Category Archives: *日本語にほんご

日米にちべい共同きょうどうで運営うんえいする放射線ほうしゃせん影響えいきょう研究所けんきゅうじょ（放ひ影かげ研けん）は広島ひろしま、長崎ながさきの被爆ひばく者しゃとその子こどもたち「被爆ひばく2世せい」のゲノム（全ぜん遺伝いでん情報じょうほう）解析かいせきの計画けいかくについて、2024年度ねんど以降いこうに約やく500家族かぞくを対象たいしょうに本格ほんかく調査ちょうさを始はじめる方針ほうしんだ。4月に広島ひろしま、長崎ながさき両市りょうしで市民しみん向むけの公開こうかいシンポジウムを開ひらき、調査ちょうさへの理解りかいを図はかっていく。 調査ちょうさは原発げんぱつ事故じこなどによる被ひばくの次世代じせだい影響えいきょうの解明かいめいにも応用おうようできる可能かのう性せいがある一方いっぽう、被ひばくを巡めぐり新あらたな差別さべつを招まねく恐おそれもある。被爆ひばく2世せいへの健康けんこう被害ひがいはこれまで分わかっておらず、当事とうじ者しゃは期待きたいと不安ふあんが交錯こうさくする。 放ひ影かげ研けんによると、調査ちょうさは1985年ねんから定期ていき的てきに血液けつえきなどの提供ていきょうを受うけてきた約やく500家族かぞくの約やく1500人にんが対象たいしょう。親おやの放射線ほうしゃせん被ひばくが子こどもの健康けんこうに与あたえる影響えいきょうを調しらべるのが目的もくてきで、ゲノム変異へんいを解析かいせきし、今後こんご、論文ろんぶんで研究けんきゅう成果せいかを発表はっぴょうする。 全文ぜんぶんは被爆ひばく者しゃらのゲノム解析かいせき　放ひ影かげ研けん方針ほうしん、次世代じせだいへの影響えいきょう調査ちょうさ via 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん

（略りゃく） １９３０～４０年代ねんだいを中心ちゅうしんに国内こくないで使用しようされた造影ぞうえい剤ざい「トロトラスト」。放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつ「二酸化にさんかトリウム」を主成分しゅせいぶんとし、注射ちゅうしゃされると体内たいないにとどまって放射線ほうしゃせんを出だし続つづけ、多おおくの患者かんじゃががんを発症はっしょうするなどして亡なくなった。「そんな恐おそろしい薬くすりが使つかわれていたのか」と驚おどろくとともに、全まったく知しらなかったことを恥はじた。しかし、周まわりに知しっている人ひとはいない。知人ちじんの薬剤師やくざいしに聞きいても「知しらない」と言いう。 　■国くにの支援しえんや補償ほしょう、全まったく足たりていないのでは 　７６（昭和しょうわ５１）年ねん、旧きゅう陸海りくかい軍ぐん病院びょういんでトロトラストを注入ちゅうにゅうされた戦傷せんしょう者しゃに健康けんこう被害ひがいが多数たすう発生はっせいしていることが全国ぜんこく紙しで報道ほうどうされ、国くには７７年度ねんど以降いこう、傷痍しょうい(しょうい)軍人ぐんじんを対象たいしょうに検査けんさを実施じっし。トロトラストが沈着ちんちゃくしていると判定はんていされた２４６人にんについて恩給おんきゅうを増額ぞうがくするなどの支援しえんをした。清沢きよさわさんは、沈着ちんちゃくを判定はんていするため国くにが設置せっちした委員いいん会かいの委員いいん長ちょうだった。 　一方いっぽう、国くには７８年ねんの国会こっかい答弁とうべんで、トロトラストを注入ちゅうにゅうされた患者かんじゃは「２万まんないし３万まん人にんと言いわれている」との見方みかたを示しめしていた。「国くにの支援しえんや補償ほしょうは全まったく足たりていないのではないか」と疑問ぎもんが湧わいた。 　委員いいん会かいは２０１７年ねん、把握はあくする患者かんじゃが全員ぜんいん死亡しぼうしたとして解散かいさん。厚生こうせい労働省ろうどうしょうにトロトラストの使用しよう実態じったいや国内こくない流通りゅうつう、ドイツの製造元せいぞうもとからの輸入ゆにゅう経路けいろに関かんする資料しりょうがないか尋たずねたが「存在そんざいしない」。委員いいん会かいの議事ぎじ録ろくも「ない」とされた。被害ひがいが歴史れきしから消けされかけている―。そう感かんじた。 　■見みつけた資料しりょう 　専門せんもん家かへの取材しゅざいを重かさねると、長崎ながさき大原おおはら爆ばく後ご障害しょうがい医療いりょう研究所けんきゅうじょ（長崎ながさき市し）にトロトラスト患者かんじゃの資料しりょうが保管ほかんされていることが分わかり、昨年さくねん２月がつに訪たずねた。資料しりょう保管ほかん室しつにあったのは、今いまも放射線ほうしゃせんを出だし続つづけているという患者かんじゃの臓器ぞうきの標本ひょうほんや、患者かんじゃに関かんする大量たいりょうの紙かみの資料しりょう。その中なかに「都道府県とどうふけん別べつ」と書かかれたファイルがあった。長野ながの県けんのページを開ひらいた時ときに気付きづいた。「あれ？　女性じょせいが１人にんいる」。女性じょせいが傷痍軍人しょういぐんじんである可能かのう性せいは低ひくい。県内けんないの１３人にんが載のったリストには、国くにの支援しえんを受うけていないとみられる患者かんじゃが他ほかにも数すう人にんいた。 （略りゃく） ■生身なまみの人間にんげんを苦くるしめた被害ひがいの実態じったい 　この遺族いぞくの父親ちちおやは従軍じゅうぐん中ちゅうにトロトラストを注入ちゅうにゅうされたとみられるが、国くにの補償ほしょうは受うけていなかった。「おなかが張はる」と不調ふちょうを訴うったえてから亡なくなるまでわずか４カ月かげつ。肝臓かんぞうの血管けっかんに腫瘍しゅようができ、腹水ふくすいがたまって苦くるしんだ。若わかい担当たんとう医いに「俺おれはもう助たすからないから、死しんだら解剖かいぼうして役立やくだてて、立派りっぱな医師いしになって」と声こえをかけていた―。遺族いぞくは「おやじのように苦くるしんだ人ひとがいると知しってもらえれば、供養くようになります」と言いった。それまでぼんやりとして見みえづらかった被害ひがいを、「生身なまみの人間にんげんを苦くるしめたもの」として実感じっかんできたような気きがした。 　昨年さくねん１０月がつ、国くにの支援しえんから漏もれた患者かんじゃが多数たすういた可能かのう性せいがあると報道ほうどう。遺族いぞくの証言しょうげんなども記事きじにした。一方いっぽう、武見たけみ敬三けいぞう厚労相こうろうしょうは同月どうげつ、国くにとして被害ひがいを「新あらたに調査ちょうさすることは考かんがえていない」との姿勢しせいを示しめした。 全文ぜんぶんは「おなか張はる」から、亡なくなるまで4カ月かげつ…生身なまみの人間にんげんを苦くるしめたトロトラスト　知識ちしきゼロから始はじまった「日本にっぽん初はつの薬害やくがい」の取材しゅざい via 信濃毎日新聞しなのまいにちしんぶん

2024年ねん2月がつ21日にち 19時じ16分ふん 　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい1原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）の汚染おせん水すい処理しょり設備せつびで水みず漏もれ事故じこが相次あいついだことを受うけ、斎藤さいとう健けん経済けいざい産業さんぎょう相しょうは21日にち、東電とうでんの小早川こばやかわ智明ともあき社長しゃちょうを呼よび、再発さいはつ防止ぼうしの徹底てっていを指導しどうした。汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりした水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつの開始かいしから24日にちで半年はんとし。風評ふうひょう被害ひがいの影響えいきょうが続つづく中なかで起おきた放出ほうしゅつの基幹きかん設備せつびでのずさんな管理かんりは、リスクを軽視けいしする東電とうでんの体質たいしつを浮うき彫ぼりにする。（小野沢おのざわ健太けんた） ◆人為じんい的てきなミスが原因げんいん […]「単たんなるヒューマンエラーとして対処たいしょするのではなく経営けいえい上じょうの課題かだいとして重おもく受うけ止とめていただきたい」と求もとめた。小早川こばやかわ社長しゃちょうは「私わたしが先頭せんとうに立たち、責任せきにんを持もって再発さいはつ防止ぼうしに取とり組くむ」と約束やくそくした。 　福島ふくしま第だい1原発げんぱつでは、原子げんし炉ろ建屋たきのやにたまる汚染おせん水すいの除染じょせん設備せつびで7日にち、洗浄せんじょう廃液はいえきを建屋たきのや外がいに漏もらす事故じこが発生はっせい。昨年さくねん10月がつには多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび（ALPS）で、洗浄せんじょう廃液はいえきが飛散ひさんして作業さぎょう員いん2人にんが被ひばくし、一時いちじ入院にゅういんした。 　二ふたつの事故じこはいずれも、東電とうでんや下請したうけ企業きぎょうに過去かこの作業さぎょう経験けいけんによる慣なれがあり、状況じょうきょう確認かくにんや防護ぼうご対策たいさくを怠おこたったことが共通きょうつうしている。 ◆開ひらいたままの手動しゅどう弁べんから廃液はいえき漏もれ 除染じょせん設備せつびでは、屋外おくがいの排気はいき口こうにつながる手動しゅどう弁べん10カ所かしょが開ひらいたまま洗浄せんじょうし、廃液はいえきが漏もれ出でた。過去かこに14回かいあった同様どうようの作業さぎょうでは、洗浄せんじょう前まえの設備せつび点検てんけんの際さいには弁べんが閉しまっていたという。 　今回こんかいは、弁べんが開ひらいた状態じょうたいだったことの情報じょうほう共有きょうゆうが東電とうでんの部署ぶしょ間あいだで不十分ふじゅうぶんだったため、閉しめないまま点検てんけんに入はいった。東電とうでんが作成さくせいした作業さぎょうの手順てじゅん書しょも、これまでと同様どうように弁べんが閉しまった前提ぜんていの手順てじゅんになっていた。点検てんけんした下請したうけ企業きぎょうの作業さぎょう員いんも、弁べんは閉しまっていると思おもい込こみ、開閉かいへい状じょう況きょうまで確たしかめなかった。 ◆かっぱ着用ちゃくようせずに作業さぎょう、廃液はいえきかぶる 　ALPSでの被ひばく事故じこも、従来じゅうらいの洗浄せんじょう作業さぎょうでは廃液はいえきタンクから周囲しゅういに飛とび散ちったことはなく、作業さぎょう員いん2人にんがかっぱを着きなかった。しかし、想定そうていしていなかった飛散ひさんが起おき、廃液はいえきをかぶって放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが体からだに付着ふちゃくした。この事故じこで、東電とうでんは安全あんぜん管理かんりの意識いしき徹底てっていなどの再発さいはつ防止ぼうし策さくを打うち出だしたが、3カ月かげつほどでまた事故じこが起おきた。 　これらの設備せつびで処理しょりした水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつは、昨年さくねん8月がつ24日にちに始はじまった。これまでのところ、原発げんぱつ周辺しゅうへんの海水かいすいの放射能ほうしゃのう濃度のうど測定そくていで異常いじょうは確認かくにんされていないが、中国ちゅうごくやロシアは日本にっぽん産さん水産物すいさんぶつの輸入ゆにゅう停止ていしを継続けいぞく。東電とうでんは今月こんげつ14日にち時点じてんで、約やく30件けんの風評ふうひょう被害ひがいの賠償ばいしょう請求せいきゅうに対たいし、計けい約やく41億おく円えんを支払しはらった。 　放出ほうしゅつの影響えいきょうが続つづく一方いっぽう、福島ふくしま第だい1原発げんぱつの事故じこ収束しゅうそく作業さぎょうは「緩ゆるみ」が深刻しんこく化かしている。19日にちの原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの会合かいごうで、福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち商工会しょうこうかいの蜂須賀はちすか礼子あやこ会長かいちょうは、東電とうでんトップの言葉ことばをこう切きり捨すてた。「社長しゃちょうさんは『（事故じこ収束しゅうそくに）覚悟かくごを持もって取とり組くむ』とよく言いうけど、覚悟かくごの『か』の字じも見みえない」 　福島ふくしま第だい1原発げんぱつの汚染おせん水すい処理しょり 1〜3号機ごうき内ないの溶とけ落おちた核かく燃料ねんりょう（デブリ）に触ふれた冷却れいきゃく水すいが汚染おせん水すいとなり、建屋たきのやに流入りゅうにゅうする地下水ちかすいや雨水あまみずと混まざって増加ぞうか。1日にち当あたり約やく90トンが発生はっせいしている。汚染おせん水すいは除染じょせん設備せつびで放射ほうしゃ性せいセシウムやストロンチウムを低減ていげんした後のち、多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび（ALPS）でトリチウムを除のぞく大半たいはんの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを除去じょきょして貯蔵ちょぞうタンクに保管ほかん。昨年さくねん8月がつ24日にちに処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつが始はじまり、処理しょり水すいに大量たいりょうの海水かいすいを混まぜてトリチウム濃度のうどを国くにの排水はいすい基準きじゅんの40分ぶんの1未満みまんにした上うえで、沖合おきあい約やく1キロの海底かいていから放出ほうしゅつしている。 全文ぜんぶん

2024年ねん2月がつ17日にち 8時じ01分ふん 電力でんりょく各社かくしゃが保有ほゆうするプルトニウムの利用りようが滞とどこおる中なか、大手おおて電力でんりょくでつくる電気事業連合会でんきじぎょうれんごうかいは、原発げんぱつの再さい稼働かどうが進すすんでいない電力でんりょく会社かいしゃが保有ほゆうし、フランスで保管ほかんされているプルトニウムの一部いちぶを核かく燃料ねんりょうに加工かこうし、九州電力きゅうしゅうでんりょくと四国電力しこくでんりょくの原発げんぱつで利用りようする計画けいかくを公表こうひょうしました。 使用しよう済ずみ核かく燃料ねんりょうに含ふくまれるプルトニウムは、核兵器かくへいきの原料げんりょうにもなることから、電力でんりょく各社かくしゃはイギリスやフランスに送おくって再ふたたび核かく燃料ねんりょうに加工かこうしたうえで、国内こくないの原発げんぱつで利用りようする「プルサーマル発電はつでん」を進すすめ、保有ほゆう量りょうの削減さくげんを図はかってきました。 しかし、イギリスでは核かく燃料ねんりょうに加工かこうする工場こうじょうが2011年ねんに閉鎖へいさされ、およそ21.7トンのプルトニウムが利用りようできなくなっています。 一方いっぽう、フランスにはおよそ14.1トンが保管ほかんされていますが、「プルサーマル発電はつでん」を実施じっしする九州電力きゅうしゅうでんりょくや四国電力しこくでんりょくは在庫ざいこがなくなっていて、ほかの電力でんりょく会社かいしゃでは再さい稼働かどうが進すすまないこともあり、全体ぜんたいとして利用りようが滞とどこおっています。 このため、電気事業連合会でんきじぎょうれんごうかいは、九州電力きゅうしゅうでんりょくと四国電力しこくでんりょくがイギリスで保管ほかんしているプルトニウム1.7トンを、再さい稼働かどうが進すすんでいない東京電力とうきょうでんりょくや中部電力ちゅうぶでんりょくなど5社しゃがフランスで保管ほかんしている分ぶんと交換こうかんし、核かく燃料ねんりょうに加工かこうした上うえで、2027年度ねんどから利用りようを始はじめる計画けいかくを明あきらかにしました。 […] 全文ぜんぶん

原子力げんしりょく機構きこうが開発かいはつに乗のり出だす 日本にっぽん原子力げんしりょく研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうは核分裂かくぶんれつせず、原子力げんしりょく発電はつでんに使つかわれない劣化れっかウランを利用りようした蓄電池ちくでんちの開発かいはつに乗のり出だす。ウランを使つかった蓄電池ちくでんちは充電じゅうでんロスが低ひくく、原料げんりょうが準じゅん国産こくさんであるため、低てい価格かかくでの販売はんばいが見込みこめる。詳細しょうさいな原理げんり実証じっしょうができれば世界せかい初はつの成果せいかとなる。２０３５年ねんには再生さいせい可能かのうエネルギーや原発げんぱつと連携れんけいし、余剰よじょう電力でんりょくを蓄電ちくでんできる仕組しくみを構築こうちくする考かんがえ。廃棄はいき物ぶつの劣化れっかウランを有効ゆうこう活用かつようし、資源しげんとして平和へいわ的てきに利用りようすることを目指めざす。 ウランの酸化さんか還元かんげん反応はんのうに着目ちゃくもくし、それを利用りようして充電じゅうでん・放電ほうでんする蓄電池ちくでんち「レドックスフロー（ＲＦ）電池でんち」を開発かいはつする。これまでに原子力げんしりょく機構きこうは、ウランを利用りようしたＲＦ電池でんちに使つかう電解でんかい溶液ようえきの選定せんていなどを進すすめてきた。２４年ねんからウランＲＦ電池でんちの詳細しょうさい設計せっけいを始はじめ、２６―２８年ねんに原子力げんしりょく科学かがく研究所けんきゅうじょ（茨城いばらき県けん東海とうかい村むら）内ないで実証じっしょうやスケールアップを実施じっしする予定よてい。 （略りゃく） 原子力げんしりょく発電はつでんに使つかわれるウラン２３５は天然てんねんのウランに０・７％しか含ふくまれない。残のこりの９９・３％は核分裂かくぶんれつしない劣化れっかウランであり、廃棄はいき物ぶつとして約やく１万まん６０００トンが貯蔵ちょぞうされている。核かく燃料ねんりょう物質ぶっしつとして扱あつかいが難むずかしいウランだが、核分裂かくぶんれつしないウランを資源しげん化かできればエネルギーの安定あんてい化かにもつながる。 全文ぜんぶんは劣化れっかウランを蓄電池ちくでんち「レドックスフロー電池でんち」に再生さいせい、世界せかい初はつの成果せいか目指めざす via ニュースイッチ

2023年ねん10月がつ27日にち 12時じ00分ふん […] 春はる以降いこう、現場げんばの関係かんけいで被ひばく線量せんりょうが高たかくなって「これじゃあ、年度ねんど末まつの3月がつまでもつかどうか…」と心配しんぱいしていたが、何なにとかなりそうだ。このままではみんな現場げんばにいられなくなると、上うえの方ほうに直談判じかだんぱんしてやり方かたが変かわった。高こう線量せんりょうの現場げんばでは遠隔えんかくやロボット作業さぎょうなど、現場げんばに行いかなくてできるように工夫くふうされているけれど、作業さぎょうによっては人ひとがいかないとできない。 　事故じこ直後ちょくごと違ちがって、今いまは作業さぎょう員いんの被ひばく線量せんりょうは、年間ねんかん20ミリシーベルト未満みまんで管理かんりされていて、それを万まんが一いちでも超こえないために、東電とうでんから作業さぎょうを請うけ負おう元請もとうけ企業きぎょうは、8掛かけの約やく16じゅうろくミリシーベルトを上限じょうげんとしている。それに近ちかづくと、俺おれらは現場げんばを離はなれなくてはならなくなる。 　高こう線量せんりょうの現場げんばでは、1日にちの計画けいかく線量せんりょう（被ひばく上限じょうげん）の設定せっていが0.8や1ミリシーベルトだが、高たかいところでは2ミリシーベルトのときもあるという。さすがに事故じこ直後ちょくごのように3ミリシーベルトとか5ミリシーベルトなどはないけれど。そういう現場げんばは人ひとの入いれ替かわりが激はげしい。線量せんりょうの低ひくい現場げんばと組くみ合あわせて、どこの下請したうけも被ひばく線量せんりょうを記しるした名簿めいぼをにらみながら人ひと繰くりを工夫くふうしているけど、技術ぎじゅつや経験けいけんが必要ひつような作業さぎょうはどうしても特定とくていの人ひとに集中しゅうちゅうする。 　核かく燃料ねんりょう取とり出だしのための原子げんし炉ろ建屋たきのややその周辺しゅうへんの作業さぎょうや調査ちょうさとか、汚染おせん水すいを扱あつかう現場げんばやがれきが残のこる場所ばしょなど、高こう線量せんりょうの現場げんばはいくつもある。単身たんしん赴任ふにんで来きているから、家族かぞくの元もとに帰かえって一緒いっしょに暮くらしたいという気持きもちもあるけど、子こどもたちも大おおきくなったし、まだ作業さぎょうがあるから、ここで頑張がんばりたい。（き手きて・片山かたやま夏子なつこ）

　首都しゅと圏けん唯一ゆいいつの原発げんぱつ、日本原子力発電にほんげんしりょくはつでん東海とうかい第だい2原発げんぱつで、防潮ぼうちょう堤つつみの施工しこう不良ふりょうが明あきらかになった。ただ原電げんでんの公表こうひょうは不備ふびの把握はあくから4カ月かげつ後ご。原子力げんしりょく規制きせい庁ちょうもかねて報告ほうこくを受うけていたのに、公表こうひょうに動うごかなかった。立地りっち自治体じちたいの茨城いばらき県けん東海とうかい村むらではこの間あいだ、休止きゅうし続つづきの東海とうかい第だい2の再さい稼働かどうについて議会ぎかいが初はじめて賛意さんいを示しめした。原発げんぱつ不信ふしんを招まねく話はなしが伏ふせられるうちに再さい稼働かどうの道筋みちすじが付つく—。こんな話ばなしがまかり通とおっていいのか。（宮みや畑はた譲ゆずる、山田やまだ祐一郎ゆういちろう、長崎ながさき高大こうだい） ◆再さい稼働かどう準備じゅんびの工事こうじ中ちゅう　「防潮ぼうちょう堤つつみ」に施工しこう不良ふりょう 　「すぐに公表こうひょうしないで、村議そんぎ会議かいぎ員いんや首長しゅちょうにも黙だまっていたことが問題もんだい。命いのちと環境かんきょうを守まもる意識いしきが欠かけている。信頼しんらい関係かんけいが崩くずれた」 　今月こんげつ8日にちに開ひらかれた東海とうかい村むら議会ぎかいの全員ぜんいん協議きょうぎ会かい。原電げんでんの面々めんめんを前まえに、再さい稼働かどうに反対はんたいする阿部あべ功いさお志こころざし村議そんぎ（無所属むしょぞく）はそう糾弾きゅうだんした。 　大名だいみょうおおな美恵子みえこ村議そんぎ（共産きょうさん）も「（防潮ぼうちょう堤つつみの不備ふびは）重大じゅうだいな工事こうじの失敗しっぱい。少すくなくとも県けんや村むら、議会ぎかいには報告ほうこくしてから対策たいさくするのが本来ほんらいの姿すがただ」と切きり出だした上うえで、「全国ぜんこくの人ひとが注目ちゅうもくしている。住民じゅうみん、地元じもと議会ぎかい、自治体じちたいにはいち早はやく説明せつめいしていくスタンスが大事だいじだ」と言葉ことばを重かさねた。 　東海とうかい第だい2原発げんぱつは2018年ねん、原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいによる新しん規制きせい基準きじゅんの審査しんさに通過つうか。同年どうねんに運転うんてん期限きげんとなる40年ねんを迎むかえたが、最長さいちょう20年ねんの運転うんてん延長えんちょうが認みとめられた。 その後ご、防潮ぼうちょう堤つつみの建設けんせつや非ひ常用じょうよう電源でんげんの設置せっちなど事故じこ対策たいさく工事こうじを進すすめ、24年ねん9月がつの完了かんりょうを経へて再さい稼働かどうに向むかう算段さんだんだった。 　そんな最中さいちゅうの今年ことし10月がつ、防潮ぼうちょう堤つつみに施工しこう不良ふりょうがあったと原電げんでんは発表はっぴょうした。 　不備ふびが見みつかったのは、防潮ぼうちょう堤つつみの取水しゅすい口こう付近ふきんの鋼はがね製せい防護ぼうご壁かべを支ささえる基礎きそ部分ぶぶん。外周がいしゅう部ぶの地中ちちゅうに埋うめられた2本ほんの柱はしら（幅はば15.5メートル、長ながさ50メートル）の一ひとつに、コンクリートの充填じゅうてんじゅうてん不足ふそくによる隙間すきまや鉄筋てっきんの変形へんけいがあった。 ◆事実じじつの発表はっぴょうは、内部ないぶ告発こくはつを受うけた記者きしゃ会見かいけんとまさかの同日どうじつ 　当然とうぜんながら施工しこう不良ふりょうは問題もんだいだが、村議そんぎたちは公表こうひょうの時期じきにも疑問ぎもんのまなざしを向むけた。原電げんでんが施工しこう不良ふりょうを見みつけたのは今年ことし6月がつ。10月までの約やく4カ月かげつ間あいだ、公表こうひょうしていなかった。 原電げんでんの広報こうほう担当たんとう者しゃは東京とうきょう新聞しんぶん「こちら特報とくほう部ぶ」の取材しゅざいに「初はじめから公表こうひょうする方向ほうこうで調整ちょうせいしていたが、原因げんいんを推定すいていするのに時間じかんがかかった。大方おおかたの原因げんいんが分わかり、発表はっぴょうできるようになったのが10月がつだった」と説明せつめいする。 　ただ、不可解ふかかいな経緯けいいもある。先さきの大名だいみょう村議そんぎは9月6日にちに工事こうじ関係かんけい者しゃから内部ないぶ告発こくはつを受うけ、同月どうげつ22日にちには原電げんでんに質問しつもん書しょを出だした。ところがその後ごに回答かいとうがなく、10月16日にちに会見かいけんを開ひらこうとしたところ、原電げんでんも同おなじ日びに公表こうひょうしたという。 　原電げんでんの担当たんとう者しゃは「共産党きょうさんとうは関係かんけいがない」と語かたるが、大名だいみょう村議そんぎは「もっと早はやく公表こうひょうできたはずだ。公表こうひょうするつもりはなかったが、会見かいけんが入はいったので公表こうひょうしたのではないか」といぶかる。 ◆山中やまなか伸介しんすけ・規制きせい委員いいん長ちょう「重大じゅうだい性せいがある問題もんだいと認識にんしきしていない」 […] 10月がつ18日にちの定例ていれい会見かいけんで規制きせい委いの山中やまなか伸介しんすけ委員いいん長ちょうは「現時点げんじてんで規制きせい委いが取とり上あげるほど重大じゅうだい性せいがある問題もんだいと認識にんしきしていない」と述のべ、「適切てきせつな工事こうじがなされれば使用しよう前ぜん検査けんさできっちり確認かくにんしていく」と繰くり返かえした。 　改あらためて規制きせい庁ちょうに聞きくと、担当たんとう者しゃは「法令ほうれいに基もとづき報告ほうこくを義務付ぎむづけている事象じしょうがある。今回こんかいの施工しこう不良ふりょうは該当がいとうせず、われわれから公表こうひょうするものではない。あくまで完成かんせい後ごに検査けんさをして合否ごうひを判定はんていする」と述のべ、「立地りっち自治体じちたいへの説明せつめいは大事だいじなことだが、事業じぎょう者しゃが行おこなうべきこと。コメントする立場たちばにはない」と話はなした。 ◆日本にっぽん原電げんでんと原子力げんしりょく規制きせい庁ちょうの置おかれた立場たちばは 　首くびをかしげたくなる対応たいおうを取とる原電げんでんと規制きせい庁ちょう。両者りょうしゃに関かんしていえば、東海とうかい第だい2原発げんぱつの再さい稼働かどうに前まえのめりな姿勢しせいがうかがえる。 　原電げんでんは原発げんぱつ専業せんぎょうの電力でんりょく会社かいしゃだが、保有ほゆうする敦賀つるが原発げんぱつ1、2号機ごうき（福井ふくい県けん）、東海とうかい第だい2原発げんぱつのうち、敦賀つるが1号機ごうきは廃はい炉ろが決定けってい。直下ちょっかに活かつ断層だんそうがある2号機ごうきも再さい稼働かどうに向むけた審査しんさが滞とどこおる。震災しんさい以降いこう、販売はんばい電力でんりょく量りょうはゼロで、再さい稼働かどうを前提ぜんていに原発げんぱつの維持いじや管理かんり費ひの名目めいもくで電力でんりょく各社かくしゃが支払しはらう「基本きほん料金りょうきん」で経営けいえいをつなぐ。 […] ◆知しらされない間あいだに東海とうかい村むら議会ぎかいが「再さい稼働かどう求もとめる請願せいがん」採択さいたく 　国策こくさくと化かす再さい稼働かどうを巡めぐっては、防潮ぼうちょう堤つつみの施工しこう不良ふりょうが公表こうひょうされずにいた間あいだ、東海とうかい第だい2が立地りっちする東海とうかい村むらでは重要じゅうような局面きょくめんを迎むかえていた。 　村議そんぎ会かい原子力げんしりょく問題もんだい調査ちょうさ特別とくべつ委員いいん会かいは9月、村むら商工会しょうこうかいなどが出だしていた再さい稼働かどうを求もとめる請願せいがんを賛成さんせい多数たすうで「採択さいたくするべき」とした。再さい稼働かどうを巡めぐって議会ぎかいが事実じじつ上じょうの賛意さんいを示しめすのは初はじめて。再さい稼働かどうに反対はんたいする請願せいがんは「不ふ採択さいたく」とした。 　ただ施工しこう不良ふりょうが公表こうひょうされていれば、委員いいん会かいでの審議しんぎに影響えいきょうを与あたえた可能かのう性せいがある。10月の公表こうひょうでよかったのか。原電げんでんは「原因げんいんを一定いってい程度ていど推定すいていするのに時間じかんがかかった。村むらの請願せいがんとは関係かんけいない」と答こたえる。 脱だつ原発げんぱつを訴うったえる市民しみん団体だんたい「たんぽぽ舎しゃ」の柳田やなぎだ真しん共同きょうどう代表だいひょうは「原電げんでんはこれ以上いじょう、工事こうじを遅おくらせることはできず、情報じょうほうを伏ふせたのでは。何なにが何なんでも来年らいねん9月がつに工事こうじ完了かんりょうできるよう躍起やっきなのだろう」と推おし量はかる。 　一方いっぽう、茨城大いばらきだいの蓮井はすい誠一郎せいいちろう教授きょうじゅ（国際こくさい政治せいじ学がく）は「不備ふびをすぐに公表こうひょうしなかったのは地域ちいきや社会しゃかいをどこか信頼しんらいしておらず、オープンな議論ぎろんを避さけた結果けっかではないか」といぶかる。 ◆炉心ろしん溶融ようゆう事故じこが起おきたら経済けいざい的てきな損失そんしつは660兆ちょう円えん 　厳きびしい視線しせんは村議そんぎ会かいにも向むく。防潮ぼうちょう堤つつみが完成かんせいしていない段階だんかいで再さい稼働かどう絡がらみの請願せいがんの審議しんぎを進すすめたほか、不備ふびが発覚はっかくした後のちも再さい審議しんぎに動うごかなかったからだ。 　「地域ちいきのリスクを軽視けいししており、チェック機能きのうが果はたされていない」 　再さい稼働かどうに前まえのめりになるあまり、安全あんぜん面めんがないがしろにされては困こまる。 　東海とうかい第だい2で事故じこが起おきれば甚大じんだいな被害ひがいが生しょうじかねない。環境かんきょう経済けいざい研究所けんきゅうじょの上岡うえおか直見なおみ代表だいひょうは「炉心ろしん溶融ようゆう事故じこが起おきた場合ばあい、経済けいざい的てきな損失そんしつは660兆ちょう円えんを超こえる」と試算しさんする。 　福島ふくしま第だい1原発げんぱつ2号機ごうきの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつ放出ほうしゅつ量りょうの推定すいてい値ちと同どう量りょうが東海とうかい第だい2から大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつされた場合ばあい、東京とうきょう23区くの東ひがし半分はんぶんまでの住民じゅうみんが避難ひなんや一時いちじ移転いてんを余儀よぎなくされ、生産せいさん・消費しょうひ活動かつどうが停止ていしすると想定そうていした。 　福島ふくしまの事故じこでは、民間みんかんシンクタンクが事故じこ処理しょり費用ひようが最大さいだい81兆ちょう円えんに及およぶと試算しさんした。「条件じょうけん設定せっていにも左右さゆうされ、直接ちょくせつ比較ひかくはできない」と語かたる一方いっぽう、「再さい稼働かどうした場合ばあい、利益りえきと比くらべて桁違けたちがいのリスクがある。原電げんでんはどこまで認識にんしきしているのか」とも指摘してきする。 […] ◆デスクメモ 　2020年ねん9月がつの柏崎かしわざき刈羽かりわ原発げんぱつ。東京電力とうきょうでんりょくはテロ対策たいさくの不備ふびを把握はあくし、規制きせい庁ちょうに伝つたえたが、公表こうひょうされなかった。表沙汰おもてざたになったのは翌年よくねん1月がつの報道ほうどう。その間あいだ、再さい稼働かどうが絡からむ規制きせい委いの審査しんさがあり、ゴーサインが出でた。「またか」と思おもう今回こんかいの件けん。双方そうほうに絡からむ規制きせい庁ちょう。不信ふしんばかりが募つのる。（榊さかき）

　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい1原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）の汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりする多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび（ALPS）の配管はいかん洗浄せんじょう中ちゅうに廃液はいえきが飛とび散ちった事故じこで、東電とうでんと下請したうけの東芝とうしばエネルギーシステムズ（川崎かわさき市し）は16日にち、原因げんいんの分析ぶんせき結果けっかを発表はっぴょうした。入院にゅういんした作業さぎょう員いん2人にんは、過去かこの作業さぎょう経験けいけんから廃液はいえきは飛散ひさんしないと考かんがえ、ルールで定さだめられたかっぱを着用ちゃくようせず、被ひばくにつながったと指摘してきした。 ◆作業さぎょう優先ゆうせんし「予定よてい外がい」「ルール逸脱いつだつ」でも中止ちゅうしせず 　両社りょうしゃによると、事故じこは10月25日にちに発生はっせい。配管はいかんの洗浄せんじょう時間じかんが長引ながびき、高こう濃度のうどの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ廃液はいえきの発生はっせい量りょうを抑おさえようと、当初とうしょ予定よていしていなかった配管はいかんの弁べんを閉しめて洗浄液せんじょうえきの流ながれを抑おさえた。その結果けっか、配管はいかん内ないの圧力あつりょくが高たかまり、廃液はいえきをタンクに入いれるホースが外はずれて飛散ひさん。タンク近ちかくにいた2人ふたりにかかった。監視かんし役やくの作業さぎょう員いんもかっぱ着用ちゃくようを指示しじせず、予定よてい外がいの作業さぎょう員いんの配置はいち換かえや、ホースの敷設ふせつルートの変更へんこうもあった。 　現場げんばに常駐じょうちゅうが必要ひつような作業さぎょう班長はんちょうも、作業さぎょうに当あたった3社しゃのうち1社しゃの班長はんちょうがいなかった。東芝とうしばは、現場げんば管理かんりのルール逸脱いつだつを認識にんしきしていたが、作業さぎょうの実施じっしを優先ゆうせんして中止ちゅうししなかった。 　東電とうでんの広報こうほう担当たんとう者しゃは16日にちの記者きしゃ会見かいけんで「ルールが守まもられていなかった。再発さいはつ防止ぼうしに努つとめる」と話はなした。（小野沢おのざわ健太けんた、渡辺わたなべ聖子せいこ） 【関連かんれん記事きじ】福島ふくしま第だい1原発げんぱつ、3回かい目めの処理しょり水すい海洋かいよう放出ほうしゅつを始はじめる　被ひばく事故じこから8日にち、東京電力とうきょうでんりょくはまだ詳くわしい説明せつめいできず【関連かんれん記事きじ】福島ふくしま第だい1原発げんぱつの被ひばく事故じこ　漏もれた廃液はいえきは100ミリリットルではなく、数すう十じゅう倍ばいの「数すうリットル」だった 原文げんぶん

2023年ねん11月2日にち 21時じ56分ふん 東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい1原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）の汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりした水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつで、東電とうでんは2日にち、3回かい目めの放出ほうしゅつを始はじめた。20日はつかに完了かんりょうする見通みとおし。 同日どうじつ午前ごぜん10時じ21分ふんにポンプを起動きどうして放出ほうしゅつを開始かいし。期間きかん中ちゅうに処理しょり水すい約やく7800トンを放出ほうしゅつする。本年度ほんねんどは4回かいに分わけて計けい約やく3万まん1200トンを流ながす計画けいかくだ。 東電とうでんによると、風評ふうひょう被害ひがいを巡めぐる賠償ばいしょうでは10月26日にち時点じてんで賠償ばいしょう請求せいきゅう書しょの発送はっそう依頼いらいが約やく510件けんあり、実際じっさいに十じゅう数すう件けんの請求せいきゅうがあった。東電とうでんは賠償ばいしょう済ずみの件数けんすうや金額きんがくを明あきらかにしていないが、主おもな賠償ばいしょう先さきは日本にっぽん産さん水産物すいさんぶつの輸入ゆにゅうを停止ていししている中国ちゅうごく向むけにホタテやナマコを輸出ゆしゅつしていた水産すいさん業者ぎょうしゃという。 […] ◆「事故じこが起おきた作業さぎょうと海洋かいよう放出ほうしゅつは作業さぎょう内容ないようが違ちがう」と主張しゅちょう 　3回かい目めの処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつは、汚染おせん水すいを浄化じょうかするALPSで起おきた作業さぎょう員いんの被ひばく事故じこから8日にち後ごに始はじまった。汚染おせん水すい処理しょりの根幹こんかんとなる設備せつびでの事故じこに対たいし、東京電力とうきょうでんりょくが詳くわしい説明せつめいをしない中なかでの放出ほうしゅつ再開さいかいとなり、東電とうでんが海洋かいよう放出ほうしゅつを巡めぐって強調きょうちょうする「透明とうめい性せい高たかく情報じょうほう発信はっしんする」姿勢しせいは全まったく感かんじられない。 事故じこは10月25日にちに発生はっせい。設備せつびの配管はいかん洗浄せんじょう中ちゅうに廃液はいえきが飛散ひさんし、被ひばくした作業さぎょう員いん2人にんが一時いちじ入院にゅういんした。2人ふたりは作業さぎょうルールで定さだめられたかっぱを着用ちゃくようせず、現場げんばに常駐じょうちゅうする必要ひつようがある作業さぎょう班長はんちょうもいなかった。 　2日にちの記者きしゃ会見かいけんでは、事故じこが起おきた原因げんいんや作業さぎょう時じの管理かんり態勢たいせいについて質問しつもんが相次あいついだが、東電とうでんの広報こうほう担当たんとう者しゃは「これから調しらべる」と繰くり返かえすだけだった。そのような状況じょうきょうでも放出ほうしゅつを始はじめるのかを問とわれると、広報こうほう担当たんとう者しゃは「事故じこが起おきた作業さぎょうと海洋かいよう放出ほうしゅつは作業さぎょう内容ないようが違ちがう」と強調きょうちょうし、放出ほうしゅつに問題もんだいないとの認識にんしきを示しめした。 　東電とうでんの説明せつめいは二に転てん三さん転てんしている。事故じこ直後ちょくごは作業さぎょう員いんにかかった廃液はいえきの量りょうは100ミリリットルとしたが、その後ごに数すうリットルだったと訂正ていせい。これには、1日にちの原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの定例ていれい会合かいごうで石渡いしわた明あきら委員いいんが「説明せつめいが変かわるたびに数字すうじが大おおきくなる」と不信ふしん感かんをあらわにした。（渡辺わたなべ聖子せいこ） 全文ぜんぶん