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明石あかし昇のぼり二郎じろう 本誌ほんし2019年ねん６月がつ７日にち号ごう掲載けいさいの「福島ふくしま県けん、『最短さいたん潜伏せんぷく期間きかん』過すぎた胃いがんで『有意ゆういな多発たはつ』」記事きじから１年ねん。この間あいだ、全国ぜんこくがん登録とうろく事業じぎょうは、国立こくりつがん研究けんきゅうセンターから厚生こうせい労働省ろうどうしょうへと引ひき継つがれ、データ公表こうひょうまでの時間じかんが大幅おおはばにスピードアップ。16年ねんと17年ねんのデータが相次あいついで公表こうひょうされていた。 全国ぜんこくがん登録とうろくのデータは、それまではがん患者かんじゃが亡なくならない限かぎり明あきらかになることのなかった「がん患者かんじゃ多発たはつ」の傾向けいこうを、がんの発生はっせい段階だんかいで把握はあくすることで異変いへんをいち早はやく掴つかみ、治療ちりょうや原因げんいん究明きゅうめいに役立やくだてるためのものである。しかし現状げんじょうは、その力ちからを十分じゅうぶん発揮はっきできるまでには至いたっていない。 （略りゃく） 使つかい勝手がっての良よくなった全国ぜんこくがん登録とうろくデータ 代表だいひょう的てきな発はつがん性せい物質ぶっしつとして知しられる放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを大量たいりょうに撒まき散ちらした結果けっか、原発げんぱつ事故じこの国際こくさい評価ひょうか尺度しゃくど（ＩＮＥＳ）で過去かこ最悪さいあくの「レベル７」と認定にんていされ、環境かんきょうをおびただしく汚染おせんした東京電力とうきょうでんりょく（東電とうでん）福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこでは、被曝ひばくによる健康けんこう被害ひがいを受うけた人ひとは一人ひとりもいないことにされている。ありえないことであり、実態じったいを把握はあくしようとしていないだけの話はなしである。健康けんこう被害ひがいはがんばかりではないと思おもわれるが、まずは全国ぜんこくがん登録とうろくデータの出番でばんだろう。積極せっきょく的てきに活用かつようしていきたいものだ。 （略りゃく） 福島ふくしま県けんでは６年ねん連続れんぞくで胃いがんが「有意ゆういな多発たはつ」 そこで、本誌ほんし昨年さくねん６月がつ７日にち号ごう掲載けいさいの拙稿せっこう（東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこと「全国ぜんこくがん登録とうろく」　福島ふくしま県けん、「最短さいたん潜伏せんぷく期間きかん」過すぎた胃いがんで「有意ゆういな多発たはつ」）に引ひき続つづき、16年ねんと17年ねんのデータをもとに、「全国ぜんこく胃いがん年齢ねんれい階級かいきゅう別べつ罹患りかん率りつ」と福島ふくしま県けんの同どう罹患りかん率りつを比較ひかくしてみることにした。 （略りゃく） 福島ふくしま県けんの胃いがんについて、08年ねんから17年ねんまでのＳＩＲを計算けいさんしてみた結果けっかは、次つぎのとおり。 【胃いがん】福島ふくしま県けん罹患りかん数すう　ＳＩＲ08年ねん男おとこ　１２７９　　　８８・３09年ねん男おとこ　１３６６　　　９４・１10年ねん男おとこ　１５００　　１０１・１11年ねん男おとこ　１３９１　　　９２・２12年ねん男おとこ　１６７２　　１１０・６13年ねん男おとこ　１６５９　　１１０・９14年ねん男おとこ　１７１１　　１１９・３15年ねん男おとこ　１６５４　　１１６・６16年ねん男おとこ　１７５８　　１１６・３17年ねん男おとこ　１７３７　　１２０・０ 08年ねん女おんな　　６０２　　　８６・６09年ねん女おんな　　６４０　　　９４・２10年ねん女おんな　　７００　　１００・９11年ねん女おんな　　７３６　　１００・９12年ねん女おんな　　７７４　　１０９・２13年ねん女おんな　　７６７　　１０９・９14年ねん女おんな　　７２９　　１０９・０15年ねん女おんな　　７６９　　１２０・３16年ねん女おんな　　９５７　　１３９・４17年ねん女おんな　　７７８　　１１９・６ 国立こくりつがん研究けんきゅうセンターでは、ＳＩＲが１１０を超こえると「がん発症はっしょう率りつが高たかい県けん」と捉とらえている。福島ふくしま県けんにおける胃いがんのＳＩＲは11年ねん以降いこう、男女だんじょとも全国ぜんこく平均へいきんを上回うわまわる高たかい値ねで推移すいいしており、特とくに16年ねんの女性じょせいでは１３９・４というひときわ高たかい値ねを記録きろくしている。 続つづいて、このＳＩＲの「95％信頼しんらい区間くかん」を求もとめてみた。疫学えきがくにおける検証けんしょう作業さぎょうのひとつであり、それぞれのＳＩＲの上限じょうげん（正確せいかくには「推定すいてい値ちの上限じょうげん」）と下限かげん（同どう「推定すいてい値ちの下限かげん」）を計算けいさんし、下限かげんが１００を超こえていれば、単たんに増加ぞうかしているだけではなく、確かく率りつ的てきに偶然ぐうぜんとは考かんがえにくい「統計とうけい的てきに有意ゆういな多発たはつ」であることを意味いみする。 その結果けっか、福島ふくしま県けんにおいては12年ねん以降いこう、６年ねん連続れんぞくで男女だんじょともに胃いがんが「有意ゆういな多発たはつ」状態じょうたいにあり、それが収おさまる兆きざしは残念ざんねんながら一向いっこうに見みられないことが判明はんめいした。 胃いがん以外いがいにも、甲状腺こうじょうせんがん、前立腺ぜんりつせんがん、胆たんのう・胆きも管かんがんなどについての詳細しょうさいな記事きじは９月くがつ11日にち発売はつばいの『週刊しゅうかん金曜日きんようび』９月がつ11日にち号ごうに掲載けいさいされる。 全文ぜんぶんはもはや疑うたがえない福島ふくしまでの「がん多発たはつ」