Monthly Archives: July 2020

[…] その上うえで、小雨こさめ地域ちいきとそれ以遠いえんにいた原告げんこく一いち人にんひとりの「黒くろい雨あめ体験たいけん」と健康けんこう状態じょうたいを吟味ぎんみ。証言しょうげんは具体ぐたい的てきで十分じゅうぶん信用しんようできる。大雨おおあめ地域ちいきの被爆ひばく者しゃと同様どうように一定いっていの病気びょうきを発症はっしょうしていれば援護えんご対象たいしょうとするべきだ――。こう述のべて単純たんじゅんな線引せんひきを否定ひていした判決はんけつは、原爆げんばく体験たいけんの実態じったいに即そくした審査しんさ方法ほうほうを示しめしたといえるだろう。 　さらに注目ちゅうもくすべきなのは、原告げんこくが放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつに汚染おせんされた水みずや農作物のうさくもつを口くちにしたと訴うったえたのを受うけ、雨あめによる外部がいぶ被曝ひばく（ひばく）とは異ことなる特徴とくちょうを持もつ内部ないぶ被曝ひばくについての「知見ちけんを念頭ねんとうに置おく必要ひつよう」に言及げんきゅうした点てんだ。国くには今回こんかいの裁判さいばんでも放射線ほうしゃせん被曝ひばくと健康けんこう悪化あっかの因果いんが関係かんけいの高度こうどな証明しょうめいを求もとめ、内部ないぶ被曝ひばくの影響えいきょうも否定ひていしたが、これを退しりぞけた。 […] 全文ぜんぶん

[…] 高島たかしま裁判さいばん長ちょうは判決はんけつ理由りゆうで、原爆げんばく投下とうか直後ちょくごの調査ちょうさに基もとづいた特例とくれい区域くいきは「混乱こんらん期きに収集しゅうしゅうされた乏とぼしい資料しりょうに基もとづいた概括がいかつ的てきな線引せんひきにすぎない」と指摘してき。正確せいかくな降雨こうう域いきを明あきらかにすることは困難こんなんとした上うえで、原告げんこく側がわが提出ていしゅつした気象きしょう学者がくしゃや大学だいがく教授きょうじゅの調査ちょうさなどから「黒くろい雨あめは特例とくれい区域くいきにとどまるものでなく、より広範囲こうはんいで降ふった」と認みとめた。 その上うえで、黒くろい雨あめに放射ほうしゃ性せい微粒子びりゅうしが含ふくまれ、直接ちょくせつ浴あびる外部がいぶ被ひばくのほか、混入こんにゅうした井戸水いどみずや食物しょくもつの摂取せっしゅで内部ないぶ被ひばくが想定そうていできると指摘してき。原告げんこくらの被害ひがい主張しゅちょうは信用しんようでき、提出ていしゅつされた診断しんだん書しょなどから「原告げんこくらは黒くろい雨あめの影響えいきょうを受うけ、原爆げんばくによる特定とくていの病気びょうきにかかった」と認みとめ、被爆ひばく者しゃ援護えんご法ほうが「原爆げんばくの放射能ほうしゃのうの影響えいきょうを受うけるような事情じじょうの下したにあった」と定さだめる3号ごう被爆ひばく者しゃに該当がいとうするとした。 被告ひこく側がわは「黒くろい雨あめによる健康けんこう被害ひがいは科学かがく的てきに証明しょうめいされていない」と反論はんろんしたが、判決はんけつは、黒くろい雨あめに関かんする知見ちけんが十分じゅうぶんに蓄積ちくせきされていない時点じてんで特例とくれい区域くいきの制度せいどが設計せっけいされた経緯けいいなどを踏ふまえ「本件ほんけんでのみ、科学かがく的てき、物理ぶつり的てき根拠こんきょを重視じゅうしするのは相当そうとうではない」と退しりぞけた。 […] 全文ぜんぶん

[…] 29日にちの判決はんけつで広島ひろしま地方裁判所ちほうさいばんしょの高島たかしま義行よしゆき裁判さいばん長ちょうは「国くにが援護えんご区域くいきを指定していする際さいに根拠こんきょとした当時とうじの気象台きしょうだいによる調査ちょうさは、被爆ひばく直後ちょくごの混乱こんらんの中なか、限かぎられた人手ひとでで行おこなわれたもので限界げんかいがある」と指摘してきしました。 そして複数ふくすうの専門せんもん家かによる調査ちょうさを踏ふまえ、「国くにが根拠こんきょとした範囲はんいより広ひろい範囲はんいで黒くろい雨あめが降ふったことは確実かくじつだ」として、援護えんご区域くいきの外そとであっても、同おなじ程度ていどに雨あめの影響えいきょうを受うけ、本人ほんにんが病気びょうきを発症はっしょうしている場合ばあいは被爆ひばく者しゃと認みとめられるという判断はんだんを示しめしました。 そのうえで「原告げんこくたちが黒くろい雨あめを浴あびたとする陳述ちんじゅつ内容ないように不合理ふごうりな点てんはなく、提出ていしゅつされた診断しんだん書しょなどから原爆げんばくの影響えいきょうとの関連かんれんが想定そうていされる病気びょうきにかかっていると認みとめられる」として、原告げんこく全員ぜんいんを被爆ひばく者しゃと認みとめ、被爆ひばく者しゃ健康けんこう手帳てちょうを交付こうふするよう命めいじました。 判決はんけつは、今いまの国くにの制度せいどを前提ぜんていに「黒くろい雨あめ」の影響えいきょうが援護えんご区域くいきの外そとにも及およぶと認みとめた形かたちとなり、被爆ひばく者しゃの認定にんてい基準きじゅんの見直みなおしにつながるか注目ちゅうもくされます。 […] 齋藤さいとう医師いし「被爆ひばく者しゃ援護えんご法ほうの趣旨しゅしに沿そったもので妥当だとう」 30年ねん以上いじょうにわたって被爆ひばく者しゃ医療いりょうや原爆げんばく症しょうの認定にんていを求もとめる裁判さいばんの支援しえんにあたり、現在げんざいは福島ふくしま市しの病院びょういんに勤務きんむする医師いしの齋藤さいとう紀おさむさんは、今回こんかいの判決はんけつについて「自然しぜん科学かがく的てきな判断はんだんをせずに、『身体しんたいに原子げんし爆ばく弾だんの放射能ほうしゃのうの影響えいきょうをうけるような事情じじょうの下したにあった者もの』も、援護えんごを受うけられるようにしている被爆ひばく者しゃ援護えんご法ほうの趣旨しゅしに沿そったもので、極きわめて妥当だとうだ」とと指摘してきしています。 そのうえで「戦後せんご75年ねんがたとうとしている今いまも、被爆ひばく者しゃは裁判さいばんでたたかってきた。そのような中なかで原告げんこく全員ぜんいんが、被爆ひばく者しゃと認みとめられたことは評価ひょうかできる」と話はなしています。 […] 全文ぜんぶん

[…] 被爆ひばくから今夏こんかで７５年ねん。黒くろい雨あめを巡めぐる初はつの司法しほう判断はんだんとなった。最大さいだいの争点そうてんだった、国くにが援護えんご対象たいしょうとする「大雨おおあめ地域ちいき」の線引せんひきの妥当だとう性せいを明確めいかくに否定ひていし、国くにに援護えんご対象たいしょう区域くいきの見直みなおしを迫せまった。 　高島たかしま裁判さいばん長ちょうは、国くにが大雨おおあめ地域ちいきの線引せんひきの根拠こんきょとした１９４５年ねん８～１２月がつに広島ひろしま管区かんく気象台きしょうだい（現げん広島ひろしま地方ちほう気象台きしょうだい）の宇田うだ道隆みちたか技師ぎしたち数すう人にんによるき取きとり調査ちょうさについて「被爆ひばく直後ちょくごの混乱こんらん期きに限かぎられた人手ひとでで実施じっしされ調査ちょうさ範囲はんいや収集しゅうしゅうできたデータには限界げんかいがある」と指摘してき。「黒くろい雨あめがより広範囲こうはんいに降ふった事実じじつを確実かくじつに認みとめることができる」とした。 　その上うえで、原告げんこくが黒くろい雨あめを浴あびたり、汚染おせんされた水みずや作物さくもつを飲食いんしょくして放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを取とり込こんだりした内部ないぶ被曝ひばく（ひばく）の状況じょうきょうと、その後ごに発症はっしょうした病気びょうきを個別こべつに検討けんとう。原告げんこくの陳述ちんじゅつ書しょなどはいずれも信用しんようできるとし「疾病しっぺいは黒くろい雨あめを浴あびたこととの関連かんれんが想定そうていされ、原告げんこくは被爆ひばく者しゃ援護えんご法ほうが定さだめる『身体しんたいに原子げんし爆ばく弾だんの放射能ほうしゃのうの影響えいきょうを受うけるような事情じじょうの下したにあった者もの』に該当がいとうする」と結論けつろん付づけ、原告げんこく全員ぜんいんへの被爆ひばく者しゃ健康けんこう手帳てちょうの交付こうふを命めいじた。 […] 解説かいせつ】個別こべつ状況じょうきょうの吟味ぎんみ求もとめる 　２９日にちの広島ひろしま地裁ちさい判決はんけつは、「黒くろい雨あめ」に遭あった場所ばしょが国くにの援護えんご対象たいしょう区域くいきの外そとであっても、雨あめを浴あびた状況じょうきょうやその後ごの病状びょうじょうなどを個別こべつに検討けんとうし、原告げんこく全員ぜんいんを被爆ひばく者しゃと認みとめた。被爆ひばく直後ちょくごの調査ちょうさを基もとに画一かくいつ的てきな「線引せんひき」をした国くにの認定にんてい方法ほうほうを否定ひてい。一人ひとり一いち人にんの状況じょうきょうを吟味ぎんみして判断はんだんするよう求もとめた。 　判決はんけつは、国くにが援護えんご対象たいしょうとする長ながさ約やく１９キロ、幅はば約やく１１キロの「大雨おおあめ地域ちいき」よりも広範囲こうはんいに黒くろい雨あめが降ふったと指摘してき。雨あめ域いきを推定すいていした過去かこの各種かくしゅ調査ちょうさの限界げんかいも提示ていじし、大雨おおあめ地域ちいき以外いがいでも健康けんこう被害ひがいが起おこりえるとの判断はんだんを示しめした。その上うえで、原告げんこくが雨あめを浴あびた場所ばしょ、飲食いんしょくで放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを体内たいないに取とり込こんだ内部ないぶ被曝ひばくの状況じょうきょう、その後ごの病状びょうじょうなどを個別こべつに検討けんとうして判断はんだんすべきだとした。 　内部ないぶ被曝ひばくが人体じんたいに与あたえる影響えいきょうは今いまも科学かがく的てきに未み解明かいめいとされる。判決はんけつは「少量しょうりょうの放射ほうしゃ性せい微粒子びりゅうしを摂取せっしゅしたにすぎない場合ばあいでも重大じゅうだいな障害しょうがいを引ひき起おこす恐おそれがある」と言及げんきゅう。被爆ひばく者しゃ認定にんていで注視ちゅうしするよう強調きょうちょうした。 […] ＜クリック＞黒くろい雨あめと援護えんご対象たいしょう区域くいき　原爆げんばく投下とうか直後ちょくごに降ふった放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつや火災かさいのすすを含ふくむ雨あめ。国くには被爆ひばく直後ちょくごの広島ひろしま管区かんく気象台きしょうだいの調査ちょうさを基もとに長ながさ約やく２９キロ、幅はば約やく１５キロの卵たまご形がたのエリアに降ふったと判断はんだん。このうち広島ひろしま市し中心ちゅうしん部ぶの爆ばく心地ごこちから市し北西ほくせい部ぶにかけての長ながさ約やく１９キロ、幅はば約やく１１キロの区域くいきを「大雨おおあめ地域ちいき」とし、７６年ねんに援護えんご対象たいしょう区域くいきに指定していした。国くには大雨おおあめ地域ちいきで黒くろい雨あめを浴あびた住民じゅうみんに無料むりょうで健康けんこう診断しんだんを実施じっし。がんや白内障はくないしょうなど国くにが定さだめる１１疾病しっぺいと診断しんだんされれば、被爆ひばく者しゃ健康けんこう手帳てちょうが交付こうふされ、医療いりょう費ひが原則げんそく無料むりょうになるなど国くにの援護えんご策さくが受うけられる。 （松本まつもと輝あきら） 全文ぜんぶん ◇「黒くろい雨あめ」訴訟そしょう、控訴こうそ有無うむの明言めいげん避さける　広島ひろしま市し、被爆ひばく者しゃに寄より添そいつつ　「国くにの代理だいり」複雑ふくざつな立場たちば […] 今回こんかいの訴訟そしょうの端緒たんしょは、原告げんこくが申請しんせいした手帳てちょうについて「交付こうふしない」とした、市しと広島ひろしま県けんによる却下きゃっか処分しょぶんだった。国くにの方針ほうしんに沿そった対応たいおうで、裁量さいりょうの余地よちはなかった。 　それでも訴訟そしょうでは、国くにも加くわわり「健康けんこう障害しょうがいを発症はっしょうし得える相当そうとう程度ていどの放射線ほうしゃせん被曝ひばく（ひばく）をしたような事情じじょうは認みとめられない」などと主張しゅちょうし、原告げんこくの訴うったえを退しりぞける立場たちばとなった。 　一方いっぽうで市しは、国くにが「大雨おおあめ地域ちいき」を援護えんご対象たいしょうと指定していした翌年よくねんの１９７７年ねんから、区域くいきの拡大かくだいを求もとめ続つづけてきた。２００８年ねんには県けんとも連携れんけいし、約やく３万まん７千せん人にんを対象たいしょうとした大だい規模きぼ調査ちょうさを実施じっし。従来じゅうらいの「大雨おおあめ地域ちいき」の約やく６倍ばいの範囲はんいで雨あめが降ふったとの結果けっかをまとめ、国くにに拡大かくだいを迫せまったが実みのらなかった。 　松井まつい市長しちょうは、被爆ひばく者しゃと直接ちょくせつ向むき合あう現場げんばのジレンマについて、１３日にちの記者きしゃ会見かいけんで「寄より添そう気持きもちと、国くにの立場たちばでの事務じむ執行しっこうがある。こうした問題もんだいを解消かいしょうできる判決はんけつが出でればいい」との期待きたい感かんを示しめしていた。 　この日ひ、中ちゅう区くの弁護士べんごし会館かいかんであった原告げんこく側がわの報告ほうこく集会しゅうかいでは、参加さんか者しゃから「市しなどが区域くいきの拡大かくだいを求もとめながら控訴こうそするなら、正義せいぎに反はんする」との発言はつげんがあった。松井まつい市長しちょうと湯崎ゆざき英彦ひでひこ知事ちじは控訴こうそを含ふくめ、どう国こくと向むき合あうのか。被爆ひばく地ちの首長しゅちょうとしての姿勢しせいが注目ちゅうもくされる。（明知めいち隼はやぶさ二に、久保くぼ友美恵ゆみえ）

　長崎ながさき県けん佐世保させぼ市しと市し教育きょういく委員いいん会かいが、市民しみん団体だんたいが企画きかくする原爆げんばく写真しゃしん展てんの後援こうえんを断たっていたことが30日にち、市し教委きょういなどへの取材しゅざいで分わかった。市し教委きょういは昨年さくねんも同様どうようの対応たいおうを取とっており「政治せいじ的てき中立ちゅうりつ性せいを保たもつため」と説明せつめい。団体だんたい側がわは「県民けんみん感情かんじょうと異ことなる」と反発はんぱつしている。 主催しゅさい団体だんたいの一ひとつ、原水爆げんすいばく禁止きんし佐世保させぼ協議きょうぎ会かいによると、写真しゃしん展てんは8月がつ8日にちに佐世保させぼ市内しないの公園こうえんで開催かいさいし、同時どうじに隣接りんせつする商店しょうてん街がいで核兵器かくへいき廃絶はいぜつを訴うったえる「ヒバクシャ国際こくさい署名しょめい」を募つのる予定よてい。 続つづきは佐世保させぼ市しが原爆げんばく写真しゃしん展てんの後援こうえん断ことわる

７５年ねん前まえの広島ひろしま原爆げんばくで降ふった「黒くろい雨あめ」で被害ひがいを受うけたのに、被爆ひばく者しゃ健康けんこう手帳てちょうなどの交付こうふ申請しんせいを却下きゃっかされたのは不当ふとうだとして、広島ひろしま県内けんないの男女だんじょ８４人にんが、県けんと広島ひろしま市しに却下きゃっか処分しょぶんの取とり消けしを求もとめた訴訟そしょうの判決はんけつが２９日にち、広島ひろしま地裁ちさいでい渡いわたされる。黒くろい雨あめは科学かがく的てきに未み解明かいめいな部分ぶぶんが多おおく、国くには激はげしく降ふったとされる地域ちいきだけを援護えんご対象たいしょう区域くいきに指定してい。区域くいき外がいの人ひとたちは置おき去ざりにされてきた。８４人にんはこの「線引せんひき」に異議いぎを唱となえ、被爆ひばく者しゃと認みとめるよう訴うったえており、黒くろい雨あめを巡めぐる初はつの司法しほう判断はんだんが注目ちゅうもくされる。 　黒くろい雨あめは１９４５年ねん８月がつ６日にちの原爆げんばく投下とうか直後ちょくごに降ふり、核かく爆発ばくはつに伴ともなう放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつや火災かさいによるすすを含ふくむとされる。ただ、降雨こううの範囲はんいや健康けんこうへの影響えいきょうなどは不明ふめいな部分ぶぶんが多おおい。 全文ぜんぶん