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2020/10/10 23:35 　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこを巡めぐり、福島ふくしま県けん田村たむら市し都路みやこじ町まち地区ちくに不動産ふどうさんを購入こうにゅうし、首都しゅと圏けんから移住いじゅうするなどした男女だんじょ５４人にんが「自然しぜんとの共生きょうせい生活せいかつを奪うばわれた」として、東電とうでんと国くにに計けい約やく１７億おく円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめた訴訟そしょうで、東京とうきょう地裁ちさい（中ちゅう吉よし徹郎てつお裁判さいばん長ちょう）は９日にち、東電とうでんに対たいし、４９人にんに計けい約やく６５００万まん円えんを支払しはらうよう命めいじる判決はんけつをい渡いわたした。国くにへの請求せいきゅうは、「津波つなみ対策たいさくが著いちじるしく不合理ふごうりだったとは言いえない」として退しりぞけた。 判決はんけつは、同どう地区ちくを「人工じんこうの広葉樹こうようじゅ林りんが多おおく、山菜さんさいやキノコ類るいが植生しょくせいする全国ぜんこく的てきにも珍めずらしい地域ちいきだ」と指摘してき。不動産ふどうさんの利用りようや活動かつどうが制限せいげんされたことなどに対たいする損害そんがいを認みとめ、東電とうでんに１人にん当あたり約やく７０８万まん円えん～約やく１万まん２０００円えんの賠償ばいしょうを命めいじた。 原文げんぶん

[…] 当時とうじから今いまも続つづく「選択せんたく」の日々ひび。「この道路どうろは歩あるいて大丈夫だいじょうぶだろうか。この木この下したに立たっていても良よいのだろうか。ここは落おち葉ばが積つもっているから避さけて通とおる方ほうが良よいんじゃないか。きれいな花はなの周まわりは除染じょせんしているのだろうか。このホウレンソウはわが子こに食たべさせて大丈夫だいじょうぶなのだろうか。学校がっこうの屋外おくがいプールでの授業じゅぎょうを受うけさせても良よいのだろうか。毎日まいにち毎日まいにち、頭あたまから離はなれません。私わたしの判断はんだんの誤あやまりで、取とり返かえしのつかない事ことになったらどうしよう。いつも不安ふあんにおびえています」。 少すこしでも安全あんぜんな所ところへ、と沖縄おきなわに保養ほように出掛でかけた事こともあった。公的こうてき制度せいども確立かくりつされず県けん外がい避難ひなんは叶かなわない。今いまも福島ふくしま市しで子育こそだてする事ことで本当ほんとうにわが子こに健康けんこう影響えいきょうが出でないのか葛藤かっとうは続つづいている。そんな日々ひびは当然とうぜん、疲つかれる。「原発げんぱつ事故じこの無ない、遠とおい遠とおい所ところへ逃にげ出だして、何なにも心配しんぱいせずに暮くらしてみたいと、いつも感かんじています」。 被告ひこく・東電とうでんの代理人だいりにん弁護士べんごしは、あたかも女性じょせい原告げんこくに正ただしい知識ちしきが不足ふそくしていて、抱だいている不安ふあんや心配しんぱいは科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづかないものだと質ただす。水道すいどう水すいや福島ふくしま産さんの食材しょくざいをわが子こに与あたえない事ことも、甲状腺こうじょうせん検査けんさでの「A2判定はんてい」が将来しょうらい、悪性あくせい化かしないかと心配しんぱいする事ことも、全すべて否定ひていしてみせる。しかし、「専門せんもん家かによる科学かがく的てきな情報じょうほうに接せっする事ことで不安ふあんが緩和かんわされるという事ことはありませんか」と問とわれた原告げんこくの女性じょせいは明確めいかくに答こたえた。「ありません」。 […] 双葉ふたば郡ぐん浪江なみえ町まち津つ島とうに生うまれ育そだち、その後ご長ながく福島ふくしま市しで生活せいかつしている70代だい女性じょせいは、原発げんぱつ事故じこによって故郷こきょうを奪うばわれ、穏おだやかな日常にちじょうも汚よごされた。故郷こきょうにも福島ふくしま市しにも降ふり注そそいだ放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつ。 […] あれほど元気げんきで活発かっぱつだった愛犬あいけんが原発げんぱつ事故じこ後ごに心臓しんぞう疾患しっかんや白内障はくないしょうを患わずらって死しんだ。自身じしんも、原発げんぱつ事故じこ前まえは病気びょうきらしい病気びょうきなどしたことも無なかったのに白内障はくないしょうの手術しゅじゅつを受うけ、甲状腺こうじょうせんにはのう胞ほうが見みつかった。夫おっとは肺はい腺せんガンと診断しんだんされた。それらと原発げんぱつ事故じことの因果いんが関係かんけいを立証りっしょうする事ことなど出来できない。しかし、全まったく関係かんけい無ないとも言いい切きれるのか。夫おっととともに畑はたけを〝除染じょせん〟した際さい、大量たいりょうの放射ほうしゃ性せい微粒子びりゅうしを吸すい込こまなかったとなぜ言いい切きれるのか、疑問ぎもんは残のこる。「（愛犬あいけんの）解剖かいぼうをお願ねがいして、どのくらい放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを取とり込こんでいたか調しらべてもらえば良よかったと悔くやんでいます」。 確たしかに、汚染おせんや被曝ひばくリスクを理由りゆうに福島ふくしま市内しないでの家庭かてい菜園さいえんは禁きんじられていない。しかし、原発げんぱつ事故じこ直後ちょくご、空間くうかん線量せんりょうが1･5μみゅーSv/hもあった事こと、有機ゆうき肥料ひりょうで育そだててきた土どが除染じょせんで根ねこそぎ取とり除のぞかれてしまう事ことなどを考かんがえ、あきらめることにした。それも、被告ひこく・東電とうでんの代理人だいりにん弁護士べんごしに言いわせれば「大おおげさ」な判断はんだん。それどころか「平常へいじょう通どおりに暮くらしている人ひともいるというのはご存ぞんじでしょうか」とまで言いう。それに対たいし、原告げんこくの女性じょせいはこう反論はんろんした。 「平常へいじょう通どおりに暮くらしているように見みえても、心しんまでは見みえませんから。皆みなさんがどういうお気持きもちで暮くらしているかは分わかりません」 […] 畑はたけの除染じょせんを巡めぐっては、家族かぞく間あいだで意見いけんが対立たいりつ。い争いあらそう事こともあったという。「原発げんぱつ事故じこが無なければ、家族かぞくみんなで『日本一にっぽんいちの美味おいしい果物くだもの作づくり』に頑張がんばっていました。土どがいまだに2000Bq/kg以上いじょうあるので私わたしは除染じょせんして欲ほしかったけれど、夫おっとや子こどもは反対はんたいしてまとまりませんでした。畑はたけの一角いっかくに仮かり置おき場ばを設もうけなければならないし、有機ゆうき肥料ひりょうで育そだてた土どを失うしない、除染じょせん作業さぎょうで木きの根ねを傷きずつけられても補償ほしょうされないからです。今いまでは畑はたけの汚染おせんや除染じょせんを口くちにする事ことも出来できなくなりました」。さらに「保養ほよう」の必要ひつよう性せいにも言及げんきゅうした。「福島ふくしまで生いきていかなければならない、福島ふくしまで仕事しごとをしなければならない不安ふあんとストレスを、放射能ほうしゃのうの無ないきれいな土地とちで思おもい切きり空気くうきを吸すって解消かいしょうするためにも、保養ほようは必要ひつようなのです。健康けんこうに影響えいきょう無ないと言いわれても、そこに放射能ほうしゃのうがあるというだけでストレスなのです」。 […]   全文ぜんぶん

　九州電力きゅうしゅうでんりょく玄海げんかい原発げんぱつ（玄海げんかい町まち）の運転うんてん差さし止とめを求もとめる「原発げんぱつなくそう！九州きゅうしゅう玄海げんかい訴訟そしょう」の口頭こうとう弁論べんろんが９日にち、佐賀さが地裁ちさい（立川たちかわ毅あつし裁判さいばん長ちょう）であり、福島ふくしま第だい１原発げんぱつ事故じこの被災ひさい者しゃ、服部はっとり浩幸ひろゆきさん（４７）が意見いけん陳述ちんじゅつした。服部はっとりさんは小学しょうがく５年ねんの次男じなん（１０）が福島ふくしま県けんの甲状腺こうじょうせん調査ちょうさでのう胞ほうが見みつかり「自責じせきの念ねんが続つづいている」と訴うったえた。 　服部はっとりさんは福島ふくしま県けん二本松にほんまつ市しでスーパーを営いとなみ、２０１１年ねんの福島ふくしま事故じこで被災ひさいした。１３年ねんに「生業せいぎょうを返かえせ、地域ちいきを返かえせ！福島ふくしま原発げんぱつ訴訟そしょう」の原告げんこく団だん事務じむ局長きょくちょうとなり、８月がつ１０日にちの玄海げんかい訴訟そしょう第だい１９次じ提訴ていそに加くわわった。 　服部はっとりさんは９日にちの法廷ほうていで、次男じなんにのう胞ほうが見みつかり経過けいか観察かんさつ中ちゅうだが「事故じこ直後ちょくご、３人にんの子供こどもたちだけでも避難ひなんさせるべきだったのではないかと自責じせきの念ねんに駆かられている」と声こえを詰つまらせた。そして「私わたしたちが人類じんるい最後さいごの原発げんぱつ事故じこ被害ひがい者しゃであってほしい。福島ふくしまの人間にんげんの心しんからの願ねがい」と玄海げんかい原発げんぱつを再さい稼働かどうしないことを求もとめた。 　服部はっとりさんは１０日にち午後ごご１時半じはんから佐賀さが商工しょうこうビル（佐賀さが市し）で「『食しょく』からみた福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこと福島ふくしまの今いま」と題だいして講演こうえんする。参加さんか費ひ無料むりょう。問とい合あわせは佐賀さが中央ちゅうおう法律ほうりつ事務所じむしょ（貝野かいのさん）０９０・１０７８・２７８４。 原文げんぶんはこちら。