Daily Archives: 2015/01/14

○福島ふくしま県けん南みなみ相馬そうま市しは、2014年ねん12月28日にちに特定とくてい避難ひなん勧奨かんしょう地点ちてんから全すべて解除かいじょされた。それに先さき 立たって南みなみ相馬そうま市しでは、よくわかる放射線ほうしゃせん教室きょうしつ「ベテランママの会かい」という名称めいしょうの冊子さっしが配はい られた。 早野はやの龍りゅう五ご（東大とうだい大学院だいがくいん理学りがく系けい研究けんきゅう科か特例とくれい教授きょうじゅ）著ちょ。放射線ほうしゃせんは゛それほど恐おそれなくてもいい ゛神話しんわづくりの広報こうほう紙しである。 　●原発げんぱつ事故じこによって始はじめて放射線ほうしゃせんを浴あびたわけでない、もともと放射線ほうしゃせんは存在そんざいしている 。 　●人間にんげんや動植物どうしょくぶつ、食たべ物ものの中なかに原発げんぱつ事故じこ以前いぜんから放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつは含ふくまれている。 　●大気たいき中ちゅうに放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつは舞まっていない、子供こどもの外そと遊あそびは安全あんぜんマスクの必要ひつようはない。 　●内部ないぶ被曝ひばくはほとんど食材しょくざい由来ゆらい、南みなみ相馬そうま市しの市街地しがいちの空間くうかん線量せんりょうは西日本にしにほんと変かわらない。 　●井戸水いどみずのように充分じゅうぶん澄すんだ水みずは放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつと泥どろが結合けつごう、沈殿ちんでん、安全あんぜん性せいは高たかい。 　●病院びょういんの検査けんさで放射線ほうしゃせん・放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつは使つかわれる等とう。日常にちじょう生活せいかつのどこにでもある、慎重しんちょうに なりすぎなくていいという趣旨しゅしの内容ないようである。 ○放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの影響えいきょうは、小ちいさな生物せいぶつから異変いへんを及およぼしていく。琉球大学りゅうきゅうだいがくの大滝おおたき丈二じょうじ准じゅん教授きょうじゅ （分子ぶんし生理学せいりがく）研究けんきゅうチームらは、原発げんぱつ事故じこ直後ちょくご福島ふくしま県けん、茨城いばらき県けん、東京とうきょうで2011年ねん5月がつと9月がつに 集あつめたチョウの一種いっしゅ「ヤマトシジミ」成虫せいちゅうから生うまれた卵たまごをふ化かさせて育そだて、孫まごの世代せだいま で調しらべた結果けっか 福島ふくしま県内けんないのチョウで子この世代せだいで死しぬ確立かくりつが高たかい、放射線ほうしゃせん量りょうが高たかい地域ちいきほどオスの羽はねのサイ ズが小ちいさい、羽はねの配合はいごうパターン、斑点はんてんの数かずに異常いじょうがあった等ひとし、事故じこが周辺しゅうへんの自然しぜんに影響えいきょうを あたえ遺伝いでん的てきな異常いじょうが出でているのは間違まちがいない。調査ちょうさ結果けっかを研究けんきゅうチームがまとめ、英えい科学かがく 誌し電子でんし版ばんに発表はっぴょうした（2012.8.11毎日新聞まいにちしんぶん）。最近さいきんでは、殺ころせ処分しょぶんを拒否きょひして育そだててきた牛うし に異常いじょうな斑点はんてんがでてきたことが報告ほうこくされている。 ○政府せいふは、原子力げんしりょく発電はつでん所しょ爆発ばくはつ事故じこにより原発げんぱつ安全あんぜん神話しんわが崩壊ほうかいしたことから、放射線ほうしゃせんはそれ ほど怖こわくないと、今度こんどは放射線ほうしゃせん安全あんぜん神話しんわの刷すり込こみを浸透しんとうさせようとしている。2014.8.1 1、朝日新聞あさひしんぶんなど全国ぜんこく紙しと福島ふくしま民みん報ほう・福島ふくしま民みん友ともに「放射線ほうしゃせんについての正ただしい知識ちしきを」政府せいふ 広報こうほうで、復興ふっこう庁ちょう、内閣ないかく官房かんぼう、外務省がいむしょう、環境省かんきょうしょう名めいで大おおきく掲載けいさいした。著者ちょしゃは、中川なかがわ恵一けいいち（東ひがし 大だい医学部いがくぶ付属ふぞく病院びょういん放射線ほうしゃせん科か准じゅん教授きょうじゅ）、レティ・キース・チェム（国際こくさい原子力げんしりょく機関きかんIAEA保健ほけん 部長ぶちょう）。 　●福島ふくしまで被曝ひばくによるガンは増ふえないと考かんがえられる。 　●100msv/年とし以下いかでは甲状腺こうじょうせんガンは増ふえない。 　●運動うんどう不足ふそくなどによる生活せいかつ習慣しゅうかんの悪化あっかがガンリスクを高たかめる。 　●セシウムの放射線ほうしゃせんは体からだを突つき抜ぬけるので内部ないぶ被曝ひばくは低ひくい。 　●放射線ほうしゃせんの影響えいきょうに関かんする誤解ごかいはメディア報道ほうどうの仕方しかたに問題もんだい。 　●IAEA・ ICRP（国際こくさい放射線ほうしゃせん防護ぼうご委員いいん会かい）の国際こくさい基本きほん安全あんぜん基準きじゅん「一般いっぱん市民しみん1msv/年とし、原発げんぱつ 事故じこ発生はっせい地域ちいきの人ひと20msv/年とし」は、科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづき健康けんこうの影響えいきょうはない。原発げんぱつ事故じこが起おこ ると安全あんぜん基準きじゅん値ちが急きゅうに20倍ばいに上あがる、これがIAEA・ ICRP・国際こくさい機関きかんの科学かがく的てき根拠こんきょである 、お粗末そまつの極きわまりである。 ○南みなみ相馬そうま市しの152世帯せたいの住民じゅうみんの多おおくは「線量せんりょうがまだ高たかい」解除かいじょに反対はんたい、「すぐには帰還きかんし … Continue reading →

（抜粋ばっすい） 前作ぜんさくは「原発げんぱつはまた、爆発ばくはつする」という衝撃しょうげき的てきな副題ふくだいのもと、政官せいかん財ざいのトライアングルがなぜ原発げんぱつ再さい稼働かどうに固執こしつするのか、その真しんの理由りゆうを克明こくめいに描えがき出だし た。端はし的てきに言いうと、原発げんぱつ再さい稼働かどうとは、原発げんぱつによって生うみ出だされるレント（超過ちょうか利潤りじゅん）と呼よばれる巨大きょだいマネーの還流かんりゅうシステム（小説しょうせつでは「モンスター・システム」 と表現ひょうげんされている）の再さい稼働かどうに他たならない。その目的もくてきのため、電力でんりょく会社かいしゃ、官僚かんりょう、政治せいじ家かが何なにを考かんがえ、どう行動こうどうしているのかを暴あばき出だした。 実際じっさい、安倍あべ政権せいけん発足ほっそく後ごのわずか2年ねんで日本にっぽんの原発げんぱつ政策せいさくは若杉わかすぎの小説しょうせつに書かかれたとおり（電力でんりょく会社かいしゃの思惑おもわくどおり）、アッあっと言いう間まに「フクシマ以前いぜん」に戻もどってしまった。 第だい2弾だんとなる本ほん作さく『東京とうきょうブラックアウト』は再さい稼働かどう後ごの苛烈かれつな事故じこの実際じっさいをシミュレートしているのだが、政官せいかん界かいが刮目かつもくしているのは、天皇てんのうの原発げんぱつに対たいするスタンスが描えがかれたくだりだ。結論けつろんを言いうと、天皇てんのうは原発げんぱつ再さい稼働かどうには反対はんたいなのだという。 〈改あらためて指摘してきするまでもなく、今上きんじょう天皇てんのうと皇后こうごう両りょう陛下へいかは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被害ひがいに心しんを痛いためられている。とりわけフクシマ原発げんぱつの事故じこについては、美うつくしい日本にっぽんの国くに 土どが放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつにより汚染おせんされ、いまだに一いち五ご万まん人にん以上いじょうの住民じゅうみんが住すみ慣なれた土地とちからの避難ひなんを余儀よぎなくされていること、そして、天てんから与あたえられし農作物のうさくもつや畜産ちくさん 物ぶつの恵めぐみの多おおくが、未いまだ放射能ほうしゃのうの基準きじゅん値ちを超こえ出荷しゅっか停止ていしとなっていることに、深ふかい悲かなしみを覚おぼえておられる。（中略ちゅうりゃく） 陛下へいかが私的してき旅行りょこうとして足尾あしお銅山どうざんの跡地あとちを訪問ほうもんされたことも、原子力げんしりょく災害さいがいを二度にどと繰くり返かえすことのないようにとの陛下へいかの強つよい意志いしの表あらわれである。〉（同書どうしょより） 小説しょうせつには、原子力げんしりょく規制きせい庁ちょう長官ちょうかんに就任しゅうにんした警察けいさつ官僚かんりょうの井桁いげた勝彦かつひこが御所ごしょに呼よばれ、天皇てんのうと会話かいわするかなりきわどいシーンがある。カギカッコ内ないは小説しょうせつに書かかれた天皇てんのうの“お言葉ことば”だ。 「そろそろ我わが国くにの原子力げんしりょく発電はつでん所しょがまた動うごき出だしますか？」 「……井桁いげたさん、それで、原子力げんしりょく発電はつでん所しょはまた動うごき始はじめますか？」 執拗しつように迫せまる天皇てんのうに、原子力げんしりょく規制きせい庁ちょう長官ちょうかんは手続てつづき上じょうの道筋みちすじしか答こたえられない。 「前まえの民自党みんじとう政権せいけんの四よん大臣だいじん会合かいごうのような政治せいじ判断はんだんは想定そうていしていない、ということですね」 「もしも原子力げんしりょく発電はつでん所しょに、フクシマよりも酷ひどい事故じこがあったら、どうやって事故じこを収おさめるのですか？」 「原発げんぱつでフクシマ以上いじょうの事故じこが起おきたときに、災害さいがい対策たいさく本部ほんぶが立たち上あがり、総理そうりが本部ほんぶ長ちょうとして指揮しきを執とることが法律ほうりつには書かいてありますね。しかし、結局けっきょくのところ、いったい誰だれが責任せきにんを持もって事故じこを収おさめることになるのですか？」 長官ちょうかんは答こたえられない。それはそうだろう。実じつはいまの日本にっぽんの実情じつじょうでは、具体ぐたい的てきに誰だれが事故じこを収おさめるのかという根元ねもと的てきなことが決きめられていない。警察けいさつも 消防しょうぼうも自衛隊じえいたいも、協力きょうりょくを要請ようせいされることはあっても、暴あばれ始はじめた原発げんぱつに突撃とつげきする義務ぎむはない。天皇てんのうは、この原発げんぱつ事故じこ対策たいさくの本質ほんしつをズバリい当いあてている。 「（前略ぜんりゃく）じゃあ、誰だれが事故じこを収束しゅうそくさせるのか決きまらないまま、それで再さい稼働かどうをしてよし、というわけにもいきませんね？」 「……本当ほんとうの保守ほしゅというのは、原発げんぱつの再さい稼働かどうにこだわったり、経済けいざい成長せいちょうを追おい求もとめたり、ということではなくて、我わが国くにの美うつくしい国土こくどや伝統でんとう文化ぶんかを守まもる、ということではないですかね？ この前まえ、小吹おぶき衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうにもお話はなしをしたら、小吹おぶきさんはよくわかっていましたけどね」 「小吹おぶき衆議院しゅうぎいん議長ぎちょう」が伊吹いぶき文明ふみあき前ぜん衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうをモデルにしていることは言いうまでもない。 もちろん、ここに出でてくる天皇てんのうの言葉ことばはフィクションである。だが、作者さくしゃの若杉わかすぎは前作ぜんさく発表はっぴょう後ご、複数ふくすうのメディアの取材しゅざいに答こたえ、自みずからが政策せいさくの意思いし決定けっていに 関かかわる立場たちばにいることを認みとめたうえで、役所やくしょ内ないで直接ちょくせつ、あるいは間接かんせつ的てきに見聞みききした「真実しんじつ」を小説しょうせつとして伝つたえたかった、と語かたっている。天皇てんのうとのやりとりをこ こまで踏ふみ込こんで書かいているということは、確実かくじつな情報じょうほう源げんがいるということだ。元もと財務ざいむ官僚かんりょうの高橋たかはし洋一よういちは同書どうしょの帯おびに「この小説しょうせつは95%ノンフィクション だ!!」と記しるしている。 現行げんこう憲法けんぽう下かでは天皇てんのうは国政こくせいに関かんする権能けんのうは有ゆうしないとされているが、閣僚かくりょうや官僚かんりょうの内奏ないそうやご進講しんこうの際さいには当然とうぜんのことながらさまざまな質問しつもんやコメントが発はっせられ る。だが、その発言はつげん内容ないようを外部がいぶに明あきらかにすることは天皇てんのうの政治せいじ利用りようとして厳げんに戒いましめられている。逆ぎゃくにいえば、天皇てんのうと直接ちょくせつ接触せっしょくしている一部いちぶ官僚かんりょうや政治せいじ家かは政策せいさく に対たいする天皇てんのうの意向いこうを知しっている、が、表ひょうに出だせない。出だせるとしたら、フィクション（小説しょうせつ）というかたちをとるしかない。 小説しょうせつ『東京とうきょうブラックアウト』が政官せいかん界かいで注目ちゅうもくされているのはそのためだ。若杉わかすぎは小説しょうせつの形かたちをとって、天皇てんのうの原発げんぱつ再さい稼働かどう反対はんたいの意志いしを国民こくみんに伝つたえようとしているのではないか、と──。 その真偽しんぎはさておき、天皇てんのう・皇后こうごう両りょう陛下へいかが安倍あべ政権せいけんに対たいして強つよい危機きき感かんを持もっているということは、皇室こうしつ関係かんけい者しゃの間あいだではもはや常識じょうしきになっている。誕生たんじょう日び の記者きしゃ会見かいけんなどを通つうじてA級きゅう戦犯せんぱんの責任せきにんの大おおきさに言及げんきゅうしたり、日本国にっぽんこく憲法けんぽうについて「今後こんごとも憲法けんぽうを遵守じゅんしゅする立場たちばに立たって、事ことに当あたっていく」と明言めいげんするな ど、以前いぜんより踏ふみ込こんだ護憲ごけん発言はつげんをしたりしている。いずれも安倍あべ政権せいけん発足ほっそく前まえにはなかったことだ。 ところが、マスコミは安倍あべ政権せいけんに配慮はいりょしてか、こうした“お言葉ことば”から垣間見かいまみえる天皇てんのうの意向いこうをほとんど伝つたえてこなかった。とくにひどいのがNHK で、2013年ねんの誕生たんじょう日び会見かいけんで天皇てんのうが「平和へいわと民主みんしゅ主義しゅぎを守まもるべき大切たいせつなものとして日本国にっぽんこく憲法けんぽうをつくり……」と憲法けんぽうについて言及げんきゅうした部分ぶぶんを完全かんぜんにカットしてしまった。NHKニュースを見みた天皇てんのうはさぞや驚おどろいたことだろう。 その天皇てんのうは、2015年ねんの新年しんねんにあたっての「ご感想かんそう」でこう述のべた。 「本年ほんねんは終戦しゅうせんから70年ねんという節目ふしめの年としに当あたります。多おおくの人々ひとびとが亡なくなった戦争せんそうでした。（中略ちゅうりゃく）この機会きかいに、満州まんしゅう事変じへんに始はじまるこの戦争せんそうの歴史れきしを十分じゅうぶんに学まなび、今後こんごの日本にっぽんのあり方かたを考かんがえていくことが、今いま、極きわめて大切たいせつなことだと思おもっています」 これはもう明あきらかに、歴史れきし修正しゅうせい主義しゅぎを強つよめ、集団しゅうだん的てき自衛じえい権けん行使こうし容認ようにんで日本にっぽんを「戦争せんそうのできる国くに」にしようとしている安倍あべ政権せいけんへの強つよいメッセージというほかはないだろう。 ところが今回こんかいも一部いちぶマスコミは天皇てんのうの意向いこうを黙殺もくさつした。 … Continue reading →