Tag Archives: 宮本みやもとゆき

　原爆げんばくと原発げんぱつは、いずれも核分裂かくぶんれつで発生はっせいする巨大きょだいなエネルギーを使つかう。米国べいこくでは広島ひろしま、長崎ながさきへの原爆げんばく投下とうかを正当せいとう化かする世論せろんが根強ねづよいが、原爆げんばくは絶対ぜったい悪あくではないのか。被爆ひばく国こく・日本にっぽんでは戦後せんご、原発げんぱつが国策こくさくとして推進すいしんされ、東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい１原発げんぱつ事故じこ後ごも原発げんぱつを手放てばなさない。原発げんぱつは必要ひつようなのか。２６日にちは「原子力げんしりょくの日ひ」。道内どうないで核かくのごみ（高こうレベル放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつ）の処分しょぶん問題もんだいが注目ちゅうもくされる中なか、日米にちべいの「核かく」への意識いしきについて識者しきしゃに聞きいた。（編集へんしゅう委員いいん　関口せきぐち裕士ひろし） 全文ぜんぶん

　原爆げんばく投下とうか後ごに疎開そかい先さきから長崎ながさきの自宅じたくに戻もどり、被爆ひばくした長崎ながさき市しの森口もりぐち貢みつぐ（みつぎ）さん（８１）。当時とうじ８歳さい。家いえも木きもなくなった爆ばく心地ごこち近ちかくで遺体いたいを焼やく白しろい煙けむりが立たち上のぼるのを目まの当あたりにし、そのにおいが今いまも忘わすれられないという。 ３月がつ上旬じょうじゅん、原爆げんばくのプルトニウムが作つくられたハンフォード核かく施設しせつの地元じもと、米べいワシントン州しゅうリッチランドなどを訪おとずれ、被爆ひばく証言しょうげんを交まじえて講演こうえんし、施設しせつによる放射線ほうしゃせん被害ひがいを訴うったえる住民じゅうみんらとも交流こうりゅうした。 キノコ雲くもをシンボルマークにする地元じもと高校こうこうは春休はるやすみ中ちゅうだった。校長こうちょうに被爆ひばく証言しょうげん集しゅうの英訳えいやく版ばんを手渡てわたした。再ふたたび訪たずね、生徒せいとらと語かたり合あいたいと願ねがう。「『核かくは良よいもの』という概念がいねんを崩くずしていくのは途方とほうもないこと。でも、米国べいこくにいる人ひとたちと手てを組くんで頑張がんばっていきたい」 森口もりぐちさんの訪問ほうもんの受うけ止とめ方かたは様々さまざまだ。支援しえんしたホイットマン大だい教授きょうじゅのシャンパ・ビスワスさんは「講演こうえんに多おおくの聴衆ちょうしゅうが涙なみだを流ながした。核軍縮かくぐんしゅくの小ちいさな一いち歩ほだったが、とても重要じゅうような一いち歩ほだった」と振ふり返かえる。 一方いっぽう、元もとリッチランド市長しちょうのジョン・フォックスさん（９０）は森口もりぐちさんの話はなしに理解りかいを示しめしつつも、「原爆げんばくが戦争せんそうを終おわらせてくれたおかげで私わたしは徴兵ちょうへいを逃のがれ、命いのちが救すくわれたと思おもう。米国べいこくが日本にっぽん本土ほんどに侵攻しんこうしていれば、日米にちべい双方そうほうの多おおくの人ひとが殺ころされたはずだ」と語かたった。 訪問ほうもんを取とり上あげた地元じもとメディアの記事きじには、好意こうい的てきな意見いけんの一方いっぽうで、批判ひはんも寄よせられたという。 核かくに対たいする意識いしきをどう変かえていくか。訪問ほうもんを支援しえんした米国べいこくのＮＰＯの宮本みやもとゆきさん（５０）は「壁かべの厚あつさ」を感かんじながら模索もさくを続つづけている。 広島ひろしま市し出身しゅっしんの被爆ひばく２世せい。渡米とべいし、核兵器かくへいきや平和へいわに対たいする認識にんしきに日米にちべい間あいだの隔へだたりを感かんじた。米べいシカゴのデュポール大だいで、核かくの歴史れきしなどを教おしえる准じゅん教授きょうじゅも務つとめる。[…]     全文ぜんぶん

[…] 戦後せんご５０年ねんの節目ふしめに、博物館はくぶつかんはエノラ・ゲイとあわせて、被爆ひばく資料しりょうを展示てんじする原爆げんばく展てんを企画きかくします。しかし、退役たいえき軍人ぐんじんを中心ちゅうしんに、日本にっぽんは一方いっぽう的てきな被害ひがい者しゃではないと批判ひはんが巻まき起おこり、結局けっきょく、事実じじつ上じょうの中止ちゅうしに追おい込こまれました。 「アメリカの人ひとたちにとって、キノコ雲くもの下したで何なにがあったのかということが消きえてしまう」（被爆ひばく者しゃ 沼田ぬまた鈴子すずこさん〔故人こじん〕） […] 「日本にっぽんでは原爆げんばくの話はなしが、炸裂さくれつした午前ごぜん８時じ１５分ふんに始はじまる。原爆げんばく開発かいはつ施設しせつを保存ほぞんすることで、日本にっぽんの人ひとたちは、なぜアメリカが化ばけ物もののようなものをつくらざるを得えなかったか、理解りかいできるでしょう」（アトミックヘリテージ財団ざいだん シンディー・ケリーさん） ただ財団ざいだんは広島ひろしま・長崎ながさきの被害ひがいに関かんする資料しりょうは、ほとんど収集しゅうしゅうできていないと言いいます。 「さまざまな見方みかたがあることを考かんがえなければなりません。７１年ねん後ごの現在げんざいの見方みかたに偏かたよることなく、私わたしたちがどこに向むかおうとしているか考かんがえなければいけません」（アトミックヘリテージ財団ざいだん シンディー・ケリーさん） アメリカで重視じゅうしされてこなかった原爆げんばくによる被害ひがい。しかし、ニューヨークで原爆げんばく投下とうかについて聞きくと、意外いがいな答こたえが返かえってきました。 「米べいメディアは第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんをロマンチックに語かたる傾向けいこうがあります。メディアが伝つたえることを検証けんしょうし、疑問ぎもんをもつことが常つねに必要ひつようです。私わたしは罪つみや責任せきにんが全まったくないとは思おもいません」（大学生だいがくせい） 去年きょねん、イギリスの調査ちょうさ機関きかんが発表はっぴょうした世論せろん調査ちょうさでは、原爆げんばく投下とうかを正当せいとうだったとするアメリカ人じんは、誤あやまりだったという人ひとを大幅おおはばに上回うわまわっています。しかし、世代せだい別べつに見みると、４０代だい半なかばより若わかい世代せだいは、その割合わりあいが逆転ぎゃくてんしています。若わかい世代せだいになるほど、誤あやまりだったという認識にんしきが広ひろがっていることがわかったのです。 シカゴにあるデュポール大学だいがくです。ここで学まなぶ学生がくせいは、若わかい世代せだいの原爆げんばく観かんの変化へんかをどのように考かんがえているのでしょうか。 「第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅう、私わたしの祖母そぼは私わたしと同おなじくらいの年齢ねんれいで、そのころ、日本にっぽんはアメリカの敵国てきこくでした。そしてメディアも、そういった報道ほうどうをしていました。今いまの私わたしたちはもう少すこし中立ちゅうりつ的てきな立場たちばです。なぜなら、戦後せんご世代せだいの人ひとたちとも話はなし合あう機会きかいがあるからです」（学生がくせい） 「今いまははるかにグローバルなコミュニティーがあります。インターネットでも調しらべられるし、さまざまな情報じょうほうがＹｏｕＴｕｂｅにもあります。上うえの世代せだいは、『これが正ただしい』『こうしなければいけない』と言いわれてきました。私わたしたちはもっとリベラルに育そだち、広ひろい視野しやをもって育そだてられています」（学生がくせい） 広島ひろしま市し出身しゅっしんの被ひばく２世せいで、デュポール大学だいがくの宮本みやもとゆき准じゅん教授きょうじゅは、就職しゅうしょくなど現在げんざいや将来しょうらいに不安ふあんを抱かかえるアメリカの若わかい世代せだいが、従来じゅうらいの固定こてい概念がいねんに疑問ぎもんを持もち始はじめていると指摘してきしています。 「原爆げんばくに対たいして懐疑かいぎ的てきに見みる。上うえから来くる大おおきな物語ものがたりに対たいして、懐疑かいぎ的てきに見みられるようになった」（宮本みやもとゆき准じゅん教授きょうじゅ） もっと読よむ。 動画どうがはこちら。