょくたい)

下戸げこ遺伝子いでんし

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人種じんしゅごとのヌクレオチド相違そういかず見積みつもり、および人種じんしゅあいだのNet Nucleotideの相違そうい人類じんるい遺伝いでんがく宝来ほうらいさとし(国立こくりつ遺伝いでんがく研究所けんきゅうじょ)による[9]

コーカソイド
口数くちかず=20)
モンゴロイド
口数くちかず=71)
ネグロイド
口数くちかず=10)
コーカソイド 0.0094 0.0012 0.0028
モンゴロイド 0.0128 0.0137 0.0015
ネグロイド 0.0194 0.0203 0.0238
主要しゅよう人種じんしゅあいだ遺伝いでん間隔かんかく有効ゆうこう発散はっさん時間じかん根井ねい正利まさとしペンシルベニア大学だいがく教授きょうじゅによる。

[10]

比較ひかく タンパク質たんぱくしつ
(62位置いち )
血液けつえきがた
(23位置いち )
合計ごうけい
(85位置いち )
有効ゆうこう発散はっさん時間じかんとし
コーカソイド/モンゴロイド 0.011 0.043 0.019 41000 ± 15000
コーカソイド/ネグロイド 0.030 0.038 0.032 113000 ± 34000
ネグロイド/モンゴロイド 0.031 0.096 0.047 116000 ± 34000
18の人類じんるいグループの遺伝いでんてききんえん関係かんけいを23種類しゅるい遺伝子いでんし情報じょうほうをもとに近隣きんりん結合けつごうほうによって推定すいていした (2002ねん)。斎藤さいとうしげる国立こくりつ遺伝いでんがく研究所けんきゅうじょ教授きょうじゅによる[11]
変動へんどうゲノムワイドパターンからもとめられる51集団しゅうだん遺伝いでんてききんえん[12]

近年きんねんのDNA分析ぶんせきでは、モンゴロイドとその人種じんしゅとの混血こんけつ検証けんしょうする手段しゅだんとして、ふたアセトアルデヒド脱水だっすいもと酵素こうそ (ALDH) のうちALDH2突然変異とつぜんへんい下戸げこ遺伝子いでんし)をマーカー遺伝子いでんしとする方法ほうほうられる。下戸げこ遺伝子いでんしとは、ALDH2の487番目ばんめ(N末端まったんのシグナルペプチド17ざんもと考慮こうりょした場合ばあいは504番目ばんめたる[13])のアミノ酸あみのさんめるコドンがGAALysからAAAGlu変化へんかしたものである(Aはアデニン、Gはグアニン)。この遺伝子いでんしは2まんねんほどまえ突然変異とつぜんへんいによってしょうじたとされ、とくしんモンゴロイドに特有とくゆうであり、この遺伝子いでんしつということは、「しんモンゴロイド」であるか、かつて混血こんけつがおこったことの証明しょうめいとなる。[2]篠田しのだ謙一けんいちによれば、そののデータの蓄積ちくせきからALDH2変異へんいがた遺伝子いでんし発生はっせい中国ちゅうごく南部なんぶ付近ふきんで、中国ちゅうごく南部なんぶ北部ほくぶこのまれるさけちがいにも反映はんえいされている。まったさけめない下戸げこ (Type AA) の人々ひとびと—すなわち「下戸げこ遺伝子いでんし」をふたつのは、「モンゴロイド」にるいされる人々ひとびとのうちの5%以下いかである。下戸げこ遺伝子いでんしまさしくはALDH2の遺伝子いでんし)のぬしはAAとAGであり、遺伝子いでんし頻度ひんどについてハーディー・ワインベルクの法則ほうそく成立せいりつする場合ばあい、AAが5%ならAGは2 (10-√5) √5≒35%、AAとAGでやく40%になる。AGはAAよりつよいがGGよりよわく、下戸げこではないが酒豪しゅごうでもなく、「モンゴロイド」以外いがい比較ひかくすればさけよわい。

下戸げこ遺伝子いでんしぬし中国ちゅうごく南部なんぶ日本にっぽん集中しゅうちゅうしており、みずこう栽培さいばい発祥はっしょう推測すいそくされる中国ちゅうごく南部なんぶでの、水田すいでん農耕のうこう地帯ちたい特有とくゆう感染かんせんしょうたいする自然しぜん選択せんたく結果けっかではないかとも推測すいそくされている[14]筑波大学つくばだいがく原田はらだ勝二しょうじによる研究けんきゅうは、日本にっぽんにおいて九州きゅうしゅう東北とうほく下戸げこ遺伝子いでんしすくないという結果けっかしている[15]

さけよわいタイプ」 (Type AG) は「モンゴロイド」のうちのやく45%であるので、上記じょうきハーディー・ワインベルクの法則ほうそく成立せいりつしない。詳細しょうさいハーディー・ワインベルクの法則ほうそく参照さんしょう。「モンゴロイド」以外いがいコーカソイド白人はくじんとう人々ひとびとは、ほとんどが「さけつよいタイプ」 (Type GG) であり、モンゴロイドとの混血こんけつ子孫しそん想定そうていされる地域ちいき住民じゅうみんで、そうでないタイプがつかることもある[16]

肥満ひまん関連かんれん遺伝子いでんし

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内臓ないぞう脂肪しぼう倹約けんやく遺伝子いでんし人種じんしゅより2 - 4ばいだか頻度ひんどゆうしており、肥満ひまんしょうから糖尿とうにょうびょうになりやすいとされる[17]

その

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最近さいきん研究けんきゅうから、ひがしアジアじん(モンゴロイド)を特徴付とくちょうづける遺伝子いでんしがあることがわかった[18][19]

分布ぶんぷ

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ひがしユーラシア

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Meyers Konversations-Lexikon (1885–1890)
人種じんしゅ分布ぶんぷ地図ちず
コーカソイド:
ネグロイド:
Uncertain:
モンゴロイド:

北方ほっぽうけいしんモンゴロイドきたアジア)

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コーカソイド人種じんしゅフィン・ペルムおよマジャールじん

シベリア・エスキモーけいしんモンゴロイド北東ほくとうアジア、北米ほくべい北極圏ほっきょくけん

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エスキモー家族かぞく (1894ねん)

北方ほっぽうけいモンゴロイド(アイノイド・縄文じょうもんじん系統けいとう日本にっぽん列島れっとう

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縄文じょうもんじん祖先そせんとする日本にっぽん列島れっとうの3民族みんぞく、いまの日本人にっぽんじん。かつての蝦夷えぞ大和やまと隼人はやとくまかさねふくむ。アイヌ民族みんぞくはアイノイド(縄文じょうもんじん)の特徴とくちょう色濃いろこのこオホーツク文化ぶんかひと特徴とくちょうられる。大和やまと民族みんぞく琉球りゅうきゅう民族みんぞくもアイノイド(縄文じょうもんじん)を基盤きばんとするが、しんモンゴロイド弥生やよいじん古墳こふんじん)の特徴とくちょうられる。下記かきはアイノイドの特徴とくちょう見受みうけられるじゅん記載きさい

しんモンゴロイドモンゴロイド双方そうほう特徴とくちょうつ(ひがしアジア)

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南方なんぽうけいモンゴロイド(東南とうなんアジア)

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(いくつかの民族みんぞくオーストラロイド混血こんけつしている)

オーストラロイド人種じんしゅメラネシアけい/中東ちゅうとうマレー・ポリネシア(ズンバ・フローレンス諸語しょご/中央ちゅうおうマルク諸語しょご/ティモール・バベル諸語しょご)

太平洋たいへいよう

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南方なんぽうけいモンゴロイドオーストラロイド混血こんけつしている)

オーストラロイド人種じんしゅ・メラネシアけい/ふとしようしゅう(西にし大洋たいようしゅう諸語しょご/中部ちゅうぶメラネシア諸語しょご/セント・マタイアス諸語しょご/南東なんとうソロモン諸語しょご/ アドミラルティ諸島しょとう諸語しょご/ヤップ/テモツ諸語しょご/みなみ大洋たいようしゅう諸語しょご)

南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりく

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北方ほっぽうけいモンゴロイドに分類ぶんるいされるが、独自どくじ特徴とくちょうもあり、「アメリンド」ともばれる。 (詳細しょうさいインディアンインディオアメリカ先住民せんじゅうみん諸語しょご参照さんしょう

ナワトルアステカ帝国ていこくの、マヤマヤ文明ぶんめいの、ケチュアインカ帝国ていこく公用こうようながれをくむ言語げんごであるとかんがえられている。 ゲ・パノ・カリブ語族ごぞくぞくするブラジルトゥピ現在げんざいでもおおくの話者わしゃ存在そんざいしており、ブラジルの文化ぶんかてきルーツのひとつとしてかんがえられている。 パラグアイなどの隣接りんせつするスペイン地域ちいきでは、グアラニーばれており、これらは方言ほうげんちがいであるとかんがえられている。

人種じんしゅとの混血こんけつ

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 斎藤さいとう、2002ねん
  2. ^ Painter, Nell Irvin (2003ねん). “Why White People are Called Caucasian?”. Yale University. October 20, 2013てんオリジナルよりアーカイブ。September 27, 2007閲覧えつらん:34
  3. ^ Bhopal R (December 2007). “The beautiful skull and Blumenbach's errors: the birth of the scientific concept of race”. BMJ 335 (7633): 1308–9. doi:10.1136/bmj.39413.463958.80. PMC 2151154. PMID 18156242. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2151154/. 
  4. ^ 三井みついまこと人類じんるい進化しんかの700まんねん
  5. ^ Huxley, T.T. (1901). Man's place in nature and other anthropological essays. D. Appleton and Company.
  6. ^ http://www.soken.ac.jp/news_all/2719.html
  7. ^ 都道府県とどうふけんレベルでみた日本人にっぽんじん遺伝いでんてき集団しゅうだん構造こうぞう - 東京大学とうきょうだいがく 大学院だいがくいん理学りがくけい研究けんきゅう理学部りがくぶ
  8. ^ 崎谷さきやみつる『DNA・考古こうこ言語げんご学際がくさい研究けんきゅうしめしん日本にっぽん列島れっとう』(つとむまこと出版しゅっぱん 2009ねん
  9. ^ Satoshi Horai and Kenji Hayasaka. (1990). Intraspecific Nucleotide Sequence Differences in the Major Noncoding Region of Human Mitochondrial DNA. Am. J. Hum. Genet. 46:828-842
  10. ^ Nei, M. (1985). Human Evolution at the Molecular Level. Population Genetics and Molecular Evolution. Japan Sci. Soc. Press, Tokyo. pp. 44-64.
  11. ^ 斎藤さいとうしげる九州きゅうしゅう国立こくりつ博物館はくぶつかん アーカイブされたコピー”. 2013ねん9がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2013ねん12月15にち閲覧えつらん
  12. ^ Science vol319(22 FEBRUARY 2008)」
  13. ^ Y.Li et. al. (2006)
  14. ^ 日本人にっぽんじんさけよわくなるように“進化しんか”…「下戸げこ遺伝子いでんし」の研究けんきゅうしゃかたる“よわほうがいい理由りゆう” - FNN.jpプライムオンライン
  15. ^ 原田はらだ勝二しょうじインタビュー
  16. ^ 科学かがく朝日あさひ』 モンゴロイドのみち 朝日あさひ選書せんしょ (523) より。北方ほっぽうモンゴロイド特有とくゆうさけめない下戸げこ遺伝子いでんし 日本人にっぽんじん: 44%、ハンガリーじん: 2%、フィンじん: 0% 下戸げこ遺伝子いでんしとは、アセトアルデヒド脱水だっすいもと酵素こうそ (ALDH) の487番目ばんめアミノ酸あみのさんめる塩基えんき配列はいれつがグアニンからアデニンに変化へんかしたもので、モンゴロイド特有とくゆう遺伝子いでんしであり、コーカソイド白人はくじん)・ネグロイド(黒人こくじん)・オーストラロイド(オーストラリア原住民げんじゅうみんとう)には存在そんざいしない。よってこの遺伝子いでんしつということは、黄色おうしょく人種じんしゅであるか、黄色おうしょく人種じんしゅとの混血こんけつであることの証明しょうめいとなる [1]
  17. ^ 日本人にっぽんじん肥満ひまんよわ民族みんぞく!? BMI25以上いじょう肥満ひまんしょう 監修かんしゅう 吉田よしだ俊秀としひで京都きょうと市立しりつ病院びょういん糖尿とうにょうびょう代謝たいしゃ内科ないか部長ぶちょう京都府立医科大学きょうとふりついかだいがく臨床りんしょう教授きょうじゅ ダイヤモンド社だいやもんどしゃのサイト。2012ねん11月16にち閲覧えつらん
  18. ^ Yuan, Dejian; Lei, Xiaoyun; Gui, Yuanyuan; Wang, Mingrui; Zhang, Ye; Zhu, Zuobin; Wang, Dapeng; Yu, Jun et al. (2019-06-09). “Modern human origins: multiregional evolution of autosomes and East Asia origin of Y and mtDNA” (英語えいご). bioRxiv: 101410. doi:10.1101/101410. https://www.biorxiv.org/content/10.1101/101410v6. 
  19. ^ Chen, Hongyao; Zhang, Ye; Huang, Shi (2020-03-11). “Ancient Y chromosomes confirm origin of modern human paternal lineages in Asia rather than Africa” (英語えいご). bioRxiv: 2020.03.10.986042. doi:10.1101/2020.03.10.986042. https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.03.10.986042v1. 
  20. ^ まもる雅夫まさお岡田おかだ英弘ひでひろ民族みんぞく世界せかい4 中央ちゅうおうユーラシアの世界せかい』(山川やまかわ出版しゅっぱんしゃ1990ねん ISBN 4634440407)p266.
  21. ^ 崎谷さきやみつる(2009)『DNA・考古こうこ言語げんご学際がくさい研究けんきゅうしめす しん日本にっぽん列島れっとうつとむまこと出版しゅっぱん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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