Daily Archives: 2015/01/11

セメント注入ちゅうにゅうが続つづく東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ２号機ごうきの海うみ側がわトレンチ（電源でんげんケーブルなどが通とおる地下道ちかどう）で、底部ていぶに堆積たいせきした高こう濃度のうど汚染おせん水すいを含ふくむ砂すなの除去じょきょが新あらたな課か 題だいとして浮上ふじょうしている。セメントでトレンチ内ないを固かため、汚染おせん水すいを抜ぬき取とっても、砂すながたまった層そうの亀裂きれつから地下水ちかすいが流入りゅうにゅうし汚染おせん水すいとなり漏もれ出だす可能かのう性せいがある。 大だい規模きぼな漏ろうえいにつながるトレンチ内ないの汚染おせん水すい除去じょきょを優先ゆうせんするため工事こうじを続行ぞっこうするが、不安ふあん材料ざいりょうを抱かかえたまま作業さぎょうを進すすめざるを得えないのが現状げんじょうだ。 ■想定そうてい外がい ２号機ごうきのトレンチにはタービン建屋たきのやから流ながれ込こんだ汚染おせん水すいが約やく５０００トンもたまっていた。再ふたたび大だい地震じしんや津波つなみが発生はっせいした際さいには、汚染おせん水すいの大量たいりょう漏ろうえいにもつながりかねない。汚染おせん水すいの抜ぬき取とりは待まったなしだった。 東電とうでんはセメントをトレンチ内ないに注入ちゅうにゅうすることで、たまった汚染おせん水すいが押おし出だされ、完全かんぜんに除去じょきょできると想定そうていした。しかし、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの津波つなみで運はこばれた底部ていぶの砂すなの存在そんざいが昨年さくねん１１月がつ、明あきらかになった。東電とうでんは、砂すなに約やく２５トンの汚染おせん水すいが含ふくまれていると推定すいていする。 原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいはトレンチの耐震たいしん構造こうぞうから、亀裂きれつの存在そんざいを指摘してきしていた。「地下水ちかすいが入はいり込こみ、汚染おせん水すいとなって海洋かいよう流出りゅうしゅつする可能かのう性せいがある」。県けんの担当たんとう者しゃはセメント注入ちゅうにゅう作業さぎょうの推移すいいを注視ちゅうしする。 原子力げんしりょく規制きせい庁ちょうの担当たんとう者しゃは「砂すなが地下水ちかすいを汚染おせんする可能かのう性せいは否定ひていできない。しかし、緊急きんきゅう性せいの高たかい汚染おせん水すいの抜ぬき取とりを優先ゆうせんするしかない」としている。 ■回収かいしゅうは困難こんなん トレンチの砂すなは地上ちじょうから約やく１２メートルの地下ちかにある上うえ、「セメントでふたをしたような状態じょうたい」（県けん担当たんとう者しゃ）という。 さらに、トレンチ付近ふきんの空間くうかん線量せんりょうは毎時まいじ１ミリシーベルト（平成へいせい２５年ねん６月がつ現在げんざい）と高たかい。砂すなを取とり出だすかどうかも含ふくめ見通みとおしは示しめされていない。高坂こうさか潔きよし県けん原子げんし 力りょく専門せんもん員いんは「汚染おせん水すいを含ふくむ砂すなの残留ざんりゅうは、トリチウムを含ふくんだ水みずや使用しよう済ずみ核かく燃料ねんりょうの処理しょりなど『廃はい炉ろのシナリオ』の新あらたな長期ちょうき的てき課題かだいの一ひとつとなった」との認識にんしきを 示しめした。 続つづきは第だい一いち原発げんぱつ２号機ごうき　トレンチ底部ていぶに砂すな堆積たいせき　新あらたな課題かだいに

東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい１原発げんぱつ事故じこが起おきたのは高校こうこう１年生ねんせいの時ときだった。１カ月かげつ後ご、近所きんじょでデモがあった。カメラマンの父ちち（５７）に誘さそわれ、見みに行いった。 思おもい思おもいに「原発げんぱつ、いらない」と声こえを上あげ、プラカードを手てにした人ひとの列れつをドラムの軽快けいかいなリズムが導みちびく。 楽たのしそうだった。 「お母かあさんが小ちいさい子こどもの手てを引ひいて歩あるいていて。デモってどんなものかも知しらなかったけど、みんな言いいたいことを言いっていて、こういうやり方かたがあるのか、と」 想像そうぞう以上いじょうの人ひとの多おおさに驚おどろき、やがて安部あべさくらさん（２０）＝東京とうきょう都と練馬ねりま区く＝は愕然がくぜん（がくぜん）とする。 「自分じぶんは何なにも知しらない」 原発げんぱつ反対はんたいと叫さけぼうにも、原発げんぱつの知識ちしきは皆無かいむに等ひとしかった。 知しりたい、知しらなきゃ。 大学だいがくに進すすむと平和へいわについて考かんがえるサークルに入はいった。 （略りゃく） ■警句けいく 変化へんかをはっきりと感かんじた瞬間しゅんかんがあった。 毎まい夏なつ、広島ひろしまや長崎ながさきへ赴おもむき、被爆ひばく者しゃの体験たいけん談だんを聞きいてきたが、「秘密ひみつ保護ほご法ほうが話題わだいになる前まえの２０１３年ねん夏なつと、法律ほうりつが成立せいりつして集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうし容認ようにんが閣議かくぎ決定けっていされた後のちの１４年ねん夏なつで、語かたり部べの熱意ねついが一変いっぺんしていた」。 前年ぜんねんに続つづいて話はなしを聞きいた８０歳さい近ちかい被爆ひばく者しゃは語かたった。 「本当ほんとうに７０年ねん前まえの戦争せんそうの直前ちょくぜんとよく似にた状況じょうきょうになっている。いま止とめなければ、もうすぐ戦争せんそうが始はじまってしまう」 世間せけんを覆おおう漠然ばくぜんとした閉塞へいそく（へいそく）感かん、海外かいがいでの戦争せんそうに前まえのめりになる政府せいふ、自由じゆうにモノが言いえない雰囲気ふんいき。 これまで経験けいけんを語かたろうとしなかった被爆ひばく者しゃが重おもい口くちを開ひらき始はじめていた。入院にゅういんしている病院びょういんを抜ぬけ出だし、集会しゅうかいに駆かけ付つけた被爆ひばく者しゃもいた。 異口同音いくどうおんに語かたられる「戦前せんぜんと似にている」の警句けいく。「私わたしは聞きいてしまったし、知しってしまった。『今日きょうのき手きては、明日あしたの語かたり部べ』と言いう。私わたしが伝つたえていくのだと思おもう」 ■理由りゆう デモをやったところで政治せいじを動うごかせるわけじゃない。過剰かじょうに反応はんのうしているだけじゃないか。そう冷笑れいしょうするもう一人ひとりの自分じぶんもいた。 思おもい出だされたのは、大学だいがくの教授きょうじゅの言葉ことばだった。 オオカミ少女しょうじょになれ－。 「国くにが危機きき的てきな方向ほうこうへ向むかっている。そう気付きづいたら『おかしいよ！』『まずいよ！』と言いいふらせばいい。実際じっさい、そうならなくてもいい」 そう。危あぶないと感かんじる自由じゆう、それを口くちにする自由じゆうが私わたしたちにはある。 全文ぜんぶんは時代じだいの正体しょうたい〈４８〉ハタチの叫さけび（上うえ）　私わたしが自由じゆうであるために　安部あべさくらさん